JP4375773B2 - W/Oエマルジョンを含有するTh2移行促進剤 - Google Patents
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Description
本発明は、生体内の免疫反応に関与しているヘルパーT細胞(Th)のサブセットであるTh1型(以下、Th1という)とTh2型(以下、Th2という)のバランスにおいて、Th1からTh2への移行を促進させる製剤に関する。本製剤は、例えば自己免疫疾患、各種アレルギー疾患、又は臓器移植時の拒絶反応等に対する予防又は治療剤として有用である。
背景技術
自己免疫疾患(例:臓器特異的自己免疫疾患等)、アレルギー疾患あるいは臓器移植拒絶反応等は、内在または外来抗原に対する過剰免疫反応であり、これらの疾患は自己あるいは非自己に対する免疫学的無反応性が破綻する現象として説明できる。これらの疾患に対する治療としては、薬物療法(免疫抑制剤、コルチコステロイド、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤など)が主に行われている。しかしながら、免疫抑制剤等は非特異的な免疫抑制を引き起こすので、感染症の併発、悪性腫瘍の発現等の重篤な副作用を伴う。また抗アレルギー剤等は単に対症療法的に使用されているのが現状である。他方、減感作療法などの特異的な免疫療法も試みられているが作用機序に関して不明な部分が多く、いまだ確立された治療方法とは言い難い。
このような状況下、最近、経口免疫寛容(経口トレランス)を自己免疫病等の治療に応用する試みが注目されている。例えば、バイスタンダー抗原と称しTGF−βなどの抑制性サイトカインを分泌する調節性細胞の増殖を誘導する物質を経口投与することにより誘導される経口免疫寛容を利用して上記疾患を治療する方法が報告されている(WO93/16724、WO96/40232、特表平8−504745等)。しかしこれらの方法では、経口投与される抗原に対してDDS製剤的な工夫はあまりなされておらず、基本的には抗原タンパク質の水溶液又は分散液を単に投与するのみである。従って、調製されるタンパク質製剤はきわめて不安定であるため投与効率が悪く、また安定した免疫寛容の効果が再現されにくいと予想される。また経口免疫寛容の誘導効率を高めるために、サイトカイン類、コレラトキシンB鎖あるいはリポ多糖体を併用する試みがなされているが、いずれも実用性の乏しいものである。
一方、ヘルパーT細胞(Th)のサブセットであるTh1とTh2のバランス(Th1/Th2バランス)と各種疾患との関係も研究されおり、Th1優位の免疫反応に基づくと考えられている自己免疫疾患等の治療方法の一つとして、Th1優位の免疫応答からTh2優位の免疫応答への変換が考えられている(日本臨牀55巻6号(6,1997);医学のあゆみVol.182 No.9(1997),P523等)。しかしこれまでTh1からTh2への移行を促進してTh2偏向の状態に効率よく到らしめる試みはあまりなされていない。例えば、WO93/00160やANNALS OF THE NEW YORK ACADEMY OF SCIENCES Vol.778(1996)等には、抗原タンパク質をW/O型エマルジョン又はW/O型の多相エマルジョンにして、経口免疫寛容を誘導する方法が記載されているが、実験的にはtotalの抗体価の変化を調べているだけである。INFECT.AGENTSDIS.(USA),2/2(55−73)(1993)には、マイクロスフェアーで経口免疫化した際にTh2型優位になった旨記載されているが、エマルジョンによる投与時および経口免疫寛容時のTh1/Th2バランスについては何ら検討されていない。Proc.Soc.Exp.Biol.Med.133,423−427(1970);Enteral.Nutr.14,459−462(1990);Clin.Immunol.Immunopath.25,196−202(1982);Aust.N.Z.J.Surg.57,323−329(1987)等には、非経口投与されたW/Oエマルジョンが免疫系を抑制する方向に機能する旨記載されている。しかしこれらのエマルジョンには抗原が含まれておらず、また経口投与した際のTh1/Th2バランスの変化については何ら考察されていない。
このように免疫応答反応におけるTh1/Th2バランスを調節し、特にTh2への移行を促進して好ましくはTh2偏向の状態に到らしめることにより、Th1/Th2バランスが関係すると考えられる各種疾患を効率よく予防又は治療する方法は、未だ十分には検討されていなかった。
発明の開示
本発明者らは鋭意検討した結果、各種抗原を油中水型エマルジョン(W/Oエマルジョン)に内包させて投与すれば、ヘルパーT細胞のTh1/Th2バランスがTh2へ移行されやすくなることを見出し、以下に示す本発明を完成した。
(1)抗原を含有するW/Oエマルジョンを含むことを特徴とする、ヘルパーT細胞のTh2への移行促進剤。
(2)抗原がタンパク質またはペプチドである、上記(1)記載の促進剤。
(3)経粘膜投与によって免疫寛容を誘導する、上記(1)又は(2)記載の促進剤。
(4)ヘルパーT細胞のTh1/Th2のバランスが関係する疾患の予防又は治療剤である、上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の促進剤。
(5)疾患がTh1主体の免疫反応に起因する疾患、アレルギー疾患または臓器移植時の拒絶反応である、上記(4)記載の促進剤。
(6)Th1主体の免疫反応に起因する疾患が自己免疫疾患である、上記(5)記載の促進剤。
(7)マウス経口投与時の“IgG1/IgG2a”で示される抗体価比率の値が、対照の抗原含有生理食塩水を投与した場合に比べて約2倍以上である、上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の促進剤。
(8)抗原をW/Oエマルジョンに含有させて経口投与することを特徴とする、ヘルパーT細胞のTh2への移行を促進する方法。
(9)請求項1〜7のいずれかに記載の促進剤を投与することを特徴とする、ヘルパーT細胞のTh2への移行を促進する方法。
(10)ヘルパーT細胞のTh2への移行を促進するために、抗原の投与剤形としてW/Oエマルジョンを使用する方法。
(11)ヘルパーT細胞のTh1/Th2のバランスが関係する疾患の予防又は治療剤を製造するために、抗原を含有するW/Oエマルジョンを使用する方法。
発明を実施するための最良の形態
本発明に用いるW/Oエマルジョンとしては種々のものが使用でき、マイクロエマルジョンであってもよい。そのサイズは通常、約0.001〜100μmである。組成についても特に限定されるものではないが、水相としては、通常、水または弱酸性、中性、弱塩基性のいずれかの緩衝液等を使用でき、また安定化のためにゼラチン等で水相を固化しても良い。
油層としては通常、生理学的に受容される油類又はワックス類等を単独または組み合わせて使用すればよい。油類としては、以下に例示する植物油、動物油、脂肪酸エステル等が使用できる。
(植物油)硬化ヒマシ油、ピーナッツ油、ヒマワリ種子油、アーモンド油、ホホバ油、落花生油、ヤシ油、パーム油、紅花油、ククイ油、麦芽油、葡萄種子油、ナタネ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、アボガド油、ツバキ油、トウモロコシ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、カカオ脂、ゴマ油、月見草油、サザンカ油等が挙げられるが、好ましくはゴマ油等である。
(動物油)スクワレン、ラノリン、ミンク油、卵黄油、タートル油、プリスタン等が挙げられる。
(脂肪酸エステル)ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オクタン酸イソステアリル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジイソプロピル等が挙げられる。
ワックス類としては、植物ロウおよび動物ロウが挙げられ、好ましくはカルナウバロウ、ミツロウ、鯨ロウである。
上記の水相と油相との含有割合は、通常、水相:油相=1:1〜1:50(体積比)、好ましくは1:5〜1:20(体積比)である。
本発明のエマルジョンは、任意に界面活性剤、アルコール、脂肪酸、多糖類、防腐剤、pH調整剤、粘性調整剤等、製剤上許容される添加物を含有し得る。
界面活性剤としては、イオン性又は非イオン性のものを単独または組み合わせて使用できる。好ましくは、HLB値が2〜20のものであり、具体的には、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、レシチン、カプリル酸モノグリセライド等であり、より好ましくはソルビタンセスキオレエートとポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60の組み合わせやカプリル酸モノグリセライドとレシチンとポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50の組み合わせである。
界面活性剤は、Th2への移行促進には必ずしも必要な成分ではないが、エマルジョンの安定性等の点からは添加しておくのが好ましい。界面活性剤の添加量は、油相全体に対して通常、約1〜75重量%、好ましくは約1〜30重量%である。
本発明のW/Oエマルジョンの水相に含有される抗原としては、水溶解性が高くかつ生体内において免疫反応を起こし得る物質であればよく、例えばタンパク質、ペプチド、糖タンパク質等を用いることができるが、好ましくはタンパク質またはペプチドである。具体的には、卵白アルブミン(OVA)、サイトケラチン、I型コラーゲン、II型コラーゲン(CII)、IV型コラーゲン、トランスグルタミナーゼ、ミエリン塩基性タンパク質、インシュリン、グルカゴン、S−抗原、MHC抗原等を使用できる。抗原の含有量は、抗原や対象疾患の種類、投与のルートや時期等によって異なり一概には規定できないが、通常、水相全量に対して約0.0001〜20重量%、好ましくは約0.001〜10重量%である。
エマルジョンの製造方法は特に限定されないが、例えば以下のように行う。即ち、抗原、水相成分、油相成分からなる混合物を、所望により加温下で混合し、数分〜数十分間程度、超音波処理した後、氷冷する。あるいは、該混合物を室温下で振盪混合する等の方法でもよい。
本発明においてTh1/Th2バランスは、以下の試験例に示すように、Th1の活性化により生産される抗体であるIgG2aおよびTh2の活性化により生産されるIgG1の各抗体価の比率を求めることにより調べた。即ち、IgG1/IGg2aの値が大きくなればヘルパーT細胞におけるTh2の割合が増加し、Th2への移行が促進されたものと判断した。その結果、本発明のエマルジョン製剤をマウスに投与すると、対照の生理食塩水の製剤を投与した場合に比べてTh2への移行が促進されることが判明した。またその際のトータルIgG抗体価は対照製剤の場合に比べて低下していたことから、液性免疫反応も抑制されて経口免疫寛容が誘導されていたことも判明した。
このTh2への移行促進効果は、組成の異なる複数のW/Oエマルジョンにおいて確認されたことから、W/Oエマルジョンに共通する製剤的効果であることが示唆される。なお、本製剤によるTh2への移行促進とは、免疫反応系のTh1/Th2バランスにおいて、Th1の割合が減少してTh2の割合が増大する変化を意味し、好ましくはTh2の割合がTh1を上回ってTh2偏向の状態に到る変化を意味する。
本製剤は、Th1/Th2バランスが関係する疾患、特にTh1優位の免疫反応によると考えられている自己免疫疾患(例:多発性硬化症、慢性関節リウマチ、反応性関節炎、乾癬、若年性糖尿病、慢性甲状腺炎、ぶどう膜炎等)や、T細胞が媒介するかあるいはT細胞に依存する各種アレルギー疾患(例:接触性皮膚炎等)、または臓器移植時の拒絶反応等の予防又は治療剤として有用である。またアトピー性皮膚炎等も、病態によってはTh2優位の免疫反応が関与していることや、Th2細胞の活性化によって皮膚組織中の自己抗原に対して抑制性サイトカイン(IL−4、IL−10、TGF−β等)が分泌される等のことから、本製剤による予防又は治療効果が期待できる。本製剤の投与ルートについては特に限定されないが、例えば本製剤の使用による付随効果のひとつとして、粘膜関連リンパ組織(MALT:mucosa−associated lymphoid tissue)を介して誘導される免疫寛容誘導等を期待する場合には、経口投与、経鼻投与または経肺投与等の経粘膜投与が行われ、好ましくは経口投与である。
実施例1(卵白アルブミン含有W/Oエマルジョンの経口投与)
抗原タンパク質として卵白アルブミン(OVA)を用い、7容積の水相{OVA含有水溶液(0.269〜26.9mg/ml)}と40容積の油相{6.7%(w/w)SO−15(日光ケミカル)、1.7%(w/w)HCO−60(日光ケミカル)含有ゴマ油}を50℃において混合し、超音波処理(300W,26kHz,50℃,1min)後氷冷することによりOVA含有W/Oエマルジョンを調製した。エマルジョン中のOVA最終濃度は、0.04〜4mg/mlであった。エマルジョンの粒度分布はGALAI CIS−1により測定し、50〜60mmの粒子径を有していた。OVA含有W/OエマルジョンまたはOVA生食溶液をBALB/cマウス(6W、雄)に5日間連日経口投与(0〜1mg OVA equivalent/mouse/day,day0〜4)した後、OVAをフロイント完全アジュバンド(FCA(H37Ra),DIFCO社)とともに後肢足蹠に皮下免疫(25μg/mouse,day8)し、免疫後21日目(day29)のOVAに対する血清抗体価(トータルIgG、IgG1、IgG2a)を酵素免疫測定法(ELISA)により調べた。ELISAの基本操作手順は既報{Microbiol.Immunol.36,873−884(1992)}に準じ、第2抗体にはperoxidase標識抗マウスIgGヤギ抗体、peroxidase標識抗マウスIgG1ウサギ抗体およびperoxidase標識抗マウスIgG2aウサギ抗体を用いた。血清抗体価は、ELISAにおいて450nmにおける吸光度が0.1以上を示す最大希釈倍数として表した。結果を図1及び図2に示す。
(図1)
1mg/mouse/day投与群マウスでは、W/Oエマルジョンおよび生食溶液ともにトータルIgG抗体価の低下が同程度であった。これに対して0.1mg/mouse/day投与群マウスでは、W/Oエマルジョンのみが1mg/mouse/day投与群と同程度にトータルIgG抗体価が低下しており、W/Oエマルジョンが生食溶液に比べOVAに対する血清トータルIgG抗体価を有意に下げることを確認できた(P<0.05)。即ち、本製剤は、免疫寛容を誘導させた。
(図2)
OVA含有W/Oエマルジョン投与群マウスでは、OVA生食溶液投与群マウスに比べIgG2a抗体価(4〜5例の平均値)に対するIgG1抗体価(4〜5例の平均値)の比率(IgG1/IgG2a)が約2倍高かった。また、W/Oエマルジョン投与群ではOVA含量の増加に伴い、IgG1/IgG2a比率も増大した。即ち、本製剤は、ヘルパーT細胞のTh2への移行を促進させた。
実施例2(II型コラーゲン含有W/Oエマルジョンの経口投与)
抗原タンパク質としてII型コラーゲン(CII)を用い、7容積の水相{CII含有塩酸(0.001N)溶液(0.269〜2.69mg/ml)}と40容積の油相{6.7%(w/w)SO−15、1.7%(w/w)HCO−60含有ゴマ油}を50℃において混合し、超音波処理(300W,26kHz,50℃,1min)後氷冷することによりCII含有W/Oエマルジョンを調製した。エマルジョン中のCII最終濃度は、0.04〜0.4mg/mlであった。エマルジョンの粒度分布はGALAI CIS−1により測定し、50〜60mmの粒子径を有していた。CII含有W/OエマルジョンまたはCII塩酸(0.001N)溶液をBALB/cマウス(6W、雄)に5日間連日経口投与(0〜0.1mg CII equivalent/mouse/day,day0〜4)した後、CIIをFCA(H37Ra)とともに後肢足蹠に皮下免疫(100μg/mouse,day8)し、免疫後21日目(day29)のCIIに対する血清抗体価(トータルIgG、IgG1、IgG2a)を酵素免疫測定法(ELISA)により調べた。
(結果)
0.1mg/mouse/day投与群マウスでは、W/Oエマルジョンおよび塩酸(0.001N)溶液ともにトータルIgG抗体価の低下が同程度であったが、エマルジョンの0.01mg/mouse/day投与群では、10倍量の塩酸(0.001N)溶液投与群と同程度にトータルIgG抗体価が低下していた。また図3に示す通り、CII含有W/Oエマルジョン投与群マウスでは、CII含有塩酸(0.001N)溶液投与群マウスに比べIgG2a抗体価(5〜6例の平均値)に対するIgG1抗体価(5〜6例の平均値)の比率(IgG1/IgG2a)が約2倍高く、Th2型優位の傾向を示した。また、W/Oエマルジョン投与群ではCII含量の増加に伴い、IgG1/IgG2a比率も増大した。
実施例3(卵白アルブミン含有W/Oマイクロエマルジョンの経口投与)
OVA含有W/Oマイクロエマルジョンの組成は、水相{OVA生食溶液(0.755〜75.5mg/ml)}:油相{PDD[68%(w/w)]、ホモテックスPT[8%(w/w)]、SLP−ホワイトSP[2%(w/w)]、Cremophor EL[17%(w/w)]}=5:95(w/w)から成り、油層を振盪混合(r.t.,10min)した後水相を添加し、さらに振盪混合(r.t.,3min)することにより調製した。実施例1と同様の操作を行い、OVA含有W/OマイクロエマルジョンまたはOVA生食溶液の経口投与を施したBALB/cマウスの免疫後21日目におけるOVAに対する血清抗体価(トータルIgG、IgG1、IgG2a)を酵素免疫測定法(ELISA)により調べた。
(結果)
1mg/mouse/day投与群マウスでは、W/Oマイクロエマルジョンおよび生食溶液ともにトータルIgG抗体価の低下が同程度であった。これに対して0.1mg/mouse/day投与群マウスでは、W/Oマイクロエマルジョンのみが1mg/mouse/day投与群と同程度にトータルIgG抗体価が低下していた。また図4に示す通り、OVA含有W/Oマイクロエマルジョン投与群マウスでは、OVA生食溶液投与群マウスに比べ5〜10倍IgG1/IgG2a比率が高く、Th2優位の傾向を示した。この傾向は、W/Oマイクロエマルジョン中のOVA含量の増加に伴い増強した。
実施例4(サイトケラチン含有W/Oエマルジョンの経口投与)
抗原タンパク質として豚皮から陰イオン交換クロマトグラフィーにより精製したサイトケラチン(CK)を用いた。この精製物中には、少なくともNo.4,5,7,8,17,18のサイトケラチンが含まれることをイムノブロッティングにより確認した。7容積の水相{CK含有水溶液(0.269mg/ml)}と40容積の油相{6.7%(w/w)SO−15(日光ケミカル)、1.7%(w/w)HCO−60(日光ケミカル)含有ゴマ油}を50℃において混合し、超音波処理(300W,26kHz,50℃,1min)後氷冷することによりCK含有W/Oエマルジョンを調製した。エマルジョン中のCK最終濃度は、0.04mg/mlであった。エマルジョンの粒度分布はGALAI CIS−1により測定し、50〜60mmの粒子径を有していた。このCK含有W/OエマルジョンのDS/Nhマウス(Exp.Anim.46,225−229(1997))の自然発症皮膚炎に対する治療効果を調べた。実験は、4週齢DS/Nhマウス(♂)を12週間コンベンショナル環境下で飼育した後、皮膚炎スコアの偏りがないように群分けし、2mMトリス緩衝液(pH8)投与群、CK含有トリス緩衝液投与群(0.01mg/mouse/day)、W/O空エマルジョン投与群及びCK含有W/Oエマルジョン(0.01mg/mouse/day)投与群の計4群(n=5〜6)を設けて、実験開始から5日間の連続経口投与を3週間間隔で計2回行った。投与開始から6週間経過した時点で実験を終了し、皮膚炎スコア(各個体の皮膚炎の重篤度により0〜5のスコア化)および掻痒感(観察5分間における掻爬行動の積算秒数)について評価を行った。
(結果)
結果を図5及び図6に示す。CK含有W/Oエマルジョン投与群では、トリス緩衝液、空エマルジョンおよびCK含有トリス緩衝液各投与群に比べ、皮膚炎スコアの抑制ならびに皮膚炎の増悪に伴う掻痒感の増加が抑制された。
産業上の利用可能性
本製剤は、ヘルパーT細胞のTh1/Th2のバランスが関係する各種疾患、例えば自己免疫疾患やアレルギー疾患等の治療または臓器移植時の拒絶反応等の抑制に有用である。
【図面の簡単な説明】
(図1) 卵白アルブミン(OVA)含有W/Oエマルジョンをマウスに5日間連日経口投与後、OVAで皮下免疫してから21日目に採取したの血清のOVAに対するトータルIg抗体価を示すグラフである(実施例1参照)。
(図2) 卵白アルブミン(OVA)含有W/Oエマルジョンをマウスに5日間連日経口投与後、OVAで皮下免疫してから21日目に採取した血清のOVAに対する抗体価比率(IgG1/IgG2a)を示すグラフである(実施例1参照)。
(図3) II型コラーゲン(CII)含有W/Oエマルジョンをマウスに5日間連日経口投与後、CIIで皮下免疫してから21日目に採取した血清のCIIに対する抗体価比率(IgG1/IgG2a)を示すグラフである(実施例2参照)。
(図4) 卵白アルブミン(OVA)含有W/Oマイクロエマルジョンをマウスに5日間連日経口投与後、OVAで皮下免疫してから21日目に採取した血清のOVAに対する抗体価比率(IgG1/IgG2a)を示すグラフである(実施例3参照)。
(図5) サイトケラチン(CK)含有W/Oエマルジョン(0.01mg/mouse/day)をマウスに対して5日間の連続経口投与を3週間間隔で計2回行った場合の皮膚炎スコア(5〜6例の平均値)の推移を示すグラフである(実施例4参照)。
(図6) サイトケラチン(CK)含有W/Oエマルジョン(0.01mg/mouse/day)をマウスに対して5日間の連続経口投与を3週間間隔で計2回行った場合の掻痒感(観察5分間における掻爬行動の積算秒数:5〜6例の平均値)の推移を示すグラフである(実施例4参照)。
Claims (8)
- 抗原を含有するW/Oエマルジョンを含むことを特徴とする、ヘルパーT細胞のTh2への移行促進剤。
- 抗原がタンパク質またはペプチドである、請求項1記載の促進剤。
- 経粘膜投与によって免疫寛容を誘導する、請求項1又は2記載の促進剤。
- ヘルパーT細胞のTh1/Th2のバランスが関係する疾患の予防又は治療剤である、請求項1ないし3のいずれかに記載の促進剤。
- 疾患がTh1主体の免疫反応に起因する疾患、アレルギー疾患、又は臓器移植時の拒絶反応である、請求項4記載の促進剤。
- Th1主体の免疫反応に起因する疾患が自己免疫疾患である、請求項5記載の促進剤。
- マウス経口投与時の“1gG1/1gG2a”で示される抗体価比率の値が、対照の抗原含有生理食塩水を投与した場合に比べて約2倍以上である、請求項1ないし6のいずれかに記載の促進剤。
- ヘルパーT細胞のTh1/Th2のバランスが関係する疾患の予防又は治療剤を製造するために、抗原を含有するW/Oエマルジョンを使用する方法。
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