JP4397510B2 - パイプライン型a/dコンバータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、A/Dコンバータに関し、特に、高速で動作するパイプライン型A/Dコンバータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のパイプライン型A/Dコンバータとしては、例えば、アイトリプルイー・ジャーナル・オブ・ソリッド・ステート・サーキット第32巻第3号3月号1997年のP312〜P320に記載のものが知られている(IEE Journal of Solid State Circuits.Vol.32.No3.March 1997.P312〜P320)。
【0003】
図10は、上記の文献に記載された従来のパイプライン型A/Dコンバータのブロック図である。
この従来のパイプライン型A/Dコンバータは、図10に示すように、NビットのA/D変換出力を得るべく、(N−1)個からなるステージ1が複数縦列接続されるとともに、演算回路9を備えている。各ステージ1のうち、最上位桁(MSB)にかかる最初のステージ1はサンプルホールド回路として構成されている。その後のステージ1は、図10に示すように、基準電圧生成回路2、コンデンサC1、C2やスイッチSW1〜SW4からなるサンプルホールド回路3、演算増幅器4などからなる加減算回路、コンパレータ5、6やエンコーダ7からなる多値化回路8等から構成されている。
【0004】
このような構成からなる従来のパイプライン型A/Dコンバータの動作の概要について説明する。
図10に詳細に示すステージは、前段のステージの演算増幅器4からの残余の出力Vo(N−1)をサンプルホールド回路3でサンプルし、その後にそのサンプル値と基準電圧生成回路2の出力との加減算を演算増幅器4で行い、その算出値Vo(N)を後段のステージ1に出力する。ここで、基準電圧生成回路2は、前段のステージ1からのデジタル信号D(N−1)に基づき、正の基準電圧(+Vref)、零の電圧(0V)、または負の基準電圧(−Vr)のうちの1つを出力する。多値化回路8は、その演算増幅器4からの出力Vnに基づいて「1」、「0」、または「−1」の3値データを生成し、この3値のデジタル信号D(N)を後段のステージ1の基準電圧生成回路2と演算回路9にそれぞれ出力する。
【0005】
このように、各ステージ1からの各デジタル信号D(N)が演算回路9に入力されると、演算回路9はそれらを所定の規則で加算して目的とするN桁のA/D変換データを出力する。
従って、このような従来のパイプライン型A/Dコンバータは、最上位桁から順にA/D変換出力を決定していく逐次変換型A/Dコンバータよりも高速であり、この高速性を活かして50〜100MHzでの高品位テレビ信号等のためのA/Dコンバータとして応用することが考えられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図10に示すコンデンサC1、C2や演算増幅器4はスイッチトキャパシタを構成し、一般に集積回路化されている。集積回路化した場合には、両コンデンサC1、C2は相対精度が良いが、16ビットA/Dコンバータを実現させるほどは良くない。
【0007】
このため、従来のパイプライン型A/Dコンバータのように、前段のステージの残余の出力を後段のステージに送る場合には、その容量比の誤差による影響が大きくなる。この結果、図10に示す従来のパイプライン型A/Dコンバータでは、A/D変換の分解能を16ビットというように大きくすると、A/D変換出力を高精度化できないという不都合がある。
【0008】
このような不都合を解消する方法として、サンプルホールド期間を第1の期間と第2の期間に分割し、この両期間においてサンプルホールド動作を時分割で2回行ってデジタルデータをそれぞれ出力するとともに、その両期間のホールド動作時には図10に示すコンデンサC1、C2の位置を入れ替え、このようにして得られたデジタルデータを最後に平均化する方法が考えられる。
【0009】
この方法について、図10を参照して説明する。まず、第1の期間のサンプル時には、前段のステージからの残余の出力Vo(N−1)をコンデンサC1、C2でサンプルし、そのホールド時には、コンデンサC2を演算増幅器4の帰還素子として使用し、コンデンサC1のサンプル値と基準電圧生成回路2の出力の加減算を演算増幅器4で行う。この第1の期間における演算増幅器4の積分性誤差(INL)は、ステージ1のうち1段目のステージ1のみにコンデンサC1、C2のエラーが存在し、他の2段目以降のステージ1にはそのエラーがない場合には、例えば図11(A)に示すように誤差a、b、cとなり、その積分性誤差は基準電圧生成回路2からの出力の差異により異なる。なお、以下の積分性誤差の記述は、上記のような条件の下でのものとする。
【0010】
一方、第2の期間のサンプル時には、前段のステージからの残余の出力Vo(N−1)をコンデンサC1、C2でサンプルし、そのホールド時には、コンデンサC1を演算増幅器4の帰還素子として使用し、コンデンサC2のサンプル値と基準電圧生成回路2の出力の加減算を演算増幅器4で行う。この第2の期間における積分性誤差は、例えば図11(B)に示すように誤差a’、b’、c’となり、同図(A)の積分性誤差と横軸を中心に対称になる。
【0011】
従って、第1の期間のホールド時の積分性誤差が図11(A)に示すようになり、第2の期間のホールド時の積分性誤差が同図(B)に示すようになるときには、その両者の平均は同図(C)に示すようになり、その積分性誤差を減少できる。
ところが、第1の期間と第2の期間の各ホールド時には、上記のようにコンデンサC1、C2のつなぎ替えを行うので、図11(A)(B)に示すように、積分性誤差の不連続点にずれが生じてしまう。このため、図11(C)に示すように積分性誤差が残ってしまうという不都合がある。
【0012】
このような不連続点を解消する方法として、アイトリプルイー・ジャーナル・オブ・ソリッド・ステート・サーキット第31巻第12号12月号1996年に記載の方法が知られている(IEE Journal of Solid State Circuits.Vol.31.No12.Dec.1996)。
この方法について、図10を参照して説明すると、サンプル期間にコンデンサC1、C2に充電し、ホールド期間にコンデンサC2を演算増幅器4の帰還素子として使用し、コンデンサC1のサンプル値と基準電圧生成回路2の出力の加減算を演算増幅器4で行う。このときの演算増幅器4による積分性誤差は、例えば図12(A)に示すようになる。ここで、多値化回路8は、「1」、「0」、または「−1」の3値データを2つのコンパレータ5、6を使用して生成するが、その際のしきい値は±(Vref/2)である。
【0013】
ところで、ホールド期間において、前段のステージからのデジタル信号が「0」で、基準電圧生成回路2の基準電圧が0Vの場合には、ホールド期間中に、コンデンサC1を演算増幅器4の帰還素子として使用し、コンデンサC2のサンプル値を演算増幅器4に入力するようにする。このようにすると、演算増幅器4による積分性誤差は、例えば図12(B)に示すようになり積分性誤差の不連続点が解消できる。
【0014】
しかし、以上の方法は、積分性誤差の不連続点を解消できるが、積分性誤差自体を解消できない上に、上記のしきい値を±(Vref/2)に近づけるためにパイプライン型A/Dコンバータの特徴である冗長性が失われてしまうという不都合がある。
そこで、本発明の目的は、上記の点に鑑み、積分性誤差を排除することにより、A/D変換の分解能を16ビットというように大きくしても、高精度のA/D変換出力が得られるようにしたパイプライン型A/Dコンバータを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するために、請求項1から請求項4に記載の各発明は以下のように構成した。
すなわち、請求項1に記載の発明は、A/D変換を行うためのステージを複数個縦列接続したパイプライン型A/Dコンバータであって、前記ステージは、前段のステージからのデジタル信号を所定のアナログ基準信号に変換する基準信号生成手段と、演算増幅器、第1の受動素子、および第2の受動素子を含み、第1の期間と第2の期間には、前段のステージからのアナログ信号を前記両受動素子でサンプルしたのち、前記両受動素子のいずれか一方を前記演算増幅器の帰還素子として使用し、残余の受動素子にサンプルされたアナログ信号と前記所定のアナログ基準信号の加減算を前記演算増幅器でそれぞれ行う信号処理手段と、前記演算増幅器からの第1の期間の出力と第2の期間の出力とをそれぞれ多値化する多値化手段とを含むとともに、前記信号処理手段は、第1の期間においては、前段のステージからのデジタル信号が第1の論理状態の場合には前記帰還素子として前記第1の受動素子を使用し、前記デジタル信号が第2の論理状態の場合には前記帰還素子として前記第2の受動素子を使用し、一方、第2の期間においては、前記第1の論理状態の場合には前記帰還素子として前記第2の受動素子を使用し、前記第2の論理状態の場合には前記帰還素子として前記第1の受動素子を使用するようになっており、さらに、前記各ステージの前記多値化手段で多値化された第1の期間の出力と第2の期間の出力とを平均化する平均化手段を備えたことを特徴とするものである。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のパイプライン型A/Dコンバータにおいて、前記演算増幅器はホールド動作時においてほぼ2倍の利得を有し、前記多値化手段は「+1」、「0」、または「−1」の3値のデジタル信号を出力し、前記前段のステージからのデジタル信号が「+1」、「−1」の場合が前記第1の論理状態であり、そのデジタル信号が「0」の場合が前記第2の論理状態であることを特徴とするものである。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のパイプライン型A/Dコンバータにおいて、前記受動素子はキャパシタからなり、前記基準信号生成手段は、前記デジタル信号の「+1」、「0」、「−1」に応じて、前記アナログ基準信号として正の基準電圧(+Vref)、零の電圧(0V)、負の基準電圧(−Vref)を生成するようになっていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のパイプライン型A/Dコンバータにおいて、前記多値化手段は、前記演算増幅器の出力を所定の正負のしきい値で3値化(+1、0、−1)するコンパレータ手段を含むことを特徴とするものである。
上記の正負のしきい値は、ほぼ(1/4)×Vrefとほぼ(−1/4)×Vrefであることが冗長性という点では好ましい。但し、積分性誤差を小さくするという観点からは、±1/2(Vref)に近づけても良い。
【0019】
このように本発明では、信号処理手段が、第1の期間と第2の期間には、前段のステージからのアナログ信号を第1と第2の受動素子(キャパシタ)でサンプルしたのち、その両受動素子のいずれか一方を演算増幅器の帰還素子として使用し、残余の受動素子にサンプルされたアナログ信号と、基準信号生成手段からの所定のアナログ基準信号の加減算を演算増幅器でそれぞれ行う。
【0020】
さらに、信号処理手段は、第1の期間においては、前段のステージからのデジタル信号が第1の論理状態(例えば+1と−1の場合)の場合にはその帰還素子として第1の受動素子を使用し、そのデジタル信号が第2の論理状態(例えば0)の場合にはその帰還素子として第2の受動素子を使用し、一方、第2の期間においては、第1の論理状態の場合にはその帰還素子として第2の受動素子を使用し、第2の論理状態の場合にはその帰還素子として第1の受動素子を使用するようになっている。
【0021】
このため、本発明では、各ステージの積分性誤差が極力排除できるようになり、例えばA/D変換の分解能を16ビットというように大きくしても、高精度のA/D変換出力が得られる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
本発明のパイプライン型A/Dコンバータの実施形態の構成について、図1〜図 を参照して説明する。
この実施形態のかかるパイプライン型A/Dコンバータは、図1に示すように、アナログ入力信号AinをNビットのデジタル出力信号DoutにA/D変換するために、サンプルホールド回路11−1と、(k−1)個のステージ11−2〜11−kと、メモリ12と、平均化回路13とを備えている。
【0023】
サンプルホールド回路11−1とステージ11−2〜11−kは縦列接続され、各ビットを決定してメモリ12に出力するようになっている。
すなわち、サンプルホールド回路11−1は、後述のように期間Tの間に実行される1回のサンプル・ホール動作により、アナログ入力信号Ainに基づいてデジタル値D1を決定し、この決定したデジタル値D1がメモリ12に格納されるようになっている。
【0024】
ステージ11−2〜11−kは、サンプルホールド回路11−1または前段のステージからのアナログ信号などに基づき、後述のように、第1の期間T1のサンプル・ホールド動作により第1のデジタル値D2〜Dkを決定するとともに、第2の期間T2のサンプル・ホールド動作により第2のデジタル値D2〜Dkを決定し、この決定した各デジタル値がメモリ12にそれぞれ格納されるようになっている。
【0025】
平均化回路13は、メモリ12に格納される各ステージごとの第1の期間T1と第2の期間T2のデジタル値の平均値を求め、その求めた平均値に基づいて所定の演算により、Nビットのデジタル出力信号Doutを求めるようになっている。
次に、上述のサンプルホールド回路11−1の具体的な回路の構成について、図2を参照して説明する。
【0026】
このサンプルホールド回路11−1は、図2に示すように、スイッチSW1〜SW3、コンデンサC1、および演算増幅器21からなり、アナログ入力信号Ainをサンプルホールドするサンプルホールド部と、このサンプルホールド部でサンプルホールドされた電圧から3値データを生成する3値化回路22とから、少なくとも構成されている。
【0027】
さらに詳述すると、入力端子がスイッチSW1とコンデンサC1を介して演算増幅器(オペアンプ)21の−入力端子に接続自在になっているとともに、その−入力端子がスイッチSW2を介して接地自在になっている。演算増幅器21の+入力端子は接地されている。演算増幅器21の出力端子と、スイッチSW1およびコンデンサC1の共通接続点とは、スイッチSW3を介して接続自在になっている。演算増幅器21のアナログ出力信号Vo1は、後段のステージ11−2と3値化回路22にそれぞれ供給されるようになっている。
【0028】
また、スイッチSW1、SW2は、図示しない制御回路からのサンプリングパルスφ1によりその接点の開閉が制御され、スイッチSW3はその制御回路からのサンプリングパルスφ1を反転した制御信号φ2によりその接点の開閉が制御されるようになっている。
次に、3値化回路22の具体的な構成について、図3のブロック図を参照して説明する。
【0029】
3値化回路22は、図3に示すように、2つのコンパレータ221、222と、デコーダ223とから構成されている。
コンパレータ221は、その+入力端子に演算増幅器21からのアナログ信号Vo1が入力されるとともに、その−入力端子に正のしきい値電圧(1/4×Vref)が入力され、かつその出力がデコーダ223に出力されるようになっている。コンパレータ222は、その+入力端子に演算増幅器21からのアナログ出力信号Vo1が入力されるとともに、その−入力端子に負のしきい値電圧(−(1/4)×Vref)が入力され、かつその出力がデコーダ223に出力されるようになっている。
【0030】
デコーダ223は、コンパレータ221とコンパレータ222の出力との基づき、アナログ信号Vo1が(1/4×Vref)を上回る場合には「1」を出力し、アナログ信号Vo1が(1/4×Vref)と(−(1/4)×Vref)の間にある場合には「0」を出力し、アナログ信号Vo1が(−(1/4)×Vref)を下回る場合には「−1」を生成出力するようになっている。
【0031】
次に、上述の各ステージの具体的な構成について、図4の回路図を参照して説明する。なお、ステージ11−2〜11−kは、その各構成がいずれも同一である。
各ステージは、図4に示すように、前段のステージからのデジタル信号D(N−1)に基づき所定のアナログ基準電圧に変換する基準電圧生成回路31と、この基準電圧生成回路31からのアナログ基準電圧と前段のステージからのアナログ信号Vo(N−1)に基づき、後述のように期間Tの間にサンプル・ホールド動作を時分割で2回行い、各サンプル・ホールド動作ごとにアナログ信号Vo(N)をそれぞれ出力する信号処理回路32と、この信号処理回路32からのアナログ信号Vo(N)が出力されるたびに、「1」、「0」、または「−1」のデジタル信号D(N)を生成出力する3値化回路33とを、少なくとも備えている。
【0032】
なお、請求項にかかる基準信号生成手段が基準電圧生成回路31に相当し、信号処理手段が信号処理回路32に相当し、多値化手段が3値化回路33に相当する。
基準電圧生成回路31は、図4に示すように、スイッチSW11〜SW13を有し、前段のステージからのデジタル信号D(N−1)が「1」のときにはスイッチSW11のみの接点が閉となって正の基準電圧(+Vref)が選択され、それが「0」のときにはスイッチSW12のみの接点が閉となり零の電圧(0V)が選択され、それが「−1」のときにはスイッチSW13のみの接点が閉となり負の基準電圧(−Vref)が選択されるようになっている。
【0033】
信号処理回路32は、図4に示すように、スイッチSW21〜SW27と、コンデンサ(キャパシタ)C11、12と、演算増幅器34とから、少なくとも構成されている。
さらに詳述すると、入力端子34は、スイッチSW21とコンデンサC11を介して演算増幅器34の−入力端子と接続可能になっているとともに、スイッチSW22とコンデンサC12を介してその−入力端子と接続可能になっている。基準電圧生成回路31の出力端子は、スイッチSW24とコンデンサC11を介して演算増幅器34の−入力端子と接続可能になっているとともに、スイッチSW25とコンデンサC12を介してその−入力端子と接続可能になっている。
【0034】
また、演算増幅器34は、その−入力端子がスイッチSW23を介して接地自在になっているとともに、その+入力端子が接地されている。演算増幅器34の出力端子と、スイッチSW25およびコンデンサC12の共通接続点とは、スイッチSW26により接続自在になっている。同様に、演算増幅器34の出力端子と、スイッチSW24およびコンデンサC11の共通接続点とは、スイッチSW27により接続自在になっている。
【0035】
さらに、スイッチSW21〜SW23は、図示しない制御回路からのサンプリングパルス号φ11によりその接点の開閉が制御され、スイッチSW24、SW26はその制御回路からの制御信号φ21によりその接点の開閉が制御され、スイッチSW25、SW27はその制御回路からの制御信号φ22によりその接点の開閉が制御されるようになっている。
【0036】
演算増幅器34から出力されるアナログ信号Vo(N)は、後段のステージに供給されるとともに、3値化回路33に供給されるようになっている。
3値化回路33は、図3に示す3値化回路22と同様に構成されている。従って、この3値化回路33の場合には、コンパレータ221の+入力端子に演算増幅器34からのアナログ出力信号Vo(N)が入力されるとともに、その−入力端子に正のしきい値電圧(1/4×Vref)が入力される。また、コンパレータ222の+入力端子に演算増幅器34からのアナログ出力信号Vo(N)が入力されるとともに、その−入力端子に負のしきい値電圧(−(1/4)×Vref)が入力される。
【0037】
次に、このような構成からなる実施形態の各部の動作について、以下に説明する。
まず、図2に示すサンプルホールド回路11−1の動作例について、図5を参照して説明する。
図5(A)に示す周期がTからなるサンプリングパルスφ1が「H」レベルの場合には、図2に示すスイッチSW1、SW2の各接点が閉じ、アナログ入力信号VinによりコンデンサC1が充電され、サンプル動作が行われる。
【0038】
一方、サンプリングパルスφ1が「H」レベルから「L」レベルに変化すると、図5(B)に示す制御信号φ2が「L」レベルから「H」レベルに変化する。このため、スイッチSW1、SW2の各接点は開き、スイッチSW3の接点が閉じた状態になるので、コンデンサC1に蓄積された電荷に応じた出力電圧Vo1が演算増幅器21の出力端子に出力される(図5(C)参照)。
【0039】
この演算増幅器21からの出力電圧Vo1が3値化回路22に供給されると、3値化回路22は、その出力電圧Vo1に基づいて「1」、「0」、または「−1」の出力データD1を生成出力する(図5(D)参照)。
次に、図4に示すステージの動作について、図6〜図9を参照しながら説明する。
【0040】
図4に示すステージでは、図5(A)に示す周期がTの通常のサンプリングパルスφ1を基にして、図6(A)に示すような周期がT/2の高速のサンプリングパルスφ11を制御回路(図示せず)で生成し、そのサンプリングパルスφ11を用いて第1の期間T1と第2の期間T2に時分割でサンプルホールドを2回行い、その各出力を取り出すようにしている。
【0041】
具体的に説明すると、図6(A)に示すように、サンプリングパルスφ11が時刻t1において「H」レベルになると、第1の期間T1のサンプル動作が開始され、図4に示すスイッチSW21〜SW23の各接点が閉状態になる。このときの信号処理回路32の等価回路は、図7(A)に示すようになり、前段のステージからのアナログ信号Vo(N−1)によりコンデンサC11、C12がともに充電される。
【0042】
その後、図6(A)に示すように、サンプリングパルスφ11が「H」レベルから「L」レベルに変化すると、図6(D)に示すように、制御信号φ21が「L」レベルから「H」レベルに変化し、第1の期間T1のホールド動作が開始する。この結果、スイッチSW21〜SW23の各接点が開状態になるとともに、スイッチSW24、SW26の各接点が閉状態になり、このときの信号処理回路32の等価回路は、図7(B)に示すようになる。このホールド動作時には、演算増幅器34では、コンデンサC11の充電電圧と基準電圧生成回路31の出力との加減算が行われ、その加減算値がほぼ2倍に増幅されて出力される。
【0043】
ここで、演算増幅器34がほぼ2倍の増幅機能を持つのは、そのホールド動作時に、コンデンサC11が演算増幅器34の入力素子になるとともに、コンデンサC12が演算増幅器34の帰還素子になり、コンデンサC11、C12の容量がほぼ同一で、その容量比がほぼ1になっているからである。
その後、図6(A)に示すように、サンプリングパルスφ11が「L」レベルから「H」レベルに変化すると、図6(D)に示すように、制御信号φ21が「H」レベルから「L」レベルに変化し、第1の期間T1のホールド動作が終了すると同時に、第2の期間T2のサンプル動作を開始する。この結果、スイッチSW21〜SW23の各接点が再び閉状態になる。このときの信号処理回路32の等価回路は、図7(A)に示すようになり、前段のステージからのアナログ信号Vo(N−1)によりコンデンサC11、C12がともに充電される。
【0044】
引き続き、サンプリングパルスφ11が「H」レベルから「L」レベルに変化すると、図6(E)に示す制御信号φ22が「L」レベルから「H」レベルに変化し、第2の期間T2のホールド動作が開始する。この結果、スイッチSW21〜SW23の各接点が開状態になるとともに、スイッチSW25、SW27の各接点が閉状態になり、このときの信号処理回路32の等価回路は、図7(C)に示すようになる。このホールド動作時には、演算増幅器34では、コンデンサC12の充電電圧と基準電圧生成回路31の出力との加減算が行われ、その加減算値がほぼ2倍に増幅されて出力される。
【0045】
ここで、そのホールド動作時に、コンデンサC12が演算増幅器34の入力素子になるとともに、コンデンサC11が演算増幅器34の帰還素子になる。
このような動作により、第1の期間T1と第2の期間T2には、上記のようにサンプルホールド動作が時分割で2回行われ、これに応じて演算増幅器34からは図6(F)に示すような出力Vo(N)がそれぞれ出力される。そして、その出力Vo1に基づき、3値化回路33は図6(G)に示すタイミングで「1」、「0」または「−1」の3値化を行う。
【0046】
以上説明したように、この実施形態の各ステージでは、第1の期間T1と第2の期間T2に時分割でサンプルホールド動作を2回行い、その各ホールド動作時にコンデンサC11、C12の接続状態を図7の(B)または(C)のうちの1つから選択するが、積分性誤差が減少する方向にその選択を行うようにした点に特徴がある。
【0047】
換言すると、この実施形態では、その選択を、制御信号φ21により開閉制御されるスイッチSW24、SW26と、制御信号φ22により開閉制御されるスイッチSW25、SW27により行うが、その制御信号φ21、φ22を、前段のステージからのデジタル信号D(N−1)の論理状態に基づいて図8に示す規則により生成するようにし、後述のように積分性誤差をできるだけ排除するようにした点に特徴がある。
【0048】
図6(C)には、第1の期間T1と第2の期間において、前段のステージからのデジタル信号D(N−1)の値がとりうる組み合わせが全て書かれている。そこで、その各組み合わせにおける第1の期間T1と第2の期間T2の各ホールド動作時のコンデンサC11、C12の接続状態と、そのときの積分性誤差について説明する。
【0049】
まず、図6の時刻t1〜時刻t2において、第1の期間T1のホールド動作時に、図6(C)に示すようにデジタル信号D(N−1)が「1」のときには、制御信号φ21によりスイッチSW24、SW26が閉状態となり、コンデンサC11、C12の接続状態は図7(B)のようになる。このときの積分性誤差は、例えば図9(A)の誤差aのようになる。
【0050】
ここで、積分性誤差とは、演算増幅器34の出力と、この出力に対応する所定の出力コードとのずれをいう。
また、時刻t1〜時刻t2において、第2の期間T2のホールド動作時に、図6(C)に示すようにデジタル信号D(N−1)が「1」のときには、制御信号φ22によりスイッチSW25、SW27が閉状態となり、コンデンサC11、C12の接続状態は図7(C)のようになる。このときの積分性誤差は、例えば図9(B)の誤差a’のようになる。
【0051】
次に、時刻t2〜時刻t3において、第1の期間T1のホールド動作時に、図6(C)に示すようにデジタル信号D(N−1)が「1」のときには、コンデンサC11、C12の接続状態は図7(B)のようになり、このときの積分性誤差は例えば図9(A)の誤差aのようになる。一方、その第2の期間T2のホールド動作時に、デジタル信号D(N−1)が「0」のときには、コンデンサC11、C12の接続状態は図7(B)のようになり、このときの積分性誤差は例えば図9(B)の誤差b’のようになる。
【0052】
次に、時刻t3〜時刻t4において、第1の期間T1のホールド動作時に、図6(C)に示すようにデジタル信号D(N−1)が「0」のときには、コンデンサC11、C12の接続状態は図7(C)のようになるので、積分性誤差は例えば図9(A)の誤差bのようになる。一方、その第2の期間T2のホールド動作時に、デジタル信号D(N−1)が「1」のときには、コンデンサC11、C12の接続状態は図7(C)のようになるので、積分性誤差は例えば図9(B)の誤差a’のようになる。
【0053】
次に、時刻t4〜時刻t5において、第1の期間T1のホールド動作時に、図6(C)に示すようにデジタル信号D(N−1)が「0」のときには、コンデンサC11、C12の接続状態は図7(C)のようになるので、積分性誤差は例えば図9(A)の誤差bのようになる。一方、その第2の期間T2のホールド動作時に、デジタル信号D(N−1)が「0」のときには、コンデンサC11、C12の接続状態は図7(B)のようになるので、積分性誤差は例えば図9(B)の誤差b’のようになる。
【0054】
次に、時刻t5〜時刻t6において、第1の期間T1のホールド動作時に、図6(C)に示すようにデジタル信号D(N−1)が「0」のときには、コンデンサC11、C12の接続状態は図7(C)のようになるので、積分性誤差は例えば図9(A)の誤差bのようになる。一方、その第2の期間T2のホールド動作時に、デジタル信号D(N−1)が「−1」のときには、コンデンサC11、C12の接続状態は図7(C)のようになるので、積分性誤差は例えば図9(B)の誤差c’のようになる。
【0055】
次に、時刻t6〜時刻t7において、第1の期間T1のホールド動作時に、図6(C)に示すようにデジタル信号D(N−1)が「−1」のときには、コンデンサC11、C12の接続状態は図7(B)のようになり、このときの積分性誤差は例えば図9(A)の誤差cのようになる。一方、その第2の期間T2のホールド動作時に、デジタル信号D(N−1)が「0」のときには、コンデンサC11、C12の接続状態は図7(B)のようになり、このときの積分性誤差は例えば図9(B)の誤差b’のようになる。
【0056】
次に、時刻t7〜時刻t8において、第1の期間T1のホールド動作時に、図6(C)に示すようにデジタル信号D(N−1)が「−1」のときには、コンデンサC11、C12の接続状態は図7(B)のようになり、このときの積分性誤差は例えば図9(B)の誤差cのようになる。一方、その第2の期間T2のホールド動作時に、デジタル信号D(N−1)が「−1」のときには、コンデンサC11、C12の接続状態は図7(C)のようになり、このときの積分性誤差は例えば図9(B)の誤差c’のようになる。
【0057】
次に、このような動作により、基準電圧生成回路31の出力の切換え時において積分性誤差が低減でき、積分性誤差の不連続性が従来よりも減少できる場合について、図9を参照して説明する。
いま、最初の期間Tにおいて、例えば図6の時刻t1〜t2のように、第1の期間T1のホールド動作時の積分性誤差が図9(A)に示す誤差a、第2の期間T2のホールド動作時の積分性誤差が図9(B)に示す誤差a’になったものとする。次の期間Tにおいて、例えば図6の時刻t4〜t5のように、第1の期間T1のホールド動作時の積分性誤差が図9(A)に示す誤差b、第2の期間T2のホールド動作時の積分性誤差が図9(B)に示す誤差b’になったものとする。さらに、その次の期間Tにおいて、例えば図6の時刻t7〜t8のように、第1の期間T1のホールド動作時の積分性誤差が図9(A)に示す誤差c、第2の期間T2のホールド動作時の積分性誤差が図9(B)に示す誤差c’になったものとする。
【0058】
このような場合には、最初の期間Tから次の期間Tに移るときに基準電圧生成回路31の出力が切り換わって、積分性誤差が図9(A)(B)に示すように不連続となるが、その不連続時の誤差Δe1、Δe2は従来の場合に比べて小さくなる。また、その次の期間Tからさらに次の期間Tに移るときに、積分性誤差が図9(A)(B)に示すように不連続となるが、その不連続時の誤差Δe3、Δe4は従来の場合に比べて小さくなる。この結果、その不連続時にキャンセルされずに残る積分性誤差は図9(C)に示すようになり、従来に比べて大幅に減少可能となる。
【0059】
以上説明したように、この実施形態にかかるパイプライン型A/Dコンバータでは、各ステージ11−2〜11−kが、第1の期間T1と第2の期間T2に時分割でサンプルホールド動作を行い、その各ホールド動作時にコンデンサC11、C12の接続状態を図7の(B)または(C)のうちの1つから選択し、特に、基準電圧生成回路31の出力の切換え時における積分性誤差を低減(排除)できる方向にその選択を行うようにした。
【0060】
このため、この実施形態にかかるパイプライン型A/Dコンバータでは、各ステージ11−2〜11−kのコンデンサC11、C12の容量が同一でなくても、各ステージ毎の積分性誤差を従来よりも減少でき、その結果、A/D変換の分解能を16ビットというように大きくしても、高精度のA/D変換出力を得ることができる。
【0061】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明では、第1の期間と第2の期間には、前段のステージからのアナログ信号を第1と第2の受動素子でサンプルしたのち、その両受動素子のいずれか一方を演算増幅器の帰還素子として使用し、残余の受動素子にサンプルされたアナログ信号と、基準信号生成手段からの所定のアナログ基準信号の加減算を演算増幅器でそれぞれ行う信号処理手段を備えるようにした。
【0062】
そして、その信号処理手段は、第1の期間においては、前段のステージからのデジタル信号が第1の論理状態(例えば+1と−1の場合)の場合にはその帰還素子として第1の受動素子を使用し、そのデジタル信号が第2の論理状態(例えば0)の場合にはその帰還素子として第2の受動素子を使用し、一方、第2の期間においては、第1の論理状態の場合にはその帰還素子として第2の受動素子を使用し、第2の論理状態の場合にはその帰還素子として第1の受動素子を使用するようになっている。
【0063】
このため、本発明によれば、各ステージの積分性誤差が極力排除できるようになり、例えばA/D変換の分解能を16ビットというように大きくしても、高精度のA/D変換出力が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のパイプライン型A/Dコンバータの構成例を示す全体のブロック図である。
【図2】図1のサンプルホールド回路の構成例を示す回路図である。
【図3】図2の3値化回路の構成例を示すブロック図である。
【図4】図1の各ステージの構成例を示す回路図である。
【図5】図2のサンプルホールド回路の動作を説明する各部の波形図である。
【図6】図4のステージの動作を説明する各部の波形図である。
【図7】図4の信号処理回路の各動作状態における等価回路である。
【図8】各ステージに入力されるデジタル信号の状態と、それに対応して生成される制御信号の関係などを示す図である。
【図9】図4のステージにおける積分性誤差の一例を示す図である。
【図10】従来のパイプライン型A/Dコンバータの一例を示すブロック図である。
【図11】従来技術における積分性誤差の一例を示す図である。
【図12】従来技術における積分性誤差の他の例を示す図である。
【符号の説明】
SW1〜SW3 スイッチ
SW11〜SW13 スイッチ
SW21〜SW27 スイッチ
C1 コンデンサ
C11、C12 コンデンサ(キャパシタ)
11−1 サンプルホールド回路
11−2〜11−k ステージ
12 メモリ
13 平均化回路
21 演算増幅器
22 3値化回路
31 基準電圧生成回路
32 信号処理回路
33 3値化回路
34 演算増幅器
221、222 コンパレータ
223 デコーダ
Claims (4)
- A/D変換を行うためのステージを複数個縦列接続したパイプライン型A/Dコンバータであって、
前記ステージは、
前段のステージからのデジタル信号を所定のアナログ基準信号に変換する基準信号生成手段と、
演算増幅器、第1の受動素子、および第2の受動素子を含み、第1の期間と第2の期間には、前段のステージからのアナログ信号を前記両受動素子でサンプルしたのち、前記両受動素子のいずれか一方を前記演算増幅器の帰還素子として使用し、残余の受動素子にサンプルされたアナログ信号と前記所定のアナログ基準信号の加減算を前記演算増幅器でそれぞれ行う信号処理手段と、
前記演算増幅器からの第1の期間の出力と第2の期間の出力とをそれぞれ多値化する多値化手段とを含むとともに、
前記信号処理手段は、第1の期間においては、前段のステージからのデジタル信号が第1の論理状態の場合には前記帰還素子として前記第1の受動素子を使用し、前記デジタル信号が第2の論理状態の場合には前記帰還素子として前記第2の受動素子を使用し、一方、第2の期間においては、前記第1の論理状態の場合には前記帰還素子として前記第2の受動素子を使用し、前記第2の論理状態の場合には前記帰還素子として前記第1の受動素子を使用するようになっており、
さらに、前記各ステージの前記多値化手段で多値化された第1の期間の出力と第2の期間の出力とを平均化する平均化手段を備えたことを特徴とするパイプライン型A/Dコンバータ。 - 前記演算増幅器はホールド動作時においてほぼ2倍の利得を有し、
前記多値化手段は「+1」、「0」、または「−1」の3値のデジタル信号を出力し、
前記前段のステージからのデジタル信号が「+1」、「−1」の場合が前記第1の論理状態であり、そのデジタル信号が「0」の場合が前記第2の論理状態であることを特徴とする請求項1に記載のパイプライン型A/Dコンバータ。 - 前記受動素子はキャパシタからなり、
前記基準信号生成手段は、前記デジタル信号の「+1」、「0」、「−1」に応じて、前記アナログ基準信号として正の基準電圧(+Vref)、零の電圧(0V)、負の基準電圧(−Vref)を生成するようになっていることを特徴とする請求項2に記載のパイプライン型A/Dコンバータ。 - 前記多値化手段は、前記演算増幅器の出力を所定の正負のしきい値で3値化(+1、0、−1)するコンパレータ手段を含むことを特徴とする請求項3に記載のパイプライン型A/Dコンバータ。
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