JP4401048B2 - 情報送信チャネルのインパルス応答を推定する方法 - Google Patents

情報送信チャネルのインパルス応答を推定する方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、GSMシステムまたはその拡張であるEDGEシステムあるいはUMTSシステムにおけるセルラー移動電話の分野におけるデジタル情報の伝送に関し、より具体的には、チャネル推定(チャネル観測)、すなわち伝搬媒体を介して送信機から受信機に情報を伝送する送信チャネルのインパルス応答の推定に関する。
【0002】
【従来の技術】
伝搬媒体は、セルラー移動電話の場合にはエア(空気)であり、他の応用分野においては、たとえばケーブルのような他の伝搬媒体である。デジタル通信システムの性能を制約する1つの基本的要因は、当業者に周知の"符号間干渉(シンボル間干渉)"と呼ばれる現象である。このような符号間干渉は、受信機内において、送信された各シンボル(たとえば"ビット")が当初のシンボルの持続時間(これは、たとえば"ビット時間"と呼ばれる)より大きな時間量を発生させる原因となる。
【0003】
言い換えると、所与の瞬間に受け取られる信号は、1つのシンボル(たとえば"ビット")だけでなく、1シンボル持続時間(ビット時間)よりも長い持続時間に及ぶ他のシンボル(ビット)にも依存する。実際には、所与の瞬間に受信される信号は当該シンボルに従属するが、本質的に、隣接したシンボルにも従属する。
【0004】
符号間干渉の原因は多数ある。そのうちの1つは、信号が種々の障害物に反射または回析され、受信の際に相互に時間的にシフトしたいくつかの信号コピーが発生する場合の送信機と受信機の間の信号の多重伝搬によるものである。符号間干渉を含む通信の場合、送信チャネルのインパルス応答を推定するという問題が起きる。符号間干渉を排除し、送信されたシンボルに関して正しい判定を行う能力は、上記推定の品質に依存する。
【0005】
一般的に言えば、チャネルのインパルス応答の推定(単に"チャネル推定"と呼ばれる)は、特にGSM電話の分野においては、最小2乗法を使用し、(当業者に"トレーニング系列(training sequence)"と呼ばれている)送信機と受信機にとって既知の所定の符号系列を使用することによって、実行される。このトレーニング系列は、送信されるシンボルのそれぞれのバースト内に存在する。チャネル特性が十分にうまく推定された時、受信信号を判読するため、すなわち、バーストの状態で送信されたシンボルの論理値(データ)を復元するため、チャネルのインパルス応答の推定された係数が、"等化処理"と呼ばれる処理(これは、当業者に周知である処理である)において使用される。
【0006】
従来技術に従えば、等化処理に引き続いて、可能な範囲でエラー訂正をするように意図された"チャネル復号化"と呼ばれる処理動作が実施される。チャネル復号に続いて、従来技術に従えば、送信機内で当初符号化された情報(たとえば音声)を再構成するように意図された"ソース復号化"と呼ばれるもう1つの復号処理が行われる。
【0007】
前述のように、一般にバイナリ誤り率("binary error rate"の頭文字をとって以下"BER"と略称される)で表される受信品質は、チャネル推定の品質に大きく依存する。推定の品質に関する重要なパラメータの1つはチャネルの広がりにある。このチャネルの広がりは、推定されるチャネル応答の持続時間を表し、チャネルのインパルス応答の係数の数を確定する。
【0008】
実際には、電話が位置する環境に従って、経路の広がりは大きくもまた小さくもなる。丘陵の多い環境では最も広がった経路が見られ、チャネルのインパルス応答を正しく推定するためには7〜8個の係数が必要である。対照的に、静的経路すなわち反射のない直接経路と呼ばれるような広がりがあまりない経路の場合、送信チャネルのインパルス応答の良好な推定のために必要な係数の数は4〜5個だけでよい。さらに、セルラー移動電話システムが最も頻繁に使用される都市部の経路は、送信チャネルのインパルス応答を正しく推定するため5〜6個の係数が必要である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
チャネルのインパルス応答の推定は規則的間隔で実行され、この推定を実行するため、前もって定義されているチャネルの長さ、すなわち係数の数が、チャネルのインパルス応答に関して経験的に固定されている。例をあげれば、GSMの場合には、係数の数は、ETSI EN 300 910 V8.5 (July 2000)規格"Digital cellular telecommunications systems (Phase 2+);Radio transmission and reception"(GSM 05.05 Version 8.5.O Release 1999)に記述されているような最も厳しい推奨を満たすように最大値に固定される。換言すれば、送信チャネルのインパルス応答の係数の数は、広がりの最も大きい経路すなわち丘陵地域に対応する数であるように定められている。
【0010】
しかしながら、チャネルのインパルス応答の係数の数の値をその最大値に固定することは、最も広がりを持つチャネルについて等化を成功させることを可能にするが、都市部環境において見られるようなわずかな広がりを持つチャネルについては性能を大幅に劣化させる。本発明は、このような問題に解決策を与えようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、非常に広がっているマルチパス(複数経路)とわずかに広がっているマルチパスとを識別することによってチャネルの推定を向上させることを目的とする。言い換えると、本発明は、インパルス応答の係数の数をマルチパスのタイプに適応させることを提案する。
【0012】
この点に関し、本発明は、非常に広がっているマルチパスとわずかに広がっているマルチパスとを識別するため、送信チャネルの実際の特性の関数としてこのインパルス応答の係数の有効な数を求めることを提案する。特に、本発明は、当業者に"遅延スプレッド(遅延広がり)"として広く知られている送信チャネルの広がりのパラメータを使用することを提案する。
【0013】
このように、本発明は、情報送信チャネルのインパルス応答を推定する方法を提案する。本発明の一実施形態によると、インパルス応答の第1の推定値は、該インパルス応答の係数の数について予め定められた最大値を使用することによって生成される。次に、前記有効な係数の数を求めるため、送信チャネルの時間領域広がりパラメータが求められる。送信チャネルのインパルス応答の最終推定値は、前記係数の有効な数を考慮することによって生成される。
【0014】
この第1の推定値は、当業者に知られている任意の従来の方法によって生成される。実際には、該方法は、係数の最大の数、たとえば丘陵経路について使用される係数の数に対して実行される。言うまでもなく、時間領域広がりパラメータを求めた後、実際に丘陵経路が存在しているとわかれば、チャネルのインパルス応答の最終推定値の導出は、単に第1の推定値を保持するだけである。
【0015】
対照的に、時間領域広がりパラメータが、たとえば、都市部または静的タイプの環境において電話が使用されており、よって第1の推定で使用されている係数の数が不適切であることを示す場合には、インパルス応答の最終推定値は、この第1の推定値と異なるものとなる。この最終推定値を導出する方法には2つのバリエーションが可能である。
【0016】
第1のバリエーションに従えば、最終推定値は、係数の有効な数を使用して新しい推定値を生成することによって導出される。この新しい推定値もまた、当業者に周知な任意の従来の方法よって生成されることができる。
【0017】
第2のバリエーションに従えば、最終推定値は、前記係数の最大数の値と前記有効数との間の差分に等しい数の係数の取り消しを介して第1の推定値を補正することによって生成される。この場合、取り消される係数は、時間遅延の最も大きいバージョンの送信信号に関連付けられた係数である。
【0018】
言い換えれば、第1のバリエーションにおいては、インパルス応答の新しい推定値が、前記有効数にまで係数の数を減少させることによって生成されるのに対して、第2のバリエーションは、前記有効数(これは、いわゆる実際に必要な数である)を越える係数をゼロにする。
【0019】
係数の数を固定にすることを可能にするこの識別は、時間領域広がりパラメータの瞬間的な推定値に基づいて行われることができる。この推定値を平均したものを用いれば、一層信頼できる識別を実現することができる。
【0020】
上記の、インパルス応答の係数の有効な数を求めるための時間領域広がりパラメータの考慮は、たとえば、送信チャネルの異なる時間領域広がりにそれぞれ対応する所定のいくつかの広がりパラメータと、前記求められた時間領域広がりパラメータとを比較することによって、実施することができる。これは、該求められた時間領域広がりパラメータを、1つまたは複数の予め定められたしきい値と比較することに等しい。
【0021】
本発明は、また、情報送信チャネルのインパルス応答を推定する装置を提案する。該装置は、送信チャネルの実際の特性の関数として該チャネルのインパルス応答の係数の有効な数を求めることができる評価手段を含む処理ステージを備える。本発明の一側面によると、処理ステージは、係数の数について所定の最大値を使用することによって、送信チャネルのインパルス応答の第1の推定値を生成することができる第1の推定手段を備える。
【0022】
前記評価手段は、係数の有効な数を取得するため、送信チャネルの時間領域広がりパラメータを求めることができる。前記処理ステージは、さらに、係数の有効な数を考慮することによって、送信チャネルのインパルス応答の最終推定値を導出することができる第2の推定手段を備える。
【0023】
本発明の一側面によると、第2の推定手段は、係数の有効な数を使用して送信チャネルのインパルス応答の新しい推定値を生成することによって、最終推定値を導出することができる。本発明の他の側面によると、第2の推定手段は、前記係数の数の最大値と前記有効な数との間の差分に等しい数の係数の取り消しを介して第1の推定値を補正することができる補正手段を含む。該取り消される係数は、時間遅延の最も大きいバージョンの送信信号に関連付けられた係数である。
【0024】
本発明のさらに他の側面によると、前記評価手段は、送信チャネルの異なる時間領域の広がりにそれぞれ対応する所定のいくつかの広がりパラメータ値を保有するメモリと、前記求められた時間領域広がりパラメータを該メモリの内容と比較することができる比較器とを含む。
【0025】
本発明は、さらに、情報送信チャネルのインパルス応答を推定する前記装置を組み入れたセルラー移動電話を提供する。
【0026】
本発明は、また、プロセッサ上で実行される時に、前述のように規定された推定方法を実施するプログラム・コード手段を含むコンピュータ・プログラムを提案する。
【0027】
本発明は、さらに、プロセッサによって読み取られることが可能であり、該プロセッサによって実行される時に前述のように規定された推定方法を実施することができるプログラム・コード手段を含む媒体を提案する。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1を参照すると、たとえばGSMネットワークまたはその拡張であるEDGEにおけるセルラー移動電話の分野に本発明を適用すると仮定する。図1において、送信機EMは、送信されるべき有効なデータ、たとえば音声を受け取り、特に、データストリームに冗長性を導入することによって"チャネル符号化"と呼ばれる従来技術の処理動作を実行する符号化ユニットTCCを上流に含む。ユニットTCCの出力はバイナリ情報のブロックから成る。
【0029】
従来技術に従えば、ユニットTCCに続いて、当業者に周知の用語に従えばQPSKまたはQPSKタイプの直交変調を実行し、バイナリ信号をアナログ信号に変換する変調器MDが備えられる。次に、このアナログ信号は、アンテナANT1を経由して受信機に送られる前に、送信フィルタFEにおいてフィルタリングされる。送信機EMと、(本実施例ではセルラー移動電話である)受信機TPの間の伝搬媒体MPRは、本例においてはエア(空気)である。
【0030】
受信機すなわちセルラー移動電話TPは、基本的にその先端にアンテナANT2を含み、アンテナANT2は、アナログステージPANに接続されている。アナログステージPANは、受け取った変調信号をベースバンドにするための周波数変換を実行し、有効なスペクトル部分のみを残すようにフィルタリングを行う。変換器CANにおけるサンプリングおよびアナログ/デジタル変換の後、デジタルステージは、送信チャネルの推定値を生成し(これは処理ステージBSTで行われ、詳細は図2を参照して後述する)、この推定値によって符号間干渉を除去し(これは、ユニットBEQにおいて実行される等化を介して行われる)、一般的にエラー訂正すなわちたとえばビタビ復号器に基づく従来のチャネル復号化を実行する(これは、ユニットTDCで行われる)。
【0031】
本発明の目的のため、送信チャネルは、チャネル推定器の上流に位置するエレメントによって、すなわち、特にアナログ送受信デバイスと共に物理伝搬媒体MPRによって形成される。注意されるべき点であるが、チャネル推定器の上流であるがアナログ受信機ステージの下流で実行されるデジタル処理(たとえばフィルタリング処理)を考慮することも可能である。
【0032】
チャネルのインパルス応答は、実際には、送信機のインパルス応答、伝搬媒体のインパルス応答および受信機のインパルス応答の積である。全体としての送信チャネルのインパルス応答Hは、有効な数の複素係数hiを持つz-iの多項式である。これら係数の数は事前には不明である。複素係数のこの有効な数(以下、有効数と呼ぶ)は、信号伝搬環境(丘陵、都市環境など)に特に依存する。伝搬の観点からすれば、丘が多い環境は、都市部の環境と比較して、または反射のない静的経路と比較して最悪のケースである。
【0033】
本発明に従えば、図3に特に示されているように、全体としての送信チャネルのインパルス応答の第1の推定値H1が、たとえば丘陵経路のような最悪の伝搬ケースについての係数の最大数に対応する係数の数Nmaxを使用することによって、最初に推定される(ステップ30)。ここに記述される例においては、Nmaxは8に等しい。従って、H1(z)は、次の式(I)によって定義される。
【0034】
【数1】
H1(z)= h0 + h1-1 +....+ h7-7 (I)
この第1の推定値は、従来技術に従って生成される。一層詳細に述べれば、この第1の推定値が周知の"トレーニング済み(trained)"推定値であれば、すなわち、既知の値のビットの連なりによって形成されたトレーニング系列を使用していれば、受け取られる信号系列Rの各々は、次のマトリックス式(II)によって定義される。
【0035】
【数2】
R = S.H1 + N (II)
ただし、Sはトレーニング系列を表すマトリックスを指す。H1は、係数h0〜h7によって形成されるベクトルを表し、Nは、干渉および熱雑音を本質的に表す付加ベクトルである。
【0036】
この式を解く、すなわち全体としてのチャネルのインパルス応答H1の係数hiを推定する従来の方法は、最小2乗法を使用し、ベクトルNの(ユークリッドの)ノルムを最小にするベクトルとしてH1を求める。当業者には、ベクトルH1が次式(III)によって定義されることがわかるであろう。
【0037】
【数3】
H=(S*S)-1*R (III)
ただし、"*"は、共役複素数転置行列を示す。
【0038】
当然のことながら、全体としてのチャネルのインパルス応答の係数hiを推定するのに他のどのような方法を使用することも可能である。そのような方法は当業者に周知のものであるので、ここでのさらなる詳細な説明は行わない。
【0039】
また、"ブラインド(blind)"推定を使用することも可能である。これは、いかなる予め定められたトレーニング系列をも使用しない推定方法である。全体としてのチャネルのインパルス応答Hのブラインド推定値を生成することを可能にする種々の方法もまた当業者にとって既知である。なお、次の文献においてブラインド推定方法を参照することができる。
Jitendra K. Tugnait著"Blind Estimation of Digital Communication Channel Impulse Response", IEEE Transactions On Communications, Vol. 42, No. 2/3/4, February/March/April 1994。
【0040】
チャネル推定値は、ユニットBST(図2)において生成される。具体的に述べれば、第1の推定値は、ユニットBSTのサブユニットBST1において生成される。ハードウェアの観点からすれば、ユニットBSTは、その処理動作がソフトウェアによって実施されている信号処理プロセッサによって全体として形成されるユニットBST1において実行される。これらの処理動作はプログラム・コードの形態をとり、そのようなプログラム・コードを、これら処理動作の機能的定義に基づいて当業者は容易に書くことができる。プログラム・コード手段は、たとえばプロセッサに関連付けられた読み取り専用メモリに格納される。従って、ユニットBSTのハードウェア実現全体を特定用途向け集積回路(ASIC)の形態で実現することもできる。
【0041】
この第1の推定値H1が取得されたならば、チャネルのインパルス応答の係数の有効数N2が、送信チャネルの実際の特性すなわち移動電話が位置する実際の環境を評価手段MDT内で考慮することによって求められる。これを実行するため、評価手段MDTは、手段MDSにおいて、たとえば次式(IV)を使用して、送信チャネルの時間領域広がりパラメータdsの値を求める。
【0042】
【数4】
Figure 0004401048
ただし、"ave"は、次式(V)によって定義される:
【0043】
【数5】
Figure 0004401048
【0044】
この評価ステージ31が終了すると、評価手段MDTは、比較器CMPにおいて、時間領域広がりパラメータについて取得された値を、処理ステージBSTのメモリMMに格納されているいくつかの予め定められた広がりパラメータ値と比較する。たとえば、メモリMMは、"静的"マルチパスの広がりパラメータに対応する0.55、都市部タイプのマルチパスの広がりパラメータに対応する0.65、および丘陵のマルチパスの広がりパラメータに対応する1.43を記憶している。この比較の結果に従って、評価手段は、選択されたマルチパスのタイプの関数として、チャネルのインパルス応答の係数の有効数N2の値を求める。よって、値0.55が選択されたとすれば、係数の有効数N2は4に等しいとみなされる。都市部タイプの経路については6に等しいとみなされ、丘陵タイプの経路については8に等しいとみなされる。
【0045】
実際には、一層広い比較しきい値を使用することが可能である。たとえば、取得された値が0.6未満であれば、N2は4に等しいとみなされる。取得された値が0.6と1の間にあれば、N2は6に等しいとみなされ、取得された値が1を越えていれば、N2は8に等しい値とみなされる。
【0046】
例として、移動電話が、時間領域広がりパラメータを求めた瞬間に都市部タイプの経路上に位置していると仮定する。その結果、チャネルのインパルス応答は、6つの複素係数h0〜h5を持つz-iの5次多項式となる。
【0047】
次に、第2の推定手段BST2は、チャネルのインパルス応答の最終推定値H2を導出する(ステップ33)。この点に関し、2つのバリエーションが可能である。
【0048】
図4に示されている第1のバリエーションは、係数の有効数N2すなわち本例においては6個の係数を使用することによって、チャネルのインパルス応答の新しい推定値を生成することを含む。この新しい推定値は任意の従来技術手段によって生成されることができる。手段BST2は、手段BST1と同等の構成をなす手段を含むことができる。言うまでもないが、この新しい推定値について手段BST1を使用することも可能である。
【0049】
図5に示されている第2のバリエーションは、チャネルのインパルス応答H1の未使用係数をゼロにセットする、すなわち本例においては、信号の時間遅延の最も大きいバージョンに対応する係数h6およびh7をゼロにするステップを含む。このゼロ化は、たとえば補正手段MCRにおいて実行される。
【0050】
図6〜図8は、バイナリ誤り率(BER)の特性を示すグラフであり、(時間間隔あたり52.2Kビットの最大スループットの)EGPRS(すなわちEDGE)変調を使用する移動電話システムにおけるマルチパスの異なるタイプに関するEb/N0比を比較している。Ebはビットあたりのエネルギーを示し、N0はヘルツあたりのノイズの出力密度を示す。
【0051】
図6は、静的マルチパスに対応する。曲線C1は、係数の最大数を用いて従来技術に従って推定されたチャネルのインパルス応答に対応する。曲線C2は、係数の適応された数を用いて本発明に従って推定されたインパルス応答に対応する。図から観察されるように、本発明は、特に強い信号について、バイナリ誤り率を減少させることを可能にする。
【0052】
同様のことが、都市部タイプの経路について係数の適応された数を用いて本発明に従って推定されたインパルス応答に対応する図7の曲線C2についてもいえる。曲線C1は、係数の最大数を用いて推定されたチャネルのインパルス応答に対応する。
【0053】
最後に、図8の曲線C1は、丘陵タイプの環境において、係数の減少した数を用いて従来技術に従って推定された送信チャネルのインパルス応答を表す。これは、特に(たとえば、8PSK変調のように)Mが3以上のM次変調の場合、コストと複雑性のために、従来技術の所定の装置が、チャネルのインパルス応答の係数の最大数を経験的に減少させ、従って丘陵環境について不正確性をもたらすからである。図8の曲線C2は、同じ丘陵環境について、係数の適応された数すなわち本例では一層大きい数を用いて本発明に従って推定されたインパルス応答に対応する。
【0054】
多項式H2の係数が、電話TPの等化ユニットBEQ(図1)に使用される。等化処理において、次のような2つの主要クラスが考慮される。
【0055】
・符号ごとに検波を実行するクラスであって、たとえば、当業者にDFE(判定帰還型等化器:Decision Feedback Equalization)として知られているアルゴリズムで、その基本的側面は、たとえばJohn G. Proakis著"Digital Communications ", third edition, McGraw-Hill, Inc.に記載されている。
【0056】
・符号系列の検波を実行するクラスであって、たとえば当業者に既知のMLSE(最尤系列推定)またはDFSE(判定帰還型系列推定:Decision Feedback Sequence Estimation)のようなアルゴリズムである。MLSEは、上記John G. Proakis著の文献に、DFSEは、Hans C. Guren、Nils Holte著"Decision Feedback Sequence Estimation for Continuous Phase Modulation on a Linear Multipath Channel", IEEE Transactions on Communications Vol. 41 No. 2, February 1993に記載されている。
【0057】
符号ごとの検波アルゴリズムは、系列(シーケンス)による検波アルゴリズムと比較すると複雑性が非常に低いが、パフォーマンスが悪い。このため、系列による推定を使用する等化アルゴリズムが一般に選択される。等化の後、供給されたインパルス・バーストのビットは、チャネル復号ユニットTDCにおいて復号される。等化アルゴリズムおよびチャネル復号アルゴリズムは信号処理プロセッサによって実行される。
【0058】
本発明は、上述された実施形態に限定されるものではなく、それらのすべてのバリエーションを包含する。さらに、本発明に従った推定は、セルラー移動電話に組み込むことができるだけではなく、基地局の受信システムにも、または一層一般的にいえば、任意のデジタル情報受信機にも組み込むことができる。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、チャネルの推定を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に一実施形態に従う方法を実施することができる送信機および受信機の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の一実施形態に従う、図1の受信機における手段の一部の詳細を示すブロック図。
【図3】本発明の一実施形態に従う方法の流れ図。
【図4】本発明の一実施形態に従う、チャネルのインパルス応答の最終推定値を導出する本発明の第1のバリエーションを示すブロック図。
【図5】本発明の一実施形態に従う、チャネルのインパルス応答の最終推定値を導出する本発明の第2のバリエーションを示すブロック図。
【図6】静的タイプの経路に関する本発明の利点および効果を示すグラフ。
【図7】都市部タイプの経路に関する本発明の利点および効果を示すグラフ。
【図8】丘陵タイプの経路に関する本発明の利点および効果を示すグラフ。
【符号の説明】
EM 送信機
TP 受信機
BST 処理ステージ
BEQ 等化ユニット
BST1 第1の推定手段
BST2 第2の推定手段
MDT 評価手段
MM メモリ
MDS 時間領域広がりパラメータ算出手段
MCR 補正手段
CMP 比較器

Claims (8)

  1. 情報送信チャネルのインパルス応答を推定するための方法であって、
    前記情報送信チャネルのインパルス応答における係数の数が所定の最大値(Nmax)に等しい場合の該インパルス応答の値を、第1の推定値として求めるステップと、
    前記第1の推定値に基づいて、前記情報送信チャネルの時間領域広がりパラメータ(ds)を求めるステップと、
    前記時間領域広がりパラメータに基づいて、前記情報送信チャネルのインパルス応答において実際に必要な係数の数を有効数(N2)として求めるステップと、
    前記係数の数が前記有効数に等しい場合の前記インパルス応答の値を、最終推定値として求めるステップと、を含み、
    複数のタイプの情報送信チャネルのそれぞれの該タイプについて、前記時間領域広がりパラメータの値が対応づけられて記憶装置に記憶されており、前記情報送信チャネルのインパルス応答において実際に必要な係数の数を有効数として求める前記ステップは、前記求めた時間領域広がりパラメータを該記憶された時間領域広がりパラメータのそれぞれと比較することにより、前記情報送信チャネルのタイプを特定し、該特定したタイプの情報送信チャネルに対応づけられた有効数を、前記有効数として求め、
    前記時間領域広がりパラメータ(ds)を求める前記ステップでは、以下の式に従って該時間領域広がりパラメータ(ds)が計算されれ、ここで、hiは、前記第1の推定値の係数を表す、
    Figure 0004401048
    ただし、
    Figure 0004401048
    方法。
  2. 前記情報送信チャネルのインパルス応答における係数の数が所定の最大値(Nmax)に等しい場合の該インパルス応答の係数のうち、前記有効数と該最大値との間の差分に等しい数の係数をゼロに設定することにより、前記インパルス応答の最終推定値を求め、
    前記ゼロが設定される係数は、時間遅延の最も大きい送信信号のバージョンに関連付けられた係数である、請求項1に記載の方法。
  3. 情報送信チャネルのインパルス応答を推定する装置であって、
    前記情報送信チャネルのインパルス応答における係数の数が所定の最大値(Nmax)に等しい場合の該インパルス応答の値を、第1の推定値として求める手段と、
    前記第1の推定値に基づいて、前記情報送信チャネルの時間領域広がりパラメータ(ds)を求める手段と、
    前記求めた時間領域広がりパラメータに基づいて、前記情報送信チャネルのインパルス応答において実際に必要な係数の数を有効数(N2)として求める手段と、
    前記係数の数が前記有効数に等しい場合の前記インパルス応答の値を、最終推定値として求める手段と、を備え、
    前記時間領域広がりパラメータを求める手段は、さらに、複数のタイプの情報送信チャネルのそれぞれの該タイプについて、前記時間領域広がりパラメータの値が対応づけられて記憶されるメモリと、前記求めた時間領域広がりパラメータを該記憶された時間領域広がりパラメータのそれぞれと比較する比較器とを有しており、該比較により、前記情報送信チャネルのタイプを特定し、該特定したタイプの情報送信チャネルに対応づけられた有効数を、前記有効数として求め、
    前記時間領域広がりパラメータ(ds)を求める前記手段は、以下の式に従って該時間領域広がりパラメータ(ds)を計算し、ここで、hiは、前記第1の推定値の係数を表す、
    Figure 0004401048
    ただし、
    Figure 0004401048
    装置。
  4. 前記最終推定値として求める前記手段は、前記情報送信チャネルのインパルス応答における係数の数が所定の最大値(Nmax)に等しい場合の該インパルス応答の係数のうち、前記有効数と該最大値との間の差分に等しい数の係数をゼロに設定することにより、前記インパルス応答の最終推定値を求め、
    前記ゼロが設定される係数は、時間遅延の最も大きいバージョンの送信信号に関連付けられた係数である、請求項3に記載の装置。
  5. 請求項3または請求項4に記載の装置を組み入れたデジタル情報受信機。
  6. セルラー移動電話からなる請求項5に記載のデジタル情報受信機。
  7. プロセッサ上で実行される時、請求項1または請求項2に記載の方法を実施するプログラム・コード手段を含むコンピュータ・プログラム。
  8. プロセッサによって読み取られることが可能であり、該プロセッサによって実行される時に請求項1または請求項2に記載の方法を実施することができるプログラム・コード手段を含む媒体。
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