JP4411706B2 - 被覆粒状肥料用コ−ティング材及びそれを使用した被覆粒状肥料 - Google Patents

被覆粒状肥料用コ−ティング材及びそれを使用した被覆粒状肥料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性と光分解性を併せ持つ樹脂を主成分とする粒状肥料用コーティング材及びそれを使用して被覆された粒状肥料に関する。更に詳しくは、本発明は、土壌中にて肥料成分の溶出が制御され、且つコーティング材の皮膜が土壌内外で分解することにより生態系に蓄積することがない被覆粒状肥料とそのために使用するコ−ティング材に関する。
【0002】
【従来の技術】
土壌中に施肥された肥料成分の溶出を物理的に制御するために、粒状肥料の表面を高分子を用いた皮膜で被覆する検討が広く実施されてきた。特に、特公昭54−3104、特公昭60−3040及び特公昭60−37074に開示されているポリオレフィン樹脂を主材料とする皮膜材を用いた被覆肥料は、溶出制御性が良好で実用化に至っている。被覆材に低透湿性のポリオレフィン樹脂を使用すると、直線型溶出タイプ及びシグモイド型溶出タイプ等の様々な溶出タイプを創製可能であり、且つ温度と水分以外の土壌条件に溶出が左右されないので、作物の生育に合わせた施肥管理が可能となる。
本発明者等は、先にオレフィン系のホモポリマーをベ−スにエチレン−α-オレフィンコポリマ−を組み合わせることにより、薄い皮膜で40日以上の溶出防止期間を有するようなS型被膜の形成を提案した(特開平10−203886)が、ポリマーを混合物とするため、製品の安定性や2種類以上のブレンド操作の煩雑さ等にやや問題があった。
ところで、近年、ポリオレフィン樹脂が非分解性のため、被覆肥料が投入された圃場での皮膜殻の蓄積、さらには圃場域外への流出と生態系での蓄積が問題点として指摘されている。
【0003】
そこで、ポリオレフィン樹脂に崩壊性・分解性を付与するために種々の物質を添加する技術が提案されているが、各々に問題があり、満足すべきものが得られていない。
例えば、被覆材としてのポリオレフィン樹脂に光分解性樹脂を添加して皮膜に崩壊性を付与する技術が提案され、その光分解性樹脂としてジエン系重合体(特公平6−99207)、ゴム系樹脂(特公平5−30798)、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体(特公平2−23515)、ジエン系ブロック共重合体(特開平3−75288)が開示されている。しかし、これらは主被覆材であるポリオレフィン樹脂それ自体の分解を促進するものではないこと、及び露光条件下での分解のため、圃場での蓄積及び圃場域外への流出を回避できる物では無い欠点がある。
【0004】
そこで、ポリオレフィン樹脂に光分解促進剤として、特定の有機金属錯体を添加し皮膜の強度を低下させ崩壊に至らしめる技術が開示された(特開平5−201786)が、これも露光条件下での崩壊のため、圃場での蓄積及び圃場域外への流出を回避できる物では無い欠点を有している。
また、低分子量ポリオレフィンを必須成分とし、これに有機金属錯体を添加して土中崩壊性を高めた技術も開示された(特開平10−231190)が、耐磨耗性が弱いため溶出制御性が不安定になる欠点がある。
【0005】
更に、ポリオレフィン樹脂に生分解性資材を添加し皮膜を崩壊に至らしめる技術が提案され、その際、生分解性資材として糖重合体及びその誘導体(特開平6−87684)、脂肪族ポリエステル(特開平9−263476)を使用することが開示されている。しかしながら、主被覆材であるポリオレフィン樹脂の分解を促進するものではないこと、加えて生分解性資材の増加に伴う溶出パターンの促進と土壌中での溶出制御性が不安定である問題点を有している。
ポリオレフィン樹脂に酸化促進物質・生分解資材・昇華性物質・水溶性物質から選ばれる2種以上の物質を添加し皮膜を崩壊に至らしめる技術が開示された(特開平6−144981、特開平7−48194、特開平9−309783、特開平9−309784、特開平10−1386)が、皮膜組成が複雑になること、保存安定性が悪い、溶出制御性が不安定になる等により実用化に至っていない。
上記した技術の欠点を補うために2層以上の皮膜で粒状肥料を被覆する技術が開示された(特開平7−133179、特開平9−194280、特開平9−194281、特開平10−25179、特開平10−218693、特開平10−231191)が、被覆操作が煩雑になる等により実用化に至っていない。
【0006】
一方、被覆材自体に分解性を付与する技術も種々開示されているが、各々に欠点があり、充分な問題解決に至っていない。
例えば、光分解性樹脂を皮膜主成分とする技術が提案され、その光分解性樹脂としてエチレン・一酸化炭素共重合体(特公平2−23516)、ビニルケトン共重合体(特公平7−506)、オレフィン類・一酸化炭素・オレフィン性不飽和化合物共重合体(特開平6−56568)を用いることが示されているが、これらは露光条件下での分解のため、圃場での蓄積及び圃場域外への流出を回避できる物ではなく、また保存中における皮膜変質によって溶出制御性が不安定になる問題がある。
また、生分解性樹脂を皮膜主成分とする技術も提案され、その生分解性樹脂としては種々の脂肪族ポリエステル類(特公平2−23517、特公平7−505、特開平4−89384、特開平5−85873、特開平7−33577、特開平7−61884、特開平7−315976、特開平8−157290、特開平9−24977、特開平10−7484)が知られているが、これらは土壌中で生分解により溶出が不安定なこと、透湿性が高いため溶出停滞期を持つ溶出パターンを設定できない等の問題点がある。
【0007】
ここで、「土壌中での溶出制御性が良好である」とは、土壌中の水分と温度条件のみで溶出を予測することが可能で、作物の生育に合わせた施肥管理を可能とすることを意味する。また、「溶出制御性が不安定である」とは、皮膜の崩壊性・分解性が水分と温度のみならず、微生物活性・pH等に影響されるので変化の予測が困難であり、よって分解に伴う溶出促進も予測困難であるので、土壌中での溶出を制御するに至っていないことを意味する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以下の3つの課題を満たし、実質的に皮膜の非崩壊性による環境負荷を回避することができ、しかも各種溶出パターンの溶出制御性が良好な被覆粒状肥料及びそのための被覆用コーティング材を提供することにある。
本発明の第1の課題は、被覆粒状肥料の皮膜の成分である高分子を土壌中での生分解により圃場での蓄積を回避し、分解に伴い皮膜が容易に崩壊することで中空粒子の浮上や圃場域外への流出を抑制し、さらに、流出した皮膜は生態系の微生物や紫外線により分解させることで、生態系に蓄積させないことである。
【0009】
第2の課題は、被覆材成分を調整することにより、種々のタイプの溶出パターンを創製することである。特に、シグモイドタイプの溶出パターンを得るためには、被覆処理により適度の溶出停止性を付与することが必要である。例えば、樹脂単独の被覆材からなる被覆肥料の場合には、その溶出速度、即ち、25℃で100日後の溶出率が好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下、特に好ましくは10%以下である。溶出停止後の溶出速度の加速及び溶出パターンの直線化は、従来の方法、例えば無機フィラーや界面活性剤等の皮膜内への添加によって調整される。
さらに、本発明の第3の課題は、土壌中での溶出制御性が良好で且つ保管中に皮膜の変質により溶出制御性を変化させないことである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の課題を解決するために、シグモイドタイプの溶出パターンが可能なポリエチレン系樹脂の被覆材としての特性について鋭意検討した結果、土中で生分解を受けつつあるポリエチレンには1640cm-1に吸収が見られ、それは主鎖中に二重結合が生じ、そこがトリガ−になって生分解が進行すると推定されていること(日本ゴム協会誌、67 (6) 448-455 ('94) など)から、ポリエチレン樹脂の主鎖中に予め二重結合を導入すれば、生分解性が促進され、しかも尿素などの溶出性に関する特性はポリエチレン樹脂と同様に維持されるとの想定に基づき本発明に到達した。
【0011】
即ち、上記課題を解決するための本発明の要旨は、主鎖中に、環状構造を有せず、主鎖中の炭素数1000個当たり2〜100個の炭素不飽和二重結合並びに2〜70個の短鎖アルキル分岐を含有するエチレンと共役ジエン化合物及びα−オレフィンとの共重合体からなる生分解性ポリエチレン系樹脂を皮膜の主高分子成分となすことを特徴とする被覆粒状肥料用コ−ティング材及び該コ−ティング材で粒状肥料が被覆された被覆粒状肥料に存する。
【0012】
本発明の好ましい態様としては、主鎖中に、環状構造を有せず、主鎖中の炭素数1000個当たり2〜100個の炭素不飽和二重結合並びに2〜70個の短鎖アルキル分岐を含有するエチレンと共役ジエン化合物及びα−オレフィンとの共重合体からなる生分解性ポリオレフィン系樹脂のメルトインデックスが0.01〜1000であり、又該ポリエチレン系樹脂において、共役ジエン化合物は1,3−ブタジエンであり、短鎖アルキル分岐は炭素数1〜8アルキル基であるコ−ティング材及び該コ−ティング材で粒状肥料が被覆された被覆粒状肥料が挙げられる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明の被覆粒状肥料用コ−ティング材の一成分は、主鎖中に、主鎖中の炭素数1000個当たり2〜100個の炭素不飽和二重結合並びに2〜70個の短鎖アルキル分岐を有するポリエチレン系樹脂である。
本発明のポリエチレン系樹脂は、エチレンと共役ジエン化合物及びα−オレフィンとを共重合するによって得られる。
共役ジエン化合物としては、1,3-ブタジエン、イソプレン、2-エチル-1,3-ブタジエン、1,3-ヘキサジエンなどを挙げることができるが、価格や反応性の点で、1,3-ブタジエン、イソプレンが好ましく、特に1,3-ブタジエンが好ましい。
【0014】
共役ジエン化合物とエチレンとのモル比は、特に制限されないが、主鎖中に主鎖中の炭素数1000個当たり2〜100個の炭素不飽和二重結合を含有させるように選定することが必要である。
主鎖中の炭素不飽和二重結合の数は、主鎖中の炭素数1000個当たり3〜80個が好ましく、より好ましくは、5〜70個、更に好ましくは7〜50個含有することであり、特に好ましくは10〜35個であり、15〜25個含有することが最も好ましい。
炭素不飽和二重結合の数が主鎖中の炭素数1000個当たり2個より少ない場合は、分解性が悪く、100個より多い場合は、結晶性が低下したり、安定性が悪化し、また被覆後の肥料の溶出速度が大きくシグモイド型の溶出パターンを創製出来ないし、生分解性が速いため土壌溶出制御性が不安定になるので好ましくない。
【0015】
本発明のポリエチレン系樹脂はその主鎖に所定個数の短鎖アルキル分岐を有することが必須であり、短鎖アルキル分岐の側鎖としてのアルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基であり、具体的にはメチル、エチル、n-ブチル、n-ヘキシル、イソブチルなどのアルキル基を挙げることができるが、エチル以上の高級アルキル基が好ましい。このようなアルキル基の導入は、それぞれ、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、4-メチルペンテン-1などのα−オレフィンをエチレン及び共役ジエン化合物と共に共重合させることにより行うことが出来る。α−オレフィンとエチレンとのモル比は、特に制限されないが、主鎖中に主鎖中の炭素数1000個当たり2〜70個の短鎖アルキル分岐を有するように選定することが必要である。
短鎖アルキル分岐の数は、主鎖中の炭素数1000個当たり2〜70個であり、5〜40個が好ましい。特に8〜30個が好ましく、15〜25個が最も好ましい。2個を下回ると強度やタフさ(強靱性)がさほど顕著に現れないため、成膜時に欠陥が発生し初期溶出が増加するので好ましくなく、他方70個を越えると、結晶化度が低下して、肥料などの溶出が早くなり過ぎ好ましくない。
【0016】
本発明のポリエチレン系樹脂は、主鎖に側鎖としての短鎖アルキル基が導入され分岐構造を有するので、結晶化度が適当に低下され、強度が高まり、タフさ(強靱性)も高められるために、該樹脂を含むコーティング材の成膜性及び皮膜強度が高まり溶出制御が容易となる。例えば、当該樹脂を皮膜材に使用した場合、40日程度、肥料などが溶出しない理想型を創ることを可能にするのである。また生分解性が向上するという観点からも本発明の樹脂は重要である。即ち、短鎖アルキル側鎖をポリエチレン系樹脂に導入しておくことにより、タフマ−のような分岐の多い衝撃改良材や、エラストマーやゴムなどの衝撃改良材を添加しなくても分解性がよくなる点である。
【0017】
共重合反応に使用する触媒としては、この種の重合反応に使用されている公知の触媒から適宜選定し、使用することができ、具体的にはZiegler触媒(IV族の遷移金属化合物(例えばTi、Zr、Hfなどの化合物)と有機Al化合物の組み合わせ)や高活性なZiegler触媒(Mg、V、SiO2などに担持したタイプ、共晶タイプなど)が挙げられ、これらは例えば、特開昭55−82104,特開昭55−82105、特開昭56−61406、特開昭57−131206、特開昭58−1708,特開昭64−54007などに多数開示されている。更に、他の触媒としてPhillips触媒(Cr系)、Standard Oil触媒(Mo系)、Kaminsky触媒、Brookhart触媒なども使用することができる。これらの触媒中、Ziegler触媒や高活性なZiegler触媒を用いるのが、共役ジエン化合物が優先的に1,4-付加し、活性もある程度示すので好ましく、特に活性の面から、高活性なZiegler触媒を用いるのが好ましい。
【0018】
共触媒には有機Al化合物を使用するのが好ましく、有機Al化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライドなどを挙げることができる。このような触媒を用いた場合の重合反応の圧力は、2気圧から100気圧、特に5気圧から30気圧で重合を行うのが好ましい。
重合反応の形式は特に制限されず、不活性炭化水素溶媒下でスラリー重合を行ってもよいし、溶液重合を行ってもよい。また無溶媒下で気相重合を行ってもよい。スラリー重合がプロセス的に簡便で少量スケ−ルには適しており、スラリ−重合の場合は50〜90℃で重合を行うことが好ましい。
又、他の方法としてパ−オキサイドを触媒として使用し、数100〜数1000気圧の高圧下で重合させることにより本発明のポリエチレン系樹脂を製造することが可能である。
【0019】
ポリエチレン系樹脂の分子量に特に制限は無いが、MI(メルトインデックス)が0.01〜1000であるものが好ましい。MIが1000より大きいと皮膜の強度が低下して好ましくない。他方、MIが0.01より小さいと被覆するための溶媒に溶解し難くなって好ましくない。
MIとしては、0.1〜100が好ましく、特に0.5〜50が好ましく、1〜30が最も好ましい。
分子量の調整は、重合反応時にH2 ガスを導入することにより行うことができる。
また、上記のエチレン、共役ジエン化合物及びα−オレフィンを共重合させる以外の製法として、ポリブタジエン、ポリイソプレン、IIR(イソブチルゴム)などの主鎖中に二重結合を有するゴムを部分水添する方法も有り、この方法で製造してもよい。
【0020】
本発明のポリエチレン系樹脂は、主鎖中に特定量の不飽和二重結合及びアルキル側鎖を有するので、この樹脂を有効成分とするコーティング材で粒状肥料を被覆すると、皮膜は生分解され、しかも直線タイプ及びシグモイドタイプの溶出パターンが得られるので作物の生育に適合した溶出パターンが得られ、土壌中での溶出制御性も良好で、且つ保管中に溶出制御性が変化しない利点を有する。
本発明のポリエチレン系樹脂の分解促進の機構は、炭素不飽和結合部位がトリガーとなり、微生物酵素及び酸素の存在下に酸化分解を受けて低分子化され、また光を受けてラジカルが発生し、これにより主鎖切断が起こり低分子化されるが、これら低分子化された炭化水素は、従来の機構で更に分解されるものと推定される。
この様に、本発明のポリエチレン系樹脂を構成成分とするコーティング材からなる皮膜は、ポリエチレン系樹脂そのものが分解されるので、従来、種々のポリオレフィン樹脂、光分解性樹脂、生分解性樹脂の1種以上に分解促進剤を組合せた皮膜材とはその分解機作が相違し、従って、該ポリエチレン系樹脂で被覆された粒状肥料の特性も異なることは明らかである。
【0021】
本発明のポリエチレン系樹脂を粒状肥料の被覆材として使用する場合は、その目的を損なわない範囲で、従来の樹脂被覆肥料と同様種々の添加物を用いて肥料を溶出制御するとともに皮膜の分解性を高めることができる。
分解性を促進する目的で、例えば、光分解性資材、生分解性資材、酸化促進物質、光分解促進物質、昇華性物質等の1種以上を加えることができる。
光分解性資材として特に制限は無いが、感光性官能基が導入された樹脂、例えば、一酸化炭素とオレフィン類の共重合体、ジエン系重合体、ビニルケトン系共重合体が好ましい。添加量としては、溶出制御性・分解性・保存安定性を考慮して適宜決定されるが、概ね高分子全体に対して80(重量)%以下、好ましくは50(重量)%以下、特に好ましくは20(重量)%以下である。添加方法としては、本発明のポリエチレン系樹脂に必要があれば相溶化剤を用いて均一に分散させても良いし、微粉末状で分散させても構わない。
【0022】
生分解資材として特に制限は無いが、糖重合体及びその誘導体、蛋白質及びその誘導体、脂肪族ポリエステル、芳香族又は環状エーテルが導入された脂肪族ポリエステル、水溶性樹脂(例えばポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリリンゴ酸)が好ましい。添加量としては、溶出制御性・分解性・保存安定性を考慮して適宜決定されるが、概ね高分子全体に対して50(重量)%以下、好ましくは20(重量)%以下、特に好ましくは10(重量)%以下である。添加方法としては、本発明のポリエチレン系樹脂に必要があれば相溶化剤を用いて均一に分散させても良いし、微粉末状で均一分散させても構わない。
【0023】
酸化促進物質・光分解促進物質として特に制限はないが、炭素不飽和結合を有する不飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸エステル、油脂類、遷移金属、遷移金属化合物、遷移金属錯体が好ましい。添加量としては、溶出制御性・分解性・保存安定性を考慮して適宜決定されるが、概ね高分子全体に対して20(重量)%以下、好ましくは10(重量)%以下、特に好ましくは5(重量)%以下である。
昇華性物質として特に制限は無いが、ナフタリン、樟脳、硫黄が好ましい。添加量としては、溶出制御性・分解性・保存安定性を考慮して適宜決定されるが、概ね高分子全体に対して等量以下、好ましくは50(重量)%以下、特に好ましくは20(重量)%以下である。
また、保存安定性を考慮して、光安定剤を添加しても構わない。
【0024】
溶出パターンを調整する目的でポリオレフィン重合体(例えばポリエチレン)又はポリオレフィンを含む共重合体(例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体)の1種以上を添加できる。特に、低分子量のポリエチレンワックスは生分解性があるので好ましい。添加量としては、溶出制御性・分解性・保存安定性を考慮して適宜決定されるが、概ね高分子全体に対して等量以下、好ましくは50(重量)%以下、特に好ましくは20(重量)%以下である。
同様に、溶出パターン調整の目的で、界面活性剤類も添加できる。界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤の何れをも使用できるが、例えばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン界面活性剤が好ましい。添加量は、目的とする溶出パターンに合わせて適宜選択される。
【0025】
更に、高価な樹脂の使用量の低減及び温度依存性を低減する目的で、例えば、無機粉末を添加するのが好ましい。特に、天然無機鉱物は、相当量添加しても溶出制御性が高く、かつ安価であるので好ましい。具体的には、タルク、マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、金属箔、黒鉛、板状酸化鉄、板状水酸化アルミ、ハイドロタルサイト、炭カル、シリカ、クレーなどが挙げられ、特にタルク、マイカ、炭カル、クレーなどが好ましい。これらの天然無機鉱物は、いずれも添加量があまりに多すぎると、皮膜強度ならびに破砕強度が極端に低下し、溶出制御性が低下する。このような観点から、皮膜中の天然無機鉱物の添加割合は、重量で0〜80%の範囲である。また、いずれの天然無機鉱物も皮膜の連続性を阻害せず、かつ粉体同士が凝集を起こさない粒径、例えば膜厚の1/2以下の粒径が好ましい。
また、皮膜中に他の肥料成分、農薬、植物生理活性物などの農業資材、または植物の生長促進物質を混用することができる。それらの資材の皮膜中の分散位置に特に制限はない。
【0026】
本発明に使用される粒状肥料は特に限定されないが、溶出制御の観点から肥料成分が高く肥効が最も顕著に現れる尿素は特に好ましい。また、肥料自体に溶出制御性のあるイソブチリデンジウレアなどの化合物型緩効性肥料を用いるとさらに多様な溶出制御性が得られるので好ましい。さらに、粒状肥料の形状の真球性が高い場合、被覆均一性が高くなるので好ましい。
【0027】
本発明肥料の被覆率は特に限定されるものではなく、経済性、溶出制御性及び分解性を考慮して適宜選択される。経済性を高めるためには、被覆率が低いほうが有利である。一方溶出制御性を高めるには、被覆率が高いほうが有利である。皮膜の分解性を高めるためには、比表面積の小さい低被覆率が有利である。これらを考慮すると、被覆される肥料の重量に対して、被覆率が重量で4〜30%、好ましくは6〜20%の範囲である。最も好ましくは、8〜15%の範囲である。
溶出制御性、分解性、保存安定性、皮膜強度を考慮して、皮膜は2層以上の構造でも構わない。
【0028】
皮膜の被覆方法は特に限定されず、常法により行うことができるが、使用される被覆材を溶剤に溶解または分散して肥料に噴霧後、瞬時に溶剤を乾燥させると均一被覆性が高くなるので好ましい。
使用される溶媒は被覆材を溶解または分散させ、速乾性のものであれば良い。具体的には、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素化炭化水素、ヘキサン、ヘプタン等の飽和炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が用いられる。
【0029】
【実施例】
以下、製造例及び実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、下記製造例における生成ポリマーの基礎物性及び生分解性は下記の方法で測定した。
I.基礎物性の測定
(1)MI測定:ASTM−1238に基づき、メルトインデクサーを使用して190℃にて測定した。
(2)主鎖中の二重結合導入量及びエチル分岐数の測定:500MHz−H-NMRを使用して測定した。
(3)1,4-付加量は( 1,2-付加品の有無も含め)13C−NMRで確認した。
【0030】
II.生分解性の測定
▲1▼ 試料作成法
圧力プレス機にて各生成ポリマーのフィルム(厚さ30μm)を調製後10cmに切断し供試品とした。
Figure 0004411706
【0031】
製造例
(I)ポリエチレン系樹脂の製造
[製造1]
1リットルのオ−トクレ−ブに380mlのn-ヘキサンを仕込み、1,3-ブタジエンと1-ブテンを所定量仕込んだ。触媒として、特開昭55−82104及び特開昭55−82105に記載されているSiO2に担持されたTiのTHF錯体を担持した高活性Ziegler触媒を使用した。共触媒の有機Al化合物としては、トリエチルアルミニウム化合物を使用した。これらの触媒を仕込んだ後、H2 ガス、更にエチレンを導入した。70℃で1時間反応させた。H2 ガス量で分子量を調整し、H2とエチレンの合計圧として、圧力は10気圧を保った。
重合終了後、生成ポリマ−が130g得られた。得られたポリマーのMIは8.6であった。又、NMRでポリマーの主鎖中の二重結合導入量及び分岐した側鎖の数を測定したところ、二重結合導入量は8個(炭素数1000個当たり)、エチル分岐数は7個(炭素数1000個当たり)であった。
【0032】
[製造2]
2リットルのオ−トクレ−ブを使用し、触媒として特開昭56−61406や特開昭57−131206に記載されているMg−Ti共晶タイプの高活性Ziegler触媒を使用し、1,3-ブタジエン量を増量して3時間重合反応を行った以外は[製造1]と同様にして重合を行った。重合終了後、生成ポリマ−は243g得られ、そのMIは14であった。又、ポリマー中の炭素数1000個当たり二重結合導入量は16個であり、エチル分岐数は17個導入されていた。
【0033】
[製造3]
触媒として、VとTi共晶タイプの触媒(高活性Ziegler触媒)を使用した以外は[製造1]と同様にして重合反応を行った。
重合終了後、生成ポリマ−は114g得られ、そのMIは32であった。又、ポリマー中の炭素数1000個当たり二重結合導入量は13個であり、エチル分岐数は12個導入されていた。
【0034】
得られたポリマー(樹脂)及び対照ポリマーの基礎物性及び生分解性を纏めて表−1及び表−2に示す。
尚、対照のポリマーは市販品のポリエチレン(日本ポリケム社製)及びポリイソプレン(日本ゼオン社製)を使用した。
【表1】
Figure 0004411706
【0035】
生分解性試験結果
【表2】
Figure 0004411706
【0036】
実施例1〜5及び比較例1〜2
(1)被覆肥料の製造
表−1に示した生成ポリマー(樹脂)及び対照ポリマーを用い、各々をトルエンに溶解した噴霧液(濃度5w/v%、100℃)2kgを、粒径2〜4mmの尿素粒1kgに図1に示す噴流式コーティング装置を使用し、乾燥風(流動ガス)温度90℃、風量100m32/時間で噴霧被覆し、被覆率10%(対肥料)の被覆粒状肥料を得た(実施例1〜3、比較例1〜2)。
さらに、表−1の樹脂種▲2▼ を用い、皮膜組成が樹脂種▲2▼/タルク/エチレンノニルフェニルエーテルエチレンオキサイド8モル付加物=6/4/0.4(実施例4)、樹脂種▲2▼/クレイ/エチレンノニルフェニルエーテルエチレンオキサイド8モル付加物=5/5/0.1(実施例5)に調整した以外は上記と同様の方法で被覆粒状肥料を得た。
なお、図1の装置においては、槽内に充填した粒状肥料1を、下部から導入される乾燥風(流動ガス)3で噴流させながら、これに皮膜材料を溶解または分散した噴霧液(皮膜溶液)2を噴霧することにより肥料を被覆するものである。
【0037】
(2)被覆肥料の溶出特性の評価
下記a)〜c)の測定を行い、その結果を表−3及び表−4に示す。
a)水中溶出測定法
(1)で製造した被覆肥料を25℃恒温水中に7g/200ccの割合で投じ、経時的に水中の尿素態窒素を定量した。
b)暴露処理
(1)で製造した被覆肥料を自然光暴露1ヶ月経時させた後にa)と同様の方法で水中溶出測定を行った。
c)土壌中溶出測定法
(1)で製造した被覆肥料を沖積土壌乾土200gに対し、窒素として60mgを加え、水を350cc添加し、25℃で静置培養した。経時的に土壌中から被覆肥料を取り出し、残存窒素を定量し溶出量を算出した。
【0038】
【表3】
Figure 0004411706
【0039】
【表4】
Figure 0004411706
【0040】
本発明の主鎖中に、主鎖中の炭素数1000個当たり炭素不飽和二重結合を2〜100個、並びに短鎖アルキル分岐を2〜70個有するポリエチレン系樹脂は、表−2に示した結果から明らかなように、黴の繁殖が認められ生分解性を示しており、黴の繁殖程度は炭素不飽和結合数が多いほど旺盛であった。又、表−3に示したように、樹脂単独で被覆された肥料での水中溶出停止性は25℃100日間で10%以下であり、充分な溶出停止性を示すが、同時にフィラー及び界面活性剤を添加した被覆ではシグモイド型(溶出速度が途中から加速する)及び直線型の溶出を示し、種々の溶出パターンが得られることを明らかにしている。
更に、本発明の被覆肥料は自然光に暴露後も溶出パターンは変化せず、保存安定性が高いことが明らかである。表−4に示した結果は、土壌中での溶出パターンは水中溶出パターンと同一であり、土壌中での溶出制御性も良好であることは明らかで、本発明の課題を達成している。
【0041】
これに対し、炭素不飽和結合のないポリエチレンは、溶出停止性及び土壌中溶出制御性は良好な結果を示す(表−3、4)ものの、生分解性が認められず(表−2)、また、炭素不飽和結合数が250でメチル分岐数が250のポリイソプレンは、生分解性が良好であった(表−2)が、水中での溶出停止性が不十分なだけでなく保存時に溶出が変化(40日後に45%から90%、表−3)し、土壌中でも溶出速度が1割以上(対水中)大きくなる(表−3、4)ので、いずれのポリマーも本発明の課題を達成していない。
【0042】
【発明の効果】
主鎖中に、主鎖中の炭素数1000個当たり炭素不飽和二重結合を2〜100個、短鎖アルキル分岐を2〜70個有する含有するポリエチレン系樹脂を少なくとも1成分とするコーティング材で被覆された被覆粒状肥料は、実質的に皮膜の環境負荷を回避でき、各種溶出パターンの溶出制御性が良好であるので該コーティング材で被覆した被覆肥料は極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の被覆肥料の製造に使用した噴流式コーティング装置を示す概略図
【符号の説明】
1 粒状肥料
2 皮膜溶液
3 乾燥風(流動ガス)
4 ガイド管

Claims (5)

  1. 主鎖中に、環状構造を有せず、主鎖中の炭素数1000個当たり2〜100個の炭素不飽和二重結合並びに2〜70個の短鎖アルキル分岐を含有するエチレンと共役ジエン化合物及びα−オレフィンとの共重合体からなる生分解性ポリエチレン系樹脂を皮膜の主高分子成分となすことを特徴とする被覆粒状肥料用コ−ティング材。
  2. 生分解性ポリエチレン系樹脂のメルトインデックスが0.01〜1000であることを特徴とする請求項1記載のコ−ティング材。
  3. 生分解性ポリエチレン系樹脂において、共役ジエン化合物は1,3−ブタジエンであり、短鎖アルキル分岐は炭素数1〜8アルキル基であることを特徴とする請求項1又は2記載のコ−ティング材。
  4. 主鎖中に、環状構造を有せず、主鎖中の炭素数1000個当たり2〜100個の炭素不飽和二重結合を含有並びに2〜70個の短鎖アルキル分岐を含有するエチレンと共役ジエン化合物及びα−オレフィンとの共重合体からなる生分解性ポリエチレン系樹脂を皮膜の主高分子成分となすコーティング材で粒状肥料が被覆されたことを特徴とする被覆粒状肥料。
  5. 請求項2及び/又は3に記載のコーティング材で粒状肥料が被覆された被覆粒状肥料。
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