JP4437193B2 - 核酸ライブラリー及びタンパク質ライブラリー - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、固体支持体上に固定された複数の核酸を含む核酸ライブラリー(核酸の集合物)、及び固体支持体上にディスプレイされた複数のタンパク質を含むタンパク質ライブラリー(タンパク質の集合物)に関する。
【0002】
【背景技術】
プロテオミックスにおいては、複数種類のタンパク質に関して、その構造、機能等に関する多種多様な解析を並列して行なうこと(すなわちハイスループット解析)が必要となる。複数種類のタンパク質の解析を並列して行なう上で、固体支持体表面に複数種類のタンパク質が固定されたプロテインアレイ(プロテインチップ)の有用性が注目されている。
【0003】
プロテインアレイは、複数種類のタンパク質が固体支持体表面の所定領域に固定されており、各種類のタンパク質を固体支持体上の位置によって識別できるようになっている。プロテインアレイは、例えば、複数種類のタンパク質の中から、標的物質(例えばタンパク質、DNA等)と結合できるタンパク質をスクリーニングするのに有用である。
【0004】
【発明の開示】
しかしながら、従来のプロテインアレイでは、固体支持体表面へのタンパク質の非効率的なスポッティングが必要となることはもとより、固体支持体表面に固定されたタンパク質が乾燥すると簡単に変性や失活を起こしてしまう。固体支持体表面に固定されたタンパク質が一旦変性や失活を起こすと、そのタンパク質を再生させるのは困難であるため、従来のプロテインアレイは、長期間にわたる保存や使用が困難であった。
【0005】
また、従来のプロテインアレイを用いたアッセイ系では、供給されたタンパク質を固体支持体表面に固定して初めて解析を行なうことができるので、タンパク質の供給後直ちに解析を開始することはできず、タンパク質の供給から解析開始に至るまでに多大な時間と労力を必要としていた。すなわち、タンパク質の供給とタンパク質のアッセイ系とが別個独立した技術となっていたため、タンパク質の解析を効率的に進めることが困難であった。
【0006】
その一方、ファージプロモーターを利用したin vitro転写・翻訳系等の開発が進み、効率よく短時間に目的のタンパク質を供給することが可能となっている。また、ファージ・ディスプレイ法(Smith,G.P.,1985,Science,228,1315−1317)、リボゾーム・ディスプレイ法(Hanes,J.andPluckthun,A.1997,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94,4937−4942)等が開発され、目的のタンパク質を、それをコードする核酸と対応付けた状態で供給することが可能となっている。解析対象となる標的タンパク質(表現型)を、それをコードする核酸(遺伝子型)と対応付けた状態で供給できれば、標的タンパク質のアミノ酸配列を容易に同定できるので標的タンパク質の解析において有利である。
【0007】
さらに、少なくとも転写翻訳開始領域、標的タンパク質をコードする領域及びアダプタータンパク質(本発明では「タグタンパク質」とも呼ぶ)をコードする領域を有し、かつリガンドが結合したDNAを利用して、標的タンパク質を、それをコードする核酸と対応付けて供給する技術も開発されている(特開2001−128690号公報)。この技術においては、上記DNAを無細胞転写翻訳系で発現させ、標的タンパク質をアダプタータンパク質との融合タンパク質として合成し、上記DNAに結合したリガンドとアダプタータンパク質との特異的な結合を介して上記融合タンパク質を上記DNAに結合させることにより、標的タンパク質を、それをコードするDNAと対応付けて供給することが可能となっている。また、この技術によって作製されるタンパク質−DNA連結分子のライブラリーを用いれば、複数種類のタンパク質の解析を並列して行なうことができる。しかしながら、この技術においては、異なる種類のDNAにより発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションを防止するために、DNAを1種類又は1分子ずつ隔離した状態で発現させる必要がある。
【0008】
そこで、本発明は、複数種類のタンパク質を、それをコードする核酸と対応付けて一度に供給できるとともに、複数種類のタンパク質の供給後、直ちに当該複数種類のタンパク質の解析を並列して行なうことができ、しかも変性や失活を起こしたタンパク質を容易に再生できる核酸ライブラリー、タンパク質ライブラリー及びタンパク質ライブラリーの作製方法を提供することを目的とする。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、下記の核酸ライブラリー、タンパク質ライブラリー、タンパク質ライブラリーの作製方法及びタンパク質ライブラリー作製用キットを提供する。
【0010】
(1)本発明の核酸ライブラリーは、互いに離反した状態で存在する2種類以上のライブラリーユニットを有する核酸ライブラリーであって、各ライブラリーユニットが、in vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系において1種類以上のタンパク質を発現し得る核酸と、前記核酸に近接して設けられた第一のタンパク質捕獲体とを含んで構成されており、各ライブラリーユニットが、粒子の表面に設けられ、各ライブラリーユニットに含まれる核酸が、各ライブラリーユニットが設けられた粒子の表面に固定されており、前記各ライブラリーユニットが設けられた粒子を1の反応容器内の液体中に分散させて、前記各ライブラリーユニットのうちの少なくとも2種類のライブラリーユニットに含まれる核酸を一度に発現させるために使用されることを特徴とする。
【0011】
本発明の核酸ライブラリーにおいては、異なる種類のライブラリーユニットが互いに離反した状態で存在するとともに、各ライブラリーユニットにおいてタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)が核酸に近接して設けられているので、異なる種類のライブラリーユニットに含まれる核酸とタンパク質捕獲体との距離は、同一のライブラリーユニットに含まれる核酸とタンパク質捕獲体との距離よりも圧倒的に大きくなっている。したがって、各ライブラリーユニットに含まれる核酸から発現されるタンパク質は、異なる種類のライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)よりも、同一のライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)に優先的に捕獲されるので、異なる種類のライブラリーユニットで発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションを効果的に防止できる。よって、本発明の核酸ライブラリーが有する2種類以上のライブラリーユニットをin vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系に供すると、各ライブラリーユニットに含まれる核酸から発現されたタンパク質は、同一のライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)に捕獲された状態で粒子上にディスプレイ(提示)される。すなわち、本発明の核酸ライブラリーによれば、複数種類のタンパク質を、それをコードする核酸と対応付けた状態で、かつ粒子上にディスプレイされた状態で一度に供給でき、これにより複数種類のタンパク質の解析を並列して効率よく行なうことができる。
【0012】
また、本発明の核酸ライブラリーは、各ライブラリーユニットをin vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系に供することにより直ちにタンパク質ライブラリーに変換される。すなわち、本発明の核酸ライブラリーにおいては、タンパク質の供給とタンパク質のアッセイ系とが一体となっているので、複数種類のタンパク質の供給後、直ちに当該複数種類のタンパク質の解析を行なうことができる。
【0013】
さらに、本発明の核酸ライブラリーにおいては、粒子上にディスプレイされたタンパク質が変性や失活を起こしたとしても、そのタンパク質に対応する核酸を再度発現させることにより、タンパク質を容易に再生できる。
【0014】
さらに、本発明の核酸ライブラリーの各ライブラリーユニットに含まれる核酸はタンパク質と比較して長期保存が可能である。したがって、核酸ライブラリーの状態で保存しておき、必要なときにタンパク質ライブラリーを再生させることにより、本発明の核酸ライブラリーから作製されるタンパク質ライブラリーを長期間にわたり繰り返し使用できる。
【0015】
さらにまた、本態様に係る核酸ライブラリーにおいては、各ライブラリーユニットが設けられた粒子を液体中に分散させることができる。本態様に係る核酸ライブラリーにおいては、各ライブラリーユニットが設けられた粒子を液体中に分散させることにより、各ライブラリーユニットにおける反応性が向上し、本態様に係る核酸ライブラリーをin vitro転写・翻訳系に供したときに、各ライブラリーユニットにおける転写反応及び翻訳反応を迅速に進行させることができる。粒子が磁性を有する場合には、磁石を用いて液体中に分散している粒子を捕集し、粒子を液体から容易に分離できるので、液体中に分散させる粒子は磁性を有することが好ましい。
【0016】
なお、各ライブラリーユニットが設けられた粒子が液体中に分散した状態にあるものも、本発明の核酸ライブラリーに含まれる。また、各ライブラリーユニットが設けられた粒子が液体中に分散した状態にあっても、異なる種類のライブラリーユニットに含まれる核酸とタンパク質捕獲体との距離は、同一のライブラリーユニットに含まれる核酸とタンパク質捕獲体との距離よりも圧倒的に大きくなっているとともに、異なる種類のライブラリーユニットに含まれる核酸とタンパク質捕獲体との遭遇確率は極めて低い状態に保たれている。したがって、各粒子の表面に設けられたライブラリーユニットに含まれる核酸から発現されるタンパク質は、同一の粒子の表面に設けられたライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)に優先的に捕獲され、別個の粒子の表面に設けられたライブラリーユニットで発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションを効果的に防止できる。
【0017】
(2)前記(1)記載の核酸ライブラリーの好ましい態様では、異なる種類のライブラリーユニットが、それぞれ別個の粒子の表面に設けられている。
【0018】
本態様に係る核酸ライブラリーにおいては、異なる種類のライブラリーユニットに含まれる核酸が、それぞれ別個の粒子の表面に固定されている。粒子は核酸やタンパク質捕獲体と比較してマクロな存在であるから、異なる種類のライブラリーユニットに含まれる核酸とタンパク質捕獲体との距離は、同一のライブラリーユニットに含まれる核酸とタンパク質捕獲体との距離よりも圧倒的に大きくなっているとともに、異なる種類のライブラリーユニットに含まれる核酸とタンパク質捕獲体との遭遇確率は極めて低い状態に保たれている。したがって、各粒子の表面に設けられたライブラリーユニットに含まれる核酸から発現されるタンパク質は、同一の粒子の表面に設けられたライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)に優先的に捕獲され、別個の粒子の表面に設けられたライブラリーユニットで発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションを効果的に防止できる。
【0019】
また、本態様に係る核酸ライブラリーにおいては、ライブラリーユニットの組み合わせの自由度が増加するので、異なる種類のタンパク質を自由に組み合わせて解析を行なうことができる。
【0020】
(3)前記(2)記載の核酸ライブラリーの好ましい態様では、異なる種類のライブラリーユニットが設けられた粒子が、相互に区別して識別可能である。
本態様に係る核酸ライブラリーにおいては、各ライブラリーユニットが設けられた粒子を識別することにより、各ライブラリーユニットの種類、各ライブラリーユニットに含まれる核酸の種類及び各ライブラリーユニットに含まれる核酸から発現されるタンパク質の種類を識別できる。
【0021】
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の核酸ライブラリーの好ましい態様では、前記粒子が磁性を有する。
【0022】
本態様に係る核酸ライブラリーにおいては、各ライブラリーユニットが設けられた粒子の操作性が向上し、本発明の核酸ライブラリーを利用したタンパク質ライブラリーの作製の自動化及び本発明のタンパク質ライブラリーを利用したタンパク質の解析の自動化を容易に実現できる。
【0023】
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の核酸ライブラリーの好ましい態様では、前記液体中に、in vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系においてタンパク質を発現し得る核酸が固定されていない粒子が混在している。
【0024】
本態様に係る核酸ライブラリーにおいては、各ライブラリーユニットが設けられた粒子間に、in vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系においてタンパク質を発現し得る核酸が固定されていない粒子が介在することにより、各ライブラリーユニットが設けられた粒子間の距離が広がる。これによって、各粒子の表面に設けられたライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)は、同一の粒子の表面に設けられたライブラリーユニットから発現されたタンパク質を、他の粒子の表面に設けられたライブラリーユニットから発現されたタンパク質よりも優先して捕獲できるので、異なる種類のライブラリーユニットで発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションを効果的に防止できる。また、本態様に係る核酸ライブラリーにおいては、各ライブラリーユニットが設けられた粒子の濃度が低濃度となったとき(例えば、粒子間の距離を広げるために粒子の濃度を低濃度としたとき)に生じる粒子の操作性低下という問題を解消できる。なお、混在させる粒子には、in vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系においてタンパク質を発現し得る核酸が固定されていないので、当該粒子からタンパク質が発現することはなく、当該粒子が各ライブラリーユニットに対してタンパク質のクロスコンタミネーションを生じさせることはない。
【0025】
(6)前記(1)〜(5)のいずれかに記載の核酸ライブラリーの好ましい態様では、前記液体中に、第二のタンパク質捕獲体又はRNAポリメラーゼ結合体が混在している。
【0026】
本態様に係る核酸ライブラリーにおいては、各粒子の表面に設けられたライブラリーユニットから発現したタンパク質が、同一のライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)に捕獲されず液体中に分散したとしても、液体中に存在するタンパク質捕獲体(第二のタンパク質捕獲体)が当該タンパク質を捕獲することによって、当該タンパク質が他の粒子の表面に設けられたライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体に捕獲されることを防止できる。
【0027】
また、in vitro転写・翻訳系に含まれるRNAポリメラーゼがRNAポリメラーゼ結合体に結合することにより、核酸としてDNAを含むライブラリーユニットにおける転写反応が阻害されるので、当該ライブラリーユニットから過剰なmRNAが発現し、液体中に分散されることを効果的に防止できる。
【0028】
したがって、本態様に係る核酸ライブラリーにおいては、異なる種類のライブラリーユニットで発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションを効果的に防止できる。
【0029】
(7)前記(1)〜(6)のいずれかに記載の核酸ライブラリーの好ましい態様では、前記粒子が多孔質である。
【0030】
本態様に係る核酸ライブラリーにおいては、ライブラリーユニットを粒子の細孔の内部表面に設けることができる。粒子の細孔内は液体(例えばin vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系の溶液)の流動性が低いので、粒子の細孔の内部表面に設けられたライブラリーユニットに含まれる核酸から発現されるタンパク質は細孔内から放出され難い。したがって、当該核酸から発現されるタンパク質を、同一のライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)に確実に捕獲でき、異なる種類のライブラリーユニットで発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションを効果的に防止できる。
【0031】
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の核酸ライブラリーの好ましい態様では、いずれか1個以上のライブラリーユニットにおいて、前記核酸の一端が前記粒子の表面に固定されており、前記核酸の他端に前記第一のタンパク質捕獲体が設けられている。
【0032】
本態様に係る核酸ライブラリーでは、核酸の末端にタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)が設けられることによって、タンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)が核酸に近接して設けられている。
【0033】
(9)本態様に係る核酸ライブラリーでは、前記粒子の表面に、前記核酸が高密度で固定されている。
【0034】
本態様に係る核酸ライブラリーでは、タンパク質捕獲体のバリア(障壁)が粒子上の核酸に近接して形成され、粒子上の核酸はタンパク質捕獲体で包囲された状態にあるので、複数の粒子を一度にin vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系に供しても、各粒子で発現されるタンパク質は同一の粒子上のタンパク質捕獲体に捕獲され、各粒子で発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションを効果的に防止できる。
【0035】
(10)前記(1)〜(9)のいずれかに記載の核酸ライブラリーの好ましい態様では、いずれか1個以上のライブラリーユニットにおいて、前記第一のタンパク質捕獲体が、前記核酸を包囲するように設けられている。
【0036】
本態様に係る核酸ライブラリーでは、タンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)が核酸を包囲するように設けられることによって、当該核酸から発現されるタンパク質が、同一のライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)に確実に捕獲されるので、異なる種類のライブラリーユニットで発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションを効果的に防止できる。第一のタンパク質捕獲体が核酸を包囲するように設けられるライブラリーユニットの個数が増加するほど、異なる種類のライブラリーユニットで発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションを効果的に防止できるので、第一のタンパク質捕獲体が核酸を包囲するように設けられるライブラリーユニットの個数はできるだけ多いことが好ましく、全てのライブラリーユニットにおいて第一のタンパク質捕獲体が核酸を包囲するように設けられることが最も好ましい。
【0037】
(11)前記(1)〜(10)のいずれかに記載の核酸ライブラリーの好ましい態様では、いずれか1個以上のライブラリーユニットにおいて、前記核酸が発現し得るタンパク質が、標的タンパク質と前記第一のタンパク質捕獲体に結合し得るタグタンパク質との融合タンパク質である。
【0038】
本態様に係る核酸ライブラリーでは、核酸から発現されたタンパク質と当該核酸と同一のライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)との結合が確実なものとなる。なお、「標的タンパク質」とは解析対象となるタンパク質を意味する。
【0039】
複数のライブラリーユニットから融合タンパク質が発現される場合、それらの融合タンパク質は、向きが同一となるように第一のタンパク質捕獲体と結合することが好ましい。いずれの融合タンパク質の向きも同一となることにより当該融合タンパク質の反応性を均一化及び最適化できる。
【0040】
(12)前記(11)記載の核酸ライブラリーの好ましい態様では、前記タグタンパク質が前記第二のタンパク質捕獲体に結合し得る。
【0041】
本態様に係る核酸ライブラリーでは、核酸から発現されたタンパク質が当該核酸と同一のライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)に捕獲されず液体中に分散したとしても、液体中に存在するタンパク質捕獲体(第二のタンパク質捕獲体)によって当該タンパク質を確実に捕獲できる。
【0042】
(13)前記(1)〜(12)のいずれかに記載の核酸ライブラリーの好ましい態様では、前記核酸としてDNAを含むライブラリーユニットにおいて、mRNA捕獲体が前記DNAに近接して設けられている。
【0043】
本態様に係る核酸ライブラリーでは、核酸としてDNAを含むライブラリーユニットにおいて、当該DNAの転写により生じるmRNAが、同一のライブラリーユニットに含まれるmRNA捕獲体に捕獲される。したがって、本態様に係る核酸ライブラリーをin vitro転写・翻訳系に供したときに、核酸としてDNAを含むライブラリーユニットから生じたmRNAが、in vitro転写・翻訳系の溶液中に分散することを防止できる。これにより、当該mRNAの翻訳により生じるタンパク質が他のライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体に捕獲されることが防止され、異なる種類のライブラリーユニットで発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションを効果的に防止できる。
【0044】
(14)本発明のタンパク質ライブラリーは、前記(1)〜(13)のいずれかに記載の核酸ライブラリーが有する2種類以上のライブラリーユニットを、1の反応容器内のin vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系の液体中に一度に供して、前記ライブラリーユニットに含まれる核酸を一度に発現させることにより得られることを特徴とする。
【0045】
本発明の核酸ライブラリーが有する2種類以上のライブラリーユニットをin vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系に一度に供しても、異なる種類のライブラリーユニットで発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションが防止されるから、複数種類のタンパク質は、それをコードする核酸と対応付けた状態で粒子上に一度にディスプレイされる。したがって、本発明のタンパク質ライブラリーによれば、複数種類のタンパク質の解析を並列して効率的に行なうことができる。
【0046】
また、本発明のタンパク質ライブラリーは、本発明の核酸ライブラリーの各ライブラリーユニットに含まれる核酸を発現させることによって直ちに作製されるので、複数種類のタンパク質の供給後、直ちに当該複数種類のタンパク質の解析を行なうことができる。
【0047】
さらに、本発明のタンパク質ライブラリーにおいては、粒子上にディスプレイされたタンパク質が変性や失活を起こしたとしても、そのタンパク質に対応する核酸を再度発現させることにより、そのタンパク質を容易に再生できる。
さらに、核酸ライブラリーの状態で保存しておき、必要なときにタンパク質ライブラリーを再生させることにより、本発明のタンパク質ライブラリーを長期間にわたり繰り返し使用できる。
【0048】
(15)本発明のタンパク質ライブラリーの作製方法は、前記(1)〜(13)のいずれかに記載の核酸ライブラリーが有する2種類以上のライブラリーユニットを、1の反応容器内のin vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系の液体中に一度に供して、前記ライブラリーユニットに含まれる核酸を一度に発現させることにより得られることを特徴とする。
【0049】
本発明のタンパク質ライブラリーの作製方法では、異なる種類のライブラリーユニットで発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションを防止した状態で、本発明のタンパク質ライブラリーを作製できる。
【0050】
(16)前記(15)記載のタンパク質ライブラリーの作製方法の好ましい態様では、前記in vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系に、第二のタンパク質捕獲体を混在させておく。
【0051】
本態様に係るタンパク質ライブラリーの作製方法においては、各ライブラリーユニットから発現したタンパク質が、同一のライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)に捕獲されずin vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系の溶液中に分散したとしても、当該溶液中に存在するタンパク質捕獲体(第二のタンパク質捕獲体)が当該タンパク質を捕獲することによって、当該タンパク質が他のライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)に捕獲されることを防止できる。したがって、異なる種類のライブラリーユニットで発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションを効果的に防止した状態で、本発明のタンパク質ライブラリーを作製できる。
【0052】
(17)前記(15)又は(16)記載のタンパク質ライブラリーの作製方法の好ましい態様では、前記in vitro転写・翻訳系における転写反応を阻害しながら、前記核酸を一度に発現させる。
【0053】
本態様に係るタンパク質ライブラリーの作製方法においては、in vitro転写・翻訳系における転写反応が阻害されるので、核酸としてDNAを含むライブラリーユニットから過剰なmRNAが発現され、当該mRNAがin vitro転写・翻訳系の溶液中に分散することを防止できる。したがって、異なる種類のライブラリーユニットで発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションを効果的に防止した状態で、本発明のタンパク質ライブラリーを作製できる。
【0054】
(18)前記(17)記載のタンパク質ライブラリーの作製方法の好ましい態様では、前記in vitro転写・翻訳系にRNAポリメラーゼ結合体を混在させて、前記in vitro転写・翻訳系における転写反応を阻害する。
【0055】
本態様に係るタンパク質ライブラリーの作製方法においては、in vitro転写・翻訳系に含まれるRNAポリメラーゼがRNAポリメラーゼ結合体に結合することにより、核酸としてDNAを含むライブラリーユニットにおける転写反応が阻害されるので、当該ライブラリーユニットからの過剰なmRNAの発現を効果的に防止できる。
【0056】
(19)前記(17)又は(18)記載のタンパク質ライブラリーの作製方法の好ましい態様では、前記in vitro転写・翻訳系の温度を調節して、前記in vitro転写・翻訳系における転写反応を阻害する。
【0057】
本態様に係るタンパク質ライブラリーの作製方法においては、in vitro転写・翻訳系の温度を調節して、当該in vitro転写・翻訳系に含まれるRNAポリメラーゼの反応性を低下させることにより、核酸としてDNAを含むライブラリーユニットにおける転写反応が阻害されるので、当該ライブラリーユニットからの過剰なmRNAの発現を効果的に防止できる。
【0058】
なお、in vitro転写・翻訳系の温度を調節することにより、転写反応だけでなく翻訳反応も阻害される可能性があるが、その場合には、翻訳反応に関与する因子を予め多めにin vitro転写・翻訳系に含有させておくことにより、翻訳反応の阻害を防止できる。
【0059】
(20)本発明のタンパク質ライブラリー作製用キットは、前記(1)〜(13)のいずれかに記載の核酸ライブラリーと、第二のタンパク質捕獲体又はRNAポリメラーゼ結合体とを含むことを特徴とする。
【0060】
本発明のタンパク質ライブラリーの作製用キットによれば、第二のタンパク質捕獲体又はRNAポリメラーゼ結合体の上述の作用効果により、異なる種類のライブラリーユニットで発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションを効果的に防止した状態で、本発明のタンパク質ライブラリーを作製できる。本発明のタンパク質ライブラリー作製用キットは、核酸ライブラリー、第二のタンパク質捕獲体、RNAポリメラーゼ結合体以外に、タンパク質ライブラリーの作製に必要な任意の要素を含むことができる。
【0061】
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の核酸ライブラリーは、2種類以上のライブラリーユニットを有する。ここで、ライブラリーユニットの種類の異同は、ライブラリーユニットから発現されるタンパク質の種類の異同によって決定される。すなわち、1種類以上の異なるタンパク質を発現する関係にあるライブラリーユニット同士は異なる種類のライブラリーユニットであり、それ以外の関係にあるライブラリーユニット同士は同一種類のライブラリーユニットである。したがって、「2種類以上のライブラリーユニットを有する」とは、それぞれ少なくとも1種類の異なるタンパク質を発現し得る複数個のライブラリーユニットを有することを意味する。本発明の核酸ライブラリーは、2種類以上のライブラリーユニットを有する限り、同一種類のライブラリーユニットを複数個有していてもよい。なお、同一種類のライブラリーユニットには、同一種類のタンパク質のみを発現する関係にあるライブラリーユニット同士はもちろん、一方は異なる種類のタンパク質を発現するが、他方は異なる種類のタンパク質を発現しない関係にあるライブラリーユニット同士(例えば、一方のライブラリーユニットはタンパク質Aとタンパク質Bという2種類のタンパク質を発現し、他方のライブラリーユニットはタンパク質Aという1種類のタンパク質を発現する場合)も含まれる。
【0062】
本発明の核酸ライブラリーにおいて、異なる種類のライブラリーユニットは互いに離反した状態で存在する。ここで、異なる種類のライブラリーユニット間の距離は、各ライブラリーユニットに含まれる核酸から発現されるタンパク質が、異なる種類のライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体よりも同一のライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体に優先的に捕獲され得る限り特に限定されるものではなく、異なる種類のライブラリーユニットに含まれる核酸とタンパク質捕獲体との距離が、同一のライブラリーユニットに含まれる核酸とタンパク質捕獲体との距離よりも圧倒的に大きくなるように設定される。
【0063】
本発明の核酸ライブラリーが同一種類のライブラリーユニットを複数個有する場合、同一種類のライブラリーユニットは互いに離反した状態で存在していてもよいし、互いに近接した状態で存在していてもよい。同一種類のライブラリーユニットが近接した状態で存在している場合、各ライブラリーユニットで発現されたタンパク質が異なるライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体に捕獲される場合があるが、同一種類のライブラリーユニットであればクロスコンタミネーションの問題は生じない。
【0064】
本発明の核酸ライブラリーにおいて、各ライブラリーユニットは、固体支持体の表面に設けられている。本発明の核酸ライブラリーは、水性媒体中で使用される場合(例えば、本発明の核酸ライブラリーを細胞抽出液から調製された無細胞転写・翻訳系に供する場合)があるので、各ライブラリーユニットが設けられる固体支持体は、水に対して不溶性であることが好ましい。このような固体支持体の材質としては、ガラス、シリコン、セラミックス、水不溶性ポリマー(例えば、ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂(メタクリル樹脂)、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート等の合成樹脂;アガロース、デキストラン、セルロース等の多糖類;ゼラチン、コラーゲン、カゼイン等の蛋白質等)等が挙げられる。固体支持体の表面は、平面であっても曲面であってもよく、または凹凸を有していてもよい。
【0065】
固体支持体は多孔質であっても無孔質であってもよいが、多孔質であることが好ましい。
【0066】
多孔質の固体支持体としては、例えば、繊維又はその集合体(例えば繊維を撚ったもの)が挙げられる。固体支持体が多孔質である場合、ライブラリーユニットを細孔の内部表面に設けることができる。固体支持体の細孔内は液体(例えばin vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系の溶液)の流動性が低いので、固体支持体の細孔の内部表面に設けられたライブラリーユニットに含まれる核酸から発現されるタンパク質は細孔内から放出され難い。したがって、当該タンパク質を同一のライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)に確実に捕獲でき、異なる種類のライブラリーユニットで発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションを効果的に防止できる。
【0067】
固体支持体の形状は特に限定されるものではなく、例えば、平板状、粒子(ビーズ)状、棒状、紐状、テープ状、糸状等の任意の形状をとることができるが、固体支持体は、軸部材に巻装可能な形状を有するか、又は粒子(ビーズ)状であることが好ましい。軸部材に巻装可能な形状としては、紐状、テープ状、糸状等の細長形状が挙げられる。軸部材は、巻く物の中心となり得る限り、その形状や構造は特に限定されるものではなく、例えば、棒状、円柱状、円筒状、角柱状、角筒状等の部材が挙げられる。軸部材に巻装可能な形状を有する固体支持体を用いることにより、各ライブラリーユニットが高密度に配列した核酸ライブラリー及びタンパク質が高密度に配列したプロテインアレイを作製することができる。また、固体支持体が軸部材に巻装された核酸ライブラリーを利用することにより、タンパク質ライブラリーの作製からタンパク質ライブラリーを利用したタンパク質の解析に至る一連の操作の自動化を容易に実現できる。
【0068】
固体支持体が軸部材に巻装可能な形状を有する核酸ライブラリーの一実施形態として、紐状の固体支持体32が円柱状の軸部材31に巻装された核酸ライブラリー3を図7に示す。紐状の固体支持体32の表面には複数の異なるライブラリーユニットが設けられている。
【0069】
固体支持体は磁性を有していてもよく、特に固体支持体が粒子状であるときには磁性を有することが好ましい。固体支持体として磁性粒子を用いると操作性が向上し、本発明の核酸ライブラリーを利用したタンパク質ライブラリーの作製の自動化及びタンパク質ライブラリーを利用したタンパク質の解析の自動化を容易に実現できる。なお、「粒子」の形状は特に限定されるものではないが、例えば、球形である。また、粒子の大きさも特に限定されるものではないが、粒径が0.2〜30μmであることが好ましい。
【0070】
本発明の核酸ライブラリーにおいて、各ライブラリーユニットが設けられる固体支持体の「表面」とは、液体(例えばin vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系の溶液)と接触し得る面を意味し、固体支持体の外面(外部表面)はもちろんのこと、液体が浸潤し得る固体支持体の内面(内部表面)(例えば、固体支持体が有する細孔の内部表面)も含まれる。
【0071】
本発明の核酸ライブラリーは、複数個のライブラリーユニットの集合体である。ライブラリーユニットの集合形態は特に限定されるものではなく、全てのライブラリーユニットが単一の固体支持体(例えば、軸部材に巻装可能な形状を有する固体支持体)の表面に一緒に設けられた状態で集合していてもよいし、各ライブラリーユニットが複数個の固体支持体の表面に別れて設けられた状態で集合していてもよい。また、各ライブラリーユニットは、複数個の固体支持体(例えば粒子)の表面に別れて設けられ、液体中に分散した状態(例えば、容器に収容された一定容積の液体中に分散した状態)で集合していてもよい。
【0072】
各ライブラリーユニットが複数個の固体支持体の表面に別れて設けられる場合、各固体支持体に設けられるライブラリーユニットの個数は1個であっても複数個であってもよく、各固体支持体に設けられるライブラリーユニットの種類は同一であっても異なっていてもよい。
【0073】
異なる種類のライブラリーユニットが同一の固体支持体の表面に設けられる場合、異なる種類のライブラリーユニット同士は互いに離反するように設けられる。また、異なる種類のライブラリーユニットがそれぞれ別個の固体支持体に設けられる場合、固体支持体は核酸やタンパク質捕獲体と比較してマクロな存在であるので、異なる種類のライブラリーユニット同士は互いに離反して存在することとなる。
【0074】
本発明の核酸ライブラリーにおいては、全てのライブラリーユニットが単一の固体支持体の表面に設けられるか、あるいは、異なる種類のライブラリーユニットがそれぞれ別個の固体支持体の表面に設けられることが好ましい。
【0075】
異なる種類のライブラリーユニットがそれぞれ別個の固体支持体の表面に設けられる場合であって、同一種類のライブラリーユニットが複数個ある場合、同一種類のライブラリーユニット同士は一緒の固体支持体の表面に設けられていてもよいし、別個の固体支持体の表面に設けられていてもよい。
【0076】
本発明の核酸ライブラリーにおいて、各ライブラリーユニットは、その種類が識別できる状態で集合していることが好ましい。各ライブラリーユニットの種類の識別により、各ライブラリーユニットに含まれる核酸の種類及び各ライブラリーユニットに含まれる核酸から発現されるタンパク質の種類の識別も可能となるので、タンパク質解析を効率的に行なうことができる。
【0077】
全てのライブラリーユニットが単一の固体支持体の表面に設けられる場合には、例えば、固体支持体上における各ライブラリーユニットの位置と、各ライブラリーユニットの種類とを対応付けておくことにより、各ライブラリーユニットの種類を各ライブラリーユニットの固体支持体上の位置に基づき識別できる。
【0078】
また、異なる種類のライブラリーユニットがそれぞれ別個の固体支持体の表面に設けられる場合には、例えば、相互に区別して識別可能な固体支持体を用いることにより、各ライブラリーユニットの種類を各ライブラリーユニットが設けられた固体支持体の種類に基づき識別できる。
【0079】
さらに、異なる種類のライブラリーユニットの構成要素を異なる標識物質で標識しておくことにより、ライブラリーユニットの種類をライブラリーユニット自体の標識に基づき識別することも可能である。標識物質で標識できるライブラリーユニットの構成要素としては、例えば、in vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系において1種類以上のタンパク質を発現し得る核酸、第一のタンパク質捕獲体、mRNA捕獲体、第一のタンパク質捕獲体を固体支持体に固定するための要素(例えばin vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系においてタンパク質を発現し得ない核酸)等が挙げられる。
【0080】
固体支持体の識別は、例えば、異なる種類のライブラリーユニットが設けられる固体支持体を異なる標識物質で標識しておくことによって可能となる。標識物質の具体例としては、蛍光色素(例えば、Marine Blue,Cascade Blue,Cascade Yellow,Fluorescein,Rhodamine,Phycoerythrin,CyChrome,PerCP,TexasRed,Allophycocyanin,PharRed等の他、Cy2,Cy3,Cy3.5,Cy5,Cy7等のCy系色素、Alexa−488,Alexa−532,Alexa−546,Alexa−633,Alexa−680等のAlexa系色素、BODIPYFL,BODIPYTR等のBODIPY系色素)等の蛍光性物質、放射性同位元素(例えば、3H、14C、32P、33P、35S、125I)等の放射性物質等が挙げられる。標識物質として蛍光色素を用いる場合、蛍光色素の種類と含有量とを組み合わせることにより多種多様な標識が可能となる。蛍光色素による固体支持体の標識化は、例えば、予め表面にアミノ基を導入しておいた固体支持体に活性エステルを有する蛍光色素を反応させることにより、あるいは、予め表面にカルボキシル基又はアミノ基を導入しておいた固体支持体に、カルボキシル基との結合反応が可能な官能基(例えばアミノ基)を有する蛍光色素又はアミノ基との結合反応が可能な官能基(例えばカルボキシル基)を有する蛍光色素を、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)等のカルボジイミド類の存在下で反応させることにより行なうことができる。また、固体支持体が粒子である場合には、例えば、重合反応によって粒子を合成する際に反応液中に蛍光色素を添加しておくことにより、あるいは、ラジカル重合の重合反応の終了直後でラジカルが残存している間に当該ラジカルと反応性を有する蛍光色素を添加することにより、蛍光色素による粒子の標識化を行なうことができる。
【0081】
また、固体支持体の識別は、異なる種類のライブラリーユニットが設けられる固体支持体の形状や大きさを相違させることによっても可能となる。例えば、固体支持体が粒子(ビーズ)状である場合には、その粒径を相違させることにより固体支持体の識別が可能となる。粒径の異なる粒子の識別は、例えばフローサイトメトリー等を用いて行なうことができる。
【0082】
また、固体支持体の識別は、異なる種類のライブラリーユニットが設けられる固体支持体の物性を相違させることによっても可能となる。例えば、磁石を接近させたときの着磁性の相違に基づいて固体支持体の識別が可能となる。
【0083】
各ライブラリーユニットは、in vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系において1種類以上のタンパク質を発現し得る核酸と、該核酸に近接して設けられた第一のタンパク質捕獲体とを含んで構成され、各ライブラリーユニットに含まれる核酸は、各ライブラリーユニットが設けられた固体支持体の表面に固定されている。
【0084】
各ライブラリーユニットに含まれる核酸を構成するヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドであってもよいしリボヌクレオチドであってもよい。すなわち、各ライブラリーユニットに含まれる核酸は、DNA及びRNAのいずれであってもよく、「in vitro転写・翻訳系において1種類以上のタンパク質を発現し得る核酸」にはDNA及びRNAが含まれ、「in vitro翻訳系において1種類以上のタンパク質を発現し得る核酸」にはRNAが含まれる。また、核酸の塩基長及び塩基配列は特に限定されるものではなく、目的のタンパク質が発現し得るように適宜選択される。核酸がDNAである場合、二本鎖の状態で固定化されていてもよいし、一本鎖の状態で固定化されていてもよいが、二本鎖の状態で固定されていることが好ましい。ポリメラーゼによるDNAの転写は二本鎖DNAを基質として効率的に行なわれるからである。
【0085】
各ライブラリーユニットに含まれる核酸の数は特に限定されるものではなく、複数の核酸(核酸群)が含まれていてもよい。各ライブラリーユニットに複数の核酸が含まれる場合、各核酸が発現し得るタンパク質の種類は同一であっても異なっていてもよい。各ライブラリーユニットから解析対象となる1種類のタンパク質が発現されるとタンパク質解析を効率よく行なうことができるので、同一のライブラリーユニットに含まれる各核酸から発現されるタンパク質は同一種類であることが好ましいが、例えば、解析対象となるタンパク質が複数種類の異なるサブユニットからなる場合には、それぞれのサブユニットを発現する核酸を同一のライブラリーユニットに含めておくことが好ましい。
【0086】
また、各ライブラリーユニットに同一種類のタンパク質を発現し得る複数の核酸が含まれる場合、各核酸の構造は同一であっても異なっていてもよい。例えば、オープンリーディングフレームは同一であるが転写調節領域や翻訳調節領域が異なる核酸が含まれていてもよい。
【0087】
各ライブラリーユニットに含まれる核酸は、本発明の核酸ライブラリーを水性媒体中で使用したときに核酸が固体支持体から離脱しないように固定されることが好ましい。このような核酸の固定方法としては、例えば、固体支持体の表面の官能基へ共有結合させる方法(Vera Land,Ruth Schmid,David Rickwood,Erik Hornes(1988).Nucleic Acids Res.16(22),10861)、ビオチン−アビジン系を用いた方法(Shao−OchieHuang,Harold Swerclow,and Karin D.Caldwell(1994).Analytical Biochemistry 222,441−119)等が挙げられる。前者の方法において、固体支持体の表面の官能基としては、カルボキシル基、アミノ基、水酸基等が挙げられる。例えば、固体支持体の表面にカルボキシル基が形成されている場合には、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)等のカルボジイミド類でカルボキシル基を活性化させた後、核酸に予め導入しておいてアミノアルキル基と結合させることができる。また、固体支持体の表面にアミノ基が形成されている場合には、無水コハク酸等の環状酸無水物を用いてアミノ基をカルボキシル基に変換した後、核酸に予め導入しておいたアミノアルキル基と結合させるか、あるいは核酸の末端のリン酸と結合させることができる。後者の方法では、例えば、5’末端を予めビオチン化しておいたプライマーを用いてPCRを行なうことによりビオチン化された核酸を得、この核酸を、表面がアビジン(又はストレプトアビジン)コーティングされた固体支持体に固定できる。
【0088】
各ライブラリーユニットにおいて、核酸のどの部分が固体支持体に固定されていてもよいが、核酸の3’末端又は5’末端が固体支持体に固定されているのが好ましい。これにより、各ライブラリーユニットに含まれる核酸からタンパク質を効率よく発現させることができる。
【0089】
各ライブラリーユニットにおいて、核酸が固定される固体支持体の「表面」とは、液体(例えばin vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系の溶液)と接触し得る面を意味し、固体支持体の外面(外部表面)はもちろんのこと、液体が浸潤し得る固体支持体の内面(内部表面)(例えば、固体支持体が有する細孔の内部表面)も含まれる。
【0090】
各ライブラリーユニットに含まれる核酸は、in vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系において1種類以上のタンパク質を発現し得る構造を有している。ここで、「in vitro転写・翻訳系」は、in vitroにおいて核酸からmRNAへの転写を行なうことができるin vitro転写系と、in vitroにおいてmRNAからタンパク質への翻訳を行なうことができるin vitro翻訳系とからなり、in vitro転写・翻訳系には、転写及び翻訳に必要な全ての要素(例えば、RNAポリメラーゼ、リボソーム、tRNA等)が含まれる。in vitro転写・翻訳系の具体例としては、真核細胞及び原核細胞の抽出液から調製された無細胞転写・翻訳系が挙げられ、無細胞転写・翻訳系の具体例としては、大腸菌(例えば大腸菌S30)、小麦胚芽、ウサギ網赤血球、マウスL−細胞、エールリッヒ腹水癌細胞、HeLa細胞、CHO細胞、出芽酵母等の細胞抽出液から調製された無細胞転写・翻訳系が挙げられる。
【0091】
各ライブラリーユニットに含まれる核酸の構造は、in vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系において1種類以上のタンパク質を発現し得る限り特に限定されるものではない。in vitro転写・翻訳系において1種類以上のタンパク質を発現し得る核酸としては、例えば、転写調節領域と、翻訳調節領域と、目的のタンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)とを含んで構成され、オープンリーディングフレームの3’側には終止コドンが設けられたDNAが挙げられる。in vitro翻訳系において1種類以上のタンパク質を発現し得る核酸としては、例えば、in vitro転写・翻訳系において1種類以上のタンパク質を発現し得るDNAと、チミン(T)がウラシル(U)である点を除き同様の構造を有するRNAが挙げられる。但し、RNAの場合には転写調節領域は不要である。
【0092】
転写調節領域の具体例としては、プロモーター、ターミネーター、エンハンサー等が挙げられ、翻訳調節領域の具体例としては、コザック(kozak)配列、シャイン・ダルガーノ(SD)配列等が挙げられる。転写調節領域及び翻訳調節領域は、それぞれDNAからmRNAへの転写及びmRNAからタンパク質への翻訳を可能とする限りいかなる種類のものであってもよく、in vitro転写系の種類等に応じて適宜選択できる。また、転写調節領域及び翻訳調節領域は、別個の領域として存在していてもよいし重なり合って存在していてもよい。
【0093】
オープンリーディングフレームの数は特に限定されるものではなく、1種類のタンパク質が発現されるように1つのオープンリーディングフレームが単独で存在していてもよいし、同一種類の複数のオープンリーディングフレームが離れた状態で存在していてもよい。
【0094】
また、2種類以上のタンパク質が発現されるように、2種類以上のオープンリーディングフレームが離れた状態で存在していてもよい。また、融合タンパク質が発現されるように、2種類以上のオープンリーディングフレームが連結された状態で存在していてもよい。
なお、融合タンパク質は「1種類のタンパク質」に含まれる。
【0095】
各ライブラリーユニットに含まれる核酸の具体的な構造としては、例えば、オープンリーディングフレームの5’側にプロモーター及びSD配列を有し、オープンリーディングフレームの3’側に終止コドン及びターミネーターを有する構造が挙げられる。
【0096】
各ライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)は、タンパク質を捕獲できる限りいかなるものであってもよい。各ライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)は、各ライブラリーユニットに含まれる核酸から発現されるタンパク質を特異的に捕獲できることが好ましいが、その場合、ライブラリーユニットの種類ごとに異なるタンパク質捕獲体が必要となるので本発明の核酸ライブラリーの構築が困難となる。したがって、第一のタンパク質捕獲体としては、一般的に、任意のタンパク質を非特異的に捕獲できるタンパク質捕獲体が用いられる。第一のタンパク質捕獲体としては、例えば、化学的結合、電気的結合又は物理的結合を介して任意のタンパク質を非特異的に捕獲できるタンパク質捕獲体を用いることができる。また、タンパク質のライブラリーユニットから離反する方向への移動を制限するような(すなわち、タンパク質をライブラリーユニット近傍に保持できるような)物理的障害物を第一のタンパク質捕獲体として用いることもできる。なお、第一のタンパク質捕獲体の種類、及び第一のタンパク質捕獲体によるタンパク質の捕獲様式は、それぞれのライブラリーユニットにおいて共通していてもよいし異なっていてもよい。
【0097】
例えば、あるライブラリーユニットに含まれる核酸から発現されるタンパク質が、解析対象となる標的タンパク質と、第一のタンパク質捕獲体に化学的に結合し得るタグタンパク質との融合タンパク質である場合第一のタンパク質捕獲体は化学的結合を介して発現されたタンパク質(融合タンパク質)を捕獲できる。タグタンパク質/タンパク質捕獲体の組み合わせとしては、例えば、アビジンやストレプトアビジン等のビオチン結合タンパク質/ビオチン、マルトース結合タンパク質/マルトース、ポリヒスチジンペプチド/ニッケルやコバルト等の金属イオン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/グルタチオン、カルモジュリン/カルモジュリン結合ペプチド、ATP結合タンパク質/ATP、受容体タンパク質/リガンド等が挙げられる。
【0098】
また、タンパク質は等電点より高いpHでは負に荷電し、等電点より低いpHでは正に荷電するから、正電荷体又は負電荷体を第一のタンパク質捕獲体として用いることにより、タンパク質と第一のタンパク質捕獲体との電気的結合(静電的相互作用)を利用してタンパク質を捕獲できる。正電荷体及び負電荷体としては、例えば、正荷電基(例えば、アミノ基、グアニジル基、イミダゾール基)を有する物質や負荷電基(例えば、カルボキシル基、スルホニル基、リン酸基)を有する物質を用いることができる。また、電気回路に接続した導電体を正電荷体及び負電荷体として用いることもできる。
【0099】
また、アルキル基又はその誘導基、フェニル基又はその誘導基等の疎水性基を有する物質を第一のタンパク質捕獲体として用いることにより、タンパク質と第一のタンパク質捕獲体との疎水性相互作用を利用してタンパク質を捕獲できる。
【0100】
各ライブラリーユニットにおいて、第一のタンパク質捕獲体は、核酸に近接して設けられる。第一のタンパク質捕獲体は、異なる種類のライブラリーユニットに含まれる核酸よりも同一のライブラリーユニットに含まれる核酸に十分に近接するように設けられる。これにより、異なる種類のライブラリーユニットに含まれる核酸とタンパク質捕獲体との距離は、同一のライブラリーユニットに含まれる核酸とタンパク質捕獲体との距離よりも圧倒的に大きくなり、各ライブラリーユニットに含まれる核酸から発現されるタンパク質は、同一のライブラリーユニットに含まれる第一のタンパク質捕獲体に優先的に捕獲され、異なる種類のライブラリーユニットで発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションが防止される。第一のタンパク質捕獲体は出来るだけ同一のライブラリーユニットに含まれる核酸に近接させて設けることが好ましく、第一のタンパク質捕獲体は、例えば、一端が固体支持体に固定されている核酸の他端に設けられる。これにより、第一のタンパク質捕獲体を同一のライブラリーユニットに含まれる核酸に確実に近接させて設けることができる。
【0101】
第一のタンパク質捕獲体は、固体支持体の表面に直接固定されていてもよいし、in vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系において1種類以上のタンパク質を発現し得る核酸(例えば、核酸の末端のうち、固体支持体に固定されている末端と反対側の末端)に固定されていてもよい。また、固体支持体の表面に固定された他の要素(例えば、糖鎖、in vitro転写・翻訳系においてタンパク質を発現し得ない核酸(第一のタンパク質捕獲体を固体支持体に固定するための核酸))に固定されていてもよい。第一のタンパク質捕獲体を、固体支持体の表面に固定された他の要素に固定することによって、タンパク質の発現量とタンパク質捕獲体の量とを簡便に調節することができる。
【0102】
第一のタンパク質捕獲体の固定は、種々の結合様式によって行なうことができる。結合様式の具体例としては、ストレプトアビジン又はアビジンとビオチンとの特異的相互作用、疎水性相互作用、磁性相互作用、極性相互作用、共有結合(例えば、アミド結合、ジスルフィド結合、チオエーテル結合等)の形成、架橋剤による架橋等が挙げられる。これらの結合様式による固定が可能となるように、公知の技術を用いて、固体支持体表面、第一のタンパク質捕獲体等に適当な化学修飾を施すことができる。ストレプトアビジン又はアビジンとビオチンとの特異的相互作用以外にも、マルトース結合タンパク質/マルトース、ポリヒスチジンペプチド/ニッケルやコバルト等の金属イオン、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/グルタチオン、カルモジュリン/カルモジュリン結合ペプチド、ATP結合タンパク質/ATP、核酸/相補的核酸、受容体タンパク質/リガンド、酵素/基質、抗体/抗原、IgG/プロテインA等の特異的相互作用を利用することができる。
【0103】
いずれか1個以上のライブラリーユニットにおいて、第一のタンパク質捕獲体が核酸を包囲するように設けられていることが好ましい。第一のタンパク質捕獲体がこのように設けられたライブラリーユニットにおいては、当該ライブラリーユニットに含まれる核酸から発現されるタンパク質が、同一のライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)に確実に捕獲されるので、異なる種類のライブラリーユニットで発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションを効果的に防止できる。第一のタンパク質捕獲体がこのように設けられたライブラリーユニットの個数は出来るだけ多いことが好ましく、全てのライブラリーユニットにおいて第一のタンパク質捕獲体がこのように設けられることが最も好ましい。
【0104】
固体支持体が粒子であって、核酸の一端が粒子の表面に固定されており、核酸の他端にタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)が設けられている場合、当該核酸が高密度で粒子の表面に固定されていると、粒子の外側にタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)のバリア(障壁)が核酸に近接して形成され、粒子上の核酸はタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)で包囲された状態となる。したがって、かかる粒子をライブラリーユニットとして用いれば、異なる種類のライブラリーユニットで発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションを効果的に防止できる。ここで、「高密度」とは、粒子上に固定された核酸から発現されたタンパク質が、粒子の外側に形成されたタンパク質捕獲体のバリアを通過しない(ほとんど通過しない)程度の密度であり(すなわち、粒子上に固定された核酸から発現されたタンパク質の全て又はほとんど全てがタンパク質捕獲体に捕獲される程度の密度であり)、粒子上に固定された核酸から発現されるタンパク質の大きさ等に応じて適宜調節できるが、例えば、粒子の表面1μm2あたり103〜106分子程度、好ましくは粒子の表面1μm2あたり105分子程度の核酸を固定することにより良好な効果を得ることができる。
【0105】
本発明の核酸ライブラリーが有する2種類以上のライブラリーユニットをin vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系に一度に供して、各ライブラリーユニットに含まれる核酸をin vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系において一度に発現させることにより、複数種類のタンパク質を含んで構成されるタンパク質ライブラリーが得られる。このとき、一度に発現させるライブラリーユニットは2種類以上である限り、本発明の核酸ライブラリーが有する全てのライブラリーユニットであってもよいし、本発明の核酸ライブラリーが有する一部のライブラリーユニットであってもよい。また、in vitro転写・翻訳系に供するライブラリーユニットに含まれる核酸は通常DNA又はRNAであり、in vitro翻訳系に供するライブラリーユニットに含まれる核酸は通常RNAである。
【0106】
2種類以上のライブラリーユニットに含まれる核酸を一度に発現させると、各ライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体は、異なる種類のライブラリーユニットに含まれる核酸から発現されたタンパク質よりも、同一のライブラリーユニットに含まれる核酸から発現されたタンパク質を優先して捕獲するので、異なる種類のライブラリーユニットで発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションは防止される。
【0107】
2種類以上のライブラリーユニットに含まれる核酸を一度に発現させる際、当該ライブラリーユニットに含まれるDNAの転写により生じたmRNAがin vitro転写・翻訳系の溶液に移行すると、当該mRNAの翻訳により生じたタンパク質が異なる種類のライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体に捕獲され、異なる種類のライブラリーユニットで発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションが生じるおそれがある。そこで、核酸としてDNAを含むライブラリーユニットにおいて、DNAの転写により生じるmRNAを捕獲し得るmRNA捕獲体がDNAに近接して設けられていることが好ましい。なお、ライブラリーユニットに含まれる核酸がRNAである場合には、DNAの転写により生じたmRNAに起因するタンパク質のクロスコンタミネーションが生じるおそれがない。
【0108】
mRNA捕獲体はmRNAを捕獲できる限りいかなるものであってもよい。mRNA捕獲体としては、例えば、mRNAとハイブリダイズし得る核酸(DNA又はRNA)を用いることができる。このとき、mRNA捕獲体は、各ライブラリーユニットに含まれる核酸の転写により生じるmRNAと特異的にハイブリダイズし得るものであってもよいが、その場合、ライブラリーユニットの種類ごとに異なるmRNA捕獲体が必要となるので本発明の核酸ライブラリーの構築が困難となる。したがって、一般的には、任意のmRNAを非特異的に捕獲できるmRNA捕獲体が用いられる。例えば、ライブラリーユニットに含まれるDNAの転写により生じるmRNAがポリA配列を有する場合には、ポリT配列を有するオリゴヌクレオチドをmRNA捕獲体として用いることができる。ライブラリーユニットに含まれるDNAにポリT配列を導入しておくことにより、当該DNAの転写により生じるmRNAにポリA配列を導入することが可能である。mRNA捕獲体は、固体支持体の表面に直接固定されていてもよいし、ライブラリーユニットに含まれるDNA(例えば、DNAの末端のうち、固体支持体に固定されている末端と反対側の末端)に固定されていてもよい。また、固体支持体の表面に固定された他の部材に固定されていてもよい。
【0109】
また、2種類以上のライブラリーユニットに含まれる核酸を一度に発現させる際、当該ライブラリーユニットから発現したタンパク質が、同一のライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)に捕獲されずin vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系の溶液中に分散すると、当該タンパク質が異なる種類のライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)に捕獲され、異なる種類のライブラリーユニットで発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションが生じるおそれがある。そこで、in vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系の溶液には、第一のタンパク質捕獲体とは別個の第二のタンパク質捕獲体を混在させることが好ましい。第二のタンパク質捕獲体の種類は第一のタンパク質の種類と同一であってもよいし異なっていてもよい。本発明の核酸ライブラリーにおいて、各ライブラリーユニットが設けられた固体支持体(例えば粒子)が液体中に分散している状態にある場合には、当該液体中に、第二のタンパク質捕獲体を混在させておくことができる。第二のタンパク質捕獲体は単独で存在していてもよいが、後処理により分離しやすいように固体支持体(例えば粒子)に固定されていることが好ましい。
【0110】
第二のタンパク質捕獲体は、各ライブラリーユニットから発現されたタンパク質を捕獲できる限りいかなるものであってもよい。第二のタンパク質捕獲体としては、一般的に、任意のタンパク質を非特異的に捕獲できるタンパク質捕獲体が用いられる。第二のタンパク質捕獲体としては、第一のタンパク質捕獲体と同様に、化学的結合、電気的結合又は物理的結合を介して任意のタンパク質を非特異的に捕獲できるタンパク質捕獲体を用いることができる。あるライブラリーユニットから発現されるタンパク質が、標的タンパク質と第一のタンパク質捕獲体に結合し得るタグタンパク質との融合タンパク質である場合には、タグタンパク質が第二のタンパク質捕獲体にも結合し得ることが好ましい。これにより、in vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系の溶液中に分散した融合タンパク質を第二のタンパク質捕獲体によって確実に捕獲できる。
【0111】
また、2種類以上のライブラリーユニットに含まれる核酸を一度に発現させる際、当該ライブラリーユニットに含まれるDNAから過剰なmRNAが発現され、それがin vitro転写・翻訳系の溶液に移行すると、当該mRNAの翻訳により生じたタンパク質が異なる種類のライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体に捕獲され、異なる種類のライブラリーユニットで発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションが生じるおそれがある。そこで、過剰なmRNAの発現を防止するために、in vitro転写・翻訳系における転写反応を阻害しながら、前記核酸を一度に発現させることが好ましい。
【0112】
但し、転写反応を完全に阻害すると各ライブラリーユニットからタンパク質を発現させることができなくなるので、転写反応を完全に阻害してはならない。なお、ライブラリーユニットに含まれる核酸がRNAである場合には、過剰なmRNAの発現に起因するタンパク質のクロスコンタミネーションが生じるおそれがない。
【0113】
in vitro転写・翻訳系における転写反応の阻害は、in vitro転写・翻訳系に含まれるRNAポリメラーゼの量的阻害又は質的阻害により行なうことができる。
【0114】
「RNAポリメラーゼの量的阻害」とは、in vitro転写・翻訳系に含まれるRNAポリメラーゼのうち、転写反応に関与できるRNAポリメラーゼ量を低減させることを意味し、例えば、in vitro転写・翻訳系にRNAポリメラーゼ結合体を混在させておくことより、RNAポリメラーゼの量的阻害を行なうことができる。RNAポリメラーゼ結合体は、RNAポリメラーゼと結合(可逆的結合又は不可逆的結合)し得る限りいかなるものであってもよく、RNAポリメラーゼ結合体としては、例えば、RNAポリメラーゼ結合部位(例えばプロモーター領域)を有する核酸、又は当該核酸が表面に固定された固体支持体(例えば粒子)を用いることができる。
【0115】
また、「RNAポリメラーゼの質的阻害」とは、in vitro転写・翻訳系に含まれる個々のRNAポリメラーゼの反応性を低下させることを意味し、例えば、in vitro転写・翻訳系の温度を調節することにより、RNAポリメラーゼの質的阻害を行なうことができる。in vitro転写・翻訳系の温度は、転写反応が阻害され得る限り上昇させてもよいし下降させてもよい。in vitro転写・翻訳系の温度を転写反応の至適温度よりも高温して転写反応を阻害する場合、in vitro転写・翻訳系の温度は、通常34〜42℃、好ましくは36〜38℃に調節される。なお、in vitro転写・翻訳系の温度を調節することにより、転写反応だけでなく翻訳反応も阻害される可能性があるが、その場合には、翻訳反応に関与する因子を予め多めにin vitro転写・翻訳系に含有させておくことにより、翻訳反応の阻害を防止できる。
【0116】
本発明の核酸ライブラリーにおいて、各ライブラリーユニットが設けられた粒子が液体中に分散している状態にある場合には、当該粒子間の距離を広げることによって、各ライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体は、異なる種類のライブラリーユニットに含まれる核酸から発現されたタンパク質よりも、同一のライブラリーユニットに含まれる核酸から発現されたタンパク質をより優先して捕獲できるようになる。したがって、各ライブラリーユニットが設けられた粒子間の距離を広げるために、液体中に分散している当該粒子の濃度を低濃度に調節することが好ましい。粒子濃度を50μLあたり104〜105個とすることにより良好な効果を得ることができる。
【0117】
また、各ライブラリーユニットが設けられた粒子間の距離を広げるために、当該粒子が分散している液体中に、in vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系においてタンパク質を発現し得る核酸が固定されていない粒子を混在させることが好ましい。このような粒子を混在させることによって、各ライブラリーユニットが設けられた粒子間の距離を広げることができるとともに、液体中の粒子濃度が低濃度となったときに生じる粒子のハンドリング性低下という問題も解消できる。なお、混在させる粒子の表面には、in vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系においてタンパク質を発現し得ない核酸を固定しておいてもよい。混在させる粒子の表面にこのような核酸を固定しておくことにより、in vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系に含まれる転写・翻訳に必要なタンパク質や各ライブラリーユニットから発現されたタンパク質が当該粒子に非特異的に吸着される等、当該粒子を混在させることによる反応系への予期しない影響を防止できる。
【0118】
各ライブラリーユニットが設けられている粒子とは別の粒子を液体中に混在させた場合には、粒子の粒径を異なるものとしておくことにより、両粒子を例えばフローサイトメトリーによって分別できる。また、各ライブラリーユニットが設けられている粒子として着磁性を有する粒子を用い、混在させる別の粒子として着磁性を有しない粒子を用いることにより、磁石を接近させたときの着磁性の相違に基づいて両粒子を分別できる。
【0119】
本発明の核酸ライブラリーにおいて、2種類以上のライブラリーユニットに含まれる核酸を一度に発現させても、異なる種類のライブラリーユニットで発現されるタンパク質のクロスコンタミネーションは防止されるので、各ライブラリーユニットに含まれる核酸から発現されたタンパク質は、同一のライブラリーユニットに含まれるタンパク質捕獲体(第一のタンパク質捕獲体)に捕獲された状態でディスプレイ(提示)される。すなわち、本発明のタンパク質ライブラリーにおいて、各種類のタンパク質は、それをコードする核酸と対応付けられた状態で固体支持体上にディスプレイされる。
【0120】
本発明の核酸ライブラリーにおいて、全てのライブラリーユニットが単一の固体支持体の表面に設けられている場合には、当該固体支持体をin vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系の溶液中に浸漬すると、各種類のタンパク質が単一の固体支持体上にディスプレイされる。また、本発明の核酸ライブラリーにおいて、異なる種類のライブラリーユニットがそれぞれ別個の固体支持体の表面に設けられ、液体中に分散している場合には、当該液体中にin vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系の要素を添加すると、異なる種類のタンパク質がそれぞれ別個の固体支持体上にディスプレイされる。こうして作製された本発明のタンパク質ライブラリーを用いることにより、複数種類のタンパク質の解析を並列して効率的に行なうことができる。また、本発明の核酸ライブラリーはin vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系に供すると直ちにタンパク質ライブラリーに変換されるので、タンパク質の供給とタンパク質のアッセイ系とが一体となっており、複数種類のタンパク質の供給後、直ちに当該複数種類のタンパク質解析を開始できる。
【0121】
本発明のタンパク質ライブラリーを用いたタンパク質解析は、例えば次のようにして行なうことができる。
【0122】
本発明のタンパク質ライブラリーにおいて、各種類のタンパク質が単一の固体支持体上にディスプレイされている場合には、in vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系の溶液から固体支持体を分離した後、洗浄し、in vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系由来のタンパク質その他の夾雑物を除去する。その後、固体支持体上にディスプレイされた各種類のタンパク質と、標識化した標的物質(例えば、タンパク質、核酸、糖質、脂質等)とを反応させる。反応後、洗浄して未反応の標的物質を除去し、標的物質の標識を検出することによって、固体支持体上にディスプレイされた各種類のタンパク質と標的物質とが反応したか否かを検出できる。標的物質が反応したタンパク質の種類は、そのタンパク質がディスプレイされている位置等によって識別できる。また、そのタンパク質と対応付けられている核酸の塩基配列を解析することによりタンパク質のアミノ酸配列を同定できる。
【0123】
本発明のタンパク質ライブラリーにおいて、異なる種類のタンパク質がそれぞれ別個の磁性粒子上にディスプレイされ、各磁性粒子がin vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系の溶液中に分散している場合には、磁力を作用させて各磁性粒子をin vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系の溶液から分離した後、各磁性粒子を洗浄液に移して洗浄し、in vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系由来のタンパク質その他の夾雑物を除去する。その後、各磁性粒子を、標識化した標的物質(例えば、タンパク質、核酸、糖質、脂質等)を含有する溶液中に加えてよく攪拌し、各磁性粒子上にディスプレイされた各種類のタンパク質と、標識化した標的物質とを反応させる。反応後、磁力を作用させて各磁性粒子を溶液から分離し、各磁性粒子を洗浄液に移して洗浄し、未反応の標的物質を除去する。その後、標的物質の標識を検出することによって、磁性粒子上にディスプレイされた各種類のタンパク質と標的物質とが反応したか否かを検出できる。標的物質が反応したタンパク質の種類は、そのタンパク質が設けられた磁性粒子の標識等によって識別できる。また、そのタンパク質と対応付けられている核酸の塩基配列を解析することによりタンパク質のアミノ酸配列を同定できる。
【0124】
本発明のタンパク質ライブラリーにおいて、異なる種類のタンパク質がそれぞれ別個の粒子上にディスプレイされ、各粒子がin vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系の溶液中に分散している場合には、タンパク質の種類に対応する特定の蛍光色素で標識された抗体と各粒子とを反応させた後、フローサイトメトリーによって蛍光色素で標識された粒子を分取し、分取された粒子上に固定されている核酸の塩基配列を解析することにより、抗体が結合した抗原を迅速に特定できる。
【0125】
本発明のタンパク質ライブラリーにおいて、異なる種類のタンパク質がそれぞれ別個の粒子上にディスプレイされている場合には、各粒子上に提示されたタンパク質の性質を利用して、そのタンパク質をコードする遺伝子を濃縮できる。
【0126】
本発明のタンパク質ライブラリーに含まれるタンパク質が、タンパク質解析途中に変性や失活を起こしたとしても、そのタンパク質がディスプレイされたライブラリーユニットに含まれる核酸を再度発現させることにより、そのタンパク質の再生が可能である。また、タンパク質解析の終了後は、次回使用するときまで核酸ライブラリーの状態で保存しておき、必要なときに各ライブラリーユニットに含まれる核酸を発現させてタンパク質ライブラリーを再生して使用できる。
【0127】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
〔実施例1〕
(1)タンパク質合成用DNA固定化ビーズの作製
アビジン遺伝子(Thompson & Weber,Gene,136,243−246,1993.配列番号1参照)の5’側にそれぞれ異なった2種類のタグで標識した。
【0128】
2種類のタグとしては、ヒスチジン(以下「His」という。)及びインフルエンザヘマグルチニンタンパク質由来HAペプチド(以下「HA」という。)を用いた。
【0129】
Rapid Translation System RTS100,E.coli HY Kit(Roche社製)のプロトコールに従い、His標識アビジン遺伝子及びHA標識アビジン遺伝子の5’側にT7プロモーターとリボゾーム結合領域(ribosomal binding site(RBS))を、3’側にT7ターミネーターをPCRにより導入した。PCR産物をpGEM T easy vector(プロメガ社製)にクローニングして塩基配列を確認後、T7プロモーターの上流に特異的にハイブリダイズするビオチン標識プライマーと、T7ターミネーターの下流に特異的にハイブリダイズするSfiIサイト導入用プライマーを設計した。これらのプライマーは、図1(A)の17bio−f,sfi−trm、あるいは図1(B)の11bio−r,sfi−prmに示した。なお、図1(C)に、His標識アビジン遺伝子におけるアビジン遺伝子部分の開始コドン上流の構造を、図1(D)にHA標識アビジン遺伝子におけるアビジン遺伝子部分の開始コドン上流の構造を、図1(E)にHis標識アビジン遺伝子及びHA標識アビジン遺伝子におけるアビジン遺伝子部分の終止コドン下流の構造を示した。図1(C)中の下線部は5’末端側から順に、T7プロモーター、g10(RBSエンハンサー)、RBS、ATG、Hisを示す。図1(D)中の下線部は5’末端側から順に、T7プロモーター、g10(RBSエンハンサー)、RBS、ATG、HAを示す。図1(E)中の下線部はT7ターミネーターを示す。図1(A)〜(E)中の太字部分は、各プライマーが特異的に結合する配列を示す。なお、T7プロモーター等の配列はRTS100で推奨している発現ベクターpIVEX2.4aを参照した。
【0130】
His標識アビジン遺伝子及びHA標識アビジン遺伝子を鋳型として、上記プライマーを用いてPCRを行ない、5’側にビオチン(17bio−f)を3’側にSfiIサイト(sfi−trm)を持ったDNA断片を作製した。なお、3’側にビオチン(11bio−r)を5’側にSfiIサイト(sfi−prm)を持ったDNA断片も作製し、タンパク質の発現に成功している。
【0131】
各DNA断片50μL(約1μM)をMicroSpin S−400 HR Columns(Amersham Pharmacia Biotech社製)で精製後、制限酵素SfiIで切断した後(50℃、1時間30分)、プロトコールに従い1×BW buffer(5mM Tris−HCl pH7.5,0.5mM EDTA,1M NaCl)で洗浄された0.2mgのDynabeads M−280 Streptavidin(Dynalbiotech社製)を用いて、ビオチン−アビジン反応により各DNA断片(約50pmol)を回収した(1×BW buffer溶液中、室温で15分)。これにより、ビオチン−アビジン反応を介して表面に各DNA断片が固定されたビーズが得られた。
【0132】
各種ビーズは、1×BW bufferで洗浄後、アダプターとライゲーションするために、1×T4 DNA ligation buffer(TAKARA社製)に懸濁した。
【0133】
一方、5’側をリン酸化した合成オリゴDNAと5’側をビオチン標識した適当な配列を有する合成オリゴDNAを等量混ぜ、両者をアニーリングし(1時間30分かけて85℃から4℃まで冷却)、SfiIサイトとライゲーションするビオチン化アダプターを作製した。図2(A)に、アダプターの塩基配列を示す。また、図2(B)に、SfiIサイトへのビオチン化アダプターのライゲーションの様子を模式的に示す。
【0134】
SfiIで切断されたDNA断片(約50pmol)が結合したビーズ0.2mgと、合成オリゴDNAのアニーリングで作製したビオチン化アダプター(240pmol)とを、TaKaRa T4 DNA ligase(525units)を用い、室温で軽く混合しながら1時間の反応によってライゲーションした。
【0135】
以上の操作によって、5’末端側がビーズ(0.2mg)に固定され、3’末端側にビオチンを持った鋳型DNAが作製された。すなわち、His−アビジンをコードするDNA断片が表面に固定化されたビーズ(以下「His−avidinビーズ」という。)、及びHA−アビジンをコードするDNA断片が表面に固定化されたビーズ(以下「HA−avidinビーズ」という。)の、2種類のビーズが作製された。この2種類のビーズが保持するDNA断片の配列を、His−アビジンについては配列番号2に、HA−アビジンについては配列番号3に示す。この2種類のビーズをそれぞれ、1×BW bufferで洗浄後、TE(10mM Tris−HCl pH7.5,1mM EDTA pH8.0)40μLに懸濁した。
【0136】
His−avidinビーズ又はHA−avidinビーズからのタンパク質合成の際に共存させるビーズとして、Dynabeads M−280 Streptavidin(粒径:2.8μm)とは大きさの異なるストレプトアビジン固相化磁性ビーズ(粒径:0.7μm)(TOYOBO:MagExtractor−Sequencing Clean upに含まれる)に、二本鎖DNAを固定化したビーズを調製した(以下「savビーズ」という)。二本鎖DNAは、図1(F)で示されたsav−compと3’側がビオチン化されたsav−Biotinを混合後、85℃から4℃まで1時間30分かけて冷却してアニーリングさせることにより作製した。調製した二本鎖DNA(10nmol)は、1×BW Buffer中でビオチン−アビジン反応を介してビーズ(2mg)表面に固定化し、1×BW Bufferで洗浄後、TE400μLに懸濁した。なお、savビーズに固定化された二本鎖DNAは、転写及び翻訳に必要な一切の配列を含まない。savビーズを共存させることにより、in vitro転写・翻訳系に含まれる転写・翻訳に必要なタンパク質、あるいはHis−avidinビーズ又はHA−avidinビーズから合成されたタンパク質がsavビーズに非特異的に吸着される等、反応系に予期しない影響が及ぶ可能性があるが、savビーズにもHis−avidinビーズ又はHA−avidinビーズと同様に二本鎖DNAを固定化しておくことにより、このような可能性を低減させることができる。
【0137】
(2)タンパク質合成(in vitro転写・翻訳)
上記で作製されたタンパク質合成用DNA固定化ビーズを用いてin vitro転写・翻訳系によるタンパク質合成を行なった。His−avidinビーズのみを含有する溶液、HA−avidinビーズのみを含有する溶液、及びHis−avidinビーズとHA−avidinビーズの混合ビーズを含有する溶液、それぞれ全量10μLについてビーズ上のDNAを鋳型として、RTS100のプロトコールに従い、30℃、2時間又は4時間の反応によって、タンパク質(Hisとアビジンとの融合タンパク質、又はHAとアビジンとの融合タンパク質)を合成した。なお、いずれの反応液にも45μgのsavビーズを添加した。
【0138】
(3)蛍光標識抗体による検出と識別
各種ビーズを1×BW bufferで洗浄後、PBS−T(137mM NaCl,2.7mM KCl,4.3mM Na2HPO4・7H2O,1.4mM KH2PO4,0.05% Tween20)+5%スキムミルク溶液で、室温で軽く混合しながら1時間ブロッキングした。次いで、PBS−Tで洗浄後、室温で軽く混合しながら1次及び2次抗体反応を各1時間行なった。1次抗体は、マウス由来抗His抗体(アマシャムファルマシアバイオテク社製)及びウサギ由来抗HA抗体(コスモバイオ社製)各0.5μgをPBS−T100μLに希釈して使用した。PBS−Tで洗浄後、抗His抗体を蛍光標識するための2次抗体として、Alexafluor488標識されたヤギ由来抗マウスIgG抗体(フナコシ社製)0.5μgをPBS−T 100μLに希釈して使用した。PBS−Tで洗浄後、フローサイトメーター(FACS Calibur(Becton Dickinson社製))、励起波長:488nm、測定波長:530/30nmにより測定した。
【0139】
測定結果を図3に示す。図3中、Aは、タンパク質合成用DNA固定化ビーズとしてHis−avidinビーズのみを含有する溶液及びHA−avidinビーズのみを含有する溶液を用いて、それぞれタンパク質を発現させた後、混合して上記測定を行なったときの結果を示す図であり、Bは、タンパク質合成用DNA固定化ビーズとしてHis−avidinビーズとHA−avidinビーズの混合ビーズを含有する溶液を用いてタンパク質を発現させ、上記測定を行なったときの結果を示す図であり、Cは、タンパク質合成用DNA固定化ビーズとしてHis−avidinビーズとHA−avidinビーズの混合ビーズを含有する溶液を用いてタンパク質を発現させる際に、ビオチン化アガロースゲルを溶液中に混在させて溶液中のタンパク質を捕獲したときの結果を示す図である。図3A及びBに示すように、転写・翻訳時間を2時間としたときには、蛍光強度が異なる2種類のビーズが得られた。この2種類のビーズの一方は、Hisとアビジンとの融合タンパク質が捕獲されたビーズであり、他方は、HAとアビジンとの融合タンパク質が捕獲されたビーズであると考えられる。後述する実施例3の結果を考慮すると、この2種類のビーズは、His−avidinビーズとHA−avidinビーズであると考えられるので、Hisとアビジンとの融合タンパク質はHis−avidinビーズに捕獲され、HAとアビジンとの融合タンパク質はHA−avidinビーズに捕獲されたと考えられる。
【0140】
このことから、ビーズが液体中に分散した状態にあるとき(すなわち、各ビーズが離隔した状態にあるとき)、ビーズ上に固定されたタンパク質捕獲体(本実施例ではビオチン)は、他のビーズ上に固定されたDNA断片から発現されるタンパク質(本実施例では、Hisとアビジンの融合タンパク質又はHAとアビジンとの融合タンパク質)よりも、同一のビーズ上に固定されたDNA断片から発現されるタンパク質(本実施例では、Hisとアビジンの融合タンパク質又はHAとアビジンとの融合タンパク質)を優先して捕獲することができ、これにより異なる種類のDNA断片が固定されたビーズ間でのタンパク質のクロスコンタミネーションが防止されると考えられる。
【0141】
但し、転写・翻訳時間を4時間としたときには、明確なビーズの分離が観察されなかった。これは、転写・翻訳時間の延長により、転写によって生じた過剰のmRNAが溶液中に放出され、翻訳されたことが原因であると考えられる。したがって、転写・翻訳を行なう溶液中にタンパク質捕獲体を混在させることにより、異なる種類のDNA断片が固定されたビーズ間でタンパク質のクロスコンタミネーションを防止できると考えられる。実際に、溶液中にビオチン化アガロースゲルを混在させた場合(図3C)には、混在させない場合(図3B)よりも明確なビーズの分離が観察されている。
【0142】
このことから、転写・翻訳が行なわれる溶液中に、各種ビーズから発現されるタンパク質(本実施例では、Hisとアビジンの融合タンパク質又はHAとアビジンとの融合タンパク質)を捕獲できるタンパク質捕獲体(本実施例ではビオチン化アガロースゲル)を混在させておくことにより、異なる種類のDNA断片が固定されたビーズ間でタンパク質のクロスコンタミネーションを防止できると考えられる。
【0143】
〔実施例2〕
(1)タンパク質合成用DNA固定化ビーズの作製
実施例1と同様にしてタンパク質合成用DNA固定化ビーズを作製した。
【0144】
(2)タンパク質合成(in vitro転写・翻訳)
上記で作製されたタンパク質合成用DNA固定化ビーズを用いてin vitro転写・翻訳系によるタンパク質合成を行なった。His−avidinビーズのみを含有する溶液、HA−avidinビーズのみを含有する溶液、及びHis−avidinビーズとHA−avidinビーズの混合ビーズを含有する溶液、それぞれ全量10μLについてビーズ上のDNAを鋳型として、RTS100のプロトコールに従い、30℃で1時間又は1時間15分、あるいは37℃で1時間45分の反応によって、タンパク質(Hisとアビジンとの融合タンパク質、又はHAとアビジンとの融合タンパク質)を合成した。なお、いずれの反応液にも45μgのsavビーズを添加した。
【0145】
また、T7 RNAポリメラーゼによる転写反応を阻害するために、T7プロモーター配列を有するDNA断片(17mer,60mer)(以下「阻害DNA」という。)を50pmol添加した。17mer及び60merの阻害DNAの塩基配列をそれぞれ配列番号4及び5に示す。
【0146】
(3)蛍光標識抗体による検出と識別
各種ビーズを1×BW bufferで洗浄後、PBS−T(137mM NaCl,2.7mM KCl,4.3mM Na2HPO4・7H2O,1.4mM KH2PO4,0.05% Tween20)+5%スキムミルク溶液で、室温で軽く混合しながら1時間ブロッキングした。次いで、PBS−Tで洗浄後、室温で軽く混合しながら1次及び2次抗体反応を各1時間行なった。1次抗体としては、Alexafluor488で標識されたマウス由来モノクロナル抗HA抗体(モレキュラプローブ社製)およびウサギ由来抗His抗体(コスモバイオ社製)を用い、2次抗体としては、フィコエリスリン(PE)で標識されたヤギ由来抗ウサギIgG抗体(フナコシ社製)を用いた。それぞれの抗体は、1次抗体の場合には各0.5μgをPBS−T 100μLに希釈して、2次抗体の場合には2μgをPBS−T 100μLに希釈して使用した。それぞれの抗体の結合後にはPBS−Tで洗浄した。フローサイトメーター(FACS Calibur(Becton Dickinson社製))、励起波長:488nm、測定波長:530/30nmおよび585/45nmにより測定した。
測定結果を図4及び5に示す。
【0147】
図4中、「コントロール」(A及びC)は、His−avidinビーズのみを含有する溶液及びHA−avidinビーズのみを含有する溶液を用いて、それぞれタンパク質を発現させた後、混合して上記測定を行なったときの結果を示し、「ミックス」(B及びD)は、His−avidinビーズとHA−avidinビーズの混合ビーズを含有する溶液を用いてタンパク質を発現させ、上記測定を行なったときの結果を示す。なお、A及びBの転写・翻訳条件は30℃で1時間であり、C及びDの転写・翻訳条件は37℃で1時間45分である。
【0148】
図5中、「コントロール」(A及びE)は、His−avidinビーズのみを含有する溶液及びHA−avidinビーズのみを含有する溶液を用いて、それぞれタンパク質を発現させた後、混合して上記測定を行なったときの結果を示し、「阻害DNA不存在下」(B及びF)、「17mer阻害DNA存在下」(C及びG)、「60mer阻害DNA存在下」(D及びH)は、His−avidinビーズとHA−avidinビーズの混合ビーズを含有する溶液(阻害DNA無添加、17mer阻害DNA添加、60mer阻害DNA添加)を用いてタンパク質を発現させ、上記測定を行なったときの結果を示す。なお、A、B、C及びDの転写・翻訳条件は30℃で1時間15分であり、E、F、G及びHの転写・翻訳時間は37℃で1時間45分である。
【0149】
図4B及びDに示すように、37℃では30℃よりも翻訳産物の量が若干減少しているように見えるが、37℃では30℃よりも明確なビーズの分離が観察された。また、図5Bに示すように、阻害DNA不存在下では、明確なビーズの分離は観察されなかったが、図5C及びGに示すように17mer阻害DNA存在下では37℃で、また図5D及びHに示すように60mer阻害DNA存在下では30℃で、明確なビーズの分離が観察された。
【0150】
明確なビーズの分離は、Hisとアビジンとの融合タンパク質が捕獲されたビーズ及びHAとアビジンとの融合タンパク質が捕獲されたビーズの2種類のビーズが得られたことを示すこと、並びに、阻害DNAの存在及び反応温度の上昇はいずれも転写反応を阻害する要因であることから、in vitro転写・翻訳系における転写反応を阻害することにより、ビーズ間におけるタンパク質のクロスコンタミネーションを防止できるものと考えられる。
【0151】
なお、図5Hに示すように、60mer阻害DNA存在下、37℃では明確なビーズの分離が観察されていないが、阻害DNAの添加と37℃という反応温度はいずれもタンパク質の翻訳量の低下を引き起こすことから、この条件ではタンパク質がほとんど生成されず、ビーズが原点から動いていないことが原因であると推察される。
【0152】
〔実施例3〕
実施例2においてフローサイトメトリーで分離された2種類のビーズ(Hisとアビジンとの融合タンパク質が捕獲されたビーズ及びHAとアビジンとの融合タンパク質が捕獲されたビーズ)が、His−avidinビーズとHA−avidinビーズであることを確認するために、図4B及びD並びに図5Dの点線で囲まれた領域のビーズを分取した。
【0153】
図4B及びD並びに図5D中、His−avidinビーズが含まれると予想される領域を「His」と表示し、HA−avidinビーズが含まれると予想される領域を「HA」と表示する。
【0154】
上記で分取したビーズについて、PCRを用いて表面に固定化されているDNAの種類の特定を行った。プライマーを設計した位置を図6に示す。
【0155】
まず、上記で分取したビーズを鋳型として、1st PCR用のプライマーを用いて増幅を行った。1st PCRで用いた上流及び下流プライマーの塩基配列をそれぞれ配列番号6及び7に示す。次に、1st PCRの産物を鋳型として、2nd PCR用のプライマーを用いて増幅を行った。2nd PCRでは、上流側のプライマーとして、Cy5又はFITCで標識された2種類のプライマー(Cy5−His及びFITC−HA)の混合物を用い、下流側のプライマーとして、ビオチン標識したプライマーを共通して用いた。プライマーCy5−His及びFITC−HAの塩基配列をそれぞれ配列番号8及び9に示し、ビオチン標識したプライマーの塩基配列を配列番号10に示す。
【0156】
上記PCRにより、ビーズ上のDNA断片がHAタグをコードする塩基配列を有している場合には、末端がFITCとビオチンで標識されたDNA断片が増幅され、ビーズ上のDNA断片がHisタグをコードする塩基配列を有している場合には、末端がCy5とビオチンで標識されたDNA断片が増幅される。従って、2nd PCRで増幅されたDNA断片をアビジン磁気ビーズで捕獲し、磁気ビーズ上に捕獲された蛍光色素(FITC又はCy5)の蛍光強度を測定することにより、1st PCRで鋳型として用いたDNA断片の種類を特定することができる。
蛍光強度の測定結果を表1及び2に示す。
【0157】
【表1】
【0158】
【表2】
【0159】
表1は比較実験として、Cy5−His及びFITC−HAをそれぞれ1:9、1:1、9:1の割合で混合したときの結果を示し、表2は図4B及びD並びに図5Dの点線で囲まれた領域から分取されたビーズを鋳型として用いたときの結果を示す。表2中、図4B−His、図4D−His及び図5D−Hisは、それぞれ図4B、図4D及び図5Dの「His」と表示された領域から分取されたビーズを表し、図4B−HA、図4D−HA及び図5D−HAは、それぞれ図4B、図4D及び図5Dの「HA」と表示された領域から分取されたビーズを表す。
【0160】
表2に示すように、His−avidinビーズと予想されるビーズはFITC/Cy5の比が小さく、HA−avidinビーズと予想されるビーズはFITC/Cy5の比が大きかった。したがって、実施例2においてフローサイトメトリーで分離された2種類のビーズが、His−avidinビーズとHA−avidinビーズであることが確認された。
【0161】
以上の結果から、Hisとアビジンとの融合タンパク質はHis−avidinビーズに捕獲され、HAとアビジンとの融合タンパク質はHA−avidinビーズに捕獲されていることが確認された。
【0162】
【産業上の利用可能性】
本発明により、複数種類のタンパク質を、それをコードする核酸と対応付けて一度に供給できるとともに、タンパク質の供給後、直ちに複数種類のタンパク質の解析を並列して行なうことができ、しかも変性や失活を起こしたタンパク質を容易に再生できる核酸ライブラリー及びタンパク質ライブラリー並びにタンパク質ライブラリーの作製方法が提供される。また、本発明により、そのような核酸ライブラリー及びタンパク質ライブラリーを構成するライブラリーユニットとして有用な粒子が提供される。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1(A)は、His標識及びHA標識アビジン遺伝子について、5’側にビオチンを、3’側にSfiIサイトを導入するためのPCR用プライマーの塩基配列を、図1(B)は、His標識及びHA標識アビジン遺伝子について、5’側にSifIサイトを、3’側にビオチンを導入するためのPCR用プライマーの塩基配列を、図1(C)は、His標識アビジン遺伝子におけるアビジン遺伝子部分の開始コドン上流の構造を、図1(D)は、HA標識アビジン遺伝子におけるアビジン遺伝子部分の開始コドン上流の構造を、図1(E)は、His標識アビジン遺伝子及びHA標識アビジン遺伝子におけるアビジン遺伝子部分の終止コドン下流の構造を、図1(F)は、0.7μmの粒径を有するsavビーズに固定化した二本鎖DNAの調製に用いたオリゴDNAの構造を示す図である。
図2(A)は、アダプターの塩基配列を、図2(B)は、SfiIサイトへのビオチン化アダプターのライゲーションの様子を模式的に示す図である。
図3は、異なる種類のDNA断片が固定されたビーズを混合して又は混合せずにin vitro転写・翻訳系に供した後(2時間又は4時間)、フローサイトメトリーによりビーズを分離した結果である。
図4は、異なる種類のDNA断片が固定されたビーズを混合して又は混合せずにin vitro転写・翻訳系に供した後(30℃で1時間又は37℃1時間45分)、フローサイトメトリーによりビーズを分離した結果である。
図5は、T7プロモーター配列を有するDNA断片(17mer,60mer)の存在下又は不存在下、異なる種類のDNA断片が固定されたビーズを混合して又は混合せずにin vitro転写・翻訳系に供した後(30℃で1時間15分又は37℃1時間45分)、フローサイトメトリーによりビーズを分離した結果である。
図6は、ビーズ表面に固定化されているDNA断片の種類を特定する際にPCR(1回目及び2回目)で使用したプライマーのハイブリダイズ位置を示す図である。
図7は、紐状の固体支持体が円柱状の軸部材に巻装された核酸ライブラリーの一実施形態を示す斜視図である。
Claims (20)
- 互いに離反した状態で存在する2種類以上のライブラリーユニットを有する核酸ライブラリーであって、
各ライブラリーユニットが、in vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系において1種類以上のタンパク質を発現し得る核酸と、前記核酸に近接して設けられた第一のタンパク質捕獲体とを含んで構成されており、
各ライブラリーユニットが、粒子の表面に設けられ、各ライブラリーユニットに含まれる核酸が、各ライブラリーユニットが設けられた粒子の表面に固定されており、
前記各ライブラリーユニットが設けられた粒子を1の反応容器内の液体中に分散させて、前記各ライブラリーユニットのうちの少なくとも2種類のライブラリーユニットに含まれる核酸を一度に発現させるために使用されることを特徴とする前記核酸ライブラリー。 - 異なる種類のライブラリーユニットが、それぞれ別個の粒子の表面に設けられていることを特徴とする請求項1記載の核酸ライブラリー。
- 異なる種類のライブラリーユニットが設けられた粒子が、相互に区別して識別可能であることを特徴とする請求項2記載の核酸ライブラリー。
- 前記粒子が磁性を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の核酸ライブラリー。
- 前記液体中に、in vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系においてタンパク質を発現し得る核酸が固定されていない粒子が混在していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の核酸ライブラリー。
- 前記液体中に、第二のタンパク質捕獲体又はRNAポリメラーゼ結合体が混在していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の核酸ライブラリー。
- 前記粒子が多孔質であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の核酸ライブラリー。
- いずれか1個以上のライブラリーユニットにおいて、前記核酸の一端が前記粒子の表面に固定されており、前記核酸の他端に前記第一のタンパク質捕獲体が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の核酸ライブラリー。
- 前記粒子の表面に、前記核酸が高密度で固定されていることを特徴とする請求項8記載の核酸ライブラリー。
- いずれか1個以上のライブラリーユニットにおいて、前記第一のタンパク質捕獲体が、前記核酸を包囲するように設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の核酸ライブラリー。
- いずれか1個以上のライブラリーユニットにおいて、前記核酸が発現し得るタンパク質が、標的タンパク質と前記第一のタンパク質捕獲体に結合し得るタグタンパク質との融合タンパク質であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の核酸ライブラリー。
- 前記タグタンパク質が前記第二のタンパク質捕獲体に結合し得ることを特徴とする請求項11記載の核酸ライブラリー。
- 前記核酸としてDNAを含むライブラリーユニットにおいて、mRNA捕獲体が前記DNAに近接して設けられていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の核酸ライブラリー。
- 請求項1〜13のいずれかに記載の核酸ライブラリーが有する2種類以上のライブラリーユニットを、1の反応容器内のin vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系の液体中に一度に供して、前記ライブラリーユニットに含まれる核酸を一度に発現させることにより得られることを特徴とするタンパク質ライブラリー。
- 請求項1〜13のいずれかに記載の核酸ライブラリーが有する2種類以上のライブラリーユニットを、1の反応容器内のin vitro転写・翻訳系又はin vitro翻訳系の液体中に一度に供して、前記ライブラリーユニットに含まれる核酸を一度に発現させることにより得られることを特徴とするタンパク質ライブラリーの作製方法。
- 前記in vitro転写・翻訳系又は前記in vitro翻訳系の液体中に、第二のタンパク質捕獲体を混在させておくことを特徴とする請求項15記載のタンパク質ライブラリーの作製方法。
- 前記in vitro転写・翻訳系における転写反応を阻害しながら、前記核酸を一度に発現させることを特徴とする請求項15又は16記載のタンパク質ライブラリーの作製方法。
- 前記in vitro転写・翻訳系にRNAポリメラーゼ結合体を混在させて、前記in vitro転写・翻訳系における転写反応を阻害することを特徴とする請求項17記載のタンパク質ライブラリーの作製方法。
- 前記in vitro転写・翻訳系の温度を調節して、前記in vitro転写・翻訳系における転写反応を阻害することを特徴とする請求項17又は18記載のタンパク質ライブラリーの作製方法。
- 請求項1〜13のいずれかに記載の核酸ライブラリーと、第二のタンパク質捕獲体又はRNAポリメラーゼ結合体とを含むことを特徴とするタンパク質ライブラリーの作製用キット。
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