JP4444437B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願の発明は、プラズマを利用して基板の表面に所定の処理を施すプラズマ処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
基板の表面に所定の処理を施すことは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)をはじめとする各種半導体デバイスや液晶ディスプレイ等の製造において盛んに行われている。このような基板処理においては、処理容器内にプラズマを生成し、プラズマの作用によって基板の表面を所定の処理を施すプラズマ処理装置がある。例えば、レジストパターンをマスクとした表面のエッチング処理では、プラズマ中で生成されるイオンや活性種の作用を利用してエッチングを行うプラズマエッチング装置が多く使用されている。この種の装置によると、真空中で基板の処理を行うため基板の汚損が少なく、また、微細パターンの形成を容易に行うことができるメリットがある。
【0003】
プラズマ処理装置には、プラズマを形成する方式によって幾つかのタイプのものがある。このうち、一対の平行平板型の電極を採るものタイプのものがある。一方の電極は、基板を所定位置に保持する基板ホルダーに兼用されている。他方の電極(以下、対向電極)の表面は、基板に平行に対向する。多くの場合、基板ホルダーに兼用される一方の電極に高周波電源が接続され、高周波エネルギーによってプラズマが形成される。対向電極は、通常は接地される。高周波による電界は、基板に垂直であり、基板の表面方向で均一となる。このため、プラズマ中のイオンが基板に対して垂直にかつ均一に入射し、入射イオンの作用を利用してプラズマ処理を効率よくかつ均一に行える。
【0004】
対向電極は、通常、基板に対向する姿勢の表面板と、表面板が接触する主電極体とから構成される。主電極体は金属製であり、表面板を所定の電位に維持するための電圧導入部としての役割を持つ。
また、表面板は主電極体に対して着脱可能に設けられた構成とされる。表面板を着脱可能とするのは、表面板を交換可能にする必要があるからである。表面板を交換可能にするのは、以下のような理由による。
【0005】
上述したプラズマ処理装置において、形成したプラズマ中のイオン入射により電極の表面がエッチングされ、徐々に削られる。エッチングされない材料で電極を形成することも可能であるが、エッチングされない材料であると、多くの場合、電極の表面や処理容器の内壁面に堆積物が生じる。例えば、フッ化炭素系のガスのプラズマの場合、プラズマ中で分解生成された炭素が薄膜となって電極の表面等に堆積する。堆積物は、内部応力や重力等により剥離し、パーティクルとなる。パーティクルが基板の表面に付着すると、断線等の重大な回路欠陥を招く恐れがある。一方、電極の表面がシリコンのようなエッチングされる材料であると、生成物の堆積が抑制される。このため、パーティクルの発生もまた抑制される。
【0006】
このように表面板が削られる材料である場合、処理を繰り返すうちに表面板の厚さが薄くなる。従って、処理を所定回数繰り返した後、表面板を新しいものと交換する必要がある。
表面板は、ねじによって主電極体に取り付けられている。則ち、表面板はねじタップ孔を有し、このねじタップ孔を通して主電極体にねじ止めすることにより表面板が主電極体に取り付けられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の装置において、プラズマが形成された際、表面板は、プラズマから熱を受けて温度上昇して熱膨張する。この際、表面板はねじ止めされた部分で完全に固定されてしまっているため、この部分に大きな内部応力が発生する。このため、表面板が例えば単結晶シリコンのような脆い材料である場合、所定の交換時期が来る前に割れてしまうことがある。
【0008】
所定の交換時期が来る前に表面板が割れてしまうと、この分だけコスト高となってしまう。また、基板の処理中に表面板が割れてしまうと、割れた表面板が処理中の基板の上に落下することにより、基板上に形成された素子が破壊されてしまったり、最悪の場合、その基板を使用することができなくなってしまう。この結果、大きな損害が生じ、歩留まりの低下を生じさせてしまう。さらに、処理を再開するまでには、処理容器内を一旦大気圧に戻して開放し、割れた表面板を取り除く等した後、処理容器内を排気しなくてはならない。これらの作業には長時間を要し、生産性の低下を招くことになる。
【0009】
また、ねじによって表面板を主電極体に取り付ける構成では、表面板の温度分布が不均一になり易い。即ち、表面板が主電極体に接触する部分のうち、ねじ止めされている部分は熱接触性が高いものの、それ以外の部分は熱接触性が低い。プラズマからの熱によって表面板が温度上昇した際、熱は熱接触性が高いねじ止め部分から多く主電極体に伝わり、それ以外の部分ではあまり主電極体に伝わらない。このため、表面板のねじ止めされている部分の温度が他の部分に比べて相対的に低くなり、温度が不均一になる。主電極体が冷却機構を備えており、表面板から多くの熱を奪って表面板を冷却するような構成であると、この温度不均一化が大きくなる。
表面板に対向して配置された基板は、表面板から熱輻射を受け温度が上昇するが、表面板の温度が不均一であると、基板の表面温度も不均一になる。この結果、基板に対する処理も不均一になる問題がある。
【0010】
上記問題を、プラズマエッチングを例にしてより具体的に説明する。プラズマによるエッチングは、プラズマ中の化学種による膜堆積と競合する反応である。エッチングはイオンの作用が主であるため、温度にそれほど依存しないものの、膜堆積は中性重合種や活性種の作用が主であるため、温度依存性が高い。従って、表面板の温度が高い場所では、表面板への膜堆積が進まず、その結果として、基板9へ中性種が堆積してエッチングを阻止し、エッチング速度が低下する。このようなことから、基板9の表面の領域のうち、表面板の温度の高い部分に対向する部分はエッチング速度が低下する。これと逆のメカニズムで、基板9の表面の領域のうち、表面板の温度の低い部分に対向する部分はエッチング速度が高くなってしまう。
【0011】
このような課題は、プラズマエッチングに限らず、プラズマ処理一般に該当するものである。即ち、基板に対向させた状態の表面板を備えたプラズマ処理では、表面板の温度が不均一になると、基板の面内温度分布も不均一になってしまう。この結果、プラズマ処理の均一性が阻害される。
本願の発明は、上述したような課題を解決するために成されたものであって、表面板を破損する事故を未然に防ぐとともに表面板の表面の温度を均一にするという技術的意義を有している。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本願の請求項1記載の発明は、内部で基板に対して所定の処理がなされる処理容器と、処理容器内を排気する排気系と、処理容器内に所定のプロセスガスを導入するプロセスガス導入系と、プロセスガスにエネルギーを与えて処理容器内にプラズマを形成するプラズマ形成手段と、プラズマの作用によって所定の処理がなされる処理容器内の所定の位置に基板を保持する基板ホルダーとを備えたプラズマ処理装置であって、
前記基板ホルダーに保持された前記基板に対向する表面板を有する対向電極が設けられており、この対向電極は、表面板を挟んで持つ挟持機構を備えており、
前記対向電極は主電極体を有しており、前記表面板は前記挟持機構により主電極体に取り付けられており、
前記主電極体と前記表面板との間には、熱接触性を向上させるカーボンより成るシート状の部材が挟み込まれているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成において、前記対向電極は、前記主電極体を介して前記表面板を冷却する冷却機構備えているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の構成において、前記挟持機構は、前記表面板に面接触して前記主電極体とともに前記表面板の周辺部を挟む挟み具によって前記表面板を挟持するものであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明は、請求項3記載の構成において、前記表面板は、前記主電極体及び前記挟み具で挟まれた周辺部が段差になっていて前記挟み具と前記表面板とが面一の状態となっているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項5記載の発明は、請求項1記載の構成において、前記挟持機構の前記プラズマを臨む面が前記プラズマに晒されないように覆う保護カバーが設けられているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項6記載の発明は、請求項5記載の構成において、前記挟持機構は、前記表面板に面接触して前記主電極体とともに前記表面板の周辺部を挟む挟み具によって前記表面板を保持するものであり、前記表面板と挟み具と前記保護カバー、又は、前記表面板と前記保護カバーとは面一になっているという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項7記載の発明は、請求項1、2、3、4、5又は6記載の構成において、前記表面板は、多結晶シリコン又は単結晶シリコンから成るものであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項8記載の発明は、請求項3又は6記載の構成において、前記挟み具は、前記表面板を前記主電極体に押し付けるよう前記表面板以外の部材にねじ止めされたものであり、このねじ止めのトルクは1N・m以上であるという構成を有する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、プラズマ処理装置の一例としてプラズマエッチング装置を採り上げる。図1は本願発明の第一の実施形態のプラズマ処理装置の構成を示した正面断面概略図である。
図1に示す装置は、内部で基板9の表面のエッチングがなされる処理容器1と、処理容器1内に所定のプロセスガスを導入するプロセスガス導入系2と、プロセスガスにエネルギーを与えて処理容器1内にプラズマを形成するプラズマ形成手段3と、プラズマの作用によってエッチングされる処理容器1内の所定の位置に基板9を保持する基板ホルダー4と、基板ホルダー4に保持された基板9に対向する表面板5を有する対向電極6とから主に構成されている。
【0014】
処理容器1は、気密な真空容器であり、排気系11によって内部が排気されるようになっている。処理容器1は、ステンレス等の金属で形成されたおり、電気的には接地されている。排気系11は、ドライポンプ等の不図示の真空ポンプ及び不図示の排気速度調整器を備えており、処理容器1内を10−3Pa〜10Pa程度の真空圧力に維持することが可能になっている。
【0015】
プロセスガス導入系2は、プラズマエッチングに必要なプロセスガスを所定の流量で導入できるようになっている。本実施形態では、CHF等の反応性ガスをプロセスガスとして処理容器1内に導入するようになっている。プロセスガス導入系2は、CHF等のプロセスガスを溜めた不図示のガスボンベと、ガスボンベと処理容器1とを繋ぐ配管等から構成されている。
【0016】
プラズマ形成手段3は、導入されたプロセスガスに高周波エネルギーを与えてプラズマを形成するようになっている。則ち、プラズマ形成手段3は、基板ホルダー4に接続された基板側高周波電源31により構成されている。基板側高周波電源31は、周波数が数100kHz〜数10MHz程度のものが使用される。また、異なる周波数の二つの電源を並列につなげて使用する場合もある。基板高周波電源31の出力は、300〜2500W程度でよい。基板側高周波電源31が基板ホルダー4に高周波電源を印加すると、処理容器1内に高周波電界が設定され、導入されたプロセスガスに高周波放電が生じ、プラズマが形成される。この際、基板ホルダー4と表面板5とは、高周波放電を維持する電極として作用する。
【0017】
基板ホルダー4は、主ホルダー部41と、主ホルダー部41に接して設けられた基板保持ブロック42とから構成されている。主ホルダー部41は、アルミニウム又はステンレス等の金属で形成されており、上述した基板側高周波電源31が接続されている。基板保持ブロック42は、アルミナ等の誘電体で形成されており、表面が基板保持面になっている。
【0018】
基板ホルダー4には、基板9を静電気によって吸着させる基板吸着機構8が設けられている。基板吸着機構8は、基板保持ブロック42の内部に設けられた基板吸着電極82と、基板吸着電極82に所定の負の直流電圧を印加する基板吸着電源81とから構成されている。
具体的には、基板ホルダー4には、内部を貫き基板保持ブロック42に通じるように絶縁管84が設けられている。絶縁管84の内部には、導入部材83が挿通されており、一端が基板吸着電極82に接続されている。導入部材83の他端は、基板吸着電源81に接続されている。
【0019】
基板側高周波電源31は、キャパシタンス32を介して基板ホルダー4に接続されており、基板9の表面に自己バイアス電圧を生じさせるための自己バイアス用電源にも兼用されている。基板側高周波電源31がキャパシタンスを介して高周波電界を設定している状態で処理容器1内にプラズマが生成されると、プラズマと高周波電界の相互作用により、基板9の表面の電位は、高周波に負の直流電圧を重畳した変化となる。この負の直流分の電圧が自己バイアス電圧である。
【0020】
基板ホルダー4の基板保持面の周囲には、補正リング45が設けられている。補正リング45は、単結晶シリコン等の基板9と同じ材料で形成されている。基板9の周辺部分は、基板9の端面からの熱放散があるため、中央部分に比べて温度が低くなり易い。そこで、端面からの熱の放散に見合うだけの熱が与えられるように、基板9と同じ材料で形成された補正リング45を基板9の周囲に設けて基板9の温度を均一にしている。
【0021】
また、処理容器1内に形成されたプラズマは、エッチングされるイオンや電子によっても維持されている。プラズマの形成された空間全体のうち基板9の周辺部分を臨む部分は、基板9の中央部分を臨む部分に比べてイオンや電子の供給が少なく、プラズマ密度が低くなっている。このため、基板9と同じ材料で形成された補正リング45を周囲に設けることにより、基板9の周辺部分を臨む空間部分への電子やイオンの供給量を相対的に多くしてプラズマ密度を均一にしている。
【0022】
基板ホルダー4は、絶縁ブロック46を介して処理容器1に取り付けされている。絶縁ブロック46は、アルミナ等の絶縁材で形成されており、主ホルダー部41と処理容器1とを絶縁するとともに、主ホルダー部41をプラズマから保護するようになっている。尚、処理容器1内に真空リークが生じないようにするため、基板ホルダー4と絶縁ブロック46との間及び処理容器1と絶縁ブロック46との間に不図示のOリング等の封止部材が設けられている。
【0023】
次に、図1、図2、図3及び図4を使用して、本実施形態の装置の大きな特徴点を成す表面板5及び対向電極6の構成について説明する。図2は、図1に示す装置における表面板5の取付構造を説明する断面図、図3は図1及び図2に示す装置における表面板5の平面図、図4は図3の表面板5の断面図である。
【0024】
本実施形態の対向電極6は、表面板5を有し、金属製の主電極体61と、主電極体を内部に収容した絶縁ケース62とから成る構成である。処理容器1の上壁部には、対向電極6を取り付ける開口が設けられている。対向電極6は、この開口に気密に取り付けられ、処理容器1の内部に向けて下方に突出している。
図1に示すように、表面板5は、基板ホルダー4の基板保持面と平行に対向するようにして取り付けられている。表面板5は、図3から解るように円形の板である。
主電極体61は、アルミ又はステンレス等の金属製である。図1に示すように、主電極体61は、Tの字を上下逆にしたような断面形状であり、表面板5とほぼ同径の円盤状部と、円盤状部と同軸に形成されて上方に延びる円柱状の支柱部とから成っている。
【0025】
主電極体61には、スイッチ71を介してアース部72と補助高周波電源73とが並列に接続されている。即ち、主電極体61を接地電位に維持するか主電極体61に高周波電圧を印加するかが、スイッチ71によって選択できるようになっている。補助高周波電源73の周波数は基板ホルダー4に接続された基板側高周波電源31の周波数とは異なる方が好ましい。これは、二つの高周波の共振による大きなエネルギー負荷が処理容器1内に生ずるのを防ぐためである。補助高周波電源73の周波数は、例えば10〜100MHz程度でよい。また、出力は300〜3000W程度でよい。
【0026】
補助高周波電源73を基板側高周波電源31とともにプラズマ形成用として使用すると、プラズマに与えられる高周波エネルギーが高くなり、より高密度のプラズマが得られる。このため、エッチング速度が高くなる。尚、補助高周波電源73のみでプラズマを形成してもよく、この場合には、基板9から少し離れた表面板5の下面付近にプラズマが形成されるので、プラズマ中の荷電粒子等による基板9の損傷が抑制されるという効果がある。
【0027】
尚、主電極体61に高周波電圧が印加された場合、表面板5が誘電体製であると、表面板5の表面には自己バイアス電圧が生じる。また、表面板5が導体又は半導体であってもキャパシタンスを介して高周波電圧が印加されると、表面板5の表面は自己バイアス電圧である。また、主電極体61が接地された場合で、表面板5が誘電体製である場合、表面板5のプラズマを臨む側の表面(下面)は、絶縁電位(浮遊電位)を取る。
【0028】
また、主電極体61の下面には、不図示の凹部が形成されている。この凹部は、0.01〜1.00mm程度の深さの浅いものであり、平面視が表面板5と同軸で表面板5より少し径の小さい円形を成すよう形成されたものである。表面板5は、この凹部の外側の部分で主電極体61に面接触するようになっている。
【0029】
さて、本実施形態の大きな特徴点は、上述した表面板5が挟持機構63により主電極体61に取り付けられている点である。挟持機構63は、主電極体61とともに表面板5の周辺部を挟む挟み具631と、挟み具631を主電極体61に取り付けるねじ632とから主に構成されている。
挟み具631は、全体としては円環状の部材である。挟み具631は、断面で見ると、下端が内側に(中心軸よりに)折れ曲がっており、図2に示すように左側ではL字状の断面形状である。そして、挟み具631の内側に折れ曲がった部分が表面板5の周辺部の下側に位置しており、この部分で表面板5を挟んでいる。
【0030】
また、挟み具631の上端面は、絶縁ケース62の下端面に接触している。ねじ632は、挟み具631を絶縁ケース62に対して固定している。挟み具631には上下方向に貫通孔が形成されており、ねじ632はこの貫通孔に通されて先端が絶縁ケース62にねじ込まれている。この挟み具631の絶縁ケース62に対するねじ止めによって、表面板5が挟み具631と主電極体61との間に挟み込まれて保持されるようになっている。尚、挟み具631やねじ632は、適切な挟持作用が得られるよう、ステンレスやアルミ等の金属又はセラミックスで形成されている。
【0031】
上述したように、本実施形態では、表面板5は多結晶シリコンで形成されている。これは、上述したように表面板5がねじ止めではなく、挟持機構63により挟持されるものであることに密接に関連している。
即ち、表面板5は、前述したように、エッチング中に少しずつ削り取られる材料で形成されることが好ましい。このような材料としては、従来は石英(酸化シリコン)やカーボン等が使用されている。例えば基板9の表面に形成された酸化シリコン膜のエッチングの場合、同様のメカニズムで石英製の表面板5がエッチングされる。また、表面板5がカーボン製である場合、フッ化炭素系のガスを導入してプラズマを形成すると、プラズマ中の活性種又はイオンが作用して表面板5からカーボンを削り取り、フッ化炭素系の揮発物を生成する。
【0032】
しかしながら、このような石英やカーボンであっても、基板9を汚損する場合がある。例えば、石英がエッチングされる際に酸化シリコンが分解して酸素が放出され、この酸素が基板の表面を酸化させる問題が生ずる場合もある。このような点を考慮すると、最も基板9を汚損させる可能性が低いのは、基板9と同じ材質である。本実施形態では、基板9としてはシリコンウェーハが想定されており、このようなことから、多結晶シリコンを表面板の材質として選んでいる。
【0033】
多結晶シリコンは、機械強度的に弱く、表面板5を直接ねじ止めする従来の構成では、表面板5の材質として選定することはできなかった。しかしながら、本実施形態では、上述したように表面板5は挟持機構63で挟持されるのみであり、大きな内部応力が発生しないので、多結晶シリコンを表面板5の材質として選定している。尚、単結晶シリコンであっても、多結晶シリコンと同様の効果が得られることは勿論である。
【0034】
また、表面板5としては、多結晶シリコン又は単結晶シリコンの他に、シリコンカーバイト、シリコンを含有させたシリコンカーバイト、カーボン、シリコンナイトライド、アルミナ、サファイアもしくは石英で形成されたもの、カーボンで形成されたものの表面にシリコンカーバイドを堆積させたもの、又は、カーボンで形成されたものの表面をシリコンカーバイドで転化したものを使用することができる。
【0035】
また、図2に示すように、挟み具631及びねじ632は、保護カバー64によって覆われている。保護カバー64は、エッチング処理の際、挟み具631やねじ632がプラズマに晒されないようにするためのものである。挟み具631やねじ632がプラズマに晒されると、プラズマによってエッチングされる場合があり、エッチングされたものが基板9に達すると、基板9の汚損の原因となる場合がある。挟み具631やねじ632をエッチングされない材料で形成することも可能であるが、この場合は、挟み具631やねじ632がプラズマに晒されていると、プラズマ中の生成物が堆積し、堆積した物が剥がれてパーティクルを生ずる問題がある。
【0036】
このようなことを考慮し、本実施形態では、挟み具631及びねじ632を保護カバー64で覆っている。保護カバー64はプラズマに晒されることになるので、エッチングされても問題のない材料で形成されている。このような材料としては、前述した表面板5と同様に、石英(酸化シリコン)やカーボン等が挙げられる。
【0037】
保護カバー64は、図2に示すように、挟み具631と同様、断面がL字状で全体が円環状の部材である。保護カバー64は、内側に折れ曲がった部分で挟み具631やねじ632を覆ってプラズマから遮蔽している。保護カバー64は、垂直に延びる部分において絶縁ケース62の側面にねじ止めされている。このねじ止めを行うねじ641も、保護カバー64と同様に基板を汚損しない材料であると好ましい。但し、このねじ641は、表面板5と基板ホルダー4との間に形成されるプラズマから遠い位置に位置するので、ステンレスやアルミ等の材料でも構わない。
【0038】
一方、対向電極6の主電極体61には、冷却機構65が設けられている。冷却機構65は、主電極体61に冷媒を流通させて主電極体61を介して表面板5を冷却するものである。冷却機構65は、主電極体61内の空洞に冷媒を供給する冷媒供給管651と、空洞から冷媒を排出する冷媒排出管652と、冷媒の供給及び排出のためのポンプ又はサーキュレータ653等から構成されている。冷媒としては、例えば20〜80℃程度の3M社製のフロリナート(商品名)が使用され、主電極体61を介して表面板5を90〜150℃程度に冷却するよう構成されている。
【0039】
また、主電極体61と表面板5と間には、不図示のカーボンより成るシート状の部材(以下、カーボンシート)が挟み込まれている。カーボンシートは、表面板5と主電極体61の熱接触性を向上させるためのものである。表面板5は、前述したように主電極体61に接触するが、表面板5の表面や主電極体61の表面は完全な平坦面ではなく、両者の間には微小な隙間が存在する。この隙間は、真空圧力であることから熱伝導性が悪い。カーボンシートは、このような隙間を埋めて熱伝導性を向上させる意義がある。
カーボンシートとしては、繊維状カーボンを圧縮整形したものが使用できる。カーボンシートの厚さは0.02〜4mm程度、好ましくは2mm程度である。尚、カーボンシート以外にも、シート状の導電性ゴム又はインジウム等を同様の目的で使用することができる。
【0040】
また、主電極体61には、プロセスガス導入系2がプロセスガスを処理容器1内に導入するためのガス流路611が設けられている。ガス流路611は、図1に示すように主電極体61を上下方向に貫通するようにして設けられている。プロセスガス導入系2の配管は、このガス流路611の上端に接続されている。
【0041】
また、表面板5も、処理容器1内にプロセスガスを導入する際の経路となっている。即ち、図3及び図4に示すように、表面板5にはガス導入孔51が複数形成されている。ガス導入孔51は、表面板5をその板厚方向(上下方向)に貫通するよう設けられた孔である。主電極体61のガス流路611を通して流れてきたプロセスガスは、主電極体61の下面に形成された不図示の凹部に一旦溜まり、そこから表面板5のガス導入孔51を通して表面板5の下方に流れるようになっている。この結果、表面板5と基板ホルダー4との間にはプロセスガスが導入され、前述したようにプラズマが形成されるようになっている。
【0042】
尚、プロセスガスが均一に導入されるよう、表面板5の複数のガス導入孔51は均一に設けられている。即ち、図3に示すように、直角格子の各交点の位置に相当する位置に各ガス導入孔51が設けられている。各ガス導入孔51の直径は0.3〜0.8mm程度、各ガス導入孔51の間隔は、各ガス導入孔51の中心で見た場合、8〜15mm程度である。
【0043】
本実施形態では、基板ホルダー4の表面と表面板5の表面との距離を4mm以上60mm以下の距離にすることが好ましい。圧力にも依存するが、この距離を4mm未満にした場合、プラズマのいわゆるデバイ距離に近くなってくるため、この空間にプラズマが生成されにくい。また、60mmを超えるとプラズマが処理容器1内に広く拡散してしまい、プラズマ密度が減少してエッチング速度が低下する恐れがある。
【0044】
また、表面板5の大きさ(基板9と対向する面積の大きさ)は、基板9の1倍以上2倍以下であることが好ましい。表面板5が基板9より小さくなると、基板9の周辺部を臨む空間でプラズマ密度が低くなる結果、基板9の周辺部でエッチング速度が低下し、エッチングが不均一になる問題がある。また、基板9の2倍以上の大きさであると、放電空間が不必要に大きくなり、処理容器1が大型化する問題がある。また、投入電力の体積密度が低くなる結果、プラズマ密度が低下する問題もある。
【0045】
次に、第一の実施形態のプラズマ処理装置の動作について説明する。
不図示の搬送機構によって基板9が処理容器1内に搬入され基板ホルダー4の基板保持面に載置されると、基板吸着機構8が動作し、基板9は基板保持面に静電吸着される。排気系11によって処理容器1内は予め所定の圧力まで排気されている。この状態で、プロセスガス導入系2が動作し、所定のプロセスガスが導入される。そして、基板側高周波電源31により基板ホルダー4に高周波電力が印加され、プロセスガスに高周波放電が生じ、プラズマが形成される。プラズマ中では、プロセスガスのラジカルが生成される。また、基板ホルダー4に高周波電圧が印加され、高周波とプラズマとの相互作用により基板9の表面に負の自己バイアス電圧が生じる。この負の自己バイアス電圧により、基板9に垂直な電界が設定され、プラズマ中のイオンが基板9に垂直に入射する。
【0046】
入射イオンのエネルギーを利用しながら、基板9の表面は、プロセスガスのラジカルとの反応によりエッチングされる。即ち、反応性プラズマエッチングが行われる。所定時間エッチングを行った後、プロセスガス導入系2及び基板側高周波電源31の動作を停止し、処理容器1内を排気した後、不図示の搬送機構によって基板9が搬出され、基板9のエッチング処理が終了する。そして、次の基板9を処理容器1内に搬入して同様にエッチング処理を繰り返す。尚、エッチング処理を繰り返すうち、保護カバー64が削られて摩耗するので、所定回数のエッチング処理を行った後、保護カバー64を新しいものと交換する。
【0047】
上記構成及び動作に係る本実施形態のプラズマ処理装置では、表面板5が主電極体61に対してねじ止めでなく挟持機構63により単に挟持するだけであるので、従来のように表面板5に局所的に大きな内部応力が発生するのが防止されている。従って、表面板5が割れる事故が発生しない。そして、挟み具631と表面板5との接触面積を大きくすることで、表面板5に加えられる圧力を低くしつつ充分に表面板5を保持することが可能である。
【0048】
また、主電極体61に対する押し付の圧力がねじ止めに比べてより均一に加わるので、表面板5の主電極体61に対する熱接触性もより均一となる。このため、プラズマからの熱によって温度上昇した際、表面板5の温度分布は従来に比べて均一になる。このため、基板9に対するエッチング処理もより均一になる。
【0049】
さらに、上述したような挟持機構63によると、主電極体61が表面板5を保持する力(本実施形態では、主電極体61に対する押し付けの力)を全体としてねじ止めの場合に比べて大きくすることができる。即ち、ねじ止めの場合、全体の押し付けの力を大きくしようとすると、ねじ止めをきつくせざるを得ないため、ねじ止め箇所の圧力が大きくならざるを得ない。この場合、表面板5の割れ等の防止を考慮してねじ止めの強さを高くすることには限界がある。一方、本実施形態のように、表面板5に面接触する挟み具631により挟持するようにすると、押し付けの力が分散して加わるので、押し付けの力を大きくしても割れ等の問題は生じない。
【0050】
このように主電極体61に対する全体としての押し付けの力を大きくできることは、表面板5の温度制御の点から重要な技術的意義を有する。以下、この点について図5を用いて詳説する。図5は、表面板5の温度制御に関する技術的意義を説明する図であり、エッチングを繰り返す際の表面板5の温度変化について示した図である。図5中の(1)は、従来のように表面板5が主電極体61にねじ止めされている場合の表面板5の温度変化を、(2)は、本実施形態における表面板5の温度変化を示している。
【0051】
まず、表面板5がねじ止めによって取り付けられていて主電極体61に対する熱接触性が悪い場合、一回のエッチングの時間内では熱平衡に達することなく基板9の温度は上昇し続けてエッチングが終了する。そして、次のエッチングが開始されるまでの間(以下、インターバルと呼ぶ)、表面板5は冷却機構65により冷却されて温度が下降するものの、全体の熱接触性が悪いため、図5(1)に示すように、エッチング開始当初の温度(to)までは冷却されない。この状態で次のエッチングが開始され、表面板5は再びプラズマからの熱を受けて温度が上昇する。この際、エッチング開始当初の温度が前回のエッチングよりも高いため、エッチング中に表面板5が到達する最高温度(以下、到達温度と呼ぶ)は、前回のエッチングでの到達温度よりも高くなってしまう。そしてさらに次の回のエッチングの際には、到達温度は前回よりも高くなり、エッチングを繰り返す毎に到達温度がどんどん高くなってしまう。
【0052】
従って、表面板5をねじ止めする装置では、一回のエッチングにおける表面板5の温度の時間平均(以下、時間平均温度と呼ぶ)tは、図5(1)に示すように、エッチングを繰り返すたびに徐々に高くなる。但し、時間平均温度tは、ある温度で熱平衡に達し、それ以上は上昇しなくなる。尚、ここでいう熱平衡とは、一回のエッチング中に表面板5が受ける熱の総量と表面板5から奪われる熱の総量が等しくなり、時間平均温度tがエッチングのたびに変化することが無いという意味での熱平衡(以下、時間平均熱平衡と呼ぶ)である。時間平均温度tは、時間平均熱平衡に達して上昇しなくなるものの、それまでの間は時間平均温度tがエッチングのたびに異なるため、表面板5から基板9に与えられる熱の総量がエッチングのたびに異なり、従って、エッチングされる量にも差が生じてしまう問題がある。
【0053】
表面板5をねじ止めする装置において時間平均温度を一定にする方法として、表面板5を予めエージングする方法がある。具体的には、表面板5を加熱するヒータを設け、表面板5を予め加熱し一枚目の基板9のエッチングから、表面板5が熱平衡に到達しているようにする。
しかし、このエージングを行うことは、装置の稼働を開始するまでの工程が増えることになるとともに、長い時間を要するため、生産性の低下を生じさせる問題がある。また、この方法により表面板5の時間平均温度は一定になるものの、表面板5の使用温度が全体的に高くなるため、熱損傷を受けて寿命が短くなる恐れがある。表面板5の受ける熱損傷を無くす程度まで表面板5を冷却しようとすると、熱伝達効率が悪いため、冷却機構65を大がかりにする必要がある。
【0054】
一方、本実地形態の装置では、主電極体61に対する表面板5の熱接触性が向上しているので図5(2)に示すように、一回のエッチングにおける表面板5の到達温度が低くなり、また、表面板5は一回のエッチング中に熱平衡に達する。そして、インターバルにおいて表面板5はエッチング開始当初の温度(to)まで冷却される。このため、一回のエッチング中における表面板5の温度変化が少なくなるとともに、時間平均温度も一定に保たれた状態でエッチングを繰り返すことができる。このため、一回のエッチング処理においてエッチングがより均一に進行するとともに、エッチング処理を繰り返す過程でもより均一な再現性の高いエッチング処理を行うことができる。
さらに、本実施形態の装置では、エージングを行う場合に比べて、表面板5の使用温度が低いため、表面板5の寿命が短くなることがない。また、エージングを行う必要が無いため、生産性を低下させることがない。
【0055】
以上は専ら熱接触性に関する技術的意義の説明であったが、本実施形態によれば、主電極体61に対する表面板5の電気的接触性も向上する。即ち、ねじ止めによる場合、ねじ止めのトルクをあまり大きくできないため、主電極体61に対する表面板5の電気的接触性が不充分になる恐れがある。この結果、表面板5に必要な電位が与えられず、放電によるプラズマが不充分となる恐れがある。例えば、表面体5と主電極体61との間のインピーダンスが高くなり、その部分での高周波の損失が大きくなる等の問題が生ずる。一方、本実施形態では、主電極61とともに挟み具631により表面板5が挟持される構成なので、その挟持の圧力を高くすることができる。このため、表面板5と主電極体61との電気的接触性も充分に維持される。
【0056】
次に、本願発明の第二の実施形態について説明する。
図6は、第二の実施形態のプラズマ処理装置の要部の構成を示す断面概略図である。第二の実施形態の特徴点は、表面板5と挟み具631とが面一になっている点である。即ち、図6に示すように、表面板5の周辺部に段差が設けられている。挟み具631の内側に折れ曲がった部分の厚さは、この表面板5の段差の高さにほぼ等しくなっている。そして、挟み具631の内側に折れ曲がった部分が表面板5の段差の部分に当接している。
【0057】
第二の実施形態においても、挟み具631は、ねじ632により絶縁ケース62に固定されている。これにより、挟み具631が主電極体61とともに表面板5をその周辺部で狭持した構造となっている。
この第二の実施形態の装置において、表面板5と挟み具631とを面一にするのは、表面板5の周辺部を臨む空間におけるプラズマの特性改善を意図したものである。上述したように、エッチング処理は、表面板5と基板ホルダー4との間にプラズマを形成することにより行われる。基板9の表面に均一なエッチング処理を施すには、この表面の方向に均一なプラズマを形成することが肝要である。
【0058】
ここで、第一の実施形態では、表面板5と挟み具631が面一ではなく、挟み具631の下面が表面板5より下方に位置している。そして、その挟み具631の下側にさらに保護カバー64が位置している。従って、第一の実施形態では、表面板5の周辺部で部分が下方に突出した状態となっており、完全な平行平板型の電極構造にはなっていない。このような構造であると、挟み具631が設けられた箇所を臨む空間領域で電界分布が乱れる等の理由からプラズマの均一性が低下する恐れがある。電界分布の乱れとは、高周波電源により設定される高周波電界、又は、プラズマの周囲に形成されるシース電界の乱れ等である。
【0059】
一方、この第二の実施形態では、表面板5と挟み具631が面一になっているため、表面板5の下面から突出しているのは保護カバー64のみとなっている。つまり、第一の実施形態に比べ表面板5の下面からの突出量が小さくなっている。このため、電界分布の乱れ等に起因するプラズマ密度の不均一化の問題が抑制されている。
【0060】
次に、本願発明の第三の実施形態について説明する。
図7は、第三の実施形態のプラズマ処理装置の要部の構成を示す断面概略図である。第三の実施形態の特徴点は、表面板5と挟み具631と保護カバー64とが面一になっている点である。
【0061】
即ち、図7に示すように、表面板5の周辺部には第二の実施形態と同様に段差が設けられている。挟み具631は円環状であり、その内側に折れ曲がった部分が表面板5の段差の部分に当接し、表面板5と挟み具631とが面一になっている。そして、挟み具631は、貫通孔の下側に周状に延びる段差を有しており、この段差の部分を占めるようにして保護カバー64が設けられている。保護カバー64も円環状であり、その内側に折れ曲がった部分が挟み具631の段差の部分に当接し、挟み具631と保護カバー64とが面一になっている。
【0062】
このように、表面板5、挟み具631及び保護カバー64が面一であることから、第三の実施形態では、表面板5の下面から下方に突出する部材は存在しない。従って、ほぼ完全な平行平板型の電極構造が達成されている。このため、第二の実施形態に比べ、基板9の表面の方向にさらに均一なプラズマが形成でき、さらに均一なエッチング処理を基板9の表面に対して施すことができる。
尚、この第三の実施形態では、挟み具631がプラズマに晒される恐れがあるため、表面板5と同様に、基板9の汚損原因を作らない材料で形成されることが好ましい。例えば、単結晶シリコン等である。
【0063】
次に、本願発明の第四の実施形態について説明する。
図8は、第四の実施形態のプラズマ処理装置の要部の構成を示す断面概略図である。第四の実施形態の特徴点は、表面板5と保護カバー64とが面一になっている点である。即ち、図8に示すように、表面板5の周辺部には第二、第三の実施形態と同様に段差が設けられている。この段差は、挟み具631の内側に折れ曲がった部分及び保護カバー64の内側に折れ曲がった部分の合計の厚さにほぼ等しくなっている。そして、挟み具631の内側に折れ曲がった部分及び保護カバー64の内側に折れ曲がった部分が表面板5の段差を埋めた構造となっている。このため、図8に示すように、保護カバー64と表面板5とが面一の状態となっている。
【0064】
表面板5と保護カバー64とが面一であることから、第四の実施形態では、表面板5の下面から下方に突出する部材は存在しない。従って、ほぼ完全な平行平板型の電極構造が達成されている。このため、第二の実施形態に比べ、基板9の表面の方向にさらに均一なプラズマが形成でき、さらに均一なエッチング処理を基板の表面に対して施すことができる。また、第三の実施形態に比較すると、挟み具631がプラズマに晒されないことから、挟み具631の材質が限定されないメリットがある。
【0065】
【実施例】
上述した各実施形態に共通する実施例について、以下に説明する。各実施形態の装置は、以下のような条件で稼働すると好適である。
処理容器1内の圧力:35mTorr
プロセスガス:C48,O2及びArの混合ガス
プロセスガスの流量
48:22.5sccm
2:10.0sccm
Ar:400sccm
基板側高周波電源31:周波数60MHz,出力1750W
補助高周波電源73:周波数1.6MHz,出力2000W
表面板5の材質:多結晶シリコン
表面板5の厚さ:10mm
表面板5の直径:285mm
主電極体61内の冷媒:フロリナート
冷媒の温度:20〜80℃
冷媒の流量:15リットル/分
表面板5と基板ホルダー4との距離:24mm
【0066】
表面にBPSG膜(ボロン添加燐ガラス膜)が形成された直径200mmのシリコンウェーハを基板として使用し、上記条件でエッチングを行うと、BPSG膜は、6000オングストローム/分程度の速度でエッチングされる。尚、「sccm」は、0℃1気圧に換算した気体の流量(standard cubic centimeter par minute)である。
【0067】
また、発明者は、上記条件で装置を運転したところ、従来に比べて大きな力を加えて表面板5を取り付けても表面板5の割れ等の事故が発生しないことを実験的に確認した。この実験について、表1を使用して説明する。表1は、主電極体61が表面板5を保持する力を大きくできることを確認した実験の結果について示す表である。
【0068】
表1に示す実験では、表面板5を主電極体61に直接ねじ止めした装置と、前述した各実施形態のように挟持機構63により挟持した装置とを用意した。そして、表面板5を主電極体61に直接ねじ止めする際そのねじ止めのトルクと、各実施形態のように表面板5を挟み具631で挟む際のその挟み具631のねじ止めのトルクを色々変えながら上記実施例の条件で装置を稼働させた。そして、エッチング処理を2000回程度繰り返し、表面板5の割れが無いか、ねじ632のゆるみが無いかを調べた。
【0069】
【表1】
Figure 0004444437
表1において、「表面板5の割れ」の欄における○は表面板5が割れなかったことを、×は表面板5が割れたことを意味する。また、「ねじのゆるみ」の欄における○はねじのゆるみが無かったことを、×はねじのゆるみがあったことを意味する。
【0070】
表1に示すように、表面板5を主電極体61に直接ねじ止めする構成では、0.5N・mを超えるトルクでねじ止めしてしまうと表面板5が割れてしまった。従って、0.5N・m以下のトルクでねじ止めしなければならないことが解る。しかし、0.08N・mのねじ止めでは、締め付け力が弱くねじのゆるみが発生してしまっている。これは、エッチングとインターバルとを繰り返す過程で、表面板5やねじが熱膨張と熱収縮を繰り返し、熱膨張率や熱収縮率の違い等からねじがゆるんだものと推測される。このようなねじのゆるみがあると、主電極体61に対する表面板5の取り付け強度や熱接触性の点でかなり不充分になっていると予想される。
【0071】
一方、表1に示すように、表面板5を挟み具631で挟んで挟み具631をねじ止めする構成では、2.0N・mまでトルクを大きくしていっても表面板5の割れは発生しなかった。また、1.0N・m以上のトルクによればねじのゆるみも確認されなかった。このように、各実施形態の装置によれば、大きな力で表面板5を主電極体61に押し付けても表面板5の割れが無く、このため、主電極体61に対する表面板5の熱接触性をより高くすることができる。
【0072】
次に、良好な熱接触性を得るためのねじ止めのトルクの条件について、図9を使用して説明する。図9は、挟み具631のねじ止めトルクと、主電極体61に対する表面板5の熱接触性との関係について調べた実験の結果を示す図である。図9に示す実験では、挟み具631をねじ止めするトルクを変えながら上記実施例の条件で第一の実施形態の装置を稼働させ、その際の表面板5と主電極体61との間の熱抵抗(K・W-1・m-1)の大きさを測定した。
【0073】
図9に示すように、ねじ止めのトルクを大きくするに従い熱抵抗は減少しており、熱接触性が向上していることが判る。そして、熱抵抗の減少は1.0N・m程度から緩慢になり、1.5N・m程度以上ではトルクを大きくしても熱抵抗は殆ど変わらなくなる。この図9に示す結果及び表1の結果から、ねじ止めのトルクは1.0N・m以上にすると、ねじのゆるみが無く且つ熱接触性の向上という効果が充分に得られる構成となる。
【0074】
次に、ねじ止めのトルクとエッチングの再現性との関連について調べた実験の結果について説明する。図10は、ねじ止めのトルクとエッチングの再現性との関連について調べた実験の結果を示した図である。図10に示す実験では、第一の実施形態の装置を上記実施例の条件で稼働させてエッチング処理を繰り返す際、挟み具631のねじ止めトルクが0.08N・mの場合と、1.2N・mの場合とで、エッチング速度がどのように異なるかを調べたものである。
【0075】
図10から判るように、0.08N・mの場合は、5回目程度までの処理においてエッチング速度が急激に低くなっている。即ち、エッチングの再現性が急激に低下している。これは、表面板5と主電極体61との間の熱接触性が悪いために表面板5の温度(時間平均温度)が上昇したことによるものと思われる。いずれにしても、0.08N・mの場合にはエッチング速度の再現性が低く、オーバーエッチングやエッチング不足等の問題を生じやすい。尚、0.08N・mの場合に1.2N・mの場合よりもエッチング速度が高いのは、表面板5が効率良く冷却される結果、基板9への熱輻射が少なくなり、基板9の温度が最適な範囲に維持されることによるものと推測される。
【0076】
上述した各実施形態及び実施例において、表面板5の材質としては、前述した多結晶シリコン、単結晶シリコン、石英、カーボンの他、シリコンカーバイド、シリコンを含浸させたシリコンカーバイド等でもよい。また、表面にシリコンカーバイドを堆積させたカーボン、表面をシリコンカーバイドに転化したカーボン等で表面板5を構成することもできる。さらに、シリコンナイトライド、アルミナ、サファイア等の絶縁性の材料によっても表面板5を構成することができる。
【0077】
挟み機構63の構成として、主電極体61とともに表面板5の周辺部を挟む挟み具631をねじ止めによって取り付ける構成を説明したが、これ以外にも多くの構成が考えられる。例えば、主電極体61とは別に一対の挟み具を用いて挟持する構成や、主電極体61とともに表面板5を挟む挟み具をスプリング等の弾性部材によって主電極体61に向けて押し付ける構成等である。
また、上述した各実施形態及び実施例では、挟み具631は絶縁ケース62にねじ止めされたが、ねじ止め以外の方法で絶縁ケース62に取り付けてもよい。また、主電極体61等の表面板5以外の他の部材に対して挟み具631を取り付けてもよい。
【0078】
上述した各実施形態及び実施例では、表面板5と基板ホルダー4とは水平な姿勢で平行に対向する構成であったが、垂直な姿勢で対向する構成でもよい。さらに、基板9は、半導体ウェーハの他、液晶基板等であってもよい。
また、プラズマ形成手段3は、基板ホルダー4に高周波電圧を印加するよう構成したが、表面板5に高周波電圧を印加してプラズマを形成するよう構成しても良い。
【0079】
また、基板ホルダー4にプラズマ形成のための高周波電圧を印加しない場合、基板9の表面には自己バイアス電圧は生じないが、イオンの入射を必要としない反応性エッチング等に好適に使用することができる。また、表面板5と、基板ホルダー4との両方に高周波電圧を印加するよう構成することもできる。この場合、表面板5に印加された高周波電圧によってプラズマを形成し、基板ホルダー4に印加された高周波電圧によって自己バイアス電圧を生じさせてイオン入射させることができる。
【0080】
上述した説明では、プラズマエッチング装置を例にしたが、プラズマ化学蒸着(CVD)装置、プラズマアッシング装置、プラズマ表面窒化装置等の他の各種のプラズマ処理装置についても同様に実施できる。例えばプラズマ化学蒸着装置であれば、シランと水素の混合ガスのような堆積作用のあるガスを導入してプラズマを形成する。また、プラズマアッシング装置の場合、酸素のようなアッシング作用のあるガスを導入してプラズマを形成する。
【0081】
【発明の効果】
以上説明した通り、本願の請求項1の発明によれば、表面板が挟持機構によって挟持されるものであるため、大きな内部応力が発生することがなく、表面板の割れ等の恐れが少なくなり、歩留まりの低下を防ぐことができる。また、表面板と主電極体との熱伝導性が向上するので、上記効果がさらに高く得られる。
また、請求項2の発明によれば、上記効果に加え、表面板が冷却されるので、表面板の熱応力が緩和されて表面板の割れ等の恐れがさらに少なくなる。また、主電極体に対する表面板の熱接触性を向上させることができるので、表面板の温度上昇を抑制して、処理速度を高めたり、処理の再現性を向上させたりすることができる。
また、請求項3の発明によれば、上記効果に加え、表面板に面接触する挟み具により表面板が挟持されるので、表面板を保持する力をより大きくしても表面板の割れ等の恐れが少なく、熱接触性や電気的接触性をさらに向上させることができる。また、ねじ止めの場合に比べ、主電極体に対する表面板の熱接触性も均一になるので、表面板の温度も均一になる。この結果、基板に対する処理も均一に行われる。
また、請求項4の発明によれば、上記効果に加え、表面板と挟み具が面一なので、挟み具が表面板から突出することがなく、その部分で電界の状態が均一になる。このため、プラズマの均一性が向上し、基板に対する処理も均一に行われる。
また、請求項5の発明によれば、上記効果に加え、挟持機構が保護カバーによって覆われているので、挟持機構がプラズマに晒されることがない。このため、挟持機構を構成する部材の表面から基板を汚損する物質が放出されるのが防止される。また、挟持機構を構成する部材の材質の選定の自由度が増し、最適が挟持圧力が得られるよう最適な材質を選定することができる。
また、請求項6の発明によれば、上記効果に加え、表面板と挟み具と保護カバー、又は、表面板と保護カバーとが面一になっているので、挟み具及び又は保護カバーが表面板から突出することがなく、その部分で電界の状態が均一になる。このため、プラズマの均一性が向上し、基板に対する処理も均一に行われる。
また、請求項7の発明によれば、上記効果に加え、表面板が多結晶シリコン又は単結晶シリコンから成るので、基板がシリコンウェーハである場合に基板を汚損する恐れを最も低くすることができる。
また、請求項8の発明によれば、上記効果に加え、挟み具が表面板を主電極体に押し付けるよう表面板以外の部材にねじ止めされているものであって、ねじ止めのトルクが1N・m以上であるので、表面板と主電極体との熱接触性を良好に保てるとともねじのゆるみの無い好適な結果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の第一の実施形態のプラズマ処理装置の構成を示した正面断面概略図である。
【図2】図1に示す装置における表面板5の取付構造を説明する断面図である。
【図3】図1及び図2に示す装置における表面板5の平面図である。
【図4】図3の表面板5の断面図である。
【図5】表面板5の温度制御に関する技術的意義を説明する図であり、エッチングを繰り返す際の表面板5の温度変化について示した図である。
【図6】第二の実施形態のプラズマ処理装置の要部の構成を示す正面断面概略図である。
【図7】第三の実施形態のプラズマ処理装置の要部の構成を示す正面断面概略図である。
【図8】第四の実施形態のプラズマ処理装置の要部の構成を示す正面断面概略図である。
【図9】挟み具631のねじ止めトルクと、主電極体61に対する表面板5の熱接触性との関係について調べた実験の結果を示す図である。
【図10】ねじ止めのトルクとエッチングの再現性との関連について調べた実験の結果を示した図である。
【符号の説明】
1 処理容器
11 排気系
2 プロセスガス導入系
3 プラズマ形成手段
31 基板側高周波電源
4 基板ホルダー
5 表面板
51 ガス吹き出し孔
6 対向電極
61 主電極体
62 絶縁ケース
63 挟持機構
631 挟み具
632 ねじ
64 保護カバー
641 ねじ
65 冷却機構
651 冷媒
9 基板

Claims (8)

  1. 内部で基板に対して所定の処理がなされる処理容器と、処理容器内を排気する排気系と、処理容器内に所定のプロセスガスを導入するプロセスガス導入系と、プロセスガスにエネルギーを与えて処理容器内にプラズマを形成するプラズマ形成手段と、プラズマの作用によって所定の処理がなされる処理容器内の所定の位置に基板を保持する基板ホルダーとを備えたプラズマ処理装置であって、
    前記基板ホルダーに保持された前記基板に対向する表面板を有する対向電極が設けられており、この対向電極は、表面板を挟んで持つ挟持機構を備えており、
    前記対向電極は主電極体を有しており、前記表面板は前記挟持機構により主電極体に取り付けられており、
    前記主電極体と前記表面板との間には、熱接触性を向上させるカーボンより成るシート状の部材が挟み込まれていることを特徴とするプラズマ処理装置。
    いることを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 前記対向電極は、前記主電極体を介して前記表面板を冷却する冷却機構を備えていることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記挟持機構は、前記表面板に面接触して前記主電極体とともに前記表面板の周辺部を挟む挟み具によって前記表面板を挟持するものであることを特徴とする請求項1又は2記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記表面板は、前記主電極体及び前記挟み具で挟まれた周辺部が段差になっていて前記挟み具と前記表面板とが面一の状態となっていることを特徴とする請求項3記載のプラズマ処理装置。
  5. 前記挟持機構の前記プラズマを臨む面が前記プラズマに晒されないように覆う保護カバーが設けられていることを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
  6. 前記挟持機構は、前記表面板に面接触して前記主電極体とともに前記表面板の周辺部を挟む挟み具によって前記表面板を保持するものであり、前記表面板と挟み具と前記保護カバー、又は、前記表面板と前記保護カバーとは面一になっていることを特徴とする請求項5記載のプラズマ処理装置。
  7. 前記表面板は、多結晶シリコン又は単結晶シリコンから成るものであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載のプラズマ処理装置
  8. 前記挟み具は、前記表面板を前記主電極体に押し付けるよう前記表面板以外の部材にねじ止めされたものであり、このねじ止めのトルクは1N・m以上であることを特徴とする請求項3又は6記載のプラズマ処理装置。
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