JP4448330B2 - マツタケ由来陰イオン交換樹脂吸着画分、免疫増強剤、及びストレス負荷回復促進剤 - Google Patents
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Description
以上の結果から、生物製剤の中でも、西洋医学による精製物ではかえって抗腫瘍効果がなく、有効成分を含む抽出物の方が効果があることがわかり(海老名,癌と化学療法,28,1515−1518,2001)、漢方医学の漢方薬のように、数種類の生薬の混合物とも異なる第三の医学・統合医学の発想に結びついた(海老名,医学のあゆみ,194,690−692,2000)。
更に、本発明者は、マツタケ熱水抽出液、マツタケのアルカリ溶液抽出液、あるいは、マツタケ熱水抽出液又はマツタケアルカリ溶液抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分が、免疫増強活性を有することを既に見出している(WO01/49308号公報)。
(a)フェノール硫酸法によるグルコース換算値としての糖質含量が60〜72%であり、
(b)銅フォリン法によるアルブミン換算値としてのタンパク質含量が28〜40%である
前記陰イオン交換樹脂吸着画分により解決することができる。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分と、薬剤学的に許容することのできる担体とを含有する、免疫増強組成物に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分を、それ単独で、あるいは、所望により1又はそれ以上の食品成分と共に含有する、免疫増強健康食品に関する。
本発明の免疫増強健康食品の好ましい態様によれば、前記健康食品が機能性食品である。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分の、免疫増強組成物又は免疫増強健康食品を製造するための使用に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分を有効成分として含有する、転移巣治療又は予防剤に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分と、薬剤学的に許容することのできる担体とを含有する、転移巣治療又は予防組成物に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分を、それ単独で、あるいは、所望により1又はそれ以上の食品成分と共に含有する、転移巣治療又は予防健康食品に関する。
本発明の転移巣治療又は予防健康食品の好ましい態様によれば、前記健康食品が機能性食品である。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分の、転移巣治療若しくは予防組成物又は転移巣治療若しくは予防健康食品を製造するための使用に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分を有効成分として含有する、血清IAP値上昇剤に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分と、薬剤学的に許容することのできる担体とを含有する、血清IAP値上昇組成物に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分を、それ単独で、あるいは、所望により1又はそれ以上の食品成分と共に含有する、血清IAP値上昇健康食品に関する。
本発明の血清IAP値上昇健康食品の好ましい態様によれば、前記健康食品が機能性食品である。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分の、血清IAP値上昇組成物又は血清IAP値上昇健康食品を製造するための使用に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分を有効成分として含有する、ストレス負荷回復促進剤に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分と、薬剤学的に許容することのできる担体とを含有する、ストレス負荷回復促進組成物に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分を、それ単独で、あるいは、所望により1又はそれ以上の食品成分と共に含有する、ストレス負荷回復促進健康食品に関する。
本発明のストレス負荷回復促進健康食品の好ましい態様によれば、前記健康食品が機能性食品である。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分の、ストレス負荷回復促進組成物又はストレス負荷回復促進健康食品を製造するための使用に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分を有効成分として含有する、免疫増強剤(但し、転移巣治療又は予防剤及び血清IAP値上昇剤を除く)に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分と、薬剤学的に許容することのできる担体とを含有する、免疫増強組成物(但し、転移巣治療又は予防組成物及び血清IAP値上昇組成物を除く)に関する。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分を、それ単独で、あるいは、所望により1又はそれ以上の食品成分と共に含有する、免疫増強健康食品(但し、転移巣治療又は予防健康食品及び血清IAP値上昇健康食品を除く)に関する。
本発明の免疫増強健康食品の好ましい態様によれば、前記健康食品が機能性食品である。
また、本発明は、前記陰イオン交換樹脂吸着画分の、免疫増強組成物(但し、転移巣治療又は予防組成物及び血清IAP値上昇組成物を除く)又は免疫増強健康食品(但し、転移巣治療又は予防健康食品及び血清IAP値上昇健康食品を除く)を製造するための使用に関する。
本発明の免疫増強剤又はストレス負荷回復促進剤は、有効成分として、マツタケFERM BP−7304株[Tricholoma matsutake(S.Ito & Imai)Sing.CM6271]の菌糸体の熱水抽出液(以下、単に「菌糸体熱水抽出液」と称することがある)と、前記菌糸体熱水抽出液を得る際に残留する菌糸体残渣のアルカリ溶液抽出液(以下、単に「菌糸体残渣アルカリ溶液抽出液」と称することがある)とを混合して得られる混合液(以下、単に「混合抽出液」と称することがある)の陰イオン交換樹脂吸着画分であって、
(a)フェノール硫酸法によるグルコース換算値としての糖質含量が60〜72%(好ましくは62〜70%)であり、
(b)銅フォリン法によるアルブミン換算値としてのタンパク質含量が28〜40%(好ましくは30〜38%)である
前記混合抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分を含有する。
マツタケFERM BP−7304株をタンク培養により培養し、菌糸体を得る工程(以下、培養工程と称する);
得られたマツタケFERM BP−7304株の菌糸体を熱水で抽出して、菌糸体熱水抽出液を得る工程(以下、熱水抽出工程と称する);
熱水で抽出した後の前記菌糸体の残渣を、アルカリ溶液で抽出して、菌糸体残渣アルカリ溶液抽出液を得る工程(以下、アルカリ溶液抽出工程と称する);
前記菌糸体熱水抽出液と前記菌糸体残渣アルカリ溶液抽出液とを混合して得られる混合抽出液を、陰イオン交換樹脂に吸着させる工程(以下、陰イオン交換樹脂吸着工程と称する);及び
適当な溶離液により吸着画分を溶出する工程(以下、溶出工程と称する)
を含む製造方法により、調製することができる。
マツタケFERM BP−7304株の菌糸体をエビオス寒天平板培地に接種すると、白色の菌糸が放射状に密に生育し、大きなコロニーを形成する。走査型電子顕微鏡で観察すると、太さ1〜2μmの枝状の菌糸体が無数に存在し、菌糸体側部に数μm程の突起物が時々みられる。なお、マツタケFERM BP−7304株は、もっぱら菌糸体の形状で継代維持又は培養することが可能であるが、子実体の形状となることもある。
(1)麦芽エキス寒天培地における培養的・形態的性質
マツタケFERM BP−7304株は、麦芽エキス寒天培地においては、白色の菌糸が放射状に密に生育してコロニーを形成する。接種30日目のコロニー径は約4cmである。
マツタケFERM BP−7304株は、ツアペック寒天培地、オートミール寒天培地、合成ムコール寒天培地、又はフェノールオキシダーゼ反応検定用培地のいずれの培地においても、接種1ヶ月経過しても菌糸の発育はほとんど見られない。
マツタケFERM BP−7304株は、YpSs寒天培地においては、白色の光沢を有し、マット状に生育する。接種30日目の生育距離は約5mmである。
マツタケFERM BP−7304株は、グルコース・ドライイースト寒天培地においては、白色の光沢を有し、マット状に生育する。接種30日目の生育距離は約2mmである。
滅菌処理した液体培地(3%グルコース,0.3%酵母エキス;pH7.0)10mLの入った100mL容三角フラスコに、マツタケFERM BP−7304株の種菌約2mgを接種し、5〜35℃の種々の温度でそれぞれ培養し、28日目にフラスコから菌体を取り出し、蒸留水でよく洗浄した後に乾燥させ、重量を測定した。その結果、菌体重量は5〜15℃の範囲で直線的に増加し、15〜25℃の範囲で緩やかに増加した。27.5℃以上ではほとんど増殖しなかった。最適生育温度は15〜25℃である。
液体培地(3%グルコース,0.3%酵母エキス)のpHを1mol/L塩酸又は1mol/L水酸化カリウムで調製して、pHが3.0〜8.0の範囲の種々の培地を調製して生育pH値を調べた。各培地をフィルター滅菌し、培地10mLを滅菌済100mL容三角フラスコに分注した。マツタケFERM BP−7304株の種菌約2mgを接種後、22℃で培養し、28日目にフラスコから菌体を取り出し、蒸留水でよく洗浄した後に乾燥させ、重量を測定した。その結果、菌体の生育限界はpH3.0〜7.0の範囲にあり、最適生育pHは4.0〜6.0であった。
エビオス寒天平板培地に、マツタケFERM BP−7304株のブロック(約3mm×3mm×3mm)と、公知の13種類のマツタケ株[例えば、IFO 6915株;(財)発酵研究所]の各ブロック(約3mm×3mm×3mm)とを、約2cm間隔に対峙して植菌し、22℃で3週間培養した後、両コロニー境界部に帯線が生じるか否かを判定した。
その結果、マツタケFERM BP−7304株は、公知の13種類のマツタケ株のいずれの株に対しても、明確な帯線を形成しなかった。なお、マツタケでは、異株間対峙培養で帯線は生じないとされており、公知の13種類のマツタケ株間についても、明確な帯線を形成した組み合わせはなかった。
滅菌処理した菌根菌用合成培地(Ohtaら,Trans.Mycol.Soc.Jpn.,31,323,1990)10mLの入った100mL容三角フラスコに、マツタケFERM BP−7304株の種菌約2mgを接種し、22℃で培養し、42日目にフラスコから菌体を取り出し、蒸留水でよく洗浄した後に乾燥させ、重量を測定したところ、菌体441mgが得られた。
その結果、菌体重量が多かった糖質関連物質から菌体重量が少なかった糖質関連物質を順に示せば、以下のとおりである:
小麦デンプン>トウモロコシデンプン>デキストリン>メチルβグルコシド>セロビオース>マンノース>フラクトース>アラビノース>ソルビトール>グルコース>ラクトース>グリコーゲン>マンニトール>リボース>マルトース>トレハロース>ガラクトース>ラフィノース>メリビオース>N−アセチルグルコサミン。
なお、セルロース、ダルチトール、シュークロース、キシロース、メチルαグルコシド、イヌリン、イノシトール、又はソルボースでは菌の発育はほとんどみられなかった。
その結果、菌体重量が多かった窒素関連物質から菌体重量が少なかった窒素関連物質を順に示せば、以下のとおりである:
コーンステイープリカー>大豆ペプトン>ミルクペプトン>硝酸アンモニウム>硫酸アンモニウム>酒石酸アンモニウム>炭酸アンモニウム>アスパラギン>リン酸アンモニウム>塩化アンモニウム>硝酸ナトリウム>肉エキス>酵母エキス>カザミノ酸>クロレラ>トリプトーン>硝酸カリウム。
その結果、塩化カルシウム・ニ水和物、硫酸マンガン(II)・五水和物、硫酸亜鉛・七水和物、硫酸コバルト・七水和物、硫酸銅・五水和物、硫酸ニッケル・六水和物、塩酸チアミン、ニコチン酸、葉酸、ビオチン、塩酸ピリドキシン、塩化カーニチン、アデニン硫酸・二水和物、又は塩酸コリンのいずれか1つの欠損によっては、菌体重量にはほとんど影響なかった。一方、硫酸マグネシウム・七水和物、塩化鉄(II)、又はリン酸二水素カリウムのいずれか1つを培地から除くと、菌体重量は顕著に減少した。すなわち、マグネシウム、鉄、リン、及びカリウムは、マツタケFERM BP−7304株の増殖に必須と考えられる。
マツタケFERM BP−7304株のGC含量は、49.9%である。
6種類の異なるPCR(polymerase chain reaction)用プライマー(10mer)をそれぞれ単独で用いるRAPD(random amplified polymorphic DNA)法により生成するDNAパターンについて、マツタケFERM BP−7304株と、公知の44種類のマツタケ株[例えば、IFO 6915株;(財)発酵研究所]とを比較したところ、マツタケFERM BP−7304株は、44種類のマツタケ株のいずれとも異なるDNAパターンを示した。
前記培地におけるグルコース濃度は、0.01〜15%であることが好ましく、1〜10%であることがより好ましく、3%であることが特に好ましい。前記培地における酵母エキスの濃度は、0.01〜3%であることが好ましく、0.1〜0.6%であることがより好ましく、0.3%であることが特に好ましい。前記培地のpHは、2.5〜8であることが好ましく、4〜7であることが好ましく、6であることが特に好ましい。
培養期間は、1〜20週間であることが好ましく、2〜10週間であることがより好ましく、10週間であることが特に好ましい。
熱水抽出工程に用いる熱水の温度は、60〜100℃であることが好ましく、80〜98℃であることがより好ましい。また、抽出の際には、抽出効率が向上するように、撹拌又は振盪しながら実施することが好ましい。抽出時間は、例えば、菌糸体の状態(例えば、破砕物又は粉体の状態に加工した場合にはその加工状態)、熱水の温度、又は撹拌若しくは振盪の有無若しくは条件に応じて、適宜決定することができるが、通常、1〜6時間であり、2〜3時間であることが好ましい。
熱水抽出の後、適当な分離操作、例えば、遠心分離又は濾過により、菌糸体熱水抽出液と菌糸体残渣とを得ることができる。
アルカリ溶液抽出の後、適当な分離操作、例えば、遠心分離又は濾過により、菌糸体残渣アルカリ溶液抽出液と菌糸体残渣とを得ることができる。
得られた菌糸体残渣アルカリ溶液抽出液は、中和処理を実施してから、次の陰イオン交換樹脂吸着工程に用いることが好ましい。
(1)糖質含量:フェノール硫酸法によるグルコース換算値として60〜72%(好ましくは62〜70%)である。
(2)タンパク質含量:銅フォリン法によるアルブミン換算値として28〜40%(好ましくは30〜38%)である。
(3)糖組成:グルコース61μg/mg、マンノース3.3μg/mg、及びガラクトース2.0μg/mgである。
(5)等電点:等電点電気泳動法によれば、メインバンドの等電点は5.85付近である。
(i)1H−次元NMR分析:図7に示すスペクトル[測定条件は、後述の実施例9(6)(i)を参照のこと]を示す。
(ii)13C一次元NMR分析:図8及び図9に示すスペクトル[測定条件は、後述の実施例9(6)(ii)を参照のこと]を示す。
(7)円偏光二色性分析:図10に示すスペクトル[測定条件は、後述の実施例9(7)を参照のこと]を示す。
(8)旋光度:25℃において42である。
(9)赤外分光分析:図11に示すスペクトル[測定条件は、後述の実施例9(9)を参照のこと]を示す。
(10)紫外分光分析(UV):図12に示すスペクトル[測定条件は、後述の実施例9(10)を参照のこと]を示す。
(11)電子スピン共鳴(ESR):図13及び図14に示すスペクトル[測定条件は、後述の実施例9(11)を参照のこと]を示す。
(13)分子量:主成分の分子量は2000kDaである。
(14)元素分析:炭素(C)、水素(H)、窒素(N)、硫黄(S)、リン(P)、及び塩素(Cl)の各含量は、それぞれ、41.3%、6.0%、5.1%、1.0%、0.052%、及び0.16%である。
(15)α−グルカン推定含有率:全糖質に対して71%である。
(16)エンドトキシン含量:2.5ng/mgである。
従って、本発明における有効成分である、混合抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分は、それ単独で、あるいは、好ましくは薬剤学的又は獣医学的に許容することのできる通常の担体又は希釈剤と共に、免疫増強が必要な対象に、有効量で投与することができる。
また、本発明における有効成分である、混合抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分は、免疫増強組成物(好ましくは免疫増強医薬組成物)、免疫増強健康食品(好ましくは免疫増強機能性食品)、あるいは、免疫増強用のオーラル衛生用組成物を製造するために使用することができる。
従って、本発明における有効成分である、混合抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分は、それ単独で、あるいは、好ましくは薬剤学的又は獣医学的に許容することのできる通常の担体又は希釈剤と共に、ストレス負荷に対する回復促進が必要な対象に、有効量で投与することができる。
また、本発明における有効成分である、混合抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分は、ストレス負荷に対する回復促進組成物(好ましくは、ストレス負荷に対する回復促進医薬組成物)、ストレス負荷に対する回復促進健康食品(好ましくは、ストレス負荷に対する回復促進機能性食品)、あるいは、ストレス負荷に対する回復促進用のオーラル衛生用組成物を製造するために使用することができる。
例えば、注射剤の調製においては、有効成分の他に、例えば、生理食塩水若しくはリンゲル液等の水溶性溶剤、植物油若しくは脂肪酸エステル等の非水溶性溶剤、ブドウ糖若しくは塩化ナトリウム等の等張化剤、溶解補助剤、安定化剤、防腐剤、懸濁化剤、又は乳化剤などを任意に用いることができる。
また、本発明の免疫増強剤又はストレス負荷回復促進剤は、徐放性ポリマーなどを用いた徐放性製剤の手法を用いて投与してもよい。例えば、本発明の免疫増強剤をエチレンビニル酢酸ポリマーのペレットに取り込ませて、このペレットを治療又は予防すべき組織中に外科的に移植することができる。
本発明の免疫増強剤又はストレス負荷回復促進剤を用いる場合の投与量は、病気の種類、患者の年齢、性別、体重、症状の程度、又は投与方法などに応じて適宜決定することができ、経口的に又は非経口的に投与することが可能である。
《実施例1:マツタケFERM BP−7304株菌糸体の混合抽出液の陰イオン交換樹脂吸着画分の調製》
マツタケFERM BP−7304株菌糸体を、滅菌処理した培地(3%グルコース,0.3%酵母エキス,pH6.0)3.5tの入った7t容培養タンクに接種し、25℃で撹拌しながら4週間培養を行なった。得られた培養物を濾布濾過し、菌糸体を分離した後、蒸留水で充分に洗浄した。
得られた菌糸体の一部(約1kg)に精製水30Lを加えて、98℃の湯浴中で3時間撹拌抽出した。冷却後、遠心分離(8000rpm,30分間)を行ない、上清A1を得た。残渣に精製水30Lを加えて、同一条件下で、再度、抽出及び遠心操作を行ない、上清A2を得た。
上清A1、上清A2、及び上清Bを合わせて得られた混合液(以下、抽出混合液Mと称する)を透析チューブ(分画分子量=3500)に入れ、流水中で48時間透析した。透析内溶液を回収し、凍結乾燥機で乾燥し、白色の粉末(約70g)を得た。
得られたM1画分及びM2画分を、それぞれ、4℃にて注射用蒸留水で48時間透析した後、透析内液を凍結乾燥して粉末を得た。菌糸体(乾燥重量)に対するM1画分及びM2画分の各収量は、それぞれ、7%及び13%であった。
本実施例では、人工転移モデルである二重移植腫瘍系を用いて、実施例1で得られたM2画分の免疫増強作用について評価した。
具体的には、7週齢BALB/c雄マウス(1群7匹;日本エスエルシー社)と、BALB/cマウスと同系のMeth−A線維芽肉腫細胞とを用いて、マウスの右側腹皮内に2×106個のMeth−A細胞を、左側腹皮内に4×105個のMeth−A細胞を同時に移植した。移植後3日目[右側の大きな腫瘍(原発巣と想定)が指で触れるようになる]に、実施例1で得られたM1画分又はM2画分5mgを、右側腫瘍内に3日間連続投与し、左側腫瘍(転移巣と想定)及び右側腫瘍の増殖の度合を21日間観察した。なお、対照として、M1画分又はM2画分の代わりに、生理食塩水を投与した。
図1は、右側腫瘍における腫瘍直径(平均値±標準偏差)の経時的変化を示すグラフであり、図2は、左側腫瘍における腫瘍直径(平均値±標準偏差)の経時的変化を示すグラフである。図1及び図2において、白丸は、対照の結果を示し、黒四角は、M1画分の結果を示し、白三角は、M2画分の結果を示す。
また、表1には、移植後21日経過後の右側腫瘍及び左側腫瘍の各腫瘍直径(平均値±標準偏差,単位=mm)及び各腫瘍重量(平均値±標準偏差,単位=g)を示す。
M2画分を投与することにより、対照に比べ、左右の腫瘍増殖を有意に抑制した。その効果は、M2画分を直接注入した右側腫瘍で顕著であったが、非注入の左側腫瘍の増殖をも抑制したことから、免疫(サイトカイン)を介したメカニズムが考えられる。
右側腫瘍(2×10 6 個) 左側腫瘍(4×10 5 個)
腫瘍直径 腫瘍重量 腫瘍直径 腫瘍重量
(mm±標準偏差) (g±標準偏差) (mm±標準偏差) (g±標準偏差)
対照 23.5±1.7 4.7±1.0 20.3±1.5 3.0±1.0
M1 17.1±1.5 1.8±0.5 17.1±3.4 2.1±1.1
M2 9.7±3.2 0.6±0.4 11.8±2.5 0.7±0.5
本実施例では、M2画分の投与による血清IAP(immunosuppressive acidic protein)値の変化を測定した。血清IAPは、活性化マクロファージにより産生することが知られており、血清IAP値はマクロファージ活性化の指標となる。
具体的には、BALB/cマウスに、実施例1で調製したM1画分又はM2画分5mgを皮内注射し、経時的に血液を採取し、SRID(single radial immunodiffusion)法(J.Clausen著,佐々木賽及び村地孝訳,「免疫化学的同定法」,東京化学同人,18−21,1973)により血清IAP値を測定した。
図3に示すように、M2画分投与により、430μg/mLのIAPの産生が認められた。
動物としては、日本クレア(株)から購入した雌性ICRマウスを用い、腫瘍としては、呉羽化学工業株式会社生物医学研究所で雌性ICRマウスの腹腔内で継代維持しているサルコーマ180細胞を用いた。すなわち、5週齢の雌性ICRマウスの腋窩部皮下に、サルコーマ180細胞を106個移植した(1群=10匹)。移植後翌日から、実施例1で得られた吸着画分M2の所定量(1.0mg/kg,10mg/kg,又は50mg/kg)を隔日に10回、腹腔内投与し、移植後25日目にマウスを屠殺して腫瘍結節を摘出し、重量を測定した。対照としては生理食塩水投与群を設けた。
[増殖抑制率(%)]={(Wc−W)/Wc}×100
[式中、Wはサンプル処置群の平均結節重量(単位=g)であり、Wcは生理食塩水処置群の平均結節重量(単位=g)である]
により算出した。
結果を表2に示す。表2から明らかなように、M2画分投与により有意の増殖抑制がみられた。
No. サンプル/投与量 増殖抑制率%
1 M2画分/1.0mg/kg 71%
2 M2画分/10mg/kg 81%
3 M2画分/50mg/kg 48%
実施例1で得られたM1画分、M2画分、又は分画前の抽出物(すなわち、抽出混合液Mの凍結乾燥粉末)を、マウスに経口投与し、腸管リンパ球のキラー活性誘導に及ぼす影響を検討した。腸間膜リンパ節細胞の活性は、原田らの方法(Harada M.ら,Cancer Res.,55,6146−6151,1995)により評価した。
すなわち、96ウェルの細胞培養用平底マイクロプレート(Falcon 3072;Becton Dickinson Labware,米国)に、前記エフェクター細胞及び/又は刺激細胞を0.1mLずつ加え、37℃の5%炭酸ガス培養器中で3日間培養し、細胞をフィルター上に回収した。なお、エフェクター細胞及び刺激細胞の両方を加える場合には、両者の細胞数比を12.5(エフェクター細胞数/刺激細胞数)とした。本測定系においては、前記エフェクター細胞が、混合リンパ球・腫瘍細胞反応における「リンパ球」として機能し、前記刺激細胞が「腫瘍細胞」として機能する。培養終了の8時間前に、プレートの各ウェルに3H−チミジン(アマーシャムジャパン)37kBqを加えた。回収した細胞を5%トリクロロ酢酸で充分に洗浄した後、乾燥し、液体用バイアルに入れ、液体シンチレーターを加え、液体シンチレーションカウンターで、放射能活性を測定した。
[S.I.]=(Bmix−Bs)/(Be−Bs)
[式中、Bmixは、エフェクター細胞及び刺激細胞混合培養群の放射能活性(単位=Bq)であり、Bsは、刺激細胞単独培養群の放射能活性(単位=Bq)であり、Beは、エフェクター細胞単独培養群の放射能活性(単位=Bq)である]
により算出した。
すなわち、24ウェルの細胞培養用マイクロプレート(Culture Clastar)(Costar 3524;Corning Inc.,米国)に、前記エフェクター細胞及び刺激細胞(エフェクター細胞数/刺激細胞数=12.5)を1.0mLずつ加え、37℃の5%炭酸ガス培養器中で3日間培養した。培養終了後、細胞を回収し、10%牛胎児血清(56℃で30分間の熱処理済み)添加RPMI1640培地で3回洗浄した。顕微鏡を用いて、細胞懸濁液中のエフェクター細胞数のみを計数し、エフェクター細胞数を2.5×106個/mLに調整した。
[S.L.(%)]={(B−Bf)/(Bmax−Bf)}×100
[式中、Bは実験群上清の放射能活性(単位=Bq)であり、Bfは自然遊離群上清の放射能活性(単位=Bq)であり、Bmaxは最大遊離群の放射能活性(単位=Bq)である]
により算出した。なお、自然遊離群とは、放射性クロム標識腫瘍細胞単独培養群を意味し、最大遊離群とは、5%トリトンX100(Triton X100)処置放射性クロム標識腫瘍細胞群を意味する。
実施例1で調製した各サンプルのMLR−CMCに及ぼす影響を測定した結果(エフェクター細胞数/腫瘍細胞数が12.5の時の値)を表3に示す。表3において、*は対照群に対してp<0.01で有意差のあることを示す。なお、対照群には純水0.2mLを経口投与した。表3から明らかなように、MLR−CMC増強活性は、M2画分にあり、その作用は用量依存的であった。
MLR−CMC
実験No. サンプル/投与量 (対照群に対する%)
1 抽出物(分画前)/250mg/kg 153*
M1/250mg/kg 109
M2/250mg/kg 181*
2 M2/ 63mg/kg 131*
M2/125mg/kg 159*
M2/250mg/kg 197*
腸間膜リンパ節細胞のインターロイキン12(IL−12)遺伝子発現は、原田らの方法(Harada M.ら,Cancer Res.,58,3073−3077,1998)に従って、逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)により測定した。
PCR増幅物は、臭化エチジウム存在下でアガロースゲル電気泳動の後、マルチ分析システム(Bio−Rad Multi−Analyst System)を用いて数値化した。
健常・蒸留水投与群と比べて、腫瘍移植・蒸留水投与群では、IL−12遺伝子発現が増強されていた。M2画分は、健常個体のIL−12遺伝子発現に殆ど影響なかったが、腫瘍移植個体の発現を有意に促進した。なお、シャム群でも、M2画分は発現を軽度促進した。
本実施例では、M2画分の抗腫瘍効果に及ぼす影響を調べた。B7/P815細胞を盲腸部移植した場合、腫瘍は一旦増殖するが、移植14日目以降に退縮し、全マウスが生存した。一方、マウス盲腸壁にP815細胞を移植した場合、腫瘍細胞は増殖・転移し、全マウスが腫瘍死した。そこで、DBA/2マウスの盲腸部にB7/P815腫瘍細胞5×105個/回を2週間隔で計3回免疫し、最終注射から2週間後にP815細胞1×105個を盲腸部に移植し、その後の生存期間を観察した。なお、P815腫瘍細胞の盲腸部における増殖は、B7/P815盲腸部免疫群の方が皮下免疫群よりも優っていた。
群 平均生存日数±SD (T/C)×100
I 13.2±0.8 −
II 16.3±1.2 100
III 20.8±1.9 128*
IV 17.7±1.2 109
群 平均生存日数±SD T/C
I 16.8±1.5 −
II 19.4±1.6 100
III 23.3±1.3 120*
IV 20.4±1.4 105
本実施例では、実施例1で得られたM2画分を評価用サンプルとし、この評価用サンプルをマウスに10日間経口投与した後、拘束ストレスを18時間負荷し、ストレス解放後のナチュラルキラー(NK)細胞活性を測定することにより、前記サンプルの影響を検討した。
すなわち、マウスから脾臓及び腸間膜リンパ節を無菌的に取り出し、ハンクス平衡塩類溶液(Hanks Balanced Salt Solution)を入れた無菌シャーレに移した。はさみとピンセットとでリンパ節をほぐした後、メッシュを通してリンパ球の単細胞液を調製した。10%牛胎児血清(56℃で30分間の熱処理を実施)添加RPMI1640培地で細胞を3回洗浄した後、10%牛胎児血清(56℃で30分間の熱処理を実施)、20mmol/Lの4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸、及び30μg/mLゲンタマイシンをそれぞれ添加したRPMI1640培地で、細胞濃度を5×106個/mLに調整して得た細胞懸濁液をエフェクター細胞として用いた。
[S.L.(%)]={(B−Bf)/(Bmax−Bf)}×100
[式中、S.L.は、特異的傷害率(単位=%)であり、Bは、実験群における上清の放射能活性(単位=Bq)であり、Bfは、自然遊離群(すなわち、放射性クロム標識腫瘍細胞単独培養群)における上清の放射能活性(単位=Bq)であり、Bmaxは、最大遊離群(すなわち、トリトン処置した放射性クロム標識腫瘍細胞群)における上清の放射能活性(単位=Bq)である]
から算出し、エフェクター細胞107個当たり30%の腫瘍細胞を傷害する細胞数、すなわち、「30%傷害単位(Lytic Units 30%;LU30)」でNK細胞活性を表示した。
なお、有意差検定の結果は、比較群において、対照群に対してp<0.01であり、M2画分投与群において、比較群に対してp<0.05であった。
群 拘束 NK活性(LU30)
対照群 (−) 46.6±4.2
比較群 (+) 28.7±2.4
M2画分投与群 (+) 34.8±4.4
実施例1で得られたM2画分、及び後述の参考調製例1で得られた市販マツタケの子実体由来のm2画分の理化学的性質を検討した。測定方法及びその結果を以下に示す。
フェノール硫酸法を用いる比色により定量した。M2画分の糖質含量は、グルコース換算値として62%であった。
実施例1の操作を別途、2回繰り返して得られた2種のM2画分について、同様に、フェノール硫酸法を用いる比色により糖質含量を測定したところ、グルコース換算値として69%及び70%であった。
なお、m2画分の糖質含量は、グルコース換算値として35%であった。
更に、ヨウ素呈色反応を実施したところ、M2画分及びm2画分のいずれも陰性であり、デンプンとは性状の異なる糖質が存在すると考えられた。
銅フォリン法を用いる比色により定量した。M2画分のタンパク質含量は、アルブミン換算値として38%であった。
実施例1の操作を別途、2回繰り返して得られた2種のM2画分について、同様に、銅フォリン法を用いる比色によりタンパク質含量を測定したところ、アルブミン換算値として31%及び30%であった。
なお、m2画分のタンパク質含量は、アルブミン換算値として65%であった。
封入管にM2画分1.0mgと2mol/Lトリフルオロ酢酸0.2mLとを入れ、100℃で6時間加水分解した後、エバポレーターで減圧乾固し、残渣を得た。残渣を純水500μLに溶解し、純水で2倍又は10倍希釈した。この溶液50μLに内部標準物質ヘプトース500ngを添加し、カラムTSK−gel Sugar AXGLC−9A 15cm×4.6mmID(東ソー)と検出器分光光度計RF−535(島津製作所)とを装着した高速液体クロマト装置LC−9A(島津製作所)にアプライした。カラム温度は70℃であり、移動相及びその流速は0.5Mホウ酸カリウム緩衝液(pH8.7)及び0.4mL/分であった。ポストカラム標識の条件は、反応試薬として1%アルギニン/3%ホウ酸を用い、流速は0.5mL/分であり、反応温度は150℃であり、検出波長はEX320nm及びEM430nmである。
M2画分の糖組成は、多い方から順に、グルコース61μg/mg、マンノース3.3μg/mg、及びガラクトース2.0μg/mgであった。
また、m2画分の糖組成は、多い方から順に、グルコース12.9μg/mg、ガラクトース12.6μg/mg、マンノース5.6μg/mg、フコース3.5μg/mg、及びキシロース0.4μg/mgであった。
酸加水分解は、以下の手順で実施した。すなわち、封入管にM2画分0.33mgと6mol/L塩酸0.2mLとを入れ、110℃で22時間加水分解した後、エバポレーターで減圧乾固し、残渣を得た。残渣を純水0.5mLに溶解し、その50μLをアミノ酸分析に用いた。
また、アルカリ加水分解(トリプトファン分析用)は、以下の手順で実施した。すなわち、M2画分0.48mgをプラスチックチューブに入れた後、可溶性デンプン(Starch Soluble)5mgを含む1%n−オクチルアルコール−4.2mol/L水酸化ナトリウム溶液100μLを加えた。このプラスチックチューブをガラス試験管に入れ、真空封管下、110℃で16時間加水分解した。空冷後、開封し、プラスチックチューブを氷中で冷却し、1.0mol/L塩酸を添加し、中和した。更に、精製水840μLを添加して総量1000μLとし、その50μLをアミノ酸分析に用いた。
装置は日立L−8500型アミノ酸分析計(日立製作所)であり、ニンヒドリン発色により定量した。
M2画分を1mg/mLに調製し、(イ)M2画分溶液10μLに純水10μLを添加したものに、あるいは、(ロ)M2画分溶液20μL(タンパク質量として約1.14μg)に、それぞれ、40%(体積/体積)程度のサッカロースを加え、電気泳動を実施した。電気泳動の条件は以下のとおりである。
ゲル:IEF−PAGEmini(4%,pH3〜10;テフコ社)
泳動用緩衝液:(陰極)0.04mol/L水酸化ナトリウム溶液、(陽極)0.01mol/Lリン酸溶液
泳動条件:100Vで30分間泳動を行ない、続いて、300Vで20分間泳動を行ない、更に、500Vで40分間泳動を行なった。
PIマーカー:各バンドが1.35g(ファルマシア)
染色:銀染色
測定条件は以下のとおりである。
(i)1H一次元NMR測定
M2画分7mgにD2O800μLを加え、超音波で約5分間溶解を試みた後、遠心機にかけ、その上澄み部分を測定に使用した。測定条件は以下のとおりである。
測定装置として、UNITY INOVA600型(Varian社)を使用し、観測周波数は599.6MHz(1H核)である。溶媒としてD2O溶液を使用し、濃度は飽和溶液である。基準としてTSP0.00ppm(1H)を用い、温度は25℃であり、繰返し時間7.0秒(1H核)で積算回数を256回とした。
また、αグルカンの推定含有率は、71%であった。
M2画分を、約20.5mg/0.75mLになるように、D2O/CD3OD(725/25)に溶解し、以下の操作条件で測定した。
すなわち、観測周波数は125.8MHzであり、基準は重メタノール(δ=49ppm)であり、温度は45℃であり、観測幅は31.4KHzであり、データ点は64Kであり、パルス幅は約41°であり、パルス繰返し時間は2.5秒であり、積算回数は4000であり、デカップリングは1H完全デカップリングである条件で測定を実施した。
M2画分約3mgに水を添加し、2mg/mLとした。沈殿が若干あったので、遠心して上澄み部分を測定に使用した。測定条件は以下のとおりである。
測定装置としてJASCOJ−500Aを使用し、溶媒として水を使用した。タンパク質濃度は約2mg/mLであり、波長範囲は200〜250nmであり、セル長は1mmであり、温度は室温(約23℃)であり、積算回数は8回である条件で測定を実施した。
25℃で測定したところ、42であった。
赤外分光分析は、KBr法により実施した。より具体的には、M2画分0.5mgと、KBr粉末15mgとを均質に混合した後、プレスして円盤状に成型し、測定を実施した。
得られたスペクトルを図11に示す。このスペクトルから、M2画分には多糖類が含まれることが示唆された。
純水に溶解し、0.5mg/10mL濃度で測定した。装置として、2500PC(島津製作所)を使用した。
得られた紫外可視吸収スペクトルを図12に示す。260〜270nmにおいて弱い吸収極大が認められた。
測定は、ESP350E(Brucker社)を用い、窒素雰囲気下での試料のESRを測定した。主な操作条件は表7に示すとおりである。
結果を表8並びに図13及び図14に示す。図13及び図14において、縦軸の「強度(arb.units)」は、縦軸に示す「強度」の単位が任意単位であることを意味する。炭素ラジカルに起因すると考えられるシグナルを、g=2.004付近に観察した。また、g=4.25(Fe3+)付近とg=2.03〜2.05付近のシグナルは、遷移金属イオンに起因すると考えられる。
条件 広域 g=2付近
測定温度 室温 室温
磁場掃引範囲 0〜1T 339.0〜359.0mT
変調 100kZ,0.5mT 100kZ,0.2mT
マイクロ波 10mW,9.79GHz 0.2mW,9.79GHz
掃引時間 167.772s×1回 83.886s×10回
時定数 163.84ms 163.84ms
データポイント数 4096points 2048points
キャビテイ− TM 110 ,円筒型 TM 110 ,円筒型
指標 M2画分 m2画分
g値 2.0042 2.0039
線幅(mT) 0.68 0.67
スピン密度(spins/g) 4.7×10 16 2.8×10 16
試料(M2画分又はm2画分)0.5gを精製水100mLに溶解し、10000rpmで遠心分離後、上清をとり、精製水で1.67mg/mLに調整した後、オストワルド粘度計を用いて、30℃で還元粘度を測定した。M2画分の還元粘度は108ηであり、m2画分の還元粘度は924ηであった。
試料(M2画分又はm2画分)を精製水で2〜3mg/mLとなるように溶解し、ゲル濾過を実施した。
ゲル濾過は、装置として送液ポンプLC−7A(島津製作所)を使用し、検出器として紫外分光光度計検出器SPD−6A(島津製作所)を使用し、カラムとしてTSKgel G3000SW(7.5mmI.D.×30cm;東ソー)を使用して実施した。また、カラム温度が室温であり、移動相が0.15mol/L硫酸ナトリウム含有50mmol/Lリン酸緩衝液(pH7.0)であり、移動相流速が0.8mL/分であり、検出波長が214nmである条件で、ゲル濾過を実施した。分子量既知の標準曲線に溶出時間を外挿し、分子量を算出した。
M2画分では、主成分の分子量は2000kDaであり、それ以外に4.0kDa及び1.2kDaの成分も確認された。また、m2画分では、主成分の分子量は2000kDaであり、それ以外に7.0kDa及び1.0kDaの成分も確認された。
炭素(C)、水素(H)、及び窒素(N)は、有機微量元素分析計(ヤナコCHNコーダーTM−5型)を用いて測定した。
また、硫黄(S)、リン(P)、及び塩素(Cl)については、試料をボンベ法で燃焼分解後、吸収液中のSO4 2−、PO4 3−、及びCl−をイオンクロマトグラフィー(IC)法で測定し、各元素に換算した。具体的には、試料0.1gにアセトン1mLを加え、酸素3Mpa導入後、燃焼して30分間水冷した。0.1mol/L−NaOHの吸収液と洗浄液とを合わせて100mLに定容後、ダイオネクスDX−300型ICを用いて測定した。
結果を表9に示す。
含量(%)
元素 M2画分 m2画分
炭素 41.3 40.4
水素 6.0 6.0
窒素 5.1 8.0
硫黄 1.0 0.22
リン 0.052 0.096
塩素 0.16 0.13
試料(M2画分又はm2画分)を0.5mol/L酢酸緩衝液(pH4.3)に溶解し、アミログルコシダーゼ溶液(Sigma Chem.Co.,USA)を加えて、60℃で30分間振盪した。次いで、液のpHを4.5に調整後、グルコアミラーゼ(和光純薬)を加えて、60℃で30分間振盪した。反応終了後、得られた各反応液中のグルコース量をグルコース測定計にて測定後、ブランク溶液のグルコース量から差し引いた値を、「α−グルカン推定量」とした。一方、試料に1.0mol/L硫酸を加え、100℃で18時間加水分解後、中和し、得られた各反応液中のグルコース量をグルコース測定計にて測定し、「総グルカン量」とした。α−グルカン推定含有率は、前記「総グルカン量」に対する前記「α−グルカン推定量」の百分率として算出した。
M2画分のα−グルカン推定含有率は、全糖質に対して71%であり、m2分画のα−グルカン推定含有率は、全糖質に対して32%であった。
市販測定キット(エンドスペシー;生化学工業)及びエンドトキシンフリーの器具及び試薬(生化学工業)を用い、LAL(Limulus Amoebocyte Lysate)反応(Ohbayashi T.ら,Clin.Chim.Acta,149,55−65,1985)により、エンドトキシン量を定量した。
すなわち、M2画分を適当な濃度になるように蒸留水に溶解した後、その50μLをエンドトキシンフリーの96ウェルマイクロプレートに分注した。別のウェルには、蒸留水又はエンドトキシン標準液の希釈系列を同量分注した。次いで、マイクロプレートの各ウェルにLAL溶液(カブトガニ由来試液)50μLを分注し、37℃で30分間インキュベートし、ジアゾカップリング試液を加え、発色させた後、545nm(対照=630nm)の吸光度を測定した。標準液の検量線から、M2画分のエンドトキシン量を算出したところ、2.5ng/mgであった。
本実施例では、M2画分の活性構造を推定するために、化学処理又は酵素処理したM2画分を調製し、これらの調製物を盲腸壁腫瘍移植マウスに経口投与し、腸間膜リンパ節細胞の活性をMLR及びMLR−CMCにより評価した。
腸間膜リンパ節細胞の活性評価は、実施例5に記載の手順と同様にして実施した。
表10から明らかなように、M2画分のペプチド部分をヒドラジンで処理して分解除去すると、活性は明らかに消失した。また、M2画分の糖質部分をアミログルコシダーゼ及びグルコアミラーゼ処理してα−グルカンを減少させると、活性は減弱したが、β−グルコシダーゼ処理ではほとんど影響がなかった。
これらの結果は、M2画分の活性構造がα−グルカンとタンパク質であることを示唆している。
MLR−CMC
M2画分に対する処理 (対照群に対する%) 有意差検定
未処理 177±32 p<0.01
ヒドラジン処理 112±19 NS
アミログルコシダーゼ及び
グルコアミラーゼ処理 137±27 NS
β−グルコシダーゼ処理 165±25 p<0.01
市販の長野産マツタケ子実体100gを凍結乾燥して水分を除去した後、粉砕して粉末15gを得た。
以下、出発材料として菌糸体の代わりに、前記子実体粉末を用いること以外は、実施例1の抽出及び分画操作を繰り返すことにより、非吸着画分m1及び吸着画分m2を得た。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。
Claims (21)
- マツタケFERM BP−7304株の菌糸体の熱水抽出液と、前記菌糸体熱水抽出液を得る際に残留する菌糸体残渣のアルカリ溶液抽出液とを混合して得られる混合液の陰イオン交換樹脂吸着画分であって、
(a)フェノール硫酸法によるグルコース換算値としての糖質含量が60〜72%であり、
(b)銅フォリン法によるアルブミン換算値としてのタンパク質含量が28〜40%である
前記陰イオン交換樹脂吸着画分。 - 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分を有効成分として含有する、免疫増強剤。
- 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分と、薬剤学的に許容することのできる担体とを含有する、免疫増強組成物。
- 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分を、それ単独で、あるいは、所望により1又はそれ以上の食品成分と共に含有する、免疫増強健康食品。
- 前記健康食品が機能性食品である、請求項4に記載の免疫増強健康食品。
- 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分の、免疫増強組成物又は免疫増強健康食品を製造するための使用。
- 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分を有効成分として含有する、転移巣治療又は予防剤。
- 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分と、薬剤学的に許容することのできる担体とを含有する、転移巣治療又は予防組成物。
- 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分を、それ単独で、あるいは、所望により1又はそれ以上の食品成分と共に含有する、転移巣治療又は予防健康食品。
- 前記健康食品が機能性食品である、請求項9に記載の転移巣治療又は予防健康食品。
- 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分の、転移巣治療若しくは予防組成物又は転移巣治療若しくは予防健康食品を製造するための使用。
- 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分を有効成分として含有する、血清IAP値上昇剤。
- 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分と、薬剤学的に許容することのできる担体とを含有する、血清IAP値上昇組成物。
- 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分を、それ単独で、あるいは、所望により1又はそれ以上の食品成分と共に含有する、血清IAP値上昇健康食品。
- 前記健康食品が機能性食品である、請求項14に記載の血清IAP値上昇健康食品。
- 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分の、血清IAP値上昇組成物又は血清IAP値上昇健康食品を製造するための使用。
- 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分を有効成分として含有する、ストレス負荷回復促進剤。
- 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分と、薬剤学的に許容することのできる担体とを含有する、ストレス負荷回復促進組成物。
- 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分を、それ単独で、あるいは、所望により1又はそれ以上の食品成分と共に含有する、ストレス負荷回復促進健康食品。
- 前記健康食品が機能性食品である、請求項19に記載のストレス負荷回復促進健康食品。
- 請求項1に記載の陰イオン交換樹脂吸着画分の、ストレス負荷回復促進組成物又はストレス負荷回復促進健康食品を製造するための使用。
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