JP4457529B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(以下有機ELと略記する場合もある)素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子や有機エレクトロルミネッセンス素子等が挙げられる。無機エレクトロルミネッセンス素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光する化合物を含有する発光層を、陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、さらに、自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
【0003】
しかしながら、今後の実用化に向けた有機EL素子には、さらなる低消費電力で効率よく高輝度、長寿命に発光する有機EL素子の開発が望まれている。また、低コストな有機EL素子の開発が望まれている。又、有機化合物の蒸着操作を伴うエレクトロルミネッセンス素子は生産性に問題があり、製造工程の簡略化、加工性、大面積化の観点から塗布方式が望まれている。
【0004】
そこで、生産性に有利な塗布方式を用いるエレクトロルミネッセンス素子材料として、重合体素子が提案され、例えば、パラフェニレンビニレン系ポリマー等が知られているが(アドバンスドマテリアルズ,4項,1992年)、発光部がポリマー主鎖中にあるため、発光材料の濃度制御が難しく、色調、発光強度の微妙な制御が難しいという問題があった。
【0005】
同様に、塗布方式を用いるEL素子材料として、特開平4−212286号に記載のような、ポリN−ビニルカルバゾール中に低分子量色素を分散した素子が開示されている。この技術は、色素種、色素濃度を任意に変更できるため発光強度の調整が比較的容易であるという特徴を有するが、層分離が起こりやすく、また、均質な発光が得難いため、効率よく高輝度、長寿命に発光することに難点があった。更に、ポリN−ビニルカルバゾール自体のキャリア輸送能が低いために、高輝度かつ長寿命の発光を得にくいという問題点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、発光輝度が高く、半減時間の長い(高寿命である)有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の項目1〜6により達成された。
【0008】
1.支持体上に、発光材料と前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0009】
2.前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体の数平均分子量が500以上300000以下であることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0010】
3.支持体上に、発光材料と前記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する重合体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0011】
4.前記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する重合体の数平均分子量が500以上300000以下であることを特徴とする前記3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0012】
5.陰極、陽極および発光層を有し、該発光層が前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を含有することを特徴とする前記1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0013】
6.陰極、陽極および発光層を有し、該発光層が前記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する重合体を含有することを特徴とする前記3または4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、上記記載の塗布方式を用いて作製した有機EL素子の問題点について種々の検討を行ない、キャリア輸送性の向上と層分離などを招来しない良好な膜物性を有するEL素子材料の探索の中で、種々の高分子化合物について検討を行った結果、ジフェニルアミン骨格を部分構造として有する縮合複素環化合物で、且つ、該フェニル部分が非共役の炭化水素環で縮合された化合物を繰り返し単位として有する、前記一般式(1)または前記一般式(2)で表されるオリゴマーまたはポリマーを用いることにより、高いキャリア輸送性と良好な膜物性の両方の特性を同時に満足する有機EL素子が得られることを見いだした。
【0015】
本発明に係る前記一般式(1)、一般式(2)で表される繰り返し単位を有する重合体について説明する。
【0016】
一般式(1)、一般式(2)で表される繰り返し単位において、R1〜R29で表される置換基としては例えば、ハロゲン原子(弗素、塩素、臭素、沃素等)、アルキル基(メチル基、エチル基、i−プロピル基、ヒドロキシエチル基、メトキシメチル基、トリフルオロメチル基、t−ブチル基等)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アラルキル基(ベンジル基、2−フェネチル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等)、アルコキシル基(メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、シアノ基、複素環基(ピロール基、ピロリジル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等)等が挙げられ、これらの基は更に置換されてもよい。
【0017】
一般式(1)、一般式(2)において、R1及びR17はアリール基または芳香族複素環基であることが好ましい。
【0018】
1、R17で表されるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基等が挙げられる。
【0019】
1、R17で表される芳香族複素環基としては、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、1,2,3−オキサジアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、s−トリアジン環、ベンゾフラン環、インドール環、ベンゾチオフェン環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、プリン環、キノリン環及びイソキノリン環等が挙げられる。
【0020】
上記の基は更に置換基を有していても良い。
本発明においては、一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体の中でも、特に好ましく用いられるのは、前記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する重合体である。
【0021】
本発明に係る一般式(1)、一般式(3)で表される繰り返し単位を有する各々の重合体の数平均分子量は、500〜300000であることが好ましく、特に好ましくは1000〜200000である。
【0022】
ここで、上記の数平均分子量は、下記に記載の測定機器及び測定条件下にて求めた。
【0023】
測定機器 :GPC装置HLC−8220GPC(東ソー(株)製)
カラム :TSKgelSuperHM−Mカラム
カラム温度:40℃
測定溶媒 :テトラヒドロフラン
流量 :0.6ml/分
検量線 :単分散ポリスチレンを使用して検量線を作成した。
【0024】
本発明に係る一般式(1)の繰り返し単位を有する重合体は、例えば、テトラヘドロン レターズ42巻、1437頁〜1439頁(2001年)に記載の方法を参照して合成出来る。
【0025】
以下に、本発明に係る一般式(1)の繰り返し単位を有する重合体の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。また、例示化合物の数平均分子量を表1に示す。
【0026】
【化3】
Figure 0004457529
【0027】
【化4】
Figure 0004457529
【0028】
【化5】
Figure 0004457529
【0029】
【表1】
Figure 0004457529
【0030】
本発明において、有機エレクトロルミネッセンス素子の層構成は単層でも多層積層でもよく、例えば多層構成の場合には有機物以外の層(例えばフッ化リチウム層や無機金属塩の層、またはそれらを含有する層など)が任意の位置に配置されていてもよい。
【0031】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基本的には一対の電極の間に発光層を挾持し、必要に応じ、正孔輸送層や電子輸送層を介在させた構造を有することが好ましい。
【0032】
具体的な構成としては、
(a)陽極/発光層/陰極
(b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(e)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極バッファー層/陰極
(f)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
などが具体的な構成例として挙げられる。
【0033】
上記発光層は電極または電子注入層、正孔注入層から注入されてくる電子および正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であっても良い。
【0034】
発光層に使用される材料(以下、発光材料という)は、蛍光または燐光を発する有機化合物または錯体であることが好ましく、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。このような発光材料は、主に有機化合物であり、所望の色調により例えばMacromol.Synth.,125巻,17〜25頁に記載の化合物が挙げられる。
【0035】
発光材料は発光性能の他に、前記の正孔注入機能や電子注入機能を併せ持っていても良く、後記の正孔注入材料や電子注入材料の殆どが発光材料としても使用できる。
【0036】
発光材料は高分子材料でも良く、さらに前記発光材料を高分子鎖に導入した、または前記発光材料を高分子の主鎖とした高分子材料を使用しても良い。
【0037】
また、発光層にはドーパント(ゲスト物質)を併用してもよく、エレクトロルミネッセンス素子のドーパントとして使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
【0038】
ドーパントの例としては、溶液状態で蛍光量子収率が高い蛍光性有機分子、または、希土類錯体系蛍光体が挙げられる。ここで、蛍光量子収率は10%以上、特に30%以上が好ましい。
【0039】
蛍光量子収率が高い蛍光性有機分子としては、例えばクマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素などが挙げられる。
【0040】
以下に、本発明で用いられる蛍光体有機分子の具体例を示すが、これらに限定されない。
【0041】
【化6】
Figure 0004457529
【0042】
本発明に用いられる希土類錯体系蛍光体としては、希土類金属としてCe、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb等を有するものが挙げられ、錯体を形成する有機配位子としては、芳香族系、非芳香族系のどちらでも良く、下記一般式(A)で表される化合物が好ましい。
【0043】
一般式(A) Xa−(Lx)−(Ly)n−(Lz)−Ya
式中、Lx、Ly、Lzはそれぞれ独立に2個以上の結合手を持つ原子を表わし、nは0または1を表わし、XaはLxの隣接位に配位可能な原子を有する置換基を表わし、YaはLzの隣接位に配位可能な原子を有する置換基を表わす。さらにXaの任意の部分とLxとは互いに縮合して環を形成してもよく、Yaの任意の部分とLzとは互いに縮合して環を形成してもよく、LxとLzとは互いに縮合して環を形成してもよく、さらに分子内に芳香族炭化水素環または芳香族複素環が少なくとも一つ存在する。ただし、Xa−(Lx)−(Ly)n−(Lz)−Yaがβ−ジケトン誘導体やβ−ケトエステル誘導体、β−ケトアミド誘導体または前記ケトンの酸素原子を硫黄原子または−N(R201)−に置き換えたもの、クラウンエーテルやアザクラウンエーテルまたはチアクラウンエーテルまたはクラウンエーテルの酸素原子を任意の数硫黄原子または−N(R201)−に置き換えたクラウンエーテルを表わす場合には芳香族炭化水素環または芳香族複素環は無くてもよい。−N(R201)−において、R201は、水素原子、アルキル基、アリール基を表す。
【0044】
ここで、R201で表されるアルキル基、アリール基等は各々、上記一般式(1)、一般式(2)のR1〜R29での記載と同義である。
【0045】
一般式(A)において、XaおよびYaで表される配位可能な原子とは、具体的には酸素原子、窒素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子であり、特に酸素原子、窒素原子、硫黄原子であることが好ましい。
【0046】
一般式(A)において、Lx、Ly、Lzで表される2個以上の結合手を持つ原子としては、特に制限はないが、代表的には炭素原子、酸素原子、窒素原子、シリコン原子、チタン原子等が挙げられるが、炭素原子が好ましい。
【0047】
以下に一般式(A)で表される希土類錯体系蛍光体の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0048】
【化7】
Figure 0004457529
【0049】
【化8】
Figure 0004457529
【0050】
【化9】
Figure 0004457529
【0051】
本発明に用いられる発光層は、上記記載のはっ好材料を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、キャスト法、LB法などの公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。発光層としての膜厚は、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲が好ましい。この発光層は、これらの発光材料一種または二種以上からなる一層構造であってもよいし、あるいは、同一組成または異種組成の複数層からなる積層構造でもよい。
【0052】
また、発光層は、特開昭57−51781号公報に記載されているように、樹脂などの結着材と共に上記発光材料を溶剤に溶かして溶液としたのち、これをスピンコート法などにより薄膜化して形成することができる。このようにして形成された発光層の膜厚については特に制限はなく、状況に応じて適宜選択することができるが、通常は5nm〜5μmの範囲が好ましい。
【0053】
本発明に用いられる正孔輸送層および電子輸送層について説明する。
正孔輸送層は、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有し、この正孔輸送層を陽極と発光層の間に介在させることにより、より低い電界で多くの正孔が発光層に注入され、そのうえ、発光層に陰極、陰極バッファー層または電子輸送層より注入された電子は、発光層と正孔輸送層の界面に存在する電子の障壁により、発光層内の界面に累積され発光効率が向上するなど発光性能の優れた素子となる。この正孔輸送層の材料(以下、正孔注入材料、正孔輸送材料という)については、前記の好ましい性質を有するものであれば特に制限はなく、従来、光導伝材料において、正孔の電荷注入輸送材料として慣用されているものやEL素子の正孔輸送層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。
【0054】
正孔輸送材料は、正孔の注入もしくは輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。この正孔輸送材料としては、例えばトリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマーなどが挙げられる。正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
【0055】
上記芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノフェニル;N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1’−ビフェニル〕−4,4’−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N’,N’−テトラ−p−トリル−4,4’−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル;N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル;4,4’−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4’−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには、米国特許第5061569号に記載される2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4’−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号に記載されるトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4’,4’’−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)などが挙げられる。
【0056】
更に、これらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【0057】
また、p型−Si、p型−SiCなどの無機化合物も正孔輸送材料として使用することができる。この正孔輸送層は、上記正孔正孔輸送材料を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度である。この正孔輸送層は、上記材料の一種または二種以上からなる一層構造であってもよく、同一組成または異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。さらに、必要に応じて用いられる電子輸送層は、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては、従来公知の化合物の中から任意のものが選択できる。
【0058】
この電子輸送層に用いられる材料(以下、電子輸送材料という)の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体などが挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。
【0059】
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【0060】
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えばトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)など、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。
【0061】
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基などで置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として用いられるジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔輸送層と同様に、n型−Si、n型−SiCなどの無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
【0062】
この電子輸送層は、上記化合物を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法などの公知の薄膜化法により製膜して形成することができる。電子輸送層としての膜厚は、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲で選ばれる。この電子輸送層は、これらの電子輸送材料一種または二種以上からなる一層構造であってもよいし、あるいは、同一組成または異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
【0063】
さらに、陽極と発光層または正孔注入層の間、および、陰極と発光層または電子注入層との間にはバッファー層(電極界面層)を存在させてもよい。
【0064】
バッファー層とは、駆動電圧低下や発光効率向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(第123頁〜第166頁)に詳細に記載されており、陽極バッファー層と陰極バッファー層とがある。
【0065】
陽極バッファー層は、特開平9−45479号、同9−260062号、同8−288069号等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
【0066】
陰極バッファー層は、特開平6−325871号、同9−17574号、同10−74586号等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
【0067】
特に、本発明の有機EL素子において、陰極バッファー層が存在する場合が好ましく、発光効率向上が大きく得られた。
【0068】
上記バッファー層はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるが、その膜厚は0.1〜100nmの範囲が好ましい。
【0069】
さらに上記基本構成層の他に必要に応じてその他の機能を有する層を積層してもよく、例えば特開平11−204258号、同11−204359号、および「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発行)」の第237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層などのような機能層を有していても良い。
【0070】
本発明においては、上記発光層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔阻止層、陰極バッファー層または陽極バッファー層の少なくとも何れか1つの層内に本発明の重合体の少なくとも1種が存在するものである。好ましくは発光層または正孔輸送層に本発明の重合体の少なくとも1種が存在するものである。
【0071】
次に、有機EL素子の電極について説明する。有機EL素子の電極は、陰極と陽極からなる。
【0072】
この有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAuなどの金属、CuI、インジウムティンオキシド(ITO:Snドープ酸化インジウムともいう)、SnO2、ZnOなどの導電性透明材料が挙げられる。
【0073】
上記陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10nm〜200nmの範囲で選ばれる。
【0074】
一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属などが挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化などに対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えばマグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al23)混合物、リチウム/アルミニウム混合物などが好適である。
本発明において、有機化合物層と陰極の間に陰極バッファー層を設けた場合には、陰極に用いられる金属は必ずしも仕事関数が小さい必要はなく、アルミニウムのような比較的仕事関数の大きな金属を用いることもでき、さらには前記のITOのような非金属導電性材料を用いることも可能である。
【0075】
上記陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜1μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光効率が向上し好都合である。
【0076】
本発明の有機EL素子に好ましく用いられる基板は、ガラス、プラスチックなどの種類には特に限定はなく、また、透明のものであれば特に制限はない。本発明のエレクトロルミネッセンス素子に好ましく用いられる基板としては例えばガラス、石英、光透過性プラスチックフィルムを挙げることができる。
【0077】
光透過性プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。
【0078】
次に、該有機EL素子を作製する好適な例を説明する。例として、前記の陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極からなるEL素子の作製法について説明すると、まず適当な基板上に、所望の電極物質、例えば陽極用物質からなる薄膜を、1μm以下、好ましくは10〜200nmの範囲の膜厚になるように、蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させ、陽極を作製する。次に、この上に陽極バッファー層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極バッファー層の材料からなる薄膜を形成させる。
この有機薄膜層の薄膜化の方法としては、前記の如くスピンコート法、キャスト法、蒸着法などがあるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくいなどの点から、真空蒸着法またはスピンコート法が特に好ましい。さらに層ごとに異なる製膜法を適用しても良い。製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は、使用する化合物の種類、分子堆積膜の目的とする結晶構造、会合構造などにより異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10-6〜10-2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚5nm〜5μmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
【0079】
これらの層の形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば蒸着やスパッタリングなどの方法により形成させ、陰極を設けることにより、所望のEL素子が得られる。この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施してもかまわないが、その際には作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮をすることが好ましい。
【0080】
また、作製順序を逆にして、陰極、陰極バッファー層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、陽極バッファー層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られたEL素子に、直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧5〜40V程度を印加すると、発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。さらに、交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
【0081】
本発明の有機EL素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用しても良いし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用しても良い。動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでも良い。また、異なる発光色を有する本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。この時、発光層に用いる本発明の有機化合物は同一であることが好ましい。そうした場合、発光層以外に用いる材料(バッファー層、正孔輸送層、電子輸送層等に用いる材料)を同一にできる可能性が高く、発光効率や素子寿命等の素子性能の最適化の検討が容易になる。
【0082】
さらに、本発明の有機EL素子は、蛍光物質等を含有した色変換層または色変換フィルターを素子の内部または外部に有していても良く、また、カラーフィルター等の色相改良フィルターを有していても良い。
【0083】
また、本発明の有機EL素子は、照明用や露光光源のような一種のランプとして使用しても良いし、静止画像や動画像を再生する表示装置として使用しても良い。特に、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリックス(パッシブマトリックス)方式でもアクティブマトリックス方式でもどちらでも良い。
【0084】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0085】
実施例1
《比較用有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED−1)の作製》
陽極としてガラス上にITOを150nm成膜した基板(NHテクノグラス社製:NA−45)にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をi−プロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。ポリN−ビニルカルバゾール(PVCzと略記する)35mgおよび、5mgのQd−2をジクロロエタン2mlに溶解し上記洗浄したITO基板上に3000rpm、5秒間スピンコートした。乾燥後この透明支持基板を、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートに、バソキュプロイン(BC)を200mg入れ、真空蒸着装置に取付けた。
【0086】
【化10】
Figure 0004457529
【0087】
次いで、真空槽を4×10-4Paまで減圧した後、バソキュプロイン(BC)の入った前記加熱ボートに通電して、220℃まで加熱し、蒸着速度0.1〜0.3nm/secで透明支持基板に蒸着し、膜厚20nmの電子輸送層を設けた。蒸着時の基板温度は室温であった。
【0088】
次に、真空槽をあけ、電子注入層の上にステンレス鋼製の長方形穴あきマスクを設置し、一方、モリブデン製抵抗加熱ボートにマグネシウム3gを入れ、タングステン製の蒸着用バスケットに銀を0.5g入れ、再び真空槽を2×10-4Paまで減圧した後、マグネシウム入りのボートに通電して蒸着速度1.5〜2.0nm/secでマグネシウムを蒸着し、この際、同時に銀のバスケットを加熱し、蒸着速度0.1nm/secで銀を蒸着し、前記マグネシウムと銀との混合物から成る陰極とすることにより、表2に示す比較用有機EL素子OLED−1を作製した。
【0089】
《比較の有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED−2)の作製》
有機エレクトロルミネッセンス素子OLED−1の陰極をAlに置き換え、電子輸送層と陰極の間にフッ化リチウムを膜厚0.5nm蒸着して陰極バッファー層を設けた以外は同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED−2)を作製した。
【0090】
《本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED−3〜OLED−11)の作製》
有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED−1)の、ポリN−ビニルカルバゾールを表2に示す重合体に置き換えた以外は同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED−3〜OLED−6)を作製した。
【0091】
さらに、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED−2)のポリN−ビニルカルバゾールを表2に示す重合体に置き換えた以外は同様にして、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED−8〜OLED−11)を作製した。
【0092】
これらの素子を23℃、乾燥窒素ガス雰囲気下で15V直流電圧印可による連続点灯を行い、点灯開始時の発光輝度(cd/m2)および輝度の半減する時間を測定した。発光輝度は有機エレクトロルミネッセンス素子OLED−1の100とした時の相対値で表し、輝度の半減する時間は有機エレクトロルミネッセンス素子OLED−1の輝度が半減する時間を100とした相対値で表した。結果を表2に示す。
【0093】
【表2】
Figure 0004457529
【0094】
表2から、比較に比べて、本発明の試料は、点灯開始時の発光輝度および輝度の半減する時間が改善され、高発光輝度を示し、且つ、長寿命の有機エレクトロルミネッセンス素子であることが明らかである。
【0095】
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子に陰極バッファー層を導入するとさらに高輝度、長寿命の素子を得るために効果的であることも判った。
【0096】
【発明の効果】
本発明により、発光輝度が高く、半減時間の長い(高寿命である)有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することが出来た。

Claims (6)

  1. 支持体上に、発光材料と下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0004457529
    〔式中、Xは、単結合、−O−、−S−、−Se−、−Te−、−N(R14)−または−C(R15)(R16)−を表わす。R1〜R14は、各々、水素原子または置換基を表わし、R10とR11、R12とR13はそれぞれ互いに縮合して環を形成しても良い。R15、R16は、各々、水素原子または置換基を表し、R15とR16とは互いに縮合し、環を形成しても良い。〕
  2. 前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体の数平均分子量が500以上300000以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 支持体上に、発光材料と下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する重合体を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 0004457529
    〔式中、R17〜R29は、各々、水素原子または置換基を表わし、R26とR27、R28とR29はそれぞれ互いに縮合し、環を形成しても良い。〕
  4. 前記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する重合体の数平均分子量が500以上300000以下であることを特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 陰極、陽極および発光層を有し、該発光層が前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 陰極、陽極および発光層を有し、該発光層が前記一般式(2)で表される繰り返し単位を有する重合体を含有することを特徴とする請求項3または4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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