JP4458571B2 - 心臓カテーテル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、心臓またはその周辺組織、特に、左・右冠状動脈や左心室に挿入して用いられる心臓カテーテルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
選択的な血管造影において、例えば右冠状動脈を造影する場合、右冠状動脈の入口にカテーテルの先端を挿入し、該カテーテルを介して造影剤を注入し、選択的な造影画像を得て、冠状動脈の疾患を診断していた。このとき、カテーテルは、その先端形状が右冠状動脈に挿入し易い形状をなしたものが選択され、用いられる。このような先端形状の相違に着目したカテーテルの種類としては、例えば、ジャドキンス(Judkins)タイプ、アンプラッツ(Anplatz)タイプ等がある。また、これらのうちの特定のタイプのもの、例えば、ジャドキンスタイプのカテーテルでも、右冠状動脈用と左冠状動脈用と異なる先端形状をなしている。
【0003】
しかしながら、目的部位(造影部位)の相違、すなわち右冠状動脈と左冠状動脈とで、それぞれ、それに合致した異なるカテーテルを選択し、使用しなければならず、また、特殊な解剖学的形状の血管を持つ患者の場合には、さらに異なる形状の専用のカテーテルを使用する必要がある。
【0004】
そのため、予め多種多様なカテーテルを用意しておかねばならず、特に、右冠状動脈と左冠状動脈の双方を造影する場合には、右冠状動脈用カテーテルで右冠状動脈を造影した後、そのカテーテルを左冠状動脈用カテーテルに交換し、左冠状動脈を造影する必要があるので、作業に多大な手間と時間を要するとともに、患者への負担が増大するという問題があった。
【0005】
また、従来、冠状動脈造影用カテーテルは、セルジンガー法あるいはシース法等により、大腿動脈より経皮的に導入され、血管内に挿入されていた。しかしながら、カテーテルの体内への導入部位が大腿部の場合、穿刺部の止血のため、患者は絶対安静が必要である。従って、排尿、排便、飲食をも背臥位で行わねばならず、腰痛を生じる等、患者にとってかなりの苦痛を伴うという問題があった。
【0006】
さらに、大腿部からカテーテルを導入した場合には、絶対安静を保っていても出血する可能性があり、出血が後腹膜腔に及ぶと生命の危険があること、また、背臥位で排尿困難をきたす症例もあり、その場合は、尿路感染症の可能性があり、尿道カテーテルを用いて排尿しなければならないという問題があった。
【0007】
これらの問題を解消するための方法としては、腕の動脈、特に上腕動脈(Brachial Artery)または橈骨動脈(Radial Artery)からのカテーテルの導入が有効であるものと考えられる。すなわち、上腕穿刺部を伸ばした状態を保つのみで、手術直後より歩行が可能であり、腰痛等もなく、排尿、排便、飲食も通常通りに行え、また、上述した後腹膜腔の出血や尿路感染症の心配もなくなる。
【0008】
しかしながら、現在では、大腿動脈からの導入が一般的であるため、その大多数は大腿動脈挿入用のカテーテルであり、腕部の動脈から導入するように設計された好適なカテーテルは非常に少ない。
【0009】
このような大腿動脈挿入用のカテーテルをそのまま上腕動脈挿入用または橈骨動脈挿入用として用いた場合、カテーテルの導入操作、特にカテーテル先端を目的部位である右冠状動脈または左冠状動脈に挿入する操作がし難く、多大な労力を要し、数度の繰り返しの導入操作が必要となることもあり、手術時間の増大、ひいては患者にかかる負担の増大を招く。
【0010】
また、カテーテル先端部の姿勢が不適切であったり、反発力の不足等のために、一旦冠状動脈口に挿入されたカテーテルの先端が、造影中に冠状動脈口から外れてしまい、十分な造影ができないという事態が生じることもある。従って、この場合には、カテーテル先端の冠状動脈口への再度の挿入操作が必要となり、患者の負担が増大する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、1種類のカテーテルで、例えば右冠状動脈と左冠状動脈と左心室のような異なる目的部位に対応可能であり、また、例えば上腕動脈や橈骨動脈のような異なる導入部位に対応可能である、多目的型の心臓カテーテルを提供することにある。
【0012】
このような目的は、下記(1)〜(5)の本発明により達成される。
【0013】
(1) 可撓性を有するチューブ状の心臓カテーテルであって、
ほぼ直線状の近位部および中間部と、
前記中間部に対し85°〜90°の角度で湾曲した第1の湾曲部と、
前記第1の湾曲部からほぼ直線状に延びる遠位部と、
前記遠位部に対し前記第1の湾曲部と反対方向でかつ27°〜30°の角度で湾曲した第2の湾曲部と、
前記第2の湾曲部からほぼ直線状に延びる遠位端部とを有し、
前記第1の湾曲部の中心線の曲率半径は、5.0mm〜10mmであり、
前記第2の湾曲部の中心線の曲率半径は、10mm〜15mmであり、
右上腕動脈、右橈骨動脈または右大腿動脈から導入し、右冠状動脈、左冠状動脈および左心室に挿入可能であることを特徴とする心臓カテーテル。
【0015】
(2) 前記遠位部の長さが30mm〜35mmである上記(1)に記載の心臓カテーテル。
【0016】
(3) 前記遠位端部の長さが3mm〜4mmである上記(1)または(2)に記載の心臓カテーテル。
【0019】
(4) 前記遠位部の前記第2の湾曲部側に少なくとも1つ側孔が設けられている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の心臓カテーテル。
【0020】
(5) 前記遠位端部は、軟質部材を備えている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の心臓カテーテル。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の心臓カテーテルを添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の心臓カテーテルの全体形状を示す平面図、図2は、本発明の心臓カテーテルの血管への導入法を示す説明図、図3〜図5は、それぞれ、本発明の心臓カテーテルの使用方法を模式的に示す説明図である。なお、本明細書では、図1中の右側を「基端」、左側を「先端」とし、基端に近い側を「近位」、遠い側「遠位」として説明する。
【0024】
図1に示すように、本発明の心臓カテーテル1は、可撓性を有するチューブで構成されたカテーテル本体2と、該カテーテル本体2の基端に装着(固定)されたハブ4とで構成されている。
【0025】
カテーテル本体2の外径は、特に限定されないが、カテーテル本体2の細径化を考慮して、通常3mm以下であるのが好ましく、2.5mm以下であるのがより好ましく、2.0mm以下であるのがさらに好ましい。
【0026】
このカテーテル本体2は、基端側から、ほぼ直線状に延びる近位部21および中間部22と、該中間部22に対し所定の角度で湾曲した第1の湾曲部31と、該第1の湾曲部31からほぼ直線状に延びる遠位部23と、該遠位部23に対し第1の湾曲部31と反対方向に所定の角度で湾曲した第2の湾曲部32と、該第2の湾曲部32からほぼ直線状に延びる遠位端部24とを有している。
【0027】
近位部21および中間部22は、外力を加えない状態(曲げ、ねじり、引っ張り、圧縮等の外力を付与しない自然な状態)で、ほぼ直線状をなしている。なお、近位部21と中間部22とは、連続しており、これらの境界はなく、一体のものであってもよい。
【0028】
近位部21および中間部22の長さ、すなわちカテーテル本体2の基端から第1の湾曲部31までの長さは、特に限定されないが、通常は、450〜1500mm程度であるのが好ましく、600〜1200mm程度であるのがより好ましい。また、小児や乳幼児用の場合には、さらに短くてもよい。
【0029】
第1の湾曲部31は、外力を加えない状態(曲げ、ねじり、引っ張り、圧縮等の外力を付与しない自然な状態)で、所望に湾曲(屈曲)している。第1の湾曲部31の角度(中間部22と遠位部23とのなす角度)θ1は、60〜120°であり、好ましくは80〜100°であり、より好ましくはほぼ直角である。θ1が60°未満では、上腕動脈または橈骨動脈から左冠動脈への挿入が困難となるおそれがあり、また、120°を超えると、左冠動脈への挿入が困難、特に大腿動脈から左冠動脈への挿入が困難となるおそれがある。
【0030】
また、第1の湾曲部31の中心線の曲率半径R1は、特に限定されないが、1〜20mm程度であるのが好ましく、4〜10mm程度であるのがより好ましい。R1が小さ過ぎると、カテーテル本体2が第1湾曲部31で折れ曲がりを生じ易くルーメン5が閉塞するおそれがあり、また、R1が大き過ぎると、血管径が小さい場合、挿入が困難となる。
【0031】
遠位部23の長さは、特に限定されないが、10〜50mm程度であるのが好ましく、20〜40mm程度であるのがより好ましい。この長さが短すぎると、左右冠動脈への挿入が困難となるおそれがあり、また冠動脈口から外れ易くなり、また、長すぎると、冠動脈への挿入が深くなりすぎるおそれがある。
【0032】
第2の湾曲部32は、外力を加えない状態で、前記第1の湾曲部31とは反対方向に湾曲(屈曲)している。第2の湾曲部32の角度(遠位部23と遠位端部24のなす角度)θ2は、5〜45°であり、好ましくは20〜40°であり、より好ましくは25〜35°である。θ2が5°未満では、冠動脈との同軸性が得られにくくなり、また、45°を超えると、5°未満と同様に冠動脈との同軸性が得られにくくなる。
【0033】
また、第2の湾曲部32の中心線の曲率半径R2は、特に限定されないが、1〜20mm程度であるのが好ましく、5〜15mm程度であるのがより好ましい。R2が小さ過ぎると、カテーテル本体2が第2の湾曲部32で折れ曲がりを生じ易くルーメン5が閉塞するおそれがあり、また、R1が大き過ぎると、湾曲部32の角度θ2に大きな角度がつけにくくなる。
【0034】
遠位端部24の長さは、特に限定されないが、1〜10mm程度であるのが好ましく、2〜6mm程度であるのがより好ましい。このような範囲とすることにより、遠位端部24の左冠動脈もしくは右冠動脈への挿入を好適に行うことができる。
【0035】
このようなカテーテル本体2は、中空の柔軟性、可撓性を有するチューブで構成されている。カテーテル本体2の構成材料としては、例えば、ポリアミド、ポリエーテルポリアミド、ポリエステルポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、軟質ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、AS樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等の各種樹脂材料や、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、さらには、これらのうちの2種以上を組合せたもの(ポリマーアロイ、ポリマーブレンド、積層体等)が挙げられる。
【0036】
また、カテーテル本体2は、1層で構成されている場合の他、2層以上を積層した積層体で構成されていてもよい。また、層内や層間に補強材が設置されていてもよい。この補強材としては、例えば、線状体で構成されたもの、網状体で構成されたものが挙げられる。
【0037】
また、カテーテル本体2を構成する層の数や各層の構成材料、補強材の有無等は、カテーテル本体2の長手方向にそって異なっていてもよい。例えば、カテーテル本体2の先端側の部分に、より柔軟性を持たせるために、例えば、第1の湾曲部31、遠位部23、第2の湾曲部32および遠位端部24のうちの少なくとも1つの部分を、それ以外の部分に比べて層の数を減らしたり、より柔軟な材料を用いたり、当該部分にのみ補強材を配置しなかったりすることができる。
【0038】
なお、心臓カテーテル1の体内への挿入はX線透視下でその位置を確認しつつ行われるため、カテーテル本体2の構成材料中には、X線不透過材料(X線造影剤)が配合されているのが好ましい。X線不透過材料としては、例えば、硫酸バリウム、酸化ビスマス、タングステン等が使用可能である。
【0039】
また、このようなX線不透過材料は、カテーテル本体2の全長にわたって存在している場合に限らず、カテーテル本体2の一部、例えば、第1の湾曲部31、遠位部23、第2の湾曲部32および遠位端部24のうちの少なくとも1つに存在していてもよい。
【0040】
カテーテル本体2のほぼ中心部には、カテーテル本体2の全長にわたって、ルーメン5が形成されている。ルーメン5は、遠位端部24の先端に開放している。
【0041】
また、遠位部23の先端側(第2の湾曲部32側)には、少なくとも1つの側孔6が設けられている。この側孔6は、ルーメン5に連通している。
【0042】
図示の構成では、2つの側孔6がカテーテル本体2の長手方向にそって形成されているが、側孔6の配置は、これに限らず、例えば、カテーテル本体2の周方向に沿って複数の側孔6が形成されていてもよい。また、側孔6の形成数は、1個でも3個以上でもよい。さらには、このような側孔6は、形成されていなくてもよい。
【0043】
側孔6の直径は、特に限定されないが、カテーテル本体2の外径に応じて通常0.3〜1.5mm程度が好ましく、0.4〜1.0mm程度がより好ましい。
【0044】
遠位端部24は、軟質部材25を備えているのが好ましい。これにより、心臓カテーテル1の体内への挿入時に、カテーテル本体2の先端による血管の損傷をより確実に防止することができる。なお、この場合、遠位端部24全体が軟質部材で構成されていても、遠位端部24の一部、特に先端部が軟質部材で構成されていてもよい。
【0045】
軟質部材25の構成材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム等の各種ゴム材料や、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0046】
カテーテル本体2の基端には、ハブ4が装着されている。このハブ4には、ルーメン5と連通する内腔が形成されている。この内腔は、ルーメン5の内径とほぼ等しい内径を有し、ルーメン5の基端部内面に対し、段差等を生じることなく連続している。
【0047】
このようなハブ4からは、例えば、ガイドワイヤー、カテーテル類(例えば、PTCA用のバルーンカテーテル)、内視鏡、超音波プローブ、温度センサー等の長尺物(線状体)を挿入したり、造影剤(X線造影剤)、薬液、生理食塩水等の各種液体を注入しまたは抜去することができる。また、ハブ4は、例えば、血圧測定等の際に他の器具と接続することもできる。
【0048】
以上のような心臓カテーテル1は、上述した形状から、その先端部を心臓の各部、特に、右冠状動脈、左冠状動脈および左心室のいずれにも挿入して使用することができる。また、心臓カテーテル1の体内への導入部位は、大腿動脈のみならず、上腕動脈または橈骨動脈とすることができる。
【0049】
次に、本発明の心臓カテーテル1の使用方法の一例について説明する。
【0050】
図2に示すように、セルジンガー法によりカテーテルイントロデューサー7を例えば右上腕動脈、右橈骨動脈または右大腿動脈のような動脈(導入部位)9に穿刺し、該カテーテルイントロデューサー7のシース8内に、ルーメン5内にガイドワイヤー10を挿通した本発明の心臓カテーテル1を挿入し、遠位端部24をシース8の先端開口81から動脈9内へ突出させる。
【0051】
次に、心臓カテーテル1を図2中矢印方向にガイドワイヤー10を先行させて徐々に送り、目的部位(右冠状動脈、左冠状動脈、左心室等)に向けて進めて行く。この際、心臓カテーテル1の遠位端部24が血管の湾曲部を円滑に通過するため、または血管の分岐を選択するために、ガイドワイヤー10の出し入れ、心臓カテーテル1の前進・後退および回転を適宜組み合わせた操作を行う。
【0052】
以下、心臓カテーテル1の先端部を右冠状動脈、左冠状動脈および左心室へそれぞれ挿入する際の操作(手技)について、図3〜図5に基づき、詳細に説明する。なお、これらの操作は、いずれも、X線透視下で心臓カテーテル1の位置や姿勢を確認しながら行われる。
【0053】
1.右冠状動脈(口)への挿入(図3参照)
大腿動脈にカテーテルイントロデューサー7を穿刺し、ガイドワイヤー10を心臓カテーテル1のルーメン5内に挿入した状態で、該心臓カテーテル1をカテーテルイントロデューサー7に挿入し、以後はガイドワイヤー10を先行させて、腹部大動脈105から上行大動脈100まで心臓カテーテル1の先端部を進める。その後、ガイドワイヤー10を抜去して、心臓カテーテル1の形状を予め成形された湾曲形状(自然状態)に戻す。
【0054】
次に、心臓カテーテル1を一旦右冠状動脈口101よりも深く大動脈弁102近くまでゆっくりと押し進めて行き、心臓カテーテル1の先端を上行大動脈100の右内壁103に接触させ時計方向に回しながらゆっくりと引き戻すと、心臓カテーテル1の遠位端部24が右冠状動脈口101に挿入される。
【0055】
上腕動脈または橈骨動脈にカテーテルイントロデューサー7を穿刺した場合も同様に、心臓カテーテル1の先端部が腕頭動脈107を経た後、上行大動脈100内に入ったところで心臓カテーテル1の進行を止め、ガイドワイヤー10を抜去する。それ以後は、前記と同様の操作を行い、心臓カテーテル1の遠位端部24を右冠状動脈口101に挿入する。
【0056】
2.左冠状動脈(口)への挿入(図4参照)
大腿動脈にカテーテルイントロデューサー7を穿刺し、ガイドワイヤー10を心臓カテーテル1のルーメン5内に挿入した状態で、該心臓カテーテル1をカテーテルイントロデューサー7に挿入し、以後はガイドワイヤー10を先行させて、腹部大動脈105から上行大動脈100まで心臓カテーテル1の先端部を進める。遠位端部24が左冠状動脈口106より約10cm上方に位置したら心臓カテーテル1の進行を止め、ガイドワイヤー10を抜去して、心臓カテーテル1の形状を予め成形された湾曲形状(自然状態)に戻す。
【0057】
次に、心臓カテーテル1の先端位置を確認しながら、ゆっくりと心臓カテーテル1を押し進めると、心臓カテーテル1の先端(遠位端部24)は、上行大動脈100の左内壁104に接触しつつ下方に移動し、左冠状動脈口106に挿入される。
【0058】
心臓カテーテル1の先端(遠位端部24)が左冠状動脈口106と反対方向を向いている場合は、心臓カテーテル1を反時計方向にわずかに回転させて遠位端部24を左冠状動脈口106の方向へ向け、そのままゆっくりと押し進める。これにより、遠位端部24は容易に左冠状動脈口106内に挿入される。
【0059】
上腕動脈または橈骨動脈にカテーテルイントロデューサー7を穿刺した場合も同様に、心臓カテーテル1の先端部が腕頭動脈107を経た後、上行大動脈100内に入ったところで心臓カテーテル1の進行を止め、ガイドワイヤー10を抜去する。
【0060】
次に、心臓カテーテル1の先端位置を確認しながら、ゆっくりと心臓カテーテル1を押し進める。これにより、前記と同様にして心臓カテーテル1の先端部が左冠状動脈口106に挿入される。
【0061】
心臓カテーテル1の先端部(遠位端部24)が左冠状動脈口106とは反対方向を向いている場合は、心臓カテーテル1を反時計方向にわずかに回転させて遠位端部24を左冠状動脈口106方向へ向け、そのままゆっくりと押し進める。これにより、遠位端部24は容易に左冠状動脈口106内に挿入される。
【0062】
3.左心室への挿入(図5参照)
上腕動脈または橈骨動脈にカテーテルイントロデューサー7を穿刺した場合、ガイドワイヤー10を先行させ、鎖骨下動脈から腕頭動脈107を経由して上行大動脈100に心臓カテーテル1の先端部(遠位端部24)を位置させる。そして、心臓カテーテル1の進退を繰り返し行いつつ、大動脈弁102の尖中央部に向けて心臓カテーテル1を徐々に進めると、心臓カテーテル1の先端部は、大動脈弁102を越えて左心室108内に挿入される。
【0063】
大腿動脈にカテーテルイントロデューサー7を穿刺した場合、ガイドワイヤー10を先行させ、心臓カテーテル1の弾性および柔軟性を利用して、心臓カテーテル1を腹部大動脈105および大動脈弓109に沿わせ、上行大動脈100に心臓カテーテル1の先端部(遠位端部24)を位置させる。そして、心臓カテーテル1の進退を繰り返し行いつつ、大動脈弁102の尖中央部に向けて心臓カテーテル1を徐々に進め、さらに回転操作を加えると、心臓カテーテル1の先端部は、大動脈弁102を越えて左心室108内へ挿入される。
【0064】
以上のような操作により、心臓カテーテル1の遠位端部24が目的部位に挿入された後は、ルーメン5からガイドワイヤー10を抜去する。目的部位を造影剤によりX線造影する場合には、ハブ4にコネクタを接続して造影剤を注入する。注入された造影剤は、ルーメン5内を通り遠位端部24の先端開口および側孔6から噴出され、目的部位に供給される。これにより、目的部位のX線造影が可能となる。
【0065】
本発明の心臓カテーテル1の用途は、特に限定されず、上述した造影用のカテーテルの他に、例えば、バルーンカテーテル、ロータ・ブレーターカテーテル、アセレクトミーカテーテル、超音波カテーテル等を導入するためのガイディングカテーテル、薬液(血栓溶解剤等)を投与するためのカテーテル等に適用することができる。
【0066】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例について説明する。
【0067】
(実施例1)
図1に示す構成で、下記条件のカテーテル本体を持つ心臓カテーテルを作製した。
【0068】
全長 :850mm
外径 :1.67mm
内径(ルーメン径) :1.1mm
材質 :ポリエーテルポリアミド
第1の湾曲部の角度θ1 :90°
第1の湾曲部の曲率半径R1 :5.0mm
遠位部の長さ :30mm
第2の湾曲部の角度θ2 :30°
第2の湾曲部の曲率半径R2 :10mm
遠位端部の長さ :3mm
側孔の形成位置 :遠位部の先端部に5.0mm間隔で2個
側孔の直径 :0.5mm
軟質部材の設置 :遠位端部の先端に、ポリアミドエラストマー製の軟質チップを設置。
【0069】
<臨床試験1>
前述した手技により、3人の患者A、BおよびCに対し、右上腕動脈に5F(フレンチ)のシースを備えたカテーテルイントロデューサーを経皮的に留置し、該シースより前記心臓カテーテルを導入し、血管内へ挿入した。その後、該心臓カテーテルの先端部を右冠状動脈内、左冠状動脈内および左心室内に順次挿入し、X線造影剤を注入してX線造影を行ったところ、いずれも、鮮明な画像が得られた。
【0070】
1種類の心臓カテーテルで、右冠状動脈、左冠状動脈および左心室のそれぞれに対し、迅速、安全、確実にカテーテル先端部を挿入し、またX線造影を行うことができた。
【0071】
<臨床試験2>
前述した手技により、3人の患者D、EおよびFに対し、右橈骨動脈に5F(フレンチ)のシースを備えたカテーテルイントロデューサーを経皮的に留置し、該シースより前記心臓カテーテルを導入し、血管内へ挿入した。その後、該心臓カテーテルの先端部を右冠状動脈内、左冠状動脈内および左心室内に順次挿入し、X線造影剤を注入してX線造影を行ったところ、いずれも、鮮明な画像が得られた。
【0072】
1種類の心臓カテーテルで、右冠状動脈、左冠状動脈および左心室のそれぞれに対し、迅速、安全、確実にカテーテル先端部を挿入し、またX線造影を行うことができた。
【0073】
<臨床試験3>
前述した手技により、3人の患者G、HおよびIに対し、右大腿動脈に5F(フレンチ)のシースを備えたカテーテルイントロデューサーを経皮的に留置し、該シースより前記心臓カテーテルを導入し、血管内へ挿入した。その後、該心臓カテーテルの先端部を右冠状動脈内、左冠状動脈内および左心室内に順次挿入し、X線造影剤を注入してX線造影を行ったところ、いずれも、鮮明な画像が得られた。
【0074】
1種類の心臓カテーテルで、右冠状動脈、左冠状動脈および左心室のそれぞれに対し、迅速、安全、確実にカテーテル先端部を挿入し、またX線造影を行うことができた。
【0075】
(実施例2)
下記条件が異なる以外は、実施例1と同様の心臓カテーテルを製造した。
【0076】
第1の湾曲部の角度θ1 :85°
第1の湾曲部の曲率半径R1 :10mm
遠位部の長さ :35mm
第2の湾曲部の角度θ2 :27°
第2の湾曲部の曲率半径R2 :15mm
遠位端部の長さ :4mm
【0077】
別の患者計9人に対し、臨床試験1、2および3と同様の臨床試験を行ったところ、各臨床試験において、前記と同様に、1種類の心臓カテーテルで、右冠状動脈、左冠状動脈および左心室のそれぞれに対し、迅速、安全、確実にカテーテル先端部を挿入し、またX線造影を行うことができた。
【0078】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、1種類のカテーテルで、例えば右冠状動脈と左冠状動脈と左心室のような異なる目的部位や、種々の血管形状に対応可能である。
【0079】
そのため、例えば、2つ以上の目的部位にカテーテル先端部を挿入してX線造影剤の注入や治療等を行う場合、目的部位ごとに心臓カテーテルの交換を行う必要がなくなり、手術の手間と時間、患者の負担を大幅に軽減することができる。
【0080】
また、本発明の心臓カテーテルは、体内への導入部位の選択の幅が広い。例えば、大腿動脈のみならず、上腕動脈や橈骨動脈からも体内へ導入することができる。
【0081】
そのため、術後に、穿刺部の出血が少なく、患者は、絶対安静を強いられず、歩行も可能となるので、患者の苦痛や負担が軽減される。また、安全性も高く、術後の感染(背臥位で排尿に伴う尿路感染等)をも防止できる。
【0082】
また、本発明の心臓カテーテルは、操作性に優れているため、体内への導入操作、特にカテーテル先端部を目的部位へ移送し、挿入する操作がし易く、しかも、該操作を安全に行うことができる。
【0083】
また、十分な反発力を有するため、カテーテル先端部を一旦目的部位へ挿入した後も、その姿勢が安定的に保持されるので、カテーテル先端部が目的部位から外れたり、ずれたりすることが生じ難い。従って、造影や治療等を十分に継続することができる。
【0084】
このようなことからも、手術に要する手間と時間を少なくし、患者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の心臓カテーテルの全体形状を示す平面図である。
【図2】本発明の心臓カテーテルの血管への導入法を示す説明図である。
【図3】本発明の心臓カテーテルを右冠状動脈に挿入・留置する場合の使用方法を模式的に示す説明図である。
【図4】本発明の心臓カテーテルを左冠状動脈に挿入・留置する場合の使用方法を模式的に示す説明図である。
【図5】本発明の心臓カテーテルを左心室に挿入・留置する場合の使用方法を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1 心臓カテーテル
2 カテーテル本体
21 近位部
22 中間部
23 遠位部
24 遠位端部
25 軟質部材
31 第1湾曲部
32 第2湾曲部
4 ハブ
5 ルーメン
6 側孔
7 カテーテルイントロデューサー
8 シース
81 先端開口
9 動脈
10 ガイドワイヤー
100 上行大動脈
101 右冠状動脈口
102 大動脈弁
103 右内壁
104 左内壁
105 腹部大動脈
106 左冠状動脈口
107 腕頭動脈
108 左心室
109 大動脈弓
Claims (5)
- 可撓性を有するチューブ状の心臓カテーテルであって、
ほぼ直線状の近位部および中間部と、
前記中間部に対し85°〜90°の角度で湾曲した第1の湾曲部と、
前記第1の湾曲部からほぼ直線状に延びる遠位部と、
前記遠位部に対し前記第1の湾曲部と反対方向でかつ27°〜30°の角度で湾曲した第2の湾曲部と、
前記第2の湾曲部からほぼ直線状に延びる遠位端部とを有し、
前記第1の湾曲部の中心線の曲率半径は、5.0mm〜10mmであり、
前記第2の湾曲部の中心線の曲率半径は、10mm〜15mmであり、
右上腕動脈、右橈骨動脈または右大腿動脈から導入し、右冠状動脈、左冠状動脈および左心室に挿入可能であることを特徴とする心臓カテーテル。 - 前記遠位部の長さが30mm〜35mmである請求項1に記載の心臓カテーテル。
- 前記遠位端部の長さが3mm〜4mmである請求項1または2に記載の心臓カテーテル。
- 前記遠位部の前記第2の湾曲部側に少なくとも1つ側孔が設けられている請求項1ないし3のいずれかに記載の心臓カテーテル。
- 前記遠位端部は、軟質部材を備えている請求項1ないし4のいずれかに記載の心臓カテーテル。
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