JP4464372B2 - 燃料噴射弁 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関で使用される燃料噴射弁に係り、特に、噴射弁のアクチュエータとして磁歪素子を用いる燃料噴射弁に関する。
内燃機関で使用される燃料噴射弁に関しては、近年、そのアクチュエータとして磁歪素子を用いたものが提案されている。例えば、特許文献1(特開2001−234830号公報)における燃料噴射装置では、アクチュエータとしてパイロット弁を用い、弁体を駆動する圧力油の制御に磁歪素子を用いている。この従来技術では、磁歪素子が複数の磁歪棒(第1磁歪棒、第2磁歪棒)により構成され、磁歪棒は並列に配置(タンデム型配置)され且つ両者は連結部材を介して連結した構造を提案している。この特許文献1に記載の燃料噴射ノズルは、低圧から高圧までの広範囲の噴射圧力下で、噴射率パターンを可変に制御する。磁歪素子は、パイロット弁の軸線と平行に配置され、パイロット弁のリフト量が第1磁歪棒と第2磁歪棒の軸方向変位量の和で決定することにより、リフト量が拡大できるように構成されている。
特許文献2(特開2000−262076号公報)においても、燃料噴射弁の駆動装置として、超磁歪アクチュエータを用いている。このアクチュエータでも、少なくとも2本の超磁歪材を組合せて使用している。この燃料噴射弁は、同軸に配置された第1磁歪材、第2磁歪材が連結部材を介して結合されている。両磁歪材は、磁界が発生すると、両磁歪材の伸縮量の和に相当する変位が発生するように連結され、この変位により、弁体のリフト量を決定している。
特開2001−234830号公報 特開2000−262076号公報
磁歪素子を用いて高応答で作動させる燃料噴射弁においては、広範囲での流量(最大流量、最小流量)を精密に制御することが要求される。このためには、燃料噴射弁の噴射ノズル弁体のリフト量を決定することと、リフト量の拡大を図ることと、リフト量のばらつきの低減を図ることが非常に重要となる。
磁歪素子をアクチュエータに用いる燃料噴射弁にあっては、個々の磁歪素子自体の磁歪量のばらつき、弁体と磁歪素子間における位置調整のばらつき、温度変化が有った場合に生じる熱膨張によるばらつきなどがある。これらのバラツキによって弁体のリフト量がばらついて、燃料噴射弁の流量に生じるばらつきが非常に大きいものとなっていた。
近年、低燃費および高出力を狙ったエンジンとして、筒内直接噴射式ガソリンエンジン(以下、「筒内噴射エンジン」と称する)が実用化されている。この筒内噴射エンジンの例としては、図9(A)に示すように、燃料噴射弁をエンジンの燃焼室の側面に配置したものや、図9(B)に示すように、エンジンの燃焼室の直上に配置したものなどがある。この図9に示される筒内噴射エンジンにおいては、燃焼方式、燃焼室形状、燃焼室の寸法などによって、それぞれに適した形状に形成された燃料の噴霧と最適な流量が必要とされている。
一方で、筒内噴射エンジンにおいては、燃料を噴射してから点火までの時間が短く、筒内に噴射された燃料が蒸発するまでの時間は短い。このため、同じ量の燃料に対して、より大きい表面積を得て蒸発を促進するため、燃料の微粒化が必要とされている。このように、噴霧形状と燃料の微粒化および最適な流量は、エンジンの排気中の未燃燃料成分(以下HCと称する)や窒素酸化物(以下NOxと称する)の量、及び燃費に影響を与える。
本発明は、噴射ノズルの燃料噴射口の開閉による供給流量の最適流量をより精密に制御することのできる磁歪素子タイプの燃料噴射弁を提供することを目的とする。
本発明に係る燃料噴射弁は、基本的には、次のように構成される。
本発明に係る燃料噴射弁は、
燃料噴射孔となるオリフィスと、
このオリフィスの上流に設けられた弁座と、
この弁座と協働して燃料を通流,遮断する第1の弁棒と、前記第1の弁棒を前記弁座から離れる開弁方向に付勢するばねと、
このばねにより動作する前記第1の弁棒の開弁となるフルストロークを規制するストッパと、
磁界を発生させるソレノイドと、
前記ソレノイドに電流を流すことにより伸び、その電流を断つことによって縮む磁歪素子であって、伸びるときの軸方向伸長量と縮むときの軸方向縮小量とがヒステリシスを有する磁歪素子と、
前記第1の弁棒と別体でこの第1の弁棒と同一軸線上に配置され、前記ソレノイドが非通電状態のとき、前記ばねの力に抗して前記第1の弁棒を前記弁座に押し付け、前記ソレノイドが通電状態のとき、前記磁歪素子の伸長で前記第1の弁棒の押し付けを解除するよう押し上げられる第2の弁棒とを備え、
前記第2の弁棒が前記磁歪素子の伸長で押し上げられると、前記第1の弁棒が前記ばねの力によって前記弁座から離れる開弁方向に移動する構成とし、
前記第1の弁棒が開弁状態のときの前記磁歪素子の軸方向伸長量は、前記第1の弁棒の前記ストッパにより規制される前記フルストロークよりも大きく設定され且つ前記磁歪素子の伸長量が前記第2の弁棒のストローク量を決定して、前記第1の弁棒が開弁となるためにフルストロークした後も、前記第2の弁棒が前記第1の弁棒から離れて開弁方向にストロークする構成にしたことを特徴とする。
本発明によれば、噴射ノズルの燃料噴射口の開閉制御によって決定される最適燃料供給流量を精密に制御することができる。
以下、本発明の実施例について図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係る燃料噴射弁100の第1の実施例を示す断面図である。
なお、図1において、ノズル1側を下側、その反対側を上側とする。
図1において、筒状に形成されるノズル1には、燃料噴射口(オリフィス)を開閉するための動作を行う棒状の第1の弁棒2(第1の弁体)が軸方向に摺動自在に嵌合されている。また、このノズル1の下端部には、オリフィスプレート3が設けられる。オリフィスプレート3の噴射孔上流のテーパ穴には、第1の弁棒2の先端が位置している。ノズル1の上部には、スプリング4が設けられており、このスプリング4は、第1の弁棒2を常時上方向(開弁方向)に押圧している。ノズル1の上部は、ハウジング5に収納されており、このハウジング5に保持されている。第1の弁棒2の上方には、第1の弁棒2が所定量引き上げられると、弁棒に設けたフランジ部が当接し、弁棒2のリフト量すなわち開弁時のフルストロークを規制するストッパ6が設けられている。ストッパ6は、ハウジング5の上端部に取り付けられるベース7によって固定されている。そして、このストッパ6は、ドーナツ状に形成されている。
さらにノズル周りについて詳述すると、燃料噴射弁100のボディは、ノズル1、ハウジング5、第1のヨーク11、第2のヨーク12、上部コア19等からなる組立体により構成される。ノズル1は、細長の筒状に形成されるバルブガイド1aとそれよりも大径の上部筒部1bよりなる。筒部1bは、ハウジング5の下端内周に嵌合して例えば溶接などで固着されている。
このようにして連結されたノズル1とハウジング5の内部に、燃料噴射口32aを開閉するための第1の弁棒2、スプリング4、ストッパ6、及びばね受け40が装着されている。ノズル1の下端部に設けたオリフィスプレート3は、その中央に燃料噴射孔となるオリフィス32が設けられる。オリフィス32の上流側に弁シートを有するテーパ穴31が設けられる。
第1の弁棒2は、ばね受け40を通してオリフィスプレート3とストッパ6との間に設けられる。第1の弁棒2の上端部には、フランジ20が設けられ、このフランジ20とばね受け40との間にスプリング4が設けられる(図3)。
第1の弁棒2の先端(下端)は、弁棒2の軸方向の往復動作により、オリフィスプレート3のテーパ穴31に設けたシートと接触したり、シートから離れることができ、それによりノズルの開閉動作が行われる。スプリング4は、ノズル1の上部からハウジング5の内部にかけて位置する。スプリング4は、第1の弁棒2に、常時図1の上方向(開弁方向:オリフィスプレート3のシートから離れる方向)に押圧するばね力を与えている。ノズル1は、その上部筒部1bがハウジング5に嵌合し、それによりハウジング5により保持される。第1の弁棒2のリフト量を規制するストッパ6は、ハウジング5の上端部に取り付けたべース7によって固定されている。ベース7は、例えば溶接などでハウジング5の上端に固着される。ベース7及びストッパ6は、ドーナツ状に形成されており、それらの中央の穴部を通して後述の第2の弁棒8が先端(下端)が第1の弁棒2の頭部に接触している。ベース7の穴部は、第2の弁棒8の軸方向の移動を案内するガイド穴として機能する。
ハウジング5の上部側は、筒状の第1のヨーク11の下端部と結合する。ヨーク11の上端部は、第2のヨーク12の下端部と結合する。ヨーク11には、その中心に第2の弁棒8が設けられる。第2の弁棒8の先端は、第1の弁棒2の上端に接触している。第1の弁棒2と第2の弁棒8とは、同一軸心ライン上に配置される。第2の弁棒8の外周りには、弁体8の軸方向の移動を案内するガイドパイプ25が配置される。ガイドバイプ25は、ベース7により保持される。ガイドパイプ25は、非磁性部材により構成され、その外側に筒状の磁歪素子9が配置される。磁歪素子9の外側には、磁歪素子9を保護するための筒状の非磁性保護ケース26が配置される。さらに、磁歪素子9の外側に磁歪素子9に磁界を与えるための電磁コイル10が配設されている。コイル10の外側にヨーク11が配置される。
すなわち、第2の弁棒8、ガイドパイプ25、磁歪素子9、保護パイプ26、コイル10及びヨーク11が同心状に配置されている。
磁歪素子(超磁歪素子)は、外部磁界の作用で伸縮し、磁界に比例して伸長する正の磁歪特性を有する。例えば希土類であるテルビウム(Tb)およびディスプロシウム(Dy)を含む鉄合金により構成される。この磁歪材料は、外部磁界の変化に対して極めて高い応答速度で伸縮する。
磁歪素子9の上端には、磁歪素子9の上端を被うカバー13が設けられ、このカバー13の上に磁歪素子を押さえるための素子押え14が配置される。この素子押え14の上にギャップ調整用のギャップリング15が配置される。すなわち、磁歪素子9の上端に素子カバー13、素子押え14、ギャップリング15が重なって設けられる。ギャップリング15の上方に、第2の弁棒8のフランジ部27aが配置される。また、素子押え14の上方には、磁歪素子9に予圧を与えるためのスプリング16が設けられる。磁歪素子は、軸線方向に予圧を与えておくことで、大きな磁歪定数を示す特性を有する。第2の弁棒8のフランジ部27aの上方にはスプリング17が設けられる。
フランジ部27aの上端部は、スプリング17のばね力を受け、このスプリング17により、第2の弁棒8は、常時閉弁方向(下方向)に押圧されている。スプリング16とスプリング17は、ヨーク12の上端部に取り付けたコア19に収納されている。スプリング16の一端は、コア19の内部に形成した段差部(ばね受け部)により保持され、他端が素子押え14のフランジ部14a上面により保持される。スプリング17は、一端がコア19に設けたアジャスタピン18によって保持され、他端が第2の弁棒8の上端フランジ14aにより保持される。
さらに、詳述すると、第2の弁棒8の上部フランジ27aは、弁棒8の上端に固着された筒体27と一体成形されている。筒体27は、内部に燃料通路を有し、その通路側壁に燃料を筒体27の外周に導く燃料案内孔28が複数配設される。筒体27は、フランジ27aを除く大部分が素子押え14の内周に挿入される。
磁歪素子9に磁界が加えられていない状態では、第2の弁棒8がスプリング17のばね力を受けて第1の弁棒2をシートに押し付けている(初期状態)。この初期状態は、閉弁状態にある。また、第1の弁棒2の上端フランジ20とストッパ6との間には、第1の弁棒2の移動範囲(リフト範囲:ストローク)を保つためのギャップ(例えば20〜40μm程度)が確保されている。また、第2の弁棒8の上部フランジ27aとギャップリング15との間には、磁歪素子9の軸方向の熱膨張を吸収するためのギャップ(例えば5μm程度)が設けられている。この熱膨張吸収ギャップは、弁のリフト用ギャップに比べて小さい。
また、第2の弁棒8の全長は、磁歪素子9の全長より長くしてある。これは、磁歪素子9と第2の弁棒8との材質が異なり、両者の線膨張係数との差が異なることを配慮したものである。すなわち、一般に、磁歪素子9の線膨張係数が、第2の弁棒8のそれよりも大きい。このような状況でも、上記した熱膨張吸収ギャップを略一定に保つためには、第2の弁棒8の長さを磁歪素子9のそれよりも適宜長くして、両者の熱膨張による伸びを略一致させる必要がある。両者の部材の長さの比率は、それぞれの熱膨張率、長さに加えて、第1の弁棒2、筒体27、素子押え14などの関連部材の熱膨張率、長さも加味して決定される。例えば、磁歪素子9が既述したTb及びDyを含む鉄合金、弁棒2及び弁棒8がステンレス(SUS420J)である。ステンレス(SUS420J)は、耐磨耗性、防錆性を有し線膨張係数が超磁歪素子に比較的近い。第2の弁棒8は、磁歪素子の1.2倍程度の長さとなる。
なお、燃料噴射弁のその他の材料の一例をあげれば、ノズル1がステンレス(SUS420J2)、ハウジング5、第1のヨーク11及び素子押え14が磁性ステンレス(K-M35FL)、ガイドパイプ25及び非磁性保護ケース26がステンレス(SUS304)である。
このように構成される燃料噴射弁100においては、ハウジング5、ベース7、磁歪素子9、素子カバー13、素子押え14、ヨーク11,12によってコイル10の周りを一巡する磁気回路が構成されている。
噴射パルスがオフすなわちコイル10に電流が流れないときは、第1の弁棒2は、スプリング4のばね力によって上方向(リフト方向)に押されるが、第2の弁棒8には、スプリング17の付勢力によって押し下げられる力が作用する。スプリング17のばね力は、スプリング4のばね力よりも大きいために、第1の弁棒2のフランジ部の上面が第2の弁棒8の先端により押され、第1の弁棒2はシートに押し付けられるので、噴射弁は閉弁状態にある。第1の弁棒2が閉弁しているときには、第1の弁棒2のリフト量分だけ、第1の弁棒2とストッパ6の間に予め隙間が設けられている。
このように構成される燃料噴射弁100において、いま、噴射パルスがオンの状態になると、コイル10に電流が流れ、磁界が形成される。この磁界の作用を受けて、磁歪素子9は、上方に変形(伸長)する。この磁歪素子9の変形量は、上記熱膨張吸収ギャップより大きい。磁歪素子9が上方に変形すると、素子カバー13、素子押え14、ギャップリング15がスプリング16、スプリング17の付勢力に抗して上方に押し上げられ、最終的にギャップリング15が第2の弁棒8を上方へリフトする。それに伴い、第1の弁棒2がスプリング4の力でストッパ6に接触するまで引き上げられ、弁が開く。第1の弁棒2のリフト量は、ストッパ6によって規制されており、第1の弁棒2のリフト量は、磁歪素子9の変形量よりも小さく設定されている。
噴射パルスがオフの状態になると、コイル10に電流が流れなくなり、磁歪素子9の変形が元の状態に戻るため、スプリング17の力によって第2の弁棒8と第1の弁棒2は、閉弁状態に戻り、燃料の噴射が終わる。
図4には、磁歪素子9のヒステリシス特性と、ストッパ6の規制方法が示されている。
磁歪素子9の磁歪量が変化すると、第2の弁棒8が上方または下方へリフトする。
図4において、磁歪素子9の磁歪量は磁界の強さに比例しており、ヒステリシスの増磁路(往路)側について見ると、0点から磁界の強さをC(k0e)まで上げると、磁歪量は、0(ppm)からF(ppm)まで大きくなる。そして、ヒステリシスの増磁路側で、磁界の強さをC(k0e)からA(k0e)まで上げると、磁歪量は、F(ppm)からE(ppm)まで大きくなる。さらに、磁界の強さをA(k0e)からB(k0e)まで上げると、磁歪量は、E(ppm)から最大磁歪量のD(ppm)まで大きくなる。
一方、ヒステリシスの減磁路(復路)側について見ると、磁界の強さを最大磁歪量D(ppm)を示すB(k0e)の地点から、磁界の強さB(k0e)より小さい磁界の強さC(k0e)まで下げると、磁歪量は、D(ppm)からE(ppm)まで小さくなる。この磁歪量E(ppm)は、ヒステリシスの増磁路側の磁界の強さA(k0e)に相当するものである。したがって、同じ磁歪量E(ppm)でもヒステリシスの増磁路の場合と減磁路の場合では、与える磁界の強さが異なる(増磁路のときはA(k0e)、減磁路のときはC(k0e)となる)ことがわかる。
このことは、電流(A)とリフト量(μm)の関係においても同様な関係が成り立つ。
すなわち、いま、ヒステリシスの増磁路側について見ると、供給する電流(A)を0(A)の値からI(A)の値まで上げると、リフト量は、0(μm)の値からM(μm)の値まで大きくなる。そして、ヒステリシスの増磁路側で、供給する電流(A)をI(A)の値からG(A)の値まで上げると、リフト量は、M(μm)の値からK(μm)の値まで大きくなる。さらに、供給する電流(A)をG(A)の値からH(A)の値まで上げると、リフト量は、K(μm)の値から最大リフト量のJ(μm)の値まで大きくなる。
一方、ヒステリシスの減磁路側について見ると、供給する電流(A)の大きさを最大リフト量J(μm)を示すH(A)の値から、電流を電流H(A)より小さい電流I(A)まで下げると、リフト量は、最大リフト量のJ(μm)からK(μm)まで小さくなる。このリフト量K(μm)は、ヒステリシスの増磁路電流G(A)に相当するものである。
したがって、同じリフト量K(μm)でもヒステリシスの増磁路の場合と減磁路の場合では、供給する電流(A)の大きさが異なる(増磁路のときはG(A)、減磁路のときはI(A)となる)ことがわかる。
このように、リフト量を多くする必要がある場合、同じリフト量を得るのに供給する電流(A)の値を小さく抑えるには、磁歪素子9のヒステリシスの復路側を使用するのが良いことがわかる。図1に図示の実施例の場合、ヒステリシス減磁路側において電流がI(A)の値の時には、第1の弁棒2の上方の第2の弁棒8のリフト量は、K(μm)の値となる。
しかし、第1の弁棒2の場合は、リフト量を規制するストッパ6があるため、このストッパ6による規制ラインであるL(μm)のリフト量となる。
図5には、図4に図示の状態を、時間(ms)を横軸に、電圧(V)、電流(A),磁歪量(ppm)、第2の弁棒リフト量(μm)、第1の弁棒リフト量(μm)のそれぞれを縦軸にした特性図が示されている。図中の各記号は、図4に図示の記号の場所と対応しておりヒステリシスの往路、復路を考慮したものとなっている。
図5において、図4で説明したように同じリフト量K(μm)でもヒステリシスの増磁路と減磁路で与える電流が異なること、リフト量を多くする必要がある場合(M(μm)の値からK(μm)の値)にはヒステリシスの減磁路側を使用するのが良いことがわかる。また、ヒステリシスの減磁路側において、電流がI(A)の値の時には、第1の弁棒2の上方に位置する第2の弁棒8のリフト量は、K(μm)の値となる。これに対し、第1の弁棒2の場合には、リフト量を規制するストッパ6が設けられているため、リフト量は、このストッパ6によって決定される規制ラインであるL(μm)の値となる。これによって、磁歪素子9自体における磁歪量の固体のばらつき、第2の弁棒8と磁歪素子9間の位置の調整のばらつきなどを抑えることができることから燃料噴射弁100の流量ばらつきを抑えることができ、その結果、噴射量を広範囲で精密に制御することが可能となる。
図6には、本発明に係る燃料噴射弁100の磁歪素子のヒステリシス特性とストッパ規制方法にかかる第2の実施例が示されている。
図6において、磁歪素子9の磁歪量は、図2と同様に磁界の強さに比例しており、ヒステリシスの往路側について見ると、磁界の強さを0(k0e)からC(k0e)まで上げると、磁歪量は、0(ppm)からF(ppm)まで大きくなる。また、ヒステリシスの増磁路側で、磁界の強さをC(k0e)からA’(k0e)まで上げると、磁歪量は、F(ppm)からE’(ppm)まで大きくなる。さらに、磁界の強さをA’(k0e)からA(k0e)まで上げると、磁歪量は、E’(ppm)からE(ppm)まで大きくなる。そして、磁界の強さをA(k0e)からB(k0e)まで上げると、磁歪量は、E(ppm)から最大磁歪量のD(ppm)まで大きくなる。
一方、ヒステリシスの減磁側について見ると、磁界の強さを最大磁歪量D(ppm)を示すB(k0e)の地点から、磁界の強さB(k0e)より小さい磁界の強さC(k0e)まで下げると、磁歪量は、D(ppm)からE(ppm)まで小さくなる。この磁歪量E(ppm)は、ヒステリシスの増磁側の磁界の強さA(k0e)に相当するものである。したがって、同じ磁歪量E(ppm)でもヒステリシスの増磁路の場合と減磁路の場合では、与える磁界の強さが異なる(増磁路のときはA(k0e)、減磁路のときはC(k0e)となる)ことがわかる。さらに、磁界の強さをC(k0e)の地点から、磁界の強さC(k0e)より小さい磁界の強さC’(k0e)まで下げると、磁歪量は、E(ppm)からE“(ppm)まで小さくなる。
このことは、電流(A)とリフト量(μm)の関係においても同様な関係が成り立つ。
すなわち、いま、ヒステリシスの増磁路側について見ると、供給する電流(A)の値を0(A)の値からI(A)の値まで上げると、リフト量は、0(μm)の値からM(μm)の値まで大きくなる。また、ヒステリシスの増磁側で、供給する電流(A)をI(A)の値からG’(A)の値まで上げると、リフト量は、M(μm)の値からL’(μm)の値まで大きくなる。さらに、ヒステリシスの増磁側で、供給する電流(A)をG’(A)の値からG(A)の値まで上げると、リフト量は、L’(μm)の値からK(μm)の値まで大きくなる。そして、供給する電流(A)をG(A)の値からH(A)の値まで上げると、リフト量は、K(μm)の値から最大リフト量のJ(μm)の値まで大きくなる。
一方、ヒステリシスの減磁側について見ると、供給する電流(A)の大きさを最大リフト量J(μm)を示すH(A)の値から、電流を電流H(A)の値より小さい電流I(A)の値まで下げると、リフト量は、最大リフト量のJ(μm)からK(μm)まで小さくなる。このリフト量K(μm)は、ヒステリシスの増磁側の電流G(A)の値に相当するものである。したがって、同じリフト量K(μm)でもヒステリシスの増磁路の場合と減磁路の場合では、供給する電流(A)の大きさが異なる(増磁路のときはG(A)、減磁路のときはI(A)となる)ことがわかる。さらに、供給する電流(A)の大きさをI(A)の値からI’(A)の値まで下げると、リフト量は、K(μm)の値からL(μm)の値まで小さくなる。
図1に図示の実施例の場合、ヒステリシス減磁側において電流がI(A)の値の時には、第1の弁棒2の上方の第2の弁棒8のリフト量は、K(μm)の値となる。しかし、第1の弁棒2の場合は、リフト量を規制するストッパ6があるため、このストッパ6による規制ラインであるL(μm)のリフト量となる。
本実施例の場合においては、ヒステリシスの増磁路側および減磁路側のいずれにおいても、ストッパ6の規制ラインであるL(μm)のリフト量の手前でリフトを一旦ストップさせる(増磁路のときはリフト量L’(μm)の値で、減磁路のときはリフト量K(μm)の値となる)ことを行う。これにより、ヒステリシス増磁路側では第1の弁棒2がストッパ6に衝突する直前(リフト量L’(μm)の地点)で第1の弁棒2の速度を低下させることで、第1の弁棒2がストッパ6に衝突した後のバウンドを抑える効果がある。また、ヒステリシスの減磁側では第2の弁棒8が閉弁側で動作するときに第1の弁棒2に衝突する直前(リフト量K(μm)の地点)で第2の弁棒8の速度を低下させることで、第2の弁棒8が第1の弁棒2に衝突した後のバウンドを抑える効果がある。
図7には、図6に図示の状態を、時間(ms)を横軸に、電圧(V)、電流(A),磁歪量(ppm)、第2の弁棒リフト量(μm)、第1の弁棒リフト量(μm)のそれぞれを縦軸にした特性図が示されている。図中の各記号は、図6に図示の記号の場所と対応しておりヒステリシスの往路、復路を考慮したものとなっている。
図7において、図6で説明したようにヒステリシス往路側、復路側においてストッパ6の規制ライン(リフト量K(μm)の値)の手前の地点(ヒステリシス往路側の場合、リフト量L’(μm)の地点、ヒステリシス復路側の場合、リフト量K(μm)の地点)でリフトを一旦ストップさせている。
本実施例の場合においては、磁歪素子9自体の磁歪量の固体のばらつき、第2の弁棒8と磁歪素子9との間の位置の調整のばらつき、ヒステリシス往路(増磁路)側では第1の弁棒2がストッパ6に衝突する直前(リフト量L’(μm)の地点)で第1の弁棒2の速度を低下させることで、第1の弁棒2がストッパ6に衝突した後のバウンドを抑える効果がある。このように第1の弁棒2のバウンドを抑えることができることから燃料噴射弁100の流量のばらつきも抑えることができ、その結果、噴射量を広範囲で精密に制御することが可能となる。
図8には、本発明に係る燃料噴射弁100の第3の実施例を示す断面図が示されている。
図8において、本実施例が図1に図示の実施例と異なる点は、図1に図示の燃料噴射口を開閉するために移動する第1の弁棒2と第2の弁棒8を一つの弁棒30により構成した点にある。この弁棒30は、ヨーク12,ヨーク11,噴射ノズル1に貫通して設けられる。また、図1で使用されるスプリング4は、省略される。他は、図1に図示の実施例とほぼ同様の構成である。
コイル10が通電されていないときは、ばね17の力により、弁棒30はオリフィスプレート3に当接し閉弁状態にある。コイル10が通電されているときは、磁歪素子9が上方向に伸長し、弁棒30はばね17の力に抗して、ストッパに接触するまで弁座から離れるように持ち上げられる。この場合、ベースをストッパとして、弁棒が所定量持ち上げられると、弁棒30に設けた段差部33が、このベースに接触するように構成してもよい。このように構成することにより、図1に図示の実施例における第2の弁棒8が第1の弁棒2に衝突して生じるバウンドを抑える効果がある。
本発明に係る燃料噴射弁の第1実施例の構造を示す断面図。 図1に示す燃料噴射弁の部分拡大断面図。 図1に示す燃料噴射弁の部分拡大断面図。 図1に図示の燃料噴射弁に用いる磁歪素子の磁歪量のヒステリシス特性を示す図。 図1に図示の燃料噴射弁に用いる第2の弁棒のリフト量のヒステリシス特性を示す図。 図4に図示の燃料噴射弁のヒステリシス特性を示すチャート図。 本発明に係る燃料噴射弁の第2実施例における磁歪素子の磁歪量のヒステリシス特性を示す図。 本発明に係る燃料噴射弁の第2実施例における第2の弁棒のリフト量のヒステリシス特性を示す図。 図6A,図6Bに示す燃料噴射弁のヒステリシス特性を示すチャート図。 本発明に係る燃料噴射弁の第3実施例の構造を示す断面図。 燃料噴射弁を筒内噴射式内燃機関に搭載した例を示す模式図。 燃料噴射弁を筒内噴射式内燃機関に搭載した例を示す模式図。
符号の説明
1…噴射ノズル、2…第1の弁棒、3…オリフィスプレート、4…スプリング、5…ハウジング、6…ストッパ、7…ベース、8…第2の弁棒、9…磁歪素子、10…コイル、11、12…ヨーク、14…素子押え、16,17…ばね、30…弁棒、100…燃料噴射弁。

Claims (3)

  1. 燃料噴射孔となるオリフィスと、
    このオリフィスの上流に設けられた弁座と、
    この弁座と協働して燃料を通流,遮断する第1の弁棒と、
    前記第1の弁棒を前記弁座から離れる開弁方向に付勢するばねと、
    このばねにより動作する前記第1の弁棒の開弁となるフルストロークを規制するストッパと、
    磁界を発生させるソレノイドと、
    前記ソレノイドに電流を流すことにより伸び、その電流を断つことによって縮む磁歪素子であって、伸びるときの軸方向伸長量と縮むときの軸方向縮小量とがヒステリシスを有する磁歪素子と、
    前記第1の弁棒と別体でこの第1の弁棒と同一軸線上に配置され、前記ソレノイドが非通電状態のとき、前記ばねの力に抗して前記第1の弁棒を前記弁座に押し付け、前記ソレノイドが通電状態のとき、前記磁歪素子の伸長で前記第1の弁棒の押し付けを解除するよう押し上げられる第2の弁棒とを備え、
    前記第2の弁棒が前記磁歪素子の伸長で押し上げられると、前記第1の弁棒が前記ばねの力によって前記弁座から離れる開弁方向に移動する構成とし、
    前記第1の弁棒が開弁状態のときの前記磁歪素子の軸方向伸長量は、前記第1の弁棒の前記ストッパにより規制される前記フルストロークよりも大きく設定され且つ前記磁歪素子の伸長量が前記第2の弁棒のストローク量を決定して、前記第1の弁棒が開弁となるためにフルストロークした後も、前記第2の弁棒が前記第1の弁棒から離れて開弁方向にストロークする構成にしたことを特徴とする燃料噴射弁。
  2. 請求項1に記載の燃料噴射弁において、前記第1の弁棒を前記ストッパ位置までリフトしてそのストッパ位置に保持する場合には、前記磁歪素子のヒステリシスの伸び側と縮み側とを利用し、
    前記第1の弁棒によって規制されるリフト量は、前記磁歪素子のヒステリシスの伸び側でも、縮み側でも同じリフト量になるように設定したことを特徴とする燃料噴射弁。
  3. 請求項1又は2に記載の燃料噴射弁において、
    前記第1の弁棒の開弁時の移動方向は、燃料の噴射方向と反対方向としたことを特徴とする燃料噴射弁。
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