JP4476219B2 - 調味料 - Google Patents

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Description

本発明は、こく味増強剤、調味料および飲食品のこく味増強方法に関する。
基本味とは、味覚の質を表すもっとも基本的な要素で、生理学的には甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の5種類の味をいう(丸善食品総合辞典、丸善、p.280、(1998))。
また、基本味以外の味として、こく味がある。こく味とは、持続性のあるうま味をいい、好ましくはこれに濃厚感が付与された味をいう。
うま味調味料や、酵母エキス、蛋白加水分解物、魚介エキス、畜肉エキス等の天然調味料は、うま味等の基本味を付与することはできるが、こく味を十分に付与することは難しい。
こく味を付与する方法としては、ピラジン化合物類(特開平11−313635号公報)、グルタチオン(Bioscience Biotechnology Biochemistry,61,1977−1980(1997))、スルホン基含有化含物、リン酸塩およびベタイン(開平8−289761号公報)、ゼラチンおよびトロポミオシンの酵素分解物(特開平8−228715号公報)、O/W型の乳化組成物(特開平10−179026号公報)、分子量1000〜5000のペプチドとカルボニル化合物とのアミノ−カルボニル反応物(特開2002−335904号公報)等を添加する方法等が知られている。
ペプチドは呈味成分として知られ、甘味、苦味、塩味、うま味を有するペプチドが報告されている。例えば、うま味を有するペプチドとしては、魚肉蛋白質を酵素で分解して得られた分子量1000以下の酸性ペプチドで、Glu−Asp、Thr−Glu、Glu−Ser、Glu−Glu、Glu−Asp−Glu、Asp−Glu−Ser、Glu−Gly−Ser、Ser−Glu−Glu、Glu−Gln−Gluで表されるアミノ酸配列からなるペプチド(Journal of Agricultural & Food Chemistry,23,49−53(1975))が知られている。
また、ペプチドは基本味の強さを変化させて味覚を変化させる作用があることが知られており、甘味を抑制する作用、苦味を抑制する作用、酸味を抑制する作用およびうま味を増強する作用を有するペプチドが知られている。例えば、うま味を増強する作用を有するペプチドとして、鶏肉蛋白質をプロテアーゼ、ブロメラインで処理した加水分解物中に、Glu−Glu、Glu−Val、Ala−Asp−Glu、Ala−Glu−Asp、Asp−Glu−Glu、Ser−Pro−Gluで表されるアミノ酸配列からなるペプチド(Journal of Agricultural & Food Chemistry,50,1515−1522(2002))が報告されている。
さらに、ペプチドは、こく味を付与する作用を有することが知られている(特開平5−84050号公報)。このようなペプチドとしてグルタチオン(Bioscience Biotechnology Biochemistry,61,1977−1980(1997))があげられるが、グルタチオンは加熱により二量体を形成しやすく、こく味付与の機能が低下しやすい等の問題がある。
ペプチドは飲食品の味に様々な影響を与えるため、飲食品のこく味を効果的に増強することのできるペプチドの開発が望まれている。
本発明の目的は、こく味増強剤、調味料およびこく味増強方法を提供することにある。
本発明は以下(1)〜(17)に関する。
(1) N末端から1および2番目のアミノ酸が、それぞれグリシンおよびL−プロリンであり、かつ分子量が1000以下のペプチドを有効成分として含有することを特徴とする飲食品のこく味増強剤。
(2) 該ペプチドが、3、6または9残基のアミノ酸からなるペプチドである、上記(1)のこく味増強剤。
(3) 該ペプチドのN末端から3番目のアミノ酸が、L−ヒドロキシプロリンまたはL−アラニンである、上記(1)または(2)のこく味増強剤。
(4) 該ペプチドを構成するアミノ酸のうちの3分の1以上がグリシンである、上記(1)〜(3)いずれか1つのこく味増強剤。
(5) 該ペプチドが、Gly−Pro−3HypもしくはGly−Pro−4Hyp、またはGly−Pro−Alaで表されるアミノ酸配列からなるペプチドである、上記(1)〜(4)いずれか1つのこく味増強剤。
(6) 上記(1)〜(5)いずれか1つのこく味増強剤を添加してなる飲食品。
(7) N末端から1および2番目のアミノ酸が、それぞれグリシンおよびL−プロリンであり、かつ分子量が1000以下のペプチドを有効成分として含有することを特徴とする調味料。
(8) 該ペプチドが、3、6または9残基のアミノ酸からなるペプチドである、上記(7)の調味料。
(9) 該ペプチドのN末端から3番目のアミノ酸がL−ヒドロキシプロリンまたはL−アラニンである、上記(7)または(8)の調味料。
(10) 該ペプチドを構成するアミノ酸のうちの3分の1以上がグリシンである、上記(7)〜(9)いずれか1つの調味料。
(11) 該ペプチドが、Gly−Pro−3HypもしくはGly−Pro−4Hyp、またはGly−Pro−Alaで表されるアミノ酸配列からなるペプチドである、上記(7)〜(10)いずれか1つの調味料。
(12) 上記(7)〜(11)いずれか1つの調味料を添加してなる飲食品。
(13) N末端から1および2番目のアミノ酸が、それぞれグリシンおよびL−プロリンであり、かつ分子量が1000以下のペプチドを飲食品に添加することを特徴とする飲食品のこく味増強方法。
(14) 該ペプチドが、3、6または9残基のアミノ酸からなるペプチドである、上記(13)の方法。
(15) 該ペプチドのN末端から3番目のアミノ酸がL−ヒドロキシプロリンまたはL−アラニンである、上記(13)または(14)の方法。
(16) 該ペプチドを構成するアミノ酸のうちの3分の1以上がグリシンである、上記(13)〜(15)いずれか1つの方法。
(17) 該ペプチドが、Gly−Pro−3HypもしくはGly−Pro−4Hyp、またはGly−Pro−Alaで表されるアミノ酸配列からなるペプチドである、上記(13)〜(16)いずれか1つの方法。
本発明に用いられるペプチド(以下、本発明のペプチドという)は、N末端から1および2番目のアミノ酸が、それぞれグリシン(Gly)およびL−プロリン(L−Pro)であり、かつ分子量が1000以下のペプチドであればいずれのペプチドも用いられる。
ペプチドを構成するアミノ酸の数は、特に限定されないが、3、6または9残基であることが好ましい。
ペプチドを構成するアミノ酸は特に限定されないが、ペプチドを構成するアミノ酸のうち、3分の1以上がグリシンであることが好ましい。
本発明のペプチドとしては、例えば、N末端から3番目のアミノ酸が、L−ヒドロキシプロリンまたはL−アラニン(L−Ala)であり、かつ分子量が1000以下のペプチドがあげられる。
本発明のペプチドにおいて、L−ヒドロキシプロリンは、3−ヒドロキシ−L−プロリン(3Hyp)、4−ヒドロキシ−L−プロリン(4Hyp)および5−ヒドロキシ−L−プロリン(5Hyp)のいずれであってもよい。
本発明のペプチドの例としては、例えば、Gly−Pro−Xaa、Gly−Pro−Xaa−Gly−Xaa−Xaa、配列番号1に示されるGly−Pro−Xaa−Gly−Xaa−Xaa−Gly−Xaa−Xaa等のアミノ酸配列からなるペプチドがあげられる(ただし、Xaaは任意のアミノ酸を表すものとする)。具体的には、Gly−Pro−3Hyp、Gly−Pro−4Hyp、Gly−Pro−Alaで表されるアミノ酸配列を有するペプチドがあげられるが、これに限定されるものではない。
本発明のペプチドは、ペプチド合成機等を用いてペプチド合成しても得ることができるが、コラーゲンまたはゼラチンを、タンパク質加水分解酵素で加水分解して得られる加水分解物を、限外ろ過法、ゲル電気泳動法、ゲルろ過クロマトグラフィー法、超遠心分離法等の、ペプチドを分子量により分画できる方法、好ましくは限外ろ過法またはゲルろ過クロマトグラフィー法を用いて、分子量1000以下の画分を分取して得ることができる。
タンパク質加水分解酵素としては、タンパク質を加水分解することのできる酵素であればいずれの酵素を用いてもよい。例えば、エンドペプチダーゼ、エキソペプチダーゼがあげられるが、エンドペプチダーゼを用いることが好ましい。エンドペプチダーゼとしては、例えば、トリプシン、キモトリプシン、ズブチリシン等のセリンプロテアーゼ、パパイン、ブロメライン、フィシン等のチオールプロテアーゼ、サーモリシン、コラゲナーゼ等のメタルプロテアーゼ等があげられる。
これらのタンパク質加水分解酵素は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
タンパク質加水分解酵素としては、上記のいずれのものであってもよいが、コラーゲンまたはゼラチンを構成するアミノ酸配列中に存在するXaa−Gly(Xaaは任意のアミノ酸を、表す)のXaa−Gly間のペプチド結合、好ましくは、Xaa−Gly−Pro(Xaaは任意のアミノ酸を表す)のXaa−Gly間のペプチド結合を切断できるものが好ましく用いられる。このようなタンパク質加水分解酵素としては、例えばコラゲナーゼがあげられる。
コラゲナーゼとしては、Clostridium histolyticumStreptomyces parvulusAchromobacter iophagus等の微生物由来のコラゲナーゼ、脊椎動物由来のコラゲナーゼ等があげられるが、微生物由来のコラゲナーゼが好ましく用いられ、Clostridium histolyticum由来のコラゲナーゼがより好ましく用いられる。
ゼラチンとしては、コラーゲンを酸処理して得られるゼラチン(タイプA)と、アルカリ処理して得られるゼラチン(タイプB)の二種類があるが、いずれのタイプのものを用いてもよい。
コラーゲンまたはゼラチンは、ウシ、ブタ等の動物の骨、皮、腱、軟骨、骨格筋等から常法により調製して得たものを用いてもよいし、市販のものを用いてもよい。
コラーゲンまたはゼラチンを、水性媒体中で、コラゲナーゼ、好ましくはClostridium histolyticum由来のコラゲナーゼで加水分解した場合、Gly−Pro−Xaa、Gly−Pro−Xaa−Gly−Xaa−Xaa、配列番号1に示されるGly−Pro−Xaa−Gly−Xaa−Xaa−Gly−Xaa−Xaa等のアミノ酸配列からなるペプチド(Xaaは任意のアミノ酸を表す)を、該水性媒体中に生成蓄積させることができる。
タンパク質加水分解酵素は、市販の精製品を用いてもよいし、該タンパク質加水分解酵素活性を有する微生物、動物、植物等の細胞から通常の酵素精製法に準じて粗精製した酵素または精製した酵素を用いてもよい。
また、該タンパク質加水分解酵素活性を有する細胞の培養液、該細胞の培養液を濾過もしくは遠心分離等で固液分離して得られる細胞、または該細胞の処理物をタンパク質加水分解酵素として用いてもよい。該細胞の処理物としては、該タンパク質加水分解酵素活性を有する細胞の培養液を濃縮機もしくは乾燥機等で濃縮もしくは乾燥処理して得られる該細胞の培養液の濃縮物もしくは乾燥物、該細胞を乾燥機等で乾燥処理して得られる該細胞の乾燥物、該細胞を界面活性剤および/または有機溶剤等で処理して得られる該細胞の界面活性剤および/または有機溶剤処理物、該細胞をリゾチーム等の酵素で処理して得られる該細胞の細胞溶解酵素処理物、該細胞の固定化物等があげられる。
水性媒体は、タンパク質加水分解酵素が、コラーゲンまたはゼラチンを加水分解できるものであればいずれでもよく、例えば、水、各種緩衝液があげられ、タンパク質加水分解反応を阻害しなければ、他の成分、例えば、アミノ酸、金属イオン、有機酸等を含んでいてもよい。また、該タンパク質加水分解酵素活性を有する細胞の培養液、該培養液から細胞を除去して得られる上清も、水性媒体として用いることができる。
タンパク質加水分解酵素の使用量は、コラーゲンまたはゼラチンの種類等によって異なるため特に限定されないが、コラーゲンまたはゼラチン100重量部に対して0.05〜8重量部であることが好ましく、0.1〜6重量部であることがより好ましく、0.5〜4重量部であることがさらに好ましい。
コラーゲンまたはゼラチンのタンパク質加水分解酵素による加水分解処理のpHや反応温度等は、使用する酵素の至適条件またはそれに近い条件を適宜用いればよい。
pHの調整は、飲食品への使用に許容される酸またはアルカリを使用することができ、酸としては無機酸、有機酸があげられ、無機酸としては、塩酸、リン酸等が、有機酸としては、酢酸、乳酸、クエン酸等があげられる。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等があげられる。
コラーゲンまたはゼラチンのタンパク質加水分解酵素による加水分解処理時間は、使用するタンパク質加水分解酵素の使用量、温度、pH等の諸条件により異なるが、1〜100時間であることが好ましく、1〜72時間であることがより好ましい。
タンパク質加水分解酵素による加水分解処理終了後、該加水分解処理液をそのまま次の処理に供することもできるが、加熱処理、酸処理等によって酵素を失活させた後に次の処理に供することもできる。
該加水分解処理液を、限外ろ過法、ゲル電気泳動法、ゲルろ過クロマトグラフィー法、超遠心分離法等の分子量により分画することのできる公知の方法により分画し、分子量1000以下のペプチドを含有する画分を分取することができる。
分子量が1000以下のペプチドを含有する画分を、該画分中に含まれる各ペプチドの電荷、極性、分子量、特異性等の差を利用した通常のタンパク質精製法に従って分画、分取することにより、分子量が1000以下のペプチドを含有する画分中に含まれる本発明のペプチドを精製することもできる。
電荷の差により精製する方法としては、イオン交換クロマトグラフィー法、電気泳動法、等電点電気泳動法等の方法があげられる。
極性の差により精製する方法としては、吸着クロマトグラフィー、濾紙クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー等の方法があげられる。
分子量の差により精製する方法としては、限外ろ過法、ゲル電気泳動法、ゲルろ過クロマトグラフィー法、超遠心分離法等の方法があげられる。
特異性の差により精製する方法としては、アフィニティークロマトグラフィー法等の方法があげられる。
上記のいずれの方法も用いることができるが、分子量または極性の差を利用する方法が好ましく用いられ、極性の差を利用する方法がより好ましく用いられ、逆相クロマトグラフィーがさらに好ましく用いられる。
本発明のペプチドのN末端から1および2番目のアミノ酸がそれぞれグリシンおよびL−プロリンであるか否かは、以下の方法により決定することができる。
ペプチド合成機等を用いてN末端から1および2番目のアミノ酸がそれぞれグリシンおよびL−プロリンであり、かつ分子量が1000以下となるように合成したペプチド、またはこのような配列および分子量を有する市販のペプチドを標準物質として、本発明のペプチドを精製した方法と同じ操作に供し、各ペプチドが該標準物質と同じ画分に分画されるか否かを調べて同定することで決定することができる。
また、同定された本発明のペプチドの量は、該精製されたペプチドが存在する画分に相当する画分中の標準物質の量と比較することにより定量することができる。
コラーゲンまたはゼラチンのタンパク質加水分解酵素による加水分解処理液、該加水分解処理液より分取して得られる本発明のペプチドを含有する溶液は、本発明のペプチドを含有する溶液として、そのまま飲食品に添加しても、本発明のこく味増強剤、または本発明の調味料に用いてもよいし、該溶液の処理物を、飲食品に添加しても、本発明のこく味増強剤または本発明の調味料に用いてもよい。該溶液の処理物としては、該溶液を活性炭等による脱色処理、減圧濃縮等による濃縮処理等をして得られる脱色液、濃縮液等の液体、該液体を減圧乾燥、噴霧乾燥等、乾燥処理して得られる固形物、粉末等としたものがあげられる。
本発明のペプチドを含有する溶液、該溶液の処理物、該溶液から精製して得られる本発町のペプチド、これらを用いて得られる本発明のこく味増強剤または本発明の調味料を飲食品に添加することにより、飲食品のうま味に持続性を付与させ、飲食品のこく味を増強することができる。
本発明においてこく味とは、持続性のあるうま味をいい、好ましくはこれに濃厚感が付与された味をいう。
うま味としては、うま味物質が単独、または複数で呈する味があげられる。うま味物質としては、グルタミン酸ナトリウム、アスパラギン酸、オキシグルタミン酸、イボテン酸、トリコロミン酸、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム等をあげることができ、特にグルタミン酸ナトリウムによるうま味をあげることができる。
本発明の飲食品のこく味増強方法としては、本発明のペプチドを使用する以外は特に限定はなく、通常用いられる飲食品の調味方法を用いることができる。
本発明の飲食品のこく味増強方法としては、例えば本発明のペプチドを含有する溶液、該溶液の処理物、もしくは該溶液から精製して得られる本発明のペプチドをそのまま、または本発明のこく味増強剤または本発明の調味料を、飲食品を製造する際に該飲食品の原材料の一部として添加する方法、製品となっている飲食品を加熱調理、電子レンジ調理、真空調理等の調理する際または摂食の際に添加する方法等があげられる。
本発明の飲食品のこく味増強方法の対象となる飲食品はいずれの飲食品であってもよい。例えば、味噌、醤油、たれ、だし、ドレッシング、マヨネーズ、トマトケチャップ等の調味料、吸い物、コンソメスープ、卵スープ、わかめスープ、フカヒレスープ、ポタージュ、味噌汁等のスープ類、麺類(そば、うどん、ラーメン、パスタ等)のつゆ、ソース類、おかゆ、雑炊、お茶漬け等の米調理食品、ハム、ソーセージ、チーズ等の畜産加工品、かまぼこ、干物、塩から、珍味等の水産加工品、漬け物等の野菜加工品、ポテトチップス、せんべい、クッキー等の菓子スナック類、煮物、揚げ物、焼き物、カレー、シチュー等の調理食品等があげられるが、カレー、シチュー、ハンバーグ、豚骨ラーメン等の、肉類を原材料として得られる飲食品が好適にあげられる。
本発明のこく味増強剤は、本発明のペプチドを含有し、必要に応じて、無機酸、有機酸、アミノ酸、核酸、糖類、調味料、香辛料、賦形剤等の飲食品に使用可能な各種添加物を含有していてもよい。
無機酸としては、食塩、塩化カリウム、塩化アンモニウム等があげられる。
有機酸としては、アスコルビン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、脂肪酸等のカルボン酸およびそれらの塩等があげられる。該塩としては、ナトリウムおよびカリウム塩があげられる。
アミノ酸としては、グルタミン酸ナトリウム、グリシン等があげられる。
核酸としては、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム等があげられる。
糖類としては、ショ糖、ブドウ糖、乳糖等があげられる。
調味料としては、醤油、味噌、エキス等の天然調味料、香辛料としては各種の香辛料があげられる。
賦形剤としては、澱粉加水分解物であるデキストリン、各種澱粉等があげられる。
これらの使用量は、使用目的に応じて適宜設定することができるが、例えば、本発明のペプチド100重量部に対して、0.1〜500重量部使用できる。
本発明の調味料は、本発明のペプチドおよびうま味物質を含有し、必要に応じて、上記の無機酸、有機酸、アミノ酸類、核酸、糖類、調味料、香辛料、賦形剤等の飲食品に使用可能な各種添加物を含有していてもよい。
本発明の調味料は、こく味調味料として好適に用いられる。
本発明のこく味増強剤または本発明の調味料は、本発明のペプチド、および必要に応じてうま味物質を配合する以外は、通常の調味料の製造方法を用いて製造することもできる。
本発明の調味料において、うま味物質、例えばグルタミン酸ナトリウムのうま味またはこく味を増強させるためには、グルタミン酸ナトリウム100重量部に対して、本発明のペプチドを0.01〜50重量部となるように配合させることが好ましい。
本発明のこく味増強剤または本発明の調味料は、液状、粉状、顆粒状等のいずれの形状を有するものであってもよい。
本発明のこく味増強剤または調味料中の本発明のペプチドの含有量は特に限定されないが、本発明のこく味増強剤または調味料100重量部中、0.01重量部〜100重量部、好ましくは0.05〜100重量部含有されていることが好ましい。
なお、本発明のこく味増強剤または調味料中の本発明のペプチドの含有量は、上記で述べた、分子量1000以下のペプチド溶液中の本発明のペプチドの定量方法と同様の方法を用いて定量することができる。
本発明のペプチドを含有する溶液、該溶液の処理物、該溶液から精製して得られる本発明のペプチド、これらを用いて得られる本発明のこく味増強剤または調味料は、飲食品を製造または調理する際に添加するか、製造または調理された飲食品に添加すればよい。
飲食品に使用する本発明のペプチドを含有する溶液、該溶液の処理物、該溶液から精製して得られる本発明のペプチド、これらを用いて得られる本発明のこく味増強剤または本発明の調味料の量は、飲食品1000重量部に対して、本発明のペプチドとして、好ましくは1×10−4〜2重量部、さらに好ましくは1×10−3〜1重量部となるように添加することが好ましい。
以下に本発明の実施例を示す。
(a)豚ゼラチン(SIGMA社製)50gを蒸留水1000mlに分散させ、37℃に加温してゼラチンを溶解させ、37℃で保持した。該ゼラチン溶液にコラゲナーゼ(EC 3.4.24.3、Clostridium histolyticum由来、ナカライテスク社製)を250mg加えて溶解し、水酸化ナトリウムを用いてpHを7.4に調整し、37℃で2時間反応を行った。反応終了後、反応液を100℃で10分間加熱し、コラゲナーゼを失活させた。反応液を5000rpmで、10分間遠心分離し、得られた上清をろ過し、得られたろ液をゼラチンのコラゲナーゼ分解液とした。得られたゼラチンのコラゲナーゼ分解液1000mlを凍結乾燥して凍結乾燥粉末約50gを得た。
一方、豚ゼラチン(SIGMA社製)50gを蒸留水1000mlに分散させ、37℃に加温してゼラチンを溶解させ、37℃で保持した。該ゼラチン溶液にペプシンA(EC 3.4.23.1、和光純薬社製)を250mg加えて溶解し、塩酸を用いてpHを2.0に調整し、37℃で2時間反応を行った。反応終了後、反応液を100℃で10分間加熱し、ペプシンを失活させた。反応液を5000rpmで、10分間遠心分離し、得られた上清をろ過し、得られたろ液をゼラチンのペプシン分解液とした。得られたゼラチンのペプシン分解液1000mlを凍結乾燥して凍結乾燥粉末約50gを得た。
コラゲナーゼ分解液の凍結乾燥粉末10gを200mlの水に溶解して得られた溶液200mlを、限外ろ過膜(ミリポア社製)を用いて限外ろ過し、分子量1000以下のペプチドを含有する画分(以下、A画分と略す)約200ml、および分子量1000以上のペプチドを含有する画分(以下、B画分と略す)を得た。同様にゼラチンのペプシン分解液の凍結乾燥粉末10gを200mlの水に溶解して得られた溶液200mlを限外ろ過し、分子量1000以下のペプチドを含有する画分(以下、C画分と略す)約200ml、および分子量1000以上のペプチドを含有する画分(以下、D画分と略す)を得た。
A〜D画分を凍結乾燥し、それぞれ6.9g、2.8g、1.9g、7.8gの凍結乾燥粉末を得た。以下の実験には、この凍結乾燥粉末を用いた。
A画分およびB画分中の全窒素含量を、自動窒素分析計(サーモフィニガン社製)を用いてデュマ法により測定し、全窒素含量に6.25をかけてA画分中のタンパク質量を算出した。一方、A画分中の遊離アミノ酸量をアミノ酸アナライザー(日本電子データム社製)を用いて定量した。
A画分中のタンパク質量から遊離アミノ酸量を差し引き、A画分の凍結乾燥粉末中の分子量1000以下のペプチドの量を計算した結果、6.9gであった。
同様に、C画分の凍結乾燥粉末中の分子量1000以下のペプチド量を計算した結果、1.9gであった。
A〜D画分の凍結乾燥粉末をそれぞれ適量の水に溶解し、それぞれ10μlの溶液を液体クロマトグラフィー/質量分析装置に供した。
液体クロマトグラフィーのカラムは、Inertsil C8−3(GLサイエンス社製)を用いた。移動相は、0.02%(w/v)トリフルオロ酢酸水溶液、および0.02%(w/v)トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液を用い、流速0.2ml/分で100分間の濃度勾配溶出によりペプチドを分離した。検出、定量はLCQ Advantage(サーモエレクトロン社製)を用いて行った。イオン化条件を以下に示す。
キャピラリー温度:250℃
シースガス(Sheath Gas):窒素 流量:40arb
オグジラリーガス(AUX.Gas):ヘリウム 流量:10arb
スプレー電圧:4.5kv
定量は、Gly−Pro−4Hypのアミノ酸配列からなるペプチド(Bachem社製)およびGly−Pro−Alaのアミノ酸配列からなるペプチド(Bachem社製)を標準物質として用い、ポジティブ・モードの選択イオンモニタリング(SIM)(分子量244.3および286.3)により実施した。
分析の結果、A画分の凍結乾燥粉末中にはGly−Pro−4Hypが5.9%(W/W)、およびGly−Pro−Alaがそれぞれ1.8%(W/W)含有されていた。なお、B〜D画分からはGly−Pro−4Hyp、およびGly−Pro−Alaは検出されなかった。
(b)ホワイトルウ(ハチ食品社製)44.6%(W/W)、食塩3.5%(W/W)、グラニュー糖5.1%(W/W)、粉末油脂(植田製油社製)11.0%(W/W)、粉末バター(三協食品社製)7.1%(W/W)、チーズパウダー(六甲バター社製)7.1%(W/W)、脱脂粉乳8.1%(よつば乳業社製)(W/W)、ワキシーコーンスターチ(日澱化学社製)5.1%(W/W)、グルタミン酸ナトリウム(協和発酵工業社製)2.5%(W/W)、5’−リボヌクレオチド(協和発酵工業社製)0.1%(W/W)、チキンブイヨン(協和発酵工業社製)3.5%(W/W)、ホワイトペッパー(カネカサンスパイス社製)0.1%(W/W)、ローレル末(カネカサンスパイス社製)0.2%(W/W)、野菜エキスパウダー(協和発酵社製)2.0%(W/W)を含有するクリームスープの素40gに熱水を加えて全量1000mlとし、クリームスープを調製した。
このクリームスープ100mlに、上記(a)で得られたゼラチンのコラゲナーゼ分解液の凍結乾燥粉末200mg、またはゼラチンのペプシン分解液の凍結乾燥粉末200mgを添加し、得られたクリームスープをそれぞれスープ1およびスープ2とした。スープ1およびスープ2の風味について、15人の熟練したパネルにより官能試験を行った。
試験は、スープ1およびスープ2を50〜60℃に加熱して口に含み、スープ1とスープ2の「うま味の持続性」、「濃厚感」およびこれらの総合として得られる「こく味」をそれぞれ比較し、強いと感じた方を選択する2点評価法で行った。
結果を第1表に示す。数字は、人数を示す。
Figure 0004476219
第1表から明らかなとおり、ゼラチンのコラゲナーゼ分解液の凍結乾燥粉末を添加したクリームスープ(スープ1)は、ゼラチンのペプシン分解液の凍結乾燥粉末を添加したクリームスープ(スープ2)に比べて、明らかに「うま味の持続性」および「濃厚感」が強く、これらの総合として感じられる「こく味」も強かった。
(c)上記(b)において、ゼラチンのコラゲナーゼ分解液の凍結乾燥粉末またはゼラチンのペプシン加水分解液の凍結乾燥粉末のかわりに、第2表に示す添加物を、第2表に示す量添加する以外は同様にして、官能試験を行った。
なお、第2表中、Gly−Pro−4Hypで表されるアミノ酸配列からなるペプチド、Gly−Pro−Alaで表されるアミノ酸配列からなるペプチド、またはGly−Gly−Glyで表されるアミノ酸配列からなるペプチドはいずれもBachem社製のものを用いた。
Figure 0004476219
クリームスープの「うま味の持続性」、「濃厚感」およびこれらの総合である「こく味」について、無添加のクリームスープをコントロールとして、15人の熟練したパネルにより官能検査を行った。コントロールの「うま味の持続性」、「濃厚感」および「こく味」をそれぞれ3点とし、コントロールよりやや弱い場合を2点、2点の場合よりも弱い場合を1点とした。コントロールより強い場合は、やや強い場合を4点、4点の場合より強い場合を5点、5点の場合よりも強い場合を6点、6点の場合よりも強い場合を7点として評価した。
「うま味の持続性」、「濃厚感」および「こく味」について、15人の評点の平均を求めた。
結果を第3表に示す。
Figure 0004476219
第3表から明らかなとおり、ゼラチンのコラゲナーゼ分解液より得られた分子量1000以下のペプチドを含有する画分(A画分、試験区2)、Gly−Pro−4Hypで表されるアミノ酸配列からなるペプチド(試験区4)、またはGly−Pro−Alaで表されるアミノ酸配列からなるペプチド(試験区5)をクリームスープに添加することにより、無添加のクリームスープに比べて、クリームスープの「うま味の持続性」および「濃厚感」が有意に増強された。特に「濃厚感」は顕著に増強された。また、これらの総合として感じられるクリームスープの「こく味」が有意に増強された。
本発明により、こく味増強剤、調味料および飲食品のこく味増強方法を提供することができる。
配列番号1:Xaaはいずれかのアミノ酸をあらわす。

Claims (2)

  1. Gly−Pro−4HypまたはGly−Pro−Alaで表されるアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分として含有することを特徴とする飲食品のこく味増強剤
  2. Gly−Pro−4HypまたはGly−Pro−Alaで表されるアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分として含有することを特徴とする調味料
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