以下、添付図を参照して本発明の好適な実施の形態を説明する。
図1に、本発明の一実施形態におけるクラスタツールの処理システムの構成を示す。このクラスタツールの処理システムは、中央搬送室を構成するトランスファ・モジュールTMの周りに複数たとえば4つのプロセス・モジュールPM1,PM2,PM3,PM4と2つのロードロック・モジュールLLM1,LLM2とを環状に配置したマルチチャンバ装置である。各々のモジュールは個別に所望の真空度で減圧空間を形成できる真空チャンバまたは処理室を有しており、中心部のトランスファ・モジュールTMは周辺部の各モジュールPM1,PM2,PM3,PM4,LLM1,LLM2とゲートバルブGVを介して連結されている。
トランスファ・モジュールTMの室内には、旋回および伸縮可能な一対の搬送アームFA,FBを有する真空搬送ロボットRB1が設けられている。この搬送ロボットRB1は、各搬送アームFA,FBがそのフォーク形のエンドエフェクタに1枚の被処理体たとえば半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)を保持できるようになっており、周囲の各モジュールPM1,PM2,PM3,PM4,LLM1,LLM2に開状態のゲートバルブGVを通って搬送アームFA,FBのいずれか一方を選択的に挿入または引き抜いてウエハの搬入(ローディング)/搬出(アンローディング)を行うことができる。両搬送アームFA,FBは、ロボット本体に互いに背中合わせに搭載され、一体的に旋回運動し、一方の搬送アームが原位置に止まった状態で他方の搬送アームが原位置と前方(周辺モジュール内)の往動位置との間で伸縮移動するようになっている。
プロセス・モジュールPM1,PM2,PM3,PM4は、各々のチャンバ内で所定の用力(処理ガス、電力等)を用いて所定の枚葉処理、たとえばCVDまたはスパッタリング等の成膜処理、熱処理、ドライエッチング加工等を行うようになっている。また、ロードロック・モジュールLLM1,LLM2も、必要に応じて加熱部または冷却部を装備することができる。
ロードロック・モジュールLLM1,LLM2は、トランスファ・モジュールTMと反対側でゲートバルブGVを介して常時大気圧下のローダ・モジュールLMと連結されている。さらに、このローダ・モジュールLMと隣接してロードポートLPおよびオリフラ合わせ機構ORTが設けられている。ロードポートLPは、外部搬送車との間でウエハカセットCRの投入、払出しに用いられる。オリフラ合わせ機構ORTは、ウエハWのオリエンテーションフラットまたはノッチを所定の位置または向きに合わせるために用いられる。ローダ・モジュールLM内に設けられている大気搬送ロボットRB2は、伸縮可能な搬送アームを有し、水平移動・昇降・旋回可能であり、ロードポートLP、オリフラ合わせ機構ORTおよびロードロック・モジュールLLM1,LLM2の間を行き来してウエハを1枚または複数枚単位で搬送する。
ここで、ロードポートLPに投入されたウエハカセットCR内の1枚のウエハにこのクラスタツール内で一連の処理を受けさせるための基本的なウエハ搬送シーケンスを説明する。
ローダ・モジュールLMの搬送ロボットRB2は、ロードポートLP上のウエハカセットCRから1枚のウエハWSを取り出し、このウエハWSをオリフラ合わせ機構ORTに搬送してオリフラ合わせを受けさせ、それが済んだ後にロードロック・モジュールLLM1,LLM2のいずれか一方(たとえばLLM1)に移送する。移送先のロードロック・モジュールLLM1は、大気圧状態でウエハWSを受け取り、搬入後に室内を真空引きし、減圧状態でウエハWSをトランスファ・モジュールTMの真空搬送ロボットRB1に渡す。
搬送ロボットRB1は、搬送アームFA,FBの片方を用いて、ロードロック・モジュールLLM1より取り出したウエハWSを1番目のプロセス・モジュール(たとえばPM1)に搬入する。プロセス・モジュールPM1は、予め設定されたレシピにしたがい所定のプロセス条件(ガス、圧力、電力、時間等)で第1工程の枚葉処理を実施する。
この第1工程の枚葉処理が終了した後に、搬送ロボットRB1は、ウエハWSを1番目のプロセス・モジュールから搬出し、次に2番目のプロセス・モジュール(たとえばPM2)に搬入する。この2番目のプロセス・モジュールPM2でも、予め設定されたレシピにしたがい所定のプロセス条件で第2工程の枚葉処理を実施する。
この第2工程の枚葉処理が終了すると、搬送ロボットRB1は、ウエハWSを2番目のプロセス・モジュールPM2から搬出し、次工程があるときは3番目のプロセス・モジュール(PM3もしくはPM4)に搬入し、次工程がないときはロードロック・モジュールLLM1,LLM2の片方に搬送する。3番目以降のプロセス・モジュールで処理が行われた場合も、その後に次工程があるときは後段のプロセス・モジュールに搬入し、次工程がないときはロードロック・モジュールLLM1,LLM2の片方に戻す。
こうしてクラスタツール内の複数のプロセス・モジュールPM1,PM2・・で一連の処理を受けたウエハWSがロードロック・モジュールの片方(たとえばLLM2)に搬入されると、このロードロック・モジュールLLM2の室内は減圧状態から大気圧状態に切り替えられる。しかる後、ローダ・モジュールLMの搬送ロボットRB2が、大気圧状態のロードロック・モジュールLLM2からウエハWSを取り出して該当のウエハカセットCRに戻す。なお、ロードロック・モジュールLLM1,LLM2において滞在中のウエハWSに所望の雰囲気下で加熱または冷却処理を施すこともできる。
上記のように、このクラスタツールは、ウエハを複数のプロセス・モジュールに真空中で順次シリアルに搬送して一連の処理を連続的に実施することが可能であり、特に真空薄膜形成加工では複数のプロセス・モジュールに異なる成膜加工を連続的に行わせて所望の薄膜をインラインで積層形成することができる。また、複数のプロセス・モジュールがパイプライン方式でそれぞれの枚葉処理を連続的に繰り返すため、高い稼働率および生産性を可能とする。
もっとも、トランスファ・モジュールTMの搬送ロボットRB1が1台で真空クラスタ内のウエハ搬送を全部司る搬送システムであるため、複数のプロセス・モジュールで同時にウエハの搬入出を行うことはできない。このため、複数のプロセス・モジュール間でウエハ搬入出のタイミングが近接または競合すると、後回しされた方のプロセス・モジュールで無駄な待ち時間が発生し、それが巡り巡って他の(優先させた方の)プロセス・モジュールでも次のアクセスまでのインターバルが長引く結果となり、システム全体の搬送効率や稼働率が低下する。この実施形態では、後述するように、クラスタツール内の複数のプロセス・モジュール間でウエハ搬入出のタイミングが競合する可能性をなくして、各プロセス・モジュールに対して搬送ロボットRB1のアクセスする周期や各プロセス・モジュールにおける枚葉処理の周期を可及的に短くし、システム全体の搬送効率や稼働率ひいてはスループットを高めている。
この実施形態では、トランスファ・モジュールTMの搬送ロボットRB1が上記のように一対の搬送アームFA,FBを有しており、その周囲の各プロセス・モジュールPM1,PM2,PM3,PM4に対して、当該モジュールで処理が済んだ直後のウエハと次に当該モジュールで処理を受けるべきウエハとを1回のモジュール・アクセスで入れ替えるピック&プレース動作を行えるようになっている。
ここで、図2につき、この実施形態におけるピック&プレース動作を模式的な図解で説明する。搬送ロボットRB1は、図2の(A)に示すように、目的のプロセス・モジュールPMnに搬入すべき未処理(処理前)のウエハWjを片方の搬送アームたとえばFAに保持し、もう片方の搬送アームFBをウエハ無しの空の状態にして当該プロセス・モジュールPMnと向き合う。そして、図2の(B),(C)に示すように、空の搬送アームFBを当該プロセス・モジュールPMnのチャンバに挿入して中から処理済のウエハWiを取り出す(ピック動作)。次に、図2の(D)に示すように、搬送アームFA,FBを180゜旋回(反転)させて、未処理のウエハWjを保持している搬送アームFAをプロセス・モジュールPMnの正面に付ける。そして、今度は、図2の(E) ,(F)に示すように、搬送アームFAを当該プロセス・モジュールPMnのチャンバに挿入して内部の載置台または支持ピン等に該ウエハWjを渡し、空になった搬送アームFAを引き抜く(プレース動作)。なお、このピック&プレース動作の間、当該プロセス・モジュールPMnのウエハ出入口に設けられているゲートバルブGV(図1)は開いたままになっている。
このように、トランスファ・モジュールTMの搬送ロボットRB1は、各プロセス・モジュールPMnに対する1回のアクセスで、当該モジュールで処理の済んだウエハWiと次に当該モジュールで処理を受けるべき半導体ウエハWjとを上記のようなピック&プレース動作により入れ替えることができる。さらに、搬送ロボットRB1は、各ロードロック・モジュールLLM1,LLM2に対しても上記と同様のピック&プレース動作により1回のアクセスで新規ウエハおよび処理済ウエハの入れ替えまたは受け渡しを行うことができる。
図3に、この実施形態における各プロセス・モジュールPMnについてのレシピ上の処理手順を示す。このソフトウェア処理は、レシピ開始要求に応じてこのシステムの全体および各部を統括制御する制御部(図示せず)で行われる。
なお、該制御部は、コンピュータたとえばパーソナルコンピュータからなり、以下に述べる滞在時間監視プログラムを実行する。この滞在時間監視プログラムはCD−ROM、フロッピーディスク等の記録媒体に格納・保存され、制御部は操作者の指示に応じて滞在時間監視プログラムを主メモリにロードする。この滞在時間監視プログラムは以下のようにして実行される。
最初に、レシピ前処理(ステップS1)で、予め設定されているプロセス・パラメータ等の各種設定値やシステム内の各部の機能について所要の初期化を行う。
次に、コントロールジョブ内のレシピ情報を基に各プロセス・モジュールPMnにおけるレシピ上の処理時間PTnを事前(プロセス実行前)に算出する(ステップS2)。ここで、処理時間PTnは、1回の枚葉処理を構成する多数のステップの所要時間を積算して得られる時間であり、所要の枚葉処理を完遂するために当該プロセス・モジュールPMn内に半導体ウエハを留め置かなければならない必要最小限の時間である。
次に、レシピ集合体のデータの束であるグローバルデータからレシピ上の最大処理時間PTmaxを読み込む(ステップS3)。ここで、最大処理時間PTmaxは、このクラスタツール内で同時に稼動する全てのプロセス・モジュールにおける処理時間の中の最大値であり、当該プロセス・モジュールPMnの処理時間PTnが最大処理時間PTmaxということもあり得る。
次に、最大処理時間PTmqxから当該プロセス・モジュールPMnの処理時間PTnを差し引いて、その時間差を当該プロセス・モジュールPMnにおける待ち時間WTnとし、ウエハを搬入した時点から待ち時間WTnの経過後にレシピ上のステップ処理を実行する(ステップS4,S5)。そして、全ステップの終了後に所要のレシピ後処理を行って1回の枚葉処理を終了する(ステップS6,S7)。
図4に、この実施形態において各プロセス・モジュールPMnにウエハを搬入してから搬出するまでのウエハ滞在時間の内訳(時間割)を示す。この実施形態では、並列的に動作する全てのプロセス・モジュール(たとえばPM1,PM2・・)について同一のウエハ滞在時間STが設定される。このウエハ滞在時間STは最大処理時間PTmax以上の値、好ましく最大処理時間PTmaxと等しい値に選ばれる。したがって、たとえばプロセス・モジュールPM1の処理時間PT1が最大処理時間PTmaxである場合、このプロセス・モジュールPM1では、ウエハを搬入してから実質的な待ち時間を挟まずに直ちにレシピ上の枚葉処理を開始し、処理が終了すると実質的な待ち時間を挟まずに直ちに搬出するようになっている。他の各プロセス・モジュールたとえばPM2では、ウエハを搬入してから待ち時間WT2の経過後にレシピ上の枚葉処理を開始し、処理が終了すると直ちに搬出するようになっている。
図5Aおよび図5Bに、この実施形態においてロードポートLPにカセット単位で投入された一群のウエハAを一枚ずつクラスタツール内の複数のプロセス・モジュールに順次搬送して各ウエハAに一連の処理を施すための搬送シーケンスの一実施例を示す。この搬送シーケンスは、滞在時間監視プログラムにしたがって実行される。図中の斜線部分は、各部がウエハAを保持、留置または搬送しているアクティブな状態の期間を示す。升目の横幅は一定時間(たとえば5秒)の基本単位時間Tを示し、説明と図解の簡略化のために各部のアクティブ期間(斜線部分の長さ)を基本単位時間Tの整数倍で表している。
この実施例は、たとえばSiプロセスでバリアメタルに用いられるTi/TiNの積層膜をインラインの連続成膜処理で形成するものであり、各ウエハAについて最初にプロセス・モジュールPM1でTi膜を形成し、次いでプロセス・モジュールPM2でTiN膜を形成する。なお、残りのプロセス・モジュールPM3,PM4は稼動しないものとする。
図中、「LLM1プロセス」および「LLM2プロセス」は、ロードロック・モジュールLLM1,LLM2において成膜処理の後工程として該当のウエハAを加熱または冷却する処理であり、所要時間は室内を減圧状態から大気圧状態へ切り替える時間も含んで9Tである。
「LLM1ウエハ搬送(LM)」および「LLM2ウエハ搬送(LM)」は、ロードロック・モジュールLLM1,LLM2にローダ・モジュールLMの搬送ロボットRB2が該当のウエハAを搬入または搬出する搬送動作であり、所要時間は2Tである。
「LLM1ウエハ搬送(TM)」、「LLM2ウエハ搬送(TM)」は、ロードロック・モジュールLLM1,LLM2にトランスファ・モジュールTMの搬送ロボットRB1が該当のウエハAを搬入または搬出する搬送動作であり、所要時間は3Tである。
「LLM1真空引き」、「LLM2真空引き」は、ロードロック・モジュールLLM1,LLM2に該当のウエハAを搬入してから室内を大気圧状態から所望の真空度の減圧状態に切り替える真空引き動作であり、所要時間は3Tである。
「PM1ウエハ搬送」、「PM2ウエハ搬送」は、トランスファ・モジュールTMの搬送ロボットRB1がプロセス・モジュールPM1,PM2において上記のようなピック&プレース動作により相前後する2枚のウエハAを入れ替える搬送動作であり、3Tの時間を要している。なお、同一の搬送経路で同じ一連の処理を受ける一群のウエハのうち、先頭のウエハを1番目のプロセス・モジュールPM1に搬入する際にはプレース動作だけが行われ、最後尾のウエハを2番目のプロセス・モジュールPM2から搬出する際にはピック動作だけが行われる。
「PM1プロセス」、「PM2プロセス」は、プロセス・モジュールPM1,PM2が該当のウエハAにTi,TiNの薄膜を形成する処理であり、所要時間は待ち時間を含めて15Tである。すなわち、この実施例におけるウエハ滞在時間STは15Tである。この場合、両プロセス・モジュールPM1,PM2のいずれか一方または双方の処理時間がウエハ滞在時間STに等しい15Tである。一例として、1番目のプロセス・モジュールPM1の処理時間PT1が15Tで、2番目のプロセス・モジュールPM2の処理時間PT2が12Tとする。この場合、プロセス・モジュールPM1では待ち時間がなく(WT1=0)、2番目のプロセス・モジュールPM2ではウエハ滞在時間ST(15T)の中の最初の3Tがレシピ処理開始前の待ち時間WT2である。
「アームFA上のウエハ」、「アームFB上のウエハ」は、トランスファ・モジュールTMの搬送ロボットRB1の搬送アームFA,FB上に該当のウエハAが保持されている状態である。
より詳細には、図5Aにおいて、期間t0〜t3の「PM1ウエハ搬送」では、搬送ロボットRB1がプロセス・モジュールPM1にアクセスし、ピック&プレース動作により、搬送アームFAで処理済のウエハA04を搬出し、それと入れ替わりに搬送アームFBで新規または未処理のウエハA05を搬入する。プロセス・モジュールPM1は、ウエハA05を搬入すると「PM1プロセス」で直ちにTi成膜のためのレシピ処理を開始する。
一方、プロセス・モジュールPM2では、ウエハA03に対する「PM2プロセス」が終盤に差し掛かり、時点t3で終了する。この直後の期間t3〜t6で「PM2ウエハ搬送」が行われ、搬送ロボットRB1がピック&プレース動作により空の搬送アームFBで処理済のウエハA03を搬出し、それと入れ替わりに搬送アームFAでプロセス・モジュールPM1から取り出してきたばかりのウエハA04を搬入する。プロセス・モジュールPM2は、ウエハA04を搬入すると「PM2プロセス」で待ち時間WT2(3T)の経過後に(時点t8から)TiN成膜のためのレシピ処理を開始する。このように、第1工程のプロセス・モジュールPM1から第2工程のプロセス・モジュールPM2へウエハを移送するまでの時間、つまりトランスファ・モジュールTM内に留めておく時間を最短時間(3T)にしているため、連続処理の品質管理を向上できる。
ロードロック・モジュールLLM1では、期間t0〜t9にウエハA02に対して「LLM1プロセス」が行われる。このウエハA02は、両プロセス・モジュールPM1,PM2でTi,TiNの成膜処理を受けてきたものである。時点t9でロードロック・モジュールLLM1の「LLM1プロセス」が終了すると、この直後の期間t9〜t10に「LLM1ウエハ搬送(LM)」でローダ・モジュールLMの大気搬送ロボットRB2がロードロック・モジュールLLM1からウエハA02を取り出す。
一方、ロードロック・モジュールLLM2では、期間t10〜t12の「LLM2ウエハ搬送(LM)」で搬送ロボットRB2が未処理の新規ウエハA06を搬入する。ロードロック・モジュールLLM2は、ウエハA06を搬入すると、この直後(t12〜t15)の「LLM2真空引き」で室内を減圧状態にする。そして、真空引き完了直後(t15〜t18)の「LLM2ウエハ搬送(TM)」において、トランスファ・モジュールTMの搬送ロボットRB1がピック&プレース動作により空の搬送アームFAで新規のウエハA06を取り出し、それと入れ替わりに搬送アームFBに保持していたプロセス・モジュールPM2からのウエハA03を搬入する。ロードロック・モジュールLLM2は、ウエハA03を搬入すると直ちに「LLM2プロセス」を開始する。
プロセス・モジュールPM1においては、時点t18でウエハA05に対する「PM1プロセス」が終了すると、直後の期間t18〜t21にプロセス・モジュールPM1で「PM1ウエハ搬送」が行われ、トランスファ・モジュールTMの搬送ロボットRB1が搬送アームFBで処理済のウエハA05を搬出し、それと入れ替わりに搬送アームFAで新規のウエハA06を搬入する。プロセス・モジュールPM1は、ウエハA06を搬入すると「PM1プロセス」で直ちにTi成膜のためのレシピ処理を開始する。
一方、プロセス・モジュールPM2では、ウエハA04に対する「PM2プロセス」が終盤に差し掛かり、時点t21で終了する。この直後の期間t21〜t24で「PM2ウエハ搬送」が行われ、搬送ロボットRB1が空の搬送アームFAで処理済のウエハA04を搬出し、それと入れ替わりに搬送アームFBでプロセス・モジュールPM1から取り出してきたばかりのウエハA05をプロセス・モジュールPM2に搬入する。プロセス・モジュールPM2は、ウエハA05を搬入すると「PM2プロセス」で待ち時間WT2(3T)の経過後に(時点t27から)TiN成膜のためのレシピ処理を開始する。
ロードロック・モジュールLLM2では、時点t27でウエハA03に対する「LLM2プロセス」が終了すると、この直後の期間t27〜t29に「LLM2ウエハ搬送(LM)」でローダ・モジュールLMの搬送ロボットRB2がロードロック・モジュールLLM2から半導体ウエハA03を搬出する。
また、ロードロック・モジュールLLM1では、期間t28〜t30の「LLM1ウエハ搬送(LM)」で搬送ロボットRB2が未処理の新規ウエハA07を搬入する。ロードロック・モジュールLLM2は、新規ウエハA07を搬入すると、直後(t30〜t33)に「LLM1真空引き」で室内を減圧状態にする。そして、真空引きが完了すると、直後(t33〜t36)に「LLM1ウエハ搬送(LM)」において、トランスファ・モジュールTMの搬送ロボットRB1がそれまで空になっていた搬送アームFBで新規のウエハA07を取り出し、それと入れ替わりに搬送アームFAに保持していた処理済のウエハA04を搬入する。
以後も、図5Bに示すように、上記と全く同じ動作が各部で繰り返される。この実施例では、クラスタツール内で同時に稼動する全てのプロセス・モジュールPM1,PM2において「PM1プロセス」,「PM2プロセス」の所要時間が同一(共通)のウエハ滞在時間ST(15T)に設定され、モジュール内にウエハが入っていない非滞在時間またはインターバルは3Tであり、各プロセス・モジュールPMの動作サイクルは18Tである。
より詳細には、1番目のプロセス・モジュールPM1では、上記インターバル(3T)を挟んで所要時間15Tのレシピ処理(Ti成膜処理)が18Tの周期で繰り返し行われる。2番目のプロセス・モジュールPM2では、上記インターバル(3T)と「PM2プロセス」内の待ち時間WT2(3T)とを挟んで所要時間12Tのレシピ処理(TiN成膜処理)が18Tの周期で繰り返し行われる。プロセス・モジュールPM1,PM2のいずれにおいても、1周期(18T)内に搬送ロボットRB1がアクセスする回数は1回である。また、パイプライン処理で連続する2つのウエハWi,ウエハWi+1間の搬送周期つまり搬送タクトは18Tである。
このように、この実施例では、クラスタツール内の複数のプロセス・モジュールPM1,PM2におけるウエハ滞在時間STを最大処理時間PTmaxと同じ長さ(15T)に設定し、トランスファ・モジュールTMの搬送ロボットRB1が各プロセス・モジュールPM1,PM2に対する1回のアクセスでピック&プレース動作により処理済のウエハWiを搬出してそれと入れ替わりに次のウエハWi+1を搬入することにより、搬送効率やプロセス・モジュールの稼働率を大幅に改善することができる。
この実施例における搬送効率や稼働率の改善効果の度合いは図6Aおよび図6Bに示す参考例と比較するとよく分かる。この参考例は、従来方式にしたがい、両プロセス・モジュールPM1,PM2における「PM1プロセス」、「PM2プロセス」の所要時間をそれぞれレシピ上の処理時間15T、12Tに合わせるものである。そして、「PM1プロセス」、「PM2プロセス」の終了次第、トランスファ・モジュールTMの搬送ロボットRB1がその時の状況に応じて、つまり他の各部におけるウエハ搬送との兼ね合いで両プロセス・モジュールPM1,PM2から処理済のウエハAを搬出するものである。この参考例における「PM1ウエハ搬送」、「PM2ウエハ搬送」は、3Tの時間を費やすときはピック&プレース動作が行われる場合であり、2Tの時間を費やすときはピック動作もしくはプレース動作のいずれか一方が行われる場合である。
この参考例によれば、図6Aに示すように、たとえば時点t17で2番目のプロセス・モジュールPM2における「PM2プロセス」が終了する。これに応じてトランスファ・モジュールTMの搬送ロボットRB1は、直後(t17〜t19)に2番目のプロセス・モジュールPM2にアクセスしてピック動作により搬送アームFAで処理済のウエハA04を搬出する。この時、搬送ロボットRB1の他方の搬送アームFBは、直前(t12〜t14)に「LLM2ウエハ搬送(TM)」でロードロック・モジュールLLM2から受け取った新規のウエハA06を保持している。
こうして搬送ロボットRB1がプロセス・モジュールPM2にアクセスしている間(時点t18)に1番目のプロセス・モジュールPM1で「PM1プロセス」が終了する。この時、搬送ロボットRB1は両搬送アームFA,FBにそれぞれウエハA04,A06を保持しているため、「PM1プロセス」の終了に直ぐに応じることはできず、先に期間t19〜t21で「LLM2ウエハ搬送(TM)」を実行してウエハA04をロードロック・モジュールLLM2に搬入する。その後に、期間t21〜t24でプロセス・モジュールPM1に対する「PM1ウエハ搬送」を実行し、ピック&プレース動作により空の搬送アームFAで処理済のウエハA05を搬出し、それと入れ替わりに搬送アームFBで新規のウエハA06を搬入する。プロセス・モジュールPM1は、ウエハA06を搬入すると「PM1プロセス」で直ちにTi成膜のためのレシピ処理を開始する。このように、プロセス・モジュールPM1では、設定時間15Tの「PM1プロセス」を終了した後も処理済のウエハA05を3T(t18〜t21)の時間だけ延長して留め置くことになる。
2番目のプロセス・モジュールPM2は、上記のように期間t17〜t19のピック動作により処理済のウエハA04を搬出してから搬送ロボットRB1が戻ってくるまでしばらく待機する。そして、期間t24〜t26で搬送ロボットRB1が「PM2ウエハ搬送」を実行し、搬送アームFAに保持しているプロセス・モジュールPM1からの半導体ウエハA05をプレース動作でプロセス・モジュールPM2に搬入する。プロセス・モジュールPM2は、ウエハA05を搬入すると、「PM2プロセス」で直ちにTiN成膜のためのレシピ処理を開始する。
上記のように、この参考例では、クラスタツール内で並列的に稼動するプロセス・モジュールPM1,PM2における「PM1プロセス」,「PM2プロセス」の所要時間をそれぞれレシピ上の処理時間15T、12Tに合わせている。より詳細には、1番目のプロセス・モジュールPM1では、3Tのウエハ留置時間と3Tのインターバルとを挟んで所要時間15Tのレシピ処理(Ti成膜処理)が21Tの周期で繰り返し行われる。2番目のプロセス・モジュールPM2では、9Tのインターバルを挟んで所要時間12Tのレシピ処理(TiN成膜処理)が21Tの周期で繰り返し行われる。パイプライン処理において連続する2つのウエハWi,ウエハWi+1間の搬送周期つまり搬送タクトは21Tである。また、搬送ロボットRB1は、プロセス・モジュールPM1に対しては1周期(21T)内に1回アクセスするだけでよいが、プロセス・モジュールPM2に対しては1周期(21T)内に2回アクセスしなければならない。
このように、実施例(図5A,図5B)は、参考例(図6A,図6B)と比較して搬送タクトやプロセス・モジュールPM1,PM2の動作サイクルを3T短縮している。一般に、クラスタツールは長時間の連続処理を行うため、搬送タクトの短縮はスループットの大幅な向上につながる。
上記した実施例(図5A,図5B)は、クラスタツール内で一部のプロセス・モジュールPM1,PM2のみを稼動させ、残りのプロセス・モジュールPM3,PM4を稼動させない場合であった。図7A,図7Bに、プロセス・モジュールPM1,PM2,PM3,PM4の全部を同時に稼動させる第2の実施例を示す。この第2の実施例は、ロードポートLPからローダ・モジュールLMを介して一群のウエハAを一枚ずつクラスタツール内の2台のプロセス・モジュールPM1,PM2に順次搬送して各ウエハAに一連の処理(たとえばTi/TiN成膜処理)を施す第1のパイプライン処理と、ロードポートLPからローダ・モジュールLMを介して別の一群のウエハBを一枚ずつクラスタツール内の別の2台のプロセス・モジュールPM3,PM4に順次搬送して各ウエハBに一連の処理(たとえばTi/TiN成膜処理)を施す第2のパイプライン処理とを並列的に行うものである。この実施例における搬送シーケンスも、滞在時間監視プログラムにしたがって実行される。
この第2の実施例において、上記第1の実施例(図5A,図5B)に実質的に追加された動作は、「PM3ウエハ搬送」、「PM4ウエハ搬送」、「PM3プロセス」、「PM4プロセス」である。「PM3ウエハ搬送」、「PM4ウエハ搬送」 は、トランスファ・モジュールTMの搬送ロボットRB1がプロセス・モジュールPM3,PM4において上記のようなピック&プレース動作により相前後する2枚のウエハBを入れ替える搬送動作である。「PM3プロセス」、「PM4プロセス」は、プロセス・モジュールPM3,PM4が該当のウエハBにTi,TiNの薄膜を形成する処理である。
この第2の実施例においても、クラスタツール内で同時に稼動する全てのプロセス・モジュールPM1,PM2,PM3,PM4においてウエハをモジュール内に滞在させる「PM1プロセス」、「PM2プロセス」,「PM3プロセス」、「PM4プロセス」が同一の時間(15T)に設定され、モジュール内にウエハが入っていない非滞在時間またはインターバルは3Tであり、各プロセス・モジュールの動作サイクルは18Tである。
このうち、1番目のプロセス・モジュールPM1,PM3では、上記インターバル(3T)を挟んで所要時間15Tのレシピ処理(Ti成膜処理)が18Tの周期で繰り返し行われる。2番目のプロセス・モジュールPM2,PM4では、上記インターバル(3T)と「PM2プロセス」内の待ち時間WT2(3T)とを挟んで所要時間12Tのレシピ処理(TiN成膜処理)が18Tの周期で繰り返し行われる。プロセス・モジュールPM1,PM2,PM3,PM4のいずれにおいても、1周期(18T)内に搬送ロボットRB1がアクセスする回数は1回である。また、パイプライン処理で連続する2つのウエハWi,ウエハWi+1間の搬送周期つまり搬送タクトは18Tである。
図7A,図7Bに示すように、第1のパイプライン処理と第2のパイプライン処理とはサイクルをほぼ1/2ずらしているため、プロセス・モジュールPM1,PM2回りのウエハ搬入出動作とプロセス・モジュールPM3,PM4回りのウエハ搬入出動作とが相互に干渉することはない。この第2の実施例によれば、上記第1の実施例と実質的に同一のパイプライン処理が2系統で並列的に行われるため、スループットは第1の実施例の2倍になる。
もっとも、そのぶんプロセス・モジュール以外のモジュール、つまりトランスファ・モジュールTM(搬送ロボットRB1)、ロードロック・モジュールLLM1,LLM2、ローダ・モジュールLM(搬送ロボットRB2)は上記第1の実施例の2倍の稼働率で動作することになる。
たとえば、図7Aに示すように、トランスファ・モジュールTMの搬送ロボットRB1は、期間t0〜t3の「PM1ウエハ搬送」でプロセス・モジュールPM1にアクセスして、ピック&プレース動作により、搬送アームFBで処理済のウエハA04を搬出し、それと入れ替わりに搬送アームFAで新規のウエハA05を搬入する。
この直後、期間t3〜t6の「PM2ウエハ搬送」で隣のプロセス・モジュールPM2にアクセスして、ピック&プレース動作により、搬送アームFBで処理済のウエハA03を搬出し、それと入れ替わりに搬送アームFAでプロセス・モジュールPM1からのウエハA04を搬入する。
次に、搬送ロボットRB1は、期間t6〜t9の「LLM1ウエハ搬送(TM)」でロードロック・モジュールLLM1にアクセスし、ピック&プレース動作により、空の搬送アームFAで新規のウエハB05を受け取り、それと入れ替わりに搬送アームFBでプロセス・モジュールPM2からのウエハA03を渡す。
次に、搬送ロボットRB1は、期間t9〜t12の「PM3ウエハ搬送」でプロセス・モジュールPM3にアクセスして、ピック&プレース動作により、空の搬送アームFBで処理済のウエハB04を搬出し、それと入れ替わりに搬送アームFAで新規ウエハB05を搬入する。この直後、搬送ロボットRB1は、期間t12〜t15の「PM4ウエハ搬送」でプロセス・モジュールPM4にアクセスして、ピック&プレース動作により、空の搬送アームFAで処理済のウエハB03を搬出し、それと入れ替わりに搬送アームFBでプロセス・モジュールPM3からのウエハB04を搬入する。
次に、搬送ロボットRB1は、期間t15〜t18の「LLM2ウエハ搬送(TM)」でロードロック・モジュールLLM2にアクセスし、ピック&プレース動作により、空の搬送アームFBで新規のウエハA06を受け取り、それと入れ替わりに搬送アームFBでプロセス・モジュールPM4からのウエハB03を渡す。この直後、期間t18〜t21の「PM1ウエハ搬送」でプロセス・モジュールPM1にアクセスして、ピック&プレース動作により、搬送アームFAで処理済のウエハA05を搬出し、それと入れ替わりに搬送アームFBで未処理のウエハA06を搬入する。以後も、上記と同じ動作が繰り返される。
このように、搬送ロボットRB1は殆ど休みなく動作し、周囲の全てのモジュールPM1,PM2,PM3,PM4,LLM1,LLM2に対してはピック&プレース動作でアクセスし、両搬送アームFA,FBのいずれも間断なくウエハの保持またはハンドリングを行う。
また、各ロードロック・モジュールLLM1,LLM2においても、ピック&プレース動作でウエハが頻繁に出入りし、ウエハの無い空きの状態はほとんどない。たとえば、ロードロック・モジュールLLM2においては、期間t0〜t9でウエハB02に対する「LLM2プロセス」が行われると、その直後(t9〜t11)に「LLM2ウエハ搬送(LM)」でローダ・モジュールLMの搬送ロボットRB2がピック&プレース動作により処理済のウエハB02を搬出し、それと入れ替わりに新規のウエハA06を搬入する。ロードロック・モジュールLLM2は、新規ウエハA06を搬入すると、直後(t12〜t15)に「LLM2真空引き」で室内を減圧状態にする。この真空引きが完了すると、直後(t15〜t18)に「LLM2ウエハ搬送(TM)」において、トランスファ・モジュールTMの搬送ロボットRB1がピック&プレース動作により搬送アームFBで新規のウエハA06を取り出し、それと入れ替わりに搬送アームFAに保持しているプロセス・モジュールPM4からのウエハB03を搬入する。ロードロック・モジュールLLM2は、ウエハB03を搬入すると、「LLM2プロセス」を開始する。以後も、上記と同じ動作が繰り返される。ロードロック・モジュールLLM1においても同様である。
この第2の実施例は、第1のパイプライン処理と第2のパイプライン処理とが処理内容を同じにしていた。しかし、処理内容を異にしても上記と同じ搬送シーケンスで対応することができる。たとえば、第1のパイプライン処理におけるプロセス・モジュールPM1,PM2のレシピ上の処理時間PT1,PT2がそれぞれ15T,12Tで、第2のパイプライン処理におけるプロセス・モジュールPM3,PM4のレシピ上の処理時間PT3,PT4がそれぞれ13T,14Tの場合を例にとる。この場合も、プロセス・モジュールPM1の処理時間PT1が最大処理時間PMmax(15T)であるから、全てのプロセス・モジュールPM1,PM2,PM3,PM4について最大処理時間(15T)に等しい同一のウエハ滞在時間STが設定される。したがって、「PM1プロセス」、「PM2プロセス」,「PM3プロセス」、「PM4プロセス」は同一の時間(15T)であり、各プロセス・モジュール内にウエハが入っていない非滞在時間またはインターバルは3Tであり、各プロセス・モジュールの動作サイクルは18Tである。このように、クラスタツール内で並列的に稼動する全てのプロセス・モジュールにおけるレシピ上の処理時間の中の最大のもの(最大処理時間PMmax)に基づいてクラスタツール内の搬送シーケンスがパターン化または規格化されるため、搬送系ソフトウェアの負担が軽減される。
上記実施例(図5A,図5B,図7A,図7B)では、図解の便宜からレシピ上の処理時間PTを基本単位時間Tの整数倍で表した。しかし、処理時間PTは基本単位時間Tとは独立して任意の長さに設定できる。たとえば、上記Ti/TiNの成膜処理においては、プロセス・モジュールPM1におけるTi成膜のためのレシピ処理時間PT1を179秒に設定し、プロセス・モジュールPM2におけるTiN成膜のためのレシピ処理時間PT2を151秒に設定することがある。この場合は、最大処理時間PTmaxが179秒であるから、両プロセス・モジュールPM1,PM2に共通のウエハ滞在時間STを179秒以上(好ましくは179秒)に設定してよい。
また、処理内容に関して、上記実施例のTi/TiN成膜処理は一例であり、このクラスタツールは様々なインラインの連続処理に好適である。
たとえば、プリクリーン工程とiPVD工程のインライン連続処理も可能である。プリクリーン工程は、堆積または成膜前に被処理基板の表面をクリーニングする工程である。被処理基板の表面が酸化すると、材料の電気特性が著しく変質して性能劣化に繋がる。このため、基板が物理蒸着法や化学蒸着法による成膜装置の一次処理を受ける前に、前処理のクリーニングつまりプリクリーン工程によって表面酸化物(主に二酸化珪素や金属酸化物)を除去するのが望ましい。特に、タングステン、アルミニウムまたは銅のような金属導体を堆積さるためのトレンチ、コンタクトまたはバリア層のような基板表面層は、堆積層の間で極めて低い界面抵抗を確保するうえでプリクリーン工程により清浄にする必要がある。
iPVD(ionized Physical Vapor Deposition)または物理的気相成長法は、スパッタ粒子をイオン化させて段差被覆性の良い薄膜を形成する成膜法である。iPVDの高指向性は、ターゲットからスパッタされた金属粒子がプラズマ中でイオン化され、その金属イオンが基板表面のシース内で加速され基板に垂直に入射するプロセスによって実現される。
この実施形態のクラスタツールは、プロセス・モジュールPM1,PM2,PM3,PM4のいずれか2つにプリクリーン・チャンバとiPVDチャンバとを充てることができる。たとえば、配線工程のCu薄膜の埋め込みとバリアメタルの堆積とをスパッタ装置(iPVD装置)にて連続して行うCuインテグレーション工程では、先ずエッチングによって絶縁層にビアホールを形成した後に、iPVDによってCu層の上にCuバリア層(TaN/Ta)を形成する前にプリクリーン・チャンバでCuの表面酸化層をエッチングないし表面クリーニングして不純物下地層を削り、下層のCu層を露出させる。そして、酸化膜が形成されないうちに真空雰囲気中で被処理基板をiPVDチャンバに移送し、上記Cuバリア層(TaN/Ta)をiPVDによって形成する。本発明によれば、プリクリーン・チャンバ(1番目のプロセス・モジュール)でプリクリーン処理を終えたばかりの被処理基板を待ち時間を置かずに真空雰囲気中で直ちにiPVDチャンバ(2番目のプロセス・モジュール)に移送できるため、不所望な酸化膜の形成を防止することができる。
上記のようなCuインテグレーション工程の処理時間は、プリクリーンを80秒、iPVDを120秒にそれぞれ設定するのがベストモードとされている。この場合、最大処理時間PTmaxが120秒であるから、プリクリーン・チャンバおよびiPVDチャンバに共通または同一のウエハ滞在時間STを120秒以上(好ましくは120秒)に設定してよい。
インライン連続処理の別の例として、UVO(Ultraviolet Oxidation)工程とMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)工程との組合せがある。MOSデバイスのゲート絶縁膜は、微細化の進展により、近いうちにシリコン酸化膜相当で1nm以下の膜厚が必要とされている。これは3〜4原子層の厚さに相当する。このような極薄の膜厚になると、トンネル電流の増大、ゲート電極にドープした元素の拡散、信頼性の低下等により、シリコン酸化膜は使えないため、誘電率の高い膜(いわゆるhigh-k膜)を用いる必要がある。この種のhigh-k膜としては、ZrO2、HfO2等の遷移金属酸化膜、La2O3等の希土類酸化物およびそれらのシリケートなどが好ましく、MOCVD法によって形成することができる。ただし、これらの高誘電率膜とSi基板との間には、シリケートからなる組成遷移層乃至、シリケート層とSi基板の間にはSiの中間酸化状態かなる組成遷移層が形成されてしまうので、これを防止するため先にUVO処理によって酸化膜防止層であるSiO2層を形成する必要がある。また、該酸化膜防止層がシリケート層とSi基板に介在することによってデバイス特性の劣化、つまり移動度の低下防止となる効果もある。
この場合も、この実施形態のクラスタツールでは、プロセス・モジュールPM1,PM2,PM3,PM4のいずれか2つにUVOチャンバとMOCVDチャンバとを充てることができる。UVOチャンバは、紫外線ランプによりたとえば波長190〜380nmの紫外線を照射しつつ所定量のO2を導入して紫外線励起により酸素ラジカルを生成し、生成した酸素ラジカルによってシリコン基板の表面にほぼ0.5nmのSiO2層を形成する。この0.5nmのSiO2層を真空雰囲気中にてMOCVDチャンバに移送し、MOCVDチャンバで上記high-kシリケート膜を形成する。この際、原料ガスは400〜600゜Cに加熱された被処理基板上で分解し、基板上に薄膜が成長する。この連続成膜の処理時間は、UVOを300秒、MOCVDを343秒に設定するのがベストモードとされている。この場合、最大処理時間PTmaxが343秒であるから、UVOチャンバおよびMOCVDチャンバに共通または同一のウエハ滞在時間STを343秒以上(好ましくは343秒)に設定してよい。
なお、ウエハ滞在時間STの内訳(時間割)について、上記した実施形態では最大処理時間PTmaxと当該プロセス・モジュールの処理時間PTnとの差を待ち時間WTnとしてレシピ処理時間PTnの前に置き、ウエハを当該プロセス・モジュールに搬入してから待ち時間WTnの経過後にレシピ処理を開始した。しかし、ウエハ滞在時間ST内で待ち時間WTnを任意に割り振りすることが可能であり、たとえばレシピ処理時間PTnの後に設定し、当該プロセス・モジュール内でレシピ処理を終了してから待ち時間WTnの経過後にウエハを搬出するようにしてもよい。
また、本発明のクラスタツールは、上記した実施形態の装置構成(図1)に限定されるものではなく、レイアウトや各部の構成等において種々の変形が可能である。たとえば、図8に示すように、トランスファ・モジュールTMを水平方向に延ばしてトランスファ・モジュールTMに連結可能つまりクラスタツール内で稼動可能なプロセス・モジュールの台数を増やす構成(図8の例は6台)も可能である。この構成例では、トランスファ・モジュールTM内に長手方向に延びる2本のレール10が敷設され、搬送ロボットRB1がレール10上で直進移動可能なスライダ12を有している。また、この搬送ロボットRB1は、互いに鋭角(たとえば60゜)離れた2方向で伸縮可能な一対の搬送アームFA,FBを有しており、各モジュールに対してピック&プレース動作により両搬送アームFA,FBを交互に出し入れするときなどに旋回角度が小さくて済むという特長を有している。
本発明のクラスタツールは、上記実施形態のような真空系の処理システムに限定されるものではなく、一部または全体が大気系の処理システムにも適用可能である。被処理体も、半導体ウエハに限るものではなく、フラットパネルディスプレイ用の各種基板や、フォトマスク、CD基板、プリント基板等も可能である。