JP4498521B2 - トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドの製造方法 - Google Patents

トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドの製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランとオキシ塩化りんとを反応させてトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドを製造する方法に関する。トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドは、アルキレンオキシド化合物の重合触媒としてきわめて有効であることが知られている(特開平11−302371)。
【0002】
【従来技術】
トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドに関する公知文献は、ジー.エヌ.コイダン(G.N.Koidan)ら、ジャーナル オブ ジェネラル ケミストリー オブ ザ ユーエスエスアール、55巻、頁1453(1985年)(Journal of general chemistry of the USSR,55,1453(1985))があり、他には見あたらない。この文献では本願でいうイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホラン[HN=P(NMe2)3]はヘキサメチルトリアミドホスファゾハイドライドと呼ばれ、本願でいうトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシド[O=P[N=P(NMe2)3]3]はトリス[トリス(N,N−ジメチルアミド)ホスファゾ]ホスフェイトと呼ばれている。また本願でいうアミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリド[[H2N-P+(NMe2)3]Cl-]は、ヘキサメチルトリアミドホスファゾハイドライドハイドロクロライドと呼ばれ[[HN=P(NMe2)3]・HCl]の形で表されているが、同一の化合物である。ここでは上記3種の化合物は本願の表現を用いることとする。
【0003】
この文献は、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドとよう化メチルとの反応について述べられている。そしてその反応の原料であるトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドの製造法を開示している。そこではイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランとオキシ塩化りんとのモル比を正確に6:1となるように、該ホスホランの石油エーテル溶液に、オキシ塩化りんの石油エーテル溶液を20℃で30分攪拌しながら滴下して加え、その後(時間は明示されていない)、副生したアミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドの沈殿を分離し、該沈殿を石油エーテルで洗浄し、その濾液を濃縮し残査を少量の石油エーテルから結晶化させることにより、収率85%でトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドを得たと述べている。
【0004】
しかしながら、本発明者らが同じ条件でこの方法を実施したところ、20℃、30分でオキシ塩化りんを加え終わった後では、目的物はほとんど生成していなかった。その後、反応温度を40℃に上げて24時間反応させても目的物の収率は60%程度で、更に48時間反応させてもその収率は73%程度でしかなかった。
【0005】
また該文献には「少量の石油エーテルから結晶化した」とのみの記載があるだけで再結晶の詳細な説明はない。本発明者らは上述のように40℃で48時間反応させて得られた反応液から、該文献記載のように、先ず沈殿を濾別し、その濾液を濃縮乾固して固体とし、再結晶を試みた。その結果、−10℃まで冷却して初めて少量の結晶の析出が見られ、−20℃という極く低温でようやく結晶をとることができた。この結晶のトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドの収率は20%という低い結果であった。
【0006】
イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランとオキシ塩化りんとを反応させトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドを製造する際には、オキシ塩化りん1分子に対してイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホラン1分子が反応すると塩化水素1分子が同時に生成する。この塩化水素は直ちにイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランと反応してアミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドを生成する。従って1モルのオキシ塩化りんの3個の塩素を全て反応させてしまうには、化学量論的には6モルのイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランが必要となる。即ち、
6 HN=P(NMe2)3 + O=PCl3 → O=P[N=P(NMe2)3] + 3 [H2N-P+(NMe2)3]Cl- で表される。
【0007】
上記文献の方法では、イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランとオキシ塩化りんとを6:1のモル比(化学量論量)で反応させているが、本発明者らは6モル比を超える過剰量の該ホスホランを用いて反応させることで収率が高まることを見出した。しかしながら、該文献記載の精製法では、過剰に用いた際の未反応のイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランを十分に除くことができず、再結晶後のトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドの純度を低下させる結果となった。
【0008】
このように開示されているトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドの製造方法では収率が低く、また精製法には極低温が必要であり、さらには収率向上のため一方の反応物を過剰に用いようとするとその除去が十分にできないなど、工業的製造方法としては極めて不十分である。
【0009】
上記文献の方法の改良を検討した結果、反応溶媒を石油エーテルに代えて芳香族炭化水素類を用いると、反応速度が向上し収率も向上することを見出した。さらには、固液分離で得た溶液を水洗浄することで、過剰のイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランを除くことができ、低温での再結晶が不要となり、より簡易に製品を得られることがわかった。
【0010】
しかしながら、反応溶媒を石油エーテルに代えて芳香族炭化水素類を用いる方法では、反応中に生成する副生物が溶媒である芳香族炭化水素類に溶解してしまうため、固液分離を行う際に目的物と同じ溶液側に混入し、目的物の純度が低下する問題がある。目的物の純度を向上させるためには、溶媒として使用した芳香族炭化水素類を一旦留去した後、新たに脂肪族炭化水素類を加えて目的物のみを溶解させ、脂肪族炭化水素類に不溶の副生物を固液分離にて除去し、得られた溶液から脂肪族炭化水素類を留去して目的物を得る、という精製工程を行う必要がある。また、水洗浄によって除去された過剰のイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランを水中から回収することは実質的に困難であり、イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランのロスにつながる。このように、反応溶媒を石油エーテルから芳香族炭化水素類に代え、水洗浄を行い過剰のイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランを除去する方法は、工業的製造方法としては未だ不十分であり、より簡易に且つ経済的にトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドを製造する方法が求められていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランとオキシ塩化りんとを反応させてトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドを製造する方法において、簡便な精製法で実施でき、化学量論量以上に該ホスホランを使用でき、工業的により現実的な方法で、高収率で且つ高純度のトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドを得る方法を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決する為の手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を続けたところ、イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランとオキシ塩化りんとを反応させてトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドを製造するに際し、反応溶媒を石油エーテルに代えて脂肪族炭化水素類を用い、反応温度を40ないし180℃として反応すると、反応速度が向上し収率も向上することを見出した。さらには、脂肪族炭化水素類を用いると、反応時に副生する固体のアミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドと、溶媒に不溶な副生成物とを、同時に固液分離で除けることを見出した。さらに驚くべきことに、溶液中の溶媒と過剰のイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランを留去して取り除くことにより、非常に簡便に且つ高純度のトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドを得ることができることを見出した。このことにより、低温での再結晶は不要となり、また水洗浄することも不要になり、さらに収率を高めるために化学量論量以上のイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランを用いることも可能となるという一連の相乗効果を見出した。さらに、従来は、過剰のイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランを水洗浄することにより取り除いており、除かれた過剰のイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランの回収は非常に困難であり、工業的製造方法としては不十分であったが、本発明では、過剰のイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランを薄膜蒸発により簡便に回収することができるという効果も同時に得られることを見出した。
【0013】
即ち、本発明は、イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランとオキシ塩化りんとを反応させてトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドを製造するに際し、脂肪族炭化水素類を溶媒として用い、イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランのオキシ塩化りんに対するモル比を6を超え10以下、反応温度を40℃ないし180℃で反応させて、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドと同時に副生する固体のアミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドとを含む反応液を得て、該反応液からアミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドと溶媒に不溶の副生成物とを同時に固液分離で除き、得られた溶液中の溶媒と過剰に含まれているイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランを留去して除き、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドを得ることを特徴とするトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドの製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の方法におけるトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドとは式(1)
【0015】
【化1】
Figure 0004498521
【0016】
で表される化合物であるが、これは一つの極限構造式である。中心のりん原子と酸素原子の間を二重結合で表現してはいるが、酸素原子上に電子が偏ってアニオンとなり、りん原子上にカチオンが生じた形(P+−O-)の極限構造式もとり得る。またりん原子上のカチオンは共役系を通して全体に非局在化することもできる。本発明の方法における式(1)で表されるトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドは、これらすべてを含んだ共鳴混成体として理解されるべきである。
【0017】
両原料、即ちオキシ塩化りんおよびイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランはともに市販されており、入手は容易である。
【0018】
本発明の方法において、溶媒として用いる脂肪族炭化水素類としては、例えばn−ヘキサン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルペンタン、n−ヘプタン、n−オクタン、2,3,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、n−ノナン、2,2,5−トリメチルヘキサン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン等の飽和脂肪族炭化水素であり、例えばシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、ビシクロヘキシル、デカリン等の脂環族炭化水素である。これらの他、この方法を阻害しなければ如何なる脂肪族炭化水素類を用いても構わないが、通常、適用しようとする反応温度および反応圧力に応じて適宜選択して使用する。反応温度および反応圧力と沸点との関係と、反応後の溶媒除去の容易さを総合的に考慮すると、これらのうち好ましくは、例えばn−ヘキサン、シクロヘキサン、2−メチルペンタン、n−ヘプタン、メチルシクロヘキサン、n−オクタン、エチルシクロヘキサン、n−ノナン、n−デカン、デカリン等の炭素原子6ないし10個の脂肪族炭化水素である。これらの脂肪族炭化水素類は単独で用いても複数種を併用しても構わない。これらの溶媒の使用量は特に限定されないが、通常、原料のオキシ塩化りん1重量部に対して500重量部以下であり、好ましくは1ないし100重量部であり、より好ましくは1.5ないし50重量部である。これらの溶媒に液体であるオキシ塩化りんの一部が不溶であっても構わない。
【0019】
本発明の方法において、イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランのオキシ塩化りんに対するモル比は6を超え10以下であり、好ましくは6.1ないし8.0である。イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランのオキシ塩化りんに対するモル比を6以下(化学量論量以下)で反応を行った場合、純度や収率の低下が見られ、工業的製造方法として好ましくない。また、イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランのオキシ塩化りんに対するモル比を、10を超えて用いても反応は問題なく行うことができるが、過剰分のイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランの回収量が多くなり、精製工程での負荷が大きくなるので好ましくない。
【0020】
イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランとオキシ塩化りんとの反応の方法は、前記した溶媒の存在下に両者を混合することにより行えば良く特に限定されない。反応方法として、例えば槽型反応器や管型反応器を用いて反応を行う方法を挙げることができ、通常、槽型反応器を用いて混合する方法を用いる。混合の方法としては特に制限はないが、通常、イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランとオキシ塩化りんの内の一方を溶媒の溶液として反応器内に装入し、ここにもう一方を滴下混合することにより行う。必要に応じて滴下側を溶媒で希釈して混合することもできる。また、反応方式として、回分式、連続式の何れでも可能である。
【0021】
反応温度は、溶媒量、原料モル比などにより一様ではないが、通常は40ないし180℃であり、好ましくは50ないし140℃であり、より好ましくは60ないし100℃である。40℃未満の低温で反応を行った場合、反応が遅く大変長い反応時間が必要となり、また収率が低下するため、実用上好ましくない。180℃を超える高温で反応を行った場合は、反応の際の副生物(不純物)の生成が多くなるため好ましくない。反応では例えば初期はより低温で末期はより高温で行うなど、多段階に温度を設定することもできる。反応圧力は減圧、常圧および加圧のいずれでも実施しうるが、通常、常圧である。反応時間は反応温度や他の因子により一様ではないが、通常は0.1ないし100時間、好ましくは0.5ないし50時間であり、より好ましくは1ないし30時間である。
【0022】
このようにして得られる反応液には、脂肪族炭化水素類である溶媒、例えばn−ヘプタンに不溶な副生物が少量と、アミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドが白色の固体として大量に析出している。これを同時に固液分離で除くが、その方法としては如何なる方法でも構わないが、通常、濾過、遠心分離、またはデカンテーションなどの汎用の方法が用いられ、なかでも濾過が好ましい。必要であれば濾過ケーキを脂肪族炭化水素類の溶媒で洗浄し、洗液は濾液と合わせることもできる。
【0023】
濾過ケーキの洗浄に用いる脂肪族炭化水素類は特に限定されず、反応溶媒で使用した脂肪族炭化水素と同一であっても異なっていても構わないが、通常、反応に使用した溶媒と同一の脂肪族炭化水素を用いる。また、これらの脂肪族炭化水素類は、単独で用いても複数種を併用しても構わない。
【0024】
本発明の方法においては、固液分離をして得た溶液中の溶媒と過剰のイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランを留去して除き、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドを得る。留去の方法としては、蒸留、蒸発、薄膜蒸発等の方法を適宜選択して用いることができ、また複数の方法を組み合わせて用いることもできるが、好ましくは、固液分離をして得た溶液中の溶媒を蒸留、蒸発等の一般的な方法によって除去して、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドと過剰分のイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランを含む濃縮液を得、続いて、この濃縮液から薄膜蒸発装置を用いて過剰分のイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランを蒸発除去する方法を用いる。この際、蒸発除去した過剰分のイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランは、回収して再使用することが可能である。
【0025】
この方法で用いる薄膜蒸発装置による蒸発もしくは回収の条件は、特に限定されないが、加熱温度は、好ましくは80ないし300℃、より好ましくは100ないし280℃、最も好ましくは120ないし260℃である。真空度は加熱温度によって異なるが、好ましくは0.1ないし100kPa、より好ましくは0.1ないし10kPa、最も好ましくは0.1ないし1kPaである。
【0026】
このようにして得られたトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドは十分に高い純度を有し、そのままでアルキレンオキシド化合物の重合触媒に用いることができるが、用途等により必要に応じてさらに精製することもできる。精製の方法は特に限定されないが、通常、蒸発、蒸留、再結晶、吸着処理等一般的な精製方法を用いることができる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。しかしながら、本実施例は本発明を具体的に説明したものであり、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0028】
実施例1
窒素雰囲気下で、500mlのガラス製反応器にイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホラン115.85g(650ミリモル)およびn−ヘプタン132.22gを仕込んだ。オキシ塩化りん15.50g(100ミリモル)およびn−ヘプタン15.86gの混合液を50℃で1時間かけて滴下した。イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランのオキシ塩化りんに対するモル比は6.5である。滴下終了後、90℃で攪拌を4時間継続して白色スラリー液を得た。この反応液の一部を採取した。トルエンを溶媒とし酢酸エチルを内部標準化合物としたHPLC定量分析(以降、収率および純度はこの方法で分析を実施した)の結果からは、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドのオキシ塩化りんに対する収率(以降、単に収率と略す)は85.8%であった。
【0029】
反応後、得られた該白色スラリー液を窒素気流下で濾過により、アミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドと、溶媒に不溶な副生成物とを同時に除き、濾残を少量のn−ヘプタンで洗浄して濾洗液を得た。この濾洗液をエバポレーターを用いてn−ヘプタンを除き、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドを含む濃縮液を得た。さらに、該濃縮液から薄膜蒸発装置を用いて過剰のイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランを除き、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドを得た。こうして得られたトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドの純度は99.2重量%であり、収率は85.1%であった。
【0030】
実施例2
窒素雰囲気下で、500mlのガラス製反応器にイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホラン142.57g(800ミリモル)およびn−ヘプタン162.72gを仕込んだ。オキシ塩化りん15.50g(100ミリモル)およびn−ヘプタン15.86gの混合液を70℃で1時間かけて滴下した。イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランのオキシ塩化りんに対するモル比は8.0である。滴下終了後、70℃で攪拌を6時間継続して白色スラリー液を得た。この反応液の一部を採取し分析した結果、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドのオキシ塩化りんに対する収率は83.1%であった。
【0031】
反応後、得られた該白色スラリー液を実施例1と同様の方法で処理し、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドを得た。こうして得られたトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドの純度は98.4重量%であり、収率は82.1%であった。
【0032】
実施例3
窒素雰囲気下で、500mlのガラス製反応器にイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホラン115.85g(650ミリモル)およびn−デカン162.72gを仕込んだ。オキシ塩化りん15.50g(100ミリモル)およびn−デカン15.86gの混合液を50℃で1時間かけて滴下した。イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランのオキシ塩化りんに対するモル比は6.5である。滴下終了後、120℃で攪拌を2時間継続して白色スラリー液を得た。この反応液の一部を採取し分析した結果、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドのオキシ塩化りんに対する収率は83.4%であった。
【0033】
反応後、得られた該白色スラリー液を実施例1と同様の方法で処理し、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドを得た。こうして得られたトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドの純度は98.1重量%であり、収率は82.6%であった。
【0034】
実施例4
窒素雰囲気下で、500mlのガラス製反応器にイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホラン124.75g(700ミリモル)およびシクロヘキサン142.38gを仕込んだ。オキシ塩化りん15.50g(100ミリモル)およびシクロヘキサン15.86gの混合液を50℃で1時間かけて滴下した。イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランのオキシ塩化りんに対するモル比は7.0である。滴下終了後、81℃(還流)で攪拌を4時間継続して白色スラリー液を得た。この反応液の一部を採取し分析した結果、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドのオキシ塩化りんに対する収率は84.4%であった。
【0035】
反応後、得られた該白色スラリー液を実施例1と同様の方法で処理し、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドを得た。こうして得られたトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドの純度は98.7重量%であり、収率は83.9%であった。
【0036】
実施例5
実施例4と同様の反応を行い、反応後、得られた該白色スラリー液を窒素気流下で濾過により、アミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドと、溶媒に不溶な副生成物とを同時に除き、濾残を少量のシクロヘキサンで洗浄して濾洗液を得た。この濾洗液から薄膜蒸発装置を用いて、シクロヘキサンと過剰のイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランを同時に除いた。こうして得られたトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドの純度は96.0重量%であり、収率は84.4%であった。
【0037】
実施例6
窒素雰囲気下で、500mlのガラス製反応器にオキシ塩化りん15.50g(100ミリモル)およびn−ヘプタン15.86gを仕込んだ。イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホラン115.85g(650ミリモル)およびn−ヘプタン132.22gの混合液を60℃で1時間かけて滴下した。イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランのオキシ塩化りんに対するモル比は6.5である。滴下終了後、80℃で攪拌を5時間継続して白色スラリー液を得た。この反応液の一部を採取し分析した結果、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドのオキシ塩化りんに対する収率は85.2%であった。
【0038】
反応後、得られた該白色スラリー液を実施例1と同様の方法で処理し、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドを得た。こうして得られたトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドの純度は98.9重量%であり、収率は84.8%であった。
【0039】
比較例1
G.N.Koidanらの文献記載の方法に準拠した方法で実施した。
窒素雰囲気下で、300mlのガラス製反応器にイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランを53.5g(300ミリモル)および乾燥した石油エーテル200ml(該ホスホランの濃度は29重量%)を仕込んだ。攪拌しながら、内部温度を20℃に制御しつつ、これに7.67g(50.0ミリモル)のオキシ塩化りんと乾燥した石油エーテル25mlとの混合液(オキシ塩化りんの濃度は32重量%)を30分かけて滴下した。イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランのオキシ塩化りんに対するモル比は6.0である。この時点で反応液の一部を採取したところ、目的物はほとんど生成していなかった。このため、その後、反応液を還流する温度まで昇温(約40℃であった)し反応を続けた。24および48時間経過後の収率は59.8%および73.0%であった。このように該文献記載の方法では、明らかに反応は遅く、収率は低かった。
【0040】
比較例2
G.N.Koidanらの文献記載の方法に準拠した方法で得られた反応液(比較例1で得られた反応液)から該文献記載の精製法に準拠した方法で実施した。
比較例1の反応液で得られた石油エーテルの白色スラリー液を濾過し、固体を50mlの石油エーテルで2回洗浄後、得られた濾洗液を30℃、20kPa(150mmHg)で濃縮乾固した。微黄白色の固体が21.5g得られ、この固体に6.0gの石油エーテル(固体に対しわずか28重量%に当たる)を加えたところ温度25℃でほぼ溶解した。この溶液を濾過し、その濾液を冷却して結晶を析出させようとしたが、−10℃まで下げてやっと少量の析出が認められた。さらに−20℃まで冷却し、ようやくある程度の量の結晶を析出させることができた。これをすばやく−20℃の保冷濾過器で濾過し、濾過した結晶を−30℃に冷却した石油エーテル約3gで洗浄し、5.89gの白色結晶を得た。この結晶は純度98.2重量%のトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドであったが、収率はわずか20.0%であった。このようにわずかな溶媒量で再結晶を実施したにもかかわらず結晶化には極く低温を必要とし、さらに結晶の収率も低かった。
【0041】
比較例3
比較例1の方法で、用いるイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランの量を57.9g(325ミリモル)とし、反応液が還流する温度(約40℃であった。)での反応時間を30時間とした以外は比較例1と全く同様に反応を実施し、精製は比較例2と全く同様に−20℃で実施した。イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランのオキシ塩化りんに対するモル比は6.5(化学量論量以上)である。反応後の収率は75.3%で、比較例1の結果と比べ該ホスホランの使用量を増加させただけで明らかに反応速度が向上していた。再結晶後、6.57gの白色結晶を得た。この結晶は純度91.1重量%で、収率は20.7%であり、再結晶操作を行っても純度は不十分である。この結晶中には不明の不純物と共にイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランが約2重量%観測された。反応において化学量論量以上に過剰に用いた該ホスホランは、この方法では十分に除くことができず、再結晶操作で析出した目的物の結晶中に残存する結果となった。
【0042】
比較例4
窒素雰囲気下で、500mlのガラス製反応器にオキシ塩化りん15.4g(100ミリモル)および乾燥したo−ジクロロベンゼン154gを仕込んだ。攪拌しながら、内部温度が70℃以下となるよう制御しつつ、これに116g(651ミリモル)のイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランを1時間かけて滴下した。イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランのオキシ塩化りんに対するモル比は6.5である。滴下終了後、70℃で攪拌を1時間継続して白色スラリーを得た。この反応液の一部を採取し分析した結果、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドのオキシ塩化りんに対する収率は85.4%であった。
【0043】
反応後、得られた該白色スラリー液を濾過し、濾残を少量のo−ジクロロベンゼンで洗浄して濾洗液266gを得た。この濾洗液から、薄膜蒸発装置を用いて、o−ジクロロベンゼンと過剰のイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランを同時に除き、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドを得た。純度は95.2重量%であり、収率は83.3%であった。こうして得られたトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドに、10重量倍のn−ヘキサンを加えて40分攪拌し溶解したところ、n−ヘキサンに不溶の固体が残存した。この溶液を濾過して固体を取り出し少量のn−ヘキサンで洗浄した後乾燥したところ、固体の重量は1.9gであり、n−ヘキサン溶解前の総重量に対して3.8重量%であった。また、n−ヘキサン不溶固体の濾過時に得られた濾液と洗液を合わせ、濃縮乾固して得たトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドの純度は99.2重量%であり、収率は83.1%であった。このように、反応溶媒として芳香族炭化水素類を用いると、反応副生物が混入してトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドの純度が低下するため、一旦、溶媒である芳香族炭化水素類を除去した後、脂肪族炭化水素溶媒を用いた精製を行って、脂肪族炭化水素類に不溶な副生物を除去する精製工程が必要となる。
【0044】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランとオキシ塩化りんとを反応させてトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドを製造する方法において、簡便な精製法で実施でき、化学量論量以上に該ホスホランを使用でき、工業的により現実的な方法で、高収率で且つ高純度でトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドを得ることができる。

Claims (3)

  1. イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランとオキシ塩化りんとを反応させてトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドを製造するに際し、炭素原子数6ないし10個の脂肪族炭化水素から選ばれる脂肪族炭化水素類を溶媒として用い、イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランのオキシ塩化りんに対するモル比を6を超え10以下、反応温度を50℃ないし140℃で反応させて、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドと同時に副生する固体のアミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドとを含む反応液を得て、該反応液からアミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドと溶媒に不溶の副生成物とを同時に固液分離で除き、得られた溶液中の溶媒と過剰に含まれているイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランを留去して除き、トリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドを得ることを特徴とするトリス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスフィンオキシドの製造方法。
  2. イミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランのオキシ塩化りんに対するモル比が6.1ないし8.0である請求項1に記載の方法。
  3. 固液分離で得られた溶液中に含まれる溶媒を、必要に応じて留去して除いた後、更に含まれる過剰のイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホランを薄膜蒸発で除くことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の方法。
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