JP4501247B2 - 電池用電極の製造方法および電池用電極の製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気泳動法を応用した電池用電極の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ノート型コンピューター、小型携帯機器、自動車等に用いられるクリーンなエネルギー源として高性能二次電池の開発が盛んである。ここで用いられる二次電池には、小型軽量でありながら大容量・高出力であること、即ち高エネルギー密度・高出力密度であることが求められている。高エネルギー密度・高出力密度を達成できる二次電池としては、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池が有力視されている。
【0003】
リチウムイオン二次電池には、リチウムイオンを吸蔵および放出できる正極活物質層をもつ正極と、正極から放出されたリチウムイオンを吸蔵および放出できる負極活物質層をもつ負極と、正極及び負極の間に介在する多孔質セパレータと、正極と負極との間でリチウムイオンを移動させる電解液とを備えている。これら電極を作成する従来の方法としては、活物質を懸濁した懸濁液をダイコーター、コンマコーター、ブレードコーター等の塗布方式で金属箔等の薄膜からなる集電体表面に塗布・乾燥させた後に、プレス等を行い高密度化していた。
【0004】
しかしながら、近年、高出力でかつ大電流特性に優れた電池とするために電極の薄膜化が進み、従来の製作方法では均一で精度良い活物質層の作製が困難になってきた。この問題を解決するために、電気泳動法を用いて集電体の全面に正極活物質層を形成する方法が開示されている(電気化学学会 第66回大会要旨 発表No.P24)。
【0005】
ところで、電極は、図6に示すように、集電部分の抵抗を低減するために集電体10に活物質層未形成部Bを設け、その部分から複数の集電リード11を有する構造が採用されている。したがって、集電板表面には活物質層が形成されていない部分を作製する必要がある。
【0006】
しかしながら、従来技術では集電体表面の全部に活物質層が形成されることを防止する目的で、活物質層を形成したくない集電体の部分にあらかじめマスキングテープなどによりマスキングを行い、電気泳動により活物質層を形成した後にテープを剥がすことや、形成された活物質層の一部を剥がすことにより活物質層のない部分を作製していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来技術では活物質層を形成されていない部分を作製するためには多大な労力が必要であった。
【0008】
したがって、本発明は、電気泳動法により活物質層を形成する電池用電極の製造方法において、容易に活物質層が形成されていない部分を形成することができる電池用電極の製造方法を提供することを解決すべき課題とする。
【0009】
また、本発明は、電気泳動法により活物質層を形成する電池用電極を製造する装置において、容易に活物質層が形成されていない部分を形成することができる電池用電極の製造装置を提供することも解決すべき課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の電池用電極の製造方法は、活物質を溶媒中に分散させた溶液中に集電体を浸漬する浸漬工程と、前記溶液内に電位勾配を発生させることで前記活物質を該溶液内で電気泳動させて該活物質を活物質層として前記集電体表面に付着させる電気泳動工程とを有する電池用電極の製造方法において、前記電気泳動工程では、前記集電体表面の所定部位への前記活物質の電気泳動を阻害する、該集電体と独立して配設された遮蔽部材を用い、前記遮蔽部材は、前記集電体と同電位に調節されることを特徴とする。
【0011】
つまり、独立した遮蔽部材によって電気泳動を阻害し、集電体の表面に活物質が付着しないようにしている。したがって、集電体にあらかじめ何らかの処理を行うことなく、また何らかの後処理を行うこともなく集電体の必要な部分に活物質層が形成されていない部分を形成可能である。
さらに、活物質層の形成されていない部分をより精密に制御するために前記遮蔽部材は、前記集電体と同電位に調節される。
【0012】
そして、前記電気泳動工程において少なくとも正極、負極からなる2種類の電極によって前記電位勾配を発生させており、該正極および負極のうちのいずれか一方は前記集電体が兼ねることが好ましい。集電体に直接電圧を印加することにより、電気泳動の制御をより精密に行うことができ、さらに電極の総数を減らすことができる。また、集電体の両面に活物質層を形成するために、さらに他方の電極は前記集電体の両面側にそれぞれ1つずつ設けられることがより好ましい。
【0014】
またさらに、前記電気泳動工程は、前記集電体の表面に前記活物質層の厚さが50μm以下、さらには25μm以下となるように調節することが好ましい。活物質層が薄い方が電池の内部抵抗が低くなるからである。
【0015】
また、活物質の表面電位を制御するために前記溶液中には、前記活物質の表面を帯電させる帯電剤を含むことが好ましい。
【0016】
そして、上記課題を解決する電池用電極の製造装置は、集電体と該集電体の表面に形成された活物質層とからなる電池用電極の製造装置であって、前記集電体を送り出す集電体送出手段と、前記電極活物質層を構成する活物質を溶媒中に分散させた溶液を保持し、該溶液内に前記集電体を通過させる溶液槽と、前記溶液槽内に電位勾配を発生させ、前記活物質を前記集電体上に電気泳動させて付着させる電圧印加手段と、前記集電体と独立して配設された部材であって、前記溶液槽内で前記集電体の所定部位を遮蔽する遮蔽部材と、前記活物質が付着した前記集電体を取り込む集電体取込手段とを有し、前記遮蔽部材は、前記集電体と同電位に調節されることを特徴とする。
【0017】
つまり、独立した遮蔽部材によって電気泳動を阻害し、集電体の表面に活物質が付着しないようにしている。したがって、集電体にあらかじめ何らかの処理を行うことなく、また何らかの後処理を行うこともなく集電体の必要な部分に活物質層が形成されていない部分を形成可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の電池用電極の製造方法および製造装置が適用できる「電池用電極」とは、集電体と集電体の表面に形成された活物質層とからなる電池用電極である。したがって、「電池」とは集電体上に活物質の層が形成されている電極を有する電池であれば特に限定しない。たとえば、リチウムイオン二次電池(アルミニウム製正極集電体:リチウム−金属複合酸化物、銅製集電体:炭素材料)、ニッケル水素二次電池(Ni正極集電体:NiOH、Ni負極集電体:水素吸蔵合金)等の一般的にいわれる電池の他に電気二重層キャパシタ(アルミニウム製集電体:炭素材料)をも含む意味である。
【0019】
〈電池用電極の製造方法〉
本実施形態の電池用電極の製造方法は、浸漬工程と電気泳動工程とからなる。
【0020】
〔浸漬工程〕
浸漬工程は、活物質を溶媒中に分散させた溶液中に集電体を浸漬する工程である。この浸漬工程において、集電体は全体を同時に浸漬するばかりでなく連続的に溶液中に浸漬されても良い。
【0021】
活物質は、電池用電極が使用される電池によって異なる物質である。また、正極活物質、負極活物質のいずれであっても適用できる。活物質は、溶媒に溶解するものであっても良いし、溶解しないものであっても良い。溶媒に溶解しないものである場合には、活物質の粒子径が小さいことが好ましい。より緻密な活物質層の形成ができるからである。また、必要に応じてPVDF、PTFE等のバインダを加えても良い。活物質を溶媒中に分散させる方法としては特に限定しないが、超音波照射、攪拌子等による機械的攪拌が例として挙げられる。また、活物質以外にも必要に応じて種々の物質を溶媒中に溶解乃至は分散させることができる。たとえば、活物質を集電体表面に結合させる結着材、電気導電性を付与する導電剤等である。また、溶媒中には、活物質の表面を帯電させる帯電剤を含むことが好ましい。耐電状態を制御することで、後述の電気泳動工程における活物質の集電体表面への積層を制御しやすくなるからである。帯電剤としては、溶媒中に溶解することでイオン化するもの、たとえば、ヨウ素、カルボン酸、カルボン酸リチウム、リチウムイミド塩等が挙げられる。なお、活物質等を溶媒に分散乃至は溶解させる濃度は特に限定しない。物質の種類・状態によって溶媒中での帯電状態が異なるので所望の組成となるようにそれぞれの濃度を調節する。
【0022】
溶媒は、特に限定しないが、集電体および活物質に対して化学的・物理的に安定なものが好ましい。たとえば、水、アセトン等のケトン、アルコール類等である。
【0023】
〔電気泳動工程〕
電気泳動工程は、溶液内に電位勾配を発生させることで活物質を溶液内で電気泳動させて集電体表面に付着させる工程である。この電気泳動工程では、集電体表面の所定部位への活物質の電気泳動を阻害する集電体と独立して配設された遮蔽部材を用いる。
【0024】
溶液内に電位勾配を発生させる方法としては、たとえば、対向する2つの電極に電圧を印加することで達成できる。電極の形状は、集電体の表面に均一に活物質が付着するように、溶液内で集電体が通過する部分の電位勾配が一定とすることができる形状が好ましい。たとえば、電極の大きさを集電体が通過する部分を覆うのに充分な大きさとする。そして、電極のいずれか一方は溶液内に浸漬された集電体が兼ねることができる。集電体を電極とすることで、直接、活物質を集電体に付着させることができる。なお、溶液内に発生させる電位勾配の向きは、活物質等の溶液内における帯電電位により決定される。すなわち、帯電した活物質が集電体方向に移動するように電位勾配が決定される。たとえば、活物質を正に帯電させた場合は集電体を負極とする。また、電極の数は2つに限られず、必要に応じて3以上としても良い。たとえば、集電体の両面に活物質層を形成したい場合に、集電体を正極とし、2つの負極を集電体の両面に設けることで集電体の両面に活物質を付着させることができる。
【0025】
電極に印加する電圧、電圧印加時間等の条件としては特に限定されず、集電体表面に形成されるべき活物質層の厚さ、空隙率、組成等に応じて適宜選択される。電圧を高くすれば、活物質層が緊密化し空隙率が小さくなる。ヨウ素添加アセトン溶液を溶媒に用いた場合に好ましい印加電圧としては5〜500V程度を挙げることができる。また、電圧を印加する時間を長くすると、集電体表面の活物質層が厚くなる。また、活物質以外に溶媒に分散させた結着剤等は、その性質により溶液中での表面電位が異なり電気泳動の速度が異なるので電極に印加する電圧を目的の活物質層組成となるように調節する。なお、集電体表面に形成する活物質層の厚さは集電体片面当たり好ましくは50μm以下、より好ましくは25μm以下とする。活物質層の厚さが薄い方が電池の内部抵抗が低くなりより高出力の電池を提供できるからである。このように薄い活物質層は従来のダイコータ等により集電体表面に活物質を塗布する方法では精度の高い形成が困難であった。それに対し電気泳動法によると、電気泳動は電位勾配の大きい部分に優先的に活物質が付着するので活物質層の厚さに不均等が生じると活物質層が薄い部分から活物質が付着して活物質層の厚さは一定になるという利点がある。
【0026】
遮蔽部材は、集電体の活物質を付着させたくない部位に近接して設けられる。遮蔽部材と集電体との隙間は小さい方が活物質の不必要な部分への回り込みが少なくなる。また、遮蔽部材の電位は遮蔽効果を向上させるために集電体の近傍の電位に調節されることが好ましいため、遮蔽部材は集電体と同電位に調節される。電位を調節することにより、遮蔽部材と集電体との隙間に電位勾配が少なくなるので、集電体への活物質の付着が少なくなるからである。
【0027】
また、電気泳動工程においても溶液内の活物質が沈殿しないように何らかの方法で溶液の攪拌を続けることが好ましい。
【0028】
〈電池用電極の製造装置〉
本実施形態の電池用電極の製造装置は、集電体送出手段と溶液槽と電圧印加手段と遮蔽部材と集電体取込手段とを有する。
【0029】
集電体送出手段は集電体を送り出す手段である。ここで「集電体」とは前述の集電体と同義である。集電体送出手段としては、たとえば、ロール状に集電体を巻き取り、必要に応じて集電体を送り出す手段がある。
【0030】
溶液槽は、活物質を溶媒中に分散させた溶液を保持し、その溶液内に集電体を通過させることができる部材である。ここで「活物質」、「溶媒」としては前述の活物質および溶媒と同義である。溶液槽の大きさとしては集電体の活物質層を形成したい部分が少なくとも溶液内に浸漬できる程度の大きさが必要である。また、溶液槽内には、分散した活物質が沈殿しないように撹拌装置を設けることが好ましい。撹拌装置としては超音波発生器、攪拌翼等が例示できる。
【0031】
電圧印加手段は、溶液槽内に電位勾配を発生させ、活物質を集電体上に電気泳動させて付着させる手段である。電圧印加手段としては、前述の複数の電極により電圧を印加する手段が例示される。電極としては前述したとおりである。
【0032】
遮蔽部材は、集電体と独立して配設された部材であって、溶液槽内で集電体の所定部位を遮蔽する部材である。遮蔽部材については前述したものと同じである。
【0033】
集電体取込手段は活物質が付着した集電体を取り込む手段である。具体的には、ロール状に集電体を巻き取る装置等が例示できる。
【0034】
そして、これらの装置の他、必要に応じて適当な手段を設けることができる。たとえば、集電体取込手段の前に溶液によって濡れた集電体を乾燥させる乾燥手段等である。
【0035】
【実施例】
(電極板の製造装置)
図1に示す電極板の製造装置を用いて電極板を製造した。本電極板の製造装置はロール状に巻回された集電体10を保持し送出する集電体送出手段1と溶液槽2と溶液槽2内に設けられた2枚の電極板31、32とその電極板31、32の間の集電体10進行方向に向かって右側に集電体10の厚さ程度の隙間をあけて設けられた金属製の遮蔽板51、52と溶液槽2内の電極板31、32および遮蔽板51、52の間に集電体10が通過して溶液内に浸漬するように保持するガイド6、7、8、9と集電体10を巻き取る集電体取込手段4とからなる。そして電圧の制御が可能な直流電源90の負極を集電体送出手段1を介して集電体10に接続し、正極を電極板31、32および遮蔽板51、52に接続する。これにより遮蔽板51、52と集電体10とは等電位となる。
【0036】
したがって、図2に示すように、電極板31、32から集電体10の方向へ電気泳動された活物質は遮蔽板51、52によって遮蔽されるので、集電体10のBの部分には活物質層が形成されない。遮蔽板51、52は集電体10と同電位に調節されているので、遮蔽板51、52と集電体10との間に活物質が回り込む量を減らすことができる。なお、図2においてAは集電体上に付着した活物質層を示す。
【0037】
集電体送出手段1に保持された集電体10は、ガイド6、7、8、9により溶液槽2内を通過し集電体取込手段3により取り込まれる。
【0038】
(参考例)
また、図3に示す電極板の製造装置を用いても上述の製造装置と同様の電極板を製造することができる。図3に示す電極板の製造装置は、集電体送出手段1’と溶液槽2’と電極板31’、32’とガイド6’、7’、8’、9’と集電体取込手段4’と遮蔽板61、62とからなる。集電体送出手段1’と溶液槽2’と電極板31’、32’とガイド6’、7’、8’、9’と集電体取込手段4’とについては、上述の製造装置と同様のものである。遮蔽板61、62は、電極板31’、32’の間の集電体10進行方向に向かって右側に集電体10の厚さ程度の隙間をあけて設けられた絶縁材料から構成される部材である。
【0039】
したがって、図4に示すように、電極板31、32から集電体10の方向へ電気泳動された活物質は遮蔽板61、62によって遮蔽されるので、集電体10のBの部分には活物質層が形成されない。遮蔽板61、62は、活物質の移動を空間的に阻害するものなので、遮蔽板61、62の表面への活物質層の付着量は少なくなる。
【0040】
なお、以下の実施例において電極板の製造は前者の製造装置を用いて行った。
【0041】
(実施例1−1)
〔電極板の製造〕
集電体10としてアルミニウム箔(厚さ15μm)を用いた。溶液槽2内に貯留される溶液はアセトンを溶媒として用いた。この溶媒中に活物質としてリチウムイオン二次電池の正極活物質であるLiNiO2 と導電材であるカーボンブラックと結着材であるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)をアセトン1000重量部に対し、それぞれ10、0.2、0.5重量部を混合した。さらに帯電剤として0.5mol/Lのよう素アセトン溶液をアセトン1000重量部に対して5重量部を添加した。
【0042】
これらの混合溶媒を5分超音波分散を行い充分に分散した後、溶液槽2内に貯留した。電極31、32は集電体の両側に10mmの距離をおいて設置した。電気泳動条件として、印加電圧は400Vであり、電気泳動を行う時間は集電体の送り速度を調節して集電体10が電極31、32間に存在する時間(電気泳動時間)を1分間とした。
【0043】
〔電極の評価〕
本製造装置により堆積した電極(集電体10)を乾燥した後、マイクロメータで厚みを、水銀圧入法で空隙率を測定した結果、片面44.1μmで空隙率は48.6%であり電極として十分な接着強度と可とう性を有していた。また、電極の湾曲度を測定した結果、1mm/m以下であった。電極のさらにロールプレスにて空隙率38.0%までプレスした。その結果、電極が扇形に湾曲し、その電極の湾曲度を測定した結果、3mm/mであった。湾曲度の測定方法としては、図5に示すように、長さa(今回は1mとした。)の電極の両端を結んだ直線から最大に離れた部分である電極中央部の距離bを測定して算出した。電極に湾曲が生じる原因としては、電極をプレスするときに、電極の活物質層が形成された部分Aの厚さが活物質層が形成されていない部分Bと比較して厚いのでAの部分にプレスの荷重が集中する。その結果、Aの部分はBの部分と比較して横方向に大きく伸張して長くなり、扇状に電極が湾曲変形するのである。湾曲度は小さいほど製造される電池の歩留まりが良く、さらに高速で巻回することができる。
【0044】
(実施例1−2)
本実施は電気泳動時間を集電体の送り速度を調節して30秒とした以外は実施例1−1と同じ条件で電極を作製した。その結果、活物質層の厚さが片面22.6μmで空隙率は48.5%であり電極として十分な接着強度と可とう性を有していた。さらにロールプレスにて空隙率38.1%までプレスした電極の湾曲度を測定した結果、1mm/m以下であった。
(実施例1−3)
本実施例では溶媒として純水を用い、帯電剤を使用しなかったこと、および電気泳動の印加電圧を50Vにした以外は実施例1−1と同じ条件で電極を作製した。その結果、活物質層の厚さが片面18.8μmで空隙率は39.6%でありプレスなしで十分に電池電極として使用できる空隙率であり、電極として十分な接着強度と可とう性を有していた。
(実施例2−1)
本実施例は活物質としてリチウムイオン二次電池の負極活物質であるグラファイトと結着材としてPVDF(ポリビニリデンフロライド)をアセトン1000重量部に対してそれぞれ10、0.5重量部で混合した溶液を用い、集電体10として厚さ10μmのCu箔を用いたこと以外は実施例1−1と同じ条件で電極を作製した。その結果、活物質層の厚さが片面47.0μmで空隙率は39.1%であり電極として十分な接着強度と可とう性を有しでいた。さらにロールプレスにて空隙率33.8%までプレスした電極の湾曲度を測定した結果、2mm/mであった。
(実施例2−2)
本実施例では電気泳動時間を30秒とした以外は実施例2−1と同じ条件で電極を作製した。その結果、活物質層の厚さが片面23.6μmで空隙率は39.0%であり電極として十分な接着強度を可とう性を有していた。さらにロールプレスにて空隙率33.8%までプレスした電極の湾曲度を測定した結果、1mm/m以下であった。
(実施例2−3)
本実施例では溶媒として純水を用いたこと、および電気泳動の印加電圧を50Vにした以外は実施例2−1と同じ条件で電極を作製した。その結果、活物質層の厚さが片面22.3μmで空隙率は35.7%でありプレスなしで十分に電池電極として使用できる空隙率であり、電極として十分な接着強度と可とう性を有していた。
(実施例3)
本実施例は活物質としてリチウムイオン二次電池の負極活物質であるグラファイトと結着材として高分子電解質であるPPO(ポリプロピレンオキサイド)をアセトン1000重量部に対してそれぞれ10、1重量部で混合した溶液を用いたこと以外は実施例2−1と同じ条件で電極を作製した。その結果、活物質層の厚さが片面46.8μmで空隙率は38.9%であり電極として十分な接着強度と可とう性を有していた。さらにロールプレスにて空隙率33.9%までプレスした電極の湾曲度を測定した結果、1mm/m以下であった。
【0045】
また、結着材としてPPOを用いることにより、安全性の高い固体電解質電池やゲル電解質電池の電極としての使用ができる。
(比較例)
本比較例は従来の作製方法である塗布方法で作製した。まず、塗布ペーストとしてNMP溶媒100重量部に対して実施例2−1と同じ負極活物質であるグラファイトと結着材であるPVDFをそれぞれ93、7重量部の割合で混合攪拌したペーストを作製した。このペーストを用いてコンマコーターで活物質のつまり等で塗布筋が発生するのを防止できる最小のギャップ幅に調節して塗布した。120℃乾燥後の厚みは片面112.2μmで空隙率は52.0%であった。この塗布電極は巻回電極として十分な接着強度を有しておらず巻回工程で電極合剤がはがれた。接着強度を増すためロールプレスにて空隙率38.3%までプレスした電極の湾曲度を測定した結果、10mm/mであった。
【0046】
(評価)
堆積させる活物質層の厚さ、組成は上記印加電圧や混合溶液の分散質の混合比を調整することにより所望の厚さ、組成で堆積することができた。また、電気泳動法を用いることにより従来のコンマコーター、ダイコーター等の塗布方法で作製できないような薄膜電極が可能になった。さらに高密度に堆積することができるので空隙率は塗布方法で作製した電極をプレスした従来の電極と同等以上であった。そして、接着性、可とう性においても従来品と同等であった。この電気泳動法で作製した電極はプレスする必要がないか、または従来の塗布法で作製した電極より低圧力で所望の密度、空隙率に加工できるため、プレスに伴う活物質層と集電体端部の伸びの差による電極の湾曲が抑制され、巻回電極を作製するのに生産性の優れた長尺電極を提供することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上のように本発明の電池用電極の製造方法は、電気泳動法により活物質層を形成する電池用電極を製造方法において、容易に活物質層が形成されていない部分を形成することができる電池用電極の製造方法を提供することができるという効果を有する。
【0048】
また、本発明の電池用電極の製造装置は、電気泳動法により活物質層を形成する電池用電極を製造する装置において、容易に活物質層が形成されていない部分を形成することができる電池用電極の製造装置を提供することも解決すべき課題とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いた電極製造装置の概略図である。
【図2】実施例で用いた電極製造装置の電極板と遮蔽部材との配置の様子を示した図である。
【図3】参考例で示した他の電極製造装置の概略図である。
【図4】参考例で示した他の電極製造装置の電極板と遮蔽部材との配置の様子を示した図である。
【図5】電極板の湾曲の測定方法を示した図である。
【図6】集電リードが設けられた従来の電極板を示した図である。
【符号の説明】
1、1’…集電体送出手段 10…集電体 A…集電体(活物質層形成部) B…集電体(活物質層未形成部) 11…集電リード 2、2’…溶液槽 31、32、31’、32’…電極板 4、4’…集電体取込手段
51、52…遮蔽部材(金属製) 61、62…遮蔽部材(絶縁材料製)
6、7、8、9、6’、7’、8’、9’…ガイド 90…直流電源
Claims (10)
- 活物質を溶媒中に分散させた溶液中に集電体を浸漬する浸漬工程と、
前記溶液内に電位勾配を発生させることで前記活物質を該溶液内で電気泳動させて該活物質を活物質層として前記集電体表面に付着させる電気泳動工程とを有する電池用電極の製造方法において、
前記電気泳動工程では、前記集電体表面の所定部位への前記活物質の電気泳動を阻害する、該集電体と独立して配設された遮蔽部材を用い、
前記遮蔽部材は、前記集電体と同電位に調節されることを特徴とする電池用電極の製造方法。 - 前記電気泳動工程において少なくとも正極、負極からなる2種類の電極によって前記電位勾配を発生させており、該正極および該負極のいずれか一方は前記集電体が兼ねる請求項1に記載の電池用電極の製造方法。
- 前記電気泳動工程において少なくとも正極、負極からなる2種類の電極によって前記電位勾配を発生させており、該正極および該負極のいずれか一方は前記集電体が兼ね、他方は前記集電体の両面側にそれぞれ1つずつ設けられる請求項1に記載の電池用電極の製造方法。
- 前記電気泳動工程は、前記集電体の表面に前記活物質層の厚さが50μm以下となるように調節して付着させる工程である請求項1〜3の何れか1項に記載の電池用電極の製造方法。
- 前記活物質層の厚さが25μm以下となるように調節する請求項4に記載の電池用電極の製造方法。
- 前記溶液中には、前記活物質の表面を帯電させる帯電剤を含む請求項1〜5の何れか1項に記載の電池用電極の製造方法。
- 集電体と該集電体の表面に形成された活物質層とからなる電池用電極の製造装置であって、
前記集電体を送り出す集電体送出手段と、
前記電極活物質層を構成する活物質を溶媒中に分散させた溶液を保持し、該溶液内に前記集電体を通過させる溶液槽と、
前記溶液槽内に電位勾配を発生させ、前記活物質を前記集電体上に電気泳動させて付着させる電圧印加手段と、
前記集電体と独立して配設された部材であって、前記溶液槽内で前記集電体の所定部位を遮蔽する遮蔽部材と、
前記活物質が付着した前記集電体を取り込む集電体取込手段とを有し、
前記遮蔽部材は、前記集電体と同電位に調節されることを特徴とする電池用電極の製造装置。 - 前記電圧印加手段は、少なくとも正極、負極からなる2種類の電極によって前記電位勾配を発生させており、該正極および該負極のいずれか一方は前記集電体が兼ねる請求項7に記載の電池用電極の製造装置。
- 前記電圧印加手段は、少なくとも正極、負極からなる2種類の電極によって前記電位勾配を発生させており、該正極および該負極のいずれか一方は前記集電体が兼ね、他方は前記集電体の両面側にそれぞれ1つずつ設けられる請求項7に記載の電池用電極の製造装置。
- 前記溶液中には、前記活物質の表面を帯電させる帯電剤を含む請求項7〜9の何れか1項に記載の電池用電極の製造装置。
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