JP4521973B2 - 擁壁の施工方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は河川の護岸や道路の法止めあるいは住宅用地の外壁に使用される擁壁ブロックおよびそれを利用した擁壁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
河川の護岸、あるいは道路側壁や住宅用地の外壁の崩れや侵食を防止するためには、従来、側壁や斜面壁部の表面にコンクリートの壁を張り詰めたり、コンクリート製のブロックやレンガブロックを一面に積み上げて側壁の崩れを防止したり、雨や川の水による土壁の侵食を防止している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これらのコンクリート壁やブロックを一面に張り詰める方法は、護岸や擁壁の崩落防止という観点からは効果があるが、景観上はいかにも人工色が強く無味乾燥である。また草花などの植物や昆虫などの小動物に対しては、それらの生育や生存を妨げるので、生態系にとっては必ずしも好ましいものではない。
例えば、河川の護岸用としてコンクリートを張り詰めたりブロックを積み上げたりした場合には、魚や昆虫の生息する場所がなくなり、草木も生えてこない。同様に、道路側壁の法止めの場合にも草木が生えてこないため自然の生態系を損なうばかりでなく、外観的にも無機質な壁であるため変化に乏しく、観る者にとっては精神的に不安定になりやすい。
【0004】
本発明は、上記のような問題を解決するもので、動植物などの自然と共存し、人間にも安らぎを与える護岸用の擁壁ブロックおよびそれを利用した擁壁を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明の擁壁の施工方法は、底壁面と、底壁面の後側に起立した後壁と、前方から後方にかけて内方に傾斜する左右側壁とを有し、前記後壁の左右方向の幅を前記左右側壁の前方側端部で形成される幅よりも広く形成し、前記底壁面の側面と前記後壁の側面とで形成される左右最突出端面を前記後壁から前方にかけて所定長さだけ形成した擁壁ブロックを複数個配列して擁壁を形成する擁壁の施工方法であって、隣り合う擁壁ブロックの前記左右最突出端面同士を当接させて擁壁を構成し、凹状曲面となっている被擁壁面での施工において、被擁壁面が緩やかな曲面である場合には、当接させる前記左右最突出端面同士の後方側に隙間を設けて施工し、被擁壁面が急な曲面である場合には、当接させる前記左右最突出端面の一方の前記左右最突出端面を裁断して施工することを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態による擁壁の施工方法は、凹状曲面となっている被擁壁面での施工において、被擁壁面が緩やかな曲面である場合には、当接させる左右最突出端面同士の後方側に隙間を設けて施工し、被擁壁面が急な曲面である場合には、当接させる左右最突出端面の一方の左右最突出端面を裁断して施工するものであり、左右最突出端面は、後壁から前方にかけて所定長さだけ形成しているので、被擁壁面が緩やかな曲面であっても急な曲面であっても、擁壁ブロック同士の後方での隙間を少なくすることができる。従って、この隙間に流し込むコンクリートなどの結合材の量を少なくすることができ、施工性が容易となる。
【0007】
【実施例】
以下、本発明の擁壁ブロックの一実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明による擁壁ブロックの斜視図、図2は側面図である。底面壁11の後端に後壁12が起立している。底面壁11上の左右両端には、前方から後方へかけてくの字型に内方に傾斜し後壁12にまで延びた左側壁13および右側壁14が形成されている。左側壁13および右側壁14の傾斜部中央付近にはそれぞれ貫通穴131、141が形成され、またその前方付近の壁部にはそれぞれ一対の貫通小穴132、133および貫通小穴142、143が形成されている。底面壁11には2つの貫通穴111、112が形成されている。後壁12の両端部の上面には細長状の小穴121、122が形成されており、この小穴121、122内にネジ溝を有する金属製のインサート部材151、152が埋め込まれている。底面壁11下部には施工時の位置決めとずれを防止するための凸状構造をしたストッパ113が形成されている。
【0008】
つぎに、施工方法を説明する。図3は本発明による擁壁ブロック10を積み上げて施工したときの正面図、図4は側面図である。擁壁ブロック10を各段ごとに互い違いに配列し、各擁壁ブロック10の底面壁11における貫通穴111、112にネジを形成したボルト161、162を挿入し、下方の擁壁ブロック10の後壁12に埋め込んだインサート部材151、152にネジ止めする。このとき、上方の擁壁ブロック10の底面壁11の下方に形成されているストッパ113と下方擁壁ブロック10の後壁12を当接させることにより位置決めが行われる。こうして上下方向に積み重ねることにより擁壁20が階段状に形成される。この構造体を川岸や道路側壁、或いは住宅地の斜面21上に配置し、両者の間の隙間22にコンクリートなどの結合材23を流し込んで固定する。これにより斜面を保護する擁壁20が構築される。
こうして構築された擁壁20が河川の水中にある場合には、河川の流れが擁壁ブロック10の左右側壁13、14に形成された貫通穴131、141を通過する際に流速が遅くなるので、各擁壁ブロック10の底面壁11、後壁12、左右側壁13、14および上方の擁壁ブロック10の底面壁で囲まれた空間101が魚類などの休息所や川藻類の生育場となり、河川との自然共生を図ることが出来る。
また、陸上に露出した擁壁20は、各擁壁ブロック10の壁面で囲まれた空間101内に植物を植えることにより擁壁20の表面が植物で覆われるので、心に安らぎを与える擁壁を構築することが出来る。
【0009】
図5は擁壁を形成する壁面が曲線状に曲がっている場合の施工状況を上方から見た平面図である。壁面が曲線状に曲がっている場合は、横方向に並ぶ擁壁ブロック10を曲面に合わせて両者の間に隙間17を形成して配列する。この隙間17内にはコンクリートなどの結合材を流し込んで固定する。
【0010】
図6は擁壁ブロック10の後壁12が斜め後方に起立した場合の実施例である。この実施例による擁壁ブロックによれば、上下に積み上げたときに図7に示すように斜面側に接する側の形状が斜面の形状に近いものになる。したがって、斜面と擁壁20間の隙間が小さくなるので、この隙間に流し込むコンクリートなどの結合材の使用量が少なくなる。
【0011】
図8は擁壁ブロック10の前面にパネル30を形成した実施例である。パネル30は側面にインサート部材31が埋め込まれており、擁壁ブロック10の左右側壁13、14に形成された貫通小穴132、133、142、143に通したネジ付ボルト33で固定する。擁壁20の施工方法は上述の方法と同様である。
この実施例によれば、各擁壁ブロック10の壁面と前面ブロックにより閉鎖空間102が形成されるので、河川内では水流は一層遅くなって魚類の休息所や川藻の生育場所として一層好適であり、また、陸上では植生場所が囲まれた空間となるので、植物が落下する恐れがなくなる。また、前面パネル30の表面に図3に示したように模様32を形成することにより景観上も植物と前面パネル30の模様が混ざり合って一層変化に富んだものとなる。
【0012】
図9は擁壁ブロック10の空間101内に金属またはプラスチック製のメッシュ状の籠40を配置し、この籠40内に植物を生育させる実施例である。籠40は擁壁ブロック10の空間101に対して着脱自在に形成し、擁壁ブロック10に対して植物を生育させるには、別の場所で鉢等の植えた植物を籠40に挿入し、この植物を挿入した籠40を図3に示すように擁壁ブロック10の空間101に納めることにより行われる。擁壁ブロック10に設定した植物の交換やメンテナンスは植物を擁壁ブロック10から籠40ごと取り外し、新しいものと交換すればよい。取り外した籠40の植物は現地ではなく植木店などで交換またはメンテナンスを施して新しい物として別の場所の擁壁20で再利用することが出来る。
【0013】
以下、本発明の擁壁ブロックの他の実施例を図面に基づいて説明する。
図10は本実施例による擁壁ブロック10Aの斜視図、図11は同擁壁ブロック10Aの平面図である。擁壁ブロック10Aは、底面壁11の後端に後壁12が起立している。底面壁11上の左右両端には、前方から後方へかけてくの字型に内方に傾斜し後壁12にまで延びた左側壁13および右側壁14が形成されている。ここで、後壁12の左右方向の幅は、左側壁13と右側壁14との前方側端部で形成される幅よりも広く形成している。また底壁面11の側面と後壁12の側面とで形成される左右最突出端面170を後壁12から前方にかけて所定長さL1だけ形成している。この所定長さL1を、後壁12から左側壁13及び右側壁14の前方側端部までの長さL2の半分以下とすることで、擁壁ブロック10A同士の後方での隙間を効果的に少なくすることができる。なお、後壁12から左側壁13及び右側壁14の前方側端部までの長さL2を800ミリメートルとした場合には、所定長さL2は350ミリメートルとすることが好ましい。ちなみに後壁12の左右方向の幅は1998ミリメートル、左側壁13と右側壁14との前方側端部で形成される内壁面側の幅は1298ミリメートルとした。
左側壁13および右側壁14の傾斜部中央付近にはそれぞれ貫通穴131、141が形成され、またその前方付近の壁部にはそれぞれ一対の貫通小穴132、133および貫通小穴142、143が形成されている。底面壁11には2つの貫通穴111、112が形成されている。後壁12の両端部の上面には細長状の小穴121、122が形成されており、この小穴121、122内にネジ溝を有する金属製のインサート部材151、152が埋め込まれている。底面壁11下部には施工時の位置決めとずれを防止するための凸状構造をしたストッパ113、114が形成されている。
【0014】
つぎに、施工方法を説明する。図12は本実施例による擁壁ブロック10Aを積み上げて施工したときの平面図である。擁壁ブロック10Aを各段ごと半ブロック分だけずらして互い違いに配列し、隣り合う擁壁ブロック10Aの左右最突出端面170同士を当接させて擁壁を構成する。このとき、各擁壁ブロック10Aの底面壁11における貫通穴111、112にネジを形成したボルト161、162を挿入し、下方の擁壁ブロック10Aの後壁12に埋め込んだインサート部材151、152にネジ止めする。そして、上方の擁壁ブロック10Aの底面壁11の下方に形成されているストッパ113、114と下方擁壁ブロック10Aの後壁12を当接させることにより位置決めが行われる。こうして上下方向に積み重ねることにより擁壁が階段状に形成される。この構造体を川岸や道路側壁、或いは住宅地の斜面上に配置し、両者の間の隙間にコンクリートなどの結合材を流し込んで固定する。これにより斜面を保護する擁壁が構築される。
こうして構築された擁壁が河川の水中にある場合には、河川の流れが擁壁ブロック10Aの左右側壁13、14に形成された貫通穴131、141を通過する際に流速が遅くなるので、各擁壁ブロック10Aの底面壁11、後壁12、左右側壁13、14および上方の擁壁ブロック10Aの底面壁で囲まれた空間101が魚類などの休息所や川藻類の生育場となり、河川との自然共生を図ることが出来る。
また、陸上に露出した擁壁は、各擁壁ブロック10Aの壁面で囲まれた空間101内に植物を植えることにより擁壁の表面が植物で覆われるので、心に安らぎを与える擁壁を構築することが出来る。
【0015】
図13は擁壁を形成する被擁壁面が緩やかな曲面である場合の施工状況を上方から見た平面図であり、図14は同要部拡大平面図である。
図に示すように、被擁壁面が緩やかな曲面である場合は、横方向に並ぶ擁壁ブロック10Aの左右最突出端面170同士の後方側に隙間171を設けて施工する。この隙間171内にはコンクリートなどの結合材を流し込んで固定する。このとき、左右最突出端面170は、後壁12から前方にかけて所定長さL1だけ形成しているので、擁壁ブロック10A同士は前方では当接しないため、擁壁ブロック10A同士の後方での隙間171を少なくすることができる。従って、この隙間171に流し込むコンクリートなどの結合材の量を少なくすることができる。
【0016】
図15は擁壁を形成する被擁壁面が急な曲面である場合の施工状況を上方から見た平面図であり、図16は同要部拡大平面図である。
図に示すように、被擁壁面が急な曲面である場合は、横方向に並ぶ擁壁ブロック10Aの一方の左右最突出端面170を斜めに裁断して裁断面172を形成する。そして、一方の擁壁ブロック10Aの左右最突出端面170と他方の擁壁ブロック10Aの裁断面172とを当接させて施工する。なお、一方の擁壁ブロック10Aの左右最突出端面170と他方の擁壁ブロック10Aの裁断面172とを当接させても曲面に沿わない場合には、擁壁ブロック10Aの左右最突出端面170と他方の擁壁ブロック10Aの裁断面172との後方側に隙間を設けて施工する。そしてこの隙間171内にコンクリートなどの結合材を流し込んで固定する。このとき、左右最突出端面170は、後壁12から前方にかけて所定長さL1だけ形成しているので、擁壁ブロック10A同士は前方では当接しない。従って、この隙間に流し込むコンクリートなどの結合材の量を少なくするか又は使用する必要がなくなる。
なお本実施例においても、図6で説明したように擁壁ブロックの後壁を斜め後方に起立させてもよい。また、図8に示すように擁壁ブロックの前面にパネル30を形成してもよい。また、図9に示すように擁壁ブロックの空間内に金属またはプラスチック製のメッシュ状の籠40を配置してもよい。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、動植物などの自然と共存し、人間にも安らぎを与える護岸用の擁壁ブロックおよびそれを利用した擁壁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例による擁壁ブロックの全体構成を示す斜視図
【図2】 同擁壁ブロックの側面図
【図3】 同擁壁ブロックで施工した擁壁の正面図
【図4】 同擁壁の側面図
【図5】 同擁壁ブロックで施工した擁壁の他の実施例による平面図
【図6】 本発明の他の実施例による擁壁ブロックの側面図
【図7】 同擁壁ブロックで施工した擁壁の側面図
【図8】 本発明の他の実施例による擁壁ブロックの全体構成を示す斜視図
【図9】 本発明のさらに他の実施例による擁壁ブロックの全体構成を示す斜視図
【図10】 本発明の他の実施例による擁壁ブロックの全体構成を示す斜視図
【図11】 同擁壁ブロックの平面図
【図12】 同擁壁ブロックで施工した擁壁の平面図
【図13】 同擁壁ブロックで擁壁を形成する被擁壁面が緩やかな曲面である場合の施工状況を上方から見た平面図
【図14】同要部拡大平面図
【図15】 同擁壁ブロックで擁壁を形成する被擁壁面が急な曲面である場合の施工状況を上方から見た平面図
【図16】 同要部拡大平面図
【符号の説明】
10 擁壁ブロック
11 底面壁
12 後壁
13 左側壁
14 右側壁
17 隙間
20 擁壁
21 斜面
22 隙間あ
23 結合材
30 パネル
31 インサート部材
32 模様
33 ネジ付ボルト
40 メッシュ状籠
101 空間
102 閉鎖空間
111、112 貫通穴
113 ストッパ
121、122 小穴
131、141 貫通穴
132、133、142、143 貫通小穴
151、152 インサート部材
161、162 ボルト
Claims (1)
- 底壁面と、底壁面の後側に起立した後壁と、前方から後方にかけて内方に傾斜する左右側壁とを有し、前記後壁の左右方向の幅を前記左右側壁の前方側端部で形成される幅よりも広く形成し、前記底壁面の側面と前記後壁の側面とで形成される左右最突出端面を前記後壁から前方にかけて所定長さだけ形成した擁壁ブロックを複数個配列して擁壁を形成する擁壁の施工方法であって、隣り合う擁壁ブロックの前記左右最突出端面同士を当接させて擁壁を構成し、凹状曲面となっている被擁壁面での施工において、被擁壁面が緩やかな曲面である場合には、当接させる前記左右最突出端面同士の後方側に隙間を設けて施工し、被擁壁面が急な曲面である場合には、当接させる前記左右最突出端面の一方の前記左右最突出端面を裁断して施工することを特徴とする擁壁の施工方法。
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