JP4526848B2 - 保護膜およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、基板上部または基板上に形成される薄膜積層体の上部に形成される保護膜およびその製造方法に関するものである。詳しく述べると本発明は、例えば、有機EL素子等に用いられるオーバーコート層と言われる紫外線硬化型樹脂等の膜内部が硬化し難しい有機層上に形成されるバリア層、または、包装材料、表示デバイス等に用いるポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アクリル系紫外線硬化樹脂等の水分含有率の高いフィルムのバリア層などの保護膜を、安定して高品質に量産できる製造方法に関するものである。
フラットディスプレイパネルとして、現在、液晶ディスプレイパネルが広く用いられているが、最近では、軽量で、バックライトを必要としないエレクトロルミネッセント素子(以下、「EL素子」という。)を用いたデバイスが注目を集めている。
EL素子としては、無機のものと有機のものの双方が開発されているが、無機EL素子が、駆動のために、比較的高電圧を必要とするのに対し、有機EL素子は、10ボルト前後の低電圧によって、数百ないし数万cd/m2というきわめて高い輝度が得られるという特徴を有しており、有機EL素子が主流となっている。
しかしながら、有機EL素子においては、水分や有機溶媒成分が吸着することによって、たとえば、発光素子中に、黒い斑点状のダークスポットが発生し、発生したダークスポットが成長して、有機EL素子の寿命を低下させるという問題があった。
また、有機EL素子においては、基板上に、カラーフィルターなどを形成すると、段差が生じ、その上に、透明電極および補助配線を形成した場合には、透明電極および補助配線が切断されるおそれがあるため、平坦化のための有機層を設け、有機層上に、ITO電極などを形成するように構成されているが、ディスプレイ駆動時に発生する熱などにより、有機層中の水分や有機溶媒成分が揮発し、ガスとして放出されるため、発光素子機能が劣化し、信頼性が低下するという問題があった。
このように、樹脂基板や樹脂フィルムは、有機ELやLCDなどのディスプレイ用や食品包装用に用いられることがあるが、上記したような内部への酸素や水分を遮断するために、従来、バリア層が形成されており、ディスプレイ用樹脂基板には、透明性や防湿性の点から酸化シリコンの蒸着やスパッタにより成膜したバリア層が用いられていたが、十分な機能を果たしていなかった。
かかる問題を解決するため、特許文献1には、有機ELのバリア膜として、窒素/酸素の比率が0.13〜2.88である窒化酸化シリコンを用いることが提唱されている。
特開2001−124916号公報
しかしながら、上記の特許文献1においては、O/Nの比でバリア性を論議しており、その品質について不安定な要素となっている。
また、SiON膜等のバリア膜を製膜する際には、SiN等のスパッタレートの遅いターゲットを用いる場合が多く、インライン型スパッタ装置のように、基材通過型の製造装置の場合には、基材の搬送速度が極めて遅くなる場合がある。
この場合、ターゲットに近い側の基材の端部は、製膜初期に、基材等からの出ガスの影響を多く受け易く、ターゲットから遠い基材の端部は影響を受けにくい。しかも、この傾向は、基板が大型化する程顕著となる。このため、製膜初期(基材の進行方向の先端部)では基材からの出ガスの影響を受け、膜形成が進むにつれて下地からの出ガスが遮断されるため製膜後期(基材の進行方向の後端部)では、ほとんど出ガスの影響を受けなくなる。
その結果、基材の搬送方向で、得られるバリア膜に出ガス由来の組成分布が生じており、バリア性の面内ムラが生じる。これは電極形成、加工時の面内不均一性による工程上の品質低下を招く上に、有機EL素子等の製品の面内での経時変化に分布が生じ製品の品質低下をも招くものであり、問題があるものであった。
従って、本発明は、上述したような従来技術における問題を解決する改良された保護膜およびその製造方法を提供することを課題とする。本発明はまた、基材等の下地層からの出ガスの影響を抑制し、所定の膜厚で所定の組成を面内において均一に有する保護膜およびその製造方法を提供することを課題とする。本発明はさらに、酸素や水分等の下地層からの出ガスによる電極形成時のパターニング劣化、並びに電極の膜特性の劣化を防止すると共に、素子形成後に長期にわたって安定なEL発光特性等が面内で均一に維持された長寿命の有機EL素子等を得る上で有用な保護膜およびその製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明は、基板上部または基板上に形成される薄膜積層体の上部に形成される保護膜であって、当該保護膜は、基板上部または基板上に形成される薄膜積層体の上部に形成される比較的薄い第1層と、この第1層の上部に形成される第1層とは組成の異なる比較的厚い第2層とを少なくとも有する2層以上で構成されたものであることを特徴とする保護膜である。
本発明はまた、前記第1層が酸化膜であり、第2層が窒化酸化膜または窒化膜である、さらには、前記第1層がSiOx膜であり、第2層がSiONxまたはSiNxである上記保護膜を示すものである。
本発明はさらに、前記第1層が島状成長しておらず、下部層を均一に覆う連続層であって、厚さ1500A以下のものであることを特徴とする上記保護膜を示すものである。
本発明はまた、前記保護膜の上部には、有機発光層を含む別の薄膜積層体が形成されるものである上記保護膜を示すものである。
本発明はさらに、上記保護膜は、カラーフィルター層を形成した基板上に形成されるものである上記保護膜を示すものである。
上記課題を解決する本発明はまた、上記保護膜の製造方法であって、組成の異なる2層以上の保護膜を、真空プロセスにおいて、同一の製膜原料を用いて搬送速度を制御することで形成し、第1層は、基板ないしは基板上に形成された薄膜積層体からの出ガス成分と反応させながら製膜させ、次いで、第2層の形成時に、この得られた第1層を、基板ないしは基板上に形成された薄膜積層体からの出ガスを防止するキャップ層として作用させることを特徴とする保護膜の製造方法である。
本発明はさらに、前記第1層が酸化膜であり、第2層が窒化酸化膜または窒化膜であり、得られる保護膜の酸素成分は、基板ないしは薄膜積層体中、あるいは反応装置内に存在していた水分が分解することで、保護膜組成中に取り込まれたものであることを特徴とする保護膜の製造方法を示すものである。
本発明においては、基材等の下地層からの出ガスの影響を抑制し、所定の膜厚で所定の組成を面内において均一に有する保護膜を提供することができ、酸素や水分等の下地層からの出ガスによる電極形成時のパターニング劣化、並びに電極の膜特性の劣化を防止すると共に、素子形成後に長期にわたって安定なEL発光特性等が面内で均一に維持された長寿命の有機EL素子等を得る上で有用な保護膜を得ることが可能となるものである。
以下、本発明を実施形態に基づき詳細に説明する。
本発明の保護膜は、基板上部または基板上に形成される薄膜積層体の上部に形成される保護膜であって、当該保護膜は、基板上部または基板上に形成される薄膜積層体の上部に形成される比較的薄い第1層と、この第1層の上部に形成される第1層とは組成の異なる比較的厚い第2層とを少なくとも有する2層以上で構成されたものであることを特徴とする保護膜である。図2はその構成の一例を示すものであって、基材1上部に、第1層であるキャップ層2が、さらにその上部に第2層である本製膜層3が形成されている。なお、本発明において保護膜は、2層以上のより多数の層から構成されるものであってもよい。
このように本発明においては、基材または基板上に形成される薄膜積層体表面(以下、下部層とも称する。)に一旦、比較的薄い第1層(キャップ層)を形成し、下部層表面を覆うことで、早期に下部層からの出ガスを遮断し、後続する第2層(本製膜層)の形成時における、この出ガスの影響を抑制するものである。このため、本製膜層は、基材通過型の製造装置において、スパッタレートの遅いターゲットを用い、遅い搬送速度で基板を移送しながら形成しても、上記のごときキャップ層を形成しない従来の製法におけるように得られる保護膜の組成の面内均一性が低下するといった虞れがなくなり、所定の組成で所定の膜厚の保護膜を面内均一性高く形成できるものである。
本発明において保護膜の組成は特に限定されるものではなく、無機膜、有機膜のいずれであってもよいが、例えば、AlN、Al23、SiO、SiO、SiN等の無機の酸化物、窒化物、窒化酸化物であることが望ましく、特に保護膜全体としてSiOの組成を呈するものがバリア性(防湿性)等の面から望ましい。この場合、第1層のキャップ層はSiO膜となり、第2層の本製膜層はSiO、SiNとなる。
なお、SiOの組成としては特に、Si/O/Nの原子数比が100/X/Y(130≦X+Y≦180、10≦X≦135、5≦Y≦150)であることが好ましい。
Si/O/Nの三元系において、Si成分が最もバリア性(防湿性)に作用し、Si成分の量がN,Oのガス成分と比較して多い場合は、バリア性が増し可視光透過率が減少するが、これに対し、Si成分量がN,Oのガス成分と比較して少ない場合には、バリア性が減少するものの、可視光透過率が増加する。
固体成分であるSiと、ガス成分であるOおよびNとの比は、原子量比で、より好ましくは、1:1.4〜1:1.7、特に約2:3程度が理想的である。この比が2:3程度であると、透過率80%以上を保持しつつ良好なバリア性が得られる。
また、N成分とO成分については、上記の比率範囲内にあれば良いが、より好ましくは、N成分とO成分とが、原子量比で、2:3〜4:1、特に約1:1程度が望ましい。
本発明において、保護膜を形成される基材としては、真空プロセスに対応できるものであれば、特に限定されるものではなく、各種のものが適用され得るが、特に、保護膜製膜時のプロセスにおいて、出ガスの生じ易い基材、ないしは水分を含み易い基材である場合に有効である。具体的には、例えば、有機EL素子等に用いられる紫外線硬化型樹脂等の膜内部が硬化し難しい有機層、または、包装材料、表示デバイス等に用いるポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アクリル系紫外線硬化樹脂等の水分含有率の高いフィルムなどが挙げられる等の水分含有率の高いフィルムなどが挙げられる。なお、上記したような有機層上に保護膜(バリア層)が形成される場合、一般にこの保護膜は、オーバーコート層と呼ばれている。
なお、本発明に係る保護膜は、上記したような基材上に直接形成されるもののみならず、基板上に形成される薄膜積層体の上部を覆うための保護膜であってもよい。このような薄膜積層体の構成自体は、何ら限定されるものではなく、公知のいかなる構成のものであってもよいが、例えば、薄膜積層体が、有機発光層を含むものであるように、防湿性あるいはガスバリア性が必要とされるような薄膜積層体に対して、特に有用である。また、基材上に直接形成される場合も、その基材上部に形成される薄膜積層体が、有機発光層を含むものであるように、防湿性あるいはガスバリア性が必要とされるような構成である場合には、特に有用である。また、薄膜積層体が例えば、カラーフィルター層である場合のように、その上部にさらに別の薄膜積層体、例えば、有機EL素子構造、液晶素子構造等を積層する場合であっても、カラーフィルター層等の前者の薄膜積層体上および/または後者の薄膜積層体上に本発明に係る保護膜を形成できる。
なお、一般に、ガラス、プラスチック等の基板上に、薄膜積層体としてカラーフィルター層を有するものは、「カラーフィルター基板(CF基板)」と呼ばれているが、本発明に係る保護膜は、このようなCF基板上に形成される保護膜としても、特に有用である。なお、CF基板としては、例えば、基板上に、ブラックマトリックス層、カラーフィルター層を積層した構造のものほか、カラーフィルター層上にさらに色変換層を積層した構造のものなど、各種の態様が含まれ得る。
本発明に係る保護膜における第1層(キャップ層)の膜厚としては、特に限定されるものではなく、保護膜を堆積する基材ないし薄膜積層体の種類、キャップ層を形成する材料の種類、作製方法等によっても左右されるので一概には規定できないが、島状成長しておらず、下部層を均一に覆う連続層であって、厚さ1500A以下、好ましくは700A以下のものであることが望ましい。厚さの下限値としては、好ましくは200A以上である。第1層(キャップ層)の膜厚として、さらに好ましくは400〜600A程度のものである。
一方、第2層(本製膜層)は、所期のバリア特性、可視光透過性を発揮するために必要とされるものであって、保護膜を堆積する基材ないし薄膜積層体の種類、キャップ層を形成する材料の種類、作製方法等によっても左右されるので一概には規定できないが、少なくとも第1層よりは厚いものであって、例えば、1500〜3000A、より好ましくは2500〜3000A程度の膜厚であることが望ましい。
次に本発明に係る保護膜の製造方法について説明する。
本発明の上記したような構成の保護膜の製造方法としては、特に限定されるものではないが、組成の異なる2層以上の保護膜を、真空プロセスにおいて、同一の製膜原料を用いて搬送速度を制御することで形成し、第1層は、基板ないしは基板上に形成された薄膜積層体からの出ガス成分と反応させながら製膜させ、次いで、第2層の形成時に、この得られた第1層を、基板ないしは基板上に形成された薄膜積層体からの出ガスを防止するキャップ層として作用させることを特徴とする製造方法によって、効率よく製造することができる。
具体的には、下部層からの主な出ガス成分は、H2O由来の酸素であり、第1層形成時においては、この酸素が、成長する膜中に優先的に取り込まれるため、スパッタリング、イオンプレーティング法などといった真空プロセスにおいて、例えば、ターゲット材料として窒化珪素を用いた場合、下部層からの出ガスの影響を大きく受ける第1層の形成時においては、成長する膜の窒化は阻害され、SiO化した膜が形成されるので、反応系内における基板の搬送速度を速くして、薄い第1層を形成する。第1層の形成後、一旦、基板を大気に曝した後、同じターゲット材料を用いて製膜すると、第1層が下部層の出ガスを防止するキャップ層として作用するため、成長する膜における窒化も進行し、得られる第2層は、第1層とは組成が異なり、SiONy、SiNとなる。なお、以上は、ターゲット材料として窒化珪素を用いた場合を例にとり説明したが、その他の製膜原料を用いた場合であっても同様に、第1層と第2層とを組成の異なる膜として得ることができる。
なお、第1層製膜時の基材の搬送速度と、第2層製膜時の基材の搬送速度との比率については、ターゲットとなる材料のスパッタレート、得ようとする第1層および第2層の所期の膜厚等によっても左右されるため、一概には規定できないが、例えば、第1層製膜時の搬送速度:第2層製膜時の搬送速度が15:2〜2:1といった比率とすることができる。
なお、上記したように好ましい保護膜の組成の一例である、Si/O/Nの原子数比が100/X/Y(130≦X+Y≦180、10≦X≦135、5≦Y≦150)である窒化酸化シリコンからなる保護膜を得ようとする場合、ターゲット材料として窒化珪素を用い、スパッタガスに不活性ガス、反応性添加ガスにN2を用いてスパッタリング法により形成する、あるいは、材料として窒化珪素を用い、反応性添加ガスにN2を用いて、イオンプレーティング法により形成することが好ましい。
これは、基板上部または基板上に形成される薄膜積層体の上部に窒化酸化シリコン膜を形成するにおいて、基材からの主な出ガス成分であるH2O由来の酸素が優先的に膜中に取り込まれ、窒化を阻害しSiO化する事象を、四重極ガス分析装置による分析の結果により突きとめ、製膜反応時に導入する反応性ガスとして酸素ではなく窒素ガスを用いることで、再現性よく、保護膜のSiO化を抑制し、所期のSiO膜を形成するという本発明者らの知見に基づくものである。
この点につき、詳述すれば、本発明者らは、工業上で実用化を図る上で、量産型のインライン機において、上記特許文献1に記載されるような反応性ガスとして酸素ガスを導入する条件にて、保護膜を製造を試みたところ、SiO膜が得られず、ほとんどSiO化した膜が得られるという結果となった。この結果を鑑み、本発明者らが鋭意検討を行った結果、特許文献1に記載の製造条件は、比較的高い出力密度をSi34ターゲットに印加し、基板−ターゲット間距離が短く、基板からの出ガス成分の影響を受けにくいバッチ式装置でかつ出ガス成分の少ない基材を用いた場合にのみ、SiO膜が形成され、基板−ターゲット間距離の比較的長い量産対応のインライン型機(連続式)にて、出ガス成分の多い基材についてはSiO膜を安定して製造することができないという結論に到達した。そしてこの考察結果および四重極ガス分析装置による分析結果から、量産対応のインライン型機を用いて、出ガス成分の多い基材に対し、スパッタリング法あるいはイオンプレーティング法によって、SiO膜を製膜する場合、酸素源として酸素ガスを反応性ガスとして反応系内に供給しなくとも、基板ないしは薄膜積層体中、あるいは反応装置内に存在していた水分が分解することで生じた酸素が成長する膜中に取り込まれるため、反応性ガスとして酸素ではなく窒素ガスを用いることが望ましいものであるとの結論に到達したものである。
スパッタリング法によって、窒化酸化シリコンからなる保護膜を形成する場合、ターゲット材としては、上記したように窒化珪素(Si34)が用いられるが、その密度としては、特に限定されるものではないが、50〜80%程度のものが適当である。
またスパッタガスとしては、不活性ガスであれば特に限定されないが、一般的にはArが使用される。
さらに反応性添加ガスとしては、N2が用いられるが、不活性ガスに対するこのN2の配合割合としては、得ようとするSiO膜の組成、および反応系内における基板その他からの出ガスの割合等によっても左右されるので、一概には、規定できないが、例えば、不活性ガス/N2が、流量比で流量比で400sccm/5sccm〜400sccm/20sccm程度とされ、特に好ましくは、約400sccm/10sccm程度とされる。なお、N2の配合割合は、必要に応じて、製膜中の反応系内における水素分圧等を、四重極質量分析装置等を用いて検知し、この結果に基づいて、適宜調整することも可能である。
また、反応性添加ガスとして、酸素、空気等の酸素含有ガスは、実質的に含まないことが望ましいが、10-6Pa(四重極質量分析装置にて測定)以下程度の極微量であれば、許容され得るものである。
また本発明の保護膜の製造方法においては、一般的な量産型のインライン型スパッタ装置を用いることができるが、ここでインライン型スパッタ装置とは、周知のように、反応室内に、複数の被処理物が連続して搬送され、各被処理物は搬送により反応室内に導入されてから反応室内から導出される一定時間の間、スパッタリングによる製膜処理を受ける連続式の装置であり、このようなタイプのものであれば、いかなるものであっても使用できるが、保護膜の窒化を促進させる上からは、印加出力の高いもので、かつターゲット−基板間距離(TS間距離)が短いものが望ましく、例えば、印加電力6.5W/cm2程度、ターゲット−基板間距離を8cm程度としたものが好ましい。
スパッタリングにおけるその他の点については、特に限定されず、公知の手法に基づき行うことができる。
また、イオンプレーティング法による製膜の場合も、スパッタリング法の場合とほぼ同様であり、量産型のインライン型イオンプレーティング装置を用い、上記したと同様の材料、反応性添加ガスを用いることで所期のSiO膜を形成できる。
以下、本発明を実施例に基づき、具体的に説明する。
実施例1
(実験方法)
スパッタ真空チャンバー内にポリエーテルスルフォンフィルム(住友ベークライト社製、商品名:(住友ベークライト社製、スミライトFST−5300)(以下、「PES」と記する。)を投入し、1×10-5Paまで減圧し、15時間保持しバリア膜形成を行った。
製膜条件は以下の通りであった。
ターゲット材:Si34(豊島製作所製)
Ar/N:400sccm/10sccm(40:1)
製膜圧力:5mTorr
印加パワー:4.3kw
製膜温度:非加熱(約110℃)
膜厚:第1層(キャップ層) 500A 搬送速度:290mm/分
第2層(本製膜層) 2500A 搬送速度: 58mm/分
合計膜厚:3000A
オーバーコート層:新日鐵化学ph5
製膜中のガスモニター:アルバック社製四重質量分析装置(STADM−2000)
用いた搬送キャリア3個(第1キャリア:ESCA用(Siウェハ/フィルム)、第2キャリア:膜厚、透過率測定(ガラス)、第3キャリア(バリア測定) 全て同一バッチ)
製膜:2回製膜(第1層製膜後、大気にさらし2層目の製膜を行った。)
(実験結果)
比較対照として、キャップ層製膜を行わなかった基材(PESフィルム)の面内組成分布、透過率分布、面内バリア分布を表1に示す(評価個所は、図1参照)。なお、組成分析は、XPS(X線光電子分校分析装置、 VGシステムズ製 ESCA LAB 220i)を用いて行った。
各測定ポイントは基材の端から2cmであるが、モコン法によるバリア測定は測定ポイント近辺の9cm□を用いて行った。なお、表1中“WTR”は、水蒸気バリア性を、“OTR”は酸素バリア性を示す。また、基板の搬送方向は、図1中(3)が先頭で(1)が後尾である。
(測定結果:キャップ層なし)
Figure 0004526848
組成分析は、ESCAにて行った。(1)〜(5)位置のフィルム基材上にSiウェハを設置し組成分析を行った。これは膜厚、バリア、透過率測定とは別キャリアの同一バッチで形成したものである。
また測定は、100A程度掘り下げた値と最表面の値を測定した。値に大きな差はなく、上記の値は最表面の値を記載した。
また、膜厚も同様に別キャリアを用い、ガラス上に形成された膜をリフトオフ法にて剥離し評価を行った。
次にキャップ層製膜を行ったPESフィルムを用い、同様に図1に示すごとく面内組成分布、透過率分布、面内バリア分布の評価を行った。結果を表2、3に示す。評価は、キャップ層形成後と本製膜層形成後の2回に分けて行った。
(測定結果:キャップ層/基材)
Figure 0004526848
バリアは良好な値が出ず、面内ムラがあった。
また組成はほとんどSiO2でN化は起こっていないに等しかった。
(測定結果:本製膜層/キャップ層/基材)
Figure 0004526848
第1層製膜と同様に組成分析は、ESCAにて行った。(1)〜(5)位置のフィルム基材上にSiウェハを設置し組成分析を行った。その結果、組成ムラ、透過率ムラは発生していなかった。またバリア性はキャップ層を設けないものに比較して改善されていた。このようにターゲット材料、導入ガス、製膜圧力は同じであるにもかかわらず搬送速度の違いのみで第1層目にはSiO膜、第2層目にはSiON膜が形成された。
実施例2
スパッタ真空チャンバー内にUV硬化型のオーバーコート材料(新日鐵化学社製、UV硬化樹脂 ph−5)をガラス基板上に5μm厚でスピンコートし硬化させた評価基材を投入し、1×10-5Paまで減圧し、前記実施例1と同様の製膜条件でバリア膜形成を行った。
さらにその上に、Cr:1000A、ITO:1500Aを以下の条件で製膜し、パターニングの評価を行った。
(Crの製膜条件)
ターゲット材;Cr
Ar:100sccm
製膜圧力:5mTorr
印加パワー:1.5kw
製膜温度:非加熱
(ITOの製膜条件)
ターゲット材;ITO
Ar/O2:100sccm/2.5sccm
製膜圧力:5mTorr
印加パワー:2.5kw
製膜温度:非加熱
ITOエッチング液:塩酸系エッチング液 塩酸:硝酸:水(1:0.08:1)
Crエッチング液:硝酸第2セリウムアンモニウム系エッチング液 (ザ・インテック社製 IT−ELM)
レジスト:シュープレー社製 S−1805
(評価結果)
比較対照である、キャップ層製膜を行わなかった試料においては、ITO、Cr等の電極をSiON/ガラス基板上に形成し、10μmライン・アンド・ベースで評価を行ったが、下地の組成が異なるためかエッチングレートに若干ムラが生じ、300×400基板全面の均質なパターニングが難しかった。
これに対し、キャップ層を形成した本発明に係る試料においては、TO、Cr等の電極をSiON/ガラス基板上に形成し、10μmライン・アンド・ベースで評価を行ったところ、エッチングムラは発生しにくくパターニングが容易であった。
実施例3
(表示層の形成)
ガラス基材の上に表示層として、カラーフィルター層を次のように形成した。
まず、基材上に、スパッタリングにより酸化クロムの薄膜を形成した。この酸化クロム薄膜上に感光性レジストを塗布し、マスク露光、現像、及び酸化クロム薄膜のエッチングを順次行なって、マトリックス状に配列したブラックマトリックスを形成した。
次に、赤色、緑色、及び青色の各色カラーフィルター層形成用の感光性塗料組成物を調整して、上記のブラックマトリックスが形成された基材上に、塗布し乾燥後、フォトマスクを用いて露光し現像して、三色の各パターンが配列したカラーフィルター層を形成した。
ブラックマトリックス及びカラーフィルター層が形成された上に、青色変換蛍光体を分散させた透明感光性樹脂組成物を塗布し、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行ない上記青色カラーフィルター層上に形成した。
次いで、緑色変換蛍光層を、上記と同様の手順により、上記緑色カラーフィルター層上に、さらに、赤色変換蛍光層を上記赤色カラーフィルター層上に形成することにより、色変換層を形成した。
(第1層(キャップ層)の形成)
次に、上記の色変換層の上に、スパッタ法により保護膜を全面に以下の成膜条件で形成した。
ターゲット材:SiN4
Ar/N2:400 sccm / 10 sccm(40:1)
成膜圧力:5 mTorr
印加パワー:4.3 kW
成膜温度:非加熱(程度110℃)
膜厚:500A
(第2層(本製膜層)の形成)
上記の第1層の上に、酸化窒化珪素(SiON)膜を、第1層の形成と同様の条件にて全面に形成して第2層とした。
(画像表示装置の作製)
上記の保護層有するCF基材上に電極層、絶縁層、カソードセパレータ形成後、有機EL発光層を形成し、この有機EL層上に対向電極を形成して画像表示装置を作製した。
その結果、当該サンプルは電極のパターニング性、バリア性共に良好な表示特性を示した(PM駆動150cd/m 10000h以上で、ダークスポットの発生も確認されず、電極のエッチングムラによる表示不良も確認されなかった)。
なお、上記したようなカラーフィルター層上部に色変換層を有するCF基板に代えて、カラーフィルター層上部にこのような色変換層を有しないCF基板上で同様の実験を行ったが、ほぼ同じ結果が得られた。
比較例1
上記実施例3において、第1層および第2層からなる保護膜を形成することなく、その後は同様にして、CF基板上に、電極層、絶縁層、カソードセパレータ、有機EL発光層、対向電極を形成して画像表示装置を作製した。
得られたサンプルの特性を実施例3と同様に調べたところ、高温PM駆動85℃/150cd/m 輝度半減1h程度で画素縮小が発生し、電極のエッチングムラによる表示不良も確認された。
なお、上記したようなカラーフィルター層上部に色変換層を有するCF基板に代えて、カラーフィルター層上部にこのような色変換層を有しないCF基板上で同様の実験を行ったが、ほぼ同じ結果が得られた。
参考例1
上記実施例3において、第1層を形成することなく、第2層の製膜条件にて厚さ3000Aの単層の保護膜を形成し、その後は同様にして、CF基板上に、電極層、絶縁層、カソードセパレータ、有機EL発光層、対向電極を形成して画像表示装置を作製した。
得られたサンプルの特性を実施例3と同様に調べたところ、高温PM駆動85℃/150cd/m 輝度半減1000h程度であり、比較例1のサンプルのものよりは優れた特性を示した。
なお、上記したようなカラーフィルター層上部に色変換層を有するCF基板に代えて、カラーフィルター層上部にこのような色変換層を有しないCF基板上で同様の実験を行ったが、ほぼ同じ結果が得られた。
本発明の実施例における、基材の評価個所を示す図面である。 本発明に係る保護膜を基材上に形成した一例を示す模式図である。
符号の説明
1…基材
2…第1層(キャップ層)
3…第2層(本製膜層)

Claims (6)

  1. 基板上部または基板上に形成される薄膜積層体の上部に形成される保護膜であって、当該保護膜は、基板上部または基板上に形成される薄膜積層体の上部に形成されるSiの酸化膜からなる第1層と、この第1層の上部に形成されるSiの窒化酸化膜またはSiの窒化膜からなる前記第1層よりも厚い第2層とを少なくとも有する2層以上で構成されたものであり、保護膜全体として窒化酸化シリコンの組成を呈し、その組成におけるSi/O/Nの原子数比が100/X/Y(130≦X+Y≦180、10≦X≦135、5≦Y≦150)ものであることを特徴とする保護膜。
  2. 前記第1層が島状成長しておらず、下部層を均一に覆う連続層であって、厚さ1500A(=150nm)以下のものであることを特徴とする請求項1に記載の保護膜。
  3. 前記保護膜の上部には、有機発光層を含む別の薄膜積層体が形成されるものである請求項1または2に記載の保護膜。
  4. 上記保護膜は、カラーフィルター層を形成した基板上に形成されるものである請求項1〜3のいずれか1つに記載の保護膜。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の保護膜の製造方法であって、組成の異なる2層以上の保護膜を、真空プロセスにおいて、同一の製膜原料であるSi34を用い、基材の搬送速度を制御することで形成し、Siの酸化膜からなる第1層は、基板ないしは基板上に形成された薄膜積層体からの出ガス成分と反応させながら製膜させ、次いで、Siの窒化酸化膜またはSiの窒化膜からなる第2層の形成時に、この得られた第1層を、基板ないしは基板上に形成された薄膜積層体からの出ガスを防止するキャップ層として作用させることを特徴とする保護膜の製造方法。
  6. 得られる保護膜の酸素成分は、基板ないしは薄膜積層体中、あるいは反応装置内に存在していた水分が分解することで、保護膜組成中に取り込まれたものであることを特徴とする請求項5記載の保護膜の製造方法。

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