JP4540904B2 - アニオン重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、開始剤として、また成長末端の配位金属として複数の金属を用いるリビングアニオン重合方法を用いたアニオン重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アニオン重合系においては、水、アルコール等のプロトン性極性溶媒が存在すると成長末端のアニオン、または重合開始剤が失活するため、これらを重合系から除去する必要がある。従来、溶媒、もしくは反応に用いるモノマー中のプロトン性極性溶媒の除去剤として、例えば、ベンジルマグネシウムブロマイド、ブチルリチウム等が知られているが、これらは、重合開始剤、または重合禁止剤として作用するため、反応前に蒸留等の精製が必要となるが、沸点が高いモノマー等においてはその精製が困難となる問題があった。
【0003】
また、ポリスチレン等のポリマーの合成において、n−ブチルリチウム等の有機アルカリ金属、ナトリウム等のアルカリ金属はアニオン重合開始剤となるが、ジブチルマグネシウム等の有機金属は単独ではアニオン重合開始剤とはならないことは知られている。
【0004】
Hsieh等は、ジブチルマグネシウムは、スチレンやジエン類に対して重合開始能力を持たないが、s−ブチルリチウム又はポリスチリルアニオンとジブチルマグネシウムがアート錯体を形成し重合開始剤となることを報告している。
【0005】
澤本らは、n−ブチルリチウム/ジブチルマグネシウム錯体を用いて、スチレンのバルク重合を行い、重合温度が120℃と高温においても、リビング性を持ち続け、分子量分布の比較的狭いポリマーが得られることを報告している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、用いるモノマーの種類によって、また用いるジブチルマグネシウムの量によっては重合の制御が困難であったり、満足のいく収率でポリマーが得られないという問題があった。
本発明は、アニオン重合系において、精製困難な試薬等を用いても、目的の反応が進行しうる精製剤を提供し、さらにそのような精製剤存在下においても分子量分布の狭い構造制御されたポリマーを得ることのできる製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ジブチルマグネシウム等の金属試薬を用い、特定の反応条件で重合を行えば分子量分布の狭い構造制御されたポリマーを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、
(1)ビニル芳香族化合物若しくは共役ジエン化合物及び式(I)
【化3】
(R)nM
(式中、R1は、C1〜C20アルキル基、又はC6〜C20アリール基を表し、nが2以上の場合、R1は同一又は相異なっていていもよく、Mは、長周期型周期律表第2族、第12族、または第13族に属す原子を表し、nはMの原子価を表す。)で表される化合物を、極性溶媒中、−100〜20℃で、アルカリ金属又は有機アルカリ金属の溶液に添加することを特徴とするアニオン重合体の製造方法、
(2)ビニル芳香族化合物または共役ジエン化合物とアルカリ金属または有機アルカリ金属から調製される2量体以上の重合体の成長末端アニオンと式(I)
【化4】
(R1)nM
(式中、R1、M、およびnは前記と同じ意味を表す。)で表される化合物を含む極性溶媒中に、−100〜20℃でビニル芳香族化合物またはジエン化合物を添加することを特徴とするアニオン重合体の製造方法、
(3)極性溶媒が、テトラヒドロフランであることを特徴とする(1)〜(2)のいずれかに記載の製造方法、
(4)式(I)で表される化合物をアルカリ金属また有機アルカリ金属より過剰に用いることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法、
に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる単量体であるビニル芳香族化合物として具体的には、スチレン、α−アルキルスチレン、核置換スチレン等を例示することができ、核置換基としては、重合開始剤に用いられるアルカリ金属または有機アルカリ金属、および、式(I)で表される有機金属化合物に対して不活性な基であれば特に制限されず、具体的には、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、t−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニルメチル基、テトラヒドロピラニル基等を例示することができる。さらにそれらの具体例として、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、2,4,6−トリイソプロピルスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−t−ブトキシ−α−メチルスチレン、m−t−ブトキシスチレン等を例示することができる。
【0010】
本発明に用いられる単量体である共役ジエン化合物としては、具体的には、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等を例示することができる。
これらの化合物は、1種単独で、または目的とする共重合体の種類より2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0011】
重合は、−100℃以上20℃以下の温度範囲で行われるのが好ましい。重合温度の下限は、用いる単量体の反応性により異なるが、少なくとも重合が完結する温度である必要があり、通常、−100℃以下でも重合進行するが、反応速度が遅くなる。20℃以上では、移動反応や、停止反応等の副反応が起こり、目的とする構造制御された重合体を得ることが困難となる。
【0012】
本発明において、重合温度は、重合反応中一定である必要はなく、重合反応の進行に従い任意の速度で上昇させてもかまわない。例えば、添加する単量体を2分割し、最初低温で重合を行った後、昇温してさらに単量体を添加して重合を行うこともできる。
本発明に用いられる単量体の重合溶媒に対する濃度は、特に制限されないが、通常10〜40重量%の範囲である。
【0013】
本発明に用いられる重合溶媒は、重合反応に関与せず、かつ重合体と相溶性のある極性溶媒であれば、特に制限されず、具体的には、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン等のエーテル系化合物、テトラエチレンジアミン(TMEDA)、ヘキサメチルホスホリックトリアミド(HMPA)等の3級アミン等を例示することができ、特にテトラヒドロフランが好ましい。また、これらの溶媒は、1種単独で、または2種以上の混合溶媒として用いることができる。
【0014】
また、極性の低い脂肪族、芳香族又は脂環式炭化水素化合物であっても、重合体と比較的相溶性があれば、極性溶媒と組み合わせることにより使用することができる。具体的には、トルエンとTMEDA、HMPAとの3級アミンの組み合わせを例示でき、この場合、3級アミンを用いる開始剤に対して1〜10当量程度用いるのが好ましく、またトルエンとテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒の組み合わせも使用することができ、この場合、エーテル系溶媒対してトルエンを50体積%以下用いるのが好ましい。
【0015】
本発明において用いられる重合開始剤は、アルカリ金属又は有機アルカリ金属からなり、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等を例示することができ、有機アルカリ金属としては、上記アルカリ金属のアルキル化物、アリル化物、アリール化物等を使用することができ、具体的には、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、エチルナトリウム、リチウムビフェニル、リチウムナフタレン、リチウムトリフェニル、ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン、α−メチルスチレンナトリウムジアニオン、1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム、1,4−ジリチオ−2−ブテン、1,6−ジリチオヘキサン、ポリスチリルリチウム、クミルカリウム、クミルセシウム等を挙げることができ、これらの化合物は、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0016】
本発明に用いられる式(I)で表される有機金属試薬中、R1は、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C20アルキル基またはC6〜C20アリール基を表す。具体的には、クロル原子、ブロム原子、ヨウ素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、アミル基、ヘキシル基、ベンジル基、フェニル基、ナフチル基等を例示することができる。
【0017】
また、Mは、長周期型周期律表第2族、第12族、または第13族に属す原子を表し、nはMの原子価を表し、中でも、マグネシウム、亜鉛、アルミニウムが好ましい。
式(I)で表される化合物として具体的には、ジ−n−ブチルマグネシウム、ジ−t−ブチルマグネシウム、ジ−s−ブチルマグネシウム、n−ブチル−s−ブチルマグネシウム、n−ブチル−エチルマグネシウム、ジ−n−アミルマグネシウム、ジベンジルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム、ジエチル亜鉛、ジブチル亜鉛、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn−ヘキシルアルミニウム、等を例示することができ、これらは、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0018】
本発明は、ビニル芳香族化合物若しくは共役ジエン化合物及び式(I)(R1)nMで表される有機金属化合物を、極性溶媒中、−100〜20℃で、アルカリ金属又は有機アルカリ金属の溶液に添加することを特徴とする。
式(I)で表される有機金属化合物は、単独ではビニル系単量体の重合を開始しないこと、有機アルカリ金属との式(I)で表される有機金属化合物のアート錯体は、重合開始能力はあるものの開始剤能力が低下しており重合体の構造制御が困難であることから、ビニル芳香族化合物等のビニル単量体にあらかじめ式(I)で表される有機金属化合物を添加しその混合物をアルカリ金属等の開始剤中に添加することにより上記問題を解決した。
【0019】
この方法を用いることにより、(1)アニオン重合を阻害する単量体中の不純物、例えば水分等の活性水素化合物等をあらかじめ除去する等の精製を行わなくてもアニオン重合を行うことができる。特に、単量体の分子量が大きい化合物、吸湿性を有する化合物等の精製が困難な化合物においてもリビングアニオン重合を行うことが可能となり、(2)有機金属化合物がアニオン成長末端に配位することにより、アニオン成長末端が安定化し0℃付近においても移動反応、停止反応等の副反応を起こすことなくリビングアニオン重合が可能となり、(3)20万以上の高分子量化合物の合成においても、成長末端アニオンが安定化するため重合反応が均一に進行し、分子量分布の狭い重合体を得ることが可能となった。
【0020】
式(I)で表される有機金属化合物の添加量は特に制限されないが、アニオン重合を阻害する不純物の量が特定できるときは、該不純物の量よりも過剰量を用い、特定できない場合においても、開始剤の量対して1当量〜50当量、好ましくは、1〜20当量の範囲で用いることができる。特に、分子量20万以上の重合体を合成する場合、開始剤に対して10〜50当量、好ましくは30〜50当量用いる方が、高分子量側の重合体の生成を抑制して分子量分布の狭い重合体を生成することができる。
【0021】
また、開始剤に対して過剰の式(I)表される有機金属化合物とビニル単量体の混合物を、開始剤に添加して重合を行った後、さらに、同種のまた異種の単量体を単独で、また、同種または異種の単量体と式(I)で表される有機金属化合物の混合物を添加して重合を行うこともできる。
【0022】
または、本発明は、ビニル芳香族化合物または共役ジエン化合物とアルカリ金属または有機アルカリ金属から調製される2量体以上の重合体の成長末端アニオンと式(I)で表される有機金属化合物を含む極性溶媒中に、−100〜20℃でビニル芳香族化合物またはジエン化合物を添加することを特徴とする。
【0023】
精製が容易な単量体と重合開始剤からある程度の分子量を有する重合体を合成し、式(I)で表される金属化合物添加することにより、また、ビニル単量体と開始剤に対して過剰の式(I)で表される金属化合物の混合物を開始剤に添加することより、重合体の成長末端アニオンと式(I)で表される有機金属化合物の混合溶液を調製し、この溶液にビニル単量体を添加することでさらに重合反応を行い目的とする重合体を得る方法であり、後から添加するビニル単量体には式(I)で表される有機金属化合物を特に添加しなくても構造の制御された重合体を得ることができる。ただし、添加しても同様な重合体を得ることができる。
【0024】
添加する式(I)で表される有機金属化合物の量は、特に制限されず、重合体成長アニオン末端に対して1〜50当量の範囲を好ましく例示することができる。
重合体成長末端アニオンの対カチオンの種類は特に制限されないが、リチウムカチオンよりも、ナトリウムカチオン、カリウムカチオンを好ましく用いることができる。
【0025】
また、重合体成長末端アニオン構造についても特に制限されないが、α−メチルスチリルアニオン構造よりも、スチリルアニオン構造を好ましく用いることができる。
また、成長末端アニオンを有する重合体の分子量も特に制限されず、2〜4量体、または、分子量1,000〜10,000の重合体等いずれも用いることができる。
【0026】
この方法を用いることにより、有機マグネシウム化合物の影響を受けることなく重合反応を行うことができるので、添加するビニル単量体に有機マグネシウム化合物を添加する操作は必要なくなる。
【0027】
以下実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
【0028】
【実施例】
本発明の実施例1〜12に使用した試薬および溶媒の精製法について以下に述べる。
(1)テトラヒドロフラン(THF):ナトリウムワイヤー存在下で1日還留後、LiAlH4存在下で数時間還留し窒素気流下で蒸留した。 さらに、乾燥したTHFを高真空化でナトリウムナフタレン存在下から Trap−to‐Trap法により蒸留し、モノマー、Bu2Mg、カリウムナフタレンの希釈に用いた。
(2)ヘプタン:濃硫酸、次いで水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、酸化リン(V)を加え一晩撹伴後、窒素気流下でジフェニルヘキシルリチウム存在下から蒸留した。さらに、高真空化で、1,1−ジフェニルヘキシルリチウム存在下からTrap−to−Trap法により蒸留しs−BuLiの希釈に用いた。
【0029】
(3)sec−ブチルリチウム(s−BuLi):市販のs−BuLiのシクロヘキサン(1.3M;ナカライ社製)を高真空下、ヘプタンで希釈し、小分けしたものを用いた。正確な濃度は、高真空下、THF中−78℃で1,1−.ジフェニルエチレン(DPE)との反応により1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウムを生成させ、このアニオン特有の赤色が消色するまで標準 n−オクタノール/THFを用いて比色滴定により求めた。
(4)カリウムナフタレン(K−Naph):金属カリウム2.36g(60.4mmol)と1.5当量のナフタレン13.0g(101mmol)を高真空下、Trap−to‐Trap法により蒸留したTHF100m1中で一晩反応させ合成した。正確な濃度は室温で標準n−オクタノール/THFを加える比色滴定により求めた。
(5)スチレン:市販品を5%NaOH 水溶液、次いで水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで、一晩乾燥させ、CaH2存在下より、減圧蒸留した。次に高真空下で2−3mmol%の塩化ベンジルマグネシウム存在下から蒸留した後、0.8−1.0MのTHF溶液に調製した。
【0030】
(6)α‐メチルスチレン:市販品を5%NaOH水溶液、次いで水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで、一晩乾燥させ、CaH2存在下より、減圧蒸留した。次に高真空下で2−3mmo1%の塩化ベンジルマグネシウム存在下から蒸留した後、1MのTHF溶液に調製した。
(7)ジブチルマグネシウム(Bu2Mg):市販の Bu2Mg/ヘプタン 溶液(アルドリッチ社製)を高真空下においてTHFで希釈し、小分けして用いた。
【0031】
[実施例1〜12の重合操作方法]
アニオン重合は高真空下ブレークシール法を用いた。重合はモノマーを開始剤系に加え所定時間反応した後、メタノールで反応を停止した。重合温度、重合時間、Bu2Mgの添加量を変化させて、またBu2Mgを加える順序を変えることによって、Bu2Mgの精製能力また添加効果を観察した。また得られたポリマーは、Bu2Mgをポリマーから取り除くためにHClを加え、MeOH/THF系で再沈殿操作を行い、濾過後、風乾し、得られたポリマーの収量から収率を求めた。
【0032】
[活性末端アニオンの開始効率の決定法]
活性末端アニオンの開始効率を決定するために、ポスト重合を行うことによって得られるポストポリマーの GPC曲線を用いた。プレポリマーとポストポリマーに対応するピーク面積を算出し、各々の分子量で割ることにより、分子比(モル比)を求め、開始効率を求めた。
【0033】
[ゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)の測定]
実施例1〜12、比較例1〜2については、東ソーHLC−8020、を用いて測定した。カラムはHXL5000、4000、3001、またはHXL4000、3000、2000を組み合わせたものを用いた。
実施例13〜17、比較例3〜6については、ウォーターズ社製GPCシステムを用いて測定した。
THFを溶媒として用い、流量1.0ml/min、40℃で使用した。分子量は、標準ポリスチレンを用いたキャリブレーションカーブより決定した。サンプルはポリマー5mgをTHF1ml に溶解させて用いた。
【0034】
実施例1
第1表に示すようにな割合でメタノール含有スチレン単量体に対して、Bu2Mgを添加したTHF溶液を、THF中、−78℃で重合開始剤s−BuLiに添加して重合を行った結果を第1表に、そのGPC曲線を第1図に示す。
【0035】
比較例1
Bu2Mgを用いない以外実施例1と同様に同様に重合を行い、その結果を第1表およびそのGPC曲線を第2図に示す。
【0036】
【表1】
Figure 0004540904
【0037】
実施例2〜6
第2表に示す割合でスチレン、Bu2Mgを混合したTHF溶液を、THF中重合開始剤に所定の温度で添加して1時間重合を行い、その結果を第2表に、およびGPC曲線を第3図〜第7図に示す。
【0038】
【表2】
Figure 0004540904
【0039】
実施例7〜8
第3表に示す割合でスチレン、BuMgを混合したTHF溶液を、重合開始剤に−78℃で添加して1時間、重合を行い、その結果を第3表に、およびGPC曲線を第8図〜第9図に示す。
【0040】
比較例2
Bu2Mgを用いない以外、第3表に示す割合で重合を行い、その結果を第3表に、およびGPC曲線を第10図に示す。
【0041】
【表3】
Figure 0004540904
【0042】
実施例9
第4表に示すように、スチレンを2分割し、各々開始剤に対して3.3当量(第1モノマー:I)、5.0当量(第2モノマー:II)のBu2Mgを添加し、所定の温度で第1モノマーを1時間重合させ、続いて第2モノマーを添加して重合を行った。
その結果を第4表に、GPC曲線を第11図に示す。
【0043】
実施例10
第4表に示すように、スチレンを2分割し、開始剤に対して11当量(第1モノマー)のBu2Mgを添加し、所定の温度で第1モノマーを1時間重合させ、続いて第2モノマーを添加して重合を行った。その結果を第4表に、GPC曲線を第12図に示す。
【0044】
【表4】
Figure 0004540904
【0045】
実施例11〜12
α−メチルスチレン(α−MeSt)とK−Naphより調製される重合体ジアニオン(Mn=2000)に対して、第5表に示す割合でBu2Mgを添加して、THF中、−78℃で重合を行い、その結果を第5表に、GPC曲線を第13〜第14図に示す。
【0046】
【表5】
Figure 0004540904
【0047】
実施例13〜15
THF180g中、s−BuLi(ナカライ社製、シクロヘキサン溶液)に、0℃で、スチレン(St)またはp−t−ブトキシスチレン(PTBST、北興化学社製)とBu2Mgの混合物を添加し重合を行い、その結果を第6表、およびGPC曲線を第15〜17図に示す。
【0048】
比較例3〜5
Bu2Mgを用いる以外実施例14〜16と同様にして重合を行い、その結果を表6、およびGPC曲線を第18〜20図に示す。
【0049】
【表6】
Figure 0004540904
【0050】
実施例16
THF250g中、−40℃でn−BuLi(アルドリッチ社製)(6.80mmol)を用いてPTBST25.33g(160.7mmol)(I)を重合させた後、BuMg(アルドリッチ社製)10.25g(19.43重量%、14.4mmol)を開始剤に対してを添加し、さらに−40℃でPTBST18.85g(106.9mmol)(II)を加えて重合した結果を表7、およびGPC曲線を第21図に示す。
【0051】
【表7】
Figure 0004540904
【0052】
実施例17
THF124gに−60℃でナトリウム分散体1.14g(0.05モル、ケロシン中に20重量%で分散)を添加し、1,3−ブタジエン2mlを同温度で滴下し、ジアニオンを生成させた。この溶液に、ジブチルマグネシウム(Bu2Mg:アルドリッチ社製)35.7g(19.43重量%、0.05mol)を添加し、−20℃に昇温した後、1,3−ブタジエン37.5g(0.69モル)のヘキサン41.4g溶液を同温度で添加し、同温度で3時間撹拌した。同温度でメタノールを添加して反応を停止させた後、溶媒を留去し、収率99%で1.3−ブタジエン重合体を得た。得られた重合体のGPCを測定したところ数平均分子量2300、分散度(Mw/Mn)=1.17であり、単峰性のピークが得られた。得られたGPC曲線を第22図に示す。
【0053】
比較例6
Bu2Mgを用いず、−20℃で1時間撹拌した以外は、実施例17と同様に行なったところ、収率91%で1,3−ブタジエン重合体を得た。得られた重合体のGPCを測定したところ数平均分子量3900、分散度(Mw/Mn)=2.28であり、多峰性のピークが得られた。得られたGPC曲線を第23図に示す。
【0054】
【発明の効果】
以上述べたように、単量体に式(I)で表される化合物を混合して重合開始剤に添加する方法を用いれば、
(1)アニオン重合を阻害する単量体中の不純物、例えば水分等の活性水素化合物等をあらかじめ除去する等の精製を行わなくてもアニオン重合を行うことができる。特に、単量体の分子量が大きい化合物、吸湿性を有する化合物等の精製が困難な化合物においてもリビングアニオン重合を行うことが可能となり、
(2)有機マグネシウム化合物がアニオン成長末端に配位することにより、アニオン成長末端が安定化し0℃付近においても移動反応、停止反応等の副反応を起こすことなくリビングアニオン重合が可能となり、
(3)20万以上の高分子量化合物の合成においても、成長末端アニオンが安定化するため重合反応が均一に進行し、分子量分布の狭い重合体を得ることが可能となった。
さらに、ポリスチリルアニオン等の重合成長末端、または、リチウム以外の2〜4量体のアニオン末端に対しては、モノマーに添加することなく直接重合開始剤に添加することでも、0℃付近での重合が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1におけるGPC曲線を示す。
【図2】図2は、比較例1におけるGPC曲線を示す。
【図3】図3は、実施例2におけるGPC曲線を示す。
【図4】図4は、実施例3におけるGPC曲線を示す。
【図5】図5は、実施例4におけるGPC曲線を示す。
【図6】図6は、実施例5におけるGPC曲線を示す。
【図7】図7は、実施例6におけるGPC曲線を示す。
【図8】図8は、実施例7におけるGPC曲線を示す。
【図9】図9は、実施例8におけるGPC曲線を示す。
【図10】図10は、比較例2におけるGPC曲線を示す。
【図11】図11は、実施例9におけるGPC曲線を示す。
【図12】図12は、実施例10におけるGPC曲線を示す。
【図13】図13は、実施例11におけるGPC曲線を示す。
【図14】図14は、実施例12におけるGPC曲線を示す。
【図15】図15は、実施例13におけるGPC曲線を示す。
【図16】図16は、実施例14におけるGPC曲線を示す。
【図17】図17は、実施例15におけるGPC曲線を示す。
【図18】図18は、比較例3におけるGPC曲線を示す。
【図19】図19は、比較例4におけるGPC曲線を示す。
【図20】図20は、比較例5におけるGPC曲線を示す。
【図21】図21は、実施例16におけるGPC曲線を示す。
【図22】図22は、実施例17におけるGPC曲線を示す。
【図23】図23は、比較例6におけるGPC曲線を示す。

Claims (2)

  1. ビニル芳香族化合物若しくは共役ジエン化合物及び式(I)
    [化1]
    (R)nM
    (式中、Rは、C1〜C20アルキル基、又はC6〜C20アリール基を表し、nが2以上の場合、Rは同一又は相異なっていてもよく、Mは、長周期型周期律表第2族または第12族に属する原子を表し、nはMの原子価を表す。)で表される、プロトン性極性溶媒の除去剤を、極性溶媒中、−100〜20℃で、アルカリ金属又は有機アルカリ金属の溶液に添加することを特徴とするアニオン重合体の製造方法。
  2. ビニル芳香族化合物または共役ジエン化合物とアルカリ金属または有機アルカリ金属から調製される2量体以上の重合体の成長末端アニオンと式(I)
    [化2]
    (R)nM
    (式中、R、M、およびnは前記と同じ意味を表す。)で表されるプロトン性極性溶媒の除去剤を含む極性溶媒中に、−100〜20℃でビニル芳香族化合物またはジエン化合物を添加することを特徴とすることを特徴とするアニオン重合体の製造方法。
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