JP4552260B2 - ニッケル粉末、電極用ペーストおよび電子部品の製造方法 - Google Patents

ニッケル粉末、電極用ペーストおよび電子部品の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば積層セラミックコンデンサなどの電子部品の内部電極などを製造するためのニッケル粉末、そのニッケル粉末を含む電極用ペースト、およびそれを用いた電子部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子部品としての積層セラミックコンデンサは、誘電体グリーンシートと内部電極用ペーストとを交互に重ね、その後加圧して一体化してグリーンチップとし、このグリーンチップを焼成することにより得られる。
【0003】
この積層セラミックコンデンサの内部電極は、焼成によりセラミック誘電体と一体化するために同時焼成される。このために、内部電極としては、セラミック誘電体と反応せずに同時焼成できる材料を選択する必要がある。
【0004】
従来では、内部電極として、Pt,Pdなどの貴金属が用いられてきたが、これら貴金属は高価であるため、積層セラミックコンデンサのコスト高の原因となっていた。しかし、近年では、安価な卑金属であるNiが酸化しない還元雰囲気中において、焼成可能な誘電体が開発されたため、Niを内部電極として使用することが可能となり、大幅なコストダウンが実現した。
【0005】
ところが、このNi内部電極は、セラミック誘電体の焼結の進行とともに電極が太くなり(球状化)、途切れていく傾向がある。これにより積層セラミックコンデンサ素子の厚み方向が、電極の太りとともに膨張してしまう現象が起きる。
この現象は、多層化するほど顕著になり、これが多層化に伴うクラックの一要因と考えられている。
【0006】
なお、一般的には、カーボンを多く含有するニッケル粉末としてはカルボニルニッケルなどが知られているが、カルボニルニッケルは凝集性が強いため平均粒径を1.0μm以下にする事が難しいため、積層セラミックコンデンサの薄層且つ多層化には適さない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、Ni製内部電極は、セラミック誘電体の焼結の進行とともに電極が太くなり、途切れていく傾向がある。これにより積層セラミックコンデンサの厚み方向が電極の太りとともに膨張してしまう現象が起き、この現象は多層化するほど顕著になり、これが多層化に伴うクラックの一要因と考えられている。 本発明は、このような実状に鑑みてなされ、積層セラミックコンデンサなどの電子部品の製造工程において、クラックや剥離が発生しにくく、内部電極を薄層化および多層化することができるニッケル粉末、その粉末を含む電極用ペースト、および多層化に伴うクラックを改善した電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明で用いるニッケル粉末は、平均粒径が1.0μm以下で、且つ、粉末の全量を100重量%としてカーボンが0.02〜15重量%含まれていることを特徴とする。
【0009】
ニッケル粉末を構成する少なくとも一部のニッケル粒子が、炭素で少なくとも一部被覆してある
前記ニッケル粉末中には、不純物として、0.1重量%以下のFe、Co、Sなどが含まれていても良い。
【0010】
本発明で用いる電極用ペーストは、前記ニッケル粉末と、前記ニッケル粉末が分散してある液体成分とを有する。
【0011】
本発明に係る電子部品の製造方法は、
前記電極用ペーストを準備する工程と、
電子素子本体となる素子本体用ペーストを準備する工程と、
前記電極用ペーストおよび素子本体用ペーストを用いて、焼成前のグリーンチップを形成する工程と、
前記グリーンチップを焼成する工程とを有し、
前記グリーンチップにおける電極層の積層数が100層以上であり、
塩化ニッケル蒸気中にカーボン単体またはカーボン化合物を混入、または、不活性ガスまたは水素ガス中に前記カーボン単体またはカーボン化合物を混入して、前記塩化ニッケル蒸気と前記水素ガスとを反応させることにより、前記ニッケル粉末を構成する少なくとも一部のニッケル粒子が、前記カーボンで少なくとも一部被覆されている
【0012】
前記ニッケル粉末および電極用ペーストを用いて、積層セラミックコンデンサ(電子部品の一例)を製造することにより、積層セラミックコンデンサにおける内部電極の積層方向への膨張を抑えることが可能になり、多層化に伴うクラックの発生を抑えることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の1実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図である。
【0014】
ニッケル粉末
まず、本発明に係るニッケル粉末について説明する。
本発明に係るニッケル粉末は、平均粒径が1.0μm以下で、且つ、全量に対してカーボンが0.02〜15重量%含まれている。
ニッケル粉末の平均粒径を1.0μm以下としたのは、ニッケル粉末をペースト化した場合に、そのペーストを絶縁層フィルム上に印刷し、十分に薄層で良好な内部電極層を形成するために必要な粒径を確保するためである。よって、ニッケル粉末の平均粒径は、好ましくは0.05〜1.0μm程度、より好ましくは0.1〜0.8μm程度である。平均粒径が0.05μm未満では、積層セラミックコンデンサの焼成時に、ニッケル電極層が過焼結になり、そのため収縮が大きくなる。その結果、誘電体層と極度な収縮差が生じ、デラミネーションやクラックが発生するので望ましくない。一方、平均粒径が1.0μmを越えると、内部電極層の薄層化が困難になるだけでなく、電極層の表面の凹凸は大きくなり、これもクラックの原因となる。
【0015】
ニッケル粉末中に含まれるカーボンの形態は、カーボン単体、カーボンの化合物どちらでも良く、同様な効果が得られる。また、カーボンは、ニッケル粉末に固溶しても良く、また、粉末中に不純物として含有しても良い。ただし、ニッケル粉末を構成する少なくとも一部のニッケル粒子が、炭素で少なくとも一部被覆してあることが、さらに好ましい。
【0016】
ニッケル粉末の製造方法については、気相法または液相法など、どの様な方法でも良い。ニッケル粉末にカーボンを所定量で含ませる方法としては、特に限定されないが、ニッケル粒子の製造過程において、カーボン単体またはカーボン化合物を含ませればよい。たとえばニッケル粉末を気相水素還元法により作製する場合には、まず、塩化ニッケルを気化し、それを不活性ガスによって所定の反応部に搬入し、そこで水素ガスと所定の温度で反応させ、冷却することによって1μm以下の微粉のニッケル粉を作製する。このような製造方法において、ニッケル粉末にカーボンを含有させるには、塩化ニッケル蒸気中にカーボン単体またはカーボン化合物を混入、または、これらを不活性ガスまたは水素ガス中に混入すればよい。このとき、カーボンの混入量を制御することにより、ニッケル粉末へのカーボン含有量を制御することができる。このような製造方法により、ニッケル粉末を構成するニッケル粒子の少なくとも一部が、カーボンにより被覆される。
【0017】
カーボンは、積層セラミックコンデンサの本焼成温度よりも低い温度で気化し、電極内部から外へ放出される。これによって電極の収縮は促進され、その結果、電極の太りや途切れを抑制し、多層化に伴う積層方向の膨張を抑制し、クラック防止に効果があると考えられる。また、誘電体層の収縮挙動にも影響を及ぼしているものと考えられる。また、カーボンによってNiとカーボンが合金化し、融点が高温側へシフトするため、電極の焼結が遅くなる。それによって電極途切れが少なく、厚みも薄くすることが可能になる。
【0018】
カーボンの含有量は、0.02〜15重量%が有効であり、好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.07〜10重量%が有効であり、特に好ましくは0.08〜8重量%、より好ましくは0.09〜6重量%である。0.02重量%よりも少ないと、本発明の効果はほとんど得られず積層方向に膨張するため、クラックが発生する。また、15重量%よりも多くなると、逆に内部電極中に空孔が発生し、また、誘電体との収縮に極度の差が生じるためクラック数が増加する傾向にある。よって本発明では、カーボンのニッケル粉末中の含有量は、上記の範囲が好ましい。
【0019】
積層セラミックコンデンサ
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る電子部品としての積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成のコンデンサ素子本体10を有する。このコンデンサ素子本体10の両端部には、素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してある。コンデンサ素子本体10の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよいが、通常、(0.6〜5.6mm)×(0.3〜5.0mm)×(0.3〜1.9mm)程度である。
【0020】
内部電極層3は、各端面がコンデンサ素子本体10の対向する2端部の表面に交互に露出するように積層してある。一対の外部電極4は、コンデンサ素子本体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
【0021】
誘電体層2
誘電体層2の組成は、本発明では特に限定されないが、たとえば以下の誘電体磁器組成物で構成される。
本実施形態の誘電体磁器組成物は、たとえば{(Ba(1−x−y) CaSr)O}(Ti(1−z) Zr で表せる主成分を有する誘電体磁器組成物である。なお、A,B,x,y,zは、いずれも任意の範囲であるが、たとえば0.990≦A/B≦1.010、0≦x≦0.80、0≦y≦0.5、0.01≦z≦0.98であることが好ましい。誘電体磁器組成物中に主成分と共に含まれる副成分としては、Y,Gd,Tb,Dy,V,Mo,Zn,Cd,Sn,W,Mn,Si,およびPの酸化物から選ばれる1種類以上を含む副成分が例示される。
【0022】
副成分を添加することにより、主成分の誘電特性を劣化させることなく低温焼成が可能となり、誘電体層を薄層化した場合の信頼性不良を低減することができ、長寿命化を図ることができる。ただし、本発明では、誘電体層の組成は、上記に限定されるものではない。
【0023】
なお、図1に示す誘電体層2の積層数や厚み等の諸条件は、目的や用途に応じ適宜決定すればよい
内部電極層3
内部電極層3は、上述したニッケル粉末を含む電極用ペーストを焼成して製造される。内部電極層3の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよいが、通常、0.5〜5μm、特に1〜2.5μm程度であることが好ましい。
【0024】
外部電極4
外部電極4に含有される導電材は特に限定されないが、通常、CuやCu合金あるいはNiやNi合金等を用いる。なお、AgやAg−Pd合金等も、もちろん使用可能である。なお、本実施形態では、安価なNi,Cuや、これらの合金を用いる。
外部電極の厚さは用途等に応じて適宜決定されればよいが、通常、10〜50μm程度であることが好ましい。
【0025】
積層セラミックコンデンサの製造方法
次に、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの製造方法について説明する。
本実施形態では、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成した後、外部電極を印刷または転写して焼成することにより製造される。以下、製造方法について具体的に説明する。
【0026】
誘電体層用ペーストは、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。
誘電体原料には、前述した誘電体磁器組成物の組成に応じ、主成分を構成する原料と、副成分を構成する原料と、必要に応じて焼結助剤を構成する原料とが用いられる。主成分を構成する原料としては、Ti,Ba,Sr,Ca,Zrの酸化物および/または焼成により酸化物になる化合物が用いられる。副成分を構成する原料としては、Sr,Y,Gd,Tb,Dy,V,Mo,Zn,Cd,Ti,Sn,W,Mn,SiおよびPの酸化物および/または焼成により酸化物になる化合物から選ばれる1種類以上、好ましくは3種類以上の単一酸化物または複合酸化物が用いられる。
【0027】
本発明に係る製造方法では、誘電体原料には、必ずしも焼結助剤を含ませる必要はないが、焼結助剤を含ませる場合には、たとえばSiまたはLiの酸化物および/または焼成により酸化物になる化合物が用いられる。焼成により酸化物になる化合物としては、例えば炭酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、有機金属化合物等が例示される。もちろん、酸化物と、焼成により酸化物になる化合物とを併用してもよい。
これらの原料粉末は、通常、平均粒子径0.0005〜5μm程度のものが用いられる。このような原料粉末から誘電体材料を得るには例えば下記のようにすればよい。
【0028】
まず、出発原料を所定の量比に配合し、例えば、ボールミル等により湿式混合する。次いで、スプレードライヤー等により乾燥させ、主成分を構成する上記式の誘電体酸化物を得る。次いで、ジェットミルあるいはボールミル等にて所定粒径となるまで粉砕し、誘電体材料を得る。
【0029】
誘電体層用ペーストを調整する際に用いられる結合剤、可塑剤、分散剤、溶剤等の添加剤は種々のものであってよい。また、誘電体層用のペーストにはガラスフリットを添加してもよい。結合剤としては、例えばエチルセルロース、アビエチン酸レジン、ポリビニール・ブチラールなど、可塑剤としては、例えばアビエチン酸誘導体、ジエチル蓚酸、ポリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、フタール酸エステル、フタール酸ジブチルなど、分散剤としては、例えばグリセリン、オクタデシルアミン、トリクロロ酢酸、オレイン酸、オクタジエン、オレイン酸エチル、モノオレイン酸グリセリン、トリオレイン酸グリセリン、トリステアリン酸グリセリン、メンセーデン油など、溶剤としては、例えばトルエン、テルピネオール、ブチルカルビトール、メチルエチルケトンなどが挙げられる。このペーストを焼成する際に、誘電体材料がペースト全体に対して占める割合は50〜80重量%程度とし、その他、結合剤は2〜5重量%、可塑剤は0.01〜5重量%、分散剤は0.01〜5重量%、溶剤は20〜50重量%程度とする。そして、前記誘電体材料とこれら溶剤などとを混合し、例えば3本ロール等で混練してペースト(スラリー)とする。
【0030】
なお、誘電体層用ペーストを水系の塗料とする場合には、水溶性のバインダや分散剤などを水に溶解させた水系ビヒクルと、誘電体原料とを混練すればよい。
水系ビヒクルに用いる水溶性バインダは特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂などを用いればよい。
【0031】
本発明では、内部電極層用ペーストは、上述したニッケル粉末と、このニッケル粉末を分散させる液体成分である有機ビヒクルとを混練して調製する。
【0032】
有機ビヒクルは、バインダーおよび溶剤を含有するものである。バインダーとしては、例えばエチルセルロース、アクリル樹脂、ブチラール樹脂等公知のものはいずれも使用可能である。バインダー含有量は1〜5重量%程度とする。溶剤としては、例えばテルピネオール、ブチルカルビトール、ケロシン等公知のものはいずれも使用可能である。溶剤含有量は、ペースト全体に対して、20〜55重量%程度とする。
【0033】
このようにして得られた内部電極層用ペーストと誘電体層用ペーストとは、印刷法、転写法、グリーンシート法等により、それぞれ交互に積層される。印刷法を用いる場合、誘電体層用ペーストおよび内部電極層用ペーストを、PET等の基板上に積層印刷し、所定形状に切断した後、基板から剥離して積層体とする。
また、シート法を用いる場合、誘電体層用ペーストを用いてグリーンシート(焼結前誘電体層)を形成し、この上に内部電極層用ペーストから成る内部電極パターン(焼結前内部電極層)を印刷する。
【0034】
内部電極パターンが印刷されたグリーンシートは、積層方向に多数積層されて積層体とされ、その積層方向上下端には、内部電極パターンが印刷されていない複数のグリーンシートも積層される。
【0035】
次に、このようにして得られた積層体(グリーンチップ)を、所定の積層体サイズに切断した後、脱バインダ処理および焼成を行う。そして、誘電体層2を再酸化させるため、熱処理を行う。
【0036】
脱バインダ処理は、通常の条件で行えばよいが、内部電極層の導電体材料としてNiを用いているので、特に下記の条件で行うことが好ましい。
【0037】
昇温速度:5〜300℃/時間、特に10〜50℃/時間、
保持温度:200〜400℃、特に250〜350℃、
保持時間:0.5〜20時間、特に1〜10時間、
雰囲気 :加湿したNとHとの混合ガス、または、Air雰囲気。
【0038】
焼成条件は、下記の条件が好ましい。
昇温速度:50〜500℃/時間、特に200〜300℃/時間、
保持温度:1100〜1300℃、特に1150〜1250℃、
保持時間:0.5〜8時間、特に1〜3時間、
冷却速度:50〜500℃/時間、特に200〜300℃/時間、
雰囲気ガス:加湿したNとHとの混合ガス等。
【0039】
ただし、焼成時の空気雰囲気中の酸素分圧は、10−7atm以下、特に10−7〜10−13 atmにて行うことが好ましい。前記範囲を超えると、内部電極層が酸化する傾向にあり、また、酸素分圧があまり低すぎると、内部電極層の電極材料が異常焼結を起こし、途切れてしまう傾向にある。
【0040】
このような焼成を行った後の熱処理は、保持温度または最高温度を900〜1100℃として行うことが好ましい。熱処理時の保持温度または最高温度が、前記範囲未満では誘電体材料の酸化が不十分なために寿命が短くなる傾向にあり、前記範囲をこえると内部電極のNiが酸化し、容量が低下するだけでなく、誘電体素地と反応してしまい、寿命も短くなる傾向にある。熱処理の際の酸素分圧は、10−8atm以上、より好ましくは10−4〜10−7atm が好ましい。前記範囲未満では、誘電体層2の再酸化が困難であり、前記範囲をこえると内部電極層3が酸化する傾向にある。そして、そのほかの熱処理条件は下記の条件が好ましい。
【0041】
保持時間:0〜6時間、特に2〜5時間、
冷却速度:50〜500℃/時間、特に100〜300℃/時間、
雰囲気用ガス:加湿したNガス等。
【0042】
このようにして得られた焼結体(素子本体10)には、例えばバレル研磨、サンドプラスト等にて端面研磨を施し、外部電極用ペーストを焼きつけて外部電極4を形成する。外部電極用ペーストの焼成条件は、例えば、加湿したNとHとの混合ガス中で600〜800℃にて10分間〜1時間程度とすることが好ましい。そして、必要に応じ、外部電極4上にめっき等を行うことによりパッド層を形成する。なお、外部電極用ペーストは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
このようにして製造された本発明の積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
【0043】
本発明において、内部電極層(または誘電体層)の積層数については、特に限定されないが、100層以下の層数では内部電極層の影響が受けにくく、積層方向の膨張率の小さいためクラックも生じにくく、クラック不良率も低い。100層以上の多層化によって、このようなクラックが顕著に現れるため、この発明の効果については、特に100層以上、好ましくは200層以上の多層において発揮する。
【0044】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、上述した実施形態では、本発明に係る積層セラミック電子部品として積層セラミックコンデンサを例示したが、本発明に係る製造方法で得られる電子部品としては、積層セラミックコンデンサに限定されない。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
【0046】
実施例1
カーボンを0.02重量%含有するNi粉末を準備した。このNi粉末は、塩化ニッケル蒸気の気相水素還元法によって作製した。すなわち、まず塩化ニッケルを気化し、それを不活性ガスによって所定の反応部に搬入、そこで水素ガスと所定の温度で反応させ、冷却することによって、平均粒径0.4μmの微粉のニッケル粉を作製した。このニッケル粉末にカーボンを含有させるために、塩化ニッケル蒸気中にカーボン単体を混入させ、ニッケル粉末へのカーボン含有量を制御した。
【0047】
このニッケル粉末を使用し、内部電極用ペーストを作製した。具体的には、下記に示される配合比にて、3本ロールにより混練し、スラリー化して内部電極用ペーストとした。すなわち、カーボン含有Ni粉末:44.6重量部、テルピネオール:52重量部、エチルセルロース:3重量部、ベンゾトリアゾール:0.4重量部である。
【0048】
また、下記に示す方法により、誘電体層用ペーストを準備した。すなわち、出発原料として、水熱合成により生成された{{Ba(1−x) Ca}O}(Ti(1−y) Zrで示される組成の誘電体酸化物から成る主成分を用いた。主成分を示す式中の組成比を示す記号A,B,x,yが、
0.990≦A/B<1.010、
0.01≦x≦0.25、
0.1≦y≦0.3の関係の関係にあった。
なお、上記誘電体酸化物の平均粒径は、0.4μm、最大粒径は1.5μmであった。
【0049】
また、主成分100重量%に対して、0.20重量%のMnCOと、0.30重量%のYと、0.16重量%のSiOとを、添加物(添加物全体の平均粒径0.5μm、最大粒径3.3μm)として、各々ボールミルで16時間湿式粉砕し、900℃および3時間の条件で、大気雰囲気中で仮焼きし、その後、解砕のためにボールミルで20時間湿式粉砕し、副成分の添加物とした。そして、主成分と添加物とを、ボールミルで16時間、湿式混合し、チタン酸バリウム系の誘電体材料を得た。
【0050】
この誘電体材料を用いて、下記に示される配合比にて、ジルコニア製ボールを用いてボールミル混合し、スラリー化して誘電体層用ペーストとした。すなわち、誘電体材料:100重量部、アクリル系樹脂:5.0重量部、フタル酸ベンジルブチル:2.5重量部、ミネラルスピリット:6.5重量部、アセトン:4.0重量部、トリクロロエタン:20.5重量部、塩化メチレン:41.5重量部の配合比である。
【0051】
これらのペーストを用い、以下のようにして、図1に示される積層型セラミックチップコンデンサ1を製造した。
まず、誘電体層用ペーストを用いてキャリアフィルム上に10μm厚のシートを、ドクターブレード法などで形成し、この上に内部電極用ペーストを用いて、内部電極パターンを印刷した。
【0052】
その後、キャリヤフィルムから上記のシートを剥離し、内部電極が印刷されたシートを複数枚積層し、加圧接着した。なお、誘電体層2の積層数は100層であった。次いで、積層体を所定サイズに切断した後、脱バインダ処理、焼成および熱処理を連続して下記の条件にて行った。
【0053】
脱バインダ処理
昇温速度:20℃/時間、
保持温度:260℃、
保持時間:8時間、
雰囲気用ガス:加湿したNとHとの混合ガス等。
【0054】
焼成
昇温速度:200℃/時間、
保持温度:1220℃、
保持時間:2時間、
冷却速度:200℃/時間、
雰囲気用ガス:加湿したNとHの混合ガス、
酸素分圧:10−12 atm。
【0055】
熱処理
保持温度:1000℃、
保持時間:3時間、
冷却速度:200℃/時間、
雰囲気用ガス:加湿したNガス、
酸素分圧:10−6atm。
【0056】
なお、それぞれの雰囲気用ガスの加湿には、ウェッターを用い、水温0〜75℃にて行った。
【0057】
得られた焼結体の端面をサンドブラストにて研磨した後、In−Ga合金を塗布して、試験用電極を形成した。このようにして製造した積層コンデンサのサイズは、3.2mm×2.5mm×1.6mmであり、誘電体層2の厚みは5μm、内部電極層3の厚みは1.5μmであった。
【0058】
本実施例の積層コンデンサを100個準備し、これらコンデンサについて、コンデンサ素子本体の積層方向の膨張率と、クラック不良率とを調べた。結果を表1に示す。なお、積層方向の膨張率は、焼成前後において、コンデンサ素子本体の寸法を測定し、その測定結果に基づき算出した。また、クラック不良率は、コンデンサを切断し、その断面を、顕微鏡により観察し、その発生割合(%)を調べた。
【0059】
【表1】
Figure 0004552260
実施例2〜5
ニッケル粉末中のカーボン含有量を、表1に示すように変化させた以外は、実施例1と同様にして積層セラミックコンデンサを製造し、積層方向の膨張率とクラック不良率とを測定した。結果を表1に示す。
【0060】
比較例1
ニッケル粉末中のカーボン含有量を、表1に示すように0.01重量%とした以外は、実施例1と同様にして積層セラミックコンデンサを製造し、積層方向の膨張率とクラック不良率とを測定した。結果を表1に示す。
【0061】
比較例2
ニッケル粉末中のカーボン含有量を、表1に示すように20重量%とした以外は、実施例1と同様にして積層セラミックコンデンサを製造し、積層方向の膨張率とクラック不良率とを測定した。結果を表1に示す。
【0062】
実施例6〜10
誘電体層の積層数を200とした以外は、実施例1〜5と同様にして積層セラミックコンデンサを製造し、積層方向の膨張率とクラック不良率とを測定した。
結果を表2に示す。
【0063】
【表2】
Figure 0004552260
比較例3
ニッケル粉末中のカーボン含有量を、表2に示すように0.01重量%とした以外は、実施例6と同様にして積層セラミックコンデンサを製造し、積層方向の膨張率とクラック不良率とを測定した。結果を表2に示す。
【0064】
比較例4
ニッケル粉末中のカーボン含有量を、表2に示すように20重量%とした以外は、実施例6と同様にして積層セラミックコンデンサを製造し、積層方向の膨張率とクラック不良率とを測定した。結果を表2に示す。
【0065】
評価
積層方向の膨張率は積層数Iに対して、±0.05*I(%)の範囲に入っていることが好ましく、実施例では、全てこの範囲に入り、しかもクラックの不良率が顕著に減少することが確認できた。
【0066】
また、実施例と比較例とを比較することで、カーボンの含有量は、0.02〜15重量%が有効であり、好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.07〜10重量%が有効であり、特に好ましくは0.08〜8重量%、より好ましくは0.09〜6重量%であることが確認できた。
【0067】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、積層セラミックコンデンサなどの電子部品における内部電極層の積層方向における膨張を抑制し、クラックなどの不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の1実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図である。
【符号の説明】
1… 積層セラミックコンデンサ
10… 素子本体
2… 誘電体層
3… 内部電極層
4… 外部電極

Claims (2)

  1. 平均粒径が0.1〜1.0μmで、且つ、粉末の全量を100重量%としてカーボンが0.02〜15重量%含まれているニッケル粉末が分散してある電極用ペーストを準備する工程と、
    電子素子本体となる素子本体用ペーストを準備する工程と、
    前記電極用ペーストおよび素子本体用ペーストを用いて、焼成前のグリーンチップを形成する工程と、
    前記グリーンチップを焼成する工程とを有し、
    前記グリーンチップにおける電極層の積層数が100層以上であり、
    塩化ニッケル蒸気中にカーボン単体またはカーボン化合物を混入、または、不活性ガスまたは水素ガス中に前記カーボン単体またはカーボン化合物を混入して、前記塩化ニッケル蒸気と前記水素ガスとを反応させることにより、前記ニッケル粉末を構成する少なくとも一部のニッケル粒子が、前記カーボンで少なくとも一部被覆されている電子部品の製造方法。
  2. 前記ニッケル粉末に前記カーボンが0.07〜10重量%含まれている請求項1に記載の電子部品の製造方法。
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