JP4566059B2 - 吸収性物品の表面シート - Google Patents
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Description
本出願人は、先にそのような多層構造の不織布に、液透過により親水性が異なる2種以上の繊維を用いることを提案した。
即ち、本出願人は、肌当接面を形成する表面層及び吸収体側に配される裏面層の両層に、それぞれ、液透過後親水性が異なる2種類の繊維を用いて、吸収速度と液戻り防止性とを両立させることを提案し(特許文献1参照)、また、肌当接面を形成する第1層及び吸収体側に配される第2層がそれぞれ親水化処理した繊維で構成し、第1層に、第2層の構成繊維に比べて、水との接触で親水化度が低下し易い繊維を用いることを提案した(特許文献2参照)。
特許文献2の技術は、吸収体に吸収された液体が肌当接面に戻るという、いわゆる液戻りの防止効果がある程度向上するが、吸収性物品やその表面シートに要求される性能は、年々高まっており、近年における要求に充分に応えられない恐れがある。
本発明の吸収性物品は、優れた液戻り防止性を有し、肌当接面の肌触りも良好である。
本発明の吸収性物品の表面シートが用いられる吸収性物品は、一般に、液透過性の表面シートと、液不透過性又は撥水性の裏面シートと、両シート間に位置する液保持性の吸収体とを備えている。
本発明の吸収性物品の表面シートは、以下に詳述する不織布からなる。
これに対して、吸収体側に配される第2層は、その構成繊維の繊度が、第1層の構成繊維のそれよりも大きい。第2層の構成繊維は、繊度が0.2〜16.5dtexであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜7.8dtexである。
本発明においては、このように、着用者の肌に対向する第1層に細い繊維を用い、吸収体に対向する第2層に、第1層よりも太い繊維を用いている。
第1層の構成繊維の繊度d1と、第2層の構成繊維の繊度d2との比(d1/d2)は、0.06〜0.99、特に0.1〜 0.95であることが好ましい。
不織布の電子顕微鏡観察において、第n層の10ヶ所の位置での標準的な太さの繊維を対象として繊維太さを測定し、繊維太さ平均値Dn(μm)を算出する。次にDSC(示差走査熱量測定)などにより、第n層を構成する繊維樹脂を特定し、理論繊維密度Pn(g/cm3)を求める。繊維太さ平均値Dn(μm)と理論樹脂密度Pn(g/cm3)より、繊維長さ10000m当たりのグラム数を算出し、この値を第n層を構成する繊維の繊度(dtex)とする。
尚、各層の構成繊維の繊度は、液透過により親水性が低下し易い繊維と、液透過により親水性が低下し難い繊維とを特に区別しないで測定する。
第1層は、繊度が2.2dtex以下の繊維のみで構成されていることが好ましいが、その他の繊維を付加的に含んでいてもよい。例えば通液性や肌触りをコントロールすることを目的として、繊度0.1〜5.0dtexの繊維を、第1層の繊維全量に対して0.1〜30重量%程度配合することができる。
これに対し、第2層は、液透過により親水性が低下し難い繊維と液透過により親水性が低下し易い繊維との両者を含んでいる。第2層に含まれる液透過により親水性が低下し難い繊維は、水との接触で親水性の程度が低下し難いものであり、第1層を透過した液が、更に第2層を透過して、吸収体に吸収された後であっても、実質的に親水性を維持するものである。
尚、再度、表面シートに液が接触しても、親水性を維持している第2層と液の勢いによって、液を第1層から第2層へ透過させるので、第1層から第2層への液の移行と、第2層から吸収体への移行がスムーズに行われる。
他方、第2層を構成する繊維が、液透過により親水性が低下し難い繊維(以下、第2層中の耐久性繊維ともいう)を含むため、肌当接面側に供給された液(排泄された尿等)が不織布を通過した後に、再度、液が通過する際においても、不織布全体としての通液性が維持されると共に、第2層を構成する繊維が、液透過により親水性が低下し易い繊維(以下、第2層中の非耐久性繊維ともいう)を含むため、第2層を構成する繊維の繊度が高いこととも相俟って、吸収体から肌当接面への液の逆戻りが一層効果的に阻止される。
第2層中の耐久性繊維として用いる繊維も、同様に、疎水性繊維を親水化する際の親水化剤や条件等をコントロールすることで得られる。例えば、親水化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエーテル−ポリエステルブロック共重合体、ポリエーテル変性シリコーン、エチレンオキサイド付加多価アルコールの脂肪酸エステルのような、水と接触しても繊維表面から容易には離脱しない物質を用い、該親水化剤を疎水性繊維の表面に塗布するか、または親水化剤を予め繊維中に練り込んでおくことで得られる。
第2層の耐久性繊維としては、疎水性繊維に親水化処理が施されたものが好ましいが、コットンやレーヨン等の親水性繊維を第2層の全量に対して0.1〜40重量%程度配合してもよい。また、コットン等の天然繊維は、繊度に分布があり、2.2dtex以下の部分も含まれるため、繊維径のコントロールの容易等の観点から、第2層の耐久性繊維としては、親水化処理が施された合成繊維、及び/又はレーヨン等の半合成繊維(再生繊維)を用いることが好ましい。
<沈降時間の測定方法>
表面シートを製造する前の原料段階の繊維を、繊維の種類ごとに均一にほぐして、それを測定に用いる。繊維5.0±0.1gを、ASTM D1117−80 5.2.1.1に記載されている円筒ワイヤー容器にはみ出さないように詰め、この容器を温度23℃のイオン交換水1000ccを満たした口径115mm円筒カップ容器中に浮かべてから、円筒ワイヤ−容器全体が水面下に完全に沈むまでの時間T1(s)を測定する。
次いで、円筒ワイヤー容器内から繊維を取り出して、常温下で風乾させる。風乾させ完全に水分が除去されたのを確認後、風乾した繊維を用いて、上記と同じ操作を行い、風乾した繊維を詰めた円筒ワイヤー容器をイオン交換水を満たした容器内の水面下に強制的に完全に沈ませる。
次に、円筒ワイヤー容器内から繊維を取り出して、常温下で風乾させる。風乾させ完全に水分が除去されたのを確認後、風乾した繊維を用いて、上記と同じ操作を行い、風乾した繊維を詰めた円筒ワイヤー容器をイオン交換水を満たした容器に完全に沈むまでの時間T2(s)を測定する。同じ繊維で同様な測定をn=3行い、平均値を算出し、沈降時間(s)とした。
耐久性繊維及び非耐久性繊維のT1(s)は、100秒以内が好ましく、50秒以内がより好ましく、10秒以内が一層好ましい。また、耐久性繊維のT2(s)は、液透過性との観点から、150秒以下がより好ましく、100秒以下が一層好ましい。
第1層中の非耐久繊維と第2層中の非耐久繊維とは、第1層中の非耐久繊維よりも後者の方が、液透過により親水性が低下する程度が低いことが好ましい。
後述する実施例においては、沈降時間T1(s),T2(s)を測定する方法で、耐久性繊維であるか否か及び非耐久性繊維であるか否かを決定した。
接触角は、繊維上の水滴と繊維表面との角度であり、その接触角が小さい方の親水性が高いと判断することができる。液透過前と、液透過後の接触角を測定する。
測定は繊維の状態でも、不織布の状態でもよい。不織布の状態では、直径10mmの円内に合計50gのイオン交換水を透過させ、30℃で約2時間乾燥した後で、イオン交換水の接触角を測定したものを液透過後の接触角とする。
非耐久性繊維は、液透過前の接触角は30°〜80°が好ましく、液透過後の接触角は50°〜100°であることが好ましい。耐久性繊維は、液透過前の接触角は30°〜80°が好ましく、液透過後の接触角は35°〜80°であることが好ましい。液透過後の接触角が、液透過前の接触角に比べて、20°以上大きくなった場合には、耐久性がないと判断する。
不織布での液透過前の接触角の測定方法は、以下の通りである。
キーエンス製マイクロスコープVH-8000に中倍率ズームレンズ(照明リング付)を90°に倒した状態で使用し、500倍の条件に設定して計測を行った。測定用サンプルは、上下層が一体となった状態のまま、MD150mm×CD70mmの大きさにカットしたものを用いた。測定環境は、20℃/50%RHであり、測定用サンプルは、測定面を上向きにした状態として、ウエブ(不織布)のCD方向から観察できるように測定ステージにセットした。
第1層の構成繊維の接触角を求める場合は、第1層表面の繊維を測定ターゲットとし、第2層の成繊維の接触角を求める場合は、第2層表面(表面シートとして用いる場合には、吸収構体側に向けられる面)の繊維を測定ターゲットとする。通常、多層構造の繊維シートでは、その界面でシートを分けることは可能であるが、界面の状況によっては、別層の繊維が紛れ込む場合がある。このため、何らかの理由で第1層と第2層とを別々に測定しなければならない場合は、重りあっていない面で接触角を測定する。
(イ)繊維上面での接触角を測定する。繊維の上に載った水滴を対象とし、繊維の下まで垂れ下がった水滴や、2本以上の繊維にまたがった水滴では測定しない。
(ロ)繊維が螺旋状等の細かい捲縮を発生している場合は、捲縮が少ないところか、繊維を伸張させて捲縮状態を無くして測定する。
(ハ)接触角の計測結果は、場所を変えた10個の計測値の算術平均とするが、親水度が高いと、計測時繊維上に水滴が留まりにくく、流れてしまう場合がある。その場合、その流れる割合に応じて「接触角」を判断する。
・計測値が10個になるまでに、総測定数(繊維と水との接触が観察された測定箇所の総数,接触後に水滴が流れた場合と流れなかった場合との合計,以下同じ)の40%未満が流れてしまった場合、10個の計測値の平均結果を「接触角」とする。
・計測値が10個になるまでに、総測定数の40%以上が流れてしまった場合、又は、10ヶ所の測定を行った時点で40%以上が流れてしまった場合、「接触角」は20°以下とする。
そして、ウエブがネット又はドラム上に載置された状態下に、第2の繊維ウエブ側、即ち太い繊維からなるウエブ側から熱風を吹き付けて、ウエブにおける繊維どうしの交点を熱融着させる。
第4層の構成繊維の繊度が小さいことにより、吸収体と接触する繊維の本数や接触する長さが増加して、吸収体への液の移行性が向上すると共に、第3層の構成繊維の繊度が大きいことにより、吸収体から表面シートへの液戻りを効果的に防止することができる。
第4層の構成繊維の繊度は、0.5〜15dtexであることが好ましく、より好ましくは1.0〜6.0dtexである。
第3層の構成繊維の繊度d3と、第4層の構成繊維の繊度d4との比(d3/d4)は、1.1〜40、特に1.3〜10であることが好ましい。
第3層の構成繊維の繊度d3と、第2層の構成繊維の繊度d2との比(d3/d2)は、1.0〜 11.0、特に1.3〜5.0であることが好ましい。
第4層の構成繊維の繊度d4と、第2層の構成繊維の繊度d2との比(d4/d2)は、0.006 〜 0.999、特に0.5〜 0.95であることが好ましい。
立体捲縮繊維は、繊維の太さの割に、繊維間に空間を形成する能力に優れている。そのため、立体捲縮繊維を用いることにより、比較的、速度の速い液を、繊維間の比較的広い空間を通じて第4層に良好に移行させることができると共に、比較的速度の遅い液も、繊維を伝って第4層に良好に移動する。これにより、一層液の引き込み性及び液戻り防止性に優れた吸収性物品を得ることができる。
第3層中の立体捲縮繊維の含有量は1〜100質量%、特に30〜100質量%であることが好ましい。
ポリエチレンテレフタレート(PET,芯)/ポリエチレン(PE,鞘)からなる繊度2.0dtex)の芯鞘型複合繊維(オクチルアルコール(EO)1フォスフェート塩で親水化処理したもの、第1層中の非耐久性繊維に相当)を原料として用い、カード法によって第1の繊維ウエブを製造した。坪量は10g/m2であった。
これとは別に、ポリプロピレン(PP,芯)/ポリエチレン(PE,鞘)からなる繊度(5.6dtex)の芯鞘型複合繊維(ポリグリセリン脂肪酸エステルで親水化処理したもの、第2層中の耐久性繊維に相当)、及びポリエチレンテレフタレート(PET,芯)/ポリエチレン(PE,鞘)からなる繊度(5.6dtex)の芯鞘型複合繊維(ソルビタン脂肪酸エステルで親水化処理したもの、第2層中の非耐久性繊維に相当)をカード機により混綿して、これを原料としてカード法によって第2の繊維ウエブを製造した。坪量は15g/m2であった。
第1層及び第2層の構成繊維として表1に示すものを用い、実施例1と同様にしてエアスルー不織布及び使い捨ておむつを得た。
第1層及び第2層の構成繊維として表1に示すものを用い、実施例1と同様にして表面シート用のエアスルー不織布を製造すると共に、以下のようにして中間シート用の不織布を製造し、そのエアスルー不織布を表面シートとして用いると共に、その表面シートとその下の吸収体との間に中間シートを介在させた以外は、実施例と同様にして使い捨ておむつを得た。
第4の繊維ウエブ上に第3の繊維ウエブを重ね合わせ、両者をワイヤーメッシュからなる金属製の無端縁ネット上に載置した。このとき、第3の繊維ウエブがネットに対向するようにウエブを載置した。ネットを20m/分の速度で走行させながら、第4の繊維ウエブの側から温度140℃の熱風を60m/分の速度で18秒間吹き付けた。これによりウエブの構成繊維の交点を熱融着させ、坪量26g/m2のエアスルー不織布を得た。得られた不織布は、繊度7.8dtexの繊維からなる第3層と、3.3dtexである2種類の繊維からなる第4層との2層構造であった。
20人の女性をモニターにして官能試験を行い、以下の評価基準でおむつにおける表面シートの風合いを点付けし、その平均点を算出した。官能試験の項目は柔らかさ、滑らかさ、肌触りとし、比較例1のおむつにおける表面シートを基準とした。
評価基準
+5点…良い
+4点…やや良い
+3点…どちらでもない(比較例1)
+2点…やや悪い
+1点…悪い
使い捨ておむつの中央部の表面シート上から生理用食塩水200gを吸収させ10分間放置した。次いで、生理用食塩水の吸収部位上にアドバンテック製のNo.4Aろ紙20枚重ね、更にその上に荷重を2分間加えて生理食塩水をろ紙に吸収させた。荷重は10cm×10cmの面積に34.3Nが加わるようにした。2分経過後荷重を取り除き、生理食塩水を吸収したろ紙の重量を測定した。この重量から吸収前のろ紙の重量を差し引き、その値をウエットバック量とした。
使い捨ておむつを、その表面材が上方を向くように、45度に傾斜した板の上に固定した。おむつの上側の端部から200mm内側の位置に、生理食塩水を50g流し、生理食塩水が表面材上を伝って流れ落ちる距離を測定した。同様の測定を3回繰り返し、各回の距離を測定した。この距離が短い程、液の引き込み性に優れていることを意味する。評価は以下の基準で行った。
○・・初回の液流れ距離が60mm超〜100mmで、且つ繰り返し測定しても液流れ距離が長くならない。
△・・初回の液流れ距離は100mm以下であるが、繰り返しの測定により徐々に液流れ距離が長くなる。但し、液流れ距離は200mmを超えず、おむつ端部から液が漏れることはない。
×・・初回又は繰り返しの測定で、液流れ距離が200mmを超え、おむつ端部から液が漏れ出る。
Claims (1)
- 液透過性の表面シート、液不透過性又は撥水性の裏面シート、及び両シート間に位置する吸収体を備え、且つ前記表面シートと前記吸収体との間に中間シートが配されている吸収性物品において、
前記液透過性の表面シートは、肌当接面を形成する第1層と、該第1層に隣接し、吸収体側に配される第2層とを有し、
第1層は、繊度が2.2dtex以下で且つ液透過により親水性が低下し易い繊維からなり、
第2層は、第1層の構成繊維より繊度が大きい繊維から構成され、液透過により親水性が低下し難い繊維と液透過により親水性が低下し易い繊維とを含んでおり、
前記第2層を構成する、前記液透過により親水性が低下し難い繊維と前記液透過により親水性が低下し易い繊維との質量比が30:70〜70:30であり、
前記中間シートは、前記表面シート側に位置する第3層と、該第3層に隣接し、前記吸収体側に位置する第4層とを有しており、第3層の構成繊維の繊度が、第4層の構成繊維の繊度より大きく、
前記第3層の構成繊維の繊度は、前記第2層の構成繊維の繊度と同じか又はそれより大きく、
前記第4層の構成繊維の繊度は、前記第2層の構成繊維の繊度より小さく、
前記第3層及び第4層の構成繊維は、液透過により親水性が低下し難い繊維であり、
前記第3層の前記構成繊維の全体又は一部が立体捲縮繊維である、吸収性物品。
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