JP4572004B2 - 粘着剤組成物とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリル系共重合体の架橋ポリマ―を含有する粘着剤組成物とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、包装用粘着テ―プ、塗装用マスキング用粘着テ―プ、生理用品用粘着テ―プ、紙オムツ固定用粘着テ―プおよび粘着ラベルなど、圧着する程度で簡単に接着することが要求される用途に対して、エマルシヨン型、ホツトメルト型、溶剤型などの粘着剤が用いられている。
【0003】
エマルシヨン型の粘着剤は、粘着樹脂であるポリマ―粒子が水中に分散されているため、基材への塗工後、最終的に水分を除去する必要があり、乾燥効率や省エネルギ―性の理由から、製造面での不利があつた。一方、ホツトメルト型の粘着剤は、工程上での安全性や経済性などの面ですぐれており、たとえば、スチレン−イソプレンブロツク共重合体を主成分としたものが知られているが、一般的に、粘着特性、たとえば耐光性や耐反撥性などが良くないことから、この粘着剤を用いた製品の経日による性能劣化が問題となつていた。
【0004】
また、溶剤型の粘着剤としては、アクリル系やゴム系などが知られているが、近年、乾燥効率や省エネルギ―性および作業環境の面から、溶剤の使用量をできるだけ削減することが要望されている。この要望に対して、ポリマ―重合時の溶剤を少なくすると、発生する重合熱の制御の点から、製造時の安全性に問題があり、また塗工時の粘度上昇のために、基材上に均一な厚さで塗工できないという欠点があつた。このような欠点を解決するために、溶剤型の粘着剤において、使用するポリマ―の分子量を低下させる試みが種々なされてきたが、それだけでは粘着剤本来の特性を満足させることはできなかつた。
【0005】
このため、ポリマ―の分子量を低下させるとともに、粘着剤本来の特性を同時に満足させる方法として、基材上に塗工する際は低粘度つまり低分子量であり、その後ポリマ―の分子量を高くする手法が有効であると考えられ、上記塗工後の高分子量化の方法として、電子線を照射する方法、イソシアネ―ト基と水酸基との化学反応などを利用する方法が考えられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電子線を照射する方法では、高分子量化に際して、架橋点を制御することが困難であり、またイソシアネ―ト基と水酸基との化学反応などを利用する方法では、架橋性官能基の導入位置をコントロ―ルしてポリマ―をできるだけ直線状に高分子量化させることが困難であり、このため、いずれの方法も、アクリル系粘着剤としての本来の粘着特性を十分に満足させることはできなかつた。しかも、イソシアネ―ト基と水酸基との化学反応などを利用する方法では、反応時間の制御、つまり、ポツトライフをコントロ―ルすることも困難であり、これが塗工作業性などを低下させる原因ともなつていた。
【0007】
本発明は、このような事情に照らして、大量の溶剤や水を用いないため、環境衛生、安全性および経済性の問題がなく、しかも低粘度でかつポツトライフの問題がないため、塗工作業性などにすぐれるとともに、アクリル系本来の良好な粘着特性を発揮する、とくに粘着力および凝集力にすぐれるアクリル系粘着剤組成物とその製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的に対して、鋭意検討した結果、アクリル系単量体と分子内にエポキシ基または水酸基を有する単量体を、特定の活性化剤と重合開始剤を用いて、リビングラジカル重合させるようにすると、無溶剤または少量の溶剤の存在下で、重合熱などの安全性の問題を生じることなく、分子鎖中の好ましくは分子鎖末端またはその近傍部に上記官能基を導入した塗工可能な粘度を示すアクリル系共重合体を合成でき、これを上記エポキシ基を利用して、または別途配合したエポキシ化合物のエポキシ基を利用して、架橋反応させ、これにより主鎖延長と網状化とを同時に行わせて、分子鎖長の長い架橋ポリマ―を生成させることにより、大量の溶剤や水を用いないため、環境衛生、安全性および経済性の問題がなく、しかも低粘度でかつ上記エポキシ架橋反応ではポツトライフが長く反応のコントロ―ルが容易なため、塗工作業性などにすぐれ、そのうえアクリル系本来の良好な粘着特性を発揮する、とくに粘着力および凝集力にすぐれる粘着剤組成物が得られることを知り、本発明を完成するに至つた。
【0009】
すなわち、本発明は、式(1A);CH2 =C(R1 )COOR2 (式中、R1 は水素またはメチル基、R2 は炭素数2〜14のアルキル基である)で表されるアクリル系単量体と、分子内にエポキシ基を有する単量体および/または分子内に水酸基を有する単量体とを含む単量体混合物を、遷移金属とその配位子の存在下、重合開始剤を用いて、リビングラジカル重合すると共に、この重合に際し、重合開始剤として分子内にエポキシ基または水酸基を有する重合開始剤を使用するか、または/および、上記の分子内にエポキシ基を有する単量体および/または分子内に水酸基を有する単量体を重合転化率が80重量%以上となる重合後期に添加することにより、式(1);−〔CH 2 −C(R 1 )COOR 2 〕−(式中、R 1 は水素またはメチル基、R 2 は炭素数2〜14のアルキル基である)で表される構造単位を有し、かつ分子鎖中に官能基としてエポキシ基または/および水酸基を有するアクリル系共重合体を生成し、この共重合体をこれに含まれるエポキシ基および/またはこれに配合されるエポキシ化合物のエポキシ基を利用してエポキシ架橋することにより、架橋ポリマーを生成することを特徴とする粘着剤組成物の製造方法(請求項1〜10)に係るものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
リビングラジカル重合法に関しては、たとえば、(1)Pattenらによる報告、“Radical Polymerization Yielding Polymers with Mw/Mn 〜 1.05 by Homogeneous Atom Transfer Radical Polymerization ”Polymer Preprinted,pp 575-6,No37(March 1996)、(2)Matyjasewskiらによる報告、“Controlled/Living Radical Polymerization. Halogen Atom Transfer Radical Polymerization Promoted by a Cu(I)/Cu(II)Redox Process ”Macromolecules 1995,28,7901-10(October 15,1995)、(3)同著PCT/US96/03302,International Publication No.WO96/30421 (October 3,1996)、(4)M.Sawamotoらの報告、“Ruthenium-mediated Living Radical polymerization of Methyl Methacrylate ”Macromolecules,1996,29,1070.などが知られている。
【0011】
本発明者らは、このようなリビングラジカル重合法に着目し、活性化剤としてとくに遷移金属とその配位子を使用し、これらの存在下、重合開始剤を用いて、アクリル系単量体と分子内にエポキシ基を有する単量体および/または分子内に水酸基を有する単量体を含む単量体混合物を、リビングラジカル重合させると、上記単量体混合物の共重合体からなる、分子内にエポキシ基および/または水酸基を有するアクリル系共重合体を容易に生成できることを見い出した。
【0012】
遷移金属としては、Cu、Ru、Fe、Rh、VまたはNiがあり、通常、これら金属のハロゲン化物(塩化物、臭化物など)の中から、用いられる。また、配位子は、遷移金属を中心にして配位して錯体を形成するものであつて、ビピリジン誘導体、メルカプタン誘導体、トリフルオレ―ト誘導体などが好ましく用いられる。遷移金属とその配位子の組み合わせの中でも、Cu+1−ビピリジン錯体が、重合の安定性や重合速度の面で、最も好ましい。
【0013】
重合開始剤としては、α−位にハロゲンを含有するエステル系またはスチレン系誘導体が好ましく、とくに2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸誘導体、塩化(または臭化)1−フエニル誘導体が好ましく用いられる。具体的には、2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸メチル、2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸エチル、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオン酸エチル、塩化(または臭化)1−フエニルエチル、エチレンビス(2−ブロモ−2−メチルプロピオネ―ト)などを挙げることができる。
【0014】
本発明に使用する単量体混合物は、アクリル系単量体を主成分とし、これに分子内にエポキシ基を有する単量体および/または分子内に水酸基を有する単量体を含ませてなるもので、必要により、改質用単量体として、アルキル基の炭素数が2未満であるか14を超える(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、マレイン酸のモノまたはジエステル、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ―ト、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレ―ト、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンなどや、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレなどのスチレン系モノマ―などの各種単量体を含ませてもよい。
【0015】
アクリル系単量体は、式(1A);CH2 =C(R1 )COOR2 (式中、R1 は水素またはメチル基、R2 は炭素数2〜14のアルキル基である)で表される(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。その中でも、R2 からなるアルキル基が炭素数4〜12の範囲にあるもの、たとえば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニルなどがとくに好ましく用いられる。
【0016】
分子内にエポキシ基を有する単量体は、式(2A);CH2 =C(R3 )COOR4 (式中、R3 は水素またはメチル基、R4 はエポキシ基を含有するアルキル基である)で表されるものである。具体的には、グリシジル(メタ)アクリレ―ト、メチルグリシジル(メタ)アクリレ―ト、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ―ト、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレ―トなどを挙げることができる。
【0017】
分子内に水酸基を有する単量体は、式(3A);CH2 =C(R5 )COOR6 (式中、R5 は水素またはメチル基、R6 は水酸基を少なくとも1個有する炭素数2〜6のアルキル基である)で表されるものである。具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ―ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ―ト、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ―ト、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレ―トなどを挙げることができる。
【0018】
単量体混合物において、主成分であるアクリル系単量体の使用量は、単量体混合物中、通常50重量%以上、好ましくは60重量%以上であり、また分子内にエポキシ基を有する単量体の使用量は、30重量%以下、好ましくは10重量%以下であり、さらに分子内に水酸基を有する単量体の使用量は、10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。また、前記の改質用単量体の使用量は、30重量%以下、好ましくは20重量%以下であるのがよい。このような割合で使用することにより、架橋後の粘着特性に好結果が得られる。
【0019】
リビングラジカル重合において、重合開始剤としては、上記の単量体混合物に対して、通常0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜2モル%の割合で用いられる。また、遷移金属の使用量は、ハロゲン化物などの形態として、上記の重合開始剤1モルに対して、通常0.01〜3モル、好ましくは0.1〜1モルの割合で用いられる。さらに、その配位子は、上記の遷移金属(ハロゲン化物などの形態)1モルに対して、通常1〜5モル、好ましくは2〜3モルの割合で用いられる。重合開始剤と活性化剤とをこのような割合で使用すると、リビングラジカル重合の反応性、生成ポリマ―の分子量などに好結果が得られる。
【0020】
このようなリビングラジカル重合は、無溶剤でも進行させることができるし、酢酸ブチル、トルエン、キシレンなどの溶剤の存在下で進行させてもよい。溶剤を用いる場合、重合速度の低下を防ぐため、重合終了後の溶剤濃度が50重量%以下となる少量の使用量とするのがよい。無溶剤または少量の溶剤量とすることで、環境衛生、安全性、経済性の面で好結果が得られる。また、重合条件は、重合速度や触媒の失活の点より、70〜130℃の重合温度で、最終的な分子量や重合温度にも依存するが、約1〜100時間の重合時間とすればよい。
【0021】
本発明において、上記のリビングラジカル重合で得られるアクリル系共重合体は、前記式(1A)で表されるアクリル系単量体に由来する式(1);−〔CH2 −C(R1 )COOR2 〕−(式中、R1 は水素またはメチル基、R2 は炭素数2〜14のアルキル基である)で表される構造単位を必須成分とするとともに、分子内にエポキシ基を有する単量体および/または分子内に水酸基を有する単量体に由来する構造単位をも有し、また前記の改質用単量体を使用したものでは、この改質用単量体に由来する構造単位も有するものである。
【0022】
このような構造単位を有する本発明のアクリル系共重合体には、(イ)1分子中に少なくとも2個のエポキシ基が含まれているアクリル系共重合体、(ロ)1分子中に少なくとも1個のエポキシ基と少なくとも1個の水酸基が含まれているアクリル系共重合体、および(ハ)1分子中に少なくとも2個の水酸基が含まれているアクリル系共重合体があり、そのいずれであつてもよい。
【0023】
上記(イ)のアクリル系共重合体は、エポキシ基が分子鎖末端または末端近傍部に含まれているのが望ましい。このようなアクリル系共重合体は、共重合成分として分子内にエポキシ基を有する単量体を用い、またこれと分子内にエポキシ基を有する重合開始剤を使用することにより、容易に合成できる。
【0024】
リビングラジカル重合において、分子内にエポキシ基を有する単量体を用いると、この単量体の添加時点に応じて、共重合体分子鎖の任意位置にエポキシ基を導入できる。そこで、上記の単量体を重合後期に添加する、つまり重合転化率が80重量%以上に達した時点で添加すると、共重合体分子鎖の停止末端またはその近傍部にエポキシ基を導入でき、その際1分子中に2個の開始点を有する重合開始剤を用いると、2個のエポキシ基が共重合体分子鎖にテレケリツク型に導入されることになる。また、テレケリツク型の別の導入方法として、上記単量体を重合初期と重合後期に分けて添加して、共重合体分子鎖の開始末端またはその近傍部と停止末端またはその近傍部とにエポキシ基を導入するようにしてもよい。このようなアクリル系共重合体では、これをエポキシ架橋し硬化させたときに、共重合体分子鎖がより直線状に延長され、架橋間距離のばらつきの小さい均一な架橋ポリマ―を生成し、粘着特性の向上に好結果を与える。
【0025】
また、分子内にエポキシ基を有する重合開始剤を使用すると、共重合体分子鎖の開始末端にエポキシ基を導入できる。そこで、前記した分子内にエポキシ基を有する単量体を重合後期に添加して、共重合体分子鎖の停止末端またはその近傍部にエポキシ基を導入する一方、上記の分子内にエポキシ基を有する重合開始剤を使用して、共重合体分子鎖の開始末端にエポキシ基を導入するようにすると、2個のエポキシ基が共重合体分子鎖にテレケリツク型に導入されることになる。その結果、このアクリル系共重合体をエポキシ架橋し硬化させると、共重合体分子鎖がより直線状に延長されて、架橋間距離のばらつきの小さい均一な架橋ポリマ―を生成し、粘着特性の向上に好結果が得られるものである。
【0026】
上記の分子内にエポキシ基を有する重合開始剤としては、α−位にハロゲンを含有するエステル系またはスチレン系誘導体であつて、その分子内にエポキシ基を有するもので、リビングラジカル重合の進行を阻害するものでない限り、使用することができる。具体的には、2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸グリシジル、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオン酸グリシジル、2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオン酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチルなどを挙げることができる。
【0027】
上記(ロ)のアクリル系共重合体は、エポキシ基が共重合体分子鎖の一方の末端または末端近傍部に含まれ、水酸基が上記分子鎖の他方の末端または末端近傍部に含まれているのが望ましい。このようなアクリル系共重合体は、たとえば、▲1▼共重合成分として分子内にエポキシ基を有する単量体と分子内に水酸基を有する単量体とを併用することにより、また、▲2▼共重合成分として分子内にエポキシ基を有する単量体を使用するとともに、分子内に水酸基を有する重合開始剤を使用することにより、さらには、▲3▼共重合成分として分子内に水酸基を有する単量体を使用するとともに、分子内にエポキシ基を有する重合開始剤を使用することにより、いずれも、容易に合成することができる。
【0028】
上記▲1▼の方法では、分子内にエポキシ基を有する単量体を重合初期に添加するとともに、分子内に水酸基を有する単量体を重合後期に添加することにより、またこれとは逆に、分子内に水酸基を有する単量体を重合初期に添加するとともに、分子内にエポキシ基を有する単量体を重合後期に添加することにより、共重合体分子鎖の開始末端またはその近傍部にエポキシ基(または水酸基)を、停止末端またはその近傍部に水酸基(またはエポキシ基)を導入することができ、これによりエポキシ基と水酸基が共重合体分子鎖にテレケリツク型に導入されることになる。その結果、このアクリル系共重合体をエポキシ基相互間でまたはエポキシ基と水酸基との間で架橋し硬化させることにより、共重合体分子鎖がより直線状に延長されて、架橋間距離のばらつきの小さい均一な架橋ポリマ―を生成し、粘着特性の向上に好ましい結果が得られるものである。
【0029】
上記▲2▼の方法では、分子内に水酸基を有する重合開始剤を使用して、共重合体分子鎖の開始末端に水酸基を導入するとともに、分子内にエポキシ基を有する単量体を重合後期に添加して、共重合体分子鎖の停止末端またはその近傍部にエポキシ基を導入することにより、エポキシ基と水酸基とが共重合体分子鎖にテレケリツク型に導入されることになる。同様に、上記▲3▼の方法では、分子内にエポキシ基を有する重合開始剤を使用して、共重合体分子鎖の開始末端にエポキシ基を導入するとともに、分子内に水酸基を有する単量体を重合後期に添加して、共重合体分子鎖の停止末端またはその近傍部に水酸基を導入することにより、エポキシ基と水酸基とがやはり共重合体分子鎖にテレケリツク型に導入されることになる。これらのアクリル系共重合体も、前記と同様に、エポキシ基相互間でまたはエポキシ基と水酸基との間で架橋し硬化させることにより、共重合体分子鎖がより直線状に延長されて、架橋間距離のばらつきの小さい均一な架橋ポリマ―を生成し、粘着特性の向上に好ましい結果が得られるものである。
【0030】
上記の分子内にエ水酸基を有する重合開始剤としては、α−位にハロゲンを含有するエステル系またはスチレン系誘導体であつて、その分子内に水酸基を有するもので、リビングラジカル重合の進行を阻害するものでない限り、使用することができる。具体的には、2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸2−ヒドロキシエチル、2−ブロモ(またはクロロ)プロピオン酸4−ヒドロキシブチル、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオン酸2−ヒドロキシエチル、2−ブロモ(またはクロロ)−2−メチルプロピオン酸4−ヒドロキシブチルなどを挙げることができる。
【0031】
上記(ハ)のアクリル系共重合体は、水酸基が分子鎖末端または末端近傍部に含まれているのが望ましい。このようなアクリル系共重合体は、共重合成分として分子内に水酸基を有する単量体を使用することにより、またこれと分子内に水酸基を有する重合開始剤を使用することにより、容易に合成できる。
【0032】
分子内に水酸基を有する単量体を重合後期に添加して、共重合体分子鎖の停止末端またはその近傍部に水酸基を導入し、その際に1分子中に2個の開始点を有する重合開始剤を使用することにより、また上記単量体を重合初期と重合後期に分けて添加して共重合体分子鎖の開始末端またはその近傍部と停止末端またはその近傍部とに水酸基を導入することにより、さらには、分子内に水酸基を有する単量体を重合後期に添加して共重合体分子鎖の停止末端またはその近傍部に水酸基を導入するとともに、分子内に水酸基を有する重合開始剤を使用して共重合体分子鎖の開始末端に水酸基を導入することにより、2個の水酸基が共重合体分子鎖にテレケリツク型に導入されたアクリル系共重合体を生成することができる。このようなアクリル系共重合体では、これにエポキシ化合物を配合して、そのエポキシ基と上記共重合体の水酸基との間でエポキシ架橋を行わせることにより、共重合体分子鎖がより直線状に延長され、架橋間距離のばらつきの小さい均一な架橋ポリマ―を生成し、粘着特性の向上に好結果が得られる。
【0033】
本発明において、上記(イ)〜(ハ)のアクリル系共重合体は、GPC(ゲルパ―ミエ―シヨンクロマトグラフイ―)によりポリスチレン換算にて求められる数平均分子量が、5,000〜500,000の範囲、好ましくは10,000〜200,000の範囲にあり、無溶剤または少量の溶剤量で塗工可能な粘度を示し、このため、塗工作業性などに支障をきたすことはない。
【0034】
なお、上記のアクリル系共重合体の数平均分子量(Mn)は、重合開始剤と単量体混合物のモル比から、Mn(計算値)=Σ(総和)〔各単量体体の分子量×(各単量体のモル比)/(重合開始剤のモル比)〕として、求められるものである。したがつて、理論的には、上記各原料成分の仕込み比率を調整することで、数平均分子量を任意に制御することが可能である。
【0035】
本発明においては、このようなアクリル系共重合体をエポキシ架橋して、主鎖延長と網状化を同時に行わせて分子鎖長の長い架橋ポリマ―を生成させ、これを主剤成分することにより、アクリル系本来の良好な粘着特性を発揮する、とくに粘着力および凝集力にすぐれる粘着剤組成物を調製することができる。ここで、(イ)のアクリル系共重合体ではこれに含まれるエポキシ基相互の反応により、また、(ロ)のアクリル系共重合体ではこれに含まれるエポキシ基と水酸基との反応により、それぞれ、エポキシ架橋させることができる。
【0036】
さらに、(ハ)のアクリル系共重合体では、この共重合体に対して架橋助剤としてエポキシ化合物を配合し、この化合物に含まれるエポキシ基と上記共重合体に含まれる水酸基との反応により、エポキシ架橋させることができる。なお、上記の架橋助剤としてのエポキシ化合物を、前記の(イ)または(ロ)のアクリル系共重合体に配合して、架橋反応を助長させるようにしてもよい。このようなエポキシ架橋反応では、ポツトライフが長く反応のコントロ―ルが容易なために、塗工作業性などを悪化させるおそれがなく、従来に比べて有利である。
【0037】
上記のエポキシ化合物としては、分子内に2個またはそれ以上のエポキシ基を有する化合物であり、たとえば、エチレングリコ―ルジグリシジルエ―テル(以下、EGDと略称する)、グリセリンジグリシジルエ―テル、式(E1)で表されるビニルシクロヘキセンジオキサイド、式(E2)で表されるリモネンジオキサイド、式(E3)で表される3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキシルカルボキシレ―ト(以下、BEPと略称する)、式(E4)で表されるビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペ―ト、式(E5)で表される三官能性エポキシ化合物(以下、3EPと略称する)、式(E6)で表される四官能性エポキシ化合物(以下、4EPと略称する)などが挙げられる。これらのエポキシ化合物の使用量としては、良好な粘着特性を得るため、アクリル系共重合体100重量部あたり、通常50重量部以下、好ましくは30重量部以下となるようにするのがよい。
【0038】
【化1】
Figure 0004572004
【0039】
【化2】
Figure 0004572004
【0040】
上記(イ)〜(ハ)のアクリル系共重合体のエポキシ架橋反応は、150℃以上の温度に加熱して行つてもよいが、より好ましくはオニウム塩系硬化触媒を配合し、紫外線を照射して行うのがよい。この紫外線照射方式は、加熱方式に比べて、省エネルギ―性、効率性、支持体などに耐熱性が要求されない(つまり、適用対象の非制約性)などの点で、有利である。上記オニウム塩系硬化触媒には、ArN2 + Q- 、Y3 S+ Q- またはY2 I+ Q- 〔式中、Arはビス(ドデシルフエニル)基などのアリ―ル基、Yはアルキル基もしくは上記同様のアリ―ル基、Q- はBF4 - 、PF6 - 、As F6 - 、SbF6 - 、SbCl6 - 、HSO4 - 、Clなどの非塩基性かつ求核性の陰イオンである〕で表されるジアゾニウム塩、スルホニウム塩またはヨ―ドニウム塩などが用いられる。
【0041】
具体的には、ビス(ドデシルフエニル)ヨ―ドニウム・ヘキサフルオロアンチモネ―ト、ビス(t−ブチルフエニル)ヨ―ドニウム・ヘキサフルオロフオスフエ―ト、ビス(t−ブチルフエニル)ヨ―ドニウム・トリフルオロメタンスルホフオネ―ト、トリフエニルスルフオニウム・トリフルオロメタンスルフオネ―ト、ビフエニルヨ―ドニウム・トリフルオロメタンスルフオネ―ト、フエニル−(3−ヒドロキシ−ぺンタデシルフエニル)ヨ―ドニウム・ヘキサフルオロアンチモネ―ト、およびこれら成分を含む化合物などが挙げられる。また、上記の成分を含んでなる各種の混合物、たとえば、ビス(ドデシルフエニル)ヨ―ドニウム・ヘキサフルオロアンチモネ―トを45重量%含む化学品である東芝シリコ―ン(株)製の「UV−9380C」なども使用できる。これらオニウム塩系硬化触媒の使用量は、主剤であるアクリル系共重合体100重量部に対して、0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜5重量部とするのがよい。過少では架橋反応による硬化性に乏しく、過多となると粘着特性が悪くなる。
【0042】
このようなオニウム塩系硬化触媒の存在下、紫外線を照射する方式では、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどの適宜の紫外線源を用いて行うことができる。照射量はとくに限定されないが、通常は50mJ〜5J/cm2 とするのがよい。その際、必要により、短波長側の紫外線をカツトするフイルタやポリエステルシ―トを使用してもよい。また、照射温度はとくに限定されないが、通常は室温〜120℃の条件を選択することができる。
【0043】
本発明の粘着剤組成物は、上記(イ)〜(ハ)のアクリル系共重合体を上述のようにエポキシ架橋してなる架橋ポリマ―を主剤成分とするほか、必要により、粘着付与樹脂、充填剤、老化防止剤、顔料などの一般の粘着剤組成物に配合される各種の添加剤を含ませることができる。
【0044】
本発明の粘着剤組成物を使用するにあたつては、たとえば、紙、プラスチツクラミネ―ト紙、布、プラスチツクラミネ―ト布、プラスチツクフイルム、金属箔、発泡体などを支持体とし、この支持体の片面または両面に、エポキシ架橋する前の粘着剤組成物を、ホツトメルトコ―タ、コンマロ―ル、グラビアコ―タ、ロ―ルコ―タ、キスコ―タ、スロツトダイコ―タ、スクイズコ―タなどの適宜な塗工手段で塗工し、必要により乾燥したのち、前記方法でエポキシ架橋させることにより、厚さが片面で通常10〜100μmとなる粘着剤層を形成して、テ―プ状やシ―ト状などの粘着シ―ト類とすることができる。
【0045】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。
なお、実施例で使用したアクリル系共重合体 (1)〜(15)と、比較例で使用したアクリル系共重合体(16),(17)は、それぞれ、下記の製造例1〜15と比較製造例1,2により、製造したものである。
【0046】
なおまた、下記の製造例1〜15において、重合開始剤である、2−ブロモプロピオン酸2−ヒドロキシエチル(以下、単に2−H2PNという)、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸2−ヒドロキシエチル(以下、単に2−H2MPNという)、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(以下、単に2−MPEという)、2−ブロモプロピオン酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(以下、単に2−HPEという)、エチレンビス(2−ブロモ−2−メチルプロピオネ―ト)(以下、単にEBMPという)は、それぞれ、下記の方法で合成したものである。
【0047】
<2−H2PNの合成>
ジシクロヘキシルカルボジイミド4.1g(20ミリモル),無水エチレングリコ―ル5g(81ミリモル)とピリジン1ml(12ミリモル)を反応容器に入れ、これにアセトン14mlと2−ブロモプロピオン酸1.5ml(16.7ミリモル)との混合物を、発熱反応を抑えるために、氷浴で冷却しながら、添加した。終夜反応させたのち、析出物をろ去し、これに酢酸エチル20mlと飽和食塩水15mlを加え、よく振とうした。しばらく静置後、上層の酢酸エチル層を希塩酸で2回、飽和食塩水15mlで3回洗浄したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを除去したのち、酢酸エチルを留去し、粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフイ―法(展開溶剤:酢酸エチル/ヘキサン=1/1混合溶剤)で精製し、目的物である2−H2PNを得た。この2−H2PNの収量は1.4g(収率43重量%)であつた。
【0048】
<2−H2MPNの合成>
2−ブロモプロピオン酸の代わりに、2−ブロモ−2メチルプロピオン酸を用いた以外は、上記の2−H2PNの合成と同様の操作により、2−H2MPNを合成した。
【0049】
<2−MPEの合成>
3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアルコ―ル41.7g(326ミリモル)、トリエチルアミン50ml(359ミリモル)、ピリジン10ml(124ミリモル)およびアセトン350mlを反応容器に入れ、これにアセトン150mlと2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸ブロミド40.3ml(326ミリモル)との混合物を、発熱反応を抑えるために、氷浴で冷却しながら、添加した。終夜反応させたのち、析出物をろ去し、これからアセトンを減圧留去して、粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフイ―法(展開溶剤:アセトン/ヘキサン=2/1混合溶剤)で精製し、目的物である2−MPEを得た。この2−MPEの収量は34g(収率38重量%)であつた。
【0050】
<2−HPEの合成>
2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸ブロミドの代わりに、2−ブロモプロピオン酸ブロミドを用いた以外は、上記の2−MPEの合成と同様の操作により、2−HPEを合成した。
【0051】
<EBMPの合成>
無水エチレングリコ―ル12ml(215ミリモル)とピリジン10ml(100ミリモル)を反応容器に入れ、これにアセトン350mlと2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸ブロミド75g(326ミリモル)を、発熱反応を抑えるために、氷浴で冷却しながら、添加した。終夜反応させたのち、析出物をろ去し、これに酢酸エチル1リツトルと飽和食塩水500mlとを加え、よく振とうした。しばらく静置後、上層の酢酸エチル層を希塩酸で2回、飽和食塩水500mlで3回洗浄したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを除去したのち、酢酸エチルを減圧留去し、粗生成物を得た。この粗生成物をシリカゲルクロマトグラフイ―法(展開溶剤:酢酸エチル/ヘキサン=1:1混合溶剤)で精製し、目的物であるEBMP(1分子中に2個の開始点を有する)を得た。このEBMPの収量は52g(収率67重量%)であつた。
【0052】
製造例1
メカニカルスタ―ラ、窒素導入口、冷却管、ラバ―セプタムを備えた4つ口フラスコに、アクリル酸ブチル72.8g(568ミリモル)を入れ、これに2,2′−ビピリジン820mg(5.25ミリモル)を加え、系内を窒素置換した。これに窒素気流下、臭化銅250mg(1.74ミリモル)を加え、反応系を100℃に加熱し、重合開始剤として2−MPEを461mg(1.74ミリモル)加えて重合を開始し、溶剤を加えずに窒素気流下、100℃で12時間重合した。重合率(加熱して揮発成分を除去したポリマ―重量を、揮発成分を除去する前の重合溶液そのままのポリマ―重量で割つた値で定義される割合)が90重量%以上であることを確認したのち、重合系に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレ―ト475g(2.61ミリモル)をラバ―セプタムから添加し、これをさらに20時間加熱した。得られた重合物を酢酸エチルに20重量%程度に希釈して、触媒をろ去し、酢酸エチルを除去した。残さに冷アセトニトリルを加え、ポリマ―油状物をよく洗浄したのち、沈殿したポリマ―油状物を減圧加熱(60℃)して、アクリル系共重合体 (1)を製造した。
【0053】
製造例2〜13
アクリル酸ブチル568ミリモルに対し、重合開始剤の種類と量、分子内にエポキシ基または水酸基を有する単量体の種類と量を、表1のように変更した以外は、製造例1と同様の手法により、アクリル系共重合体 (2)〜(13)を製造した。各重合に際して、臭化銅の使用量は重合開始剤と同モル量とし、2,2′−ビピリジンはその3倍モル量使用した。
【0054】
なお、表1において、「3,4−ECHMA」は3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレ―ト、「3,4−ECHMMA」は3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレ―ト、「6−HHA」は6−ヒドロキシヘキシルアクリレ―ト、「2−HHA」は2−ヒドロキシエチルアクリレ―トである。また、表1に記載される( )内の数値は、各原料成分のモル数(ミリモル)を示したものである。さらに、表1には、製造例1の使用原料などについても、参考のために、併記した。
【0055】
Figure 0004572004
【0056】
製造例14
メカニカルスタ―ラ、窒素導入口、冷却管、ラバ―セプタムを備えた4つ口フラスコに、アクリル酸ブチル72.8g(568ミリモル)を入れ、これに2,2′−ビピリジン1.64g(10.5ミリモル)を加えて、系内を窒素置換した。これに窒素気流下、臭化銅500mg(3.48ミリモル)を加え、反応系を100℃に加熱し、重合開始剤としてのEBMPを627mg(1.74ミリモル)加えて重合を開始し、溶剤を加えずに窒素気流下で、100℃で12時間重合した。重合率(加熱して揮発成分を除去したポリマ―重量を、揮発成分を除去する前の重合溶液そのままのポリマ―重量で割つた値で定義される割合)が90重量%以上であることを確認したのち、重合系に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレ―ト950mg(5.22ミリモル)をラバ―セプタムから添加し、これをさらに20時間加熱した。得られた重合物を酢酸エチルに20重量%程度に希釈して、触媒をろ去し、酢酸エチルを除去した。残さに冷アセトニトリルを加え、ポリマ―油状物をよく洗浄したのち、沈殿したポリマ―油状物を減圧加熱(60℃)して、アクリル系共重合体(14)を製造した。
【0057】
製造例15
3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレ―トに代えて、6−ヒドロキシヘキシルアクリレ―ト900mg(5.23ミリモル)を使用した以外は、製造例14と同様にして、アクリル系共重合体(15)を製造した。
【0058】
上記の製造例1〜15で得たアクリル系共重合体 (1)〜(15)について、数平均分子量〔Mn〕、重量平均分子量〔Mw〕およびポリマ―分散度〔Mw/Mn〕を測定した。結果は、表2に示されるとおりであつた。なお、分子量の測定は、本文中に記載したGPC法により、行つたものである。
【0059】
Figure 0004572004
【0060】
比較製造例1
メカニカルスタ―ラ、窒素導入口、冷却管、ラバ―セプタムを備えた4つ口フラスコに、アクリル酸ブチル182g(1,420ミリモル)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレ―ト1.19g(6.56ミリモル)、ドデカンチオ―ル0.3g(1.48ミリモル)および酢酸エチル400mlを入れ、これにアゾイソブチロニトリル0.5gを加え、反応系を60℃で5時間加熱して重合した。重合後、酢酸エチルを留去し、減圧加熱(60℃)して、ランダム共重合体である油状のアクリル系共重合体(16)を得た。この共重合体(16)は、数平均分子量〔Mn〕が59.8×1,000、重量平均分子量〔Mw〕が124.2×1,000で、ポリマ―分散度〔Mw/Mn〕が2.08であつた。
【0061】
比較製造例2
メカニカルスタ―ラ、窒素導入口、冷却管、ラバ―セプタムを備えた4つ口フラスコに、アクリル酸ブチル182g(1,420ミリモル)、6−ヒドロキシヘキシルアクリレ―ト1.13g(6.56ミリモル)、ドデカンチオ―ル0.3g(1.48ミリモル)および酢酸エチル400mlを入れ、これにアゾイソブチロニトリル0.5gを加え、反応系を60℃で5時間加熱して重合した。重合後、酢酸エチルを留去し、減圧加熱(60℃)して、ランダム共重合体である油状のアクリル系共重合体(17)を得た。このアクリル系共重合体(17)は、数平均分子量〔Mn〕が62.2×1,000、重量平均分子量〔Mw〕が141.8×1,000で、ポリマ―分散度〔Mw/Mn〕が2.28であつた。
【0062】
実施例1
アクリル系共重合体 (1)4gを酢酸エチル4mlで希釈し、これに東芝シリコ―ン(株)製の「UV−9380C」〔ヨ―ドニウム塩系硬化触媒:ビス(ドデシルフエニル)ヨ―ドニウムヘキサフルオロアンチモネ―トを45重量%含む化学品〕120mgを加え、均一に混合して、エポキシ架橋前の粘着剤組成物溶液を調製した。これを、ギヤツプ100umのアプリケ―タを使用して、厚さが27μmのポリエチレンテレフタレ―トフイルム(以下、PETフイルムという)の上に塗工した。120℃で5分間加熱乾燥後、高圧水銀灯により紫外線を室温で1.3J照射して、エポキシ架橋させることにより、上記アクリル系共重合体の架橋ポリマ―を含む粘着剤層を形成し、粘着シ―トを作製した。
【0063】
実施例2〜30
アクリル系共重合体の種類(使用量は変更なし)、オニウム塩系硬化触媒(光酸発生剤)の種類と量を、表3および表4のように変更し、また架橋助剤(エポキシ化合物)を同表記載(種類と量)のように配合し、または配合しなかつた以外は、実施例1と同様にして、エポキシ架橋前の29種の粘着剤組成物溶液を調製した。また、この各組成物溶液を用いて、紫外線照射量を同表記載のように設定した以外は、実施例1と同様にして、PETフイルム上に各アクリル系共重合体の架橋ポリマ―を含む粘着剤層を形成し、粘着シ―トを作製した。
【0064】
なお、表3には、参考のために、実施例1のアクリル系共重合体の種類、オニウム塩系硬化触媒の種類と量などについても、併記した。また、表3および表4において、オニウム塩系硬化触媒である「BBI−102」はビス(t−ブチルフエニル)ヨ―ドニウムヘキサフルオロフオスフエ―ト、「BBI−105」はビス(t−ブチルフエニル)ヨ―ドニウムトリフルオロメタンスルフオネ―ト、「TPS−105」はトリフエニルスルフオニウムトリフルオロメタンスルフオネ―ト、「DPI−105」はビフエニルヨ―ドニウムトリフルオロメタンスルフオネ―ト、「CD1012」はフエニル(3−ヒドロキシ−ペンタデシルフエニル)ヨ―ドニウムヘキサフルオロアンチモネ―トである。また、架橋助剤(エポキシ化合物)である「BEP」、「EGD」、「3EP」および「4EP」は、いずれも、前記本文中に記載のとおりのものである。
【0065】
比較例1,2
表4に示すように、アクリル系共重合体として、ランダム共重合体であるアクリル系共重合体(16),(17)を使用し(使用量は変更なし)、架橋助剤(エポキシ化合物)を同表記載(種類と量)のように配合した以外は、実施例1と同様にして、エポキシ架橋前の2種の粘着剤組成物溶液を調製した。また、この各組成物溶液を用いて、実施例1と同様にして、PETフイルム上に各アクリル系共重合体の架橋ポリマ―を含む粘着剤層を形成し、粘着シ―トを作製した。
【0066】
Figure 0004572004
【0067】
Figure 0004572004
【0068】
上記の実施例1〜30および比較例1,2で作製した各粘着シ―トについて、下記の方法により、粘着力および保持力(凝集力)を測定した。これらの結果は、表5および表6に示されるとおりであつた。
【0069】
<粘着力の測定>
粘着シ―トを幅20mm、長さ80mmに切断し、これを幅40mm、長さ100mmのSUS−304板上に、重さ2Kgのゴムロ―ラを1 往復させて圧着したのち、室温で30分間放置した。これを引張り試験機により、25℃で、300mm/分の速度で引き剥がし、その剥離(180°ピ―ル)に要する力を求めた。測定は2個のサンプルについて行い、その平均値を求めた。
【0070】
<保持力の測定>
粘着シ―トを幅10mm、長さ20mmの接着面積でベ―クライト板に貼り付け、40℃で500gの荷重をかけて、1時間あたりの落下距離を測定した。一般に、上記の落下距離が小さいほど、凝集力が高いことが知られている。
【0071】
Figure 0004572004
【0072】
Figure 0004572004
【0073】
上記の表5および表6の結果から明らかなように、本発明のリビングラジカル重合により得られたアクリル系共重合体をエポキシ架橋してなる架橋ポリマ―を主剤成分とした実施例1〜30の粘着シ―トは、いずれも、粘着力および凝集力の大きい、すぐれた粘着特性を示すものであることがわかる。これに対して、通常のランダム共重合体であるアクリル系共重合体をエポキシ架橋してなる架橋ポリマ―を主剤成分としたた比較例1,2の粘着シ―トは、上記粘着特性に劣り、とくに粘着力が明らかに小さくなつていることがわかる。
【0074】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、アクリル系単量体と分子内にエポキシ基または水酸基を有する単量体とを含む単量体混合物を、無溶剤または少量の溶剤を用いてリビングラジカル重合させることにより、塗工可能な粘度を示す分子内にエポキシ基または水酸基を有するアクリル系共重合体を合成し、これを上記エポキシ基またはこれに配合されるエポキシ化合物のエポキシ基を利用してエポキシ架橋させるようにしたことにより、環境衛生、安全性および経済性の問題がなく、かつ低粘度でかつポツトライフの問題がないため、塗工作業性などにすぐれるとともに、アクリル系本来の良好な粘着特性を発揮する、とくに粘着力および凝集力にすぐれる粘着剤組成物とその製造方法を提供することができる。

Claims (10)

  1. 式(1A);CH2 =C(R1 )COOR2 (式中、R1 は水素またはメチル基、R2 は炭素数2〜14のアルキル基である)で表されるアクリル系単量体と、分子内にエポキシ基を有する単量体および/または分子内に水酸基を有する単量体とを含む単量体混合物を、遷移金属とその配位子の存在下、重合開始剤を用いて、リビングラジカル重合すると共に、この重合に際し、重合開始剤として分子内にエポキシ基または水酸基を有する重合開始剤を使用するか、または/および、上記の分子内にエポキシ基を有する単量体および/または分子内に水酸基を有する単量体を重合転化率が80重量%以上となる重合後期に添加することにより、式(1);−〔CH 2 −C(R 1 )COOR 2 〕−(式中、R 1 は水素またはメチル基、R 2 は炭素数2〜14のアルキル基である)で表される構造単位を有し、かつ分子鎖中に官能基としてエポキシ基または/および水酸基を有するアクリル系共重合体を生成し、この共重合体をこれに含まれるエポキシ基および/またはこれに配合されるエポキシ化合物のエポキシ基を利用してエポキシ架橋することにより、架橋ポリマーを生成することを特徴とする粘着剤組成物の製造方法。
  2. アクリル系共重合体の分子鎖中の官能基がエポキシ基またはこれと水酸基であり、この共重合体をこれに分子内に少なくとも2個のエポキシ基を含むエポキシ化合物を配合するかまたは配合しないでエポキシ架橋する請求項1に記載の粘着剤組成物の製造方法。
  3. アクリル系共重合体の分子鎖中の官能基が水酸基であり、この共重合体をこれに分子内に少なくとも2個のエポキシ基を含むエポキシ化合物を配合してエポキシ架橋する請求項1に記載の粘着剤組成物の製造方法。
  4. アクリル系共重合体は、分子鎖末端にエポキシ基またはこれと水酸基を有する請求項2に記載の粘着剤組成物の製造方法。
  5. アクリル系共重合体は、分子鎖末端に水酸基を有する請求項3に記載の粘着剤組成物の製造方法。
  6. 遷移金属がCu、Ru、Fe、Rh、VまたはNiであり、その配位子がビピリジン誘導体、メルカプタン誘導体またはトリフルオレート誘導体である請求項1〜5のいずれかに記載の粘着剤組成物の製造方法。
  7. 遷移金属と配位子の組み合わせがCu+1−ビピリジン錯体である請求項6に記載の粘着剤組成物の製造方法。
  8. 重合開始剤がα−位にハロゲンを持つエステル系またはスチレン系誘導体である請求項1〜7のいずれかに記載の粘着剤組成物の製造方法。
  9. アクリル系共重合体をエポキシ架橋する際にオニウム塩系硬化触媒を配合する請求項1〜8のいずれかに記載の粘着剤組成物の製造方法。
  10. エポキシ架橋を紫外線を照射して行う請求項9に記載の粘着剤組成物の製造方法。
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