JP4581966B2 - 高周波焼入れ用鋼材 - Google Patents
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C:0.35〜0.65%
Cは、鋼の強度を確保する作用及び高周波焼入れ後の硬化層硬さを確保する作用を有する。しかしながら、その含有量が0.35%未満では、前記作用による所望の効果が得られない。一方、Cの含有量が0.65%を超えると、鋼の靱性が劣化する。したがって、Cの含有量を0.35〜0.65%とした。なお、前記の効果を安定して得るためには、Cの含有量は0.40〜0.55%とすることが好ましい。
Siは、脱酸元素ではあるが、高周波焼入れ時のA3変態点を上昇させ、高周波焼入れ性の低下を招く。特に、その含有量が0.50%を超える場合には、脱酸効果は期待できるものの、高周波焼入れ性の低下が著しくなる。
したがって、本発明(1)〜本発明(3)においては、Siの含有量を0.50%以下とした。
但し、Siには、マルテンサイト組織を焼戻し処理する際に、焼戻し温度の上昇に対して硬さの低下を抑制する、いわゆる「焼戻し軟化抵抗」を確保する効果があり、その効果はSiの含有量が0.05%以下では期待できない。
なお、良好な高周波焼入れ性の確保という点からは、Si含有量は可能な限り低減することが好ましい。
このため、良好な高周波焼入れ性確保と焼戻し軟化抵抗確保の双方を具備させたい場合には、Siの含有量は、0.05%超を超えて0.20%以下とすることが好ましい。
上記の理由から、本発明(4)においては、Siの含有量を0.20%以下とした。
Mnは、高周波焼入れ性を向上させる有効な元素である。しかしながら、Mnの含有量が0.65%未満の場合、前記作用による所望の効果が得られない。一方、2.00%を超えてMnを含有させても前記の効果は飽和し、コストが嵩むばかりである。したがって、Mnの含有量を0.65〜2.00%とした。なお、合金コストを低く抑えたうえで前記の効果を安定して得るためには、Mnの含有量は0.75〜1.50%に調整するのが好ましい。
Pは、高周波焼入れ時の硬化層の靱性を劣化させ、特に、その含有量が0.015%を超えると、硬化層の靱性低下が著しくなる。したがって、Pの含有量を、0.015%以下とした。なお、Pの含有量は、0.010%以下にするのが好ましい。
Sは、Mnと結合してMnSを形成し、被削性、なかでも切り屑処理性を高める作用を有する。しかしながら、その含有量が0.003%未満では前記の効果が得られない。一方、Sは、結晶粒界に偏析して粒界強度を劣化させ、鋼の強度低下を招き、特に、Sの含有量が0.080%を超えると、鋼の強度低下が著しくなる。したがって、Sの含有量を0.003〜0.080%とした。なお、Sの含有量は0.006〜0.060%とすることが好ましい。。
Moは、CやMnと同様、鋼の焼入れ性を高めて強度を向上させる作用がある。Moには、焼戻し軟化抵抗を高める効果もある。しかし、強度向上効果及び焼戻し軟化抵抗向上効果を確実に得るには、0.05%以上の含有量が必要である。一方、0.50%を超えてMoを含有させても前記の効果は飽和し、コストが嵩むばかりである。したがって、Moの含有量を0.05〜0.50%とした。なお、Moの含有量は0.10〜0.30%とすることが好ましい。
Alは、Siと同様に、脱酸元素ではあるが、高周波焼入れ時のA3変態点を上昇させ、高周波焼入れ性の低下を招く。特に、その含有量が0.10%を超える場合には、前記の脱酸効果やAlが鋼中のNと結合して形成されたAlNの高周波焼入れ時の結晶粒粗大化防止作用は期待できるものの、高周波焼入れ性の低下が著しくなる。したがって、Alの含有量を0.10%以下とした。なお、良好な高周波焼入れ性の確保という点からは、Al含有量は可能な限り低減することが好ましい。
Nは、B、Al、Tiなどとの親和力が大きく、鋼中のBと結合してBNを形成した場合には、高周波焼入れ性を高めることができない。特に、Nの含有量が多くなって0.0070%を超えると、AlNやTiNの高周波焼入れ時の結晶粒粗大化防止作用は期待できるものの、BN形成による高周波焼入れ性向上効果が期待できない。また、鋼中の固溶N量が増加すると、熱間変形能の低下をきたす。したがって、Nの含有量を、0.0070%以下とした。なお、鋼中の不純物としてのNの含有量は可能な限り低減することが好ましい。
Oは、鋼中の元素と結合して酸化物を形成し、強度低下、なかでも疲労強度の低下を招く。特に、Oの含有量が0.0020%を超えると、形成される酸化物が多くなるとともにMnSが粗大化して、疲労強度の低下が顕著になる。したがって、不純物元素としてのOの含有量を0.0020%以下とした。なお、Oの含有量は0.0015%以下とすることが好ましい。
第1群:B:0.0005〜0.0050%及びTi:0.045%以下で、かつ3.4N〜(3.4N+0.02)%、
第2群:Cu:0.20%以下、Ni:0.20%以下、Cr:0.20%以下、Nb:0.30%以下及びV:0.20%以下のうちの1種又は2種以上、
第3群:Ca:0.01%以下、Pb:0.30%以下、Bi:0.03%以下及びTe:0.10%以下のうちの1種又は2種以上、
の各群の元素の1種以上を含有させることができる。すなわち、前記第1群〜第3群の3つの群の元素の1種以上を、Feの一部に代えて、任意添加元素として含有させてもよい。
Bは、高周波焼入れ性を向上させる作用を有し、その効果はBの含有量が0.0005%以上で顕著である。しかしながら、0.0050%を超えてBを含有させても前記の効果は飽和し、コストが嵩むばかりである。したがって、Bの含有量を0.0005〜0.0050%とした。Bの含有量は0.0010〜0.0020%とすることが好ましい。
Cu:0.20%以下
Cuは、鋼の強度を向上させる作用を有する。すなわち、Cuは、CやMnと同様に鋼の焼入れ性を高めて、強度を向上させる作用を有する。しかしながら、Cu含有量が0.20%を超えると、焼入れ性は向上するものの、疲労強度の低下を招く場合がある。したがって、Cuの含有量を0.20%以下とした。なお、Cuの含有量は、0.008〜0.015%とすることが好ましい。
Niは、鋼の強度を向上させる作用を有する。すなわち、Niは、CやMnと同様に鋼の焼入れ性を高めて、強度を向上させる作用を有する。しかしながら、Niの含有量が0.20%を超えると、焼入れ性は向上するものの、高周波焼入れ時に焼割れを生じる場合がある。したがって、Niの含有量を0.20%以下とした。なお、Niの含有量は、0.008〜0.015%%とすることが好ましい。
Nbは、鋼の強度を向上させる作用を有する。すなわち、Nbは、炭化物、窒化物或いは炭窒化物を形成して結晶粒を微細化し、鋼の強度を高める作用を有する。しかしながら、0.30%を超えてNbを含有させても前記の効果は飽和し、コストが嵩むばかりである。したがって、Nbの含有量を0.30%以下とした。なお、Nbの含有量は、0.01〜0.30%とすることが好ましい。
Vは、鋼の強度を向上させる作用を有する。すなわち、Vは、CやMnと同様に鋼の焼入れ性を高めて、また、炭窒化物を形成して結晶粒を微細化し、強度を向上させる作用を有する。しかしながら、Vの含有量が0.20%を超えると、炭窒化物が過剰に析出して高周波焼入れされた硬化層の靱性劣化を引き起こして疲労寿命の低下を招くし、鋼中のCと結合して炭化物を多く形成することにもなるため、鋼材中のC量が減少してフェライトの割合が多くなって高周波焼入れ性の低下を招く。したがって、Vの含有量を0.20%以下とした。なお、Vの含有量は、0.01〜0.20%とすることが好ましい。
Ca:0.01%以下
Caは、被削性を高める作用がある。すなわち、Caは、工具寿命向上に有効な低融点酸化物を形成して、被削性を高める作用を有する。Caには脱酸作用もある。しかしながら、Caの含有量が0.01%を超えると、Caの添加歩留りが低いために、製造コストが嵩んでしまうし、却って低融点酸化物の形成が難しくなる。更に、Caを固溶するMnSが増加して粗大なMnSを形成しやすくなるため、被削性は確保できても、疲労強度の低下を招いてしまう。したがって、Caの含有量を0.01%以下とした。なお、疲労強度を低減することなく、被削性向上効果を、より安定して得るために、Caの含有量は、0.0005〜0.005%とすることが好ましい。
Pbは、被削性を高める作用がある。しかしながら、その含有量が0.30%を超えると前記効果が飽和して経済性を損なうばかりか、曲げ疲労強度が劣化するようになる。更に、熱間加工性の劣化をもたらし、熱間圧延や熱間鍛造時に割れの発生を招く。したがって、Pbの含有量を0.30%以下とした。なお、自動車部品や建設機械用部品の所定形状への切削加工を行うに際に、Pbの被削性向上効果を確実に得るためには、その含有量を0.02%以上とすることが好ましい。したがって、より好ましいPbの含有量は0.02〜0.30%である。
Biは、被削性を高める作用がある。しかしながら、その含有量が0.03%を超えると前記効果が飽和してコストの上昇を招くばかりか、曲げ疲労強度が劣化するようになる。更に、熱間加工性の劣化をもたらし、熱間圧延や熱間鍛造時に割れの発生を招く。したがって、Biの含有量を0.03%以下とした。なお、所定の部品形状への切削加工を行うに際に、Biの被削性向上効果を確実に得るためには、その含有量を0.005%以上とすることが好ましい。したがって、より好ましいBiの含有量は0.005〜0.03%である。
Teは、被削性を高める作用がある。しかしながら、その含有量が0.10%を超えると前記効果が飽和して経済性を損なうばかりか、曲げ疲労強度が劣化するようになる。更に、熱間加工性の劣化をもたらし、熱間圧延や熱間鍛造時に割れの発生を招く。したがって、Teの含有量を0.10%以下とした。なお、所定の部品形状への切削加工を行うに際に、Teの被削性向上効果を確実に得るためには、その含有量を0.01%以上とすることが好ましい。したがって、より好ましいTeの含有量は0.01〜0.10%である。
前記(A)項で述べた化学組成を有する本発明に係る高周波焼入れ用鋼材の組織は、マルテンサイトが面積分率で70%以上を占める組織でなければならない。
・切り込み量:1.5mm、
・送り量:0.40mm/rev.、
・潤滑:湿式(水溶性潤滑油剤を使用)。
その結果、鋼A1〜A18の工具摩耗量は全て100μm以下で、いずれの鋼も良好な被削性を有していることが確認できた。
Claims (4)
- 質量%で、C:0.35〜0.65%、Si:0.50%以下、Mn:0.65〜2.00%、P:0.015%以下、S:0.003〜0.080%、Mo:0.05〜0.50%、Al:0.10%以下、N:0.0070%以下及びO(酸素):0.0020%以下を含有し、残部はFe及び不純物からなり、更に、マルテンサイトが面積分率で70%以上を占める組織であることを特徴とする高周波焼入れ用鋼材。
- Feの一部に代えて、Cu:0.20%以下、Ni:0.20%以下、Cr:0.20%以下、Nb:0.30%以下及びV:0.20%以下のうちの1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の高周波焼入れ用鋼材。
- Feの一部に代えて、Ca:0.01%以下、Pb:0.30%以下、Bi:0.03%以下及びTe:0.10%以下のうちの1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の高周波焼入れ用鋼材。
- Siの含有量が0.20%以下であり、さらに、Feの一部に代えて、B:0.0005〜0.0050%及びTi:0.045%以下で、かつ3.4N〜(3.4N+0.02)%を含有することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の高周波焼入れ用鋼材。
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