JP4582001B2 - 軸心合わせ方法 - Google Patents

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Description

本発明は、駆動部の回転軸と従動部の回転軸とが同芯となるように各々を連結する軸心合わせ方法に関する。
従来、工作機械の一例であるマシニングセンタでは、主軸に取り付けられた工具によって被加工物(ワーク)に機械加工(例えば、「中ぐり」、「フライス削り」、「穴空け」、「切削」等)を施している。そして、主軸に取り付けられた工具を主軸モータの動力によって回転させるために、主軸内部に設けられたスピンドル軸と主軸モータのモータ軸とを連結して回転させる駆動方式が用いられている。
ここで、スピンドル軸とモータ軸とを連結した場合に、両軸の軸線が一致していない軸ズレの状態で機械加工を実行すると、両軸の偏心に起因して振動が発生してしまい、加工精度の劣化や騒音の発生などの悪影響を及ぼす。そこで、従来では、スピンドル軸とモータ軸とをカップリングを介して連結することで、両軸の偏心をカップリングで吸収して上記の悪影響が発生しないようにすることが知られている。
ところが、近年では工作機械の加工効率を向上させるために、スピンドルの回転速度の高速化が進んでいる。そのため、カップリングのみでは両軸の偏心を完全に吸収することができず、ごくわずかの軸ズレであっても機械加工時に振動が発生してしまう。そのため、従来では、スピンドル軸とモータ軸との軸心合わせを行って、両軸が同芯となるように各々を連結する各種手法が提案されている。
具体的には、主軸に対して主軸モータを固定せずに仮置きして、スピンドル軸とモータ軸とをカップリングで連結する。この仮置き状態で主軸モータを駆動させると、その回転の振動によってスピンドルの中心と主軸モータの中心とが徐々に近づいてくる。そして、回転中のスピンドル軸及びモータ軸に軸ズレがなくなったら、その位置で主軸モータを固定する。これにより、スピンドル軸とモータ軸との軸心合わせを行いつつ、各々を連結できることが知られている。
また、主軸に対して主軸モータを取り付けるための別体のモータ取付プレートを用意しておく。そして、主軸に取り付けたスモールによって、主軸とモータ取付プレートの中心を合わせて、モータ取付プレートを主軸ヘッドに取り付ける。その後、モータ取付プレートに対して主軸モータを取り付けることで、主軸モータとスピンドルの中心を合わせることが知られている。
さらに、第1の取付け板における貫通孔のセンタにモータシャフトのセンタを一致させる一方、第2の取付け板の貫通孔のセンタに主軸のセンタを一致させ、第1の取付け板と主軸モータおよび第2の取付け板とハウジングを固着する。そして、周壁と貫通孔とを嵌合して第1の取付け板と第2の取付け板とを固着して、モータシャフトのセンタと主軸のセンタとを一致させることができるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許第3335550号公報
しかしながら、従来のように、主軸に対して仮置きした主軸モータを駆動させて軸心を合わせる方法は、他の取付け部品や計測器などを必要としない簡易な手法ではあるが、スピンドル軸及びモータ軸の軸心合わせを正確に行うには製造者の熟練や経験を要し、両軸を同芯とするための位置調整に多大な手間と労力を要していた。また、製造者がスピンドル軸及びモータ軸を同芯にして連結したつもりであっても、両軸が同芯であるか否かは保証することはできず、実際には軸ズレが生じていることがあった。
また、従来のモータ取付プレートなどのように、スピンドル軸及びモータ軸を同芯にして連結するための別部品を用いると、両軸を確実に一致させることはできるものの、別部品の追加により主軸の構造が複雑となったり、工作機械の製造コストが増大したりするという問題があった。特許文献1に記載の発明も、モータ側が固着される専用の取付け板や、機械側が固着される専用の取付け板などを別途設ける必要があり、上記と同様の問題を有していた。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、軸心合わせのための専用の部品を用いることなく、駆動部の回転軸と従動部の回転軸とが同芯となるように、各々を簡易かつ正確に連結することができる軸心合わせ方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の軸心合わせ方法は、駆動部の第1回転軸を挿脱可能な第1貫通孔が形成された駆動側ハブと、前記第1回転軸よりも径が大きい従動部の第2回転軸を挿脱可能な第2貫通孔が形成された従動側ハブとを備えたカップリングを用いて、前記駆動部の第1回転軸と前記従動部の第2回転軸とを同芯となるように連結するための軸心合わせ方法であって、前記カップリングは、前記駆動側ハブと前記従動側ハブとの間隙に設けられ、前記駆動側ハブおよび前記従動側ハブを連結するとともに、少なくとも前記第2回転軸を挿脱可能な第3貫通孔が中心部に形成された板バネを備え、前記駆動側ハブにおける前記従動側ハブと対向する面には、前記第1貫通孔において前記第1回転軸が挿脱される一端側の開口部とは異なる他端側の開口部が形成されるとともに、前記他端側の開口部は前記第2貫通孔と同径となるように拡径した穴部であり、前記第1貫通孔に挿入された前記第1回転軸と前記第2貫通孔に挿入された前記第2回転軸とが同芯となると、前記第2回転軸は前記第2貫通孔及び前記第3貫通孔を介して前記穴部に嵌合可能となり、前記軸心合わせ方法は、前記駆動部と前記従動部とを前記カップリングを介して互いに取り付けて、前記第1回転軸を前記第1貫通孔に挿入させる一方、前記第2回転軸を前記第2貫通孔に挿入させる回転軸挿入工程と、前記カップリングを前記第1回転軸及び前記第2回転軸の軸線方向に移動させる一方、前記駆動部及び前記従動部の少なくとも一方を該軸線方向と直交する方向に移動させて、前記第2回転軸を前記第2貫通孔及び前記第3貫通孔を介して前記穴部に嵌合させる穴部嵌合工程と、前記駆動部及び前記従動部を固定する動部固定工程と、前記カップリングを前記第1回転軸及び前記第2回転軸の軸線方向に移動させて、前記第1回転軸を前記駆動側ハブに位置決めする一方、第2回転軸を前記従動側ハブに位置決めする回転軸位置決め工程と、前記第1回転軸を前記駆動側ハブに固定する一方、前記第2回転軸を前記従動側ハブに固定するカップリング固定工程とを備えたことを特徴とする。
また、請求項2に係る発明の軸心合わせ方法は、主軸モータのモータ軸と、主軸内部に設けられて前記モータ軸よりも径が大きいスピンドル軸と、前記モータ軸および前記スピンドル軸を連結するカップリングとを備えた工作機械において、前記カップリングを用いて前記モータ軸と前記スピンドル軸とを同芯となるように連結するための軸心合わせ方法であって、前記カップリングは、前記モータ軸を挿脱可能な第1貫通孔が形成された駆動側ハブと、前記スピンドル軸を挿脱可能な第2貫通孔が形成された従動側ハブと、前記駆動側ハブと前記従動側ハブとの間隙に設けられ、前記駆動側ハブおよび前記従動側ハブを連結するとともに、少なくとも前記スピンドル軸を挿脱可能な第3貫通孔が中心部に形成された板バネとを備え、前記駆動側ハブにおける前記従動側ハブと対向する面には、前記第1貫通孔において前記モータ軸が挿脱される一端側の開口部とは異なる他端側の開口部が形成されるとともに、前記他端側の開口部は前記第2貫通孔と同径となるように拡径した穴部であり、前記第1貫通孔に挿入された前記モータ軸と前記第2貫通孔に挿入された前記スピンドル軸とが同芯となると、前記スピンドル軸は前記第2貫通孔及び前記第3貫通孔を介して前記穴部に嵌合可能となり、前記軸心合わせ方法は、前記主軸モータを前記主軸に前記カップリングを介して取り付けて、前記モータ軸を前記第1貫通孔に挿入させる一方、前記スピンドル軸を前記第2貫通孔に挿入させる回転軸挿入工程と、前記カップリングを前記モータ軸及び前記スピンドル軸の軸線方向に移動させる一方、前記主軸モータを該軸線方向と直交する方向に移動させて、前記スピンドル軸を前記第2貫通孔及び前記第3貫通孔を介して前記穴部に嵌合させる穴部嵌合工程と、前記主軸モータを固定するモータ固定工程と、前記カップリングを前記モータ軸及び前記スピンドル軸の軸線方向に移動させて、前記モータ軸を前記駆動側ハブに位置決めする一方、前記スピンドル軸を前記従動側ハブに位置決めする回転軸位置決め工程と、前記モータ軸を前記駆動側ハブに固定する一方、前記スピンドル軸を前記従動側ハブに固定するカップリング固定工程とを備えたことを特徴とする。
求項に係る発明の軸心合わせ方法では、駆動部と従動部とをカップリングで取り付けて各回転軸を各貫通孔に挿入させる回転軸挿入工程と、第2回転軸を第2貫通孔から貫通させて穴部に嵌合させる穴部嵌合工程と、駆動部及び従動部を固定する動部固定工程と、各回転軸を各ハブに各々位置決めする回転軸位置決め工程と、各回転軸を各ハブに各々固定するカップリング固定工程とを備えた。よって、軸心合わせのための専用の部品を用いることなく、駆動部の第1回転軸と従動部の第2回転軸とが同芯となるように、各々を簡易かつ正確に連結することができる。
また、駆動側ハブと従動側ハブとの間隙に設けられて各々を連結する板バネを備え、第1回転軸と第2回転軸とが同芯となると、第2回転軸は第2貫通孔及び第3貫通孔を貫通して穴部に嵌合可能となる。よって、駆動側ハブ及び従動側ハブを連結する板バネが、回転駆動時における回転軸の軸ズレを吸収するとともに、駆動部側から従動部側に伝達する熱を遮断するため、回転駆動時における性能劣化を防止することができる。
また、請求項に係る発明の軸心合わせ方法では、主軸モータを主軸にカップリングで取り付けて各回転軸を各貫通孔に挿入させる回転軸挿入工程と、スピンドル軸を第2貫通孔から貫通させて穴部に嵌合させる穴部嵌合工程と、主軸モータを固定するモータ固定工程と、各回転軸を各ハブに位置決めする回転軸位置決め工程と、各回転軸を各ハブに固定するカップリング固定工程とを備えた。よって、工作機械において、軸心合わせのための専用の部品を用いることなく、主軸モータのモータ軸主軸内部に設けられたスピンドル軸とが同芯となるように、各々を簡易かつ正確に連結することができる。
また、駆動側ハブと従動側ハブとの間隙に設けられて各々を連結する板バネを備え、モータ軸とスピンドル軸とが同芯となると、スピンドル軸は第2貫通孔及び第3貫通孔を貫通して穴部に嵌合可能となる。よって、駆動側ハブ及び従動側ハブを連結する板バネが、回転駆動時における回転軸の軸ズレを吸収するとともに、主軸モータ側から主軸側に伝達する熱を遮断するため、回転駆動時における性能劣化を防止することができる。
以下、本発明の実施の形態であるマシニングセンタ1について、図面に基づいて説明する。図1は、マシニングセンタ1の正面図である。図2は、スプラッシュカバー3を除いた、マシニングセンタ1の全体斜視図である。図3は、マシニングセンタ1における、工具交換機構20及び主軸ヘッド7を中心とした正面図である。
はじめに、マシニングセンタ1の全体構成について説明する。図1に示すように、マシニングセンタ1は、図示外のワーク(図示外)と工具6(図3参照)とを相対移動させて、ワークに所望の機械加工(例えば、「中ぐり」、「フライス削り」、「穴空け」、「切削」等)を施すことができる工作機械である。そして、マシニングセンタ1は、ワークを加工する機械本体と、機械本体の土台となるベッド2と、ベッド2の上部に設けられて機械本体の周囲を囲繞する略直方体状のボックス型のスプラッシュカバー3とを主体に構成されている。
図2に示すように、ベッド2は、鉄製の土台であり、その下部の四隅には、脚部2aが各々設けられ、これら4本の脚部2aが工場などの床面に設置されることにより、マシニングセンタ1が所定場所に設置される。さらに、ベッド2の芯部は、軽量化および高強度化のため、いわゆる肉抜き成形(リブによる骨組構造)されている。
また、図1に示すように、スプラッシュカバー3は、略直方体状のボックス型に形成され、その内側には機械本体によりワーク加工がおこなわれる加工領域が設けられている。スプラッシュカバー3の前面には、開口部を開閉するスライド式の開閉扉4,5が各々設けられている。そして、この開閉扉4,5の略中央には、ガラス窓部4a,5aが各々設けられ、開閉扉4の右側端部近傍には取っ手部4bが設けられ、開閉扉5の左側端部近傍には取っ手部5bが設けられている。よって、これら取っ手部4b,5bを互いに離れる方向に開くことにより開口部が開口される。そして、作業者はこの開口部を介して、スプラッシュカバー3の内側に配設されたテーブル10に対して、ワークの着脱を行う。
なお、図示しないが、スプラッシュカバー3の左右の各側壁部には、メンテナンス用の点検ハッチが着脱可能に各々設けられている。そして、上記構成からなるスプラッシュカバー3は、機械本体の周囲を囲繞して外部より保護するとともに、機械本体から排出される切り屑及び切削液の飛沫等が外部へ飛散するのを遮断して、外部環境が汚染されるのを防止している。
一方、スプラッシュカバー3の正面右側には、マシニングセンタ1の操作をおこなう正面視略長方形状の操作パネル80が設けられている。この操作パネル80の前面には、各種キーを備えたキーボード81が設けられ、その上部には設定画面又は実行動作を表示するためのCRT(ディスプレイ)89が設けられている。
次に、マシニングセンタ1の機械本体について説明する。図2に示すように、マシニングセンタ1の機械本体は、スプラッシュカバー3の内側に収納されており、ベッド2のコラム座部17aの上面に載置して固定され、垂直上方に延設された略角柱状のコラム17bと、コラム17bの前面に沿って昇降可能に設けられた主軸ヘッド7と、主軸ヘッド7の下部前側から鉛直下方に突出する主軸9と、主軸ヘッド7の右側に設けられ、主軸9の先端に装着された後述の工具6を、他の工具6に交換する工具交換機構(ATC)20と、ベッド2の上部に設けられてワークを着脱可能に保持するテーブル10と、コラム17bの背面側に設けられ、電源装置や制御基板などの各装置を内蔵する制御盤19とを主体に構成されている。なお、制御盤19の内部には、マシニングセンタ1の制御を司る制御装置(図示外)が配設されている。
そして、コラム17bの前面には、上下方向に延設され、主軸ヘッド7を案内する一対のガイドレール(図示外)が上下方向に固定されている。コラム17bの上面には、サーボモータであるZモータ(図示外)が設けられており、このZモータによりその下方に延設された送りねじ(図示外)が正逆方向へ選択的に回転駆動されて、主軸ヘッド7が上下方向に移動するようになっている。
また、主軸ヘッド7には、加工軸に相当する主軸9が回転可能に装着され、主軸9を回転駆動させるための主軸モータ8を上部に備える。そして、主軸9の先端には後述の工具6が着脱可能に装着され、主軸9が主軸モータ8により回転駆動されることによって工具6が回転され、テーブル10上に固定されたワークを加工するようになっている。
一方、主軸9の下方には、テーブル10が配設されている。テーブル10は、ワークが着脱自在に固定され、サーボモータからなるXモータ及びYモータ(図示外)により、X軸方向(左右方向)及びY軸方向(奥行き方向)へ移動制御されるものである。テーブル10の下側には略直方体状の支持台12が設けられており、支持台12の上部にはX軸方向に沿って延設された一対のX軸送りガイド(図示外)が設けられて、X軸送りガイド上にテーブル10が移動可能に支持されている。さらに、支持台12は、ベッド2の長手方向に沿って延設された一対のY軸送りガイド上に移動可能に支持されている。このような状態で、テーブル10は、ベッド2上に設けられたXモータにより、X軸送りガイドに沿ってX軸方向に移動し、同じくベッド2上に設けられたYモータにより、Y軸送りガイドに沿ってY軸方向に移動するようになっている。
そして、図3に示すように、工具交換機構20は、工具6が取り付けられた工具ホルダ60を複数格納する側面視略小判型状の工具マガジン30と、主軸9に装着されている工具ホルダ60と他の工具ホルダ60とを把持及び搬送するための工具交換アーム40とを備えている。
工具交換アーム40は、回転可能および上下動可能に装着された円筒状のアーム旋回軸43の下端部において、その両端部に工具ホルダ60を各々把持可能な把持部41,41が設けられたアーム部42が固定されて構成されている。そして、アーム旋回軸43はZ軸方向と平行をなし、アーム部42はアーム旋回軸43を軸として回動可能である。なお、工具交換アーム40の上部には工具交換モータ24が設けられており、この工具交換モータ24の回転駆動によって、工具交換アーム40の旋回及び上下動が行われる。
また、工具マガジン30は、その内側に複数の工具6を各々収納可能な複数の工具ポット31が配設された移送機構(図示外)が装着されており、各工具ポット31では工具ホルダ60に取り付けられた工具6が横方向に向けた状態(格納状態)に維持されている。なお、工具マガジン30の上部にはマガジンモータ26が設けられており、このマガジンモータ26の回転駆動によって、複数の工具ポット31が移送機構により搬送される。
さらに、工具マガジン30の下端側には割出口32が形成され、この割出口32が形成された位置に限り、工具ポット31が格納状態から工具6を下方に向けた状態(交換可能状態)まで回動可能となっている。この工具交換位置には、エアシリンダ(図示外)により駆動されて、工具ポット31を格納状態又は交換可能状態へと回動させるポット昇降機構(図示外)が配設されている。
そして、主軸9に装着される工具6の交換時には、工具交換アーム40が原点に上昇されている状態において、まず、工具交換アーム40が旋回し、工具マガジン30側の工具ホルダ60と主軸9に装着された工具ホルダ60とが、把持部41,41でそれぞれ把持される。次いで、工具交換アーム40が下降して、工具抜脱動作が行われる。その後、工具交換アーム40が旋回して主軸9側の工具ホルダ60と工具マガジン30側の工具ホルダ60とが入れ替わる。このとき、工具交換アーム40は180度回転することになる。その後、工具交換アーム40が上昇し、工具交換アーム40に把持された工具6は、工具マガジン30側の工具ポット31あるいは主軸9に装着される。そして、工具交換アーム40が所定角度旋回して、把持部41,41から工具ホルダ60がそれぞれ開放されて、工具交換アーム40のアーム旋回動作の1サイクルが終了する。
次に、主軸ヘッド7の構成について説明する。図4及び図5は、主軸ヘッド7の右方向から見た側面断面拡大図である。なお、図4及び図5は、理解を容易にするために、主軸ヘッド7において主軸9の軸線上に配置された各部材を中心に表しており、説明に不要な構成は省略している。また、図5は、主軸9の軸線上に配置された各部材の外観を明らかにするために、主軸ヘッド7の筐体カバーと主軸9のハウジング25及び蓋体39とを断面図として表している。
図4及び図5に示すように、主軸ヘッド7の上部には、主軸9が備えるスピンドル27を回転駆動させるための主軸モータ8を備えている。主軸モータ8の下面から下方向に突出する出力軸であるモータ軸8aは、主軸9の内部に設けられたスピンドル27から上方向に突出する入力軸であるスピンドル軸27aに、カップリング50を介して連結されている。かかる構成により、主軸モータ8の駆動によりモータ軸8aが軸線回りに回転すると、カップリング50を介してスピンドル軸27aも回転するため、主軸9のスピンドル27は軸線回りに回転駆動する。なお、本実施の形態では、スピンドル軸27aはモータ軸8aよりも径が大きい。カップリング50を中心とした構成については、詳細は後述する。
この主軸モータ8は、図示しないが、円筒状のモータフレーム内に制動部と駆動部を収納した構成をなす。主軸モータ8の駆動部は、インナーロータ形の誘導モータであり、モータ軸8aはロータの内周面に固定されている。また、主軸モータ8の制動部は、モータ軸8aに制動力を加える機械式のディスクブレーキである。
また、主軸ヘッド7の下部には、先述の主軸9が設けられている。主軸9は、上下方向に長い略円筒状のハウジング25を備えている。そして、そのハウジング25の内側に、スピンドル27が回転自在に設けられている。さらに、ハウジング25の軸線方向先端側(下端側)の内周面には、スピンドル27を回転自在に支持するベアリング軸受け30,31が各々設けられている。同様に、ハウジング25の軸線方向後端側(上端側)の内周面には、スピンドル27を回転自在に支持するベアリング軸受け32,33が各々設けられている。また、スピンドル27の先端部の中心には、テーパ状の内周面を有するホルダ取付穴29が、スピンドル27の軸線に沿って穿設されている。そして、このホルダ取付穴29の内周面に対し、工具ホルダ60のシャンク部61のテーパ状の外周面が密着して嵌まるようになっている。
さらに、このホルダ取付穴29の縮径する上部には、このホルダ取付穴29の内周面に連続するとともに、径がやや広くなった広径部34が設けられている。そして、その広径部34の上部には、その広径部34の内周面に連続するとともに、工具ホルダ60側に向かってオイルミスト(高圧空気に微少量のクーラントを混入して霧状にしたもの)を供給するための流路35が設けられている。さらに、この流路35の下部内周面には、複数の鋼球38を介して工具ホルダ60の上端部に形成されたプルスタッド62を把持するチャック機構部37が配置されている。また、ハウジング25の先端部(下端部)には、スピンドル27とベアリング軸受け30,31を保持するとともに、切削時の切粉等がベアリング軸受け30,31に侵入するのを防止する平面視略リング状の蓋体39がボルト36により固定されている。
次に、カップリング50について詳細に説明する。図6及び図7は、カップリング50の外観斜視図である。図8は、カップリング50の平面図である。図9は、カップリング50の左側面図である。図10は、カップリング50の正面図である。図11は、カップリング50の背面図である。図12は、カップリング50の部品展開図である。図13は、A−A線(図8参照)における、カップリング50の矢視方向断面図である。図14は、B−B線(図9参照)における、カップリング50の矢視方向断面図である。
なお、図8乃至図14は、図6に示す状態におけるカップリング50を各方向から見た図である。そして、図6,図7,図12における右上方向と、図8,図9,図13,図14における右方向と、図10における手前方向と、図11における奥行き方向とが、カップリング50が主軸モータ8に対向する前方(正面方向)である。また、図8に示すA−A線及び図9に示すB−B線は、カップリング50の中心を通る軸線である。また、図7に示すカップリング50は、正面視、図6に示すカップリング50を軸線中心に時計回りに90度回転させた状態を表しているが、以下では図6に示す状態に基づいてカップリング50を説明するため、図7の説明は省略する。
まず、カップリング50の全体構成について説明する。図6、図8乃至図11に示すように、カップリング50は、モータ側ハブ51とスピンドル側ハブ52とが板バネ53を介して一体に連結された構成をなす。モータ側ハブ51は、円筒状の本体を有するとともに、その中心を軸線方向にモータ軸8aを嵌挿可能な円形断面の軸穴(モータ軸穴51f)が貫穿された中空円筒をなす。同様に、スピンドル側ハブ52は、円筒状の本体を有するとともに、その中心を軸線方向にスピンドル軸27aを嵌挿可能な円形断面の軸穴(スピンドル軸穴52f)が貫穿された中空円筒をなす。板バネ53は、正面視、略正方形の薄板状をなし、その中心にも円形の貫通穴(軸挿脱穴53c)が形成されている。モータ側ハブ51及びスピンドル側ハブ52は略同一の形状及び大きさをなし、各々の軸線が一致するように板バネ53を介して取り付けられて、全体として一体の中空円筒部材をなすカップリング50が形成されている。なお、カップリング50を構成する各部材(モータ側ハブ51,スピンドル側ハブ52,板バネ53)は、アルミやチタンなどの金属製である。
モータ側ハブ51には、曲げ方向に弾力性を有するように、その前後方向の略中間位置に軸線方向に対して垂直に円筒本体がその側面から切削された切り込み51cが形成されている。詳細には、この切り込み51cはモータ側ハブ51の円筒本体の所定範囲に渡って形成されており、図6の場合は、正面視、モータ側ハブ51の左側2/3の範囲に渡って形成されている。また、切り込み51cからみた前方(図6では右上方向)には、モータ軸穴51fの内径を縮径させるためのスリ割り51dが、正面視、モータ側ハブ51の円筒本体の外周面右端から内周面右端にかけて切削され、切り込み51cと連通するように周方向に形成されている。また、正面視、円筒本体の上側面からスリ割り51dに連通するように、軸線方向と垂直にボルト孔51aが穿設されている一方、円筒本体の下側面からスリ割り51dに連通するように、軸線方向と垂直にネジ孔51bが穿設されている。ボルト孔51aは、後述の縮径ボルト80aが挿入される孔であり、ネジ孔51bは縮径ボルト80aの軸部(雄ネジ)が螺合される雌ネジである。
同様に、スピンドル側ハブ52には、曲げ方向に弾力性を有するように、その前後方向の略中間位置に軸線方向に対して垂直に円筒本体がその側面から切削された切り込み52cが形成されている。詳細には、この切り込み52cはスピンドル側ハブ52の円筒本体の所定範囲に渡って形成されており、図6の場合は、背面視、モータ側ハブ51の下側2/3の範囲に渡って形成されている。また、切り込み52cからみた後方(図6では左下方向)には、スピンドル軸穴52fの内径を縮径させるためのスリ割り52dが、背面視、スピンドル側ハブ52の円筒本体の外周面下端から内周面下端にかけて切削され、切り込み52cと連通するように周方向に形成されている。また、背面視、円筒本体の左側面からスリ割り52dに連通するように、軸線方向と垂直にボルト孔52a(図7参照)が穿設されている一方、円筒本体の右側面からスリ割り52dに連通するように、軸線方向と垂直にネジ孔52bが穿設されている。ボルト孔52aは、後述の縮径ボルト80bが挿入される孔であり、ネジ孔52bは縮径ボルト80bの軸部(雄ネジ)が螺合される雌ネジである。
さらに、スピンドル側ハブ52には、切り込み52cからみた前方(図6では右上方向)に、その円筒本体において等間隔で周方向に穿設された複数の調整ネジ孔52eが形成されている。本実施の形態では、60度間隔で6つの調整ネジ孔52eが、円筒本体の外周面から内周面に貫穿されている。これらの調整ネジ孔52eには、その内部に外周方向から図示外の調整ボルトを挿脱可能であり、各調整ネジ孔52eに螺合された調整ボルトが、カップリング50の回転バランスを調整するための重りとして機能する。そのため、これらの調整ネジ孔52eにおける各調整ボルトの質量を変化させることで、任意にカップリング50の回転バランスを調整することができる。
また、図10に示すように、図6に示す状態のカップリング50を正面から見ると、モータ側ハブ51の円筒本体には、その円形断面の上端縁部及び下端縁部にボルト孔51h,51hが軸線方向と平行に各々貫穿されている一方、その円形断面の右端縁部及び左端縁部にナット孔51g,51gが軸線方向と平行に各々貫穿されている。同様に、図11に示すように、図6に示す状態のカップリング50を背面から見ると、スピンドル側ハブ52の円筒本体には、その円形断面の右端縁部及び左端縁部にボルト孔52h,52hが軸線方向と平行に各々貫穿されている一方、その円形断面の上端縁部及び下端縁部にナット孔52g,52gが軸線方向と平行に各々貫穿されている。
すなわち、モータ側ハブ51の上下のボルト孔51h,51hとスピンドル側ハブ52の上下のナット孔52g,52gとは各々対応した位置に形成されており、モータ側ハブ51の左右のナット孔51g,51gとスピンドル側ハブ52の左右のボルト孔52h,52hとは各々対応した位置に形成されている。なお、各ボルト孔51h,52hは後述する連結ボルト70a,70bがそれぞれ挿入される孔であり、各ナット孔51g,52gは後述する連結ナット73b,73aがそれぞれ収容される孔である
ここで、カップリング50の組み立て構造について説明する。図12乃至図14に示すように、カップリング50は、モータ側ハブ51と板バネ53とが2本の連結ボルト70a,70aにより連結される一方、スピンドル側ハブ52と板バネ53とが2本の連結ボルト70b,70bに連結される。すなわち、モータ側ハブ51とスピンドル側ハブ52とは板バネ53を介して間接的に連結される構造を有している。
まず、図12及び図13に示すように、カップリング50の前方からは、モータ側ハブ51のボルト孔51h,51hに2本の連結ボルト70a,70aが各々挿入される。各ボルト孔51hはその内部で縮径して段差部が形成されており、各連結ボルト70aの頭部がこの段差部で係止される。そして、各ボルト孔51hを貫通してモータ側ハブ51の背面から突出する各連結ボルト70aの軸部には、ワッシャ71a,板バネ53,ワッシャ72aが順に挿嵌され、最後に軸部先端に連結ナット73aが締結される。なお、連結ボルト70aの軸部に締結された連結ナット73aは、スピンドル側ハブ52のナット孔52gに若干の遊びを持って収容される。
一方、図12及び図14に示すように、カップリング50の後方からは、スピンドル側ハブ52のボルト孔52h,52hに2本の連結ボルト70b,70bが各々挿入される。各ボルト孔52hはその内部で縮径して段差部が形成されており、各連結ボルト70bの頭部がこの段差部で係止される。そして、各ボルト孔52hを貫通してスピンドル側ハブ52の正面から突出する各連結ボルト70bの軸部には、ワッシャ71b,板バネ53,ワッシャ72bが順に挿嵌され、最後に軸部先端に連結ナット73bが締結される。なお、連結ボルト70bの軸部に締結された連結ナット73bは、モータ側ハブ51のナット孔51gに若干の遊びを持って収容される。
ここで、連結ボルト70a,70bは、丸皿形状の頭部に六角レンチを用いて締め付けるための六角穴が形成された六角穴付きボルトであり、連結ナット73a,73bは連結ボルト70a,70bの軸部先端に締結される六角ナットである。また、板バネ53は、正面視、略正方形状の板状弾性部材である。板バネ53の板状本体には、その四隅に連結ボルト70a,70bの軸部が挿通される円形断面孔(ボルト挿通孔53a,53b)と、その中央に少なくとも垂直方向にスピンドル軸27aを挿脱可能な円形断面の軸穴(軸挿脱穴53c)とが貫穿されている。また、ワッシャ71a,72bは、板バネ53をその正面側から安定させるとともに、モータ側ハブ51と板バネ53との間隙を保持するスペーサとして機能する。一方、ワッシャ71b,72aは、板バネ53をその背面側から安定させるとともに、スピンドル側ハブ52と板バネ53との間隙を保持するスペーサとして機能する。
上記の構成によるカップリング50では、モータ側ハブ51を軸線方向に対して上下方向に対向する2つの連結ボルト70a,70aを用いて、板バネ53の上下方向に対向する連結位置(上下方向のボルト挿通孔53a,53a)に連結している。一方、スピンドル側ハブ52を軸線方向に対して左右方向に対向する2つの連結ボルト70b,70bを用いて、板バネ53の左右方向に対向する連結位置(左右方向のボルト挿通孔53b,53b)に連結している。すなわち、モータ側ハブ51及びスピンドル側ハブ52は、カップリング50の軸線方向を中心に対向し、かつ各々位相が90度異なるような連結位置で板バネ53の正面側及び背面側で間接的に連結されている。
かかる構造により、マシニングセンタ1にカップリング50を実装させた場合、機械加工時(主軸モータ8及び主軸9の回転時)などにカップリング50に曲げや偏心が生じると、その応力によって板バネ53が変形する。すなわち、カップリング50の曲げや偏心は板バネ53に吸収されて、他の部材(モータ側ハブ51及びスピンドル側ハブ52)に影響を与えない。また、主軸モータ8の回転駆動により熱が発生しても、板バネ53はモータ側ハブ51からスピンドル側ハブ52に伝導する熱を遮断して、主軸モータ8の回転のみを伝達する。そのため、カップリング50の回転時における性能劣化を防止することができる。
次に、カップリング50へのモータ軸8a及びスピンドル軸27aの取付け構造について説明する。図9に示すように、モータ側ハブ51に形成されたボルト孔51a及びネジ孔51bは、先述したように、スリ割り51dを挟んで上下方向(図9では上下方向)に連通している。このボルト孔51aに上方向(図9では上方向)から縮径ボルト80aが挿入されると、縮径ボルト80aの頭部はボルト孔51aの内部で縮径した段差部で係止される一方、縮径ボルト80aの軸部はスリ割り51dを介してネジ孔51bに螺合可能である。なお、縮径ボルト80aは、丸皿形状の頭部に六角レンチを用いて締め付けるための六角穴が形成された六角穴付きボルトである。
そして、カップリング50の前方からモータ軸8aをモータ軸穴51fに挿入し、その挿入状態で縮径ボルト80aを締め付けると、モータ側ハブ51ではスリ割り51dが狭くなってモータ軸穴51fの内径(図13及び図14に示す内径L1)が縮径する。そして、モータ軸穴51fの内周面によってモータ軸8aの外周面が締め付けられ、モータ側ハブ51にモータ軸8aが固定される。
また、図8に示すように、スピンドル側ハブ52に形成されたボルト孔52a及びネジ孔52bは、先述したように、スリ割り52dを挟んで左右方向(図8では上下方向)に連通している。このボルト孔52aに右方向(図8では上方向)から縮径ボルト80bが挿入されると、縮径ボルト80bの頭部はボルト孔52aの内部で縮径した段差部で係止される一方、縮径ボルト80bの軸部はスリ割り52dを介してネジ孔52bに螺合可能である。なお、縮径ボルト80bは、丸皿形状の頭部に六角レンチを用いて締め付けるための六角穴が形成された六角穴付きボルトである。
そして、カップリング50の後方からスピンドル軸27aをスピンドル軸穴52fに挿入し、その挿入状態で縮径ボルト80bを締め付けると、スピンドル側ハブ52ではスリ割り52dが狭くなってスピンドル軸穴52fの内径(図13及び図14に示す内径L2)が縮径する。そして、スピンドル軸穴52fの内周面によってスピンドル軸27aの外周面が締め付けられ、スピンドル側ハブ52にスピンドル軸27aが固定される。
なお、図13及び図14に示すように、カップリング50では、スピンドル軸27aがモータ軸8aよりも径が大きいのに対応して、スピンドル軸穴52fの内径L2はモータ軸穴51fの内径L1よりも大きく形成されている。そして、モータ側ハブ51では、モータ軸穴51fが背面近傍で拡径しており、当該モータ軸穴51fと連通する円形断面の貫通穴(軸心合わせ穴51i)が形成されており、この軸心合わせ穴51iの内径はスピンドル軸穴52fの内径L2と等しい。そのため、モータ側ハブ51の軸線とスピンドル側ハブ52の軸線とが同一直線状に位置すると(すなわち、同芯状態となると)、スピンドル軸穴52fに挿入されたスピンドル軸27aの先端部を、板バネ53に形成された軸挿脱穴53cを経由して軸心合わせ穴51iに後方から嵌着させることが可能となる。
最後に、マシニングセンタ1へのカップリング50の取り付け方法について説明する。図15乃至図17は、主軸ヘッド7内においてモータ軸8a及びスピンドル軸27aが取り付けられるカップリング50を中心とした拡大図である。なお、理解を容易にするために、カップリング50のみを断面図として表している。
本実施の形態のマシニングセンタ1においては、主軸モータ8を主軸9と連通する主軸ヘッド7内に配置して、モータ軸8aとスピンドル軸27aとが同芯となるように各々を連結するために、マシニングセンタ1の製造者や設計者など(以下、製造者等)は以下の手順でカップリング50を用いて軸心合わせを行っている。
まず、「回転軸挿入工程」では、製造者等は主軸ヘッド7内の所定のモータ取付け位置に、モータ軸8aを下に向けた状態で主軸モータ8を載置する。そして、主軸モータ8が垂直方向に移動しないように、かつ水平方向にスライドさせることができるように、図示外の固定ネジで仮止めする。一方、この主軸モータ8の取付け時に、製造者等はカップリング50のモータ軸穴51fに上方向からモータ軸8aを挿入する一方、スピンドル軸穴52fに下方向からスピンドル軸27aを挿入する。そして、カップリング50から手を離しても落下しないように、かつ、カップリング50を垂直方向に摺動可能な程度で、縮径ボルト80a,80bを用いてモータ軸8a及びスピンドル軸27aをカップリング50に仮止めする。なお、本実施の形態では、スピンドル軸27aを挿入しやすいように、スピンドル軸穴52fの内径L2はスピンドル軸27aの直径よりも若干大きくなっており、スピンドル軸穴52fにスピンドル軸27aを挿入すると若干の遊びが形成される。
次に、「穴部嵌合工程」では、製造者等は主軸モータ8を水平方向にスライド移動させつつ、カップリング50をモータ軸8a及びスピンドル軸27aに沿って垂直方向に摺動させる(図15参照)。そして、スピンドル軸27aをスピンドル軸穴52fから貫通させ、モータ軸穴51fの下端側に形成された軸心合わせ穴51iに嵌合させる(図16参照)。詳細には、モータ側ハブ51のモータ軸8aの軸線と、スピンドル側ハブ52のスピンドル軸27aの軸線とを同一直線状に位置決めするために(すなわち、同芯状態となるように)、製造者等は仮止めされた主軸モータ8を水平方向にスライド移動させる。そして、モータ軸8aとスピンドル軸27aとが同芯状態となっていれば、カップリング50を下方向に摺動させると、スピンドル軸27aの先端はモータ側ハブ51の軸心合わせ穴51iに下方向から嵌合する。一方、同軸状態となっていなければ、カップリング50を下方向に摺動させても、スピンドル軸27aの先端はモータ側ハブ51の背面(下面)に引っ掛かるので軸心合わせ穴51iに嵌合しない。逆に言えば、カップリング50を垂直方向に摺動させた場合に、スピンドル軸27aの先端が軸心合わせ穴51iに嵌合すれば、モータ軸8aとスピンドル軸27aは同芯状態となっている。そのため、従来のように軸心合わせのための専用の部品を用いることなく、モータ軸8aとスピンドル軸27aとを簡易かつ確実に同芯状態とすることができる。
次に、「モータ固定工程」では、モータ軸8aとスピンドル軸27aとが同芯となった状態を保持するために、製造者等は仮止めしていた主軸モータ8を水平方向にも移動できないように完全に固定する。これにより、主軸ヘッド7内に位置決めした主軸モータ8を固定するとともに、カップリング50の水平方向における位置を固定することができる。
次に、「回転軸位置決め工程」では、製造者等はカップリング50をモータ軸8a及びスピンドル軸27aに沿って垂直方向に摺動させて、モータ軸8aをモータ側ハブ51に位置決めする一方、スピンドル軸27aをスピンドル側ハブ52に位置決めする(図17参照)。つまり、カップリング50を上方向に戻して、モータ軸8a及びスピンドル軸27aをモータ側ハブ51及びスピンドル側ハブ52における適正な取付け部位にそれぞれ位置決めする。
最後に、「カップリング固定工程」では、カップリング50の適正な取付け部位に位置決めされた状態を保持するために、製造者等は仮止めしていたカップリング50を垂直方向にも移動できないように完全に固定する。これにより、カップリング50をモータ軸8a及びスピンドル軸27aに対して一体に連結するとともに、カップリング50の垂直方向における位置を固定することができる。
以上の手順により、マシニングセンタ1において主軸モータ8を主軸9と連通する主軸ヘッド7内に配置し、カップリング50を用いてモータ軸8aとスピンドル軸27aとが同芯となるように各々を連結することができる。そして、主軸モータ8の回転駆動がカップリング50を介してスピンドル27に伝達され、主軸9を回転させて工具6により機械加工を行うことができる。また、モータ軸8aとスピンドル軸27aとが同芯となっているため、軸ズレによる機械加工時の振動発生が抑制され、かつ機械加工時に両軸の偏心が発生してもカップリング50で吸収されるため、より正確なワーク加工を実現することができる。
以上、本発明に係るカップリング50及びマシニングセンタ1によれば、モータ側ハブ51にはモータ軸穴51fの先端側に軸心合わせ穴51iが形成されており、モータ軸8aとスピンドル軸27aとが同芯となると、スピンドル軸27aはスピンドル軸穴52fを貫通して軸心合わせ穴51iに嵌合可能となる。そして、マシニングセンタ1にカップリング50を取り付ける場合は、モータ軸8a及びスピンドル軸27aをカップリング50に挿入する「回転軸挿入工程」と、スピンドル軸27aをスピンドル軸穴52fから貫通させて軸心合わせ穴51iに嵌合させる「穴部嵌合工程」と、主軸モータ8を主軸ヘッド7内に固定する「モータ固定工程」と、モータ軸8a及びスピンドル軸穴52fをカップリング50に位置決めする「回転軸位置決め工程」と、モータ軸8a及びスピンドル軸穴52fをカップリング50に固定する「カップリング固定工程」とにより行う。よって、軸心合わせのための専用の部品を用いることなく、モータ軸8aとスピンドル軸27aとが同芯となるように、各々を簡易かつ正確に連結することができる。
ところで、上記実施の形態において、主軸モータ8及びモータ軸8aが本発明の「駆動部」及び「第1回転軸」に相当し、モータ側ハブ51及びモータ軸穴51fが本発明の「駆動側ハブ」及び「第1貫通孔」に相当する。また、スピンドル27及びスピンドル軸27aが本発明の「従動部」及び「第2回転軸」に相当し、スピンドル側ハブ52及びスピンドル軸穴52fが本発明の「従動側ハブ」及び「第2貫通孔」に相当する。そして、モータ側ハブ51の軸心合わせ穴51iが本発明の「穴部」に相当し、板バネ53及び軸挿脱穴53cが本発明の「弾性部材」及び「第3貫通孔」に相当する。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、上記実施の形態では、モータ軸穴51fの先端側に拡径した軸心合わせ穴51iを設けて、この軸心合わせ穴51iにスピンドル軸27aを嵌合させることで軸心合わせを行っている。しかし、適切に軸心合わせを行うことができるのであれば、軸心合わせ穴51iやスピンドル軸27aの形態は任意に変更可能である。図18及び図19は、主軸ヘッド7内においてモータ軸8a及びスピンドル軸27aが取り付けられるカップリング50を中心とした他の拡大図である。
図18に示す例では、モータ側ハブ51において、モータ軸穴51fがモータ側ハブ51の上端面から下端面まで貫通している。そして、モータ側ハブ51の下端面に形成されたモータ軸穴51fの開口部の外周に、軸心合わせ穴51iとして略円形に切削されたリング状溝部が形成されている。一方、スピンドル軸27aにおいては、その先端縁部が上方に突出したリング状突起部が形成されている。かかる構成のもと、スピンドル軸27aを軸心合わせ穴51iに嵌合させることで、上記実施の形態と同様に軸心合わせを行ってもよい。
図19に示す例では、モータ側ハブ51において、モータ軸穴51fがモータ側ハブ51の上端面から下端面まで貫通している。そして、モータ軸穴51fにおける先端側(モータ側ハブ51の下端面近傍)が、モータ軸穴51fと同径をなす軸心合わせ穴51iとして機能する。一方、スピンドル軸27aにおいては、その先端縁部が縮径して上方に突出した円柱状突起部が形成されている。かかる構成のもと、スピンドル軸27aを軸心合わせ穴51iに嵌合させることで、上記実施の形態と同様に軸心合わせを行ってもよい。
また、上記実施の形態では、カップリング50をマシニングセンタ1(本発明の「工作機械」に相当)に実装させた場合を例示したが、「駆動部の第1回転軸」は主軸モータ8のモータ軸8aに限定されず、「従動部の第2回転軸」はスピンドル27のスピンドル軸27aに限定されない。そのため、本発明に係る「カップリング」や「軸線合わせ方法」をマシニングセンタ1以外に適用して、各種駆動機構の回転軸と各種従動機構の回転軸とを同芯となるように連結することができる。
また、本発明の「カップリング(駆動側ハブ,従動側ハブ)」の形状や大きさなどは、本発明の趣旨の範囲内で任意に変更可能である。例えば、モータ軸8aに応じてモータ軸穴51fの内径L1を変更したり、スピンドル軸27aに応じてスピンドル軸穴52fの内径L2を変更したりすることができる。同様に、スピンドル軸27aに応じてモータ側ハブ51の軸心合わせ穴51iの内径を変更すればよい。
また、本発明の「弾性部材」は、カップリング50における偏心などを吸収することができれば、板バネ53の形状や大きさなどは任意に変更可能である。例えば、上記実施の形態では、1枚の板バネ53を用いているが、複数の板バネ53を重ね合わせて実装させてもよい。
本発明の軸心合わせ方法は、駆動部の回転軸と従動部の回転軸とが同芯となるように各々を連結するために利用できる。
マシニングセンタ1の正面図である。 スプラッシュカバー3を除いた、マシニングセンタ1の全体斜視図である。 マシニングセンタ1における、工具交換機構20及び主軸ヘッド7を中心とした正面図である。 主軸ヘッド7の右方向から見た側面断面拡大図である。 主軸ヘッド7の右方向から見た側面断面拡大図である。 カップリング50の外観斜視図である。 カップリング50の外観斜視図である。 カップリング50の平面図である。 カップリング50の左側面図である。 カップリング50の正面図である。 カップリング50の背面図である。 カップリング50の部品展開図である。 A−A線(図8参照)における、カップリング50の矢視方向断面図である。 B−B線(図9参照)における、カップリング50の矢視方向断面図である。 主軸ヘッド7内においてモータ軸8a及びスピンドル軸27aが取り付けられるカップリング50を中心とした拡大図である。 主軸ヘッド7内においてモータ軸8a及びスピンドル軸27aが取り付けられるカップリング50を中心とした拡大図である。 主軸ヘッド7内においてモータ軸8a及びスピンドル軸27aが取り付けられるカップリング50を中心とした拡大図である。 主軸ヘッド7内においてモータ軸8a及びスピンドル軸27aが取り付けられるカップリング50を中心とした他の拡大図である。 主軸ヘッド7内においてモータ軸8a及びスピンドル軸27aが取り付けられるカップリング50を中心とした他の拡大図である。
1 マシニングセンタ
6 工具
7 主軸ヘッド
8 主軸モータ
8a モータ軸
9 主軸
27 スピンドル
27a スピンドル軸
50 カップリング
51 モータ側ハブ
51f モータ軸穴
51i 軸心合わせ穴
52 スピンドル側ハブ
52f スピンドル軸穴
53 板バネ
53c 軸挿脱穴
70a 連結ボルト
70b 連結ボルト
71a ワッシャ
71b ワッシャ
72a ワッシャ
72b ワッシャ
73a 連結ナット
73b 連結ナット

Claims (2)

  1. 駆動部の第1回転軸を挿脱可能な第1貫通孔が形成された駆動側ハブと、前記第1回転軸よりも径が大きい従動部の第2回転軸を挿脱可能な第2貫通孔が形成された従動側ハブとを備えたカップリングを用いて、前記駆動部の第1回転軸と前記従動部の第2回転軸とを同芯となるように連結するための軸心合わせ方法であって、
    前記カップリングは、
    前記駆動側ハブと前記従動側ハブとの間隙に設けられ、前記駆動側ハブおよび前記従動側ハブを連結するとともに、少なくとも前記第2回転軸を挿脱可能な第3貫通孔が中心部に形成された板バネを備え、
    前記駆動側ハブにおける前記従動側ハブと対向する面には、前記第1貫通孔において前記第1回転軸が挿脱される一端側の開口部とは異なる他端側の開口部が形成されるとともに、前記他端側の開口部は前記第2貫通孔と同径となるように拡径した穴部であり、
    前記第1貫通孔に挿入された前記第1回転軸と前記第2貫通孔に挿入された前記第2回転軸とが同芯となると、前記第2回転軸は前記第2貫通孔及び前記第3貫通孔を介して前記穴部に嵌合可能となり、
    前記軸心合わせ方法は、
    前記駆動部と前記従動部とを前記カップリングを介して互いに取り付けて、前記第1回転軸を前記第1貫通孔に挿入させる一方、前記第2回転軸を前記第2貫通孔に挿入させる回転軸挿入工程と、
    前記カップリングを前記第1回転軸及び前記第2回転軸の軸線方向に移動させる一方、前記駆動部及び前記従動部の少なくとも一方を該軸線方向と直交する方向に移動させて、前記第2回転軸を前記第2貫通孔及び前記第3貫通孔を介して前記穴部に嵌合させる穴部嵌合工程と、
    前記駆動部及び前記従動部を固定する動部固定工程と、
    前記カップリングを前記第1回転軸及び前記第2回転軸の軸線方向に移動させて、前記第1回転軸を前記駆動側ハブに位置決めする一方、第2回転軸を前記従動側ハブに位置決めする回転軸位置決め工程と、
    前記第1回転軸を前記駆動側ハブに固定する一方、前記第2回転軸を前記従動側ハブに固定するカップリング固定工程とを備えたことを特徴とする軸心合わせ方法。
  2. 主軸モータのモータ軸と、主軸内部に設けられて前記モータ軸よりも径が大きいスピンドル軸と、前記モータ軸および前記スピンドル軸を連結するカップリングとを備えた工作機械において、前記カップリングを用いて前記モータ軸と前記スピンドル軸とを同芯となるように連結するための軸心合わせ方法であって、
    前記カップリングは、
    前記モータ軸を挿脱可能な第1貫通孔が形成された駆動側ハブと、
    前記スピンドル軸を挿脱可能な第2貫通孔が形成された従動側ハブと、
    前記駆動側ハブと前記従動側ハブとの間隙に設けられ、前記駆動側ハブおよび前記従動側ハブを連結するとともに、少なくとも前記スピンドル軸を挿脱可能な第3貫通孔が中心部に形成された板バネとを備え、
    前記駆動側ハブにおける前記従動側ハブと対向する面には、前記第1貫通孔において前記モータ軸が挿脱される一端側の開口部とは異なる他端側の開口部が形成されるとともに、前記他端側の開口部は前記第2貫通孔と同径となるように拡径した穴部であり、
    前記第1貫通孔に挿入された前記モータ軸と前記第2貫通孔に挿入された前記スピンドル軸とが同芯となると、前記スピンドル軸は前記第2貫通孔及び前記第3貫通孔を介して前記穴部に嵌合可能となり、
    前記軸心合わせ方法は、
    前記主軸モータを前記主軸に前記カップリングを介して取り付けて、前記モータ軸を前記第1貫通孔に挿入させる一方、前記スピンドル軸を前記第2貫通孔に挿入させる回転軸挿入工程と、
    前記カップリングを前記モータ軸及び前記スピンドル軸の軸線方向に移動させる一方、前記主軸モータを該軸線方向と直交する方向に移動させて、前記スピンドル軸を前記第2貫通孔及び前記第3貫通孔を介して前記穴部に嵌合させる穴部嵌合工程と、
    前記主軸モータを固定するモータ固定工程と、
    前記カップリングを前記モータ軸及び前記スピンドル軸の軸線方向に移動させて、前記モータ軸を前記駆動側ハブに位置決めする一方、前記スピンドル軸を前記従動側ハブに位置決めする回転軸位置決め工程と、
    前記モータ軸を前記駆動側ハブに固定する一方、前記スピンドル軸を前記従動側ハブに固定するカップリング固定工程とを備えたことを特徴とする軸心合わせ方法。
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