JP4606175B2 - ダイナミックマイクロホン - Google Patents

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本発明は、低域までの周波数応答を確保することができ、かつ、感度を高めることができるダイナミックマイクロホンに関するものである。
ダイナミックマイクロホンは、マグネット、ヨークなどで形成された磁気回路と、振動板と、この振動板に一体的に取り付けられるとともに上記磁気回路内のギャップに配置されたボイスコイルを有している。マイクロホンに届く音声に従って振動板が振動すると、これとともにボイスコイルが振動し、上記ギャップに形成されている磁界をボイスコイルが横切りながら振動することによって、ボイスコイルから音声が電気信号に変換されて出力される。
従来の一般的な構成のダイナミックマイクロホンユニットの例を図2に示す。図2において、扁平な円形の皿状のヨーク2の内底面中心には円板型のマグネット(永久磁石)1が接着などの固着手段によって固定されている。マグネット1は厚さ方向(図2において上下方向)に着磁されている。マグネット1の厚さ(高さ)寸法はヨーク2の周壁21の内周面の高さと同じで、マグネット1の上端面とヨーク2の周壁21の上端面が同一面上にある。ヨーク2の周壁21の上端面にはリングヨーク3が接着などの固着手段によって固定されている。マグネット1の上端面には円板状のポールピース4が接着などの固着手段によって固定されている。ポールピース4の上端面とリングヨーク3の上端面は同一面上にある。リングヨーク3の内周面とポールピース4の外周面との間にはこれらリングヨーク3とポールピース4と同心円状のギャップ5が一定幅で形成されている。ポールピース4、リングヨーク3、ヨーク2はマグネット1から出る磁束を通す磁気回路を構成している。すなわち、マグネット1から出る磁束は、ポールピース4を通り、ギャップ5を経てリングヨーク3に至り、さらにヨーク2を通ってマグネット1に戻る。したがって、上記ギャップ5には磁界が形成されている。
上記ギャップ5には、このギャップ5に形成されている磁界を横切って、細い導電線が円筒形に巻き回されてなるボイスコイル7が配置されている。ボイスコイル7はフィルム状の素材からなる振動板6に取り付けられている。振動板6とボイスコイル7の構成をより詳細に説明すると、振動板6はセンタードーム部61とこれを弾性的に支えるサブドーム部62を有してなり、センタードーム部61とサブドーム部62の境界付近にボイスコイル7の一端側が接着などの手段によって固着されている。振動板6はまたサブドーム部62の外周側全周に一定幅dの接着部63を有し、この接着部63が上記リングヨーク3に形成された接着面32に接着されている。このリングヨーク3に形成された接着面32は、リングヨーク3に形成された周壁31の内周側に段状に、かつ、リングヨーク3の本体部分より1段高い位置に形成されている。したがって、振動板6は、接着面63を除く他の部分がリングヨーク3から浮いた状態で支持されている。また、振動板6に機械的に密に結合されたボイスコイル7が、上記のようにギャップ5に位置し、また、ギャップ5を構成するリングヨーク3の内周面およびギャップ5を構成するポールピース4の外周面に接触することがないように支持されている。
マイクロホンに音波が届くと、音波にしたがって振動板6が振動し、振動板6と一体的にボイスコイル7が振動する。ボイスコイル7の振動によってギャップ5内の磁束をボイスコイル7が切り、ボイスコイル7に音波に従った電気信号が発生する。こうして音波が電気信号に変換されてマイクロホンから出力される。
振動板6がセンタードーム部61を有している理由は、所定の剛性を持たせて、ボイスコイル7を振動板6とともに忠実に振動させるためである。また、振動板6がサブドーム部62を有している理由は、振動板6全体を弾性的に支持して、振動板6を音波にしたがって忠実に振動させるためである。
上記振動板6のセンタードーム部61はボイスコイル7とともに振動するため、センタードーム部61の面積を大きくするとマイクロホンの感度を高めることができる。単一指向性のダイナミックマイクロホンの制御方式は主として質量制御であるため、振動板6の低域の共振周波数を低くすることによって、低い周波数での集音を可能にすることになる。低域の共振周波数を低くするためには、
(1)ボイスコイル6を重くする。
(2)サブドーム部62の弾性力を、例えばスチフネスを弱くするなどの手段によって弱くする。
方法がある。しかし、ボイスコイル6を重くする方法では、マイクロホンを手で持ったときの振動雑音すなわちハンドリングノイズが増加し、手持ちのマイクロホンとしては不適当である。一方、サブドーム部62の弾性力を弱くする方法では、この部分の厚みを薄くする、あるいはこの部分の曲率半径を大きくするなどの方法がある。また、サブドーム部62の面積が小さくなると、センタードーム部61を柔らかく支持することが困難になるので、サブドーム部62の面積を大きくするのも一つの方法である。
通常、振動板6の外周端縁部すなわち接着部63は、図2に示す例のようにマイクロホンユニットのハウジングを構成するヨーク2などに平面的に接着されて固定される(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。この接着部63の糊代は、接着部63の半径方向の幅dであり、約1mm程度である。従って、直径では約2mm確保されている。ちなみに、ボイスコイル7の厚さ方向中心の直径aが13mm、ヨーク2の周壁21の内径bが24mm、ボイスコイル6の上記接着部63を含めた直径cが27mmのマイクロホンユニットの場合に、上記dが約1mmである。
以上のことから、外形の大きいマイクロホンユニットの場合は、接着部63の半径方向の幅dを1mm程度確保することはそれほど問題にならない。しかし、外径が20mm以下の比較的小径のマイクロホンユニットでは、接着部63の半径方向の幅dを1mm程度確保することによって直径で10%以上の寸法が振動板6の外周縁部の接着に使われることになる。これとともに、振動板6のセンタードーム部61の面積が小さくなり、これによってマイクロホンの感度が低下するという問題がある。また、センタードーム部61の面積をできるだけ大きくしようとしてサブドーム部62の面積を小さくすると、センタードーム部61を支えるサブドーム62の弾性力が大きくなり(ばねが硬くなる:スチフネスが大きくなる)、低音の集音が困難になるという問題を生じる。
また、振動板6の外周縁部を接着で固定する従来の構成では、図2に示すように、接着面32からはみ出した接着剤65が振動板6のサブドーム部62の外周部とリングヨーク3の上記接着面32に続く内周面に広がって固まり、サブドーム部62の動きが許容される範囲が制限されて動きにくくなり、この点からも低音域の集音が困難になるという問題を生じる。
以上のように、小口径のダイナミックマイクロホンユニットでは、低音域の集音も可能にするために、振動板のセンタードーム部およびサブドーム部の有効面積をできるだけ大きく確保することができるような工夫が求められる。
特開平10−336791号公報 特開平5−207583号公報
本発明は、以上のような従来のダイナミックマイクロホンの問題点を解消するためになされたもので、振動板の支持構造を工夫することにより、小口径のマイクロホンであっても、振動板が音圧を受けたとき動きやすくして低域までの周波数応答性を確保し、センタードーム部の面積も十分にとることができるようにして感度を確保することができるダイナミックマイクロホンを提供することを目的とする。
本発明は、音波を受けて振動する振動板と、この振動板に対し電気的に作用してその振動を電気的信号に変換する変換部を有するダイナミックマイクロホンであって、上記振動板は、センタードーム部とその外周側のサブドーム部を有し、上記振動板の外周縁部は、横断面における上記サブドーム部の形状が延長した形になっていて平坦面をなす支持体の接着面に線接触し、この線接触部に沿って硬化後も弾力性のある接着剤が塗布されることにより、上記振動板の外周縁部が上記支持体の平坦面をなす上記接着面接着され、上記振動板の外周縁部は上記接着面に線接触している部分以外は上記接着面から離間していることを最も主要な特徴とする。
振動板の外周縁部を支持体に線接触させ、この線接触部を接着剤で支持体に固着することにより、振動板の接着面積を小さくすることができ、その分振動板の可動部分の面積を広くすることができ、小径のマイクロホンであっても、低域までの周波数応答性を確保することができる。また、振動板の接着面積を小さくすることができることによって、振動板のセンタードームの部分の面積を広くすることもでき、これによってマイクロホンの感度を高めることもできる。
上記の接着剤として、硬化後も弾力性のある接着剤を使用すれば、接着した部分においても振動板の動きがある程度許容され、低域までの周波数応答性を確保しやすくなる。
以下、本発明にかかるダイナミックマイクロホンの実施例を、図1を参照しながら説明する。なお、図2に示す従来例の構成と同じ部分には同じ符号を付した。
図1において、扁平な円形の皿状のヨーク2の内底面中心には、円板型ないしは低い円柱型のマグネット(永久磁石)1が接着などの固着手段によって固定されている。マグネット1は厚さ方向(図1において上下方向)に着磁されている。マグネット1の厚さ(高さ)寸法はヨーク2の周壁21の内周面の高さと同じで、マグネット1の上端面とヨーク2の周壁21の上端面が同一面上にある。ヨーク2の周壁21の上端面にはリングヨーク3が接着などの固着手段によって固定されている。マグネット1の上端面には円板状のポールピース4が接着などの固着手段によって固定されている。ポールピース4の上端面とリングヨーク3の上端面は同一面上にある。リングヨーク3の内周面とポールピース4の外周面との間にはこれらリングヨーク3およびポールピース4と同心円状のギャップ5が一定幅で形成されている。ポールピース4、リングヨーク3、ヨーク2はマグネット1から出る磁束を通す磁気回路を構成している。すなわち、マグネット1から出る磁束は、ポールピース4を通り、ギャップ5を経てリングヨーク3に至り、さらにヨーク2を通ってマグネット1に戻る。したがって、上記ギャップ5には磁界が形成されている。
上記ギャップ5には、このギャップ5に形成されている磁界を横切って、細い導電線が円筒形上に巻き回されてなるボイスコイル7が配置されている。ボイスコイル7はフィルム状の素材からなる振動板6に取り付けられている。振動板6とボイスコイル7の構成をより詳細に説明すると、振動板6はセンタードーム部61とこれを弾性的に支えるためにセンタードーム部61と一体にその外周に沿ってリング状に形成されたサブドーム部62を有してなる。サブドーム部62は横断面形状がドーム状になっている。センタードーム部61とサブドーム部62の境界付近にボイスコイル7の一端側が接着などの手段によって固着されている。
前記リングヨーク3は振動板6の支持体としても機能していて、リングヨーク3に形成された周壁31の内周側に段状に、かつ、リングヨーク3の本体部分より1段高い位置に形成され接着面33に振動板6の外周縁部が全周にわたり接着されている。ただし、図2に示す従来例と異なり、振動板6の外周縁部の接着部64は、サブドーム部62の横断面におけるドーム形状が延長した形になっているため、平坦面をなす上記接着面33に周方向の円弧状に線接触(図1に示す断面では点接触に見える)している。この線接触部沿って接着剤66が塗布され、上記接着面33の幅fの範囲で振動板6が支持体としてのリングヨーク3に固着されている。振動板6の外周縁部は、接着面33に線接触している部分以外は接着面33およびリングヨーク3の周壁31の内周面から離間しており、この離間した部分を上記接着面33の幅fの範囲内で接着剤66が硬化し、振動板6を固着している。したがって、接着剤66は振動板6をその外周縁部の上下両面から覆い、リングヨーク3に固着している。こうして、振動板6は、接着面33を除く他の部分がリングヨーク3およびポールピース4から浮いた状態で支持されている。また、振動板6に機械的に密に結合されたボイスコイル7が、上記のようにギャップ5に位置し、また、ギャップ5を構成するリングヨーク3の内周面およびギャップ5を構成するポールピース4の外周面に接触することがないように支持されている。
上記接着剤66は、硬化後も弾力性のある接着剤が選択されて使用されている。硬化後も弾力性のある接着剤の例として、信越化学工業株式会社製の1液型RTVゴム KE347があり、本発明の実施例ではこれを使用した。
マイクロホンに音波が届くと、音波にしたがって振動板6が振動し、振動板6と一体的にボイスコイル7が振動する。ボイスコイル7の振動によってギャップ5内の磁束をボイスコイル7が切り、ボイスコイル7に音波に従った電気信号が発生する。こうして音波が電気信号に変換されてマイクロホンから出力される。ボイスコイル7と磁気回路は、音波を受けて振動する振動板6に対し電気的に作用してその振動を電気的信号に変換する変換部を構成している。
図1に示す実施例では、リングヨーク3の周壁31の先端部に、イコライザーとして機能するカバー8が嵌められている。カバー8は振動板6を覆うとともに振動板6との間に隙間を保っている。カバー8には、音波を振動板6に導き入れるための適宜数の孔81が形成されている。
以上説明した部分は、正確にはマイクロホンユニットであって、このマイクロホンユニットがマイクロホンケースに装着され、マイクロホンケースへの他の部品の組み付け、コネクタとの配線などが行われることによってマイクロホンが完成する。
以上説明した実施例によれば、振動板6は、外周縁部の接着部64が支持体としてのリングヨーク3の接着面33に線接触していて、この線接触部が接着剤66により上記リングヨーク3に固着されているので、支持体に面接触している従来例と比較すると、接着部64の幅fを狭くすることができる。その分、振動板6のサブドーム部62の半径方向の寸法gを大きくしてその面積を広くすることができるので、音波を受けたとき振動板6が動きやすくなり、小口径のダイナミックマイクロホンであったとしても、低域までの周波数応答性を確保し、低音域まで集音しやすくなる利点がある。また、接着部64の幅fを狭くすることができる分、センタードーム部61の面積も十分にとることができるようになり、小口径のダイナミックマイクロホンであったとしても、感度を確保することができる。
上記の効果に加えて、接着剤66は、接着面33に線接触している振動板6の外周縁部以外は、接着面33およびリングヨーク3の周壁31の内周面から離間し、この離間した部分に接着剤66が浸透し硬化して振動板6を固着しているため、接着剤66が接着面33以外の部分にはみ出すことがなく、接着剤の硬化によって振動板6の有効可動部分が制限されるという問題を解消することができる。これによって、低域までの周波数応答性および感度を高めることができる。
接着剤66は、硬化後も弾力性のある接着剤とすることにより、接着剤66が硬化したあとであっても振動板6が動きやすくなり、この点からも低域までの周波数応答性および感度を高めることができる。
本発明にかかるダイナミックマイクロホンの実施例を示す縦断面図である。 従来のダイナミックマイクロホンの例を示す縦断面図である。
符号の説明
1 マグネット
2 ヨーク
3 リングヨーク
4 ポールピース
5 ギャップ
6 振動板
7 ボイスコイル
33 接着面
61 センタードーム部
62 サブドーム部
64 接着部
66 接着剤

Claims (4)

  1. 音波を受けて振動する振動板と、この振動板に対し電気的に作用してその振動を電気的信号に変換する変換部を有するダイナミックマイクロホンであって、
    上記振動板は、センタードーム部とその外周側のサブドーム部を有し、
    上記振動板の外周縁部は、横断面における上記サブドーム部の形状が延長した形になっていて平坦面をなす支持体の接着面に線接触し、この線接触部に沿って硬化後も弾力性のある接着剤が塗布されることにより、上記振動板の外周縁部が上記支持体の平坦面をなす上記接着面接着され、上記振動板の外周縁部は上記接着面に線接触している部分以外は上記接着面から離間していることを特徴とするダイナミックマイクロホン。
  2. 振動板のセンタードーム部とサブドーム部との境界部分に変換部を構成するボイスコイルが固着されている請求項1記載のダイナミックマイクロホン。
  3. ボイスコイルは、このボイスコイルとともに変換部を構成する磁気回路のギャップに位置している請求項2記載のダイナミックマイクロホン。
  4. 支持体は、変換部を構成する磁気回路の一部をなすリング状のヨークからなり、このヨークの内周側に形成された段部に振動板の外周縁部が線接触している請求項1、2または3記載のダイナミックマイクロホン。
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