JP4608253B2 - 液浸対物光学系 - Google Patents

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Description

この発明は、細長い形状をした高開口数の対物光学系に関し、特に哺乳類などの動物に挿入し、生きたまま観察するのに適した液浸対物光学系に関する。
従来、特定の分子や組織、細胞などに色素や蛍光マーカーをつけて、これを蛍光顕微鏡や共焦点レーザー走査顕微鏡などで観察して、生物の細胞や組織内の分子の挙動などを観察する方法が行なわれている。また、マウスなどの哺乳類の生物個体の生きた状態での分子の挙動は培養細胞とは異なる場合があるため、生物個体が生きたまま(in vivo)の状態で生体組織や細胞内を観察することが行なわれている。
生物個体の内部を観察する場合に、従来の顕微鏡では対物レンズの外径が大きいので、生体を大きく切り開いて観察する必要がある。しかし、生体を大きく切り開くと侵襲が高いので、生体に過大な負担がかかり、長時間の観察は不可能であった。
また、一般の内視鏡は外径が小さいので生体に対する侵襲は低いが、倍率が低いので生体組織や細胞内の分子の挙動を観察を行なうのには不十分である。
さらに、拡大内視鏡は倍率は高いが、物体側の開口数(NA)が低いので分解能や明るさが不足する。
特許文献1には、開口数が大きく、外径が小さく、全長も比較的長い対物光学系が開示されている。この対物光学系によれば、生体に小さな穴をあけて、この穴からこの光学系を挿入することにより、生体を低侵襲で観察できる。
米国特許出願公開第2004/0051957号明細書
特許文献1に開示されている対物光学系は、色収差が十分に補正されておらず、白色光で観察したり、蛍光観察する場合に励起光と試料が発する蛍光の波長が異なるので分解能が低下する不具合がある。特に共焦点光学系を用いた蛍光観察の場合は、色収差が補正されていないと、検出される蛍光の明るさが低下するという問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、外径が細く、全長が長く、色収差が良好に補正されていて、高開口数で、In vivo観察に適した対物光学系を実現することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明は、物体側から順に、第1群と第2群とから構成され、前記第1群は、物体側が平面で像面側に凸面を向けた正の屈折力を持った単レンズである第1レンズ成分と、像面側に凸面を向け正の屈折力を持った単レンズである第2レンズ成分と、両凸レンズと負レンズを接合し全体として正の屈折力を持った接合レンズである第3レンズ成分と、負レンズと両凸レンズを接合した接合レンズである第4レンズ成分とから構成され、前記第2群は、体側に凹面を向けたレンズと像面側に凸面を向けたレンズを接合した接合レンズである第5レンズ成分と、正の屈折力を持つ複合レンズである第6レンズ成分と、負の屈折力を持った単レンズである第7レンズ成分とから構成され、条件式(1)および(2)を満足する液浸対物光学系を提供する。
0.2<|M・F1/LT|<0.45 (1)
0.2<|LG1/LT|<0.4 (2)
ここで、F1は前記1群全体の焦点距離、Mは前記対物光学系の倍率、LTは物体面から像面までの距離、LG1は前記第1レンズ成分の物体側から第4レンズ成分の像側までの距離である。
低侵襲でマウスなどの小動物の生体の深部を観察するためには、対物光学系の物体に近い部分のレンズ群の直径は3mm以下にすることが望ましい。具体的には、対物光学系の物体に近い部分というのは、対物光学系先端から8mm以内の範囲である。対物光学系で捕らえた像を監視するには対物レンズの後ろにリレーレンズやCCDを接続して、生体から少し離れたところで像を監視する必要がある。リレーレンズやCCDが動物(の頭部など)と接触し難くするために、対物光学系の物体面から結像面の光学系の全長は20mm以上であることが望ましい。また、明るい蛍光像および高い分解能を得るために対物光学系の物体側の開口数は0.6以上であることが望ましい。
本発明によれば、これらの条件を満足することができる。
第1レンズ成分の物体側が平面であるため、第1レンズ成分と生体との間に気泡が入らないようにすることができる。
また、第1レンズ成分および第2レンズ成分が正の屈折力をもち、第1レンズ成分の像側が凸面、第2レンズ成分の像側が凸面であるため、第1レンズ成分と第2レンズ成分でレンズのパワーを分散し、さらに両レンズの像面側を凸面にすることでアプラナティック条件に近くして球面収差およびコマ収差の発生を小さくすることができる。
さらに、第3レンズ成分の接合面では、第1、第2レンズ成分で発生した軸上色収差補正を行うことができる。また、第4レンズ成分の接合面では、第1から第3レンズ成分で発生した球面収差とコマ収差、倍率色収差を補正するとともに、第3レンズ成分で補正し切れなかった軸上色収差を補正することができる。また、第5レンズ成分の物体側の凹面は、ペッツバールを小さくして像面湾曲を小さくするとともに、第2群のほかの面で発生する球面収差、コマ収差、軸上色収差、倍率色収差を補正することができる。また、第5レンズ成分の像側凸面と第6レンズ成分の正の屈折力により光束を集光することができる。さらに、第7レンズ成分の負の屈折力によりペッツバール和を小さくして像面湾曲を小さくすることができる。
また、|M・F1/LT|≦0.2の場合には、第1群から射出する軸外の主光線の角度が大きくなり過ぎるため、コマ収差の補正が困難になる。また、0.45≦|M・F1/LT|の場合には、第1群全体の屈折力が弱くなるため、光束径が大きくなり、レンズ外径を大きくなる。したがって、条件式(1)を満足する場合にはこのような不都合がない。
また、|LG1/LT|≦0.2の場合には、第1群の長さが短くなるため、対物光学系を生体の深部に挿入することが困難となり、生体深部の観察が困難になる。一方、0.4≦|LG1/LT|の場合には、軸外光線が高くなってしまうためレンズ外径がおおきくなり、生体に対する侵襲が高くなってしまう。したがって、条件式(2)を満足することにより、上記のような不都合がなく、第1群の長さを十分確保することができる。
そして、このように構成することで、外径が細く、全長が長く、色収差が良好に補正されていて、高開口数で、in vivo観察に適した液浸対物光学系を実現することができる。
上記発明においては、さらに、条件式(3)、(4)および(5)を満足することが好ましい。
ν42−ν41>40 (3)
n41−n42>0.3 (4)
0.7<|R4/F1|<1.2 (5)
ここで、R4は第4レンズ成分の接合面の曲率半径、ν41、ν42は各々第4レンズ成分の負レンズと両凸正レンズのd線に対するアッベ数、n41、n42は各々第4レンズ成分の負レンズと両凸正レンズのd線に対する屈折率である。
ν42−ν41≦40の場合には、軸上色収差、倍率色収差が補正不足になるという不都合がある。したがって、条件式(3)を満足することにより軸上色収差、倍率色収差を適正に補正することができる。
また、n41−n42≦0.3の場合には球面収差およびコマ収差が補正不足となるため、条件式(4)を満足することにより球面収差、コマ収差を適正に補正することができる。
さらに、|R4/F1|≦0.7の場合には、曲率が小さすぎてレンズの加工性が悪くなり、1.2≦|R4/F1|であると、収差が補正不足になる。したがって、条件式(5)を満足することにより、球面収差、コマ収差および軸上色収差、倍率色収差を適正に補正することができる。
上記発明においては、条件式(6)および(7)を満足することが好ましい。
ν31−ν32≧40 (6)
0.7<|R3/F1|<1.7 (7)
ここで、R3は第3レンズ成分の接合面の曲率半径、ν31、ν32は各々第3レンズ成分の両凸正レンズと負レンズのd線に対するアッベ数である。
ν31−ν32<40の場合には、軸上色収差が補正不足になる。したがって、条件式(6)を満足することにより、軸上色収差を適正に補正することができる。
また、|R3/F1|≦0.7の場合には、曲率が小さすぎてレンズの加工性が悪くなる。一方、1.7≦|R3/F1|の場合には、補正不足となる。したがって、条件式(7)を満足することにより、軸上色収差を適正に補正することができる。
上記発明においては、条件式(8)を満足することが好ましい。
0.5≦|R5O/R5I|≦0.8 (8)
ここで、R5Oは第5レンズ成分の物体側凹面の曲率半径、R5Iは第5レンズ成分の像面側凸面の曲率半径である。
|R5O/R5I|<0.5の場合には、各収差が補正過剰になる。一方、0.8<|R5O/R5I|の場合には、各収差が補正不足になる。したがって、条件式(8)を満足することにより、第2群において、球面収差、コマ収差、軸上色収差、倍率色収差を補正することができる。
また、上記発明においては、前記第1レンズ成分が、平行平面板と平凸レンズを接合したものであることが好ましい。
最も物体側の面は生体や水に直接触れるため、平行平面板を採用することにより、耐性が良いガラスにより構成することができる。
また、上記発明においては、前記第6レンズ成分が、2枚の正の屈折力を持ったレンズで構成されていることが好ましい。このように構成することで、正の屈折力のレンズを2枚に分割することによって、球面収差やコマ収差の発生量を小さくできる。
なお、作動距離(物体面と対物光学系の物体側の間の距離)は300μm以下であることが望ましい。
生きた動物は脈動や呼吸により動いているので、対物光学系と観察する部分が離れていると像がぶれて観察が困難になる場合がある。そこで、対物光学系の作動距離を300μm以下にして、対物光学系を観察する部分に密着させることで、対物光学系に対して相対的に動きを止め、像のブレを防止することができる。
本発明によれば、外径が細く、全長が長く、色収差が良好に補正されていて、高開口数で、in vivo観察に適した対物光学系が実現できるという効果がある。
以下、本発明の第1の実施形態に係る液浸対物光学系について、図1〜図8を参照して説明する。
本実施形態の説明において、物体側の瞳位置は∞である。また、記号rは曲率半径、記号dは面間隔、記号nはd線(587.56nm)での屈折率、記号νはアッベ数である。
本実施形態に係る液浸対物光学系1は、図1に示されるように、物体側から順に、第1群と第2群とから構成されている。第1群は、平行平面板L11と像面側に凸面を向けた平凸レンズL12とからなる正の屈折力を持った第1レンズ成分L1と、像面側に凸面を向け正の屈折力を持った第2レンズ成分L2と、両凸レンズL31と負レンズL32を接合し全体として正の屈折力を持った第3レンズ成分L3と、負レンズL41と両凸レンズL42を接合した第4レンズ成分L4とを含んでいる。第2群は、少なくとも物体側に凹面を向けたレンズL51と像面側に凸面を向けたレンズL52を接合した第5レンズ成分L5と、正の屈折力を持つレンズL61,L62からなる第6レンズ成分L6と、負の屈折力を持った第7レンズ成分L7とを含んでいる。
また、本実施形態に係る液浸対物光学系1は、以下の条件式(1)〜(8)を満足している。
0.2<|M・F1/LT|<0.45 (1)
0.2<|LG1/LT| <0.4 (2)
ν42−ν41>40 (3)
n41−n42>0.3 (4)
0.7<|R4/F1|<1.2 (5)
ν31−ν32≧40 (6)
0.7<|R3/F1|<1.7 (7)
0.5≦|R5O/R5I|≦0.8 (8)
ここで、F1は前記1群全体の焦点距離、Mは前記対物光学系の倍率、LTは物体面から像面までの距離、LG1は前記第1レンズ成分の物体側から第4レンズ成分の像側までの距離、R4は第4レンズ成分の接合面の曲率半径、ν41、ν42は各々第4レンズ成分の負レンズと両凸正レンズのd線に対するアッベ数、n41、n42は各々第4レンズ成分の負レンズと両凸正レンズのd線に対する屈折率、R3は第3レンズ成分の接合面の曲率半径、ν31、ν32は各々第3レンズ成分の両凸正レンズと負レンズのd線に対するアッベ数、R5Oは第5レンズ成分の物体側凹面の曲率半径、R5Iは第5レンズ成分の像面側凸面の曲率半径である。
本実施形態に係る液浸対物光学系1によれば、第1レンズ成分L1の物体側が平面であるため、第1レンズ成分L1と生体との間に気泡が入らないようにすることができる。
また、第1レンズ成分L1および第2レンズ成分L2が正の屈折力をもち、第1レンズ成分L1の像側が凸面であり、第2レンズ成分L2の像側も凸面であるため、第1レンズ成分L1と第2レンズ成分L2でレンズのパワーを分散し、さらに両レンズL1,L2の像面側を凸面にすることでアプラナティック条件に近くして球面収差およびコマ収差の発生を小さくすることができる。
さらに、第3レンズ成分L3の接合面では、第1、第2レンズ成分L1,L2で発生した軸上色収差補正を行うことができる。また、第4レンズ成分L4の接合面では、第1から第3レンズ成分L1〜L3で発生した球面収差とコマ収差、倍率色収差を補正するとともに、第3レンズ成分L3で補正し切れなかった軸上色収差を補正することができる。また、第5レンズ成分L5の物体側の凹面は、ペッツバールを小さくして像面湾曲を小さくするとともに、第2群のほかの面で発生する球面収差、コマ収差、軸上色収差、倍率色収差を補正することができる。また、第5レンズ成分L5の像側凸面と第6レンズ成分L6の正の屈折力により光束を集光することができる。さらに、第7レンズ成分L7の負の屈折力によりペッツバール和を小さくして像面湾曲を小さくすることができる。
したがって、本実施形態に係る液浸対物光学系1によれば、外径が細く、全長が長く、色収差が良好に補正されていて、高開口数で、in vivo観察に適した対物光学系が実現できるという効果がある。
図2に、本実施形態に係る液浸対物光学系1を小型のレーザスキャン共焦点光学システム2に接続した例を示す。
このレーザスキャン共焦点光学システム2は、上記液浸対物光学系1を取り付けた走査ユニット3と、該走査ユニット3に接続された光学ユニット4および制御ユニット5と、これら光学ユニット4および制御ユニット5に接続されたコンピュータ(PC)6と、該コンピュータ6に接続されたモニタ7とを備えている。
光学ユニット4内には、励起用のレーザ光源と、ダイクロイックミラーと、励起光カットフィルタと、光検出器とが備えられている(いずれも図示略)。光学ユニット4は光ファイバ8により走査ユニット3に接続されている。また、制御ユニット5は、電気信号線9により走査ユニット3に接続されている。
また、走査ユニット3内には、伝播されてきたレーザ光を平行光にするコリメータ光学系10と、制御ユニット5により制御され、コリメータ光学系10からの平行光を2次元的に走査する光走査部11と、中間像を結像する瞳投影光学系12とが備えられている。レーザ光源から発せられたレーザ光は、光ファイバ8を通って走査ユニット3に導かれ、コリメータ光学系10で平行光にされた後、光走査部11で光の射出方向が走査され、瞳投影光学系12で中間像を結像するようになっている。
図中、符号13は制御ユニット5により制御されコリメータ光学系を光軸方向に移動させて焦点位置の調節を行うアクチュエータ、符号14は走査ユニット3を任意の角度および位置に配置可能に支持するアームである。
瞳投影光学系12には液浸対物光学系1が接続されていて、瞳投影光学系12で結像された像が、図1に示された液浸対物光学系1によって物体(生体)Aへ再結像され、観察対象部位(生体組織や色素等)Bの励起を行なうようになっている。
物体(生体)Aの観察対象部位Bで発生した蛍光は、液浸対物光学系1、瞳投影光学系12、光走査部11、コリメータ光学系10、光ファイバ8を経て、光学ユニット4内の図示しないダイクロイックミラーで励起光と分離された後、励起光カットフィルタを経て、光検出器で検出されるようになっている。コンピュータ6は、光検出器により検出された蛍光に所定の画像処理を施して、モニタ7に蛍光画像を表示するようになっている。
本実施形態においては、光ファイバ8のコアが共焦点ピンホールの役割をしており、物体Aを観察する場合は、フォーカスが合った部分の近傍以外の部位からの光がカットされる。したがって、SN比の高い画像をモニタ7に表示することができる。
また、アクチュエータ13を作動させて走査ユニット3内にあるコリメータ光学系10光ファイバ8との距離を変化させることで、液浸対物光学系1の長手方向(Z方向)の観察位置を走査できるので、光走査部11での横方向(X,Y方向)の走査と組み合わせることで3次元の画像取得も可能である。
[第1実施例]
以下、上記実施形態に係る液浸対物光学系1の第1実施例について、図3から図5を参照して説明する。
本実施例に係る液浸対物光学系1は、図3に示されるように、物体側から順に、第1レンズ成分L1〜第4レンズ成分L4からなる第1群と、第5レンズ成分L5〜第7レンズ成分L7からなる第2群により構成されている。第1レンズ成分は、平行平面板L11と、物体側に平面を向け、像面側に凸面を向け正の屈折力を有する平凸レンズL12とから構成されている。第2レンズ成分L2は、像面側に凸面を向けた正の屈折力を有する両凸レンズから構成されている。
第3レンズ成分L3は、相互に接合されて全体として正の屈折力を有する両凸レンズL31と負レンズL32との接合レンズである。第4レンズ成分L4は、相互に接合された負レンズL41と両凸レンズL42との接合レンズである。第5レンズ成分L5は、相互に接合された物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL51と、像面側に凸面を向けた正メニスカスレンズL52との接合レンズである。第6レンズ成分L6は正の屈折力を有する平凸レンズL61と平凸レンズL62とから構成されている。第7レンズ成分L7は負の屈折力を持つ負メニスカスレンズにより構成されている。
表1に、本実施例の液浸対物光学系の数値データを示す。この数値データは、図3のレンズ配列に対応している。記号rは曲率半径、記号dは面間隔、記号nはd線に対する屈折率、記号νはd線に対するアッベ数を示している。
Figure 0004608253
また、上記数値データを有する本実施例による物体側開口数NA、倍率M、第1群全体の焦点距離F1、物体面から像面までの距離LT、第1群の長さLG1、作動距離WDをそれぞれ表2に示す(表2の上側、実施例1の欄)。また、表2には上記条件式(1)〜(8)の値を示す(表2の下側、実施例1の欄)。
これによれば、本実施形態に係る液浸対物光学系1は、上記条件式(1)〜(8)を満足している。
Figure 0004608253
表2に示されるように、本実施例によれば、液浸対物光学系1の物体面から結像面の光学系の全長は27.882mmであるので、液浸対物光学系1の後ろに瞳投影光学系12や走査ユニット11を接続しても、瞳投影光学系12や走査ユニット11が物体Aと接触し難い長さになっている。
また、第1群の長さは8.66mmであり、第1群のレンズ径は2.5mm以下である。したがって、マウスなどの小動物を低侵襲で生体の深部を観察するのに適している。
また、表2に示すように、開口数が0.7と高く、軸上色収差および倍率色収差が良好に補正されているので、白色光観察や蛍光観察、特にレーザー走査型共焦点光学顕微鏡2の液浸対物光学系1として適している。
さらに、作動距離(WD)は0.2mmであり、液浸対物光学系1の先端部を生体Aに密着させることで、生体A内部を、ブレなく観察することが可能である。
図4および図5に、本実施例に係る液浸対物光学系1の収差図を示す。
図4(a)は球面収差、(b)は非点収差、(c)は歪曲収差、(d)は倍率色収差をそれぞれ示している。また、図5(a),(b)はそれぞれ、メリディオナル面のコマ収差、サジタル面のコマ収差を示している。図中符号、NAは像側の開口数、yは像高、Mはメリディオナル面、Sはサジタル面の収差をそれぞれ示している。また、倍率色収差はd線(587.56nm)を基準にしたものである。また、球面収差、倍率色収差において、C線は656.27nm、d線は587.56nm、e線は546.07nm、F線は486.13nm、g線は435.84nmである。
[第2実施例]
次に、上記実施形態に係る液浸対物光学系1の第2実施例について、図6から図8を参照して説明する。
本実施例に係る液浸対物光学系1は、図6に示されるように、物体側から順に、第1レンズ成分L1〜第4レンズ成分L4からなる第1群と、第5レンズ成分L5〜第7レンズ成分L7からなる第2群により構成されている。第1レンズ成分は、平行平面板L11と、物体側に平面を向け、像面側に凸面を向け正の屈折力を有する平凸レンズL12とから構成されている。第2レンズ成分L2は、像面側に凸面を向けた正の屈折力を有する平凸レンズから構成されている。
第3レンズ成分L3は、相互に接合されて全体として正の屈折力を有する両凸レンズL31と負レンズL32との接合レンズである。第4レンズ成分L4は、相互に接合された負レンズL41と両凸レンズL42との接合レンズである。第5レンズ成分L5は、相互に接合された両凹レンズL51と両凸レンズL52との接合レンズである。第6レンズ成分L6は正の屈折力を有する平凸レンズL61と平凸レンズL62とから構成されている。第7レンズ成分L7は負の屈折力を持つ負メニスカスレンズにより構成されている。
表3に、本実施例の液浸対物光学系1の数値データを示す。この数値データは、図6のレンズ配列に対応している。
Figure 0004608253
また、上記数値データを有する本実施例による物体側開口数NA、倍率M、第1群全体の焦点距離F1、物体面から像面までの距離LT、第1群の長さLG1、作動距離WDをそれぞれ表2に示す(表2の上側、実施例2の欄)。また、表2には上記条件式(1)〜(8)の値を示す(表2の下側、実施例2の欄)。
これによれば、本実施形態に係る液浸対物光学系1は、上記条件式(1)〜(8)を満足している。
本実施例は第1実施例と比較して液浸対物光学系1の長さをさらに長くし、色収差を可視光域から900nm付近の近赤外域まで補正したものである。表2に示されるように、第1群の長さは8.48mmであり、第1群のレンズ径は2.5mm以下であり、マウスなどの小動物の深部を低侵襲で観察するのに適している。
また、開口数が0.72と高く、軸上色収差および倍率色収差が良好に補正されているので、白色光観察や蛍光観察、特にレーザー走査型共焦点光学顕微鏡2の液浸対物光学系1として適している。
さらに、液浸対物光学系1の物体面から結像面の光学系の全長は31.157mmあるので、液浸対物光学系1の後ろに瞳投影光学系12や走査ユニット11を接続しても、瞳投影光学系12や走査ユニット11が動物Aと接触し難い長さになっている。
また、作動距離(WD)は0.05mmであり、液浸対物光学系1の先端部を生体Aに密着させることで、生体Aの表面近傍をブレることなく観察可能である。
図7および図8に、本実施例に係る液浸対物光学系1の収差図を示す。
図7(a)は球面収差、(b)は非点収差、(c)は歪曲収差、(d)は倍率色収差をそれぞれ示している。また、図8(a),(b)はそれぞれ、メリディオナル面のコマ収差、サジタル面のコマ収差を示している。図中符号は図4のおよび図5の収差図と同様である。また、球面収差、倍率色収差において、s線は852.11nm、C線は656.27nm、d線は587.56nm、e線は546.07nm、F線は486.13nm、g線は435.84nmである。
第1、第2の実施例に係る液浸対物光学系1には、イメージファイババンドル、CCDを接続して明視野観察を行なうことも可能である。
その場合には、液浸対物光学系1のすぐ外側に照明用ファイバを設けて生体を照明したり、液浸対物光学系1の後ろ側にリレーレンズとハーフミラーを設けて照明光を液浸対物光学系と同軸に入射させる方法などがある。
本発明の一実施形態に係る液浸対物光学系を示すレンズ配列である。 図1の液浸対物レンズを取り付けた小型のレーザスキャン共焦点光学システムに接続した例を示す全体構成図である。 本発明の第1の実施例に係る液浸対物光学系のレンズ配列を示す図である。 図3のレンズ配列による収差図を示す図である。 図3のレンズ配列によるコマ収差を示す収差図である。 本発明の第2の実施例に係る液浸対物光学系のレンズ配列を示す図である。 図6のレンズ配列による収差図を示す図である。 図6のレンズ配列によるコマ収差を示す収差図である。
符号の説明
1 液浸対物光学系
L1 第1レンズ成分
L11 平行平面板
L12 平凸レンズ
L2 第2レンズ成分
L3 第3レンズ成分
L31 両凸レンズ
L32 負レンズ
L4 第4レンズ成分
L41 負レンズ
L42 両凸レンズ
L5 第5レンズ成分
L6 第6レンズ成分
L7 第7レンズ成分

Claims (6)

  1. 物体側から順に、第1群と第2群とから構成され、
    前記第1群は、
    物体側が平面で像面側に凸面を向けた正の屈折力を持った単レンズである第1レンズ成分と、
    像面側に凸面を向け正の屈折力を持った単レンズである第2レンズ成分と、
    両凸レンズと負レンズを接合し全体として正の屈折力を持った接合レンズである第3レンズ成分と、
    負レンズと両凸レンズを接合した接合レンズである第4レンズ成分とから構成され
    前記第2群は、
    体側に凹面を向けたレンズと像面側に凸面を向けたレンズを接合した接合レンズである第5レンズ成分と、
    正の屈折力を持つ複合レンズである第6レンズ成分と、
    負の屈折力を持った単レンズである第7レンズ成分とから構成され
    条件式(1)および(2)を満足する液浸対物光学系。
    0.2<|M・F1/LT|<0.45 (1)
    0.2<|LG1/LT|<0.4 (2)
    ここで、F1は前記1群全体の焦点距離、Mは前記対物光学系の倍率、LTは物体面から像面までの距離、LG1は前記第1レンズ成分の物体側から第4レンズ成分の像側までの距離である。
  2. 条件式(3)、(4)および(5)を満足する請求項1に記載の液浸対物光学系。
    ν42−ν41>40 (3)
    n41−n42>0.3 (4)
    0.7<|R4/F1|<1.2 (5)
    ここで、R4は第4レンズ成分の接合面の曲率半径、ν41、ν42は各々第4レンズ成分の負レンズと両凸正レンズのd線に対するアッベ数、n41、n42は各々第4レンズ成分の負レンズと両凸正レンズのd線に対する屈折率である。
  3. 条件式(6)および(7)を満足する請求項1または請求項2に記載の液浸対物光学系。
    ν31−ν32≧40 (6)
    0.7<|R3/F1|<1.7 (7)
    ここで、R3は第3レンズ成分の接合面の曲率半径、ν31、ν32は各々第3レンズ成分の両凸正レンズと負レンズのd線に対するアッベ数である。
  4. 条件式(8)を満足する請求項1から請求項3のいずれかに記載の液浸対物光学系。
    0.5≦|R5O/R5I|≦0.8 (8)
    ここで、R5Oは第5レンズ成分の物体側凹面の曲率半径、R5Iは第5レンズ成分の像面側凸面の曲率半径である。
  5. 前記第1レンズ成分が、平行平面板と平凸レンズを接合したものである請求項1から請求項4のいずれかに記載の液浸対物光学系。
  6. 前記第6レンズ成分が、2枚の正の屈折力を持ったレンズで構成されている請求項1から請求項5のいずれかに記載の液浸対物光学系。
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