JP4622025B2 - エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 Download PDF

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Description

【発明の属する技術分野】
【0001】
本発明は、挿入実装及び表面実装対応の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いて半導体素子を封止してなる半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ダイオード、トランジスタ、ICチップ等の半導体素子を機械的、化学的作用から保護するために、半導体封止用エポキシ樹脂組成物は開発、生産されてきた。このエポキシ樹脂組成物に要求される項目は、半導体素子の種類、半導体装置の構造、使用される環境によって変化しつつあるが、現在最も大きな要求項目は、パッケージを実装する際に発生する半田クラックの発生防止である。この要求に対し、エポキシ樹脂を使用し、硬化剤であるフェノール樹脂に対し、エポキシ樹脂を理論当量より多く使用することによって、耐半田クラック性はかなり改善された。しかし、エポキシ樹脂を理論当量より過剰に加えるため、硬化性が低くなり、作業性に支障をきたしていた。
エポキシ樹脂組成物において、従来から用いられている硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリフェニルホスフィン等があるが、これらの硬化促進剤は比較的低温でも硬化促進作用を示すため、これらを用いたエポキシ樹脂組成物は常温時の保存性が不十分で、そのため常温で保存すると、成形時の流動性の低下から充填不良が発生したり、半導体装置内の金線が断線し導通不良が発生する等の問題点が生じる。このためエポキシ樹脂組成物は、冷蔵保存及び冷蔵輸送する必要があり、保存、輸送に多大なコストがかかっているのが現状である。
又、生産効率アップの手段の一つとして成形時間を短くすることが挙げられるが、このためには成形時の速硬化性が要求される。従来から用いられている上記の硬化促進剤では、成形時の速硬化性を達成するのに十分な量を添加すると、エポキシ樹脂組成物の常温での保存性が極端に低下するという問題点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、常温保存性、速硬化性、耐半田クラック性、及び耐湿信頼性に優れた挿入実装、表面実装対応の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いて半導体素子を封止してなる半導体装置を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、耐半田クラック性、常温保存性、速硬化性を向上させるべく鋭意検討した結果、エポキシ樹脂に対して特定の化合物を硬化促進剤として使用し、全エポキシ樹脂と全フェノール樹脂との配合割合において、フェノール性水酸基数に対するエポキシ基数の割合を多くすることにより、エポキシ樹脂組成物が、極めて優れた特性を示すことを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)テトラ置換ホスホニウム(X)と1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(Y)及び1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(Y)の共役塩基との分子会合体であって、該共役塩基が前記フェノール性水酸基を1分子内に2個以上有する化合物(Y)から1個の水素を除いたフェノキシド型化合物からなる硬化促進剤、及び(D)無機充填材を必須成分とし、全エポキシ樹脂と全フェノール樹脂との比率が、フェノール樹脂が有するフェノール性水酸基1モルに対しエポキシ基1.2〜1.4モルであることを特徴とするエポキシ樹脂組成物、及びこれを用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置であり、硬化促進剤として反応活性点が保護された塩構造を利用することで、きわめて優れた硬化性と保存安定性を有するエポキシ樹脂組成物が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるエポキシ樹脂としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有するものであれば何ら制限されず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール等とカルボニル化合物の縮合により合成される樹脂のグリシジルエーテル化合物、4,4’−ビス(1,2−エポキシエチル)ジフェニルエーテル、4,4’−ビス(1,2−エポキシエチル)ビフェニル、ジシクロペンタジエンとフェノール類を反応させ得られるフェノール樹脂のグリシジルエーテル化合物、更には単核のレゾルシンやカテコール等のグリシジルエーテル化合物等を挙げることができ、これらは単独でも混合して用いてもよい。
これらのエポキシ樹脂の内では、融点が50〜150℃の結晶性エポキシ樹脂が好ましい。このような結晶性エポキシ樹脂は、ビフェニル骨格、ビスフェノール骨格、スチルベン骨格等の剛直な構造を主鎖に有し、比較的低分子であるために、結晶性を示すものである。結晶性エポキシ樹脂は、常温では結晶化している固体であるが、融点以上の温度域では急速に融解して低粘度の液状に変化するものである。結晶性エポキシ樹脂の融点は、示差走査熱量計を用いて、常温から昇温速度5℃/分で昇温した時の結晶融解の吸熱ピークの頂点の温度を示す。
これらの条件を満たす結晶性エポキシ樹脂としては、特に、一般式(1)及び一般式(2)から選ばれる一種以上、又は一般式(3)で表されるスチルベン型エポキシ樹脂と一般式(4)で表されるスチルベン型エポキシ樹脂との混合物が好ましい。
【化5】
Figure 0004622025
【0006】
【化6】
Figure 0004622025
【0007】
【化7】
Figure 0004622025
【0008】
【化8】
Figure 0004622025
一般式(1)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂の置換基R1、及び一般式(2)で表されるビスフェノール型エポキシ樹脂の置換基R2は、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、フェニル基、及びハロゲンの中から選択される基又は原子であり、互いに同じであっても異なっていてもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、特にメチル基が好ましい。
【0009】
一般式(3)、及び一般式(4)で表されるスチルベン型エポキシ樹脂の置換基R3〜R14は、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、及びハロゲンの中から選択される基又は原子であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基(各異性体を含む)、シクロヘキシル基、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、特に、エポキシ樹脂の溶融粘度の低さから、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基が好ましい。
これらのスチルベン型のエポキシ樹脂としては、一般式(3)のスチルベン型エポキシ樹脂と一般式(4)のスチルベン型エポキシ樹脂との混合物が好ましく、一般式(3)のスチルベン型エポキシ樹脂及び一般式(4)のスチルベン型エポキシ樹脂には、共に置換基の種類等により種々の構造のものがあり、一般式(3)及び一般式(4)の各々のスチルベン型エポキシ樹脂は、一種類の構造のものでも、二種類以上の構造のものの混合物でもかまわない。
一般式(3)のスチルベン型エポキシ樹脂と一般式(4)のスチルベン型エポキシ樹脂との混合は、両方の化合物を混合することにより融点が低くなればよく、混合方法については特に制限されない。例えば、スチルベン型エポキシ樹脂の原料であるスチルベン型フェノール類をグリシジルエーテル化する前に混合しておいたり、両方のスチルベン型エポキシ樹脂を溶融混合する方法等があるが、いずれの場合においても融点は50〜150℃となるように調整する。
一般式(3)のスチルベン型エポキシ樹脂としては、入手のし易さ、性能、原料価格の点から、5−ターシャリブチル−4,4’−ジヒドロキシ−2,3’,5’−トリメチルスチルベン、3−ターシャリブチル−4,4’−ジヒドロキシ−3’,5,5’−トリメチルスチルベンのグリシジルエーテル化物が特に好ましい。
一般式(4)のスチルベン型エポキシ樹脂としては、性能、原料価格の点から、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジターシャリブチル−6,6’−ジメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジターシャリブチル−5,5’−ジメチルスチルベンのグリシジルエーテル化物が特に好ましい。
【0010】
本発明に用いるフェノール樹脂は、エポキシ樹脂(A)の硬化剤として作用するものである。1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するものであれば何ら制限されるものではない。具体的には、フェノール類とアルデヒド類又はケトン類の共縮反応物であるフェノール樹脂やビスフェノール類、フェノール類とジメトキシパラキシレン等の共縮反応物であるフェニレン又はジフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂が含まれ、単核のレゾルシン、カテコール等も硬化反応を生じるならば使用できるが、「フェノール」の定義が一般に芳香環に結合する水素原子が水酸基で置換された化合物であることから、ナフトール等の縮合多環芳香族由来の水酸基含有化合物とカルボニル化合物の共縮反応物なども含まれる。これらのフェノール樹脂の内では、分子内の水酸基が少ないために硬化物の吸水率が小さく、分子が適度の屈曲性を有するために硬化反応における反応性も良く、又、低粘度化も可能であることから、特にフェノールアラルキル樹脂が好ましい。
本発明の全エポキシ樹脂と全フェノール樹脂との比率は、成形性と耐半田クラック性との兼ね合いから、フェノール性水酸基1モルに対し、エポキシ基1.1〜1.4モルが最もバランスが良く好ましい。特に好ましくは、1.2〜1.3モルである。1.1モル未満だと、フェノール樹脂のフェノール性水酸基により吸湿性が高くなるので耐半田クラック性が低下し、1.4モルを越えるとエポキシ樹脂がより過剰になり、硬化性、耐湿性等が低下するので好ましくない。
【0011】
本発明に用いる硬化促進剤(C)である分子会合体は、テトラ置換ホスホニウム(X)と1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(Y)及び1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(Y)の共役塩基との分子会合体であって、該共役塩基が前記フェノール性水酸基を1分子内に2個以上有する化合物(Y)から1個の水素を除いたフェノキシド型化合物である。
本発明の分子会合体の構成成分の一つであるテトラ置換ホスホニウム(X)の置換基については何ら限定されず、置換基は互いに同一であっても異なっていてもよい。例えば、置換又は無置換のアリール基やアルキル基を置換基に有するテトラ置換ホスホニウムイオンが、熱や加水分解に対して安定であり好ましい。具体的には、テトラフェニルホスホニウム、テトラトリルホスホニウム、テトラエチルフェニルホスホニウム、テトラメトキシフェニルホスホニウム、テトラナフチルホスホニウム、テトラベンジルホスホニウム、エチルトリフェニルホスホニウム、n−ブチルトリフェニルホスホニウム、2−ヒドロキシエチルトリフェニルホスホニウム、トリメチルフェニルホスホニウム、メチルジエチルフェニルホスホニウム、メチルジアリルフェニルホスホニウム、テトラ−n−ブチルホスホニウム等を例示できる。
【0012】
本発明の分子会合体の構成成分である、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(Y)としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン(通称テトラメチルビスフェノールF)、4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール(通称ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン及びこれらの内ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタンの3種の混合物(例えば、本州化学工業(株)・製、ビスフェノールF−D)等のビスフェノール類、1,2−ベンゼンジオール、1,3−ベンゼンジオール、1,4−ベンゼンジオール等のジヒドロキシベンゼン類、1,2,4−ベンゼントリオール等のトリヒドロキシベンゼン類、1,6−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類の各種異性体、2,2’−ビフェノール、4,4’−ビフェノール等のビフェノール類の各種異性体等の化合物が挙げられる。
更に、他の構成成分である共役塩基は、上記の化合物(Y)から1個の水素を除いたフェノキシド型化合物である。
【0013】
本発明の分子会合体は、前述のようにホスホニウム−フェノキシド型の塩を構造中に有するが、従来の技術におけるホスホニウム−有機酸アニオン塩型の化合物と異なる点は、本発明の分子会合体では水素結合による高次構造がイオン結合を取り囲んでいる点である。従来の技術における塩では、イオン結合の強さのみにより反応性を制御しているのに対し、本発明の分子会合体では、常温ではアニオンの高次構造による囲い込みが活性点の保護を行う一方、成形の段階においては、この高次構造が崩れることで活性点がむき出しになり、反応性を発現する、いわゆる潜伏性が付与されている。
【0014】
本発明の分子会合体の製造方法は何ら限定されないが、代表的な2方法を挙げることができる。
1つ目は、テトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート(Z)と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(Y)とを、高温下で反応させた後、更に沸点60℃以上の溶媒中で熱反応させる方法である。
2つ目は、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(Y)と、無機塩基又は有機塩基と、テトラ置換ホスホニウムハライドとを反応させる方法である。無機塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。有機塩基としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン等が挙げられる。テトラ置換ホスホニウムハライドの置換基については何ら限定されることはなく、置換基は互いに同一であっても異なっていてもよい。例えば、置換又は無置換のアリール基やアルキル基を置換基に有するテトラ置換ホスホニウムイオンが、熱や加水分解に対して安定であり好ましい。具体的には、テトラフェニルホスホニウム、テトラトリルホスホニウム、テトラエチルフェニルホスホニウム、テトラメトキシフェニルホスホニウム、テトラナフチルホスホニウム、テトラベンジルホスホニウム、エチルトリフェニルホスホニウム、n−ブチルトリフェニルホスホニウム、2−ヒドロキシエチルトリフェニルホスホニウム、トリメチルフェニルホスホニウム、メチルジエチルフェニルホスホニウム、メチルジアリルフェニルホスホニウム、テトラ−n−ブチルホスホニウム等を例示できる。ハライドとしてはクロライドやブロマイドを例示でき、テトラ置換ホスホニウムハライドの価格や吸湿等の特性、及び入手のし易さから選択すれば良く、いずれを用いても差し支えない。
又、本発明の分子化合物の特性を損なわない範囲で、トリフェニルホスフィン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、2−メチルイミダゾール等の他の硬化促進剤と併用しても何ら問題はない。
又、硬化促進剤として作用する、本発明の分子会合体は、全エポキシ樹脂、全フェノール樹脂の合計重量100重量部に対して、0.5〜20重量部程度が硬化性、保存性、他特性のバランスがよく好適である。
【0015】
本発明に用いられる無機充填材の種類については特に制限はなく、一般に封止材料に用いられているものを使用することができる。例えば、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ、アルミナ、チタンホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、クレー、ガラス繊維等が挙げられ、特に溶融球状シリカが好ましい。形状は限りなく真球状であることが好ましく、又、粒子の大きさの異なるものを混合することにより充填量を多くすることができる。
この無機充填材の配合量としては、全エポキシ樹脂と全フェノール樹脂の合計量100重量部あたり200〜2400重量部が好ましい。200重量部未満だと、無機充填材による補強効果が充分に発現しないおそれがあり、2400重量部を越えると、エポキシ樹脂組成物の流動性が低下し成形時に充填不良等が生じるおそれがあるので好ましくない。特に、無機充填材の配合量が、全エポキシ樹脂と全フェノール樹脂の合計量100重量部あたり250〜1400重量部であれば、エポキシ樹脂組成物の硬化物の吸湿率が低くなり、半田クラックの発生を防止することができ、更に溶融時のエポキシ樹脂組成物の粘度が低くなるため、半導体装置内部の金線変形を引き起こすおそれがなく、より好ましい。又、無機充填材は、予め充分混合しておくことが好ましい。
【0016】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(D)成分の他、必要に応じてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、臭素化エポキシ樹脂、酸化アンチモン、リン化合物等の難燃剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力成分、天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸及びその金属塩類もしくはパラフィン等の離型剤、酸化防止剤等の各種添加剤を配合することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(D)成分、及びその他の添加剤等をミキサーを用いて常温混合し、ロール、押出機等の混練機で混練し、冷却後粉砕して得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて、半導体素子等の電子部品を封止し、半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の成形方法で硬化成形すればよい。特に、本発明のエポキシ樹脂組成物は、挿入実装型及び表面実装型対応の半導体装置用に適している。
【0017】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
[分子会合体の製造例]
(合成例1)
本州化学工業(株)・製ビスフェノールF−D(化合物(Y)に相当)300g(1.5モル)と、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート(Z)329g(0.5モル)とを3Lセパラブルフラスコに仕込み、200℃で3時間反応させた。この反応でのベンゼン留出量は、理論生成量の97重量%(即ちベンゼン留出率97%)であった。この反応による粗生成物を微粉砕し、セパラブルフラスコに仕込み、2−プロパノールを粗生成物の仕込み重量の3倍量加え、内温82.4℃(2−プロパノールの沸点温度)で1.5時間攪拌した。その後、2−プロパノールの大部分を除去し、更に加熱減圧下で低沸点分を除去した。得られた生成物を化合物C1とした。測定溶媒に重メタノールを用いて、化合物C1の1H−NMRの測定を行った。4.8ppm付近及び3.3ppm付近のピークは溶媒のピークで、6.4〜7.1ppm付近のピーク群は、原料であるビスフェノールF[(X)1モルに対するモル数(a)]及びこのビスフェノールFから1個の水素を除いたフェノキシド型の共役塩基[(X)1モルに対するモル数(b)]のフェニルプロトン、7.6〜8.0ppm付近のピーク群は、テトラフェニルホスホニウム基のフェニルプロトンと帰属され、それらの面積比から、モル比が(a+b)/(X)=2.2/1であると計算された。
【0018】
(合成例2)
5Lのセパラブルフラスコに、本州化学工業(株)・製ビスフェノールF−D(化合物(Y)に相当)300g(1.5モル)、北興化学工業(株)・製テトラフェニルホスホニウムブロマイド314g(0.75モル)、メタノール3000gを仕込み、完全に溶解させた。そこに水酸化ナトリウムを30g含有するメタノール/水混合溶液を攪拌しながら滴下した。得られた溶液を多量の水中に滴下する再沈作業を行い、目的物を固形物として得た。濾過して固形物を取り出し、乾燥させて得られた生成物を化合物C2とした。測定溶媒に重メタノールを用いて、化合物C2の1H−NMRの測定を行った。4.8ppm付近及び3.3ppm付近のピークは溶媒のピークで、6.4〜7.1ppm付近のピーク群は、原料であるビスフェノールF[(X)1モルに対するモル数(a)]及びこのビスフェノールFから1個の水素を除いたフェノキシド型の共役塩基[(X)1モルに対するモル数(b)]のフェニルプロトン、7.6〜8.0ppm付近のピーク群は、テトラフェニルホスホニウム基のフェニルプロトンと帰属され、それらの面積比から、モル比が(a+b)/(X)=2/1であると計算された。
【0019】
(合成例3〜4)
表1に従い、合成例1〜2と同様にして、化合物C3〜C4を得た。
【0020】
(比較合成例1)
安息香酸ナトリウム72.05g(0.5モル)を200gのメタノールに溶解したものを室温で攪拌し、テトラフェニルホスホニウムブロマイド209.6g(0.5モル)をメタノール200gに溶解したものを、前記攪拌物に滴下した。完全に滴下後、溶液を加熱し析出分を再溶解した後、これに純水150gを加えて再析出物を得た。この再析出物を、吸引ろ過し、純水で数回洗浄し、80℃の真空乾燥機で2時間乾燥して化合物C5を得た。
【表1】
Figure 0004622025
【0021】
[エポキシ樹脂組成物の製造例]
配合割合は重量部とする。
(実施例1)
式(5)のビフェニル型エポキシ樹脂を主成分とする樹脂(エポキシ当量18
5、融点105℃) 58重量部
【化9】
Figure 0004622025
【0022】
Figure 0004622025
【化10】
Figure 0004622025
【0023】
化合物C1 3.2重量部
溶融球状シリカ(平均粒径15μm) 500重量部
カーボンブラック 2重量部
臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂 2重量部
カルナバワックス 2重量部
を混合し、熱ロールを用いて、95℃で8分間混練して冷却後粉砕し、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を以下の方法で評価した。結果を表2に示す。
【0024】
評価方法
スパイラルフロー:EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用い、金型温度175℃、注入圧力70kg/cm2、硬化時間2分で測定した。スパイラルフローは流動性のパラメータであり、数値が大きい方が流動性が良好である。単位はcm。
ショアD硬度:金型温度175℃、注入圧力70kg/cm2、硬化時間2分で成形し、型開き10秒後に測定したショアD硬度の値を硬化性とした。ショアD硬度は硬化性の指標であり、数値が大きい方が硬化性が良好である。
30℃保存性:30℃で1週間保存した後、スパイラルフローを測定し、調製直後のスパイラルフローに対する百分率として表す。単位は%。
耐半田クラック性:トランスファー成形機を用い、金型温度175℃、圧力70kg/cm2、硬化時間2分で80QFP(厚さ1.5mm)を8個成形し、175℃、8時間でアフターキュア後、85℃、相対湿度60%の環境下に168時間放置し、その後IRリフロー(240℃)で10秒間処理した。得られたパッケージを目視及び超音波探傷機で観察し、外部クラック、チップ上剥離、及びパッド下剥離の発生したパッケージ個数をそれぞれn/8と表示した。
【0025】
(実施例2〜7、比較例1〜4)
表2、表3の配合に従い、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得て、実施例1と同様にして評価した。結果を表2、表3に示す。
なお、実施例5に使用した結晶性エポキシ樹脂Aは、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベンを主成分とする樹脂60重量%と4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−5−ターシャリブチル−2,3’,5’−トリメチルスチルベンを主成分とする樹脂40重量%との混合物である(エポキシ当量209、融点120℃)。
実施例6に使用したフェノールノボラック樹脂は、水酸基当量104、軟化点105℃である。
【表2】
Figure 0004622025
【0026】
【表3】
Figure 0004622025
【0027】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、半導体封止用として常温保存性、速硬化性、耐半田クラック性に極めて優れ、これを用いた半導体装置は、挿入実装及び表面実装対応の装置として耐湿信頼性に優れ、有用である。

Claims (10)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)テトラ置換ホスホニウム(X)と1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(Y)及び1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(Y)の共役塩基との分子会合体であって、該共役塩基が前記フェノール性水酸基を1分子内に2個以上有する化合物(Y)から1個の水素を除いたフェノキシド型化合物からなる硬化促進剤、及び(D)無機充填材を必須成分とし、全エポキシ樹脂と全フェノール樹脂との比率が、フェノール樹脂が有するフェノール性水酸基1モルに対しエポキシ基1.2〜1.4モルであることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. 1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(Y)が、ジヒドロキシベンゼン類、トリヒドロキシベンゼン類、ビスフェノール類、ビフェノール類、ジヒドロキシナフタレン類、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂の中から選択される1種以上である請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 分子会合体が、テトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート(Z)と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(Y)とを、高温下で反応させた後、更に沸点60℃以上の溶媒中で熱反応させて得られるものである請求項1〜2記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 分子会合体が、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(Y)と、無機塩基又は有機塩基と、テトラ置換ホスホニウムハライドとを反応させて得られるものである請求項1〜2記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. テトラ置換ホスホニウム(X)が、テトラフェニルホスホニウムである請求項1〜4記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. (A)エポキシ樹脂が、融点50〜150℃の結晶性エポキシ樹脂である請求項1〜5記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 融点50〜150℃の結晶性エポキシ樹脂が、一般式(1)及び一般式(2)から選ばれる1種以上である請求項6記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 0004622025
    (式中、R1は水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、フェニル基、及びハロゲンの中から選択される基又は原子であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
    Figure 0004622025
    (式中、R2は水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、フェニル基、及びハロゲンの中から選択される基又は原子であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
  8. 融点50〜150℃の結晶性エポキシ樹脂が、一般式(3)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂と一般式(4)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂との混合物である請求項6記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 0004622025
    (式中、R3〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、及びハロゲンの中から選択される基又は原子を示す。ただし、炭素−炭素二重結合に結合している2個のアリール基は互いに異なる。)
    Figure 0004622025
    (式中、R11〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、及びハロゲンの中から選択される基又は原子を示す。ただし、炭素−炭素二重結合に結合している2個のアリール基は互いに同じである。)
  9. (B)フェノール樹脂が、フェノールアラルキル樹脂である請求項1〜8記載のエポキシ樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9記載のいずれかのエポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置。
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