JP4617532B2 - エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、常温保存特性、耐湿信頼性に優れた、挿入実装及び表面実装対応の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いて半導体素子を封止してなる半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ダイオード、トランジスタ、ICチップ等の本体を機械的、化学的作用から保護するために、半導体封止用エポキシ樹脂組成物は開発、生産されてきた。この樹脂組成物に要求される項目は、ICチップの種類、半導体装置の構造、使用される環境によって変化しつつあるが、その要求される項目に常温時の保存性、成形時の速硬化性が挙げられる。この樹脂組成物において、従来から用いられている硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリフェニルホスフィン等があるが、これらの硬化促進剤は比較的低温でも硬化促進作用を示すため、これらを用いた樹脂組成物は常温時の保存性が不十分で、そのため常温で保存すると、成形時の流動性の低下から充填不良が発生したり、ICチップの金ワイヤーが断線し導通不良が発生する等の問題点が生じる。このため樹脂組成物は、冷蔵保存及び冷蔵輸送する必要があり、保存、輸送に多大なコストがかかっているのが現状である。又、生産効率アップの手段の一つとして成形時間を短くすることが挙げられるが、このためには成形時の速硬化性が要求される。従来から用いられている上記の硬化促進剤では、成形時の速硬化性を示すのに十分な量を添加すると、樹脂組成物の常温での保存性が極端に低下するという問題点がある。
【0003】
この問題を解決すべく、近年では低温での粘度、流動性の経時変化を抑え、成形時の加熱によってのみ硬化反応を起こすような、いわゆる潜伏性硬化促進剤の研究が盛んになされている。その手段として、硬化促進剤の活性点をイオン対により保護することで、潜伏性を発現する提案がなされており、特開平8−41290号公報では種々の有機酸とホスホニウムイオンとの塩構造を有する潜伏性硬化促進剤が開示されている。しかし、このホスホニウム塩は特定の高次の分子構造を有さず、イオン対が比較的容易に外部環境の影響を受けるため、近年の低分子エポキシ樹脂やフェノールアラルキル樹脂を用いる半導体封止材料では、保存性が低下する問題が生じている。又このホスホニウム塩は種々の有機酸との塩構造を有していることから、反応時に有機酸が遊離することを避けられず、これが耐湿信頼性に悪影響を及ぼすことがわかっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、常温保存特性、耐湿信頼性に優れた、挿入実装及び表面実装対応の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いて半導体素子を封止してなる半導体装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、常温保存特性、耐湿信頼性を向上させるべく鋭意検討した結果、特定の化合物を組み合わせて硬化促進剤として用いたエポキシ樹脂組成物が、極めて優れた特性を示すことを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)テトラ置換ホスホニウム(X)と1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(Y)及び1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(Y)の共役塩基との分子会合体であって、該共役塩基が前記フェノール性水酸基を1分子内に2個以上有する化合物(Y)から1個の水素を除いたフェノキシド型化合物からなる分子化合物、(D)有機ホスフィン及び(E)無機充填材を必須成分とし、全エポキシ樹脂のエポキシ基と全フェノール樹脂のフェノール性水酸基の当量比が0.5〜2であり、無機充填材(E)の配合量が、全エポキシ樹脂と全フェノール樹脂の合計量100重量部あたり200〜2400重量部であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるエポキシ樹脂は、1分子内に2個以上のエポキシ基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマー全般を言う。例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いてもよい。
これらのエポキシ樹脂の内では、融点が50〜150℃の結晶性エポキシ樹脂が好ましい。このような結晶性エポキシ樹脂は、ビフェニル骨格、ビスフェノール骨格、スチルベン骨格等の剛直な構造を主鎖に有し、比較的低分子であるために結晶性を示すものである。結晶性エポキシ樹脂は、常温では結晶化している固体であるが、融点以上の温度域では急速に融解して低粘度の液状に変化するものである。結晶性エポキシ樹脂の融点は、示差走査熱量計を用いて、常温から昇温速度5℃/分で昇温した結晶融解の吸熱ピークの頂点の温度を示す。これらの条件を満たす結晶性エポキシ樹脂としては、特に、一般式(1)及び一般式(2)から選ばれる1種以上、又は一般式(3)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂と一般式(4)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂との混合物が好ましい。
【化5】
(式中、R1は水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、フェニル基、又はハロゲンの中から選択される基又は原子であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【0007】
【化6】
(式中、R2は水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、フェニル基、又はハロゲンの中から選択される基又は原子であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【0008】
【化7】
(式中、R3〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、又はハロゲンの中から選択される基又は原子を示す。ただし、炭素−炭素二重結合に結合している2個のアリール基は互いに異なる。)
【0009】
【化8】
(式中、R11〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、又はハロゲンの中から選択される基又は原子を示す。ただし、炭素−炭素二重結合に結合している2個のアリール基は互いに同じである。
)
一般式(1)で示されるビフェニル型エポキシ樹脂の置換基R1、及び一般式(2)で示されるビスフェノール型エポキシ樹脂の置換基R2は、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、フェニル基、又はハロゲンの中から選択される基又は原子であり、互いに同じであっても異なっていてもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、特にメチル基が好ましい。
一般式(3)、及び一般式(4)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂の置換基R3〜R14は、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、又はハロゲンの中から選択される基又は原子であり、互いに同一であっても異なっていてもよく、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基(各異性体を含む)、シクロヘキシル基、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、特に、エポキシ樹脂の溶融粘度の低さから、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基が好ましい。
【0010】
一般式(3)のスチルベン型エポキシ樹脂と一般式(4)のスチルベン型エポキシ樹脂との混合においては、両方の化合物を混合することにより融点が低くなればよく、混合方法については特に限定しない。例えば、スチルベン型エポキシ樹脂の原料であるスチルベン型フェノール類をグリシジルエーテル化する前に混合しておいたり、両方のスチルベン型エポキシ樹脂を溶融混合する方法等があるが、いずれの場合においても融点は50〜150℃となるように調整する。一般式(3)のスチルベン型エポキシ樹脂及び一般式(4)のスチルベン型エポキシ樹脂には、共に置換基の種類等により種々の構造のものがあり、それぞれ1種類ずつ混合しても、2種類以上ずつ混合してもかまわない。
一般式(3)のスチルベン型エポキシ樹脂としては、入手のし易さ、性能、原料価格の点から、5−ターシャリブチル−4,4’−ジヒドロキシ−2,3’,5’−トリメチルスチルベン、3−ターシャリブチル−4,4’−ジヒドロキシ−3’,5,5’−トリメチルスチルベンのグリシジルエーテル化物が特に好ましい。
一般式(4)のスチルベン型エポキシ樹脂としては、性能、原料価格の点から、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジターシャリブチル−6,6’−ジメチルスチルベン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジターシャリブチル−5,5’−ジメチルスチルベンのグリシジルエーテル化物が特に好ましい。
【0011】
本発明に用いられるフェノール樹脂は、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマー全般を言う。例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等が挙げられ、これらは単独又は混合して用いてもよい。これらのフェノール樹脂は、分子量、軟化点、水酸基当量等に制限なく使用することができる。
これらのフェノール樹脂の内では、分子内の水酸基が少ないために成形品の吸水率が小さく、分子が適度の屈曲性を有するために硬化反応における反応性もよく、又低粘度化も可能であるということから、特に骨格にフェニレン、又はジフェニレン等を含むフェノールアラルキル樹脂が好ましい。
本発明に用いられる全エポキシ樹脂のエポキシ基と全フェノール樹脂のフェノール性水酸基の当量比は、好ましくは0.5〜2、特に好ましくは0.7〜1.5である。0.5〜2の範囲を外れると、硬化性、耐湿性等が低下するので好ましくない。
【0012】
本発明に用いる分子化合物(C)は、テトラ置換ホスホニウム(X)と1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(Y)及び1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(Y)の共役塩基との分子会合体であって、該共役塩基が前記フェノール性水酸基を1分子内に2個以上有する化合物(Y)から1個の水素を除いたフェノキシド型からなり、その構成成分の一つであるテトラ置換ホスホニウム(X)の置換基については何ら限定されず、置換基は互いに同一であっても異なっていてもよい。例えば、置換又は無置換のアリール基やアルキル基を置換基に有するテトラ置換ホスホニウムイオンが、熱や加水分解に対して安定であり好ましい。具体的には、テトラフェニルホスホニウム、テトラトリルホスホニウム、テトラエチルフェニルホスホニウム、テトラメトキシフェニルホスホニウム、テトラナフチルホスホニウム、テトラベンジルホスホニウム、エチルトリフェニルホスホニウム、n−ブチルトリフェニルホスホニウム、2−ヒドロキシエチルトリフェニルホスホニウム、トリメチルフェニルホスホニウム、メチルジエチルフェニルホスホニウム、メチルジアリルフェニルホスホニウム、テトラ−n−ブチルホスホニウム等を例示できる。
【0013】
本発明に用いる分子会合体(C)の構成成分である、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(Y)としては、例えば、式(5)で表される化合物、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン(通称テトラメチルビスフェノールF)、4,4’−スルホニルジフェノール及び式(6)で表される化合物、4,4’−イソプロピリデンジフェノール(通称ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン及びこれらの内ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタンの3種の混合物(例えば、本州化学工業(株)・製、ビスフェノールF−D)等のビスフェノール類、1,2−ベンゼンジオール、1,3−ベンゼンジオール、1,4−ベンゼンジオール等のジヒドロキシベンゼン類、1,2,4−ベンゼントリオール等のトリヒドロキシベンゼン類、1,6−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類の各種異性体、2,2’−ビフェノール、4,4’−ビフェノール等のビフェノール類の各種異性体等の化合物が挙げられる。
更に、他の構成成分である共役塩基は、上記の化合物(Y)から1個の水素を除いたフェノキシド型化合物である。
【化9】
【0014】
【化10】
(式中、R15はCH2又はC(CH3)2を表す。)
【0015】
本発明に用いる分子会合体は、前述のようにホスホニウム−フェノキシド型の塩を構造中に有するが、従来の技術におけるホスホニウム−有機酸アニオン塩型の化合物と異なる点は、本発明の分子会合体では水素結合による高次構造がイオン結合を取り囲んでいる点である。従来の技術における塩では、イオン結合の強さのみにより反応性を制御しているのに対し、本発明の分子会合体では、常温ではアニオンの高次構造による囲い込みが活性点の保護を行う一方、成形の段階においては、この高次構造が崩れることで活性点がむき出しになり、反応性を発現する、いわゆる潜伏性が付与されている。更に高次構造が崩れ反応性が発現する際には、分子会合体に含まれる化合物(Y)はフェノール性水酸基を有するため反応の架橋に取り込まれるため、従来の技術におけるホスホニウム−有機酸アニオン塩型の化合物から有機酸が遊離するのとは大きく異なり、耐湿信頼性に悪影響を与えない。
【0016】
本発明の分子会合体の製造方法は何ら限定されないが、代表的な2方法を挙げることができる。1つ目は、テトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート(Z)と、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物(Y)とを、高温下で反応させた後、更に沸点60℃以上の溶媒中で熱反応させる方法である。2つ目は、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物(Y)と、無機塩基又は有機塩基とテトラ置換ホスホニウムハライドとを反応させる方法である。
用いるテトラ置換ホスホニウムハライドの置換基については何ら限定されることはなく、置換基は互いに同一であっても異なっていてもよい。例えば、置換又は無置換のアリール基やアルキル基を置換基に有するテトラ置換ホスホニウムイオンが、熱や加水分解に対して安定であり好ましい。具体的には、テトラフェニルホスホニウム、テトラトリルホスホニウム、テトラエチルフェニルホスホニウム、テトラメトキシフェニルホスホニウム、テトラナフチルホスホニウム、テトラベンジルホスホニウム、エチルトリフェニルホスホニウム、n−ブチルトリフェニルホスホニウム、2−ヒドロキシエチルトリフェニルホスホニウム、トリメチルフェニルホスホニウム、メチルジエチルフェニルホスホニウム、メチルジアリルフェニルホスホニウム、テトラ−n−ブチルホスホニウム等を例示できる。ハライドとしてはクロライドやブロマイドを例示でき、テトラ置換ホスホニウムハライドの価格や吸湿等の特性、及び入手のし易さから選択すればよく、いずれを用いても差し支えない。
【0017】
本発明に用いる有機ホスフィン(D)は置換基全てが有機基である第3ホスフィン化合物、1つの基のみが水素である第2ホスフィン、2つの基が水素である第1ホスフィン等がある。具体的にはトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン、オクチルホスフィン等である。又1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン等でも構わない。特に入手のし易さ、価格の面ではトリフェニルホスフィンが好ましい。
本発明では分子会合体(C)と有機ホスフィン(D)を併用することに特徴があり、これについて説明する。前述のように、トリフェニルホスフィンで代表される有機ホスフィン系の硬化促進剤は、比較的低温でも硬化促進作用を示すため、これらを用いた樹脂組成物は常温時の保存性が不十分で、そのため常温で保存すると、成形時の流動性の低下から充填不良が発生したり、ICチップの金ワイヤーが断線し導通不良が発生する等の問題点が生じる。又成形性向上のために、成形時の速硬化性を示すのに十分な量を添加すると、樹脂組成物の常温での保存性が極端に低下するという問題点がある。つまり単独で使用する場合には常温保存特性が悪いために取扱いが困難であった。しかし、有機ホスフィンは耐湿信頼性に優れる樹脂組成物を与えるという利点もあった。この有機ホスフィンに、特定の高次の分子構造を有し、且つ潜伏性が付与された分子会合体(C)を併用することで、有機ホスフィンの特徴を保持しつつ常温保存特性を改良しようとするのが本発明である。
【0018】
分子会合体(C)と有機ホスフィン(D)の割合は含有するリン原子のモル比で1:0.2〜3であることが望ましい。分子会合体(C)含有のリン原子1モルに対し、有機ホスフィン含有のリン原子が0.2モルより少ない場合には有機ホスフィンの性能が十分活かされないため、望ましくない。又分子会合体(C)含有のリン原子1モルに対し、有機ホスフィン含有のリン原子が3モルより多い場合には、有機ホスフィンの欠点である常温保存特性の悪さが強調され、望ましくない。又これらの硬化促進剤の特性を損なわない範囲で、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、2−メチルイミダゾール等の他の硬化促進剤と併用しても何ら問題はない。
【0019】
本発明に用いられる無機充填材の種類については特に制限はなく、一般に封止材料に用いられているものを使用することができる。例えば、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ、アルミナ、チタンホワイト、水酸化アルミニウム等が挙げられ、特に溶融球状シリカ粉末が好ましい。形状は限りなく真球状であることが好ましく、又粒子の大きさの異なるものを混合することにより充填材量を多くすることができる。
この無機充填材の配合量としては、全エポキシ樹脂と全フェノール樹脂の合計量100重量部あたり200〜2400重量部が好ましい。200重量部未満だと、無機充填材による補強効果が充分に発現しないおそれがあり、2400重量部を越えると、樹脂組成物の流動性が低下し成形時に充填不良等が生じるおそれがあるので好ましくない。特に、無機充填材の配合量が、全エポキシ樹脂と全フェノール樹脂の合計量100重量部あたり250〜1400重量部であれば、樹脂組成物の硬化物の吸湿率が低くなり、半田クラックの発生を防止することができ、更に溶融時の樹脂組成物の粘度が低くなるため、半導体装置内部の金線変形を引き起こすおそれがなく、より好ましい。又無機充填材は、予め充分混合しておくことが好ましい。
【0020】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(E)成分の他、必要に応じてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、臭素化エポキシ樹脂、酸化アンチモン、リン化合物等の難燃剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力成分、天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸及びその金属塩類もしくはパラフィン等の離型剤、酸化防止剤等の各種添加剤を配合することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(E)成分、及びその他の添加剤等をミキサーを用いて常温混合し、ロール、押出機等の混練機で混練し、冷却後粉砕して得られる。
本発明の樹脂組成物を用いて、半導体等の電子部品を封止し、半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の成形方法で硬化成形すればよい。
【0021】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。配合割合は重量部とする。
分子会合体C1
本州化学工業(株)・製ビスフェノールF−D(化合物(Y)に相当)300g(1.5モル)と、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート(Z)329g(0.5モル)とを3Lセパラブルフラスコに仕込み、200℃で3時間反応させた。この反応でのベンゼン留出量は、理論生成量の97重量%(即ちベンゼン留出率97%)であった。この反応による粗生成物を微粉砕し、セパラブルフラスコに仕込み、2−プロパノールを粗生成物の仕込み重量の3倍量加え、内温82.4℃(2−プロパノールの沸点温度)で1.5時間攪拌した。その後、2−プロパノールの大部分を除去し、更に加熱減圧下で低沸点分を除去した。得られた生成物を化合物C1とする。又溶媒を重メタノールとして、C1の1H−NMRでの測定を行った。4.8ppm付近及び3.3ppm付近のピークは溶媒のピークで、6.4〜7.1ppm付近のピーク群は、原料であるビスフェノールF[(X)1モルに対するモル数(a)]及びこのビスフェノールFから1個の水素を除いたフェノキシド型の共役塩基[(X)1モルに対するモル数(b)]のフェニルプロトン、7.6〜8.0ppm付近のピーク群は、テトラフェニルホスホニウム基のフェニルプロトンと帰属され、それらの面積比から、モル比が[(a+b)/(X)]=2.2/1であると計算された。化合物C1中のリン原子の量は、3.98重量%。
【0022】
分子会合体2
5Lのセパラブルフラスコに、本州化学工業(株)・製ビスフェノールF−D(化合物(Y)に相当)300g(1.5モル)、北興化学工業(株)・製テトラフェニルホスホニウムブロマイド314g(0.75モル)、メタノール3000gを仕込み、完全に溶解させた。そこに水酸化ナトリウムを30g含有するメタノール/水混合溶液を攪拌しながら滴下した。得られた溶液を多量の水中に滴下する再沈作業を行い、目的物を固形物として得た。濾過して固形物を取り出し、乾燥させて得られた生成物を化合物C2とした。又溶媒を重メタノールとして、C2の1H−NMRでの測定を行った。4.8ppm付近及び3.3ppm付近のピークは溶媒のピークで、6.4〜7.1ppm付近のピーク群は、原料であるビスフェノールF[(X)1モルに対するモル数(a)]及びこのビスフェノールFから1個の水素を除いたフェノキシド型の共役塩基[(X)1モルに対するモル数(b)]のフェニルプロトン、7.6〜8.0ppm付近のピーク群は、テトラフェニルホスホニウム基のフェニルプロトンと帰属され、それらの面積比から、モル比が[(a+b)/(X)]=2/1であると計算された。化合物C2中のリン原子の量は、3.41重量%。
【0023】
実施例1
化合物C1 3.0重量部
トリフェニルホスフィン 0.3重量部
式(7)のビフェニル型エポキシ樹脂を主成分とする樹脂(エポキシ当量185、融点105℃) 51重量部
【化11】
【0024】
式(8)のフェノールアラルキル樹脂(水酸基当量167、軟化点73℃) 49重量部
【化12】
溶融球状シリカ(平均粒径15μm) 500重量部
カーボンブラック 2重量部
臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂 2重量部
カルナバワックス 2重量部
を混合し、熱ロールを用いて、95℃で8分間混練して冷却後粉砕し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0025】
評価方法
スパイラルフロー:EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用い、金型温度175℃、注入圧力70kg/cm2、硬化時間2分で測定した。スパイラルフローは流動性のパラメータであり、数値が大きい方が流動性が良好である。単位はcm。
ショアD硬度:金型温度175℃、注入圧力70kg/cm2、硬化時間2分で成形し、型開き10秒後に測定したショアD硬度の値を硬化性とする。ショアD硬度は硬化性の指標であり、数値が大きい方が硬化性が良好である。
30℃保存性:30℃で6ヶ月間保存した後、スパイラルフローを測定し、調製直後のスパイラルフローに対する百分率として表す。単位は%。
耐湿信頼性:金型温度175℃、注入圧力70kg/cm2、硬化時間2分で16pDIPを樹脂成形材料で封止した後、175℃、8時間で後硬化を行った。125℃、相対湿度100%の水蒸気中で20Vの電圧を印加した後、断線不良を調べた。15個のパッケージの内の8個以上に不良が出るまでの時間を不良時間とした。なお測定時間は最長で500時間とし、その時点で不良パッケージ数が8個未満であったものは、不良時間500時間以上と示した。不良時間が長い程、耐湿信頼性に優れる。
【0026】
実施例2〜6、比較例1〜3
表1、表2の配合に従い、実施例1と同様にして樹脂組成物を得、実施例1と同様にして評価した。結果を表1、表2に示す。
なお、実施例4に使用した結晶性エポキシ樹脂Aは、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベンを主成分とする樹脂60重量%と4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−5−ターシャリブチル−2,3’,5’−トリメチルスチルベンを主成分とする樹脂40重量%との混合物である(エポキシ当量209、融点120℃)。
実施例5に使用したオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂は、エポキシ当量200、軟化点65℃である。
実施例5に使用したフェノールノボラック樹脂は、水酸基当量104、軟化点105℃である。
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【発明の効果】
本発明は、常温保存特性、耐湿信頼性に優れた、挿入実装及び表面実装対応の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いて半導体素子を封止してなる半導体装置に関するものである。
Claims (9)
- (A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)テトラ置換ホスホニウム(X)と1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(Y)及び1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(Y)の共役塩基との分子会合体であって、該共役塩基が前記フェノール性水酸基を1分子内に2個以上有する化合物(Y)から1個の水素を除いたフェノキシド型化合物からなる分子化合物、(D)有機ホスフィン、及び(E)無機充填材を必須成分とし、全エポキシ樹脂のエポキシ基と全フェノール樹脂のフェノール性水酸基の当量比が0.5〜2であり、無機充填材(E)の配合量が、全エポキシ樹脂と全フェノール樹脂の合計量100重量部あたり200〜2400重量部であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物であって、分子会合体(C)と有機ホスフィン(D)の割合が、含有するリン原子のモル比で1:0.2〜3であるエポキシ樹脂組成物。
- 有機ホスフィン(D)がトリフェニルホスフィンである請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
- 1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(Y)の共役塩基が、ジヒドロキシベンゼン類、トリヒドロキシベンゼン類、ビスフェノール類、ビフェノール類、ジヒドロキシナフタレン類、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂の中から選択される1種以上である請求項1又は2記載のエポキシ樹脂組成物。
- テトラ置換ホスホニウム(X)が、テトラフェニルホスホニウムである請求項1〜3いずれか記載のエポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂(A)が、融点50〜150℃の結晶性エポキシ樹脂である請求項1〜4いずれか記載のエポキシ樹脂組成物。
- 融点50〜150℃の結晶性エポキシ樹脂が、一般式(3)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂と一般式(4)で示されるスチルベン型エポキシ樹脂との混合物である請求項5記載のエポキシ樹脂組成物。
(式中、R3〜R10は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、又はハロゲンの中から選択される基又は原子を示す。ただし、炭素−炭素二重結合に結合している2個のアリール基は互いに異なる。)
(式中、R11〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、又はハロゲンの中から選択される基又は原子を示す。ただし、炭素−炭素二重結合に結合している2個のアリール基は互いに同じである。) - フェノール樹脂(B)が、フェノールアラルキル樹脂である請求項1〜7いずれか記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜8記載のいずれかのエポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置。
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