JP4625263B2 - 熱間成形方法 - Google Patents
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しかし、自動車の軽量化のために、一般に鋼板を高強度化していくと、伸びやr値(ランクフォード値)が低下し、成形性が低下していく。
このような課題を解決するため、例えば、特許文献1には、鋼板を温間で成形し、その際の熱を利用して強度上昇を図る技術が開示されている。なお、この技術では、鋼中成分を適切に制御した鋼板を使用し、この鋼板を200〜850℃の温度域に保持して成形加工し、この温度域での析出強化を利用して鋼板の強度を上昇させることを狙っている。
また、特許文献2には、プレス成形の精度を向上させる目的で、温間プレス時での降伏強度を低く、常温での降伏強度を高くする高強度鋼板が提案されている。
そこで、特許文献3には、より高い強度を得る目的で、鋼板を成形した後に、これを高温のオーステナイト単相域まで加熱し、その後の冷却過程で硬質相に変態させる技術が開示されている。この方法は、金型間のクリアランスを制限し、その間隙に冷媒を導入することで成形後の製品の焼入れを行い、高強度で且つ形状凍結(形状保持)性に優れた製品を得ることができる方法である。
鋼板の成形限界とは、金型による鋼板の成形時において、例えば、鋼板に割れやネッキング(くびれ現象)等が発生することなく成形できる限界を意味する。
また、鋼板の成形限界を向上させることが必要な部位とは、鋼板の成形部位を意味する。従って、この成形部位と接触する部分とは、例えばパンチの表層部を意味する。
なお、鋼板としては、鋼板の強度、靱性、その他の特性を向上させるため、炭素、マンガン以外の元素であるアルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、酸素(O)、硫黄(S)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、アンチモン(Sb)、タングステン(W)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、希土類元素(REM)などの元素を目的に応じて最適化したもの、更に金属組織や析出物などを最適化したもの等も使用できる。
以上の発明において、熱伝導率が鋼と同等の材料としては、例えば、軟鋼、硬鋼等を使用でき、また、熱伝導率が鋼よりも大きい材料としては、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、タングステン、黄銅等を使用できる。
また、マルテンサイト変態が生じる冷却速度としては、例えば、20℃/秒以上、好ましくは30℃/秒以上の速度である。
そして、急冷は、マルテンサイト変態の開始温度(例えば、400℃程度)以下まで行っているが、より確実に成形後の強度を高めるには、急冷をマルテンサイト変態の終了温度(例えば、300℃程度)以下まで行うことが好ましい。
請求項2記載の熱間成形方法は、金型のダイに熱伝導率が鋼と同等又は鋼よりも大きい材料で構成されたものを用い、ダイに鋼板の成形部位を接触させ、急冷をマルテンサイト変態が生じる冷却速度以上の速度で、且つマルテンサイト変態の開始温度まで行うので、鋼板の成形加工後の硬度を確実に高め、安定した品質の製品を提供することができる。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る熱間成形方法を適用する金型の部分側断面図、図2〜図4はそれぞれ第1〜第3の変形例に係る金型の部分側断面図、図5は金型に使用する変形例に係るパンチの部分側断面図である。
次に、図1に示すように、加熱されたブランク10を、所定形状(例えば、自動車のバンパー補強部材、センターピラー補強部材、ドアインパクト補強部材等を製造可能な形状)の金型11でプレスする。
また、ダイ15は、鋼と同等の熱伝導率を備えた材料、例えば、軟鋼、硬鋼等や、鋼よりも大きい材料、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、タングステン、黄銅等で構成されている。なお、ダイ内部に冷媒(例えば水等)を流す冷却管を配置し、ダイによる冷却効率を高めることもできる。
この金型11の寸法は、図1に示すように、パンチ14の突出部分12の上端部の曲率半径が50mm、しわ押え部13の上面からの突出高さが28mm、ダイ15の凹部16の最大直径が110mm、ダイ15の凹部16とこれに連通する平坦部17との境部の曲率半径が5mmとなっている。
この金型30は、パンチ14と同様材料で構成されたパンチ31と、このパンチ31の移動方向に開口部32が形成されたダイ33とを有している。このため、パンチ31がしわ押え部13の上方に突出しても、ブランクの成形部位がダイ33の表面に接触しない構成となっている。なお、開口部32を形成するダイ33の内面34と下面35との境部の曲率半径が5mmとなっている。
これにより、前記した各金型11、22、27同様、成形時においてブランクの成形部位の温度低下を招くことなく、ブランクの成形を実施できる。
このパンチ41は、鋼製のパンチ本体42の上部に、断面円形の突出部分40が取付けられた構造となっており、突出部分40の最大直径が103mm、その上端部の曲率半径が50mm、突出高さが35mmとなっているが、この形状及び数値に限定されるものではない。なお、パンチ本体42に対する突出部分40の取付けは、例えば、ねじ構造、嵌め込み構造、接合等により行うことができる。
このとき、ブランク10の成形部位と接触するパンチ14の突出部分12の断熱性が良好であるため、ブランク10の成形部位の温度低下は抑制され、成形部位の延性を高めることができる。そして、ブランク10の成形部位がダイ15の凹部16に接触するまでパンチ14を突出させることでブランク10の成形を終了し、引き続き成形後の急冷を行う。
これにより、オーステナイト変態させたブランク10を、軟質相(例えば、ベイナイト、パーライト)への変態を抑制、更には防止しながらマルテンサイト変態させることができる。
上記した方法で、ブランク10を金型11で連続的に焼入れ成形することで、反応に応じた焼入れ強度、例えば、0.22%C鋼では、引張り強度が1470MPa以上程度の製品を製造できる。
これにより、他の金型11、22、27を使用した場合と同等の引張り強度が得られる製品を製造できる。
まず、表1に示す化学成分となった鋼種a〜cのスラブを鋳造した。
ここで、実施した試験の組み合わせを、前記した表1〜表3の記号に基づき、表4〜表7にそれぞれ示す。なお、表4〜表7中の比較例1〜26は従来例(パンチの材質が鋼)である。
パンチの材質が鋼である比較例の場合、成形高さが低い(28mm:金型A、Dを使用)とき、即ち比較例2、5、8、11、14、17、20、23では成形結果が良好(○)であったが、成形高さが高くなる(33mm、35mm:金型B、C、Dを使用)に伴って、成形結果が悪くなった。しかし、パンチ材質を鋼よりも熱伝導率が小さいセラミック、もしくは鋼よりも熱伝導率が小さいセラミックを鋼上にインサートした実施例の場合、パンチの材質が鋼である場合と比較して、成形高さに影響されることなく、いずれの各金型A〜Dを使用した場合においても成形限界が向上した。
従って、金型Dを用いた場合についても、従来よりも金型による成形性を向上させることができ、しかも十分な焼入れ硬度(◎)を得ることができるため、ここでは実施例としている。
なお、他の金型A〜Cの場合は、成形性を向上させることができることは勿論であるが、焼入れ硬度についても十分であった。また、どのめっき種を用いても、実施例から明らかなように、成形限界が向上し、更に十分な焼入れ硬度を得ることができた。
パンチ材質を鋼よりも熱伝導率が小さいセラミックとした、もしくは鋼よりも熱伝導率が小さいセラミックを鋼上にインサートした実施例の場合、パンチ材質が鋼の場合と比較して、成形限界が向上した。
このように、本発明の熱間成形方法を使用することで、従来よりも金型による成形性を向上させ、しかも成形後の強度に優れる製品を製造できることを確認できた。
前記実施の形態においては、例えば、バンパー補強部材、センターピラー補強部材、ドアインパクト補強部材のように、自動車の構造部材、補強部材等を製造する熱間成形について説明したが、所定の形状に加工された高張力鋼を使用する分野、例えば、車両、重機、船舶等の構造部材、補強部材等を製造するために、本発明の熱間成形方法を適用することも勿論可能である。
Claims (2)
- 鋼板をAC3点から融点までの温度範囲に加熱した後、前記鋼板の成形部位と接触する部分が鋼よりも熱伝導率が小さい材料からなるセラミックで構成されたパンチと、該パンチと対となって熱伝導率が鋼と同等又は鋼よりも大きい材料で構成されると共に内部には冷媒を流す冷却管が配置されたダイとを有する金型を用いて、フェライト、パーライト、ベイナイト、及びマルテンサイト変態のいずれもが生じる温度より高い温度で前記鋼板の成形を開始し、この成形後に前記ダイに接触させて急冷することを特徴とする熱間成形方法。
- 請求項1記載の熱間成形方法において、前記鋼板の成形後の急冷は、前記鋼板の成形部位にマルテンサイト変態が生じる冷却速度以上の速度で、且つマルテンサイト変態の開始温度まで行うことを特徴とする熱間成形方法。
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