JP4632444B2 - 光制御アレイアンテナ装置 - Google Patents

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Description

この発明は光波を給電線の代わりに用いる光制御アレイアンテナ装置で、同時に複数のビームに対応することができ、例えば、衛星通信、衛星レーダ、航空機レーダ、光ファイバ無線基地局に用いられるもので、特に、衛星搭載用の大規模アレイアンテナの、あるいは、準マイクロ波帯やミリ波帯などの高周波アレイアンテナのマルチビーム形成やビーム制御を容易に行なうことが出来る、光制御アレイアンテナ装置に関している。
給電線の代わりに用いる光波を通す光ファイバをフェーズドアレイアンテナに用いて、光波に重畳した電波信号を光信号を介して加工し、電波信号をフェーズドアレイアンテナから放射することにより、ビームフォーミング、信号分布、アンテナ素子間の信号遅延時間を操作するという構成が報告されている。この利点は、小型軽量化、低損失化、広帯域化を図ることができ、電磁干渉に強い、という点にある。
例えば、非特許文献1には、波長可変レーザ光源を用いて、アンテナ放射素子(エレメント)毎に接続された光ファイバの分散特性の違いを利用して、波長可変レーザ光源の波長を変えることで形成されるアレイアンテナのビーム特性を変える方法が記載されている。図1にそのブロック図を示す。この方法の特徴であるが、これを実現するためには、アンテナ放射素子毎に分散特性の異なる光ファイバを接続する必要がある。また、1つの光源を1つのビーム形成に用いており、多数の光源が必要である。また、予めアンテナ放射素子毎に、接続される光ファイバの分散特性や長さが定められているため、光源である波長可変レーザ光源の波長を変えても任意のビームを形成することができない。また任意の波長を定めると、それに対応するアレイアンテナのビーム特性が決まってしまい、自由に設定できないという欠点が有った。また、上記の例では、ビーム形成には二次元の平面アレイアンテナを一般的に用いるため、そのビーム形成回路が複雑・大型化する傾向があった。
そのため、特許文献1には、光源、変調器、ファイバ、フォトダイオードからなる光制御回路を2段分用意して、初段の光制御回路の高周波出力を後段の光制御回路の高周波入力とすることにより、初段で1次元マルチビームを実現し、後段で2次元マルチビームを実現する手法が開示されている。図2にそのブロック図を示す。このように、1つのビームを形成するために2段で2つの光源を用いているが、1次元マルチビームを実現するためには、先例と同様に1つのビームで1つの光源しか用いていない。そのため、任意のビーム特性を実現するためには、例えば、位相を変えるために、波長分散光ファイバを個々に温度制御する温度制御手段が必要となる。
また、特許文献2では、複数の波長を有する光信号を無線信号で変調し、この変調された複数の波長の光波に、各アンテナ素子の励振分布制御である遅延処理を光波のままで施す。図3、4にそのブロック図を示す。この励振分布制御された光信号を電気信号に変換し、各放射器に信号を分配する。この場合の特徴として、複数の光源を1つのビーム形成に用いているのでビーム形成の自由度は増えている。しかしアンテナ放射素子の個数だけ、光遅延回路等で代表される光制御移相回路が必要となる欠点があった。大規模フェーズドアレイアンテナを構成する場合、その放射素子数分の移相回路群の大きさや重量が全システムに与える影響が無視できなくなる。
また、非特許文献2では、複数の波長可変光源を1つのビーム形成に用いる、と共に、1本のチャープトファイバグレーティングを光遅延線として用いて、異なる複数の波長で共用してビーム形成を行っている。図6にそのブロック図を示す。シングルビームのフェーズドアレイを実現しているが、マルチビームの形成方法については記載されていない。また1本のチャープトファイバグレーティングを光遅延線として多波長で用いているが、波長分散のある光ファイバは用いていない。
ファイバグレーティングは,ファイバのコア部に半波長周期の屈折率変化を書き込むことで、導波光に対してブラッグ反射を発生させて波長を選択できる。選択波長はグレーティングの周期により決定され、波長選択フィルタとして働く。この中、チャープドファイバグレーティングは、グレーティングのピッチが場所によって異なるように設計されたファイバグレーティングの一種で、波長によって反射する場所が異なるように設計されている。ファイバグレーティングは、波長の反射点を任意に設計することが可能だが、フィルタ特性を持ち一般に帯域は狭くなる。そのため、波長の異なる多数の光源を用いてビーム形成を行う場合に、全ての波長に対して所望の遅延特性を満たすよう設計することが困難であった。
しかし、以下に説明する実施例で用いている様に、広帯域性という点では単純な伝送路である光ファイバの方が遥かに勝る。また、ファイバグレーティングは、伝送波形の劣化や偏波依存性などの点で設計が難しく、ファイバの方がその設計が容易であり実用性が高い。
非特許文献3には、多波長光源、光変調器などの信号制御部、光伝伝送路、WDMフィルタ、受光部およびRF変調部から構成され、波長間隔を制御することによりビーム角の制御を行うビームフォーミング技術が報告されている。この報告では、波長分散をもった光ファイバに、波長の異なる光を伝搬させることによって、それぞれの波長の光に与える遅延時間を調整している。
非特許文献3では、ビーム角の制御を行うために、多波長光源を変調した後、波長分散のある光ファイバに通すことによって、波長ごとに異なる遅延時間を上記の変調光に与え、WDMにより波長ごとに分波して、分波した光をそれぞれ光電変換してアレイアンテナに供給するものである。アレイアンテナから放射される電波は、1方向に指向性をもったものである。
特許文献3では、複数の光源を1つのビーム形成に用いると共に位相制御のための回路数を削減し、アンテナシステム全体で位相制御回路の小型軽量化および簡素化を可能としている。図5に、そのブロック図を示す。光遅延線光路によるNビット移相器に対して、波長ごとに光スイッチマトリクスで経路を切り替えて移相量を割り当てる構成を採用している。
この方式では、各々の光遅延線は異なる波長で共用することができる。このため、波長多重数分の1だけ位相制御回路における移相器を削減できる。しかし、各々の光遅延線を異なる波長で共用するため、光スイッチマトリクス以降は移相器の量子化ビットの1/10程度の精度で長さを揃える必要がある。特に光スイッチマトリクスの光路長を高い精度で合わせこむことは、マイクロ波やミリ波など高周波の周波数が高くなるほど困難になる。また、アンテナ素子数やビーム数が増えるほど困難となる欠点があった。
具体例としてマイクロ波周波数を20GHzとする。移相器を3ビットとすると、最小移相変化量はπ/4=45°となる。波長1.55μmにおける光ファイバ屈折率1.46を考慮する。量子化ビットの1/10程度の精度が必要ということは、128μm以内に各配線を等長化する必要があるということである。さらにミリ波帯の周波数40GHzの場合で、移相器を4ビットとすれば、32μmの精度での等長化が必要となる。
特開2004−23400号公報 特開平9−215048号公報 特許第3564077号公報
M. Y. Frankel and R. D. Esman, "True Time-Delay Fiber-Optic Control of an Ultrawideband Array Transmitter/Receiver with Multibeam Capability," IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques, vol.43, no.9, pp.2387-2394, Sept. 1995. J. L. Corral, J. Marti, S. Regidor, J. M. Fuster, R. Laming and M. J. Cole, "Continuously Variable True Time-Delay Optical Feeder for Phased-Array Antenna Employing Chirped Fiber Gratings," IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques, vol.45, no.8, pp.1531-1536, Aug. 1997. 田所、谷口、桜井、雲崎、"60GHz-ROF システムにおける光制御型ビームフォーミング"、pp.330、C-14-4、2005 年電子情報通信学会エレクトロニクスソサイエティ大会
光波を給電線の代わりに用いる光制御アレイアンテナにおいて、ビーム形成の自由度を確保しながら構成部品数の削減を図り、また、調整を容易にする。
本発明により、1つのビーム形成に複数の光源を用いてビーム形成の自由度を確保すると同時に、用いる移相器の削減を図ると共に、等長化については、それが必要ないか容易になる。また、光路を切り換えるマトリクス構造となる部分については、等長線路での接続が可能になる。
これによりアンテナ放射素子数やビーム数が増えても構成が複雑とならない光制御アレイアンテナを実現できる。また高周波周波数がミリ波などさらに高い周波数となっても構成が複雑とならない光制御アレイアンテナを実現できる。
フェーズドアレイアンテナの波面は、そのアンテナエレメントの位置での信号の遅延時間差で決まり、ビーム方向はその波面に垂直な方向であることが知られている。本発明は、そのアンテナエレメントに印加する高周波信号の位相を調整するにあたり、その高周波信号を光波に重畳し、光学的な遅延線を用いて、光波による遅延を介してその高周波信号を遅延させるものである。また、そのアンテナエレメントに、その複数の高周波信号を印加して、それぞれのビーム方向にそれぞれ別の高周波信号を放射できるようにするものである。
そのためには、本発明では、
複数のエレメントをもったアレイアンテナと、
前記のエレメントのそれぞれに、アレイアンテナのビーム方向を決定する位相差のついた高周波信号を複数供給して、複数のビーム方向を設定する位相差発生手段と、を備えるアレイアンテナ装置であって、
複数のビーム方向に対応した複数の高周波信号供給手段と、
上記のエレメントの数に対応した異なる波長の数の光搬送波を供給する手段と、を備え、
前記の高周波信号を供給する手段は、光搬送波を高周波信号で変調し、その変調された光信号を光電変換して高周波信号を供給するものであり、
上記の位相差を発生する手段は、異なる波長の光搬送波を高周波信号で変調した光信号を分散特性のある光ファイバを伝搬させることによって位相差を発生するようにする。
また、本発明は、異なる波長のスペクトル線を複数持った単数の光波を出力するかあるいは複数の光源から成り複数の異なる波長のスペクトル線を持った複数の光波を合波して出力する光源ユニットと、
前記光源ユニットからの光波を変調する変調器とからなる変調光発生ユニットの複数と、
前記の複数の変調光発生ユニットからの光波を合波する合波器と、
前記合波器からの光波を通して波長に依存した遅延時間を与える、波長分散のある遅延手段と、
前記遅延手段からの光波を上記のスペクトルごとに分波する分波器と、
前記の分波器の出力を受けて、異なる変調光発生ユニットからそれぞれ1つずつの光波となるように選択して合波する合波器であって、前記選択がそれぞれ異なる選択となるように構成した複数の合波器を含む合波部と、
前記合波部のそれぞれの合波器からの光波を変換する複数の光電変換器を備える光電変換部と、
アレイアンテナと、を備え、
上記光電変換部のそれぞれの光電変換器は、それぞれ異なる遅延時間特性を持った遅延素子と上記合波器との直列接続に直列に接続され、
前記のそれぞれの光電変換器からの電気信号を前記のアレイアンテナのそれぞれのエレメントに印加するものである。
また、それぞれの遅延素子の遅延時間は、それぞれの光波の遅延時間差を補償して、前記の遅延時間差を上記の変調器に印加する変調信号の最小周期以下にする遅延時間であり、それぞれの前記遅延時間の整数倍に共通の定数を加えた遅延時間である。
本発明は、また、(1)異なる波長のスペクトル線を複数持った単数の光波を出力するかあるいは複数の光源から成り複数の異なる波長のスペクトル線を持った複数の光波を合波して出力する光源ユニットと、前記光源ユニットからの光波を変調する変調器と、からなる変調光発生ユニットの複数と、(2)前記の変調光発生ユニットからの光波を通して波長に依存した遅延時間を与える、波長分散のある遅延手段と、(3)前記の遅延手段からの光波を上記のスペクトル線ごとに分波する分波器であって、上記の変調光発生ユニットと遅延手段と分波器とをそれぞれ備える変調光発生手段の複数と、
接続切換部と、
接続切換部で選択した光波を合波する複数の合波器を含む合波部と、
それぞれの合波器からの光波を変換する複数の光電変換器を含む光電変換部と、
アレイアンテナと、を備え、
上記のそれぞれの光源ユニットからの光波のスペクトル線は同じ波長をもち、
上記の接続切換部は、上記のそれぞれの分波器について、該分波器のそれぞれの出力を上記のそれぞれの合波器に1入力端子に対して1出力端子を振向けるように接続し、
前記のそれぞれの光電変換器からの電気信号を前記のアレイアンテナのそれぞれのエレメントに印加するものである。
あるいはまた、(1)異なる波長のスペクトル線を複数持った単数の光波を出力するかあるいは複数の光源から成り複数の異なる波長のスペクトル線を持った複数の光波を合波して出力する光源ユニットと、前記光源ユニットからの光波を変調する変調器と、からなる変調光発生ユニットについて複数の変調光発生ユニットと、(2)前記の変調光発生ユニットからの光波を通して波長に依存した遅延時間を与える、波長分散のある遅延手段と、(3)前記の遅延手段からの光波を上記のスペクトル線ごとに分波する分波器とについて、上記の変調光発生ユニットと遅延手段と分波器とをそれぞれ備える変調光発生手段の複数と、
接続切換部と、
接続切換部からのそれぞれの光波に遅延時間を与える複数の遅延素子をもった遅延部と、
それぞれの遅延部からの光波を合波する合波器の複数を含む合波部と、
合波部からの光波を変換する光電変換器を複数含む光電変換部と、
アレイアンテナと、を備え、
上記のそれぞれの光源ユニットからの光波のスペクトル線は同じ波長をもち、
上記の接続切換部は、上記のそれぞれの分波器について、該分波器のそれぞれの出力を上記のそれぞれの合波器に1入力端子に対して1出力端子を振向けるように接続し、
前記のそれぞれの光電変換器からの電気信号を前記のアレイアンテナのそれぞれのエレメントに印加するものである。
また、(1)異なる波長のスペクトル線を複数持った単数の光波を出力するかあるいは複数の光源から成り複数の異なる波長のスペクトル線を持った複数の光波を合波して出力する光源ユニットと、前記光源ユニットからの光波を変調する変調器と、からなる変調光発生ユニットについて複数の変調光発生ユニットと、(2)前記の変調光発生ユニットからの光波を通して波長に依存した遅延時間を与える、波長分散のある光ファイバあるいは光ファイバグレーティングなどの遅延手段と、(3)前記の遅延手段からの光波を上記のスペクトル線ごとに分波する分波器と、について、上記の変調光発生ユニットと遅延手段と分波器とをそれぞれ備える変調光発生手段の複数と、
第1の接続切換部と、
第1の接続切換部からの光波を選択して合波する合波器を複数含む第1の合波部と、
前記の合波器からの光波に遅延時間を与える複数の光ファイバと、
前記遅延手段からの光波を上記のスペクトル線のいずれかが含まれるように分波する複数の分波器と、
第2の接続切換部と、
第2の接続切換部からの光波を選択して合波する合波器を複数含む第2の合波部と、
第2の合波部からの光波を変換する光電変換器を複数含む光電変換部と、
アレイアンテナと、を備え、
上記のそれぞれの光源ユニットからの光波のスペクトル線は同じ波長をもち、
上記の光ファイバの数は、上記の変調器数に上記のアレイアンテナ数を加えて1を減じた数であり、
上記の第1の接続切換部と第2の接続切換部とは、それぞれの上記の変調光発生手段のそれぞれの分波器について、上記の変調部から上記の光電変換部の出力までの遅延時間差の最大値が変調信号の周期の最小値以下となる経路で該分波器のそれぞれの出力を第2の合波部のそれぞれの合波器に振向けるように接続し、
前記のそれぞれの光電変換器からの電気信号を前記のアレイアンテナのそれぞれのエレメントに印加するものである。
上記の光制御アレイアンテナ装置を複数用い、複数のアレイアンテナを合成して、より多数のエレメントを備えるアレイアンテナを構成することもできる。
受信においても光源の波長の種類を少なくすることができる。このためには、(1)異なる波長のスペクトル線を複数持った単数の光波を出力するかあるいは複数の光源から成り複数の異なる波長のスペクトル線を持った複数の光波を合波して出力する光源ユニットと、前記光源ユニットからの光波をアレイアンテナのエレメントから入力した複数方向からのビームを受信した信号で変調する変調器と、からなる変調光発生ユニットの複数と、(2)前記の変調光発生ユニットからの光波を通して波長に依存した遅延時間を与える、波長分散のある遅延手段と、(3)前記の遅延手段からの光波を上記のスペクトル線ごとに分波する分波器について、上記の変調光発生ユニットと遅延手段と分波器とをそれぞれ備える変調光発生手段の複数と、
接続切換部と、
接続切換部で選択された光波を合波する複数の合波器を含む合波部と、
それぞれの合波器からの光波を変換する複数の光電変換器を含む光電変換部と、を備え、
上記のそれぞれの光源ユニットからの光波のスペクトル線は同じ波長をもち、
上記の接続切換部は、上記のそれぞれの分波器について、該分波器のそれぞれの出力を上記のそれぞれの合波器に1入力端子に対して1出力端子を振向けるように接続し、
前記の複数の光電変換器のいずれかの光電変換器に印加される上記のアレイアンテナのエレメントの複数からの電気信号について、上記の複数方向のビームから選択した特定方向のビームの信号の位相が整合して強度が増強するように、上記の遅延手段による遅延時間を設定する。
以下に、この発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明においては、同じ機能あるいは類似の機能をもった装置に、特別な理由がない場合には、同じ符号を用いるものとする。
図15に本発明の元になる例で、1ビームの電波をアレイアンテナから放射する場合の原理を模式的に示す。波長1から5までの異なる波長をもつ光源からのそれぞれの光波は、合波器で合波され、変調器で、伝送しようとするマイクロ波で変調される。こうして変調された変調光は光ファイバを通過する際に、波長に応じた遅延を受ける。このため、分波器で、それぞれの波長の光波に分離され、光電変換器(PD)で電気信号に変換すると、遅延差のついたマイクロ波が得られる。このマイクロ波をアレイアンテナに給電すると、遅延差に応じた指向性をもったビームが得られる。例えば、図15で波長1の遅延が波長5の遅延よりも大きい時には、波長5の光波から得たマイクロ波の方が先に放射されるので、ビームAが得られる。
このように、図15に示した例は、1ビームの放射を実現するものである。しかし、本発明では、以下に説明するように、複数のビームの電波を1つのアレイアンテナから放射するものであり、しかも、それぞれ異なった情報をもった電波を放射するものである。
先ず本発明の第1の実施例を5ビームの図7と、4ビームの図8とを用いて説明する。この光制御アレイアンテナ装置では、異なる波長のスペクトル線を持った単数の光波を出力するかあるいは複数の光源から成り複数の異なる波長のスペクトル線を持った複数の光波を合波して出力する光源ユニット1と、前記光源ユニット1と光変調器とからなる変調光発生ユニット2と、合波器3と、波長分散のある光ファイバ4と、波長分波器5と、複数の合波器を含む合波部6と、複数の光電変換器を含む光電変換部7と、複数のエレメントとから成るアレイアンテナ8と、を備え、
光源ユニット1からの光波を、光変調器を用いて高周波信号で変調し、変調された光信号を合波した後、波長分散のある光ファイバに通して波長に依存した遅延時間を与え、上記の光ファイバを通った光波を上記のスペクトルごとに分波し、分波されたそれぞれの波長の光波を、異なる変調光発生ユニットからそれぞれ1つずつの光波となるように選択して合波し、合波されたそれぞれの光波を光電変換し、前記光電変換で得られる電気信号をアレイアンテナ8のそれぞれのエレメントに印加する。上記の波長分散のある光ファイバの代わりとしては、波長分散のある光ファイバグレーティングを用いることができる。
従来の欠点を解決するためには、複数の波長で共用できると同時に複雑な等長化が必要ない単純な構造の光遅延線を移相器として採用する必要があった。また等長化誤差が生じてもそれを補正する手段が必要であった。本発明では光遅延線として一本の波長分散のある光ファイバを共用して、複数の入力光源の波長を変えて調整することで位相制御を行う構成を用いた。単純に一本の波長分散のある光ファイバを用いるため、複雑な等長化は必要ない。また波長可変光源の波長を個別に微調整できるため、非等長化によって生じる遅延差誤差を補正することができる。また波長を可変することで複数のアンテナビーム方向やアンテナパターンを独立に変えることができる。
一般的に1芯の光ファイバで数100から最大1000波長程度の多重化を行うことができる。この光ファイバは伝送線路であると共に光ファイバ自体を移相器として使用することができる。先例では、アンテナ放射素子(エレメント)毎の波長分散光ファイバの長さの違いにより必要な励振位相分布を与えている。しかし、光ファイバの長さを調整しなくとも、一本の波長分散のある光ファイバを用いて、入力する各光源の波長を微調整することで位相制御は実現できる。
図7は5素子×5ビームのアレイアンテナ、また図8は5素子×4ビームの光制御アレイアンテナの構成を示している。これらは、また、異なる波長のスペクトル線を持った単数の光波を出力するかあるいは複数の光源から成り複数の異なる波長のスペクトル線を持った複数の光波を合波して出力する光源ユニット1と、前記光源ユニットからの光波を変調する変調器とからなる変調光発生ユニット2の複数と、
前記の複数の変調光発生ユニットからの光波を合波する合波器3と、
前記合波器からの光波を通して波長に依存した遅延時間を与える、波長分散のある光ファイバ4と、
前記光ファイバからの光波を上記のスペクトルごとに分波する分波器5と、
前記の分波器の出力について、異なる変調光発生ユニットからそれぞれ1つずつの光波となるように選択して合波する合波器について、それぞれ異なる選択となるように構成した複数の合波器を含む合波部6と、
前記合波部のそれぞれの合波器からの光波を変換する複数の光電変換器を備える光電変換部7と、
アレイアンテナ8と、を備え、
前記のそれぞれの光電変換器からの電気信号を前記のアレイアンテナのそれぞれのエレメントに印加するものである。上記の、光ファイバ4の代わりに光ファイバグレーティングを用いることができるが、一般に、光ファイバは光ファイバグレーティングに比べて、遅延時間を大きく取りづらいが、広帯域である。
ここでは図7を用いて説明を行う。全部で5素子×5ビーム=25個の波長可変光源を用いる。それぞれのビーム毎に必要な5個ずつの光源は合波器でひとつにまとめられて、そのビームで送信する高周波を用いて変調を受ける。波長1〜5はビームA用のマイクロ波Aで変調を受ける。5つのビーム用にそれぞれ変調を行った25波長は一つに合波されて分散光ファイバに入る。ファイバの波長分散値とファイバ長を適当に選ぶことでそれぞれの波長は適当な値の遅延を受ける。
例えばマイクロ波周波数を20GHzとすれば、半波長180度の遅延量は25psecとなる。5個の光源の波長を0.8nm間隔と設定する。例えば1559.79nm、1558.98nm、1558.17nm、1557.36nm、1556.56nmとする。このときシングルモード光ファイバの分散値を20psec/nm/kmとすれば、1km長でその分散量は20psec/nmとなる。隣接する光源が0.8nm波長が異なれば分散量は16psec異なることとなり、移相量で115度の違いが生じることとなる。このとき、例えば1558.98nmの光源を±0.8nmの範囲で波長を変えて調整すれば、±115度の移相量を調整できることになる。
1本の光ファイバで必要な全ての波長の遅延量の調整を行った後、分波器で波長毎に分波され、その後、アンテナ放射素子毎に必要な波長群がそれぞれの合波器によって集められる。1つのアンテナ放射素子に集められる波長群は、各ビームの形成に必要な波長群から1波ずつ選ばれて合波される。合波された波長群は光電変換部(PD)にて高周波出力となりアンテナ放射素子に給電される。
この方式では、マルチビーム形成に必要な5素子×5ビーム=25個の全ての波長の遅延量を1本の光ファイバにて実現することができる。また波長分散のある光ファイバ以外の分波器や合成器についても全ての波長について対称な構成となっているため、等長化は容易に実現できる。さらに等長化誤差が生じても、光源の波長を変えて調整すれば移相量を調整できることになる。
上述の0.8nm間隔の波長光源と、分散値20psec/nm/kmの光ファイバ1kmを用いる場合、マイクロ波周波数を20GHz、移相器を3ビットとすれば、最小移相量はπ/4=45°であるから、量子化ビットの1/10の位相精度は4.5°となる。このとき例えば波長可変光源として高密度波長分割多重用のITUグリッド50GHz(0.4nm)や25GHz(0.2nm)間隔のDFBレーザモジュールを用いるとする。レーザモジュールは隣接光信号間のクロストークを抑圧するために波長の安定化が図られている。50GHz間隔DWDM光源では±20pm以下の安定度、25GHz間隔DWDMでは±10pm以下の安定度が求められ実現している。このとき遅延量は、20psec/nm×±20pm=±0.4psec及び20psec/nm×±10pm=±0.2psecとなり、対応する位相量は±2.9°及び±1.4°となる。この値は、量子化ビットの1/10の位相精度である4.5°を満たしており、電流や温度による細かな制御を行わなくとも、高密度波長分割多重用のITUグリッド50GHzや25GHz間隔のDFBレーザモジュールを用意すれば、量子化ビットの1/10の位相精度を実現できることがわかる。上述のDFBレーザモジュールは、更に駆動電流や温度を制御することで1pm精度の細かな波長制御が可能であることが知られている。光源の波長を個別に微調整できるため、非等長化によって生じる遅延差誤差を容易に補正することができる。
上記の図7では5素子×5ビーム=25個の異なる波長が必要となる。また波長間隔を0.8nmと設定したが、シングルモード光ファイバ1km長での分散量は20psec/nmであることから、最大400psecの遅延差が波長間で生じることになる。必要な波長数及び遅延差はアンテナ放射素子数やビーム数が増えるにつれて大きくなるため、必要な波長数を低減する構成が望まれる。
これに対して、図9ではビーム毎に必要な波長群を繰返し利用できる構成としている。これは、(1)異なる波長のスペクトル線を持った単数の光波を出力するかあるいは複数の光源から成り複数の異なる波長のスペクトル線を持った複数の光波を合波して出力する光源ユニット1、前記光源ユニットからの光波を変調する変調器と、からなる変調光発生ユニット2について複数の変調光発生ユニットと、(2)前記の変調光発生ユニットからの光波を通して波長に依存した遅延時間を与える、波長分散のある光ファイバ9と、(3)前記の光ファイバからの光波を上記のスペクトル線ごとに分波する分波器について、上記の変調光発生ユニットと光ファイバと分波器とをそれぞれ備える変調光発生手段10の複数と、
接続切換部11と、
接続切換部からの光波を選択して合波する複数の合波器を含む合波部6と、
それぞれの合波器からの光波を変換する複数の光電変換器を含む光電変換部7と、
アレイアンテナ8と、を備え、
上記のそれぞれの光源ユニット1からの光波のスペクトル線は同じ波長をもち、
上記の接続切換部は、上記のそれぞれの分波器について、該分波器のそれぞれの出力を上記のそれぞれの合波器に振向けるように接続し、
前記のそれぞれの光電変換器からの電気信号を前記のアレイアンテナのそれぞれのエレメントに印加するものである。上記の、光ファイバ9の代わりに、遅延素子として、光ファイバグレーティングを用いることができるが、一般に、光ファイバは光ファイバグレーティングに比べて、遅延時間を大きく取りづらいが、広帯域である。
5素子×5ビームの光制御アレイアンテナは25個の波長可変光源が必要となるが、1つのビーム形成に必要な光源は5個なのでビーム毎に必要な波長群毎に合波することで、ビーム毎に同一波長を繰返し利用することができる。図9の例では波長1〜5を繰返し利用している。このため波長分散のある光ファイバを用いた遅延量の設定はビーム毎に行う必要があり、ビーム数分の波長分散のある光ファイバが必要となる。ビーム毎に遅延量が設定された波長群はその後分波器で分波されアンテナ放射素子毎に対応した波長群に合波器で合波される。合波器では各ビームからの波長が同一波長とならないように一つずつ選ばれて合波される。分波器群と合波器群の端子は1対1に対応している。両端子間の接続には、短い長さの同一長の光ファイバや光導波路を用いることで容易に等長化を行うことが可能である。
上記の実施例の図9ではビーム毎に光源をまとめて同一波長を再利用したが、アンテナ放射素子群毎に光源をまとめることも可能である。図10はその一例で、例えば二次元アレイアンテナのアンテナ放射素子一列毎に光源をまとめることも可能である。図10では2素子×2素子の2行2列の2次元平面アレイアンテナで5ビームを形成する例を示している。一列は2素子なので光源2素子ずつが合波器でまとめられてビーム毎に高周波変調を受けてさらに合波器で合波されて波長分散のある光ファイバを通すことでアンテナ放射素子一列分の必要な遅延量が得られる。
第4の実施例を、図11、図12を用いて説明する。上記の図7の実施例では最大400psecの遅延差が波長間で生じることになる。また、図9や10のようにビーム毎に用いる波長分散のある光ファイバを分けるなどの構成を取らなくても、波長毎の遅延量を設定後に、アンテナ放射素子毎に適当な長さの遅延素子として動作する調整ファイバを追加することで遅延量を低減することができる。図11は遅延素子として動作する調整ファイバを合波器と光電変換器(PD)の間にそれぞれ挿入している。これは、光電変換器の前に光遅延素子を入れても、あるいは、光電変換器のあとに電気的な遅延素子をいれてもよいことは明らかである。図12はその際の遅延量の変化を示している。遅延素子として動作する調整ファイバをアンテナ放射素子毎に挿入することで遅延差をアンテナ放射素子毎の波長群の中での遅延差まで低減することができ1周期(2π)以下にすることがきる。さらに、1周期以下の操作によって、放射する波面を変えることもでき、これを用いてビーム方向を変えることができる。また、逆分散のファイバのみしか無い場合でも、等価的に正分散の遅延器を実現することができる。
第5の実施例を、図13を用いて説明する。この実施例では、アンテナ放射素子毎の波長群の中での遅延差も補償している。この光制御アレイアンテナ装置は、(1)異なる波長のスペクトル線を持った単数の光波を出力するかあるいは複数の光源から成り複数の異なる波長のスペクトル線を持った複数の光波を合波して出力する光源ユニット1と、前記光源ユニットからの光波を変調する変調器と、からなる変調光発生ユニット2について複数の変調光発生ユニットと、(2)前記の変調光発生ユニットからの光波を通して波長に依存した遅延時間を与える、波長分散のある光ファイバ9と、(3)前記の光ファイバからの光波を上記のスペクトル線ごとに分波する分波器と、について、上記の変調光発生ユニットと光ファイバと分波器とをそれぞれ備える変調光発生手段10の複数と、
接続切換部15と、
接続切換部からのそれぞれの光波に遅延時間を与える複数の遅延素子をもった遅延部14と、
それぞれの遅延部からの光波を合波する合波器の複数を含む合波部6と、
合波部からの光波を変換する光電変換器を複数含む光電変換部7と、
アレイアンテナ8と、を備え、
上記のそれぞれの光源ユニットからの光波のスペクトル線は同じ波長をもち、
上記の接続切換部は、上記のそれぞれの分波器について、該分波器のそれぞれの出力を上記のそれぞれの合波器に振向けるように接続し、
前記のそれぞれの光電変換器からの電気信号を前記のアレイアンテナのそれぞれのエレメントに印加するものである。上記の、光ファイバ9の代わりに、波長に依存した遅延時間を与える素子としては、光ファイバグレーティングを用いることができるが、一般に、光ファイバは光ファイバグレーティングに比べて、遅延時間を大きく取りづらいが、広帯域である。
上記の実施例の図9で示したようにビーム毎に波長分散のある光ファイバを用いることで全体の遅延差は低減できるが、アンテナ放射素子毎の波長群の中での遅延差は依然として残っており、これを補償するために分波器群と合波器群の端子間に遅延素子として動作する調整ファイバを入れて波長毎の遅延差を調整している。
第6の実施例を、図14を用いて説明する。この光制御アレイアンテナ装置は、(1)異なる波長のスペクトル線を持った単数の光波を出力するかあるいは複数の光源から成り複数の異なる波長のスペクトル線を持った複数の光波を合波して出力する光源ユニット1と、(2)前記光源ユニットからの光波を変調する変調器と、からなる変調光発生ユニット2について複数の変調光発生ユニットと、(3)前記の変調光発生ユニットからの光波を上記のスペクトル線ごとに分波する分波器とについて、上記の変調光発生ユニットと分波器とをそれぞれ備える変調光発生手段10の複数と、
第1の接続切換部16と、
第1の接続切換部からの光波を選択して合波する合波器を複数含む第1の合波部17と、
前記の合波器からの光波に遅延時間を与える複数の光ファイバを含む遅延部18と、
前記光ファイバからの光波を上記のスペクトル線のいずれかが含まれるように分波する複数の波長分波器を含む分波部19と、
第2の接続切換部20と、
第2の接続切換部からの光波を選択して合波する合波器を複数含む第2の合波部6と、
第2の合波部からの光波を変換する光電変換器を複数含む光電変換部7と、
アレイアンテナ8と、を備え、
上記のそれぞれの光源ユニットからの光波のスペクトル線は同じ波長をもち、
上記の光ファイバの数は、上記の変調器数に上記のアレイアンテナ数を加えて1を減じた数であり、
上記の第1の接続切換部と第2の接続切換部とは、それぞれの上記の変調光発生手段のそれぞれの分波器について、上記の変調部から上記の光電変換部の出力までの遅延時間差の最大値が変調信号の周期の最小値以下となる経路で該分波器のそれぞれの出力を第2の合波部のそれぞれの合波器に振向けるように接続し、
前記のそれぞれの光電変換器からの電気信号を前記のアレイアンテナのそれぞれのエレメントに印加するものである。上記の、遅延部18の光ファイバの代わりに、波長に依存した遅延時間を与える素子としては、光ファイバグレーティングを用いることができるが、一般に、光ファイバは光ファイバグレーティングに比べて、遅延時間を大きく取りづらいが、広帯域である。
上記の実施例の図13に示すように遅延素子として動作する調整ファイバを別途接続すると構成が複雑となり等長化にも影響を与える可能性がある。これに対して上記の実施例の図14ではビーム毎に波長を合波した後の波長分散のある光ファイバの長さを適当に変えて調整し、複数本用意することで全ての波長間の遅延差を合わせている。
図14は5素子×4ビームのアレイアンテナの構成を示している。ビーム毎に必要な波長群を合波することで、ビーム毎に同一波長を繰返し利用することができるのは先の実施例と同様である。波長1〜5がビーム毎に共用される。高周波で変調を受けたビーム毎の波長群は分波器で分波された後、光ファイバ長により遅延差を考慮して複数の波長分散のある光ファイバに入力される。このとき、波長分散のある光ファイバは(ビーム数+アンテナ放射素子数−1)本用意される。図14では、ビーム数は4本、アンテナ放射素子数は5個なので波長分散のある光ファイバ数は8本となる。波長分散のある光ファイバ1〜8は、一定量ずつ遅延量が異なるように長さが短くまたは長くなっている。このときビームAの波長1〜5は、長さが一番長いまたは短い波長から順番に5本の波長分散のある光ファイバに割り当てられる。次にビームBの波長1〜5は、長さが二番目に長いまたは短い波長から順番に5本の波長分散のある光ファイバに割り当てられる。これをビームDまで繰り返す。最後のビームDでは、波長5が長さの一番短いまたは長い波長分散のある光ファイバに割り当てられることになる。上記の分散光ファイバの代わりに光ファイバグレーティングを用いることができる。
次にそれぞれの波長分散のある光ファイバを通過した波長は、分波器でそれぞれの波長に分波される。その後、ビームAの波長1〜5が5個のアンテナ放射素子に1波長ずつ割り当てられる。同様にビームB、C、Dについても5個のアンテナ放射素子に1波長ずつ割り当てられる。このとき、同一アンテナ放射素子に各ビームからの同一波長が重ならないように合波器と分波器の接続を行う。
図16は図14の実施例における各波長分散のある光ファイバの分散量とビーム毎の波長1〜5に用いる分散光ファイバの関係を示している。基本的には、設定しようとするビームの波面とそれぞれの光ファイバの特性(波長−遅延量)との交点に光波の遅延量が来るように光ファイバの遅延特性や光波の波長を設定する。ここでは、ビーム毎に同一波長を用いるが、ビーム毎に独立に波長を可変できるように異なる同一波長光源を用いることが望ましい。図ではビーム毎に用いた波長1〜5が等しい遅延量がビームの波面に揃えられていることがわかる。
受信系に適用した光制御アレイアンテナ装置を図17に示す。これは、異なる波長のスペクトル線を複数持った単数の光波を出力するかあるいは複数の光源から成り複数の異なる波長のスペクトル線を持った複数の光波を合波して出力する光源ユニット1と、前記光源ユニットからの光波をアレイアンテナのエレメントから入力した複数方向からのビームを受信した信号で変調する変調器と、からなる変調光発生ユニット2の複数と、前記の複数の変調光発生ユニットからの光波を合波する合波器3と、前記合波器からの光波を通して波長に依存した遅延時間を与える、波長分散のある光ファイバあるいは光ファイバグレーティング4と、前記光ファイバからの光波を上記のスペクトルごとに分波する分波部19と、前記の分波器の出力を受けて、異なる変調光発生ユニットからそれぞれ1つずつの光波となるように選択して合波する合波器について、それぞれ異なる選択となるように構成した複数の合波器を含む合波部6と、前記合波部のそれぞれの合波器からの光波を変換する複数の光電変換器を備える光電変換部7と、を備えるものである。上記の波長分散のある光ファイバの代わりに光ファイバグレーティングを用いることができる。
図17の例では3素子×5ビームの光制御アレイアンテナの受信系の構成を示している。送信系と同様に全部で3素子×5ビーム=15個の波長可変光源を用いる。それぞれのアンテナ放射素子(エレメント)で受信された高周波信号はそれぞれ対応する光変調器に入力される。このとき各光変調器の光入力信号は、5個の異なる波長を合波器で多重化した光波で、これらは、アンテナ放射素子毎に異なる波長を対応させるものである。高周波信号で変調を受けた光波は、アンテナ放射素子毎に多重化された光信号であるが、さらに全アンテナ放射素子からの光波を合波する合波器で多重化された後に、異なる波長の光信号ごとに異なる遅延時間を与えるための分散光ファイバに入る。このときファイバの波長分散値とファイバ長あるいは光路長を適当に選ぶことで、それぞれの異なる波長の光信号が、ビーム毎の受信に適した値の遅延を受ける様にすることができる。遅延量が調整された全ての波長は、光ファイバ出力として分波器に入力されて異なる波長に分波されて、次にビーム毎に対応する波長が各合波器にて多重化されてPD(光電変換器)にて検波される。ここで、上記の「ファイバの波長分散値とファイバ長あるいは光路長を適当に選ぶ」とは、例えば、ビームAを出力するPDには、波長1、6、11のそれぞれの光波が供給されるが、これらの光波に重畳された高周波信号の位相を一致させるように、上記のファイバ長あるいは光路長を選ぶものである。これらの位相を一致させることにより、他のビームの位相は、ずれた状態になり、ビームAに比べて小さい振幅となるので、ビームAの信号のみを選択することが出来る。他のビームの信号についても、これと同様にして選択することができる。
図18は、アンテナ受信素子毎に、ビーム毎に必要な波長群を繰返し利用する受信用の光制御アレイアンテナ実施例を示す。これは、(1)異なる波長のスペクトル線を複数持った単数の光波を出力するかあるいは複数の光源から成り複数の異なる波長のスペクトル線を持った複数の光波を合波して出力する光源ユニット1と、前記光源ユニットからの光波をアレイアンテナのエレメントから入力した複数方向からのビームを受信した信号で変調する変調器と、からなる変調光発生ユニットの複数2と、(2)前記の変調光発生ユニットからの光波を通して波長に依存した遅延時間を与える、波長分散のある光ファイバあるいは光ファイバグレーティング4と、(3)前記の光ファイバからの光波を上記のスペクトル線ごとに分波する分波器について、上記の変調光発生ユニットと光ファイバと分波器とをそれぞれ備える変調光発生手段10の複数と、接続切換部15と、接続切換部で選択された光波を合波する複数の合波器を含む合波部6と、それぞれの合波器からの光波を変換する複数の光電変換器を含む光電変換部7と、を備えるものである。上記の波長分散のある光ファイバの代わりに光ファイバグレーティングを用いることができる。
図18では、3素子×5ビームの光制御アレイアンテナの受信系の構成を示している。15個の波長可変光源からの単一波長の光波は、5波長ずつ合波器で多重化されて、それぞれの光変調器に入力される。このとき、波長の組合せが同一な5波長の3組を、それぞれのアンテナ受信素子で受信された高周波信号で、それぞれ対応する光変調器を用いて変調する。その後、分散光ファイバによって光波の波長に応じて遅延量を調整する。この調整は、分散光ファイバの特性と、それぞれの光波の波長を調整することで行なう。それぞれの組の光は、分波器にて分波された後、それぞれPDに接続された合波器にそれぞれ1波ずつ分配するように接続切換部で光路を切換え、受信ビーム毎に必要な波長を合波しPDにて検波する。
ここで、ビームAで変調された波長1、2、あるいは3の光波の波長を波長1A、2A、3Aとするとき、いずれかの合波器には、これらの波長を持った光波を選択して入力し、出力である合波した光波をPDで光電変換する。この光電変換によって、位相の異なるビームAの信号の重ねあわせが得られるので、光波1、2あるいは3の波長を変えて遅延時間を調整し、ビームAの位相を一致させることにより、他のビームは位相がずれた状態になりビームAに比べて小さい振幅となるので、ビームAの信号のみを選択することが出来る。他のビームの信号についても、これと同様にして選択することができる。
図19は、送受信共用の光制御アレイアンテナ装置の実施例である。この実施例では、遅延量を設定する光ファイバや合波器、分波器を一部共用している。添え字のtあるいはrは、それぞれ送信あるいは受信に関する項を示す。図19では1本の光ファイバ4とそれぞれに用いる光波の波長(送信用の1tから15t、受信用の1rから15r)で送受信用アンテナ素子とビーム全ての位相を設定している。この様に光ファイバや合波器、分波器などの光回路部分を共用することで、コンパクトな回路を実現できる。
上記の実施例では、遅延量を設定する波長分散のある光ファイバとして光ファイバを例に挙げたが、この場合は、シングルモードであることが望ましい。また、特に、高波長分散のある光ファイバを用いることでファイバ長を短縮することができる。例えば、高波長分散のある光ファイバとしてフォトニッククリスタルファイバを用いることができる。
本発明では上記の様に、1つのビーム形成に複数の波長可変光源を用いてビーム形成の自由度を確保すると同時に、1本の分散光ファイバを光遅延線として異なる複数の波長で共用して移相器の削減を図ると共に等長化が必要ないような構造としている。また、マトリクス構造となる接続切換部については、等長線路での接続を可能としている。さらに、光源を波長可変とし、その波長を微調整することで、等長化が不完全な場合の位相誤差を補正することができる。光源の波長を大幅に変える場合は、分波器の出力端の位置も適宜変更する。
本発明は、上記の様に、送信装置あるいは受信装置に適用できるものであるが、両方の装置を備えて交互に用いる場合には、光源ユニットをそれぞれに用意する必要はなく、共通の光源ユニットから分岐した光波を用いることができる。この場合の、波長可変光源の波長を微調整することによる等長化については、微調整を交互に設定することによって行なう。
非特許文献1の従来例を示すブロック図である。 特許文献1の従来例を示すブロック図である。 特許文献2の従来例を示すブロック図である。 特許文献2の従来例を示すブロック図である。 特許文献3の従来例を示すブロック図である。 非特許文献2の従来例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施例を示すブロック図である。 本発明の第2の実施例を示すブロック図である。 本発明の第3の実施例を示すブロック図である。 本発明の第4の実施例を示すブロック図である。 本発明の第4の実施例を示すブロック図である。 本発明の第5の実施例を示すブロック図である。 本発明の第6の実施例を示すブロック図である。 本発明の元になるもので1ビームの電波を放射する場合の原理を示す模式図である。 本発明の第6の実施例の動作点を示す図である。 受信用の光制御アレイアンテナ実施例を示す図である。 波長群を繰返し利用する受信用の光制御アレイアンテナ実施例を示す図である。 送受信共用の光制御アレイアンテナ装置の実施例を示す図である。
符号の説明
1 光源ユニット
2 変調光発生ユニット
3 合波器
4 光ファイバ
5 波長分波器
6 合波部
7 光電変換部
8 アレイアンテナ
9 光ファイバ
10 変調光発生手段
11 接続切換部
12 波長分波器
13 遅延部
14 遅延部
15 接続切換部
16 接続切換部
17 合波部
18 遅延部
19 分波部
20 接続切換部

Claims (7)

  1. 異なる波長のスペクトル線を複数持った単数の光波を出力するかあるいは複数の光源から成り複数の異なる波長のスペクトル線を持った複数の光波を合波して出力する光源ユニットと、
    前記光源ユニットからの光波を変調する変調器とからなる変調光発生ユニットの複数と、
    前記の複数の変調光発生ユニットからの光波を合波する合波器と、
    前記合波器からの光波を通して波長に依存した遅延時間を与える、波長分散のある遅延手段と、
    前記遅延手段からの光波を上記のスペクトルごとに分波する分波器と、
    前記の分波器の出力を受けて、異なる変調光発生ユニットからそれぞれ1つずつの光波となるように選択して合波する合波器であって、前記選択がそれぞれ異なる選択となるように構成した複数の合波器を含む合波部と、
    前記合波部のそれぞれの合波器からの光波を変換する複数の光電変換器を備える光電変換部と、
    アレイアンテナと、を備え、
    上記光電変換部のそれぞれの光電変換器は、それぞれ異なる遅延時間特性を持った遅延素子と上記合波器との直列接続に直列に接続され、
    前記のそれぞれの光電変換器からの電気信号を前記のアレイアンテナのそれぞれのエレメントに印加する事を特徴とする光制御アレイアンテナ装置。
  2. それぞれの遅延素子の遅延時間は、それぞれの光波の遅延時間差を補償して、前記の遅延時間差を上記の変調器に印加する変調信号の最小周期以下にする遅延時間であり、それぞれの前記遅延時間の整数倍に共通の定数を加えた遅延時間であることを特徴とする請求項に記載の光制御アレイアンテナ装置。
  3. (1)異なる波長のスペクトル線を複数持った単数の光波を出力するかあるいは複数の光源から成り複数の異なる波長のスペクトル線を持った複数の光波を合波して出力する光源ユニットと、前記光源ユニットからの光波を変調する変調器と、からなる変調光発生ユニットの複数と、(2)前記の変調光発生ユニットからの光波を通して波長に依存した遅延時間を与える、波長分散のある遅延手段と、(3)前記の遅延手段からの光波を上記のスペクトル線ごとに分波する分波器について、上記の変調光発生ユニットと遅延手段と分波器とをそれぞれ備える変調光発生手段の複数と、
    接続切換部と、
    接続切換部で選択した光波を合波する複数の合波器を含む合波部と、
    それぞれの合波器からの光波を変換する複数の光電変換器を含む光電変換部と、
    アレイアンテナと、を備え、
    上記のそれぞれの光源ユニットからの光波のスペクトル線は同じ波長をもち、
    上記の接続切換部は、上記のそれぞれの分波器について、該分波器のそれぞれの出力を上記のそれぞれの合波器に1入力端子に対して1出力端子を振向けるように接続し、
    前記のそれぞれの光電変換器からの電気信号を前記のアレイアンテナのそれぞれのエレメントに印加する事を特徴とする光制御アレイアンテナ装置。
  4. (1)異なる波長のスペクトル線を複数持った単数の光波を出力するかあるいは複数の光源から成り複数の異なる波長のスペクトル線を持った複数の光波を合波して出力する光源ユニットと、前記光源ユニットからの光波を変調する変調器と、からなる変調光発生ユニットについて複数の変調光発生ユニットと、(2)前記の変調光発生ユニットからの光波を通して波長に依存した遅延時間を与える、波長分散のある遅延手段と、(3)前記の遅延手段からの光波を上記のスペクトル線ごとに分波する分波器とについて、上記の変調光発生ユニットと遅延手段と分波器とをそれぞれ備える変調光発生手段の複数と、
    接続切換部と、
    接続切換部からのそれぞれの光波に遅延時間を与える複数の遅延素子をもった遅延部と、
    それぞれの遅延部からの光波を合波する合波器の複数を含む合波部と、
    合波部からの光波を変換する光電変換器を複数含む光電変換部と、
    アレイアンテナと、を備え、
    上記のそれぞれの光源ユニットからの光波のスペクトル線は同じ波長をもち、
    上記の接続切換部は、上記のそれぞれの分波器について、該分波器のそれぞれの出力を上記のそれぞれの合波器に1入力端子に対して1出力端子を振向けるように接続し、
    前記のそれぞれの光電変換器からの電気信号を前記のアレイアンテナのそれぞれのエレメントに印加する事を特徴とする光制御アレイアンテナ装置。
  5. (1)異なる波長のスペクトル線を複数持った単数の光波を出力するかあるいは複数の光源から成り複数の異なる波長のスペクトル線を持った複数の光波を合波して出力する光源ユニットと、(2)前記光源ユニットからの光波を変調する変調器と、からなる変調光発生ユニットについて複数の変調光発生ユニットと、(3)前記の変調光発生ユニットからの光波を上記のスペクトル線ごとに分波する分波器とについて、上記の変調光発生ユニットと分波器とをそれぞれ備える変調光発生手段の複数と、
    第1の接続切換部と、
    第1の接続切換部からの光波を選択して合波する合波器を複数含む第1の合波部と、
    前記の合波器からの光波に遅延時間を与える複数の遅延手段と、
    前記遅延手段からの光波を上記のスペクトル線のいずれかが含まれるように分波する複数の分波器と、
    第2の接続切換部と、
    第2の接続切換部からの光波を選択して合波する合波器を複数含む第2の合波部と、
    第2の合波部からの光波を変換する光電変換器を複数含む光電変換部と、
    アレイアンテナと、を備え、
    上記のそれぞれの光源ユニットからの光波のスペクトル線は同じ波長をもち、
    上記の遅延手段の数は、上記の変調器数に上記のアレイアンテナ数を加えて1を減じた数であり、
    上記の第1の接続切換部と第2の接続切換部とは、それぞれの上記の変調光発生手段のそれぞれの分波器について、上記の変調部から上記の光電変換部の出力までの遅延時間差の最大値が変調信号の周期の最小値以下となる経路で該分波器のそれぞれの出力を第2の合波部のそれぞれの合波器に振向けるように接続し、
    前記のそれぞれの光電変換器からの電気信号を前記のアレイアンテナのそれぞれのエレメントに印加する事を特徴とする光制御アレイアンテナ装置。
  6. 請求項の光制御アレイアンテナ装置を複数用い、複数のアレイアンテナを合成して、より多数のエレメントを備えるアレイアンテナを構成することを特徴とする光制御アレイアンテナ装置。
  7. (1)異なる波長のスペクトル線を複数持った単数の光波を出力するかあるいは複数の光源から成り複数の異なる波長のスペクトル線を持った複数の光波を合波して出力する光源ユニットと、前記光源ユニットからの光波をアレイアンテナのエレメントから入力した複数方向からのビームを受信した信号で変調する変調器と、からなる変調光発生ユニットの複数と、(2)前記の変調光発生ユニットからの光波を通して波長に依存した遅延時間を与える、波長分散のある遅延手段と、(3)前記の遅延手段からの光波を上記のスペクトル線ごとに分波する分波器について、上記の変調光発生ユニットと遅延手段と分波器とをそれぞれ備える変調光発生手段の複数と、
    接続切換部と、
    接続切換部で選択された光波を合波する複数の合波器を含む合波部と、
    それぞれの合波器からの光波を変換する複数の光電変換器を含む光電変換部と、を備え、
    上記のそれぞれの光源ユニットからの光波のスペクトル線は同じ波長をもち、
    上記の接続切換部は、上記のそれぞれの分波器について、該分波器のそれぞれの出力を上記のそれぞれの合波器に1入力端子に対して1出力端子を振向けるように接続し、
    前記の複数の光電変換器のいずれかの光電変換器に印加される上記のアレイアンテナのエレメントの複数からの電気信号について、上記の複数方向のビームから選択した特定方向のビームの信号の位相が整合して強度が増強するように、上記の遅延手段による遅延時間を設定する事を特徴とする光制御アレイアンテナ装置。
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