JP4655366B2 - めっき密着性及び耐食性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複雑なプレス成形加工にも充分に耐えうる高強度とめっき密着性及び耐食性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境の保全という観点から、自動車の燃費改善が要求されている。さらに加えて、衝突時に乗員を保護するため、自動車車体の安全性向上も要求されている。このようなことから、最近では自動車車体の軽量化及び自動車車体の強化が積極的に進められている。特に、自動車車体の軽量化のために、熱延鋼板及び冷延鋼板等の自動車用鋼板を高強度化し鋼板板厚を低減することが考えられている。一方、鋼板を素材とする自動車用部品の多くがプレス加工によって成形されるため、自動車用鋼板には優れたプレス成形性が要求される。また、合金化溶融亜鉛めっき鋼板は防錆性に優れ、安価に製造できるため、自動車車体用防錆表面処理鋼板として多用されている。
鋼板を高強度化するには、易酸化性元素であるMn、Si等の元素を添加し、固溶強化等を図る必要がある。また、最近の防錆性能の要求レベルの高まりから、従来使用されていた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の耐食性をさらに向上することが求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決しようとするもので、下地鋼板がSi、Mnを多量に含んでいても、上層溶融亜鉛めっきの密着性に優れ、めっき鋼板として耐食性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、次の(1)〜(6)に示す高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板及びその製造方法を提供するものである。
(1)C量0.05〜0.25%、Si量0.1〜1.5%、Mn量0.5〜3.5%及びB量≦5ppmを満たす鋼板上に、めっき層中のSi、Mn及びBの含有量がそれぞれ
{Fe%}*[Si%]/10(%)≧{Si%}≧{Fe%}*[Si%]/100(%)かつ
{Fe%}*[Mn%]/10(%)≧{Mn%}≧{Fe%}*[Mn%]/100(%)かつ
{B}(ppm)≦10(ppm)を満たし、かつ
合金化度が7(%)≦{Fe%}≦15(%)を満たす合金化溶融亜鉛めっき層を有することを特徴とするめっき密着性及び耐食性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。但し、{ }はめっき層中の含有量、[ ]は鋼中の含有量、%は、以下、特に断らない限り質量%を表す。
【0005】
(2)C量0.05〜0.25%、Si量0.1〜1.5%、Mn量0.5〜3.5%及びB量≦5ppmを満たす鋼板を、加熱炉で750〜950℃に加熱し、Si及びMnを含む厚さ0.01〜0.3μmの酸化皮膜を生成させた後、60〜90℃、1〜20%の濃度の酸で1〜20秒間酸洗を施し、酸化被膜が0.001〜0.05μmになるまで除去した後、650〜850℃で焼鈍後、Al濃度が0.08〜0.20%である440〜480℃の亜鉛浴中にて溶融亜鉛めっきを施し、引き続き450〜600℃で合金化度が7(%)≦{Fe%}≦15(%)となるように合金化処理を施すことを特徴とするめっき密着性及び耐食性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0006】
(3)さらに、前記鋼板中に、Cu、Ni及びMoからなる群から選択される少なくとも1種を0.01〜1%含み、かつ前記合金化溶融亜鉛めっき層中に、Cu、Ni及びMoからなる群から選択される少なくとも1種を0.01〜0.2%含むことを特徴とする前記(1)に記載のめっき密着性及び耐食性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
【0007】
(4)さらに、前記鋼板中に、Alを0.01〜1%含むことを特徴とする前記(1)又は(3)に記載のめっき密着性及び耐食性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
【0008】
(5)さらに、前記鋼板中に、Cu、Ni及びMoからなる群から選択される少なくとも1種を0.01〜1%含むことを特徴とする前記(2)に記載のめっき密着性及び耐食性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0009】
(6)さらに、前記鋼板中に、Alを0.01〜1%含むことを特徴とする前記(2)又は(5)に記載のめっき密着性及び耐食性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
上述のように、母材中のSi、Mn量が多いほど母材は高強度であり、めっき層中のSi、Mn量が多いほどめっき層の耐食性は向上することが知られているが、母材中にSi、Mnを多く含むとめっき密着性が低下する。そこで、本発明者らは、この問題を解決するために以下の実験を行い、得られた知見から本発明を完成させるに至った。なお、軽元素であるBは、Si、Mnより拡散しやすいため、焼鈍条件にもよるが、そのめっき層中の濃化量は、母材含有量の数十倍程度になりうると推定されている。
【0011】
本発明は以下の実験事実に基づいて完成されたものである。
表2に記載の鋼種Aの組成の厚さ30mmのシートバーを1200℃で加熱し、5パスで厚さ2.0mmの熱延板とし、610℃で巻き取った。次いで、酸洗により黒皮を除去し、焼鈍炉においてこの熱延板を700〜970℃で60秒間焼鈍した後、60℃の5%HClで1〜20秒間酸洗した。その後、めっき装置にて、600〜900℃で20秒間焼鈍し、浴中Al濃度0.13%、浴温465℃の亜鉛浴中にて1秒間めっき処理した後、440〜550℃で合金化処理した。
得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板中の{Fe%}は10%であり、{Si%}は0.01〜0.8%、{Mn%}は0.1〜2.2%であった。
【0012】
ここで得られためっき鋼板のめっき密着性及び耐食性を調査した。めっき密着性は、めっき鋼板にセロファンテープを貼りテープ面を90°内に曲げ、曲げ戻しをした後テープを剥したときの単位長さ当りのめっき剥離量を蛍光X線によりZnカウント数として測定し、表1の基準に照らしてランク1、2のものを良好、3以上のものを不良として評価した。耐食性は、軟鋼板の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の塩水噴霧試験の結果における錆発生状況と比較して、錆発生面積率が同等以下であるものを良好、10%超であるものを不良として評価した。図2は、耐食性に及ぼす酸洗前後の酸化被膜厚みの影響を示した図であり、耐食性が良好であったものを○とし、不良であったものを●として示した。
これらの結果を総合して、めっき密着性及び耐食性が共に良好であったものを○とし、耐食性は良好であるが、めっき密着性が不良であったものを◎とし、めっき密着性、耐食性が共に不良であったものを●として、図1に示した。
また、図3は、めっき密着性に及ぼす合金化溶融亜鉛めっき層中のBの濃度の影響を示した図である。めっき層中のB量が6ppm以下であると、めっき密着性は表1の基準に照らしてランク1(○)であり、また、めっき層中のB量が7〜10ppmであるとランク2(△)である。一方、めっき層中のB量が10ppmを超えると、ランク3以上(×)であった。
【0013】
【0014】
得られた結果から以下の知見を得た。
1)めっき層中のSi、Mn量は、耐食性を向上させる効果がある。
2)Si、Mnの鋼材表面での濃化量は、母材含有量の数倍程度と推定されるため、めっき層中のSi、Mn量は、母材そのものの含有量から理論的に考えられる取り込み量より多めになる。
3)めっき層中のSi、Mnの量は、母材のSi、Mn量と、めっき層中の合金化後の{Fe%}に影響され、その範囲が
{Fe%}*[Si%]/10(%)≧{Si%}≧{Fe%}*[Si%]/100(%)、
{Fe%}*[Mn%]/10(%)≧{Mn%}≧{Fe%}*[Mn%]/100(%)
であれば、めっき密着性と耐食性が共に良好な範囲が存在する。
4)図2の結果から、酸洗前後の酸化被膜厚みが特定範囲内である場合に、耐食性が良好となることがわかる。
5)図3の結果から、Bはめっき密着性を劣化させることがわかり、鋼中含有量のみならずめっき層中への取り込みを極力低減すべきである。さらには、めっき密着性が劣化することにより、不めっき、ピンホールなどの地鉄裸出部が生成するため、めっき層中にSi等が取り込まれていても結果として耐食性が劣化するおそれがある。このため、めっき層中のB量は10ppm以下としなければならない。
【0015】
以上の実験により知見したことから以下の本発明を完成した。
本発明の特徴は、めっき層中の{Si%}、{Mn%}、鋼中の[Si%]、[Mn%]及びめっき層中の{Fe%}を特定範囲として、めっき密着性、耐食性及び強度を併せて満足しためっき鋼板が得られることにある。すなわち、めっき層中のSi、Mn、Bの含有量は、以下の式を満たす範囲が必要である。
{Fe%}*[Si%]/10(%)≧{Si%}≧{Fe%}*[Si%]/100(%)かつ
{Fe%}*[Mn%]/10(%)≧{Mn%}≧{Fe%}*[Mn%]/100(%)かつ
{B}(ppm)≦10(ppm)
{Si%}、{Mn%}が上記範囲より少ない場合、充分な耐食性向上を望めない。一方、{Si%}、{Mn%}が上記範囲を超える場合、耐食性は向上するが、溶融亜鉛めっき時に、めっき性が悪く、不めっきの部分は耐食性を劣化させる上、合金化後のめっき密着性を劣化させる。また、{B}が上記範囲を超える場合、めっき密着性を劣化させる。
【0016】
また、合金化度{Fe%}を限定した理由は次のとおりである。本発明のめっき層中の{Si}、{Mn}量の最適値は、合金化度と鋼中の[Si]、[Mn]量によって決定される。
合金化度:7≦{Fe%}≦15
7%未満だとζ相が多く残存するだけでなく、η相が残るため合金化が不十分となり摺動性が劣化するので、合金化度は7%以上が必要である。但し、15%を超えるとΓ相が多量に生成するためにめっき密着性が劣化し、曲げ加工部の耐食性が劣化するため、上記範囲とした。
【0017】
次に、本発明において鋼中の構成成分の含有量を限定した理由について説明する。
C量0.05〜0.25%
C量は、必要強度を得るためと所望の組織を得るために不可欠である。少なくとも0.05%が必要であるが、0.25%を超えると溶接性が悪化するため、上記範囲とした。
【0018】
Si量0.1〜1.5%
Si量は、固溶強化と所望の組織を得るために不可欠であり、延性を劣化させずに高強度化を図れる。また、Si、Mn酸化物には耐食性を向上する効果があるため、めっき直前に適正量のSi、Mn酸化物を残存させることにより、Si、Mn酸化物及び鋼中の固溶Si、Mnを供給源とし、めっき密着性を維持したまま合金層中に適正量を取り込むことにより耐食性を向上する効果が得られる。所望の効果を得るためには0.1%が必要であるが、1.5%を超えるとめっき密着性が劣化するため、上記範囲とした。
【0019】
Mn量0.5〜3.5%
Cと同様に必要強度を得るためと所望の組織を得るために0.5〜3.5%のMn量が不可欠である。また、Siと同様に耐食性を向上する効果を得るためには少なくとも0.5%に満たないと効果に乏しいが、3.5%を超えると溶接性が悪化するため、上記範囲とした。
【0020】
B量≦5ppm
Bはめっき密着性を劣化させるため、鋼中含有量のみならずめっき層中への取り込みを極力低減するべきである。さらには、めっき密着性が劣化することにより不めっき、ピンホールなどの地鉄裸出部が生成するため、めっき層中にSi等が取り込まれていても結果として耐食性が劣化するおそれがある。そのため上限を5ppmとした。
【0021】
さらに、本発明の高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の鋼中には、以下の元素を以下の量少なくとも1種類含んでもよい。その場合はさらに以下の効果を有する。
Cu量0.01〜1%
Cuはオーステナイト中に偏析し、所望の強度を得るためと所望の組織を得るために重要であるだけでなく、めっき密着性を向上する効果もある。めっき密着性が向上する理由は現時点では明らかになっていないが、これら所望の効果を得るためには、好ましくは0.01%以上含んでいると効果的である。但し、1%を超えると経済性が劣化するため上限を1%とするのが好ましい。
【0022】
Ni量0.01〜1%
NiはCuと同様オーステナイト中に偏析し、必要強度を得るためと所望の組織を得るために重要であるだけでなく、めっき密着性を向上する効果も有するので必要に応じて添加する。めっき密着性が向上する理由は現時点では明らかになっていないが、これら所望の効果を得るためには、Cuと同様0.01%以上含んでいるのが好ましい。但し、1%を超えると経済性が劣化するため上限を1%とするのが好ましい。
【0023】
Mo量0.01〜1%
Moは高価であるが、オーステナイト中に偏析し、必要強度を得るためと所望の組織を得るために重要であるだけでなく、めっき密着性を向上する効果も有する。めっき密着性が向上する理由は、Cu、Niと同様現時点では明らかになっていないが、これら所望の効果を得るためには、0.01%以上含んでいるのが好ましい。但し、1%を超えると経済性が劣化するため上限を1%とするのが好ましい。
【0024】
Al量0.01〜1%
Alは必要強度を得るためと所望の組織を得るために重要であり、結果としてSi添加量を低減できるため、同等の引っ張り強度を有するSi添加鋼よりめっき密着性の改善に有利であるので必要に応じて添加する。所望の効果を得るためには0.01%以上含有するのが好ましいが、1%を超えると経済性が劣化するため上限を1%とするのが好ましい。
【0025】
鋼中にCu、Ni及びMoからなる群から選択される少なくとも1種を含む場合には、めっき層中にCu、Ni及びMoからなる群から選択される少なくとも1種を0.01〜0.2%含むことが好ましい。
めっき層中にこれらの元素の少なくともいずれか1種が含有されると、これらの元素とFe−Zn合金層の複合効果により耐食性の向上がより効果的であるため好ましい。母材にCu、Ni、Moを含む鋼板については、安定した耐食性向上効果を得るためには、めっき層中にそれぞれ0.01%以上含まれることが好ましいが、0.2%を超えるためには鋼板母材中の含有量を増加させなければならなくなり経済性が悪化するため0.2%を上限とするのが好ましい。
また、本発明では、めっき層中の{Fe%}、{Si%}及び{Mn%}と、鋼中の[Si%]及び[Mn%]を、上記式で示すような関係とすることが必要である。
【0026】
製造方法の特徴は、Si、Mnを含む酸化被膜を一旦つくり、次に、酸洗によりB量をコントロールし、めっき層中のSi、Mn量を一定範囲とすることにある。
めっき層中のB量を低減する方法は、加熱炉での加熱後であって、連続溶融亜鉛めっき設備(CGLと表す。)炉での焼鈍前における酸洗で、Si、Mn主体の酸化皮膜を酸洗によって適正量残存して合金化後に合金層中へ取り込み、それと同時にBを除去させることであるが、BはSi、Mnより酸洗されやすいため、後述する酸洗条件によりほぼ完全に除去される。
【0027】
以下、製造条件を限定した理由について説明する。
加熱炉での加熱温度
750℃を下回ると所望の組織が得られなくなり高強度化が図れないだけでなく、Si、Mnの表面濃化が不十分となる。この工程での表面濃化が不十分であると、合金化処理での表面濃化が多すぎてかえってめっき密着性が劣化する。950℃を超えると、効果が飽和するだけでなく操業上困難であり経済性に劣る。さらには多量の表面濃化物が生成するため、酸洗により適正量まで除去することができなくなり、不めっきが発生する。そのため、加熱炉での加熱温度は750〜950℃とする。
【0028】
加熱炉での酸化皮膜(酸洗前の酸化被膜)
酸化被膜が0.01μmを下回ると、酸洗後に残存する量が減るため耐食性が劣化する。また、0.3μmを超えると酸洗が困難である。そのため、加熱炉での酸化皮膜は0.01〜0.3μmとする。ここで、酸化皮膜の量はGDS、SIMS、AESなど各種測定装置によりスパッタリング速度を調整しながら測定することにより見積もれる。
【0029】
酸洗条件
酸洗温度が60℃未満もしくは酸洗時間が1秒間未満では効果が得られにくく、酸洗温度が90℃を超えるかもしくは酸洗時間が20秒間を超えると表面が荒れ、めっき後の外観を損ねる。そのため、酸洗条件は1〜20%の濃度の酸で、酸洗温度60〜90℃、酸洗時間1〜20秒間施すこととする。酸は塩酸が経済的で好ましいが、その他の酸でも、硫酸、燐酸、硝酸など特に種類は問わない。
【0030】
酸洗後の酸化皮膜量
酸洗後の酸化被膜量が0.001μm未満では合金化後にめっき層中に取り込む量が少なくなるため耐食性向上効果が得られない。また、0.05μmを超えるとめっき密着性が劣化するだけでなく、不めっき部による耐食性の劣化が起こる。そのため、酸洗後の酸化被膜量は0.001〜0.05μmとした。
【0031】
還元加熱温度
好ましくはCGL(合金化)炉においてH2 を含む還元性雰囲気中で加熱して還元するが、加熱温度は、650℃未満では酸洗により生じた酸化皮膜が還元できず不めっきが発生する。また、850℃を超えるとCGL炉でのSi、Mnの表面濃化が多いため、同様に不めっきが発生する。そのためCGL炉での加熱温度は650〜850℃とした。
【0032】
溶融亜鉛めっき浴
めっき層の合金化後の密着性を確保するため、Al濃度が0.08%以上であることが必要である。但し、Al濃度が0.20%を超えると合金化が困難になるため上限は0.20%とした。浴温は440℃未満であるとめっき浴の浴温変動により凝固点(420℃)を下回る箇所が出てくる可能性があり、操業上安定性に欠ける。また、480℃を超えると加熱保持にかかるコストがかさむ。そのため浴温は440〜480℃とした。
【0033】
合金化温度
合金化温度が450℃未満であるとζ相が生成しやすくなり、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の摺動性に欠けるおそれがあるだけでなく、合金化に時間がかかるため生産性が劣化する。また、600℃を超えるとΓ相が生成しやすくなり、合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき密着性に欠けるおそれがある。そのため、合金化温度は450〜600℃とした。また、合金化条件によってめっき層中のFe量が決定されるため、めっき層中のFe、Si、Mn量と、母材中のSi、Mn量を上記式で示す範囲とするためには合金化条件が重要である。
【0034】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1〜9、比較例1〜8
表2に示した化学組成(C,Si,Mn,Al,P,S,Cr,Cu,Ni,Mo,Ti,Nb,B)の厚さ300mmスラブを1200℃で加熱し、熱間圧延により厚さ2.3mmの熱延板とし、620℃で巻き取った。次いで、酸洗により黒皮を除去し、冷間圧延により50%の圧下率で圧延し、連続焼鈍炉(CAL)に通板した。続いて、CGLに通板して酸洗、亜鉛めっき、合金化処理を行った。めっき付着量は片面で40g/m2 ずつであった。合金化温度は450〜600℃、合金化時間は20秒間とした。
めっき鋼板の製造条件(加熱炉での加熱温度、加熱炉生成被膜量、酸洗後残存被膜量、酸洗時間、CGL焼鈍温度、めっき浴温、浴中Al濃度、合金化温度)を表3に、得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層中のSi、Mn、B、Cu、Ni、Mo含有量、めっき外観、めっき密着性及び耐食性の調査結果を表4に示した。製造条件が本発明範囲内のものはいずれもめっき密着性、耐食性が良好であるが、本発明範囲外である比較例では、めっき密着性、耐食性のいずれかもしくは両方が劣っていた。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、めっき密着性及び耐食性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。本発明の鋼板を適用することにより、自動車車体の軽量化及び低燃費化が可能となり、ひいては地球環境の改善にも大きく貢献する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 めっき密着性及び耐食性に及ぼす合金化溶融亜鉛めっき層中のSi及びMnの濃度の影響を示した図である。
【図2】 耐食性に及ぼす酸洗前後の酸化被膜の影響を示した図である。
【図3】 めっき密着性に及ぼす合金化溶融亜鉛めっき層中のBの濃度の影響を示した図である。
Claims (6)
- C量0.05〜0.25%、Si量0.1〜1.5%、Mn量0.5〜3.5%及びB量≦5ppmを満たす鋼板上に、めっき層中のSi、Mn及びBの含有量がそれぞれ
{Fe%}*[Si%]/10(%)≧{Si%}≧{Fe%}*[Si%]/100(%)かつ
{Fe%}*[Mn%]/10(%)≧{Mn%}≧{Fe%}*[Mn%]/100(%)かつ
{B}(ppm)≦10(ppm)を満たし、かつ
合金化度が7(%)≦{Fe%}≦15(%)を満たす合金化溶融亜鉛めっき層を有することを特徴とするめっき密着性及び耐食性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。但し、{ }はめっき層中の含有量、[ ]は鋼中の含有量、%は、以下、特に断らない限り質量%を表す。 - C量0.05〜0.25%、Si量0.1〜1.5%、Mn量0.5〜3.5%及びB量≦5ppmを満たす鋼板を、加熱炉で750〜950℃に加熱し、Si及びMnを含む厚さ0.01〜0.3μmの酸化皮膜を生成させた後、60〜90℃、1〜20%の濃度の酸で1〜20秒間酸洗を施し、酸化被膜が0.001〜0.05μmになるまで除去した後、650〜850℃で焼鈍後、Al濃度が0.08〜0.20%である440〜480℃の亜鉛浴中にて溶融亜鉛めっきを施し、引き続き450〜600℃で合金化度が7(%)≦{Fe%}≦15(%)となるように合金化処理を施すことを特徴とするめっき密着性及び耐食性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- さらに、前記鋼板中に、Cu、Ni及びMoからなる群から選択される少なくとも1種を0.01〜1%含み、かつ前記合金化溶融亜鉛めっき層中に、Cu、Ni及びMoからなる群から選択される少なくとも1種を0.01〜0.2%含むことを特徴とする請求項1に記載のめっき密着性及び耐食性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
- さらに、前記鋼板中に、Alを0.01〜1%含むことを特徴とする請求項1又は3に記載のめっき密着性及び耐食性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
- さらに、前記鋼板中に、Cu、Ni及びMoからなる群から選択される少なくとも1種を0.01〜1%含むことを特徴とする請求項2に記載のめっき密着性及び耐食性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- さらに、前記鋼板中に、Alを0.01〜1%含むことを特徴とする請求項2又は5に記載のめっき密着性及び耐食性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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