JP4696830B2 - 偏波無依存型光アイソレータ - Google Patents

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本発明は、楔型楔型複屈折結晶板を用いた偏波無依存型光アイソレータに関するものであり、さらに詳述すれば磁性ガーネット単結晶をファラデー回転子とし、ファラデー回転子の光吸収に起因する温度上昇により特性劣化や破損の防止を考慮した偏波無依存型光アイソレータに関するものである。
光アイソレータは、順方向への光信号を通過させ、逆方向からの光信号の通過を防ぐ機能を持つ非可逆光デバイスであり、例えば半導体レーザを光源とする光通信システムにおいて光信号が反射によって光源側に戻り、半導体レーザの発振が不安定となることを防止するために用いられている。
光アイソレータは、半導体レーザモジュールに使用されるような偏波依存型光アイソレータ(以下、「PDOI」と略記する)と、光ファイバアンプの前後で用いられるような偏波無依存型光アイソレータ(以下、「PIOI」と略記する)に大きく分けられる。偏波無依存型光アイソレータでは、通常は偏光子にルチル、YVO、LiNbOなどの楔形の複屈折結晶板を使用し、2枚の楔形複屈折結晶板の間に、ファラデー回転子として磁性ガーネット単結晶からなる平板を配置している。ここで、ファラデー回転子は偏光を45度回転させるように調整されており、2枚の楔形複屈折結晶板は、それらの光学軸の方位が互いに45度ずらして配置されている。なお、偏光子およびファラデー回転子から構成される光学素子部分を非相反部と呼ぶ。
順方向において入射側からの平行入力光は、非相反部の第1の楔形複屈折結晶板によって常光と異常光に分離するが、ファラデー回転子により偏光が45度回転させられ、且つ第2の楔形複屈折結晶板の光学軸が第1の楔形複屈折結晶板と45度ずれているため、常光は常光として、異常光は異常光として入射され、それぞれ平行光として第2の楔形複屈折結晶板から出射され光結合される。
逆方向からの光は、第2の楔型複屈折結晶板にて常光と異常光に分離され、ファラデー回転子にて45度回転された後は、第1の楔形複屈折結晶板には常光は異常光として、異常光は常光として入射されるため第1の楔形複屈折結晶板を出た光は平行光にはならず、光結合されない。このようにして光アイソレータとして機能する。
前記磁性ガーネット単結晶は、近赤外波長域、特に光通信で用いられる波長域(1.3μm〜1.6μm)においては優れた光学的透明性を示し、数10mW程度であれば光の吸収に起因する温度上昇も少なく問題は殆ど無い。
しかしながら、上記波長域よりも短波長域、特にYAGレーザの波長(1.06μm)や光ファイバ増幅器の励起光の波長(1μm前後)では、光の吸収が大きくなり数mWのレーザパワーにおいても無視できない温度上昇となる。
上記波長域(1μm前後)の光アイソレータに用いられるファラデー回転子としては、常磁性単結晶あるいは常磁性ガラスがあるが、それらを用いるとファラデー回転子の大きさ自体が大きくなるばかりか、前記ファラデー回転子を磁気飽和させるためには大きなマグネットが必要となり、光アイソレータが巨大化してしまう。また、1μm帯での光アイソレータには、高出力に耐えられることが要求され始めている。
耐高出力性の光アイソレータとしては、特許文献1においてガーネット単結晶を引き上げる際に使用する非磁性ガーネット基板を残し、他方にも非磁性ガーネット基板を接触、又は接着させて熱伝導性を良くすることによって対処することが開示されている。また、特許文献2によれば、ファラデー回転子の少なくとも1面上に光透過性のサファイア単結晶板のC軸を前記ファラデー回転子の光学面に対し垂直となるように接触・接合させ、ファラデー回転子の温度上昇を抑える方法が開示されている。
特開平7−281129号公報 特開2005−43853号公報
しかしながら、特許文献1に記載された磁性ガーネット単結晶からなるファラデー回転子の両側面に非磁性ガーネット基板を接触、又は接着させる方法においては、入射できる光のパワーに限界があり、高出力のレーザを入射した場合には、吸収による温度上昇を抑えきることができない。
また、特許文献2に記載されたサファイア単結晶板のC軸をファラデー回転子の光学面に対し垂直に接触・接合させた方法は、サファイア単結晶が複屈折性結晶であるが故に、特許文献2に記載されているPDOIに使用する場合はさほど大きな問題とはならないが、PIOIに使用する場合はサファイア単結晶板において消光比の劣化という問題が生じてくる。
C軸に沿って光が入射した場合には、サファイア単結晶板面内の屈折率は等価であり、消光比は−55dB以上得られるはずであるが、入射角が8度以上になれば、入射偏光の状態によっては−20dB程度まで落ちてしまう場合がある。偏光子に楔形複屈折結晶板を用いたPIOIにおいては、2枚の楔型複屈折結晶板間の光は、楔角によっても異なるが、楔型複屈折結晶板に楔角が8度のルチル結晶を用いると約10度程度傾くため、消光比が−20dB以下に劣化し、光アイソレータとしての性能、特にアイソレーションを劣化させてしまう。
なお、サファイア単結晶板の向きを回転させて、傾斜した光をサファイア単結晶板へ垂直に入射させれば、C軸に沿って光が入射することになるため消光比の劣化は無くなるが、垂直な入射面で反射した光は入射経路を辿り光源側へ戻っていくことになる。光学結晶の表面には反射防止膜が施されるが、透過率を100%にすることはできないため、上記のようなサファイア単結晶板を回転させる手法により消光比の劣化を防止することは、そもそも反射戻り光を遮断するという光アイソレータの機能を損なうため採用することはできない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされてものであり、その目的は高出力の光が入射されても、ファラデー回転子の温度上昇を抑えることが可能であり、アイソレーションの低下を起こさない非相反部を有する偏波無依存型光アイソレータを提供することである。
上記課題を解決するため本発明に係る偏波無依存型光アイソレータは、2枚の楔形複屈折結晶板の間に配置した磁性ガーネット単結晶の光透過面にサファイア単結晶板を接触させた偏波無依存型光アイソレータにおいて、入射側の楔型複屈折結晶板のC 軸と磁性ガーネット単結晶の入射側に接触させたサファイア単結晶板のC軸の向きを一致させるとともに、出射側の楔型楔型複屈折結晶板のC軸と磁性ガーネット単結晶の出射側に接触させたサファイア単結晶板のC軸の向きを一致させ、且つ、いずれのサファイア単結晶板のC軸が、その光透過面内にあることを特徴とするものである。
また、本発明においては、入射側の楔型複屈折結晶板のC軸と磁性ガーネット単結晶の入射側に接触させたサファイア単結晶板のC軸の向き、および出射側の楔型楔型複屈折結晶板のC軸と磁性ガーネット単結晶の出射側に接触させたサファイア単結晶板のC軸の向きのずれが1度以内であることを特徴とし、さらに、本発明では磁性ガーネット単結晶とサファイア単結晶板が接着剤にて接合されていることを特徴とする。
本発明により、高出力の光が入射されても、ファラデー回転子の温度上昇を抑えることが可能であり、消光比劣化を起こさない非相反部を有する偏波無依存型光アイソレータを提供することが可能となる。
本発明の実施の形態に係る偏波無依存型光アイソレータにおける非相反部の構成の概略を図1に示す。光の透過方向順に、第1の楔形複屈折結晶板1、第1のサファイア単結晶板2、磁性ガーネット単結晶3、第2のサファイア単結晶板4、第2の楔型複屈折結晶板5の順に配置している。図2は、本発明の実施の形態における光の進行状態を示している。光ファイバ6から出射した順方向の光はレンズ7を介して非相反部に入射する。非相反部への入射光は、第1の楔形複屈折結晶板1によって常光と異常光に分離され、第1のサファイア単結晶板2に入射する。第1のサファイア単結晶板2を通過した光は、磁性ガーネット単結晶3によって偏光面が45度回転させられた後、第2のサファイア単結晶板4を通過し、第2の楔型複屈折結晶板5に入射する。
ここで、本発明では、第1の楔型複屈折結晶板1のC軸と第1のサファイア単結晶板2のC軸の向き、および第2の楔型複屈折結晶板5のC軸と第2のサファイア単結晶板4のC軸の向きがそれぞれ一致しているため、第1の楔型複屈折結晶板1によって分離された常光は第2の楔型複屈折結晶板5においても常光として、第1の楔型複屈折結晶板1によって分離された異常光は第2の楔型複屈折結晶板5においても異常光として入射することになる。そのため、第2の楔型複屈折結晶板5から出射される常光と異常光は平行光となり、レンズ7’により出射側の光ファイバ6’へ結合させることができる。
出射側の光ファイバ6’から戻ってきた逆方向の光は、レンズを通り、第2の楔型複屈折結晶板5において常光と異常光に分離し、磁性ガーネット単結晶の非可逆性により45度回転される。そして、順方向の場合と同様に、第1の楔型楔型複屈折結晶板1のC軸と第1のサファイア単結晶板2のC軸の向き、および第2の楔型複屈折結晶板5のC軸と第2のサファイア単結晶板4のC軸の向きがそれぞれ一致しているため、第2の楔型複屈折結晶板5における常光は第1の楔型複屈折結晶板1では異常光として、第2の楔型複屈折結晶板5における異常光は第1の楔型複屈折結晶板1では常光として入射することになる。そのため、第1の楔型複屈折結晶板1から出射された光は平行光とはならず、入射側の光ファイバ6へ光結合されることはなく、高いアイソレーションが維持される。
また、楔型複屈折結晶板のC軸とサファイア単結晶板のC軸のずれについては、1度以下が望ましい。サファイア単結晶板自体も楔型複屈折結晶板であるため、楔型複屈折結晶板から出射される光がサファイア単結晶板の結晶軸に沿って入射されなければ、消光比が悪くなり、アイソレーションの劣化につながる。図3は楔型複屈折結晶板のC軸とサファイア単結晶板のC軸がずれたことによる消光比の変化の表したものであるが、1度を超えてずれると消光比は30数dBまで落ち、2度ずれると30dBを割り込んでしまう。さらに、サファイア単結晶板とファラデー回転子は、好ましくは低粘度の接着剤にて接合し、接合部の厚みを10μm未満に抑えて接合することにより、ファラデー回転子で発生した熱をサファイア単結晶板により伝えやすくなるため、密着配置と比べ、より高出力の光に耐えられることが可能となり、好ましい。
磁性ガーネット単結晶は、液相エピタキシャル法で育成したもので、ファラデー回転角が45度となるように研磨により厚みが調整されている。楔型複屈折結晶板としては、楔角が8度のルチル単結晶を用いた。ルチル単結晶はYAGレーザの波長(1.06μm)の光に対し、常光の屈折率n=2.480と異常光の屈折率n=2.742を有する。そのため、第1および第2の楔型複屈折結晶板の間の光の経路は、約13度程度傾いている。また、サファイア単結晶板は厚みが0.5mmの平行平板とし、光透過面内にC軸がある。
上記の各単結晶板を、図1に示すように第1の楔型複屈折結晶板、第1のサファイア単結晶板、磁性ガーネット単結晶、第2のサファイア単結晶板、第2の楔型複屈折結晶板の順に配置し、PIOIを構成した。第1および第2の楔型複屈折結晶板の傾斜面は、それぞれ磁性ガーネット単結晶とは反対側を向いており、傾斜面同士が平行になるように配置した。なお、図1には記されていないが、磁性ガーネット単結晶の外側には、それぞれの結晶を保持するためのホルダ、及び、磁性ガーネット単結晶を磁気的に飽和させるための磁石が配置されている。また、これらの各単結晶板の光透過面には、使用波長に対する反射防止膜を施してある。
楔型複屈折結晶板のC軸の位置は、入射方向から見て、第1の楔型複屈折結晶板はY方向から反時計回りに22.5度、第2の楔型複屈折結晶板はY方向から時計回りに22.5度傾いている。そのため互いのC軸の位置は45度ずれた状態である。また、2枚のサファイア単結晶板のC軸は、第1のサファイア単結晶板のC軸は第1の楔型複屈折結晶板のC軸に合わせ、第2のサファイア単結晶板のC軸は第2の楔型複屈折結晶板のC軸に合わせてあり、接着剤にて磁性ガーネット単結晶を挟むように接着した。
このように製作した偏波無依存型の光アイソレータに300mWのYAGレーザ光を入射し、特性を評価したところ、温度に関しては楔形複屈折結晶板には、光の吸収がほとんどないため温度上昇がほとんど無かった。また、磁性ガーネット単結晶についても、密着されたサファイア単結晶板の熱伝導率が高いため、放熱され、温度上昇を特性に影響のない範囲に抑えることができた。そして、相対する楔型複屈折結晶板とサファイア単結晶板のC軸が一致しているため、40dBのアイソレーションを得ることができた。
本発明によれば、高出力の光が入射されても、ファラデー回転子の温度上昇を抑えることができ、光アイソレーション機能の低下の少ない偏波無依存型光アイソレータを提供することができるので、光通信システムなどに大いに利用することができる。
本発明における非相反部の構成の概略斜視図である。 本発明における光の進行状況を表す図である。 楔型複屈折結晶板のC軸とサファイア単結晶板のC軸がずれたことによる消光比変化を示す図である。
符号の説明
1 第1の楔型複屈折結晶板
2 第1のサファイア単結晶板
3 磁性ガーネット単結晶
4 第2のサファイア単結晶板
5 第2の楔型複屈折結晶板
6、6’ 光ファイバ
7、7’ レンズ

Claims (3)

  1. 2枚の楔形複屈折結晶板の間に配置した磁性ガーネット単結晶の光透過面にサファイア単結晶板を接触させた偏波無依存型光アイソレータにおいて、
    入射側の楔型複屈折結晶板のC軸と磁性ガーネット単結晶の入射側に接触させたサファイア単結晶板のC軸の向きを一致させるとともに、
    出射側の楔型複屈折結晶板のC軸と磁性ガーネット単結晶の出射側に接触させたサファイア単結晶板のC軸の向きを一致させ、
    且つ、前記いずれのサファイア単結晶板のC軸が、光透過面内にあることを特徴とする偏波無依存型光アイソレータ。
  2. 入射側の楔型複屈折結晶板のC軸と磁性ガーネット単結晶の入射側に接触させたサファイア単結晶板のC軸の向き、および出射側の楔型複屈折結晶のC軸と磁性ガーネット単結晶の出射側に接触させたサファイア単結晶板のC軸の向きのずれが、1度以内であることを特徴とする請求項1に記載の偏波無依存型光アイソレータ。
  3. 磁性ガーネット単結晶とサファイア単結晶板が接着剤にて接合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の偏波無依存型光アイソレータ。
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