以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態であるダイヤフラム弁を示す断面図であり、このダイヤフラム弁1は外観が全体的にほぼ直方体形状のハウジング本体2を有しており、ハウジング本体2はフッ素樹脂等の耐薬液性に優れた硬質樹脂により形成されている。ハウジング本体2の一端には円形状に凹む大径凹部3が設けられており、大径凹部3の底面には大径凹部3にほぼ同心状となって凹む円形状の小径凹部4が設けられており、大径凹部3と小径凹部4とにより図1に示すように長手方向に沿って内径が階段状に変化する負圧ダイヤフラム装着部5が構成されている。ハウジング本体2の他端には、このような負圧ダイヤフラム装着部5と同形状の正圧ダイヤフラム装着部6が負圧ダイヤフラム装着部5とほぼ同軸状となって設けられている。
ハウジング本体2の内部にはその中央部に長手方向に沿ってほぼ真っ直ぐに伸び上述の小径凹部4,7のそれぞれに開口する流体案内通路8が形成されており、流体案内通路8の一端部にはハウジング本体2の一端面に開口する負圧側開口部9が設けられ、流体案内通路8の他端部にはハウジング本体2の他端面に開口する正圧側開口部10が設けられている。図1に示す場合においては、流体案内通路8には図中上側に配置される小径凹部4の底面に開口する負圧側開口部9と、図中下側に配置される小径凹部7の底面に開口する正圧側開口部10とが設けられている。負圧側開口部9と正圧側開口部10のそれぞれには小径凹部4,7の底面から突出する弁座11,12が形成されている。
ハウジング本体2には一側面に開口する接続ポート13が形成されており、流体案内通路8は接続ポート13を介してハウジング本体2の外部に連通している。図1に示す場合においては、接続ポート13は図中左側に配置される側面に開口するとともに、上述の流体案内通路8の長手方向略中央部に連通している。ハウジング本体2には真空ポート14と正圧ポート15とが形成されており、図1に示す場合においては、真空ポート14と正圧ポート15とは接続ポート13が開口する一側面の反対側側面、つまり図中右側に配置される側面に長手方向に隣り合って開口している。
ハウジング本体2の内部には長手方向に沿って伸びる真空案内通路16が形成されており、真空案内通路16はハウジング本体2の一端面に開口する開口部17を有している。上述の真空ポート14は真空案内通路16に連通しており、図1に示す場合においては、真空案内通路16は流体案内通路8に平行して上方に向けて伸び、負圧側開口部9に径方向に隣り合って配置される開口部17を介して小径凹部4の底面に開口している。真空ポート14には図示しない負圧源が接続されており、真空案内通路16には真空ポート14を介して負圧空気が供給されるようになっている。なお、図1において真空ポート14の近傍に示される矢印は真空ポート14内での空気の流れ方向を示すものである。
ハウジング本体2の内部には長手方向に沿って伸びる正圧案内通路18が形成されており、正圧案内通路18はハウジング本体2の他端面に開口する開口部19を有している。上述の正圧ポート15は正圧案内通路18に連通しており、図1に示す場合においては、正圧案内通路18は流体案内通路8に平行して下方に向けて伸び、正圧側開口部10に径方向に隣り合って配置される開口部19を介して小径凹部7の底面に開口している。正圧案内通路18には正圧ポート15を介して正圧流体としての加圧された液体や気体が供給されるようになっている。なお、図1において正圧ポート15の近傍に示される矢印は正圧ポート15内での流体の流れ方向を示すものである。
このようなハウジング本体2には負圧側開口部9の弁座を開閉する弁体としての負圧ダイヤフラム弁20が装着されている。負圧ダイヤフラム弁20は負圧側開口部9にほぼ同軸状となって配置される弁体部20aと、大径凹部3に嵌め込まれることによりハウジング本体2に取り付けられる外周部20bと、弁体部20aと外周部20bとの間に設けられ開閉時に弾性変形するダイヤフラム部20cとにより形成されている。この負圧ダイヤフラム弁20とハウジング本体2とにより、流体案内通路8の負圧側開口部9と真空案内通路16の開口部17とに連通する負圧弁室21が形成されている。
さらに、ハウジング本体2には正圧側開口部10の弁座を開閉する弁体としての正圧ダイヤフラム弁22が装着されている。正圧ダイヤフラム弁22は正圧側開口部10にほぼ同軸状となって配置される弁体部22aと、大径凹部23に嵌め込まれることによりハウジング本体2に取り付けられる外周部22bと、弁体部22aと外周部22bとの間に設けられ開閉時に弾性変形するダイヤフラム部22cとにより形成されている。この正圧ダイヤフラム弁22とハウジング本体2とにより、流体案内通路8の正圧側開口部10と正圧案内通路18の開口部17とに連通する正圧弁室24が形成されている。
このように、ハウジング本体2は負圧ダイヤフラム弁20と正圧ダイヤフラム弁22とを有しており、ハウジング本体2の中央部にほぼ真っ直ぐに形成される流体案内通路8の一端部側に装着される負圧ダイヤフラム弁20と他端部側に装着される正圧ダイヤフラム弁22は、相互に対向してハウジング本体2に装着されている。負圧ダイヤフラム弁20および正圧ダイヤフラム弁22のそれぞれはフッ素樹脂等の耐薬液性に優れた硬質樹脂として、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)により形成されている。硬質樹脂は弾性係数が高く弾性変形しにくい性質を有することから、負圧ダイヤフラム弁20および正圧ダイヤフラム弁22のそれぞれのダイヤフラム部20c,22cには所定の方向に湾曲した湾曲部20d,22dが形成されており、これらの湾曲部20d,22dが開閉時に弾性変形することにより弁座に対する弁体の開閉ストロークが確保されるようになっている。
このようなダイヤフラム弁1においては、負圧ダイヤフラム弁20の弁体部20aが弁座11から離れることによって真空案内通路16と流体案内通路8とが負圧弁室21を介して連通し、弁体部20aが弁座11に当接することによって連通状態が遮断されるようになっている。また、正圧ダイヤフラム弁22の弁体部22aが弁座12から離れることによって正圧案内通路18と流体案内通路8とが正圧弁室24を介して連通し、弁体部22aが弁座12に当接することによって連通状態が遮断されるようになっている。上述の通り、負圧ダイヤフラム弁20および正圧ダイヤフラム弁22のそれぞれには湾曲部20d,22dが形成されているので、小さな操作力によっても弁座11,12から弁体部20a,22aを弁座11,12から十分に引き離すことができるようになっている。
負圧ダイヤフラム弁20を開閉駆動するために、負圧ダイヤフラム弁20を開閉駆動する負圧側アクチュエータ25が組み込まれた負圧側駆動ブロック26がハウジング本体2に取り付けられている。負圧側駆動ブロック26はハウジング本体2に取り付けられ負圧側アクチュエータ25を往復動自在に収容する駆動ブロック本体27と、駆動ブロック本体27の一端部に取り付けられるブロックカバー28とにより構成されている。
駆動ブロック本体27は大径凹部3に嵌め込まれる負圧ダイヤフラム弁20の外周部20bをハウジング本体2とにより挟み込むようにして取り付けられており、これにより、負圧ダイヤフラム弁20の外周部20bはハウジング本体2に対して確実に固定されている。駆動ブロック本体27の内部は長手方向に貫通しており、駆動ブロック本体27の内周面は負圧側アクチュエータ25を往復動自在に支持するガイド面27aとなっている。負圧側アクチュエータ25の先端部には弁体部20aがねじ結合されており、負圧側アクチュエータ25がガイド面27aに沿って往復動自在に摺動移動することにより、弁体部20aが弁座11に当接する位置と引き離される位置とに移動するようになっている。
ブロックカバー28には駆動ブロック本体27のガイド面27aに沿って伸びるストッパ部28aが設けられており、弁体部20aを弁座11から引き離す方向つまり開方向に移動する負圧側アクチュエータ25の基端部25aがストッパ部28aに接触することによって、負圧側アクチュエータ25の開方向への移動が制限されるようになっている。ブロックカバー28と負圧側アクチュエータ25との間には圧縮コイルばね29が組み込まれており、圧縮コイルばね29のばね力により負圧側アクチュエータ25は弁体部20aを弁座11に接触させる方向つまり閉方向に常時付勢されており、図1に示す場合においては、弁体部20aは圧縮コイルばね29のばね力により弁座11に接触しており、いわゆるノーマルクローズ型の開閉弁を構成している。
このような負圧側アクチュエータ25を開方向に移動させるために、駆動ブロック本体27と負圧側アクチュエータ25とにより圧力室30が区画形成されるとともに、駆動ブロック本体27には圧力室30に連通する給気ポート31が形成されている。この給気ポート31には図示しない正圧源が開閉バルブを介して接続されており、正圧源から給気ポート31を介して圧力室30内に正圧空気を供給することによって、負圧側アクチュエータ25を開方向に押圧することができる。つまり、本実施の形態における負圧側アクチュエータ25は流体により駆動されるようになっており、押圧された負圧側アクチュエータ25はその基端部25aがストッパ部28aに接触する位置まで移動して負圧側開口部9を開くようになっている。なお、駆動ブロック本体27には負圧ダイヤフラム弁20と負圧側アクチュエータ25との間の空間と外部とを連通する息つぎポート31aが形成されている。
正圧ダイヤフラム弁22を開閉駆動するために、ハウジング本体2には正圧ダイヤフラム弁22を開閉駆動する正圧側アクチュエータ32が組み込まれた正圧側駆動ブロック33が取り付けられている。正圧側駆動ブロック33はハウジング本体2に取り付けられ正圧側アクチュエータ32を往復動自在に収容する駆動ブロック本体34と、駆動ブロック本体34の一端部に取り付けられるブロックカバー35とにより構成されている。なお、正圧側アクチュエータ32および正圧側駆動ブロック33のそれぞれは、負圧ダイヤフラム弁20を開閉駆動するための上述の負圧側アクチュエータ25および負圧側駆動ブロック26のそれぞれと図1に示すように同一の構造を有することから、重複した説明は省略する。
負圧ダイヤフラム弁20と同様に、正圧ダイヤフラム弁22の開閉駆動も正圧側アクチュエータ32を流体により駆動することにより行う。すなわち、給気ポート36を介して圧力室37内に正圧空気を供給することにより、正圧側アクチュエータ32をストッパ部35aに接触する位置まで開方向に移動させることにより正圧側開口部10を開く。そして、給気ポート36への正圧空気の供給を停止してばね力の付勢力により正圧側アクチュエータ32を閉方向に移動させることにより、正圧側開口部10を閉じる。なお、36aは息つぎポートである。
本発明のダイヤフラム弁1においては、負圧ダイヤフラム弁20の湾曲部20dは真空案内通路16側に向けて突出した状態で形成されており、負圧空気が作用する側が凸面となるように負圧ダイヤフラム弁20が配置されている。そのため、真空案内通路16に供給され負圧弁室21に案内された負圧空気の負圧力が湾曲部20dに作用しても、負圧ダイヤフラム弁20の湾曲部20dは突出した方向に引っ張られるのみであることから、負圧ダイヤフラム弁20のダイヤフラム部20cの凹凸関係が逆転するように変形することがない。
一方、本発明のダイヤフラム弁1においては、正圧ダイヤフラム弁22の湾曲部22dは正圧案内通路18側から離れる方向に突出した状態で形成されており、正圧空気が作用する側が凹面となるように正圧ダイヤフラム弁22が配置されている。そのため、正圧案内通路18に供給され正圧弁室24に流れ込んだ正圧流体の正圧力が湾曲部22dに作用しても、正圧ダイヤフラム弁22の湾曲部22dは突出した方向に押し込まれるのみであることから、正圧ダイヤフラム弁22のダイヤフラム部22cの凹凸関係が逆転するように変形することがない。
従来、負圧空気を供給する真空案内通路を開閉する流路開閉弁として、負圧が作用する側が凹面となるように弁体としてのダイヤフラムが配置されたダイヤフラム弁が用いられることがあり、真空案内通路内に案内された負圧空気の負圧力が作用することによってダイヤフラムの凹凸関係が逆転するように変形することがあった。
しかしながら、本発明によれば、負圧ダイヤフラム弁20および正圧ダイヤフラム弁22は、それぞれのダイヤフラム部20c,22cに作用する流体圧の影響を予め考慮して、負圧ダイヤフラム弁20であれば湾曲部20dが真空案内通路16側に向けて突出するように配置され、正圧ダイヤフラム弁22であれば湾曲部22dが正圧案内通路18側から離れる方向に突出するように配置されている。これにより、本発明のダイヤフラム弁1は、ダイヤフラム部20c,22cの凹凸関係を逆転させることなく安定した状態で使用することができ、ダイヤフラム弁1の耐久性を著しく向上させることが可能となる。これに加えて、ダイヤフラム部20c,22cの凹凸関係が逆転することによる負圧弁室21および正圧弁室24の体積変化がないことから、ダイヤフラム弁1内の流体案内通路8と、接続ポート13から外部へ供給される負圧空気量および正圧流体量を正確に管理することができるとともに、その管理も容易に行うことができる。
図2〜図4および図5(A)は図1に示すダイヤフラム弁の適用例を示す図である。図1に示すダイヤフラム弁1は様々な用途に用いることができる。なお、図2〜図4および図5(A)においては、薬液および空気の流れる方向が矢印により示されている。
図2は図1に示すダイヤフラム弁を薬液供給装置に適用した例を示す図である。図2に示す薬液タンク38は薬液Lを一時的に貯留するための流体貯留槽であり、薬液タンク38には薬液タンク38に薬液Lを供給するための流体案内管39と、薬液タンク38内に貯留された薬液Lを下流側に圧送するためのポンプ40が設けられた供給管41とが接続されている。
薬液タンク38内には、図2に示すように、気泡Bが発生することがあり、この気泡Bを薬液タンク38の外部に排出させるために、上述の流体案内管39には薬液Lを案内するための正圧配管42に加えて、負圧源に接続される負圧配管43が接続されている。これにより、流体案内管39には正圧配管42により供給される正圧流体としての薬液Lと、負圧配管43により供給される負圧空気とが選択的に案内されるようになっている。薬液タンク38内に負圧空気が供給された場合には、薬液タンク38内の気泡Bは流体案内管39および負圧配管43を介して外部に排出されることになる。
従来、薬液タンク内の気泡を外部に排出させるために、薬液を供給する正圧配管と気泡を排出する負圧配管とを別系統として薬液タンクに接続することがあった。この場合には、正圧配管と負圧配管という別系統の経路を形成するために薬液タンクの周囲に多くの配管を這い回す必要が生じ、その組み立てを容易に行うことができないのみならず、保守点検作業を容易に行うことができなくなるという問題点があった。しかしながら、図2に示す場合においては、薬液タンク38に共通の通路としての流体案内管39を接続し、ダイヤフラム弁1を介して負圧配管43と正圧配管42とを接続することにより、薬液タンク38への配管を1系統減らすことができる。
流体案内管39に対して薬液Lと負圧空気とを選択的に案内するために、流体案内管39がダイヤフラム弁1の接続ポート13に接続されるとともに、負圧配管43が真空ポート14に接続され、正圧配管42が正圧ポート15に接続されている。そして、ダイヤフラム弁1の給気ポート31,36のいずれかに選択的に正圧空気を供給して、ダイヤフラム弁1の負圧ダイヤフラム弁20と正圧ダイヤフラム弁22を選択的に開くことにより、流体案内管39に対して薬液Lまたは負圧空気のいずれかを選択的に案内し得るようになっている。
従来、流体案内管に対して正圧流体と負圧空気とを選択的に案内するために、負圧配管と正圧配管のそれぞれの通路に個々に流路開閉弁を設けていた。図2に示すように、流体案内管39に対して負圧配管43と正圧配管42とをダイヤフラム弁1を介して接続することにより薬液タンク38の周りの配管を1系統減らすという手段を採用する場合においても、従来は負圧配管43と正圧配管42のそれぞれに個々に流路開閉弁を設けるようにしていた。この場合には、薬液タンク38の周りの限られたスペースに多くの流路開閉弁が配置されることになり、その組み立てを容易に行うことができないのみならず、保守点検作業を容易に行うことができなくなるという問題点があった。
しかしながら、本発明によれば、負圧配管43と正圧配管42とのいずれかを1つのダイヤフラム弁1により開閉し得ることから、流路開閉弁の配置個数を少なくすることができ、その組み立てを容易に行うことができるとともに、保守点検作業も容易である。これに加えて、上述の通り、耐久性を向上させた本発明のダイヤフラム弁1を用いることにより、流路開閉弁に対する信頼性を高めることができる。
図3は図1に示すダイヤフラム弁をワーク洗浄装置に適用した例を示す図である。図3に示す薬液タンク44は薬液LによるワークWの洗浄を行うための洗浄槽であり、薬液タンク44内には超音波振動子45が装着されている。超音波振動子45により発生させられる超音波により薬液Lを振動させることにより、薬液タンク44内に収容されたワークWを洗浄することができる。薬液タンク44には薬液タンク44に薬液Lを供給するための流体案内管46が接続されるとともに、洗浄後の薬液Lを外部に排出するための排水管47が接続されている。排水管47には開閉バルブ48が設けられるとともに、その吸引力により薬液Lを排水管47に案内するためのポンプ49が設けられている。
このような、薬液タンク44を用いてワークWを洗浄した後、排水管47を通じて薬液Lを排出するとともに、薬液タンク44内に残った薬液Lを乾燥させるために、薬液タンク44内に負圧空気を供給して真空乾燥を行う場合がある。図3に示す場合には、流体案内管46には薬液タンク44内に薬液Lを案内するための正圧配管50に加えて、負圧空気を案内するための負圧配管51が接続されている。そして、流体案内管46に対して薬液Lと負圧空気とを選択的に案内するために、流体案内管46がダイヤフラム弁1の接続ポート13に接続され、負圧配管51が真空ポート14に接続され、正圧配管50が正圧ポート15に接続されるようになっている。これにより、ダイヤフラム弁1の給気ポート31,36のいずれかに選択的に正圧空気を供給することによって、負圧ダイヤフラム弁20と正圧ダイヤフラム弁22を選択的に開閉駆動して、流体案内管46に対して薬液Lと負圧空気のいずれかを選択的に案内し得るようになっている。
従来、薬液タンク内に真空乾燥用の負圧空気を供給するために、薬液を供給する正圧案内通路と負圧空気を案内する真空案内通路とを別系統として薬液タンクに接続することがあった。また、薬液タンクに対して薬液と負圧空気とを選択的に案内するために、真空案内管と正圧案内管のそれぞれの通路に個々に流路開閉弁を設けることがあった。このような従来の方法によると、薬液タンクの周りの限られたスペースに多くの配管や流路開閉弁が配置されることになり、その組み立てを容易に行うことができないのみならず、保守点検作業を容易に行うことができなくなるという問題点があった。
しかしながら、図3に示すように、流体案内管46に対して負圧配管51と正圧配管50とを接続することにより薬液タンク44への配管を1系統減らすことが可能となる。更に、負圧配管51と正圧配管50との両方を1つのダイヤフラム弁1により開閉し得ることから、流路開閉弁の配置個数を少なくすることができる。これにより、組み立て作業および保守点検作業を容易に行うことができるとともに、耐久性を向上させた本発明のダイヤフラム弁1を用いることにより、流路開閉弁に対する信頼性を高めることができる。
図4は図1に示すダイヤフラム弁をインク液充填装置に適用した例を示す図である。図4にはインク式のプリンターに装備されるインク容器52が示されており、このインク容器52にインク液を充填するために、インク容器52には供給ポート53が設けられており、この供給ポート53にはインク液を案内するための流体案内管54が接続されている。インク容器52に対するインク液の充填速度を向上させるために、インク容器52内を真空状態にした後、インク液を供給することがある。
図4に示す場合においては、インク容器52内にインク液を案内するための正圧配管55に加えて、負圧空気を案内するための負圧配管56が接続されている。そして、流体案内管54に対してインク液と負圧空気とを選択的に案内するために、流体案内管54がダイヤフラム弁1の接続ポート13に接続され、負圧配管56が真空ポート14に接続され、正圧配管55が正圧ポート15に接続されるようになっている。これにより、ダイヤフラム弁1の給気ポート31,36のいずれかに選択的に正圧空気を供給することによって、負圧ダイヤフラム弁20と正圧ダイヤフラム弁22を選択的に開閉駆動して、流体案内管54に対してインク液と負圧空気のいずれかを選択的に案内し得るようになっている。
従来、インク容器内にインク液を吸引するための負圧空気を供給するために、インク容器にインク液充填用のポートと負圧空気供給用のポートとを設けるとともに、インク液を供給する正圧案内通路と負圧空気を案内する真空案内通路とを別系統としてインク容器のそれぞれのポートに接続することがあった。また、インク容器に対してインク液と負圧空気とを選択的に案内するために、真空案内通路と正圧案内通路のそれぞれの通路に個々に流路開閉弁を設けることがあった。このような従来の方法によると、インク容器の周りの限られたスペースに多くの配管や流路開閉弁が配置されることになり、その組み立てを容易に行うことができないのみならず、保守点検作業を容易に行うことができなくなるという問題点があった。
しかしながら、図4に示すように、流体案内管54に対して負圧配管56と正圧配管55とを接続することによりインク容器52の周りの配管を1系統減らすことができるとともに、インク容器52に設けられるポートを1つ減らすことができる。更に、負圧配管56と正圧配管55との両方を1つのダイヤフラム弁1により開閉し得ることから、流路開閉弁の配置個数を少なくすることができる。これにより、組み立て作業および保守点検作業を容易に行うことができるとともに、耐久性を向上させた本発明のダイヤフラム弁1を用いることにより、流路開閉弁に対する信頼性を高めることができる。また、上述の通り、ダイヤフラム部20c,22cの凹凸関係が逆転することによる負圧弁室21および正圧弁室24の体積変化がないことから、ダイヤフラム弁1内の負圧空気量およびインク液の量を正確に管理することができ、インク容器52に対するインク液の供給量を正確に管理することができる。
図5(A)は図1に示すダイヤフラム弁を液体滴下装置に適用した例を示す図であり、図5(B)は従来のダイヤフラム弁を液体滴下装置に適用した例を示す図である。なお、図5(B)に示される部材のうち図5(A)に示される部材と同一の部材については共通する符号を付して重複した説明を省略するものとする。
流体案内管57の先端にはノズル58が設けられており、流体案内管57を通じて案内された液体がノズル58から所定量ずつ滴下されるようになっている。ノズル58から所定量の液体を滴下するためには、ノズル58からの液だれを防止する必要があるが、例えばダイヤフラム等を用いた体積変化による吸引では吸引量に限界があり、液体がペースト等の高粘度流体の場合には上手く吸引することができない。そこで、流体案内管57に対して負圧空気を案内する負圧配管59と液体を供給する正圧配管60とを接続し、負圧配管59から供給される負圧空気によりノズル58内に残留する液体を流体案内管57側に吸い込むことにより、ノズル58からの液だれを防止することがある。
図5(A)に示す場合には、流体案内管57に対して液体と負圧空気とを選択的に案内するために、流体案内管57がダイヤフラム弁1の接続ポート13に接続されるとともに、負圧配管59が真空ポート14に接続され、正圧配管60が正圧ポート15に接続されている。そして、ダイヤフラム弁1の給気ポート31,36のいずれかに選択的に正圧空気を供給して、ダイヤフラム弁1の負圧ダイヤフラム弁20と正圧ダイヤフラム弁22を選択的に開閉駆動することにより、流体案内管57に対して薬液Lと負圧空気のいずれかを選択的に案内し得るようになっている。
従来、流体案内管57に対して正圧流体と負圧空気とを選択的に案内するために、図5(B)に示すように、負圧配管59と正圧配管60のそれぞれの通路に個々にダイヤフラム弁等の流路開閉弁61,62を設けることがあった。この場合には、ノズル58の周りの限られたスペースに多くの流路開閉弁61,62が配置されることになり、その組み立てを容易に行うことができないのみならず、保守点検作業を容易に行うことができなくなるという問題点があった。
しかしながら、本発明によれば、図5(A)に示すように、負圧配管59と正圧配管60との両方を1つのダイヤフラム弁1により開閉し得ることから、流路開閉弁の配置個数を少なくすることができ、その組み立てを容易に行うことができるとともに、保守点検作業も容易である。これに加えて、上述の通り、耐久性を向上させた本発明のダイヤフラム弁1を用いることにより、流路開閉弁に対する信頼性を高めることができる。
図6は本発明の他の実施の形態であるダイヤフラム弁を示す断面図である。なお、図6に示される部材のうち図1に示す部材と同様の部材については共通する符号を付して重複した説明を省略するものとする。図1〜図4および図5(A)に示す前記実施の形態においては、負圧側アクチュエータ25および正圧側アクチュエータ32のそれぞれは、給気ポート31,36に流体である正圧空気を供給することにより駆動されるが、これに代えて、電磁石により駆動されるようにしても良い。
図6に示すダイヤフラム弁63においては、負圧ダイヤフラム弁20の外周部20bをハウジング本体2とにより挟み込むようにして負圧側駆動ブロック64がハウジング本体2に取り付けられている。負圧側駆動ブロック64にはコイル65が巻き付けられたボビン66が組み込まれており、ボビン66内には固定鉄心67が取り付けられるとともに、軸方向に往復動自在にプランジャとも称される可動鉄心としての負圧側アクチュエータ68が装着されている。負圧側アクチュエータ68の先端部には弁体部20aがねじ結合されるとともに、弁体部20aを弁座11に接触させる方向つまり閉方向に常時付勢する圧縮コイルばね69が装着されている。したがって、コイル65に通電すると負圧側アクチュエータ68が固定鉄心67に向けてばね力に抗して移動して負圧側開口部9を開き、通電を解くとばね力により負圧側開口部9が閉じられるようになっている。
正圧ダイヤフラム弁22を開閉駆動するための正圧側アクチュエータ70も電磁石により駆動することができ、図6に示すダイヤフラム弁63は、上述の負圧側アクチュエータ68および負圧側駆動ブロック64のそれぞれと同一の構造を有する正圧側アクチュエータ70と正圧側駆動ブロック71とを有している。したがって、コイル72に通電すると正圧側アクチュエータ70が固定鉄心73に向けて圧縮コイルばね74のばね力に抗して移動して正圧側開口部10を開き、通電を解くとばね力により正圧側開口部10が閉じられるようになっている。
このようなダイヤフラム弁63は、図2〜図4および図5(A)に示す適用例において用いられるダイヤフラム弁1に代えて用いることが可能であることは言うまでもない。
図7は本発明の他の実施の形態であるダイヤフラム弁を示す断面図である。このダイヤフラム弁1aは、図1に示したダイヤフラム弁1においてはハウジング本体2の両端部に負圧ダイヤフラム弁20と正圧ダイヤフラム弁22とが同軸状となって対向して設けられているのに対し、負圧ダイヤフラム弁20と正圧ダイヤフラム弁22が平行となってハウジング本体2の側面に設けられている。したがって、真空ポート14と正圧ポート15はハウジング本体2の両端に同軸状となって形成されており、流体案内通路8の一端部には負圧側開口部9が流体案内通路8に対してほぼ90度折り曲げられてハウジング本体2に形成され、流体案内通路8の他端部には正圧側開口部10が流体案内通路8に対してほぼ90度折り曲げられてハウジング本体2に形成されている。また、図示するように、負圧側駆動ブロック26と正圧側駆動ブロック33は相互に平行となってハウジング本体2の側面に取り付けられている。
負圧ダイヤフラム弁20、正圧ダイヤフラム弁22、負圧側駆動ブロック26および正圧側駆動ブロック33の構造は、図1に示したものと同様であり、図7においては図1における部材と共通する部材には同一の符号が付されている。このタイプのダイヤフラム弁1aにおいても、図6に示すように、電磁石により負圧側アクチュエータ25と正圧側アクチュエータ32を駆動するようにしても良い。また、ダイヤフラム弁1aを、図2〜図4および図5(A)に示す適用例において用いられるダイヤフラム弁1に代えて用いることが可能である。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。