JP4705360B2 - 車輌用バンパ及びその緩衝材 - Google Patents
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Description
緩衝材(3a)に衝突荷重が作用すると、緩衝材(3a)の各凹条(33a)(34a)の上壁と下壁との間が開いて荷重を吸収する。
即ち、該緩衝材に作用する衝撃荷重が所定量に達した時点で、衝撃荷重の上昇を抑制するように緩衝材が大きく変形し、衝撃エネルギーの所定量を一定時間吸収することにより、歩行者の脚部に重大なダメージを与える危険性を回避できる(特許文献1)。
以下の説明の各グラフのA点、B点は、図15のA点、B点に対応する。又、A点からB点までをフラット領域、B点以後を勾配領域と呼ぶ。
本発明は、衝撃エネルギーの吸収量を容易に調整することができる緩衝材を提供することを課題とする。
緩衝材前部(31)は、車輌幅方向に延びる複数の壁部(36)(37)と、隣り合う壁部(36)(37)の前端に形成された衝突当り部(35)を有し、
緩衝材後部(32)は外側の壁部の少なくとも一方の壁部の後端に、車両上下方向の肉厚が外側の壁部(36)の肉厚よりも大きく、車輌幅方向に延びる外側ブロック(39)(39')と、中央の2つの壁部(37)(37)の夫々後端に共通するとともに車両上下方向の肉厚が中央の壁部(37)の肉厚よりも大きく、車両幅方向に延びる共通のブロック(38)とを夫々有するとともに、該外側ブロック(39)(39')と共通ブロック(38)との間、かつ該緩衝材前部(31)の壁部間には車両内方向に開口されて車両幅方向に延びる凹条(34)が設けられ、
外側ブロック(39)(39')と共通ブロック(38)とは凹条(34)によって互いに離れ、該中央の2つの壁部(37)の夫々の傾き角度θ2は、壁部(37)(37)よりも車両上下方向の外側に位置する2つの壁部(36)の夫々の傾き角度θ1よりも大きい。
緩衝材前部(31)にて壁部(36)(37)が押し潰されて緩衝の働きがなくなると、荷重は専ら緩衝材後部(32)が受けることになり、フラット領域から急に荷重が大きくなる勾配領域に入る。即ち、衝突の瞬間から、フラット領域の終端に達するタイミングは、緩衝材前部(31)の車輌内外方向の長さL1(図3参照)によって制御し、緩衝材後部(32)の複数のブロック(38)(39)の上下方向肉厚の和によって荷重勾配を制御できる。
これによって、所望の荷重上昇勾配を効果的にコントロールすることができる。
バンパ(1)は、車輌に固定された金属製のバンパリインフォースメント(2)の前面に緩衝材(3)を取り付け、緩衝材(3)及びバンパリインフォースメント(2)をバンパカバー(4)で覆って形成されている。
バンパカバー(4)は薄肉樹脂で形成され、衝突によって衝撃が加わった際に、変形または破断される。
図3は衝撃試験のために緩衝材(3)を、荷重が上方から掛かる様に描いている(以下、「図7」「図9」「図11」「図12」「図13」も同様)。
緩衝材前部(31)は、緩衝材(3)の長手方向(車輌幅方向)と直交する断面形状がW型であり、外面に1つの凹条(33)、内面に該凹条(33)を挟んで2つの凹条(34)(34)を有している。
各凹条(33)(34)(34)は、長手方向と直交する断面が略V字型である。
緩衝材前部(31)の外向きの2つの頂部が衝突当り部(35)となっており、各衝突当り部(35)からは、夫々2つの壁部(36)(37)が内方拡がりに、V字状を成す様に延びている。即ち、車輌の上下方向に隣り合う壁部(36)(37)、(37)(36)の前端が繋がっている部分の外側面が、衝突体(歩行者の脚部)に当たる衝突当り部(35)となっている。
緩衝材前部(31)の車輌内外方向の厚みL1は、各ブロック(38)(39)の車輌内外方向の肉厚L2より大きい。
中央部の2つの壁部(37)(37)は共通のブロック(38)に連続している。中央部の2つの壁部(37)(37)の肉厚t2は互いに等しい。
図3において左右の2つの壁部(36)(36)の肉厚t1は互いに同じであり、中央部の壁部(37)の肉厚t2よりも小さい。
中央部の2つの壁部(37)(37)の夫々の傾き角度θ2は、左右の2つの壁部(36)(36)の夫々の傾き角度θ1よりも大きい。
右側のブロック(39′)は、右側の壁部(36)先端よりも更に右側に突出している。
左側のブロック(39)は、左側の壁部(36)の先端よりも更に左側に突出している。
2つの衝突当り部(35)の車輌外方向の前端面は、面が揃っている。3つのブロック(38)(39)(39′)の車輌内方向の端面も面が揃っている。
中央ブロック(38)の車輌上下方向の肉厚h2を、車輌内外方向のブロック肉厚L2で除した値は1以上である。即ち、中央ブロック(38)は、断面が車輌上下方向に長い長方形に形成されている。
左右のブロック(39)(39′)の車輌高さ方向の夫々の肉厚h1、h3を、車輌内外方向のブロック肉厚L2で除した値は1以下である。
図3から明らかなように、外側ブロック(39)(39')は、車両上下方向の肉厚が外側の壁部(36)の肉厚t1よりも大きい。また、ブロック(38)は、車両上下方向の肉厚が中央の壁部(37)の肉厚t2よりも大きい。
例えば、物理型発泡剤を含浸させた発泡性熱可塑性樹脂ビーズを5〜25倍に予備発泡して得られた直径1〜5mmの予備発泡粒子を成形型内に注入し、蒸気加熱によって発泡させて粒子間を融着させる。
予備発泡していない発泡性熱可塑性樹脂ビーズを型内発泡させてもよい。
発泡性熱可塑性樹脂ビーズを構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン改質ポリエチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等を挙げることができる。特に、スチレン改質ポリエチレン系樹脂を用いると成形体としての衝撃吸収性と成形性がより好ましい。
物理型発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類等を挙げることができる。これらの物理型発泡体は、単体で用いても、2種以上を併用してもよい。
車輌が歩行者と衝突事故を起こしたとき、歩行者の脚部からバンパカバー(4)に衝撃が加わって、バンパカバー(4)が変形または破断される。その際に緩衝材(3)に衝撃が加わり、先ず緩衝材前部(31)が図5に示す如く、外側の壁部(36)(36)が“く”の字状に潰れ、内側の壁部(37)(37)が外側へ倒れ込む。
単なる断面W型の緩衝材前部であれば、各壁部は車輌の内外方向に圧縮変形しないで、荷重を受けたときに傾いて開くことによって、歩行者の脚部が緩衝材から受ける衝撃荷重の上昇を抑える。これに対して、本実施形態の場合は、圧縮変形すると共に、図5に示す様に潰れて、衝突初期の歩行者の脚部に対するダメージを軽減する。
緩衝材前部(31)は長手方向と直交する断面はW型であり、車輌内外方向に凹条(33)(34)(34)を有しているから、緩衝材前部(31)の潰れ残り代を低減させることができ、上記所定の衝撃荷重を越えて急速に衝撃荷重が上がるタイミング(図15のB点)を適正にすることができる。
緩衝材(3)は、上下に対称形状であるから、全領域での荷重を受けるバランスがよい。
緩衝材(3)は、発泡樹脂で一体成形するから、量産に適し、低コストで生産できる。更に、発泡樹脂は、スチレン改質ポリエチレン系樹脂であるから、より好ましい衝撃吸収性と成形性を発揮する。
衝撃試験方法は、試験片と圧子形状が異なる以外は、JIS Z0235の「包装用緩衝材の動的圧縮試験法」と同じである。
試験機:垂直自由落下形
重錘重量:25kg
落下高さ:1.02m
加速度計:衝撃加速度測定
変位計:試験体変位量測定
圧子形状:直径75mmの半円筒形(人体の脚部の太さを想定し、円弧面を下向 きにし重錘の下面に取り付けた)
緩衝材(3)の寸法は、図3において、( )内に記載された数字(単位mm)で表す。
図4の衝撃試験のグラフは、実施例1(実線で示す)と、従来例(二点鎖線で示す)(図14のW型緩衝材)の衝撃試験を比較している。
図4のA点、B点は、図15のA点、B点に対応するものである。
実施例1では、フラット領域の終点(B′点)に達するのは、従来例の緩衝材(3a)のフラット領域の終点(B点)よりもタイミング的に速くなる。
緩衝材の車輌内外方向の寸法が同じであるなら、扁平W状の緩衝材前部(31)の後部にブロック(38)(39)(39′)を設けた実施例1の緩衝材(3)の方が、従来のW型緩衝材(3a)よりも、フラット領域の終点(B′点)に達するもタイミングを速くできる。別の言い方をすれば、フラット領域の終端に達するタイミングは、緩衝材前部(31)の車輌内外方向の長さL1(図3参照)で制御でき、L1を小さくすると、フラット領域の終点に達するタイミングは速くなり、L1を大きくするとフラット領域の終点に達するタイミングを遅くできる。
図6は、実施例2と上記実施例1の衝撃試験の対比を示すグラフである。A点荷重に達するのは上記実施例1とほぼ同じタイミングであるが、実施例2は実施例1に比べて、B点からの上昇は緩やかである。
緩衝材(3)のブロック(38)(39)(39′)の車輌上下方向の肉厚の和は、勾配領域の荷重勾配に関係し、該肉厚の和が大きいほど勾配が急になる。即ち、荷重が急激に上がることが分かる。
実施例1と同一部分については実施例1と同じ符号を付して説明を省略する(以下の実施例4乃至実施例7も同様)。
両ブロック(38)(39′)の車輌上下方向の厚みの和は、88.3mmであり、前記第1実施例の3つのブロック(38)(39)(39′)の車輌上下方向の厚みの和と同じである。
図8は、実施例3と前記実施例1の衝撃試験の対比を示すグラフである。実施例3の緩衝材は、第1実施例の緩衝材とほぼ同様の圧縮変形の過程を辿る。
図10は、実施例4と前記実施例1の衝撃試験の対比を示すグラフである。A点荷重に達するのは 実施例1とほぼ同じタイミングであるが、フラット領域の終点(B″点)に達するのは、実施例1(B′点)よりもタイミング的に遅れる。
ブロック(38)(39)(39′)の車輌内外方向の厚みが小さいほど、フラット領域の終点に達するタイミングを遅らせることができる。別の言い方をすれば、フラット領域の終端に達するタイミングは、緩衝材前部(31)の車輌内外方向の長さL1で制御でき、L1を小さくすると、フラット領域の終点に達するタイミングを速くでき、L1を大きくするとフラット領域の終点に達するタイミングを遅くできる。
実施例1と同様にして、車輌の上下方向に隣り合う壁部(36)(37)、(37)(36)の前端が繋がっている部分の外側面が衝突当り部(35)となっている。
車輌の上下方向に隣り合う壁部(36)(37)(36)の前端が繋がっている部分の外側面が衝突当り部(35)となっている。
2 バンパリインフォースメント
3 緩衝材
31 緩衝材前部
32 緩衝材後部
33 凹条
34 凹条
35 衝突当り部
36 壁部
37 壁部
38 ブロック
39 ブロック
4 バンパカバー
Claims (8)
- 衝撃が加わった際に潰れて衝撃を吸収する車輌バンパ用緩衝材(3)であって、緩衝材前部(31)と該緩衝材前部(31)に連なる緩衝材後部(32)とからなり、
緩衝材前部(31)は、車輌幅方向に延びる複数の壁部(36)(37)と、隣り合う壁部(36)(37)の前端に形成された衝突当り部(35)を有し、
緩衝材後部(32)は外側の壁部の少なくとも一方の壁部の後端に、車両上下方向の肉厚が外側の壁部(36)の肉厚よりも大きく、車輌幅方向に延びる外側ブロック(39)(39')と、中央の2つの壁部(37)(37)の夫々後端に共通するとともに車両上下方向の肉厚が中央の壁部(37)の肉厚よりも大きく、車両幅方向に延びる共通のブロック(38)とを夫々有するとともに、該外側ブロック(39)(39')と共通ブロック(38)との間、かつ該緩衝材前部(31)の壁部間には車両内方向に開口されて車両幅方向に延びる凹条(34)が設けられ、
外側ブロック(39)(39')と共通ブロック(38)とは凹条(34)によって互いに離れ、該中央の2つの壁部(37)の夫々の傾き角度θ2は、壁部(37)(37)よりも車両上下方向の外側に位置する2つの壁部(36)の夫々の傾き角度θ1よりも大きいことを特徴とする緩衝材。 - 緩衝材前部(31)には、車輌外方向に開口し車輌幅方向に延びる凹条(33)を有し、該凹条(33)の上下に緩衝材後部(32)の凹条(34)(34)が位置している請求項1に記載の緩衝材。
- 凹条(34)は緩衝材の長手方向と直交する断面が略V字状であり、緩衝材は長手方向と直交する断面はW字状である請求項1又は2に記載の緩衝材。
- 各壁部(36)(37)に夫々ブロック(38)(39)が繋がっている請求項1乃至3の何れかに記載の緩衝材。
- 発泡樹脂により一体成形された請求項1乃至4の何れかに記載の緩衝材。
- 発泡樹脂がスチレン改質ポリエチレン系樹脂である請求項5に記載の緩衝材。
- 請求項1乃至6の何れかの緩衝材をバンパリインフォースメントに固定し、緩衝材をバンパカバーで覆った車輌用バンパ。
- 緩衝材前部(31)と該緩衝材前部(31)に連なる緩衝材後部(32)とからなり、緩衝材前部(31)は車両幅方向に延びる複数の壁部(36)(37)と、該壁部(36)(37)の前端に形成された衝突当り部(35)を夫々有するとともに、緩衝材前部(31)の壁部(36)(37)間には車両内方向に開口して車両幅方向に延びる凹条(34)が設けられ、隣り合う壁部(36)(37)間に凹条(33)が設けられ、緩衝材後部(32)は車両上下方向の外側の壁部の少なくとも一方の壁部の後端に、車両上下方向の肉厚が外側の壁部(36)の肉厚よりも大きく、車両幅方向に延びる外側ブロック(39)と、中央の2つの壁部(37)(37)の夫々後端に共通するとともに車両上下方向の肉厚が中央の壁部(37)の肉厚よりも大きく、車両幅方向に延びる共通ブロック(38)とを有し、該中央の2つの壁部(37)の夫々の傾き角度θ2は、壁部(37)(37)よりも車両上下方向の外側に位置する2つの壁部(36)の夫々の傾き角度θ1よりも大きく形成された緩衝材(3)を用いて、衝撃が加わった際に、該外側の壁部が潰れて衝撃を吸収する車輌バンパ用の緩衝制御方法であって、
該壁部(36)(37)の車両内外方向の長さを調整して、該壁部(36)(37)にて衝撃を受けることにより、衝撃エネルギーの吸収時間を制御する工程と、
ブロック(38)(39)の車輌上下方向の肉厚の和によって、荷重勾配を制御する工程を有することを特徴とする緩衝制御方法。
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