JP4714967B2 - 半導体レーザ励起固体レーザ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体レーザ励起固体レーザ装置に関するもので、特に、半導体レーザの劣化または故障の検出に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の半導体レーザ励起固体レーザ装置を、図4を用いて説明する。図4は例えば特開平10−294513号公報に記載されている従来の半導体レーザ励起固体レーザ装置の構成を示す概略図である。
図において、1は固体レーザ媒質(YAG)、2及び3は共振器を構成するための共振器ミラー、4(4a乃至4h)は固体レーザ媒質1を励起するための半導体レーザ、5は半導体レーザ4を駆動するための電源である。また、6(6a乃至6h)はヒートシンク、7は冷却水路、8は冷却器である。
【0003】
固体レーザ媒質1の励起用の半導体レーザ4は、発光部をアレイ状やスタック状に構成することにより大出力を得ている。現状では、アレイ状の半導体レーザ4の出力は20W乃至50Wのものが一般に用いられている。
【0004】
一方、固体レーザ媒質1の出力は数Wから数kW級までのものがあり、これらの出力のレーザ装置を構成するためには、1つの半導体レーザ4で励起することは不可能であり、複数の半導体レーザ4によって励起する方式が取られる。
【0005】
まず、複数の半導体レーザを同時に励起するための電源接続方法について述べる。
一般に、複数の負荷を電源に対して並列で接続する場合には駆動すべき電源は低電圧,大電流となり、一方、直列で接続する場合には高電圧,低電流となる。
20W乃至50W級の半導体レーザの場合は、その動作電圧が2V程度、動作電流が40A乃至60Aと、比較的低電圧,大電流で動作する。
図4に示す半導体レーザ励起固体レーザ装置の場合、1つの固体レーザ媒質1を8個の半導体レーザ4で励起している。1つの半導体レーザ4の動作電圧及び動作電流を2V―50Aとすると、8個の半導体レーザを並列で動作させる場合に必要な電源は2V―400Aである。一方、直列で動作させる場合には16V−50Aとなる。このように、半導体レーザ4の場合には複数を直列に接続しても比較的中電圧,中電流の電源で対応ができる。
【0006】
低電圧,大電流の電源は入手が困難なばかりでなく、回路上の損失といった面からも極めて不利である。電流を供給するための電線は、僅かながらも電気抵抗Reをもち、電線で損失する電力は電流値Iに対してI2・Reとなり、電流の自乗に比例して大きくなる。これを克服するためには、電線の断面積を大きくして電気抵抗を下げるという方法があるが、太い電線を励起ヘッド内に配線することは非常に不利である。
【0007】
このように、電力供給には一般に、損失の少ない高電圧,低電流の方式が採用される。以上のことから、複数の半導体レーザ4を同時に励起する方式としては、半導体レーザ4を直列に接続して動作させる方式が一般的である。
【0008】
次に、固体レーザ媒質1と半導体レーザ4とを有する励起ヘッドの構成について述べる。
一般に、固体レーザ媒質1の励起効率を上げるために、半導体レーザ4から出力される光は全て固体レーザ媒質1に向けて照射され、集光器内に閉じ込める方式が取られる。
【0009】
仮に、励起ヘッドが、半導体レーザ4の光が外部に漏れることによりモニタできる構成であれば、各半導体レーザ4の漏れ光を検出することにより、劣化または故障した半導体レーザ4を特定できる。
また、複数の半導体レーザ4が電源5に対して並列に接続されていれば、各半導体レーザ4に電力を供給する回路を独立に遮断することができる。したがって、半導体レーザ4への回路を遮断しても固体レーザ媒質1の出力に変化がなければ、その半導体レーザ4が劣化,故障(以下適宜、劣化と記す)していると判断ができる。
【0010】
しかし、励起ヘッドが上述のように半導体レーザ4からの光が外部に漏れないように構成され、かつ、複数の半導体レーザ4を直列に接続して1つの電源5で動作させる方式をもつ半導体レーザ励起固体レーザ装置では、半導体レーザ4の劣化等による固体レーザ媒質の出力低下が生じた場合、劣化した半導体レーザを特定することは困難であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来の半導体レーザ励起固体レーザ装置は、以上に説明したような構成となっているため、複数の半導体レーザのうち、いずれの半導体レーザが、劣化したかを知るためには、励起ヘッドを解体し、全ての半導体レーザを取り出し、1つ1つの半導体レーザの出力特性を個別に測定しなければならない、という問題点があった。
【0012】
この発明は、上述の問題点を解決するためになされたもので、簡単な構成で、複数の半導体レーザの中から劣化した半導体レーザを特定することができる、半導体レーザ励起固体レーザ装置を得るものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る半導体レーザ励起固体レーザ装置は、固体レーザ媒質と、電源と接続され前記固体レーザ媒質を励起する複数の半導体レーザと、これら複数の半導体レーザのうち所定の半導体レーザの温度を検出する温度検出手段と、この温度検出手段の出力に基き前記半導体レーザの劣化状態を検出する劣化検出手段とを備えたものである。
【0014】
また、複数の半導体レーザは、電気的に直列接続されているものである。
【0015】
また、温度検出手段は、全ての半導体レーザの温度を検出するものである。
【0016】
また、劣化検出手段からの出力に基き半導体レーザの劣化状態を報知する劣化報知手段を設けたものである。
【0017】
また、温度検出手段を、半導体レーザを冷却するためのヒートシンクに設けたものである。
【0018】
また、温度検出手段は、熱電対であるものである。
【0019】
また、温度検出手段は、感熱紙であるものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
この発明の第一の実施の形態による半導体レーザ励起固体レーザ装置について説明する。
はじめに、この発明における半導体レーザの劣化検出の原理について、簡単に説明する。
半導体レーザでは、P−N接合部において電源から供給される電子と空孔との再結合により、P−N接合部に存在するエネルギーギャップに対応するエネルギーが光に変換される。半導体レーザを構成する半導体結晶構造が何らかの原因で破損すると、P−N接合部でのエネルギーギャップが変化を起こし電子と空孔との再結合によるエネルギーが光に変換できなくなる。この光に変換できなくなったエネルギーは、P−N接合部から熱として発生する。
このように、半導体レーザの劣化はエネルギーの放出形態が光から熱に変化するのみであり、電気特性、すなわち電流・電圧特性の変化は小さい。
【0021】
以上のように、半導体レーザはその出力特性が低下しても電流・電圧特性が変化しない性質をもつ。出力低下分はそのまま発熱となり半導体レーザに蓄積されることとなる。したがって、ある一定条件で半導体レーザを動作させた場合には出力劣化は半導体レーザ自体の温度上昇として現れることになる。この温度上昇を温度検出手段により検出することにより、出力低下した半導体レーザを特定することが可能となる。
【0022】
ある一定条件、例えば直流で一定の電流値、で駆動した場合、P(W)の光出力が得られる半導体レーザの場合、発光部から温度検出手段を取り付けた位置までの熱抵抗、これは発光部から温度検出手段の位置までの材質及び機械的構造のみで決まるものであるが、これをR(℃/W)とする。半導体レーザの劣化により光出力が熱に変換されたときには、温度検出手段の温度上昇は、P×R(℃)として現れることになる。
【0023】
現在商品化されている20W乃至50W級の半導体レーザ製品では、発光部から放熱を行うために取り付けられているヒートシンクまでの熱抵抗は、0.7乃至1.0℃/W程度のものが一般的である。20W出力,熱抵抗0.7℃/Wの半導体レーザが劣化した場合にはヒートシンク上で、20W×0.7℃/W=14℃の温度上昇が発生することになる。60Wの出力で熱抵抗1.0℃/Wの半導体レーザの場合では、60℃の温度上昇となる。
【0024】
したがって、半導体レーザの劣化検出は10℃以上といった比較的大きな温度変化を検出すればよく、熱電対,感熱紙等の安価で構造の簡単な温度検出手段で十分対応が可能である。
【0025】
次にこの発明の第一の実施の形態による半導体レーザ励起固体レーザ装置の具体的構成を、図1を用いて説明する。図1はこの発明の第一の実施の形態による半導体レーザ励起固体レーザ装置を示す構成図である。
図中、符号1乃至5に示すものは、従来例のものと同一または相当のものであるので、詳細な説明は省略する。10(10a乃至10h)は各半導体レーザ4の発振部近傍に取り付けられた温度検出手段としての熱電対である。11(11a乃至11h)は各熱電対10に対応して設けられた比較器で、そのもう一方の入力は基準温度設定器12に接続されている。
13は比較器11の出力に基き、操作者へ半導体レーザ4の劣化,故障を報知する劣化報知手段であり、例えば、専用表示パネル,警告灯,警告音発生用スピーカー等である。比較器11と基準温度設定器12と比較器11からの出力信号を処理して劣化報知手段13へ出力する処理回路(図示せず)とによって、劣化検出手段を構成する。また、図示しない処理回路は、劣化報知手段13と一体となった構成のものでもよい。
【0026】
半導体レーザ4は電源5により駆動され、固体レーザ媒質1の吸収帯に対応した波長の光を発生する。固体レーザ媒質1がNd:YAGである場合には半導体レーザ4の発振波長が808nm近傍となるものが用いられる。固体レーザ媒質1は半導体レーザ4により励起され、共振器ミラー2,3によって構成された共振器によりレーザ発振を行う。
【0027】
熱電対10は各々の半導体レーザ4にそれぞれ取り付けられ、常にその温度をモニタしている。40W程度の出力を持つ半導体レーザ4の場合、一般に2V―50Aで動作する。半導体レーザ4に供給される電力100Wに対して半導体レーザ光として取り出されるパワーは40Wであり、残りの60Wは熱として半導体レーザ4に蓄積される。この蓄積された熱量は何らかの冷却方式を用いて外部に運び出される。
【0028】
いずれかの半導体レーザ4が劣化した場合、その電流・電圧特性の変化はごく僅かで、光出力のみが低下する。すなわち、本来、光出力として取り出されていたパワーが熱量として当該半導体レーザ4に蓄積されることになる。劣化により当該半導体レーザ4に蓄積される熱量が増大することになり、当該半導体レーザ4の温度上昇として現れる。この温度上昇は当該半導体レーザ4に設けられた熱電対10により検出することができる。
【0029】
比較器11は、熱電対10からの出力すなわち半導体レーザ4の温度を基準温度設定器12に予め設定された基準温度と比較し、半導体レーザ4の温度が上昇して、設定された基準温度以上となった場合、処理回路(図示せず)へ出力する。処理回路によって処理された出力信号は更に劣化報知手段13へ出力され、劣化報知手段13の作動によって使用者へ半導体レーザ4の劣化が報知される。
【0030】
上述のように、この実施の形態の半導体レーザ励起固体レーザ装置によれば、半導体レーザ4を直列に接続し一つの電源5で駆動していても、各々の半導体レーザ4の温度をモニタし温度上昇を検出することにより、どの半導体レーザ4が劣化したのかを判定することができる。
【0031】
図2に、個々の半導体レーザ4の構成を示す。半導体レーザ4は、ヒートシンク6と半導体レーザ素子14とが一体化されており、半導体レーザ素子14はヒートシンク6により常に冷却される。
図3には、温度検出手段として、感熱紙15をヒートシンク6の表面に貼り付けた場合を示す。
【0032】
また、図示はしていないが、水冷式のヒートシンクを用いた場合には、ヒートシンクへの冷却水の供給側と排出側との冷却水の温度差の変化に基き、各半導体レーザの温度上昇を検出することも可能である。
【0033】
さらに、図示はしていないが、赤外線カメラのような非接触の温度検出手段により、各半導体レーザの温度上昇を検出することも可能である。
【0034】
なお、上述の実施の形態のものでは、半導体レーザ4の温度が上昇して、設定された基準温度以上となった場合、処理回路から劣化報知手段13へ出力され、使用者へ半導体レーザ4の劣化が報知される場合を示したが、半導体レーザ4の劣化を検出した場合の対応として、使用者へ報知するのみではなく、例えば電源5を落とす等により、装置を停止させる等の処理を行なってもよい。
【0035】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、個々の半導体レーザの温度を検出することにより、簡単な構成で、複数の半導体レーザの中から劣化または故障した半導体レーザを特定することができる、といった効果を奏する。
【0036】
また、半導体レーザの劣化,故障を検出するために、比較的大きな温度変化を検出すればよく、温度検出手段として、熱電対,感熱紙等の、比較的簡単な構造で且つ安価な温度検出手段を用いることができる、といった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態による半導体レーザ励起固体レーザ装置の概略構成図。
【図2】 この発明の実施の形態によるヒートシンク付き半導体レーザの構造を示す説明図。
【図3】 この発明の実施の形態によるヒートシンク付き半導体レーザに感熱紙を設けた構造を示す説明図。
【図4】 従来の半導体レーザ励起固体レーザ装置の概略構成図。
【符号の説明】
1 固体レーザ媒質
2,3 共振器ミラー
4 半導体レーザ
5 電源
6 ヒートシンク
10 熱電対
11 比較器
12 基準温度設定器
13 劣化報知手段
14 半導体レーザ素子
15 感熱紙
Claims (5)
- 固体レーザ媒質と、
電源と接続され前記固体レーザ媒質を励起する電気的に直列接続されている複数の半導体レーザと、
これら複数の半導体レーザのそれぞれに設けられ、各半導体レーザの温度を検出する複数の温度検出手段と、
これらの温度検出手段の出力と予め設定された基準温度とを比較する比較器と、
この比較器により前記複数の温度検出手段のいずれかの出力が基準温度を超えた場合に、当該温度検出器が設けられている前記半導体レーザが劣化していることを検出する劣化検出手段とを備えたことを特徴とする半導体レーザ励起固体レーザ装置。 - 劣化検出手段からの出力に基き半導体レーザの劣化状態を報知する劣化報知手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ励起固体レーザ装置。
- 温度検出手段を、半導体レーザを冷却するためのヒートシンクに設けたことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の半導体レーザ励起固体レーザ装置。
- 温度検出手段は、熱電対であることを特徴とする請求項第1項乃至請求項3のいずれかに記載の半導体レーザ励起固体レーザ装置。
- 固体レーザ媒質と、
電源と接続され前記固体レーザ媒質を励起する電気的に直列接続されている複数の半導体レーザと、
これら複数の半導体レーザの表面にそれぞれに貼り付けられ、各半導体レーザの温度を検出する複数の感熱紙とを備え、
前記感熱紙により前記複数の半導体レーザのいずれが劣化しているかを検出することができる半導体レーザ励起固体レーザ装置。
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