JP4714977B2 - 転がり軸受の潤滑方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、転がり軸受の潤滑方法に係り、とくに低速・高荷重、あるいはさらに高温下といった環境で使用される転がり軸受の長寿命化に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、産業機械設備の回転運動部分には、機械要素部品として多数の転がり軸受が使用されている。なかでも、圧延機、連続鋳造設備等の製鉄関連設備の使用環境は過酷であり、そこで使用される転がり軸受は、粉塵、水等の外来性異物の影響や、さらには高温、低速、高荷重といった、軸受の潤滑には不利な環境下で使用されることが多く、一般に短寿命となっている。
【0003】
転がり軸受の潤滑界面には、一般に潤滑油膜が形成され、金属同志の接触(メタル接触)を回避して、軸受の摩擦・摩耗を低減している。しかし、低速、高荷重、あるいは高温といった条件下では、いわゆる境界潤滑領域となりやすく、通常の潤滑剤(鉱油、グリース)では潤滑界面に形成される潤滑油膜の厚さが極めて薄くなり、強いメタル接触が生じやすくなる。このため、発熱、摩耗、摩耗粉による圧痕の生成、局部的疲労剥離損傷等が生じ、軸受寿命が通常の1 /2〜1/10に低下する。
【0004】
このような問題に対し、潤滑剤に油性向上剤、極圧添加剤や固体潤滑剤を添加して、軸受の潤滑性を向上させようとする方法が従来から考えられている。油性向上剤は、親水性の極性を有する分子を主とし、金属表面に吸着して金属表面に吸着膜を形成し、また、極圧添加剤は、金属表面と反応し、金属表面に反応被膜や付着膜を生成し、いずれもメタル接触を防止しようとするものである。また、固体潤滑剤は、二硫化モリブデン、グラファイト等のように金属表面に付着してすべりやすい層を形成し、メタル接触時の滑り抵抗を低減しようとするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、潤滑剤に油性向上剤、極圧添加剤や固体潤滑剤を添加することにより、転がり軸受の潤滑性向上に対しある程度の効果は認められるものの、潤滑条件のある範囲までに限定されるものであり、さらに厳しい潤滑条件下では顕著な効果は認められなかった。厳しい潤滑条件下では依然として、強いメタル接触が生じて軸受寿命が短寿命となっていた。またさらに、粒径の大きい自己摩耗粉や外部からの侵入異物等が転がり面に付着すると、圧痕を生じ、圧痕周辺の肩部に局部的な高面圧が発生するため、短期間で疲労損傷が進行するという問題もある。
【0006】
本発明は、上記した従来技術の問題を解決し、低速・高荷重、高温下という厳しい環境下でも優れた潤滑状態を維持できる高潤滑性を有する潤滑剤、および低速・高荷重用転がり軸受の潤滑方法を提供することを目的とする。なお、本発明でいう潤滑剤は、潤滑油およびグリースを含むものとする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を達成するために、転がり軸受の潤滑に及ぼす各種要因について鋭意研究した。その結果、潤滑剤を最適化することにより、低速・高荷重、高温下という厳しい環境下でも、転がり軸受の長寿命化が図れることを見いだした。
【0008】
本発明は、上記した知見に基づいて、さらに検討して完成されたものである。
なお、本発明でいう、平均粒径は、光学顕微鏡または電子顕微鏡観察により、数百個の粒子について一次粒子径を測定して得られた値の平均値を使用するものとする。
【0009】
すなわち、第1の本発明は、軸受に潤滑剤を供給または封入する転がり軸受の潤滑方法において、前記潤滑剤に平均粒径40nm以下の微細シリカ粒子を1〜20質量%含有させることを特徴とする製鉄関連設備用転がり軸受の潤滑方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
まず、第1の本発明である、転がり軸受用潤滑剤について説明する。
本発明の転がり軸受用潤滑剤では、基油中または基グリース中に、微細シリカ粒子および/または超微細シリカ粒子を含有する。使用する基油または基グリースは、その使用環境に応じ、潤滑剤に要求される動粘度、粘性指数等の潤滑剤特性に合致したものを適用すればよく、とくに限定されない。基油としては、鉱物油系、合成油系、天然油系、シリコンオイル等が好ましい。また、基グリースとしては、基油にリチウム石鹸、カルシウム石鹸、アルミニウム複合石鹸、ウレア等の増ちょう剤を添加したものが好ましい。
【0012】
基油または基グリース中にミクロンオーダーまたはサブミクロンオーダーの微細シリカ粒子および/またはナノオーダーの超微細シリカ粒子を混合することにより、潤滑油としての粘度が増加し、また増ちょう効果がある。基油または基グリースの選定に当たっては、微細シリカ粒子および超微細シリカ粒子の増粘効果、増ちょう効果を考慮する必要がある。
【0013】
鉱物油系基油としては、鉱油を減圧蒸留し、溶剤精製、水素精製、硫酸洗浄、白土処理、溶剤脱ろうなどを適宜組み合わせて不安定成分、ワックス分を取り除いたものを用いることができる。
合成油系基油としては、ポリαオレフィン、ポリブテン等の脂肪族系炭化水素油、アルキルベンゼン等の芳香族系炭化水素油、ポリオールエステル、リン酸エステル等のエステル系油、ポリフェニルエーテル、ポリグリコール等のエーテル系油などが挙げられる。
【0014】
本発明の転がり軸受用潤滑剤は、基油中または基グリース中に平均粒径40nm以下の超微細シリカ粒子を1〜20質量%含有する。
本発明者らの実験によれば、基油または基グリース中に超微細シリカ粒子を含有することにより、転がり軸受の潤滑界面で超微細シリカ粒子が、▲1▼界面凹部に介在しメタル接触部の面圧を低下させる、▲2▼微小ころとして作用する、▲3▼メタル接触の凝着部を研磨する、等の作用を有することが考えられ、その結果、低速・高荷重下でも、転がり軸受での高潤滑性が維持でき、軸受の長寿命化が達成できるのである。
【0015】
このような作用は、基油または基グリースに平均粒径で40nm以下の超微細シリカ粒子を含有させたときに得られる。超微細シリカ粒子の平均粒径が40nmを超えると、上記した作用がすべて同時には得られない。なお、超微細シリカ粒子の粒径が4nm 未満では、均一な粒子が得にくいため好適な潤滑効果が得にくくなるという問題があり、好ましくは、4 〜40nmの範囲である。
【0016】
本発明では、潤滑剤中の、平均粒径で40nm以下の超微細シリカ粒子の含有量は1〜20質量%とする。超微細シリカ粒子の含有量が1質量%未満では、上記した効果が認められない。一方、20質量%を超えると、増粘効果が大きくなり、潤滑剤が均一に供給できなくなるという問題がある。このようなことから、平均粒径で40nm以下の微細シリカ粒子の含有量は1〜20質量%とした。
【0017】
なお、平均粒径で40nm以下の極微細シリカ粒子を含有させた潤滑剤は、滑りが発生しやすい軸受、例えば、玉軸受、自動調芯軸受等の潤滑油として適用するのが好ましい。これは、軸受でのメタル接触による滑りを軽減する、上記した微細シリカの作用を有効に利用することができるからである。
また、本発明の転がり軸受用潤滑油では、平均粒径で0.1 〜10μm のサブミクロンオーダおよびミクロンオーダの微細シリカ粒子を含有させてもよい。
【0018】
侵入した異物、あるいは自己摩耗粉等の存在により軸受の摩擦表面には、圧痕と高面圧が生じて、表面に局部疲労層が形成され、その後の使用継続により疲労剥離損傷が発生し、軸受の寿命を短くする原因の一つとなっている。本発明者らの実験によれば、基油または基グリース中にサブミクロンオーダおよびミクロンオーダの微細シリカ粒子を含有させることにより、微細シリカ粒子の研磨効果により、軸受の摩擦表面が適度に研磨され、圧痕や疲労層が除去されるため、このような疲労剥離損傷も抑制または防止でき、潤滑特性が向上し、軸受の長寿命化が図れることになる。
【0019】
なお、本発明では、潤滑剤中の、平均粒径で0.1 〜10μm のサブミクロンオーダまたはミクロンオーダの微細シリカ粒子の含有量は1〜20質量%とする。微細シリカ粒子の含有量が1質量%未満では、上記した効果が認められない。一方、20質量%を超えると、増粘効果が大きくなり、潤滑剤が均一に供給できなくなるという問題がある。このようなことから、0.1 〜10μm のサブミクロンオーダまたはミクロンオーダの微細シリカ粒子の含有量は1〜20質量%とした。
【0020】
微細シリカ粒子の平均粒径が10μm を超えると、微細シリカ粒子の研磨効果が大きくなりすぎて、軸受の寿命が却って短くなる。一方、微細シリカ粒子の粒径が0.1 μm 未満では、研磨効果が少なすぎる。このため、微細シリカ粒子の平均粒径は0.1 〜10μm の範囲とするのが好ましい。なお、より好ましくは0.1 〜1 μm である。
【0021】
なお、上記したサブミクロンオーダまたはミクロンオーダの微細シリカ粒子を含有させた潤滑剤は、自己摩耗粉や外来性異物による圧痕、局部疲労層が形成された軸受の摩擦表面の再生用として一時的に使用するのが好ましい。連続的に使用すると研磨作用が大きいため、かえって摩耗を助長し軸受の短寿命化を招く。また、本発明の潤滑剤では、基油または基グリース中に、上記した平均粒径40nm以下のナノオーダの超微細シリカ粒子と、平均粒径0.1 〜10μm のサブミクロンオーダまたはミクロンオーダの微細シリカ粒子を混合して、合計で1〜20質量%含有してもよい。このような平均粒径の異なるシリカ粒子を混合することにより、潤滑効果と軸受の微細研磨・平滑化効果を同時に満足させることができる。このようなことから、軸受の負荷状況に応じて、基油または基グリース中に混合するシリカ粒子の粒径および混合割合を決定するのが好ましい。軸受の研磨効果を期待する場合には、粒径の大きな粒子を混合するのが好ましい。
【0022】
なお、本発明の潤滑剤は、基油または基グリース中に上記した粒径の微細シリカ粒子を添加し、例えば、ホモジナイザー等による機械的攪拌、あるいは3本ロールによる攪拌で、均一に混合して製造されるのが好ましい。
基油または基グリースに超微細シリカ粒子および/または微細シリカ粒子を均一混合するためには、超微細シリカ粒子および/または微細シリカ粒子の表面に基油または基グリースの特性に合わせた化学処理を施すのが好ましい。例えば、基油を鉱物油とした場合には、超微細シリカ粒子および/または微細シリカ粒子の表面に化学的親油処理を施すのが好ましい。また、超微細シリカ粒子および/または微細シリカ粒子の表面に親水処理を施してもよい。化学的親油処理や親水処理を施すことにより、所望の増粘効果や潤滑性、研磨特性を得ることができる。
【0023】
なお、本発明の潤滑剤には、従来公知の油性向上剤、極圧添加剤、固体潤滑剤、防錆剤、増ちょう剤、界面活性剤等の各種添加剤を、必要に応じ添加してもよいことはいうまでもない。
例えば、油性向上剤としては、オレイン酸、ステアリン酸のほか、高級アルコール、エステル、アミン等が、また、極圧添加剤としては、硫化油脂等の硫黄系化合物、リン酸トリクレジル等のリン系化合物が、固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン、グラファイト、有機モリブデン、窒化ホウ素等が例示できる。
【0024】
本発明の潤滑剤は、ちょう度を有するグリースと同じような特性をもつため、通常のグリースと同等の給油方法、例えば、集中給脂系、グリースガン等による手動給脂系、あるいは密閉系がいずれも適用できる。
つぎに、本発明の潤滑油を用いた転がり軸受の潤滑方法について、説明する。
本発明の転がり軸受用潤滑油は、低速・高荷重、あるいは高温の環境下で、あるいはさらに異物の侵入が多い環境下で、使用する転がり軸受に適用する。転がり軸受の負荷状況に応じ、好適な平均粒径、含有量の超微細シリカ粒子および/または微細シリカ粒子を含有した潤滑剤を使用する。
【0025】
すなわち、滑りが発生する軸受には、平均粒径40nm以下の微細シリカ粒子を1〜20質量%含有する潤滑剤を、集中給油系、手動給油系、あるいは密閉系で、定期的に所定量供給する。
なお、摩耗粉の発生が多く、より研磨効果を期待する場合には、粒径の大きい微細シリカ粒子を供給するのが好ましい。さらに、軸受の転動面の損傷が著しく、圧痕や局部疲労層等の転動面の損傷を除去して軸受を延命させる必要がある場合には、研磨効果が期待できるサブミクロンオーダあるいはミクロンオーダの微細シリカ粒子とするか、あるいはサブミクロンオーダあるいはミクロンオーダの微細シリカ粒子をナノオーダの超微細シリカ粒子に混合するのが好ましい。
【0026】
このようなことから、軸受の初期表面粗さを平滑化するならし運転時には、平均粒径0.1 〜10μm のサブミクロンオーダあるいはミクロンオーダの微細シリカ粒子を1〜20質量%含有させた潤滑剤、あるいは平均粒径0.1 〜10μm のサブミクロンオーダあるいはミクロンオーダの微細シリカ粒子を、平均粒径40nm以下の超微細シリカ粒子とともに、合計で1〜20質量%含有させた潤滑剤を用いて、軸受の転動面の平滑化を図るのが好ましい。
【0027】
また、軸受に潤滑剤を初期封入し、さらに必要に応じ潤滑剤を供給する場合には、初期封入する潤滑剤として、基油または基グリース中に、平均粒径0.1 〜10μm の微細シリカ粒子および/または平均粒径40nm以下の超微細シリカ粒子を合計で1〜20質量%含有した軸受用潤滑剤とし、所定期間の運転を行ったのち、潤滑油またはグリースを一時的に供給し、初期研磨粉を排出するのが好ましい。初期封入する潤滑剤に、微細シリカ粒子を含有させることにより、転動面が研磨され、軸受転動面の平滑化が行える。転動面の平滑化により生じた初期研磨粉を、その後に潤滑油またはグリース(潤滑剤)を追加供給して初期研磨粉を排出することにより、軸受の長寿命化に寄与する。
【0028】
また、本発明では、軸受から排出される潤滑剤中の鉄粉濃度あるいは鉄粉の粒度分布を、連続してあるいは一定周期ごとに、測定し、該測定結果により、供給する潤滑剤中の微細シリカ粒子の粒径、および/または含有量を調整して、軸受に供給するのが好ましい。
排出される潤滑剤中の鉄粉の濃度、あるいは鉄粉の粒度分布の測定方法は、例えば、つぎのような方法が好ましい。
【0029】
排出された潤滑油の一定量を採取して、電磁誘導法、重量測定法により混入した鉄粉量、あるいは光学的粒子計測器(パーティクルカウンター)により鉄粉の粒度分布を測定し、鉄粉の濃度、あるいは鉄粉の粒度分布を、あるいはさらにフェログラフィー分析により異常摩耗粉の有無を、求めるのが好ましい。
得られた結果から、鉄粉の濃度が高い場合には、平均粒径0.1 〜10μm のサブミクロンオーダあるいはミクロンオーダとする微細シリカ粒子、一方、鉄粉の濃度が低い場合には、微細シリカ粒子の粒径を平均粒径40nm以下のナノオーダとする超微細シリカ粒子を含有する潤滑剤を供給する。また、鉄粉の粒度分布が、大きな粒径のものが多い場合には、平均粒径がミクロンオーダあるいはミクロンオーダの微細シリカ粒子を、一方、小さい粒径のものが多い場合には、平均粒径がナノオーダの超微細シリカ粒子を含有する潤滑剤を供給する。なお、鉄粉濃度、あるいは鉄粉の粒度分布と、供給する潤滑剤中の微細シリカ粒子の粒径、含有量との関係は、使用環境ごとに予め実験等により決定しておくことが肝要となる。
【0030】
【実施例】
本発明の効果を確認するため、転がり軸受の回転摩耗試験を実施した。自動調芯ころ軸受に静定格荷重の1/2 のラジアル荷重を負荷し、100 ℃の高温雰囲気中で潤滑剤を封入し、回転数10rpm の速度で、所定時間運転した。運転後、軸受を解体し、外輪軌道面について摩耗プロフィルを測定した。軸受に封入する潤滑剤は、耐熱ウレアグリース(比較例)およびパラフィン系鉱物油(粘度460mm2/sec、at 40 ℃)に平均粒径12nmの超微細シリカ粒子を6質量%含有したグリース(本発明例)とした。
【0031】
その結果、潤滑剤として超微細シリカ粒子を含有した潤滑剤を用いた本発明例では、超微細シリカ粒子を含まない潤滑剤を用いた比較例に比べ、外輪軌道面の摩耗量が1/5 以下となり、転がり軸受の長寿命化が達成できる。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、低速・高荷重・高温という厳しい使用環境下においても、転がり軸受の長寿命化が期待でき、機械部品の保守の頻度が低減し、さらに生産性が向上するなど、産業上格段の効果を奏する。
Claims (1)
- 軸受に潤滑剤を供給または封入する転がり軸受の潤滑方法において、前記潤滑剤に平均粒径40nm以下の超微細シリカ粒子を1〜20質量%含有させることを特徴とする製鉄関連設備用転がり軸受の潤滑方法。
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| JP2000294536A JP4714977B2 (ja) | 2000-09-27 | 2000-09-27 | 転がり軸受の潤滑方法 |
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| JP2000294536A Expired - Lifetime JP4714977B2 (ja) | 2000-09-27 | 2000-09-27 | 転がり軸受の潤滑方法 |
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