(第1の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図面に従って説明する。本実施の形態は、半導体装置等の製造ラインにて使用される薬液供給システムについて具体化しており、該システムの基本的構成を図1に基づいて説明する。
図1の薬液供給システムでは、薬液の吸引及び吐出を行うための薬液供給ポンプ10を備えている。薬液供給ポンプ10において、ポンプハウジング11内には容積可変部材としてのベローズ式仕切部材12が収容されており、このベローズ式仕切部材12によってポンプ室13と圧力作用室14とが区画形成されている。ベローズ式仕切部材12は、軸方向に伸縮自在のベローズ15と、該ベローズ15の一端部(図の下端部)に取り付けられた仕切板16とを有しており、ベローズ15の他端部(図の上端部)が環状の固定板17に固定されている。ベローズ15の伸縮により仕切板16が移動し、ポンプ室13と圧力作用室14との容積が各々変化する。この場合、ポンプ室13と圧力作用室14との合計容積は、ベローズ15の伸縮に関係なく不変であるため、例えばポンプ室13の容積増加量は圧力作用室14の容積減少量に相当する(もちろん増減が逆の場合も同様である)。
ポンプハウジング11には、ポンプ室13に連通する吸引ポート18と吐出ポート19とが形成されており、吸引ポート18に吸引配管21が接続され、吐出ポート19に吐出配管22が接続されている。吸引配管21には吸引側開閉弁である吸引バルブ23が設けられており、吸引バルブ23は電磁弁24の通電状態に応じて開閉される。また、吐出配管22には吐出側開閉弁である吐出バルブ25が設けられており、吐出バルブ25は電磁弁26の通電状態に応じて開閉される。例えば、吸引バルブ23及び吐出バルブ25は、空気圧力により開閉操作されるエアオペレートバルブで構成されており、電磁弁24,26の通電状態に応じて各バルブ23,25に作用する空気圧力が調節され、それに伴い各バルブ23,25が開閉される。
吸引配管21は、ポンプ室13に向けてレジスト液等の薬液を供給するための薬液供給通路を構成するものであり、図示しない薬液ボトル(薬液貯留容器)内に貯留された薬液、或いは工場の薬液配管より供給される薬液が吸引配管21を通じてポンプ室13に供給される。これにより、ポンプ室13内に薬液が充填される。また、吐出配管22は、ポンプ室13内に充填された薬液を排出するための薬液排出通路を構成するものであり、ポンプ室13から排出される薬液が吐出配管22を通じて薬液吐出ノズル(図示略)に供給される。薬液吐出ノズルは、下方に指向されるとともに、回転板等の上に載置された半導体ウエハの中心位置に薬液が滴下されるように配置されており、薬液吐出ノズルから半導体ウエハ上に適量の薬液が滴下されることで、ウエハ表面への薬液の塗布作業が行われるようになっている。
同じくポンプハウジング11には、圧力作用室14に連通する給排ポート27が形成されており、この給排ポート27に電空レギュレータ28が接続されている。電空レギュレータ28は、圧力作用室14内の空気圧力を操作するための圧力操作手段を構成するものであり、内蔵された電磁式切替弁の切替操作によって、圧力作用室14に圧縮空気を供給する圧縮空気供給状態と、同圧力作用室14内の空気を外部に排出する大気開放状態とが切り替えられるようになっている。
ポンプハウジング11にはケース体31が組み付けられており、ポンプハウジング11に形成された貫通孔32にはケース体31側に突出するようにして細長円柱状のロッド33が摺動可能に挿通されている。すなわち、ロッド33は、一端が圧力作用室14内に突出し、他端がケース体31で囲まれた内部空間に突出している。ロッド33の圧力作用室14側の端部にはベローズ式仕切部材12の仕切板16が結合されており、仕切板16の移動(すなわちベローズ15の伸縮動作)に伴いロッド33が図の上下方向に往復動する。
また、ロッド33のケース体31側の端部にはバネ受け板34が連結されており、このバネ受け板34とポンプハウジング11の外壁面との間には圧縮コイルバネ35が介在されている。ロッド33は、圧縮コイルバネ35の付勢力により常に図の上方へ付勢されている。圧縮コイルバネ35は、圧力作用室14内の空気圧力とは相反する向きにベローズ式仕切部材12を付勢するための付勢手段に相当する。
上記構成により、圧力作用室14内に圧縮空気が導入されない状態(大気開放状態)では、圧縮コイルバネ35の付勢力によりベローズ式仕切部材12のベローズ15が収縮状態とされ、ポンプ室13内の容積が増加する。このとき、吸引バルブ23を開弁、吐出バルブ25を閉弁させることにより、吸引配管21を通じてポンプ室13内に薬液が吸入される。また、圧縮空気供給状態では、図示しない空圧源から供給される圧縮空気が電空レギュレータ28と給排ポート27とを通じて圧力作用室14内に導入され、圧力作用室14内の空気圧力と圧縮コイルバネ35の付勢力とのバランスに応じてベローズ15が伸長されてポンプ室13内の容積が減少する。このとき、吸引バルブ23を閉弁、吐出バルブ25を開弁させることにより、ポンプ室13内に充填されている薬液が吐出配管22を通じて排出される。
ケース体31内には、ロッド33の移動量(すなわちベローズ15の伸縮量)を検出するための位置検出器36が設けられている。なお図1において、符号37はロッド33を往復動可能に保持するためのリニアベアリングであり、符号38は圧力作用室14からの空気漏れを防止するための軸シールである。
コントローラ40は、CPUや各種メモリ等よりなるマイクロコンピュータを主体として構成される電子制御装置であり、薬液供給ポンプ10による薬液の吸引及び吐出の状態を制御する。コントローラ40には、本システム全体を統括して管理する管理コンピュータ(図示略)から吸引/吐出信号、吸引速度指令及び吐出流量指令が入力されるとともに、位置検出器36から位置検出信号が入力される。そして、コントローラ40は、都度入力される信号に基づいて電磁弁24,26を通電又は非通電の状態として吸引バルブ23と吐出バルブ25との開閉状態を制御する一方、電空レギュレータ28に対する制御指令値(操作エア圧力指令値)を算出して該指令値により電空レギュレータ28の状態を制御する。このとき特に、コントローラ40は、薬液の吸引時及び吐出時においてベローズ15の伸縮に伴う仕切板16(ロッド33)の移動速度が目標の移動速度となるよう電空レギュレータ28の状態(操作エア圧力)をフィードバック制御する。加えて、コントローラ40は、位置検出器36の位置検出信号に基づいて吐出流量値を算出し、該算出値を管理コンピュータ等に出力する。
次に、コントローラ40における吐出流量制御の概要を図2を用いて説明する。
コントローラ40は、吸引速度指令に基づいて薬液吸引時における仕切板16の移動速度を算出するとともに、吐出流量指令に基づいて薬液吐出時における仕切板16の移動速度を算出する。ここで、薬液吐出時における移動速度の算出時には、移動速度と吐出流量との関係を表すポンプ吐出特性に基づいて同移動速度の算出が行われる。具体的には、仕切板16の移動量と薬液供給ポンプ10の吐出量とは図3に示す関係にある。図3によれば、仕切板16の移動量に対するポンプ吐出量が線形となり、この関係を用いて仕切板16の移動速度が算出される。
ここで、吐出流量をQ、ベローズ有効面積をA、仕切板16の移動距離をX、仕切板16の移動時間をtとして、ポンプ吐出特性を数式化すると、同特性は、
Q=A*X/t
として表される。上記数式において「X/t」が仕切板16の移動速度に相当し、該式によっても移動速度算出が可能となる。
また、コントローラ40は、吸引/吐出信号に基づいて吸引時の移動速度と吐出時の移動速度との何れかを選択する。このとき選択される移動速度が、仕切板16の目標移動速度に相当する。そして、仕切板16の目標移動速度と仕切板16の実際の移動速度(実移動速度)との偏差に基づいて操作エア圧力指令値を算出するとともに、その操作エア圧力指令値に基づいて電空レギュレータ28の駆動を制御する。
一方、コントローラ40は、薬液供給ポンプ10に設けた位置検出器36の検出結果に基づいて仕切板16の実際の移動速度(実移動速度)を算出する。この実移動速度の算出値は、電空レギュレータ28のフィードバック制御に用いられる他、都度の吐出流量の演算に用いられる。吐出流量演算に関して、コントローラ40は、前述したポンプ吐出特性(例えば図3の関係)を用いて仕切板16の実移動速度を吐出流量に変換し、その結果を吐出流量値として管理コンピュータ等に出力する。
次に、上記構成の薬液供給システムにおける薬液の吸入及び吐出動作をより具体的に説明する。ここで、図4は、図1の薬液供給システムを簡略に示す構成図である。図4では、薬液供給ポンプ10において、ポンプ室13内の圧力をポンプ内圧力Pa、吸引配管21内の圧力を吸引側圧力Pin、吐出配管22内の圧力を吐出側圧力Poutとし、更にベローズ15の伸縮に伴う変位をXpとしている。
また、図5は、薬液供給ポンプ10による吸引/吐出の基本動作を示すタイムチャートである。なお、吸引側圧力Pinと吐出側圧力Poutとを比較すると、(1)Pin=Poutとなる場合、(2)Pin>Poutとなる場合、(3)Pin<Poutとなる場合があり、図5では、それら各場合における操作エア圧力(電空レギュレータ28から圧力作用室14に導入される操作エアの圧力)をそれぞれ示している。
図5において、タイミングt1では吸引バルブ23が開弁され、タイミングt2では電空レギュレータ28の駆動によりベローズ15が収縮されることに伴い、ポンプ室13内への薬液の吸引が開始される。この薬液の吸引時において、Pin=Poutの場合には、タイミングt2〜t3で操作エア圧力が徐々に低圧側に操作され、操作エア圧力の低下に伴いベローズ15が収縮する。その後、タイミングt4では、吸引バルブ23が閉弁される。
なおこのとき、Pin>Poutの場合には、タイミングt1で操作エア圧力が一旦所定の高圧値に操作され、タイミングt2以降徐々に低減される。また、Pin<Poutの場合には、タイミングt1で操作エア圧力が一旦所定の低圧値に操作され、タイミングt2以降徐々に低減される。
また、タイミングt5では吐出バルブ25が開弁され、タイミングt6では電空レギュレータ28の駆動によりベローズ15が伸長されることに伴い、ポンプ室13内の薬液の吐出が開始される。この薬液の吐出時において、Pin=Poutの場合には、タイミングt6〜t7で操作エア圧力が徐々に高圧側に操作され、操作エア圧力の上昇に伴いベローズ15が伸長する。その後、タイミングt8では、吐出バルブ25が閉弁される。
なおこのとき、Pin>Poutの場合には、タイミングt5で操作エア圧力が一旦所定の低圧値に操作され、タイミングt6以降徐々に加増される。また、Pin<Poutの場合には、タイミングt5で操作エア圧力が一旦所定の高圧値に操作され、タイミングt6以降徐々に加増される。
タイミングt6〜t7の期間で一定流量の定量吐出が行われる。そして、こうした吸引/吐出動作が繰り返し実行される。
ところで、薬液供給システムでは、吐出バルブ25を開弁させた時にポンプ室13内の圧力と吐出配管22内の圧力とに差があると、急激な薬液吐出又は薬液の逆流(吸引)などが生じると考えられる。これを以下に説明する。
すなわち、薬液供給ポンプ10を含む薬液供給システムにおいて、吸引側圧力Pinと吐出側圧力Poutとを比較すると、それら各圧力は同一ではなく、多くの場合Pin>Pout、又はPin<Poutとなる。これは、薬液供給源からの薬液供給形態や、吸引配管21と吐出配管22の高さ位置の違いなどに起因するものであり、例えば、薬液供給源から薬液供給ポンプ10に対して薬液が圧送供給される場合にはPin>Poutとなり、吐出配管22が吸引配管21よりも高位である場合にはPin<Poutとなる。こうして圧力差が生じると、吐出バルブ25の開弁時において急激な薬液吐出や薬液の逆流(吸引)が生じる。その具体的な状況を図6のタイムチャートにより説明する。図6の(a)は、Pin>Poutとなる場合に関するタイムチャートであり、(b)は、Pin<Poutとなる場合に関するタイムチャートである。なお、吸引/吐出の各バルブの開閉動作やベローズ15の伸縮動作のタイミングは前記図5で説明した通りである。
図6の(a)では、薬液供給源から薬液が圧送供給されるなどの理由により、本システムにおいて吸引側圧力Pinが吐出側圧力Poutよりも高圧となっている(Pin>Pout)。かかる場合、タイミングt11で吸引バルブ23が開弁されることにより、ポンプ内圧力Paが吸引側圧力Pinと同じになり、その後前述の通りベローズ15の収縮に伴いポンプ室13内に薬液が吸引される。これにより、薬液の吸引完了時において、ポンプ室13内は比較的高圧な薬液が充填された状態となる。
そしてその後、タイミングt12では、吐出バルブ25が開弁されることに伴いポンプ室13と吐出配管22(詳細には吐出バルブ25よりも下流側の吐出配管22)とが連通される。このとき、ポンプ内圧力Pa(=吸引側圧力Pin)>吐出側圧力Poutであるため、その圧力差によってベローズ15が伸縮動作を開始する以前に薬液が吐出配管側に流出してしまう。したがって、薬液の吐出量が不用意に変化してしまい、定量吐出が実現できないといった問題が生じる。
一方、図6の(b)では、吐出配管22が吸引配管21よりも高位であるなどの理由により、本システムにおいて吸引側圧力Pinが吐出側圧力Poutよりも低圧となっている(Pin<Pout)。かかる場合、タイミングt21で吸引バルブ23が開弁されることにより、ポンプ内圧力Paが吸引側圧力Pinと同じになり、その後前述の通りベローズ15の収縮に伴いポンプ室13内に薬液が吸引される。これにより、薬液の吸引完了時において、ポンプ室13内は比較的低圧な薬液が充填された状態となる。
そしてその後、タイミングt22では、吐出バルブ25が開弁されることに伴いポンプ室13と吐出配管22(詳細には吐出バルブ25よりも下流側の吐出配管22)とが連通される。このとき、ポンプ内圧力Pa(=吸引側圧力Pin)<吐出側圧力Poutであるため、その圧力差によってベローズ15が伸縮動作を開始する以前に薬液が吐出配管側からポンプ室13内に流入してしまう(薬液の逆流が生じる)。したがって、薬液の吐出量が不用意に変化してしまい、やはり定量吐出が実現できないといった問題が生じる。
そこで本実施の形態では、ポンプ内圧力Paと吐出側圧力Pout(詳細には吐出バルブ25よりも下流側の吐出配管25内の圧力)とを逐次検出し、薬液の吐出直前においてPa及びPoutの検出圧力に基づいてベローズ15を伸縮させポンプ内圧力Paを吐出側圧力Poutと同じにすることにより上記問題の解決を図ることとしている。
具体的には、図7に示すように、ポンプ内圧力Paを検出するための圧力検出器51と、吐出側圧力Poutを検出するための圧力検出器52とを設け、これら各圧力検出器51,52による圧力検出信号をコントローラ40に対して出力する。コントローラ40は、吐出バルブ25の開弁前においてポンプ内圧力Paが吐出側圧力Poutよりも高圧である場合(Pa>Poutの場合)に、ポンプ内圧力Paと吐出側圧力Poutとの圧力差に応じて電空レギュレータ28による操作エア圧力を低圧側に操作し、ベローズ15を収縮させる。これにより、ポンプ内圧力Paが低くなり、ポンプ内圧力Paが吐出側圧力Poutと同じになる。また、コントローラ40は、吐出バルブ25の開弁前においてポンプ内圧力Paが吐出側圧力Poutよりも低圧である場合(Pa<Poutの場合)に、ポンプ内圧力Paと吐出側圧力Poutとの圧力差に応じて電空レギュレータ28による操作エア圧力を高圧側に操作し、ベローズ15を伸長させる。これにより、ポンプ内圧力Paが高くなり、ポンプ内圧力Paが吐出側圧力Poutと同じになる。
図8は、Pin>Poutとなる場合において、吐出バルブ25の開弁前にポンプ内圧力Paを吐出側圧力Poutと同圧力に調整する際の動作をより具体的に示すタイムチャートである。なお図8において、吸引/吐出の各バルブ23,25の開閉タイミングは前記図5等と同じであり、比較のためにベローズ変位Xpや操作エア圧力に関して基本動作(図5の動作)を二点鎖線で示している。
図8では、薬液の吸引完了後のタイミングt31で吸引バルブ23が閉弁され、そのタイミングt31(又はその直後でも可)に操作エア圧力が低圧側に操作される。これにより、ベローズ15が収縮し、ポンプ内圧力Paが低下する。このとき、圧力検出器51,52によりポンプ内圧力Pa及び吐出側圧力Poutが逐次検出されており、コントローラ40によってPa=Poutとなるように操作エア圧力が制御される。そして、タイミングt32以降、ポンプ内圧力Pa=吐出側圧力Poutとされる。
その後、タイミングt33では、吐出バルブ25が開弁されるが、その際、ポンプ室13と吐出配管22(詳細には吐出バルブ25よりも下流側の吐出配管22)との圧力が同一であるため、図6の(a)で説明したような薬液の漏れ出しが生じることはない。故に、タイミングt34以降において好適なる定量吐出が実現できる。
また、図9は、Pin<Poutとなる場合において、吐出バルブ25の開弁前にポンプ内圧力Paを吐出側圧力Poutと同圧力に調整する際の動作をより具体的に示すタイムチャートである。なお図9において、吸引/吐出の各バルブ23,25の開閉タイミングは前記図5等と同じであり、比較のためにベローズ変位Xpや操作エア圧力に関して基本動作(図5の動作)を二点鎖線で示している。
図9では、薬液の吸引完了後のタイミングt41で吸引バルブ23が閉弁され、そのタイミングt41(又はその直後でも可)に操作エア圧力が高圧側に操作される。これにより、ベローズ15が伸長し、ポンプ内圧力Paが上昇する。このとき、圧力検出器51,52によりポンプ内圧力Pa及び吐出側圧力Poutが逐次検出されており、コントローラ40によってPa=Poutとなるように操作エア圧力が制御される。そして、タイミングt42以降、ポンプ内圧力Pa=吐出側圧力Poutとされる。
その後、タイミングt43では、吐出バルブ25が開弁されるが、その際、ポンプ室13と吐出配管22(詳細には吐出バルブ25よりも下流側の吐出配管22)との圧力が同一であるため、図6の(b)で説明したような薬液の逆流が生じることはない。故に、タイミングt44以降において好適なる定量吐出が実現できる。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
薬液の吐出に際し、吐出バルブ25の開弁前にポンプ内圧力Paを吐出側圧力Poutと同じ圧力にするべくポンプ内圧力Paを増減調整するようにしたため、吐出バルブ25の開弁時に薬液の吐出(漏れ出し)や逆流が生じることが抑制される。その結果、薬液の吐出量を高精度に制御することができるようになる。
吐出バルブ25の開弁前にポンプ内圧力Paを増減調整する際、電空レギュレータ28により操作エア圧力を操作してベローズ15を収縮又は伸長させるようにしたため、吐出バルブ開弁前のポンプ内圧力の増減調整と、吐出バルブ開弁後の薬液吐出とがいずれも操作エア圧力の操作により連続的に行われる。この場合、薬液の吐出開始時における操作エア圧力の変化を連続的かつスムーズに行うことができる。つまり、ベローズ15の変位に伴う薬液の吐出開始時には、それまでのポンプ内圧力Paの増減調整によって操作エア圧力が吐出開始時に要する圧力値になっており、薬液吐出に関する制御性が向上する。
また、吐出バルブ開弁前のポンプ内圧力Paの増減調整を行うため、新たにアクチュエータ等が追加されることなく、上述した所望の効果を得ることができる。
ポンプ内圧力Paと吐出側圧力Poutとを圧力検出器51,52により検出し、その検出値に基づいて吐出バルブ開弁前のポンプ内圧力Paの増減調整を実施するようにしたため、ポンプ内圧力Paと吐出側圧力Poutとの圧力差を正しく求めることができ、その圧力差を好適に解消することができる。
薬液の吸引又は吐出時において、ベローズ式仕切部材12を構成する仕切板16の移動速度(ベローズ15の変位速度)をフィードバック制御する構成としたため、ポンプ室13の容積変化が望みとおりに制御できるようになる。これにより、薬液の吸引流量又は吐出流量を所望とする流量に高精度に制御することが可能となる。また、薬液供給ポンプ10は、電空レギュレータ28により調整される空気圧力を駆動源として薬液の吸引又は吐出を行うため、電動モータによる流量制御を行う電動式システムとは異なり、熱による弊害が生じるおそれがなく、温度管理を要する薬液であっても好適に使用できる。また、電動式アクチュエータの構成に比べて、ポンプ駆動系の構成の簡素化を図ることもできる。
薬液供給ポンプ10により薬液の吐出を繰り返し実行する場合、吐出バルブ開弁前のポンプ内圧力Paの増減調整のための操作エア圧力に関する過去データに基づいて都度のポンプ内圧力Paの増減調整を実施すると良い。この場合、過去に行われたポンプ内圧力Paの増減調整を容易に再現できる。
具体的には、吐出バルブ開弁前のポンプ内圧力Paの増減調整時において操作エア圧力の挙動(例えば、図8のt31〜t32の挙動、図9のt41〜t42の挙動)をコントローラ40にて記憶し、その記憶値(過去データに相当)に基づいて次回以降のポンプ内圧力Paの増減調整を実施する。例えば、吐出バルブ開弁前に操作すべき操作エア圧力値(図8のタイミングt32の操作エア圧力値、図9タイミングt42の操作エア圧力値)の過去の複数回のデータを平均化し、その平均値(又は平均値の90%の値など)を使用する。又は、最小二乗近似にて操作エア圧力値の切片(吐出開始時の最適値)を算出してその値を使用する。その他、前回データをそのまま流用する手法などを用いることも可能である。
上記薬液供給システムでは、圧力検出器51,52によりポンプ内圧力Paや吐出側圧力Poutを検出する構成としたが、これに代えて、これら各圧力を演算により求める構成とすることも可能である。ポンプ内圧力Paや吐出側圧力Poutを算出する手法について以下に説明する。
図1において、ベローズ式仕切部材12には、その一方の側(図の上方側)から圧力作用室14内の空気圧力が作用し、他方の側(図の下方側)から圧縮コイルバネ35による付勢力とポンプ室13内の圧力とが作用する。そして、それらの力が均衡した位置にベローズ式仕切部材12が制御される。この場合、圧力作用室14内の気体圧力によりベローズ式仕切部材12が受ける力をFs、圧縮コイルバネ35によりベローズ式仕切部材12が受ける力をFb、ポンプ室13内の圧力によりベローズ式仕切部材12が受ける力をFpとすると、
Fs=Fb+Fp
の関係が成立する。ここで、Fb(圧縮コイルバネ35によりベローズ式仕切部材12が受ける力)は、ベローズ式仕切部材12の作動量に相関しており、バネ定数をk、吸引しきった時(完全収縮時)のベローズ位置をXa、作動中のベローズ位置をXとすると、
Fb=k*(Xa+X)
で与えられる。
Fs(圧力作用室14内の空気圧力によりベローズ式仕切部材12が受ける力)は、圧力作用室14内の空気圧力から算出でき、ベローズ有効面積をA、圧力作用室14内の空気圧力をPsとすると、
Fs=A*Ps
で与えられる。
また、Fp(ポンプ室13内の圧力によりベローズ式仕切部材12が受ける力)は、
Fp=A*Pa
で与えられる(Paはポンプ内圧力)。この場合、Fp=Fs−Fbであたるため、ポンプ室圧力Paは、
Pa=Ps−k/A*(Xa+X) …(1)
となる。ここで、k,A,Xaは固定値であり、圧力作用室14内の空気圧力Ps(操作エア圧力)と作動中のベローズ位置Xとを計測することにより、ポンプ室圧力Paが算出できる。
コントローラ40は、薬液の吸引時において、上記式(1)を用い、その都度の圧力作用室14内の空気圧力Ps(操作エア圧力)と作動中のベローズ位置Xとに基づいてポンプ内圧力Paを算出する。また、薬液の吐出時において、上記式(1)を用い、その都度の圧力作用室14内の空気圧力Ps(操作エア圧力)と作動中のベローズ位置Xとに基づいて吐出側圧力Poutを算出する。
以上により、圧力検出器51,52を設けなくてもポンプ内圧力Paと吐出側圧力Poutとの取得が可能となる。この場合、圧力検出器が不要となるため、構成の簡素化やコストの低減が実現できる。また、薬液に直接晒されるセンサ装置等がなくなるために、薬液による腐食防止対策が強いられることはなく、その腐食防止にかかる分のコスト削減も可能となる。
(第2の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、圧力検出器51,52によりポンプ内圧力Paと吐出側圧力Poutとを検出し、吐出バルブ25の開弁前にこれら各圧力が同一となるように電空レギュレータ28の操作エア圧力を制御したが、本実施の形態ではこれを変更し、あらたに設けた2つのダイアフラムの変位量を制御することによりポンプ内圧力Paと吐出側圧力Poutとが同一となるよう調整する。以下、第1の実施の形態との相違部分を中心に説明する。
図10は、本実施の形態における薬液供給システムの概要を示す概略図である。なお図10では、上記実施の形態と同様の構成については同一の部材番号を付しており、その説明は省略する。
図10において、薬液供給ポンプ10には、ポンプ室13の容積を可変とする第1ダイアフラム61が設けられるとともに、吐出配管22には、当該吐出配管22内の容積を可変とする第2ダイアフラム62が設けられている。例えば、第1ダイアフラム61はポンプ室13の外壁部に設けられ、当該ダイアフラム61により区画形成される作動室63内の圧力に応じて撓み変形する。このとき、作動室63内の圧力が上昇してダイアフラム61が図の右方(ポンプ室13側)に撓み変形することで、ポンプ室13内の容積が減じられ、逆に作動室63内の圧力が下降してダイアフラム61が図の左方(反ポンプ室13側)に撓み変形することで、ポンプ室13内の容積が増える。吸引/吐出の各バルブ23,25が共に閉弁状態である場合において、上記のようなダイアフラム61の撓み変形によりポンプ内圧力Paが上昇又は下降する。
また、第2ダイアフラム62は吐出配管22の壁部に設けられ、当該ダイアフラム62により区画形成される作動室64内の圧力に応じて撓み変形する。このとき、作動室64内の圧力が上昇してダイアフラム62が図の左方(吐出配管22側)に撓み変形することで、吐出配管22内の容積が減じられ、逆に作動室64内の圧力が下降してダイアフラム62が図の右方(反吐出配管22側)に撓み変形することで、吐出配管22内の容積が増える。こうしてダイアフラム62が撓み変形することにより、吐出配管22内の圧力(吐出側圧力Pout)が上昇又は下降する。
ただし、各ダイアフラム61,62は、吐出バルブ25を挟んで上流側(ポンプ室13側)と下流側(吐出側)とにそれぞれ設けられていれば良く、例えば、第1ダイアフラム61に関してポンプ室13の外壁部ではなく吐出バルブ25よりも上流側の吐出配管22に設けられる構成であっても良い。
各作動室63,64にはエア供給配管65が接続されており、そのエア供給配管65には、ダイアフラム操作用の電空レギュレータ69からダイアフラム操作エアが供給される。このとき、各作動室63,64はエア供給配管65によって連通されており、各作動室63,64内の圧力が、電空レギュレータ69から供給されるダイアフラム操作エアの圧力(以下、ダイアフラム制御圧力Pairという)により調整されるようになっている。また、エア供給配管65には、各ダイアフラム61,62の変形量を各々検出するためのダイアフラム位置検出器67,68が設けられている。ダイアフラム位置検出器67,68の構成は任意であるが、本実施の形態ではダイアフラム61,62の一側面にロッド61a,62aを設け、そのロッド61a,62aの位置を検出する構成としている。ダイアフラム位置検出器67,68の検出信号はコントローラ40に対して出力される。
コントローラ40は、吐出バルブ25の開弁前において吐出側圧力Poutとポンプ内圧力Paとが同一となるように、電空レギュレータ69によるダイアフラム制御圧力Pairと電空レギュレータ28による操作エア圧力とを調整する。
詳細には、
(A)コントローラ40は、ダイアフラム位置検出器68の検出信号に基づいて、第2ダイアフラム62のロッド62aがあらかじめ定めた基準位置(ゼロ点)に来るように電空レギュレータ69によるダイアフラム制御圧力Pairを調整する。これにより、ダイアフラム制御圧力Pairが吐出側圧力Poutと同じ圧力となる(Pair=Poutとなる)。
(B)そしてその状態で、コントローラ40は、ダイアフラム位置検出器67の検出信号に基づいて、第1ダイアフラム61のロッド61aがあらかじめ定めた基準位置(ゼロ点)に来るように電空レギュレータ28による操作エア圧力を調整する。これにより、ポンプ内圧力Paがダイアフラム制御圧力Pairと同じ圧力になる(Pa=Pairとなる)。このとき、第1ダイアフラム61の基準位置は該ダイアフラム61の張力が最小となる位置である。
上記(A)、(B)の処理が吐出バルブ25の開弁前に行われることにより、吐出側圧力Poutとポンプ内圧力Paとが同一とされる。なお、上記(A)において、第2ダイアフラム62の操作に伴う吐出配管22内の容積変化により吐出流量に影響が及ぶ場合には、吐出バルブ25の開弁前だけでなく、該(A)の処理を常時実施するのが望ましいと考えられる。
以上第2の実施の形態によれば、2つのダイアフラム61,62の作動により、吐出バルブ25の開弁前におけるポンプ内圧力Paの増減調整を好適に行うことができる。この圧力調整時には、第1ダイアフラム61の張力が最小(例えば張力=0)となる位置で第1ダイアフラム61が操作されるため、ダイアフラム張力による誤差をなくすことができる。
(第3の実施の形態)
上記実施の形態では、吐出バルブ25の開弁前において電空レギュレータ28の操作エア圧力を調整することにより、ポンプ内圧力Paと吐出側圧力Poutとを同一にするようにしたが、本実施の形態ではこれを変更する。すなわち、ベローズ15及び電空レギュレータ28とは別に、ポンプ室容積を可変とするダイアフラムアクチュエータを設け、このダイアフラムアクチュエータの駆動によりポンプ内圧力Paが吐出側圧力Poutと同じになるように制御を実施する。
図11は、本実施の形態における薬液供給システムの概要を示す概略図である。なお図11では、上記実施の形態と同様の構成については同一の部材番号を付しており、その説明は省略する。
図11において、薬液供給ポンプ10には、ポンプ室13の容積を可変とするダイアフラムアクチュエータ70が設けられている。このダイアフラムアクチュエータ70はダイアフラム71を有し、このダイアフラム71によってポンプ室13とダイアフラム作動室72とが区画されている。ダイアフラム作動室72にはダイアフラム操作用の電空レギュレータ73からダイアフラム操作エアが供給され、ダイアフラム71は、ダイアフラム操作エアの圧力(以下、ダイアフラム制御圧力Pairという)に応じて撓み変形する。このとき、ダイアフラム制御圧力Pairが上昇してダイアフラム71が図の右方(ポンプ室13側)に撓み変形することで、ポンプ室13内の容積が減じられ、逆にダイアフラム制御圧力Pairが下降してダイアフラム71が図の左方(反ポンプ室13側)に撓み変形することで、ポンプ室13内の容積が増える。吸引/吐出の各バルブ23,25が共に閉弁状態である場合において、上記のようなダイアフラム71の撓み変形によりポンプ内圧力Paが上昇又は下降する。
また、ポンプ室13には、ポンプ内圧力Paを検出するための圧力検出器75が設けられ、吐出配管22には、吐出側圧力Poutを検出するための圧力検出器76が設けられており、これら各圧力検出器75,76による圧力検出信号がコントローラ40に対して出力される。
コントローラ40は、吐出バルブ25の開弁前においてポンプ内圧力Paが吐出側圧力Poutよりも高圧である場合(Pa>Poutの場合)に、ポンプ内圧力Paと吐出側圧力Poutとの圧力差に応じて電空レギュレータ73を駆動し、ダイアフラム制御圧力Pairを低圧側に操作してダイアフラム71を撓み変形させる。これにより、ポンプ内圧力Paが低くなり、ポンプ内圧力Paが吐出側圧力Poutと同じになる。また、コントローラ40は、吐出バルブ25の開弁前においてポンプ内圧力Paが吐出側圧力Poutよりも低圧である場合(Pa<Poutの場合)に、ポンプ内圧力Paと吐出側圧力Poutとの圧力差に応じて電空レギュレータ73を駆動し、ダイアフラム制御圧力Pairを高圧側に操作してダイアフラム71を撓み変形させる。これにより、ポンプ内圧力Paが高くなり、ポンプ内圧力Paが吐出側圧力Poutと同じになる。
図12は、Pin>Poutとなる場合において、吐出バルブ25の開弁前にポンプ内圧力Paを吐出側圧力Poutと同圧力に調整する際の動作をより具体的に示すタイムチャートである。なお図12において、吸引/吐出の各バルブ23,25の開閉タイミングや操作エア圧力の変化(ベローズ15の変位)は前記図5等と同じである。
図12では、薬液の吸引完了後のタイミングt51で吸引バルブ23が閉弁され、そのタイミングt51(又はその直後でも可)にダイアフラム制御圧力Pairが低圧側に操作される。これにより、ダイアフラム71が変形してポンプ内圧力Paが低下する。このとき、圧力検出器75,76によりポンプ内圧力Pa及び吐出側圧力Poutが逐次検出されており、コントローラ40によってPa=Poutとなるようにダイアフラム制御圧力Pairが制御される。そして、タイミングt52以降、ポンプ内圧力Pa=吐出側圧力Poutとされる。
その後、タイミングt53では、吐出バルブ25が開弁されるが、その際、ポンプ室13と吐出配管22(詳細には吐出バルブ25よりも下流側の吐出配管22)との圧力が同一であるため、薬液の漏れだしが生じることはない。故に、タイミングt54以降において好適なる定量吐出が実現できる。なお、Pa=Poutとなるようにダイアフラム制御圧力Pairが制御された後、該制御後のPairはそのまま維持されても良いし、吐出終了後に一旦リセットして次回の吐出バルブ25の開弁直前に再度調整されても良い。
また、図13は、Pin<Poutとなる場合において、吐出バルブ25の開弁前にポンプ内圧力Paを吐出側圧力Poutと同圧力に調整する際の動作をより具体的に示すタイムチャートである。なお図13において、吸引/吐出の各バルブ23,25の開閉タイミングや操作エア圧力の変化(ベローズ15の変位)は前記図5等と同じである。
図13では、薬液の吸引完了後のタイミングt61で吸引バルブ23が閉弁され、そのタイミングt61(又はその直後でも可)にダイアフラム制御圧力Pairが高圧側に操作される。これにより、ダイアフラム71が変形してポンプ内圧力Paが上昇する。このとき、圧力検出器75,76によりポンプ内圧力Pa及び吐出側圧力Poutが逐次検出されており、コントローラ40によってPa=Poutとなるようにダイアフラム制御圧力Pairが制御される。そして、タイミングt62以降、ポンプ内圧力Pa=吐出側圧力Poutとされる。
その後、タイミングt63では、吐出バルブ25が開弁されるが、その際、ポンプ室13と吐出配管22(詳細には吐出バルブ25よりも下流側の吐出配管22)との圧力が同一であるため、薬液の逆流が生じることはない。故に、タイミングt64以降において好適なる定量吐出が実現できる。
以上第3の実施の形態によれば、ダイアフラムアクチュエータ70及び電空レギュレータ73の作動により吐出バルブ開弁前のポンプ内圧力Paの増減調整を実施するようにしたため、吸引/吐出の通常制御に用いる電空レギュレータ28の制御形態を大幅に変更することなくても、所望とする圧力制御を実現することができる。
(第4の実施の形態)
吐出側圧力Poutが大気圧とされる薬液供給システムでは、薬液供給システムを次のように構成すると良い。すなわち、図14に示すように、薬液供給ポンプ10には、ポンプ室13の容積を可変とするダイアフラムアクチュエータ80が設けられている。このダイアフラムアクチュエータ80はダイアフラム81を有し、このダイアフラム81によってポンプ室13とダイアフラム作動室82とが区画されている。ダイアフラム作動室82には、一方が大気開放された配管83が接続され、その配管83には電磁式の開閉弁84が設けられている。このとき、開閉弁84が開弁されることで、ダイアフラム作動室82が大気圧開放される。
コントローラ40は、ポンプ室13内への薬液吸引が完了した後、吐出バルブ25の開弁前に開閉弁84を開弁する。これにより、ダイアフラム作動室82が大気圧開放され、ポンプ内圧力Paが吐出側圧力Pout(大気圧)と同じ圧力に調整される。
以上第4の実施の形態によれば、吐出バルブ開弁前の圧力調整処理としてダイアフラム作動室82を大気圧開放するだけで良いため、前記圧力調整に関して複雑な演算や制御等を排除することができる。
(第5の実施の形態)
吐出側圧力Poutは吐出回ごとに大きく変化する圧力ではなく、ある程度決まった圧力となる。故に本実施の形態では、吐出側圧力Poutを既定の圧力値情報とし、この圧力値情報を用いて吐出バルブ開弁前の圧力調整処理を実施する。
具体的には、薬液供給システムを図15の(a),(b)に示すように構成する。なお、図15の(a),(b)は、前述した図7、図10の一部を変更したものであり、同一の構成については同じ部材番号を付している。
図15の(a)では、前記図7と比較して、吐出側圧力Poutを検出するための圧力検出器52を排除しており、その代わりに、吐出側圧力Poutに関する既定の圧力値情報をコントローラ40に取り込む構成としている。また、図15の(b)では、前記図10と比較して、吐出配管22側のダイアフラム62及びそれに付随する構成を排除しており、その代わりに、吐出側圧力Poutに関する既定の圧力値情報をコントローラ40に取り込む構成としている。
この場合、吐出側圧力Poutを計測又は演算するための手段を無くすことができ、構成の簡素化を図ることができる。
又は、ポンプ内圧力Paに関しても、既定の圧力値情報をコントローラ40に取り込む構成とし、それに伴いポンプ内圧力Paを計測又は演算するための手段を無くすようにすることも可能である。
(第6の実施の形態)
薬液供給システムとして複数の薬液供給ポンプ10を設け、各ポンプ10により交互に吐出動作と供給動作とを繰り返し実行することにより、連続的な薬液供給動作を実現する構成としても良い。図16には、2つの薬液供給ポンプ10a,10bを有するシステムについての概略構成を示す。図16に示す2つの薬液供給ポンプ10a,10bはいずれも前記図1で説明した薬液供給ポンプ10と同様の構成を有するものであり、各ポンプの構成部材については同じ部材番号を付すとともにその説明を省略する。なお、各薬液供給ポンプ10a,10bの吸引配管21は共通の吸引口(薬液ボトル或いは工場の薬液配管)に接続されるとともに、吐出配管22は共通の吐出口(薬液吐出ノズル)に接続されている。
図16において、左側の薬液供給ポンプ10aはベローズ15が収縮状態にあり、かかる状態では、その後ベローズ15が伸長することによりポンプ室13内に充填された薬液の吐出が行われる。また、右側の薬液供給ポンプ10bはベローズ15が伸長状態にあり、かかる状態では、その後ベローズ15が収縮することによりポンプ室13への薬液吸引が行われる。
コントローラ40は、2つの薬液供給ポンプ10a,10bを制御対象として、前述したとおり都度入力される信号に基づいて吸引バルブ23と吐出バルブ25との開閉状態を制御する一方、各電空レギュレータ28に対する制御指令値(操作エア圧力指令値)を算出して該指令値により電空レギュレータ28の状態を制御する。
図17は、本薬液供給システムにおける薬液吐出動作を説明するためのタイムチャートである。図17においては、2つの薬液供給ポンプ10a,10bが交互に吸引動作と吐出動作とを繰り返すことにより、半導体ウエハに対して連続的な薬液供給が実現される。なお図17の説明では便宜上、一方の薬液供給ポンプ10をポンプ(A)、他方の薬液供給ポンプ10をポンプ(B)とするとともに、吸引バルブ及び吐出バルブにも(A),(B)を付して区別する。
さて、タイミングt71以前は、ポンプ(A)が図16の薬液供給ポンプ10aの状態、ポンプ(B)が図16の薬液供給ポンプ10bの状態にあり、吸引バルブ及び吐出バルブは何れも閉鎖されている。そして、タイミングt71以降、START信号の立ち上がりに伴い各ポンプでの薬液吸引及び吐出が行われる。
すなわち、ポンプ(A)側では、タイミングt71で吐出バルブ(A)が開放された後、電空レギュレータ28による空気圧上昇に伴いベローズ15が伸長し、薬液吐出が行われる(タイミングt72〜t76)。また、ポンプ(A)での薬液吐出に並行して、ポンプ(B)側では、タイミングt73〜t74で吸引バルブ(B)が開放されて薬液の吸引が行われる。そして、薬液の吸引完了後のタイミングt75で吐出バルブ(B)が開放される。タイミングt76では、ポンプ(B)側で電空レギュレータ28による空気圧上昇に伴いベローズ15が伸長し、薬液吐出が行われる(タイミングt76〜t77)。以後、ポンプ(A),(B)で交互に吸引/吐出動作が行われ、薬液吐出ノズルの先端部からは連続的に薬液が吐出される。
かかる場合、ポンプ(A)による薬液の吐出期間TAと、ポンプ(B)による薬液の吐出期間TBとが連続して設定され、途切れることなく薬液が連続吐出される。また、薬液の吐出速度が一定に制御されることから、各吐出期間TA,TBが同一となり、薬液の安定供給が可能となる。
ここで、重複となるため図示及び詳細な説明は省略するが、上記のように複数の薬液供給ポンプ10を具備した薬液供給システムにあっても、上記各実施の形態で説明したように、薬液の吐出に際し、吐出バルブ25の開弁前にポンプ内圧力Paを吐出側圧力Poutと同じ圧力にするべくポンプ内圧力Paの増減調整が実施される。そしてこれにより、吐出バルブ25の開弁時において薬液の吐出(漏れ出し)や逆流が生じることが抑制されるようになっている。
薬液供給ポンプ10を複数設け、これら各ポンプ10を交互に吸引動作及び吐出動作させるようにした薬液供給システムでは、薬液の吐出を途切れさせることなく連続的に実施することが可能となる。また、既述したとおりベローズ式仕切部材12(仕切板16)の移動速度をフィードバック制御する構成としたため、各ポンプでの薬液吐出に要する時間を毎回一定とすることができ、薬液の安定供給が可能となる。
複数の薬液供給ポンプ10を備えたシステムでは、ポンプ内圧力Paと吐出側圧力Poutとの圧力差に起因して薬液の吐出(漏れ出し)や逆流が生じると薬液の吐出流量が脈動する。しかしながら、上記の各実施の形態で説明したように、吐出バルブ25の開弁前にポンプ内圧力Paを増減調整することにより、薬液の吐出(漏れ出し)や逆流を抑制することができ、薬液の吐出流量が脈動するといった不都合も解消できる。
一方の薬液供給ポンプにおけるポンプ内圧力の増減調整(操作エア圧力など)に関するデータに基づいて、他方の薬液供給ポンプにおけるポンプ内圧力の増減調整を実施すると良い。この場合、ポンプ内圧力の増減調整を行うための各種部材などを一の薬液供給ポンプについてのみ設ければ良く、構成の簡素化が可能となる。また、演算の負荷も軽減できる。
なお、本発明は上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施しても良い。
上記各実施の形態では、薬液供給ポンプ10において容積可変部材としてベローズ式仕切部材12(ベローズ15)を用いたが、この構成を変更する。例えば、容積可変部材としてダイアフラムを用いる。容積可変部材としてダイアフラムを用いた薬液供給ポンプでは、ベローズを用いた薬液供給ポンプと比して液溜まりが少ないといったメリットがある。故に、液溜まりが少なく、かつ高精度な薬液流量制御を可能とする薬液供給システムが実現できる。ベローズやダイアフラムは、可撓性材料により容積可変部材を構成するものであるが、これに代えて空圧駆動式のピストンを用いても良い。また、これらはいずれも圧力作用室内の気体圧力によって作動(変位)するものであるが、これ以外に、電動式の容積可変部材(モータ駆動式のピストンなど)を用いることも可能である。
上記各実施の形態では、圧力作用室内の空気圧力(操作エア圧力)を減圧する際、電空レギュレータを大気開放状態としたが、これを変更する。例えば、電空レギュレータに真空源を接続し、その真空源の作動により圧力作用室内を負圧とする。こうした空気圧力の操作によってベローズやダイアフラム等の作動量を任意に制御できる。この場合、ケース体内に設けた圧縮コイルバネを無くすことが可能となる。
上記第6の実施の形態では、複数の薬液供給ポンプを具備する薬液供給システムの具体例として、複数個の薬液供給ポンプを組み合わせて各ポンプ間を配管等により接続する構成としたが、それら複数個の薬液供給ポンプが一体化されたポンプユニットを採用するようにしても良い。つまり、同一のポンプハウジングに、又は複数のポンプハウジングが結合により一体化されたハウジングブロックに複数のポンプ室を設ける構成とする。本構成によれば、配管等の削減や省スペース化を図ることができる。
10…薬液供給ポンプ、12…ベローズ式仕切部材、13…ポンプ室、14…圧力作用室、15…ベローズ、21…吸引配管、22…吐出配管、23…吸引バルブ、25…吐出バルブ、28…電空レギュレータ、35…圧縮コイルバネ、36…位置検出器、40…コントローラ、51,52…圧力検出器、61…第1ダイアフラム、62…第2ダイアフラム、63,64…作動室、69…電空レギュレータ、70…ダイアフラムアクチュエータ、71…ダイアフラム、72…ダイアフラム作動室、73…電空レギュレータ、75,76…圧力検出器、80…ダイアフラムアクチュエータ、81…ダイアフラム、82…ダイアフラム作動室、84…開閉弁。