JP4797143B2 - 触媒反応制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、異なる刺激応答性を有する2種以上のポリマーにそれぞれ少なくとも触媒活性の異なる触媒を固定化し、刺激によってその状態を変化させることでそれぞれの触媒活性の発現を制御し、触媒反応を制御する方法に関する。さらには、該刺激応答性ポリマーを磁性微粒子に固定化し、ポリマーの状態変化と磁場を利用して触媒活性の発現を制御し、触媒反応を制御する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
刺激応答性ポリマーを蛋白の活性部位に結合させ溶液の状態変化により活性を制御する方法が考えられており、例えば、Nature(1995),vol.378,472-474ではストレプトアビジンのビオチン結合部位に、水溶液中で温度応答性を示し、下限臨界溶液温度を30℃付近に有するポリマーとして知られているポリイソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)を結合させ、PNIPAMが溶解している30℃以下の温度ではビオチンがストレプトアビジンに結合するのに対し、PNIPAMが凝集する30℃以上の温度ではビオチンが結合しにくくなる方法を報告している。
【0003】
また、特表2000−500733号には、種々のアッセイ、分離、プロセッシング等で有用な部位特異的結合体を形成するための相互作用性分子と刺激応答性成分とを組み合わせた、刺激に応答する相互作用性分子結合体が記載されており、刺激を与えることにより、ポリマー−結合生体分子の選択的な分割、相分離、沈殿等が達成されることが記載される。
【0004】
しかしながら、これらの方法では一種類の酵素活性のみしか制御できず、2種以上の蛋白の活性の簡便な制御方法が望まれていた。また、全ての蛋白の活性部位に上手くポリマーを結合させることは困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、各種バイオリアクターやセンサー、コポリマーの合成等に幅広く応用できる、触媒の活性の発現を制御し、触媒反応を簡便に制御できる方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前述の問題を解決すべく鋭意努力した結果、刺激応答性を示す2種以上のポリマーにそれぞれ少なくとも触媒活性の異なる触媒を固定化することにより、それぞれのポリマーの性能に悪影響を及ぼすことなく刺激応答性が良好に発現できること、すなわち、それぞれのポリマーの刺激応答性の違いを利用して触媒活性の発現を制御し、触媒反応を制御できることを見出したものである。更に本発明では、ポリマーを蛋白質に固定化させることによりポリマーごと蛋白質を回収するものであるため、ポリマーが蛋白質に固定化(結合も含む)すればそれがどの部位でもよく、従来法と比較して格段に操作が行い易いという利点を有する。すなわち、本発明は以下の構成からなる。
【0007】
(1)刺激応答性の異なる少なくとも2種のポリマーに、それぞれ触媒活性が異なる少なくとも1種の触媒を固定化し、該少なくとも2種のポリマーの刺激応答性の差を利用して、該ポリマー上の触媒活性の発現を制御することを特徴とする触媒反応制御方法。
【0008】
(2)該触媒を固定化した刺激応答性ポリマーの少なくとも1種を磁性微粒子に固定化することを特徴とする上記(1)に記載の触媒反応制御方法。
【0009】
(3)該刺激応答性の異なる少なくとも2種のポリマーが、相転移温度の異なる少なくとも2種の温度応答性ポリマーを含むことを特徴とする上記(1)または(2)記載の触媒反応制御方法。
【0010】
(4)該刺激応答性の異なる少なくとも2種のポリマーが、下限臨界溶液温度(LCST)を示すポリマーおよび上限臨界溶液温度(UCST)を示すポリマーを含むことを特徴とする上記(1)または(2)記載の触媒反応制御方法。
【0011】
(5)触媒活性が異なる少なくとも1種の触媒をそれぞれ固定化した、刺激応答性の異なる少なくとも2種のポリマーを含む、上記(1)に記載の触媒反応制御方法を用いたバイオリアクターまたはセンサー。
【0012】
本発明によれば、触媒反応を容易に制御できると共に、触媒を繰り返し使用でき、また触媒を用いて製造した生成物と触媒との分離も簡単に行うことができる。従って、温度変化を繰り返し行うことにより、コポリマー、ペプチド等の化合物を同一バッチ内で合成したり、pHや温度等に応答して信号(発色等)を出す各種センサーに応用したり、触媒として酵素を用いることにより各種バイオリアクターに応用したりすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明に使用する刺激応答性ポリマーは何らかの物理的または化学的な外部刺激に応答して、構造的変化(例えば凝集など)を生じるポリマーであり、かかる外部刺激としては、温度、pH、塩濃度、光等が挙げられる。
【0014】
本発明では、少なくとも2種の刺激応答性ポリマーを用いることにより、その刺激応答性の差を利用して、該刺激応答性ポリマーに固定化した触媒の活性の発現を制御することができる。より具体的には、それぞれ異なる触媒活性を有し、且つ異なる刺激応答性を有する2種以上のポリマーに外部刺激を与え、それにより少なくとも1つの刺激応答性ポリマーが凝集している状態で、遠心分離、濾過等の分離手段により該凝集しているポリマーを触媒ごと溶液から取り除くことにより、それ以外の溶解しているままの状態のポリマーに固定化している触媒の活性のみを発現させることができる。この各種刺激に対応して触媒活性が発現し、各種反応を制御できる機構を利用することにより、種々の反応設計を行うことができる。
【0015】
本発明では、異なる刺激応答性ポリマーを少なくとも2種用い、かつそのうちの少なくとも2種の刺激応答性ポリマーが少なくとも互いに異なる触媒活性を有する触媒を固定していることを特徴とする。これにより、刺激応答性の差を利用して触媒活性の発現を制御することができる。具体的には、例えば下記の如き態様が挙げられる。
【0016】
【表1】
【0017】
ここで、ポリマーA、BおよびCはそれぞれ刺激応答性の異なるポリマーを示す。刺激応答性が異なるポリマーには、外部刺激が異なる場合(例えば温度応答性とpH応答性)や、同じ外部刺激(例えば温度応答性)であっても、その相転移温度が異なる場合や、構造変化の仕方が異なる場合(例えばLCSTとUCST)等が含まれる。
【0018】
また上記表1において、触媒α、βおよびγはそれぞれ異なる種類の触媒を示す。但し、本発明においては、少なくとも2種の刺激応答性ポリマーが有する触媒活性が異なっていればよく、上記表1のように少なくとも2種の刺激応答性ポリマーにそれぞれ異なる種類の触媒を固定化した場合に限らず、同じ触媒を用いてその量を調節して異なる触媒活性とする場合も含むものである。
【0019】
本発明の刺激応答性ポリマーは、公知の刺激応答性ポリマーのいずれでも用いることができる。例えば温度応答性ポリマーとして、下限臨界溶液温度(LCST)を有するポリマーが知られており、ポリイソプロピルアクリルアミド(相転移温度約32℃)、ポリイソプロピルメタクリルアミド(相転移温度約38℃)、ポリビニルメチルエーテル(相転移温度約30℃)、ポリNビニルイソブチルアミド(相転移温度約38℃)、メチルセルロース(相転移温度約65℃)等が挙げられる。例えば、これらの中から相転移温度の異なる2種を選び、それぞれに異なった活性を有する触媒を結合させ、同一の容器内で混合後、溶液の温度を片方だけが凝集する温度とし、凝集したポリマーを遠心分離やろ過等によって取り除くことにより、残りの溶液中では溶解しているポリマーに結合していた触媒活性のみとなる。このようにして容易に触媒活性の発現を制御することができる。
【0020】
また、上限臨界溶液温度(UCST)有するポリマーも知られており、例えば特開2000−86729号では、アクリルアミドとN-アセチルアクリルアミドの共重合体がUCSTを示す事が報告されている。例えば、LCSTを示すポリマー1種とUCSTを示すポリマー1種にそれぞれ異なる触媒を結合させ、同様に溶液の温度変化により触媒活性の制御を行う事も出来る。
【0021】
また、pH応答性ポリマーとしては、ポリアクリル酸またはアクリル酸とイソプロピルアクリルアミドとの共重合体等を挙げることができる。また、光応答性ポリマーとしては、例えばスピロピランをポリイソプロピルアクリルアミドと結合させることにより、光に応答し、凝集収縮を繰り返すポリマーを得ることができる。
【0022】
更に本発明に用いる刺激応答性ポリマーは磁性微粒子に固定化することも出来る。少なくとも1つの刺激応答性ポリマー、好ましくは触媒の固定化した全ての刺激応答性ポリマーを、磁性微粒子に結合させておくことにより、刺激応答性を有する磁性微粒子とすることができ、これにより遠心等の分離操作を行わずに、磁場の操作だけで外部刺激により凝集したポリマーを触媒ごと取り除くことができ、より簡便に、溶解しているポリマーに固定化した触媒の活性のみを発現することができる。
【0023】
なお、本発明において、LCST(下限臨界溶液温度)とは、特定温度以下では溶解状態を維持するが、その特定温度以上の溶液中では不溶性となり凝集する温度を言い、「LCSTを有する磁性微粒子」とは、ある特定温度以下の溶液中では均一に分散するが、溶液の温度を特定温度以上にすると凝集する性質を有する磁性微粒子を意味する。同様に、UCSTとは、特定温度以上では溶解状態を維持するが、その特定温度以下の溶液中では不溶性となり凝集する温度を言い、「UCSTを有する磁性微粒子」とは、ある特定温度以下の溶液中では均一に分散するが、溶液の温度を特定温度以上にすると凝集する性質を有する磁性微粒子を意味する。
【0024】
利用する磁性微粒子はその粒径が1μm以下のものが好ましく、更に1〜100nmの範囲が好ましい。磁性微粒子としては、例えばマグネタイトの粒子等が挙げられる。
またその調整法としては例えば Biocatalysis, 1991, vol.5, 61-69 で述べられているオレイン酸ナトリウムとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを使用し、マグネタイトを二重のミセルとし、水溶液中に分散させる方法等が挙げられる。
【0025】
刺激応答性ポリマーを磁性微粒子の表面に固定化する方法は、物理吸着、水素結合や共有結合などの化学結合等、いずれでもよい。具体的には、刺激応答性ポリマーの合成時に磁性微粒子を存在させる方法や、合成した刺激応答性ポリマーと磁性微粒子を接触させる方法等が挙げられる。また、磁性微粒子表面にカップリング剤を結合させ、そのSH基を基点として刺激応答性を有するポリマーをグラフト重合させることによっても製造することもできる。
【0026】
具体的には、磁性微粒子を例えば刺激応答性を示すポリマー重合時に溶液中に存在させておくことにより、刺激応答性を有するポリマーが磁性微粒子に固定化され、その結果磁性微粒子が刺激応答性を示す様になる。通常1μm以下の粒径の磁性微粒子は磁石での短時間の回収は困難であるが、この方法により得られた磁性微粒子は固定化された刺激応答材料の性質により回収が容易になる。例えば PNIPAMを結合させたものは、LCSTを示すようになる。この磁性微粒子を含む溶液はその温度が LCST以下では溶液中に分散し磁石で回収することが難しいが、温度を LCST以上とすることにより直ちに凝集し、磁石により回収することが出来る。従って、この様な性質を示す磁性微粒子を2種以上調製し、そこへそれぞれ異なる触媒を結合させると、刺激を与えて凝集したものを磁石により回収することにより、溶解したままの磁性微粒子に結合している触媒活性のみが残ることができる。
【0027】
本発明に用いることができる触媒としては特に限定されるものではなく、例えば、酵素、核酸(リボザイム、DNAzyme)、金属触媒等が挙げられる。
これらの触媒を刺激応答性ポリマーへ固定化する方法も特に限定されず、イオン結合、共有結合、特異的相互作用を行う生体分子を用いる方法、包括法等が挙げられ、全ての化学的、物理的あるいは生物的な固定化法が含まれる。
【0028】
例えば刺激応答性ポリマーへ酵素(蛋白)を結合する方法としては、例えば、ポリマー重合時にメタクリル酸等を共重合させる等して、カルボキシル基等の蛋白質と結合し得る官能基を有するポリマーを設計し、カルボジイミド等を用いる既知の蛋白質固定化方法により、酵素等を固定化する方法が挙げられる。また、クラウンエーテルのモノマーを本発明のポリマーに重合させ、Ca2+を配位させることもできる。
【0029】
また、上記の如く蛋白を直接ポリマーに結合する方法に限定されるものでなく、何らかの特異的結合を利用する方法でもよい。例えば、予めビオチンを固定化したポリマーにアビジン化された酵素を結合させたり、あるいはアビジンを介してさらにその空いているビオチン結合部位へ適当なビオチン化酵素を結合させることも出来る。このような特異的結合を利用するものとして、他に、抗原−抗体、抗体−プロテインA(G)、ポリヌクレオチド−相補的塩基配列をもつポリヌクレオチド等が挙げられる。
【0030】
この様なリガンドの結合方法は、先述したように何らかの官能基を持つ様に設計したポリマーに後から結合させても良いし、あるいは重合性を持つように合成したリガンド化合物を用い、ポリマー重合時に予め混合させておくことにより、共重合させることもできる。この重合性を有するリガンド化合物としては、例えば下記一般式(I)で示されるビオチン誘導体を挙げることができる。
【0031】
【化1】
【0032】
式(I)中、R2は水素原子またはアルキル基を示す。R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。Tは酸素原子または=NH基を示す。Wは単結合またはカルボニル基、チオカルボニル基もしくは炭素数1〜5のアルキレン基を示す。Uは単結合または−NH−基、1,2−ジオキシエチレン基もしくは1,2−ジアミノエチレン基を示す。Zは単結合またはカルボニル基、チオカルボニル基、炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子もしくは−NH−基を示す。Vは単結合または炭素数1〜5のアルキレン基を示す。
【0033】
さらに具体的には、下記(Ia)〜(Ic)で表される(イミノ)ビオチン誘導体が好ましい。
【0034】
【化2】
【0035】
一般式(Ia)〜(Ic)中、R1は単結合または炭素数1〜4のアルキレン基を示し、R5は炭素数2または3のアルキレン基を示す。X1は酸素原子または硫黄原子を示し、X2〜X5はそれぞれ独立に酸素原子または−NH−基を示す。T、R2、R3およびR4はそれぞれ上記式(I)で定義される通りである。
【0036】
一般式(Ia)で示される重合性(イミノ)ビオチン誘導体は、一般に下記式(a1)で示される(イミノ)ビオチンまたは(イミノ)ビオチン誘導体の側鎖カルボキシル基を適当な脱離基に変換後、下記一般式(a2)で示されるアクリル誘導体と縮合反応させることにより得ることが出来る。
【0037】
【化3】
【0038】
上記一般式(Ib)で示される重合性(イミノ)ビオチン誘導体は、一般に下記一般式(b1)で示される(イミノ)ビオチン誘導体を、適当なアクリル化剤(b2)(メタクリル化剤も含む。例えばアクリル酸、アクリル酸クロリド、無水アクリル酸、アクリロキシスクシンイミド等のアクリル化剤、メタクリル酸、メタクリル酸クロリド、無水メタクリル酸、メタクリロキシスクシンイミド等のメタクリル化剤)と反応させて得ることが出来る。
【0039】
【化4】
【0040】
ここで、式(b1)の(イミノ)ビオチン誘導体は、式(a1)の(イミノ)ビオチンまたは(イミノ)ビオチン誘導体を適当な還元剤で還元することによりアルコール体(X4=酸素原子)を得ることが出来、更に該アルコール体の水酸基を脱離基機能を有する官能基に変換後、アミン誘導体(X4=−NH−)と置換反応させることにより得ることが出来る。
【0041】
上記一般式(Ic)で示される重合性(イミノ)ビオチン誘導体は、一般に下一般式(c1)で示される(イミノ)ビオチン誘導体を、THF、DMSO、エーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、アセトン、脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン等の非プロトン性溶媒中で、式(c2)で示されるイソシアネート化合物と反応させることにより得ることが出来る。
【0042】
【化5】
【0043】
本発明の重合性ビオチンモノマーの具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記重合性ビオチンモノマーの中でも、特に化合物(B-1)が好ましい。
【0044】
【化6】
【0045】
【化7】
【0046】
本発明の方法を用いることにより、バイオリアクターや各種センサー、コポリマーの共重合などにおいてその触媒活性の発現を有効に制御して触媒反応を制御することができ、その応用範囲は格段に広いものである。
【0047】
【実施例】
以下、実施例を示してこの発明をさらに詳細にかつ具体的に説明するが、この発明は以下の例に限定されるものではない。
【0048】
合成例1[ペルオキシダーゼ結合PNIPAM の調製]
N-イソプロピルアクリルアミド488mgと上記化合物(B-1)16mgを蒸留水25ml中でよく混合し、過硫酸アンモニウム25mgを添加して一晩撹拌しながら重合を行った。これを一昼夜透析し、得られたビオチン共重合PNIPAM(約2%溶液)100μlに市販のアビジン化ペルオキシダーゼを500μlの蒸留水中で良く混合し、ペルオキシダーゼが結合したPNIPAM を得た。得られた高分子は約30℃付近を境に溶解と凝集を繰り返した。
【0049】
合成例2[アルカリフォスファターゼ結合 UCST ポリマーの調製]
N-アクロイルグリシンアミド550mgと上記化合物(B-1)16mgを蒸留水25ml中でよく混合し、過硫酸アンモニウム25mgを添加して6時間撹拌しながら重合を行った。これを一昼夜透析し、得られたビオチン共重合 UCST ポリマー(約2%溶液)100μl に市販のアビジン化アルカリフォスファターゼを500μlの蒸留水中でよく混合し、アルカリフォスファターゼが結合した UCSTポリマーを得た。得られた高分子は約15℃付近を境に溶解と凝集を繰り返した。
【0050】
実施例1[温度変化による酵素活性発現の制御]
合成例1および合成例2で得られたそれぞれのポリマー1mlずつを試験管内で混同し、下記表2に示すように温度をそれぞれ変え、各温度毎に凝集物を遠心分離し、その上清のペルオキシダーゼ活性およびアルカリフォスファターゼ活性を調べた。なお、それぞれの活性は両方のポリマーが溶解している25℃の時の活性を100として示した。温度を変化させることにより、触媒活性の発現を制御できることが分かる。
【0051】
【表2】
【0052】
合成例3[磁性微粒子の調製]
1L容のフラスコ内で硫酸第一鉄83gと亜硫酸ナトリウム0.4gを蒸留水500ml中でよく混合し、40℃で20分間撹拌した。その後、濃アンモニウム125mlを添加し、不溶物を回収し、蒸留水で洗浄しマグネタイトを得た。得られたマグネタイトを1L容のフラスコないで蒸留水500mlに添加し、温度を80℃とした後、オレイン酸ナトリウム7.5gを添加し、同温度で20分間撹拌した。その後、1Nの塩酸でpHを5.5に調製し、得られた不溶物をろ過により集め、蒸留水で洗浄し、オレイン酸の層を有するマグネタイトを得た。これを再度1L容のフラスコに添加し、蒸留水を500ml添加し、溶液の温度を溶液の温度を70℃とした後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム7.5gを添加し、一晩撹拌し磁性微粒子を得た。得られた磁性微粒子はネオジ磁石(0.43T)では回収する事が出来ず。光散乱光度計での分析結果よりその粒径は100nm程度であることが示された。
【0053】
合成例4[ペルオキシダーゼ結合PNIPAM固定化磁性微粒子の調製]
上記合成例3で得られた磁性微粒子1mlを入れた25mlの蒸留水中で上記合成例1と同様に重合を行い、市販のアビジン化ペルオキシダーゼが磁性微粒子上に固定化されたポリマーに結合した。得られた磁性微粒子は LCST を約30℃に有し、溶液の温度が LCST以下の場合は良く分散し、磁石での回収は困難であったが、LCST以上の温度では素早く凝集し、磁石上の5分程放置すると凝集物を回収することが出来た。
【0054】
合成例5[アルカリフォスファターゼ結合 UCSTポリマー固定化磁性微粒子の調製]
上記合成例3で得られた磁性微粒子1mlを入れた25mlの蒸留水中で上記合成例2と同様に重合を行い、市販のアビジン化アルカリフォスファターゼが磁性微粒子上に固定化されたポリマーに結合した。得られた磁性微粒子は UCST を約15℃に有し、溶液の温度が UCST以上の場合は良く分散し、磁石での回収は困難であったが、UCST以下の温度では素早く凝集し、磁石上の5分程放置すると凝集物を回収することが出来た。
【0055】
実施例2[温度変化による酵素活性発現の制御]
上記合成例4および合成例5で得られたそれぞれの磁性微粒子1mlずつをネオジ磁石上の試験管内で混同し、溶液の温度をそれぞれ変化させ磁石上に5分放置した後の上澄みの各酵素の活性を調べ、表3に示した。なお、それぞれの活性は両方の磁性微粒子がよく分散している25℃の時の活性を100として示した。温度変化により、触媒活性の発現を有効に制御できることが分かる。
【0056】
【表3】
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリマーに有効な刺激を変化させることにより、触媒活性の発現を容易に制御して、触媒反応を制御できる。また、触媒を繰り返し使用でき、触媒を用いて製造した生成物と触媒との分離も簡単に行うことができる。従って、刺激変化を繰り返し行うことにより、コポリマー、ペプチド等を同一バッチ内で合成したり、刺激に応答して信号(発色等)を出す各種センサーに応用したりすることができる。また、触媒として酵素を用いることにより各種バイオリアクターに応用することもできる。
Claims (5)
- 刺激応答性の異なる少なくとも2種のポリマーに、それぞれ触媒活性が異なる少なくとも1種の触媒を固定化し、該少なくとも2種のポリマーの刺激応答性の差を利用して、該ポリマー上の触媒活性の発現を制御することを特徴とする触媒反応制御方法。
- 該触媒を固定化した刺激応答性ポリマーの少なくとも1種を磁性微粒子に固定化することを特徴とする請求項1記載の触媒反応制御方法。
- 該刺激応答性の異なる少なくとも2種のポリマーが、相転移温度の異なる少なくとも2種の温度応答性ポリマーを含むことを特徴とする請求項1または2記載の触媒反応制御方法。
- 該刺激応答性の異なる少なくとも2種のポリマーが、下限臨界溶液温度(LCST)を示すポリマーおよび上限臨界溶液温度(UCST)を示すポリマーを含むことを特徴とする請求項1または2記載の触媒反応制御方法。
- 触媒活性が異なる少なくとも1種の触媒をそれぞれ固定化した、刺激応答性の異なる少なくとも2種のポリマーを含む、請求項1記載の触媒反応制御方法を用いたバイオリアクターまたはセンサー。
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