JPH10139689A - 温度・電場応答型コポリマー - Google Patents

温度・電場応答型コポリマー

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JPH10139689A
JPH10139689A JP29505796A JP29505796A JPH10139689A JP H10139689 A JPH10139689 A JP H10139689A JP 29505796 A JP29505796 A JP 29505796A JP 29505796 A JP29505796 A JP 29505796A JP H10139689 A JPH10139689 A JP H10139689A
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temperature
electric field
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copolymer
acrylamide
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JP29505796A
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Yoshihito Osada
義仁 長田
Mitsuo Okano
光夫 岡野
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Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd
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Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度と電場の双方に応答する高分子素材を提
供する。 【解決手段】 温度応答型高分子を構成するアクリルア
ミド系モノマーと、電場応答型高分子を構成するアクリ
ルアミド系モノマーとのコポリマーであって、ゲル形成
性を有し、かつ、温度変化及び電場刺激に応答して可逆
的に相転移し、膨潤・収縮を起こし、電場刺激に応答し
て屈曲変化する性質を有する温度・電場応答型コポリマ
ー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土木・建築、医用
・薬用、農芸、食品等広範な分野において利用が可能な
温度・電場応答型コポリマー、詳細には、温度応答型高
分子を構成するアクリルアミド系モノマーと、電場応答
型高分子を構成するアクリルアミド系モノマーとのコポ
リマーであって、ゲル形成性を有し、かつ、温度変化及
び電場刺激に応答して可逆的に相転移し、膨潤・収縮を
起こし、電場刺激に応答して屈曲変化する性質を有する
温度・電場応答型コポリマーに関する。さらに、上記コ
ポリマーを含有する温度・電場応答型組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】高等動物における筋肉、下等動物や植物
における鞭毛モーターやオジギソウの葉の開閉等の生体
の巧妙な運動機能は、メカノケミカルシステム、即ち
「化学エネルギーを直接力学エネルギーに、あるいは逆
に力学エネルギーを直接化学エネルギーに変換する熱力
学システム」により達成される。従って、メカノケミカ
ルシステムを人工的に模倣することができれば、人工筋
肉、人工神経、選択透過性制御を行なうケミカルバルブ
等が現実のものとなる他、土木・建築、医用・薬用、農
芸、食品等広範な分野において利用が期待されることか
ら、種々の研究がなされている。
【0003】メカノケミカルシステムの開発には、物
質、情報、エネルギーなどの移動・輸送可能な"開放系
材料"の開発が不可欠であり(長田ら、日本臨床、46
巻、5号、145頁、1988)、溶媒組成、化学物
質、イオン強度、pH、光、温度、電場、磁場などの外
部刺激の変化に可逆的に応答する高分子素材を開発する
必要がある。
【0004】このような高分子素材としては、例えば
「温度応答型高分子素材」として、ポリビニルメチルエ
ーテル(PVME)やポリN−イソプロピルアクリルア
ミド(ポリIPAAm)に代表されるポリアクリルアミ
ドアルキル誘導体等を用いた高分子ゲルが知られてお
り、これらの素材は、低温で膨潤し、高温で疎水結合に
よって収縮するため、温度に応答して膨潤/収縮構造変
化を可逆的に引き起こす。
【0005】そのため、上記のPVMEは人工筋肉への
応用が期待されており、PVMEから成る繊維を用い
て、冷・温水の刺激により、人間の腕の様に約300gの重
りを上下させる人工筋肉モデルが検討されている(岸
ら、J.Intell.Mater.Struct.,
4,533頁(1993))。
【0006】また、ポリアクリルアミドアルキル誘導体
を用いた温度応答型高分子素材としては、IPAAmと
疎水性のアルキルメタクリレート(RMA)を共重合さ
せたポリIPAAmゲル(吉田ら、Ind,Eng.C
hem.Res.,31,2339頁,1992)及び
ポリジメチルアクリルアミド(PDMAAm)と親水性
のポリアクリル酸(PAAc)の相互侵入網目(IP
N)(岡野ら、Makromol.Chem.Rapi
d Commun.,13,577頁,1992)が報
告されており、前者は低温で膨潤し、高温で収縮するの
に対し、後者は低温で収縮、高温で膨潤する。
【0007】さらに、基本的に電荷を有する高分子ゲル
であれば電場に応答し膨潤−収縮反応を示すため、種々
の「電場応答型高分子素材」も知られており、例えば、
負電荷を有するポリアクリルアミド誘導体として、ポリ
−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
(PAMPS)、ポリアクリルアミド(PAAm)の部
分加水分解ゲル、また、正電荷を有するポリアクリルア
ミド誘導体として、ポリジメチルアミノプロピルアクリ
ルアミド(PDMAPAA)ゲル等が報告されている。
電場による駆動は最も制御しやすい外部刺激と考えられ
るため、これらの電場応答型素材は、人工筋肉モデル、
ケミカルバルブ、薬物放出制御、人工神経モデル等への
応用が検討されている。
【0008】また、近年においては、温度刺激のみなら
ず、他の刺激にも応答する「二重刺激応答型高分子素
材」の開発が進められており、例えば温度とpHの両方
に応答するものとしてIPAAmとビニル末端ポリジメ
チルシロキサンの共重合体にアニオン性モノマーのアク
リル酸(AAc)を導入した高分子素材が知られてお
り、アミラーゼの封入/放出コントロールに応用されて
いる(Hoffmanら、J.Control.Re
l.,19,171頁,1992)。また、IPAAm
/BMA/AAcの共重合体(Kimら、J.Cont
rol.Rel.,28,143頁,1994)及びI
PAAmとメタクリル酸(MAA)との共重合体(Ch
ristopherら、J.Control.Re
l.,39,57頁,1996)も、温度とpHの両方
に応答し、前者はポリペプタイドの封入/放出コントロ
ールに、後者は抗血栓剤の封入/放出コントロールにそ
れぞれ応用されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
電場応答型高分子素材は、温度に関係なく、常に液体状
であるか、または固体若しくはゲル状であるため、例え
ば、生体内留置型製剤を用いたドラッグデリバリーシス
テムに適用する場合には、液状の電場応答型高分子素材
にあっては、上記素材が体内に吸収されてしまい、薬剤
のパルス放出を行うことが不可能であり、固体またはゲ
ル状の電場応答型高分子素材にあっては、注射器やカテ
ーテルを通過しにくいため投与が困難であるという問題
があった。このような不都合を回避するために、従来
は、薬剤を封入した電場応答型高分子素材を、マイクロ
パーティクル等の剤型にして投与していたが、コスト的
に高価になるとともに、投与の際に疼痛を伴うという問
題があった。従って、生体内留置型製剤に適用するに
は、投与の際には液状で、体内に入ると固体またはゲル
状となるような高分子素材が必要である。
【0010】また、従来の温度応答型高分子素材は、そ
の構成成分により固有の応答温度を有していることか
ら、応答温度を変えたい場合には、その温度に応じた新
たな高分子素材を調製する必要があった。従って、温度
応答型高分子素材の応答温度を、他の刺激により変える
ことができれば便利である。さらに、一定温度条件下に
おいても、電場刺激により形態変化を制御できれば便利
である。
【0011】本発明は、かかる状況に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、温度と電場の双方に応答する高
分子素材を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明によれば、
温度応答型高分子を構成するアクリルアミド系モノマー
と、電場応答型高分子を構成するアクリルアミド系モノ
マーとのコポリマーであって、ゲル形成性を有し、か
つ、温度変化及び電場刺激に応答して可逆的に相転移
し、膨潤・収縮を起こし、電場刺激に応答して屈曲変化
する性質を有する温度・電場応答型コポリマーが提供さ
れる。
【0013】本発明の温度・電場応答型コポリマーにお
いて、温度応答型高分子を構成するアクリルアミド系モ
ノマーは、N−アルキルアクリルアミドモノマーである
ことが好ましく、電場応答型高分子を構成するアクリル
アミド系モノマーは、アクリルアミドアルキルスルホン
酸モノマーまたはその塩であることが好ましい。
【0014】また、本発明の温度・電場応答型コポリマ
ーにおいて、温度応答型高分子を構成するアクリルアミ
ド系モノマーと、電場応答型高分子を構成するアクリル
アミド系モノマーとのモル組成比が1:99〜99:1
であることが好ましく、80:20〜99:1であるこ
とがより好ましい。
【0015】さらに、本発明によれば、上記の温度・電
場応答型コポリマーを含有する温度・電場応答型組成物
が提供される。上記の温度・電場応答型組成物はイオン
コンプレックス形成剤を含有してもよく、また、イオン
コンプレックス形成剤はアニオン性、カチオン性または
両性界面活性剤であることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の温度・電場応答型コポリ
マーは、温度変化及び電場刺激のいずれによっても可逆
的に相転移し、収縮・膨潤を起こすものである。ここ
で、相転移とは、物質が異なる相(気体、液体、固体)
へ、または物理的性質や原子配列が異なる状態へ移る協
同現象をいい、相転移の結果として、収縮・膨潤等の体
積変化が起こる。また、本発明の温度・電場応答型コポ
リマーは、電場刺激による相転移の結果として、屈曲等
の形態変化をも起こす。
【0017】本発明のコポリマーは、温度応答型高分子
を構成するアクリルアミド系モノマーと電場応答型高分
子を構成するアクリルアミド系モノマーとを共重合させ
ることによって得ることができる。この場合、共重合の
種類はブロック型、ランダム型及びグラフト型のいずれ
であってもよい。ここで、高分子の語は、単量体が多数
重合した重合体を意味する。
【0018】なお、温度応答型高分子とは、温度変化に
よって、相転移し、収縮・膨潤を起こす性質を有する高
分子をいうが、このような高分子を構成するアクリルア
ミド系モノマーとしては、具体的には、IPAAm、
N−イソブチルアクリルアミド等のアクリルアミド系モ
ノマーが挙げられ、ポリIPAAmのモノマーであるI
PAAmを用いることが好ましい。
【0019】また、電場応答型高分子とは、電場刺激に
より相転移し、収縮・膨潤を起こす高分子をいうが、こ
のような高分子を構成するアクリルアミド系モノマーと
しては、具体的には、荷電を有するアニオン性、カチオ
ン性及び両性高分子のアクリルアミド系モノマーが挙げ
られ、具体的には、アニオン性モノマーである、AMP
S、アクリル酸(PAA)、メタクリル酸(PMAA)
が挙げられるが、PAMPSのモノマーである2−アク
リルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMP
S)を用いることが好ましい。
【0020】このようにして得たコポリマーは、水素結
合、静電相互作用、Van der Waals力、疎水性結合力等
の分子間相互作用あるいは分子間架橋により集合化して
3次元構造を形成する。
【0021】本発明のコポリマーが、温度変化によって
相転移、ひいては収縮・膨潤を起こすのは、温度の変化
により、高分子間及び高分子内の疎水性相互作用及び水
素結合性の相互作用の強さが変化することによると推測
されている。即ち、温度が上昇すると疎水性相互作用が
強まり、その結果、疎水基どうしが集合し、本発明のコ
ポリマーは全体として収縮する。一方、水素結合性の相
互作用は、温度が低い程強まり、その結果、水素結合に
関与する基どうしが集合し、本発明のコポリマーは全体
として収縮する。収縮が温度上昇と温度下降のいずれに
よって起こるかは、本発明のコポリマーにおける、トー
タルの疎水性及び親水性のバランスによって決められ
る。
【0022】また、本発明のコポリマーの電場刺激によ
る相転移、ひいては収縮・膨潤には、電気運動学的なメ
カニズムが関与していると推測されている。即ち、ゲル
が、ランダムに水を溶媒和し膨潤している状態におい
て、ゲルに電場を印加すると、高分子と対イオンは各々
の電極へ移動する。電極付近に移動した高分子は電極と
垂直方向に配列する。電極反応によって対イオンは水素
ガスと酸素ガスとなり、一緒に移動した水は電気的に中
性となり、ゲルから放出され、本発明のコポリマーは収
縮する。
【0023】以上のように、本発明のコポリマーは、温
度変化及び電場刺激のいずれによっても相転移、ひいて
は収縮・膨潤を起こすため、仮に、何らかの理由により
一方の刺激による応答が損なわれても、他方の刺激によ
る応答が健在であれば、コポリマーの相転移、収縮・膨
潤を制御できることになる。
【0024】本発明の温度・電場応答型コポリマーの相
転移温度は、温度応答型高分子を構成するアクリルアミ
ド系モノマーと電場応答型高分子を構成するアクリルア
ミド系モノマーとの合成組成比により、もとの温度応答
型高分子の相転移温度からシフトさせることができる
が、上記のコポリマーを、イオンコンプレックス形成剤
の水溶液に平衡膨潤させることにより相転移温度を適宜
な値に調整することができる。なお、本発明の温度・電
場応答型コポリマーの相転移温度は、実用面での使用可
能性という観点から、5〜70℃であることが好まし
く、20〜50℃であることがより好ましい。
【0025】また、イオンコンプレックス形成剤を用い
ることにより、本発明のコポリマーの相転移及び収縮・
膨潤に必要な温度を、電場刺激により変えることができ
るという利点もある。即ち、電場刺激を与えることによ
り、電荷を有するイオンコンプレックス形成剤のコポリ
マー内における濃度に変化が生じるため、コポリマーの
相転移及び収縮・膨潤温度にも変化が生じることから、
コポリマーの相転移及び収縮・膨潤温度を電場刺激によ
り制御できることとなる。従って、従来のように、応答
温度を変えたい場合に、その温度に応じた新たなコポリ
マーを調製する必要がなく、コストの低減及び作業の効
率化を図ることができる。また、この相転移及び収縮・
膨潤温度に勾配が生じることを利用して、コポリマーに
屈曲を起こすことも可能であり、本発明のコポリマーを
人工筋肉に適用することが可能となる。
【0026】本発明の温度・電場応答型コポリマーの相
転移及び収縮・膨潤に必要な電場刺激の種類及び強さ
は、その用途によって異なるが、矩形波、正弦波、のこ
ぎり波、またはこれらを互いに干渉させて得られる波形
を有する0.01mA/cm2以上、より好ましくは
0.1〜数mA/cm2の定常波、可変波、またはパル
ス波を用いることが好ましく、その周波数は0〜50K
Hz、on/off比は1/100〜100であること
が好ましい。また、1V以上であることが好ましく、数
V〜数十Vであることがより好ましい。
【0027】また、イオンコンプレックス形成剤として
は、イオン性基と対イオンを形成しトータルの電荷及び
疎水性度を増減できるカチオン性、アニオン性、または
両性の素材が用いられる。具体的には、カチオン性、ア
ニオン性、または両性有機物質を用いることが好まし
く、イオン性基のみならず疎水基をも有する物質、例え
ば界面活性剤を用いることがさらに好ましい。なお、界
面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活
性剤、両性界面活性剤のいずれをも用いることができ、
その疎水性基の炭素数は4〜40であることが好まし
く、6〜18であることがより好ましい。
【0028】温度応答型高分子を構成するアクリルアミ
ド系モノマーと電場応答型高分子を構成するアクリルア
ミド系モノマーとを共重合させることによって本発明の
温度・電場応答型コポリマーを得る場合において、温度
応答型高分子を構成するモノマーと電場応答型高分子を
構成するモノマーとのモル比は、1:99〜99:1で
あることが好ましく、80:20〜99:1であること
がより好ましい。温度応答型高分子の温度応答性及び電
場応答型高分子の電場応答性がそれぞれ共に損なわれな
いようにすることが必要だからである。また、イオンコ
ンプレックス形成剤を添加する場合には、コポリマーの
荷電性基の量に対して、モル比で0.1〜100倍量を
添加することが好ましく、0.1〜10倍量添加するこ
とがより好ましい。
【0029】また、本発明のコポリマーは、構成モノマ
ーの組み合わせ等によって、常温で液体、ゲルまたは固
体のいずれかとなるが、常温において液体であっても、
架橋剤、放射線、非共有結合性結合剤等によりゲル化す
ることができる。
【0030】架橋剤としては、グルタルアルデヒド等の
ジアルデヒド類、WSC(1−エチル−3−(3−ジメ
チルアミノプロピル)カルボジイミド)等のカルボジイ
ミド類、デナコール(商標名)等のエポキシ類、ヘキサ
メチレンジイソシアナート、トルエンジイソシアナート
等のイソシアナート類、シアヌルクロリド等のクロロ−
S−トリアジン類、マレインイミド誘導体、酸クロライ
ド類、メチレンビスアクリルアミド、臭化シアン、過沃
素酸、アルコラート、SPDP(N−スクシニミジル
3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート)等が用い
られるが、メチレンビスアクリルアミドを用いることが
好ましい。
【0031】また、放射線としては、γ線、X線、マイ
クロ波等が用いられ、非共有結合性結合剤としては、カ
ルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイ
オン等の2価金属イオンの他、アビチン−ビオチン系、
抗原−抗体系等の分子認識を利用したものが用いられ
る。
【0032】本発明の温度・電場応答型コポリマーを種
々の用途に適用する場合には、温度・電場応答型コポリ
マーに上述のイオンコンプレックス形成剤や架橋剤等を
加えた温度・電場応答型組成物として使用することにな
るが、本発明の温度・電場応答型コポリマーには、その
用途に応じて無機または有機物質を添加・加工して用い
てもよい。
【0033】本発明の温度・電場応答型組成物を、生体
内留置型製剤を用いたドラッグデリバリーシステムに適
用すれば、温度変化及び電場刺激のいずれによっても相
転移及び収縮・膨潤を起こすことから、例えば、相転移
温度を37℃付近とすれば、投与時には液状で、体内で
固体またはゲルに変化させることが可能となり、体内で
の薬剤の放出は、電場刺激により制御することができ
る。従って、投与時の疼痛を無くすことができるととも
に、単に薬物と組成物を混合した状態で投与すればよい
ためマイクロパーティクル等に製剤化する必要もなくな
りコストの低減を図ることができる。
【0034】また、本発明の温度・電場応答型組成物に
薬剤を封入し、体内に投与して固体またはゲルとした場
合には、電場刺激がない状態においても、少量の薬剤の
放出が持続的に起こる。従って、電場刺激をパルス的に
与えれば、適宜な時間間隔で薬剤の放出量を瞬間的に増
大させることができ、一方、電場刺激を持続的に与えれ
ば、薬剤の徐放レベルを調整することができる。
【0035】なお、電場刺激による薬剤の放出は、本発
明の組成物を膨潤させた状態で電場刺激を与えると、収
縮して内部の水を放出する性質を有することを利用して
行われる。
【0036】本発明の組成物が、電場刺激により内部に
保持した薬物を放出するメカニズムについては次のよう
に推測されている。電場刺激を加える前においては、組
成物は水を溶媒和して膨潤している。電場刺激を加える
と、例えば組成物が陰電荷を有し、薬物が陽電荷を有す
るものである場合、薬物は陰極へ移動し、組成物は陽極
へ移動するとともに、陽極との相互作用により陽極と垂
直に配列する。一方、水は電気的に中性となり組成物か
ら薬剤とともに放出されると考えられる。
【0037】本発明の組成物を用いて投与される薬剤の
種類は特に限定されず、例えば、抗腫瘍剤、抗生物質、
増血剤、感染症治療剤、抗痴呆剤、抗ウイルス剤、解熱
剤、鎮痛剤、消炎剤、抗潰瘍剤、抗アレルギー剤、抗鬱
剤、抗精神薬、強心剤、不整脈治療剤、血管拡張剤、降
圧剤、糖尿病治療剤、抗凝血剤、コレステロール低下
剤、骨粗鬆症治療剤、ワクチン等が挙げられるが、シス
プラチン、5−FU、オキサリプラチン、テオフィリ
ン、クレマスチン、チモロール、ピロカルピン、フロセ
ミド、アミトリプチリン、ハロペリドール、ジアゼパム
等の合成医薬のみならず、インターフェロン、インター
ロイキン、腫瘍壊死因子(TNF)、悪性白血球阻止因
子(LIF)、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激
因子(G−CSF)、神経成長因子(NGF)、上皮細
胞増殖因子(EGF)、繊維芽細胞成長因子(FG
F)、肝細胞成長因子(HGF)等のサイトカイン;ス
ーパーオキサイドディスミュターゼ(SOD)、アスパ
ラギナーゼ、カリクレイン等の酵素;インスリン、成長
ホルモン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHR
H)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、オキシトシ
ン、黄体形成ホルモン、甲状腺ホルモン放出ホルモン
(TRH)、セクレチン、ガストリン、カルシトニン、
バソプレシン、エンドセリン等のホルモン;アンジオテ
ンシンI−III、心房ナトリウム利尿ペプチド(AN
P)、エンケファリン、エンドルフィン、ニューロトロ
ピックファクター(NTF)等の生理活性ペプチド;ア
ンチセンス等が挙げられる。
【0038】さらに、本発明の温度・電場応答型組成物
は、メカノケミカルシステムが有効な土木・建築、医用
・薬用、農芸、食品など多方面における応用が可能であ
り、具体的には、人工筋肉、ケミカルバルブ、人工神
経、軟体機械、マイクロマシーン、各種アクチュエータ
等のソフトな伸縮機能材料、スイッチング素子、発振素
子、バイオセンサー等への適用が期待される。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いてさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0040】(実施例1) 温度応答型高分子であるポ
リIPAAmのモノマーであるIPAAmと電場応答型
高分子であるPAMPSのモノマーであるAMPSとの
仕込みモル比を90:10とし、アゾビスイソブチロニ
トリル(AIBN)を重合開始剤として、DMF存在
下、70℃で2時間、反応させ、IPAAmとAMPS
とのコポリマー(IPAAm−co−AMPS)を合成
した。なお、このコポリマーは、直鎖型で、約12万の
分子量を有し、上記各モノマーの配列はランダムであ
る。このコポリマーをカチオン性界面活性剤であるラウ
リルピリジニウムクロライド(LPC)の種々の濃度の
水溶液に平衡膨潤させ、温度・電場応答型コポリマーを
製造した。
【0041】LPCの濃度と温度・電場応答型コポリマ
ーの相転移温度との関係を表1に示す。また、上記の温
度・電場応答型コポリマーは、電場に応答して相転移を
起こすことも確認された。
【0042】
【表1】
【0043】IPAAmから成る温度応答型組成物であ
るホモのポリ−N−イソプロピルアクリルアミド(PN
IPAAm)ゲルの相転移温度は約32℃であったのに
対し、上記コポリマーの相転移温度は78℃であった。
従って、このコポリマーは、室温においては溶液である
が、78℃以上では固体又はゲル状となり、液体から固
体又はゲルへの相転移を可逆的に行う。
【0044】さらに、このコポリマーに、イオンコンプ
レックス形成剤として、界面活性剤であるLPCを添加
すると、コポリマーの固定化された相転移温度は、6〜
78℃の範囲で変化した。それぞれの相転移温度より低
い温度では、上記のコポリマーは溶液であり、相転移温
度より高い温度では固化またはゲル化する。従って、体
温より低い相転移温度を有するコポリマーを含有する組
成物は、室温や冷蔵条件では液体であるが、体内に投与
されると固化又はゲル化することとなる。このように、
温度・電場応答型コポリマーの相転移温度は、LPCの
濃度を変えることにより、簡単に変えることができるた
め、用途に応じて、相転移温度の異なる各種のコポリマ
ーを合成する必要がなくなる。
【0045】(実施例2) 温度応答型高分子であるポ
リIPAAmのモノマーであるIPAAmと電場応答型
高分子であるPAMPSのモノマーであるAMPSとの
仕込みモル比を90:10とし、メチレンビスアクリル
アミドを架橋剤、テトラメチルエチレンジアミンを重合
促進剤、過硫酸アンモニウムを開始剤として20℃で2
4時間、反応させ、IPAAmとAMPSとの共重合体
(IPAAm−co−AMPS)ゲルを合成した。
【0046】このゲルをLPCの種々の濃度の水溶液に
平衡膨潤させることにより、室温(25℃)においてゲ
ル状である温度・電場応答型コポリマーを製造し、室温
における収縮状態を調べた。ゲルの収縮は、ゲルの直径
を測定し、LPCの水溶液に平衡膨潤させた際のゲルの
直径より小さくなっているか否かを基準に判断した。表
2にLPCの濃度と室温における上記の温度・電場応答
型コポリマーの収縮の程度との関係を示す。なお、表
中、βはLPCが有するアミノ基と温度・電場応答型コ
ポリマーが有するスルホン酸基とのモル比を表し、LP
Cが有するアミノ基のモル数/温度・電場応答型組成物
が有するスルホン酸基のモル数により算出される。
【0047】
【表2】
【0048】一定温度条件下(25℃)において、βが
0から1の間では、LPC濃度の上昇に伴いゲルは収縮
傾向にあった。一方、βが1付近では収縮状態を保って
いた。さらに、βが1以上では、LPC濃度と共に膨潤
傾向にあった。従って、LPCの濃度を変えることによ
り、上記の温度・電場応答型組成物の室温における収縮
状態を、その用途に応じて変えることができる。なお、
β=1を境にして温度・電場応答型組成物の膨潤度が異
なるのは、βが1以下では、ゲルのスルホン酸基の負電
荷が打ち消されるのと同時にアルキル鎖による疎水性が
増大するためと考えられ、βが1以上では、LPCがネ
ットワークの疎水性部に吸着することにより再び正電荷
を有するゲルになったためと考えられる。PNIPAA
mゲルにおいてはこのような収縮は観察されなかった。
従って、一定温度条件下で、イオンコンプレックス形成
剤濃度を変化させることによって、ゲルの収縮・膨潤を
制御することができた。
【0049】さらに、棒状に調製した上記の温度・電場
応答型コポリマーのゲルを、30℃の温度条件下で収縮
した状態を与える10mMLPC水溶液に平衡膨潤さ
せ、30℃の温度条件下で20Vの電場を印加すると、
図1に示すように、ゲル1の陰極側2が膨潤、陽極側3
が収縮し、結果として、ゲル全体が陽極側に屈曲した。
これはゲルの陰極側においては、アミノ基を有するLP
Cの脱離により濃度が低くなることから、ゲルのスルホ
ン酸基がイオン性水和を起こし、30℃の温度条件では
膨潤し、相対的に膨潤度に差が生じたことによる。
【0050】
【発明の効果】本発明の温度・電場応答型コポリマー及
び組成物は、温度変化及び電場刺激のいずれによっても
相転移及び膨潤・収縮を起こすため、何らかの理由によ
り一方の刺激による応答が損なわれても、他方の刺激に
よる応答が健在であれば、コポリマー及び組成物の相転
移及び膨潤・収縮を制御することができる。
【0051】また、イオンコンプレックス形成剤を用い
ることにより、本発明のコポリマー及び組成物の相転移
及び膨潤・収縮に必要な温度を、電場刺激により変える
ことができる。従って、従来のように、コポリマー及び
組成物の応答温度を変えたい場合に、その温度に応じた
新たな素材を調製する必要がなく、コストの低減及び作
業の効率化を図ることができる。また、電場刺激によ
り、本発明の組成物内に、イオンコンプレックス形成剤
の濃度勾配を生じさせることにより、組成物の相転移及
び膨潤・収縮温度に勾配を生じさせ、組成物に屈曲を起
こすことも可能である。
【0052】従って、本発明の温度・電場応答型組成物
を生体内留置型製剤を用いたドラッグデリバリーシステ
ムに適用すれば、組成物を、投与時には液体で、体内で
固体またはゲルに変化させることが可能となり、体内で
の薬剤の放出は、電場刺激により制御することができ
る。そのため、投与時の疼痛を無くすことができるとと
もに、単に薬物と組成物を混合した状態で投与すればよ
いためマイクロパーティクル等に製剤化する必要もなく
なりコストの低減を図ることができる。
【0053】また、本発明の組成物は、人工筋肉、ケミ
カルバルブ、人工神経等に適用が可能である。
【0054】さらに、本発明の温度・電場応答型組成物
は、軟体機械、マイクロマシーン、各種アクチュエータ
等のソフトな伸縮機能材料、スイッチング素子、発振素
子、バイオセンサー等、多方面における適用が可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の温度・電場応答型組成物から成るゲ
ルに電場刺激を加えることにより生じた屈曲を示す模式
図である。
【符号の説明】
1・・・ゲル、2・・・陰極側、3・・・陽極側、4・・・屈曲。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長田 義仁 北海道札幌市南区北ノ沢1丁目11番17−3 号 (72)発明者 岡野 光夫 千葉県市川市国府台6丁目12番12号

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温度応答型高分子を構成するアクリルア
    ミド系モノマーと、電場応答型高分子を構成するアクリ
    ルアミド系モノマーとのコポリマーであって、ゲル形成
    性を有し、かつ、温度変化及び電場刺激に応答して可逆
    的に相転移し、膨潤・収縮を起こし、電場刺激に応答し
    て屈曲変化する性質を有することを特徴とする温度・電
    場応答型コポリマー。
  2. 【請求項2】 温度応答型高分子を構成するアクリルア
    ミド系モノマーが、N−アルキルアクリルアミドモノマ
    ーである請求項1に記載の温度・電場応答型コポリマ
    ー。
  3. 【請求項3】 電場応答型高分子を構成するアクリルア
    ミド系モノマーが、アクリルアミドアルキルスルホン酸
    モノマーまたはその塩である請求項1または2に記載の
    温度・電場応答型コポリマー。
  4. 【請求項4】 温度応答型高分子を構成するアクリルア
    ミド系モノマーと、電場応答型高分子を構成するアクリ
    ルアミド系モノマーとのモル組成比が1:99〜99:
    1である請求項1、2または3に記載の温度・電場応答
    型コポリマー。
  5. 【請求項5】 温度応答型高分子を構成するアクリルア
    ミド系モノマーと、電場応答型高分子を構成するアクリ
    ルアミド系モノマーとのモル組成比が80:20〜9
    9:1である請求項4に記載の温度・電場応答型コポリ
    マー。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の温度・
    電場応答型コポリマーを含有することを特徴とする温度
    ・電場応答型組成物。
  7. 【請求項7】 イオンコンプレックス形成剤を含有する
    請求項6に記載の温度・電場応答型組成物。
  8. 【請求項8】 イオンコンプレックス形成剤がアニオン
    性界面活性剤、カチオン性界面活性剤または両性界面活
    性剤である請求項7に記載の温度・電場応答型組成物。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002223793A (ja) * 2001-01-31 2002-08-13 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 触媒活性制御方法
JP2004512389A (ja) * 2000-06-23 2004-04-22 バッテル メモリアル インスティテュート 多重刺激可逆性ハイドロゲル
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JP2013500334A (ja) * 2009-07-29 2013-01-07 メドトロニック,インコーポレイテッド 痛みおよび/または炎症の処置のための可逆的相転移物質を有する埋め込み式薬物デポー
KR20190128276A (ko) * 2018-05-08 2019-11-18 강원대학교산학협력단 온도와 전기장 두 가지 자극에 응답하여 방출하는 리포솜
CN112079591A (zh) * 2020-08-07 2020-12-15 北京工业大学 烯基磺酸盐单体共聚改性合成环境响应聚合物的方法

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