JP4810246B2 - サーボプレス - Google Patents

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Description

本発明は、サーボモータを使用してスライドを直線運動させるサーボプレスに関する。特には、非常停止検査機能を備えた、安全性の高いサーボプレスに関する。
サーボプレスは、ACサーボモータ等のサーボモータの回転運動を直線運動に変換する運動変換機構を用いて、スライド(ラム)を直線運動させるものである。このサーボプレスでは、スライドを自由に位置・速度制御でき、プレス圧力の制御も容易である。このため、プレス品の成形加工精度を高めるとともに、生産性も高いので、近年では機械式に代わって広く使用されている。
このようなサーボプレスにおいて、非常時のスライドの停止には、通常、機械ブレーキと電気ブレーキが使用される。機械ブレーキとは、例えば、モータの出力軸や運動変換機構の出力軸に摩擦抵抗を与えて、同軸の回転を制動するものである。サーボプレス用電気ブレーキには、主に次の3タイプがある。
ア)サーボモータの回転エネルギを電気エネルギとした後に電気抵抗において消費させることによりモータを制動するもの(いわゆるダイナミックブレーキ)。
イ)サーボモータの回転エネルギを電気エネルギとしてコンデンサに蓄積するもの(回生ブレーキ)。
ウ)ア)とイ)を併用するもの。
このようなサーボプレスには、作業者の安全のために非常停止ボタンが設けられている。この非常停止ボタンが押されると、作業中であっても機械ブレーキと電気ブレーキが働いてスライドの下降が停止する。この際、スライドは慣性があるので急激に停止することはできず、停止するまでにある程度の時間がかかる。安全上、非常停止の際にスライド停止の条件が所定の基準を満たすように管理しなければならない。所定の基準は、例えば、最大停止時間と慣性下降値を許容値(管理値)以下とすることであり、プレス規格で規定されている。ここで、最大停止時間(停止時間ともいう)とは、非常停止ボタンが押されてからスライドが実際に停止するまでの時間であり、慣性下降値(移動距離ともいう)とは、非常停止ボタンが押されてからスライドが停止するまでのスライドの移動距離である。
図8は、最大停止時間を規定する方法の一例を説明するための図である。
図8(A)、(B)において、aは押しボタンからスライド前面までの水平距離(mm)、bは押しボタンからボルスタ上面までの垂直距離(mm)、Hdはダイハイト(ボルスタの上面とスライドの下面間の距離)(mm)を示す。
例えば、両手操作式のサーボプレスにおいては、図8(A)に示すように、最大停止時間が以下の式を満たすことが規定されている(例えば、「プレス作業者安全必携」(中央労働災害防止協会)参照)。
D(安全距離[mm])=1.6[mm/ms]×最大停止時間[ms]<a+b+1/3・Hd。
さらに、サーボプレスには、光線式の安全装置が付設されているものもある。この装置のセンサは、プレス装置の操作部と作業部の間に設けられており、同装置の前方から作業者の手などが作業部に進入すると作動して、自動的に非常停止を行う。図8(B)に示すように、この安全装置のセンサ光軸とスライド前面までの距離(a)も、前述の1.6[mm/ms]×最大停止時間[ms]より長いことが要求されている。
ところで、サーボプレスは長期使用によって、電気ブレーキや機械ブレーキの劣化が起こる。電気ブレーキの劣化は、主に、コンデンサ等の電気部品の劣化などから起こり、機械ブレーキの劣化はブレーキシューの摩耗や押えバネのへたりなどから起こると推定される。このようなブレーキの劣化により、上述の最大停止距離や慣性下降値が長くなってしまい、安全管理上問題となる。
非常停止時にスライドが許容範囲内で停止することは、安全対策上非常に重要であるため、サーボプレスにおいては、通常、1年に1回程度非常停止ボタンの作動を検査(最大停止距離や慣性下降値が許容範囲内かどうか)することが義務付けられている。この検査作業は、通常、検査機関が専用の検査装置を持ち込んでプレス装置に外付けして検査する。
しかしながら、検査中は機械を停止する必要があるため、製造工程の調整などが必要になり、手間や面倒がかかる。
一方、最大停止時間を測定できる機構を内蔵したプレス機も提案されている(例えば、特許文献1参照)。この文献に記載されている機構は、プレス動作を急停止させたときの最大停止時間を計測して、十分な安全距離が確保されているかどうかを判定し、満足していない場合は、警告を発するものである。
特開平6−218597
このプレス機においては、最大停止時間を測定する機構を内蔵しているので、検査時に検査装置を外付けしたりする手間がなく、比較的容易に検査を行うことができる。しかしながら、このプレス機では、非常停止に異常があった場合に具体的にどの部分に異常が生じているのかを判定しておらず、その後の対処方針を得難い。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、非常停止時のブレーキ性能をより的確に判定できる試験機能を備えたサーボプレスを提供することを目的とする。
本発明の実施の形態に係るサーボプレスは、 サーボモータと、 該モータの回転運動を伝達されて直線運動に変換する運動変換機構と、 該機構によって昇降されるスライドと、 前記サーボモータの回転エネルギを電気エネルギに変換して消費又は蓄積することにより該モータを制動する電気ブレーキと、 前記サーボモータ又は運動変換機構に付設された摩擦抵抗式の機械ブレーキと、 前記サーボモータ、運動変換機構又はスライドに付設された角度又は位置検出センサと、 各部を制御する制御部と、を備えるサーボプレスであって、 以下のブレーキ性能試験を一連の動作として行うことを特徴とするサーボプレス;a)試験開始、b)スライドを所定速度で降下、c)非常停止信号指令、d)電気ブレーキ及び機械ブレーキ作動、e)c)からスライドが停止するまでの時間(停止時間)の計測、及び/又は、c)からスライドが停止するまでの移動距離(慣性下降値)の計算、f)停止時間及び/又は移動距離の良否判定、g)f)で不良と判定された時に、前記電気ブレーキ又は機械ブレーキのみを作動させてb)〜e)を実施、h)各ブレーキ毎に停止時間及び又は移動距離の良否判定、i)判定結果表示。
本発明によれば、サーボプレス本体がブレーキ性能試験を行うシーケンスを備えているので、非常停止確認検査を検査機関などに依頼する必要がなく、作業の都合に合わせて検査を行うことができる。また、検査装置を外付けする必要もない。このため、作業者が検査を積極的に行うという意識をもちやすく、必要時に検査を行うことができ、安全性が高まる。さらに、非常停止の異常に関係すると思われる電気ブレーキと機械ブレーキの劣化を個別に検査することができるので、異常が生じた場合の対処方針を立てることができる。
本発明においては、 前記f)で停止時間又は移動距離が第1しきい値を超えているときのみ前記g)、h)を行い、 前記f)で停止時間又は移動距離が第2しきい値を超えているときは使用停止表示を行うことが好ましい。
本発明によれば、両停止時間又は移動距離が、第1しきい値を超えたときのみ各ブレーキの単独検査を行う。これにより、検査時間を短くでき、ブレーキ使用頻度を少なくできる。また、この第1しきい値よりも大きい第2しきい値を超えたときは、使用停止とすることにより、早急に安全性を確保でき、迅速に修理などの対処することができる。
本発明においては、 非常停止信号発令時の前記センサの位置情報(パルス数)を前記制御部に送出し、 前記スライド停止時の該センサの位置情報(パルス数)を前記制御部に送出し、 前記制御部において、非常停止信号発令時の該センサのパルス数から前記スライド停止時の該センサのパルス数を引いたパルス数から、スライドの最大停止時間(又は停止距離)を算出することとできる。
本発明においては、 前記スライドの位置(高さ)を検出するリニアスケールを備えることが好ましい。
この場合、スライドの実際の停止位置を検出するので、最大停止時間や移動距離をより正確に知ることができる。また、分解能の高い(例えば0.001mm程度)のリニアスケールを使用すれば、プレス装置の通常操業時におけるスライド停止位置のずれも検出できる。
本発明においては、 前記運動変換機構が、ボールネジと、該ボールネジに螺合するナットを備え、 該ボールネジに角度検出センサが付設されていることが好ましい。
この場合、スライドを昇降運動させているボールネジの回転角度からスライドの停止位置を検出するので、最大停止時間や停止距離を正確に検知することができる。
本発明においては、 さらに、前記サーボモータの軸に角度検出センサが付設されていることが好ましい。
この場合、サーボモータの軸に付設された角度検出センサの検出値と、ボールネジに付設された角度検出センサの出力値、あるいは、リニアスケールの検出値とを比較して、サーボモータ付設の角度検出センサの検出性能をチェックできる。サーボモータ付設の角度検出センサは、ノイズの影響やソフトエラーなどにより、モータの暴走などの不具合が生じるおそれがある。ボールネジ付設の角度検出センサやリニアスケールもこのような不具合の起こる可能性がある。しかし、両者を比較することにより、各センサの異常を把握できる。このため、モータ付設のエンコーダの不具合などによりモータが暴走するような事態を防止でき、安全性がさらに高まる。
本発明の他の態様のサーボプレスは、 サーボモータと、 該モータの回転運動を伝達されて直線運動に変換する運動変換機構と、 該機構によって昇降されるスライドと、 前記サーボモータの回転エネルギを電気エネルギに変換して消費又は蓄積することにより該モータを制動する電気ブレーキと、 前記サーボモータ又は運動変換機構に付設された摩擦抵抗式の機械ブレーキと、 前記サーボモータ、運動変換機構又はスライドに付設された角度又は位置検出センサと、 各部を制御する制御部と、を備えるサーボプレスであって、 前記運動変換機構が、ボールネジと、該ボールネジに螺合するナットを備え、 前記サーボモータの軸に角度検出センサが付設されているとともに、前記ボールネジの回転角度を検出するセンサ、あるいは、前記スライドの位置(高さ)を検出するリニアスケールを備えることを特徴とする。
本発明によれば、サーボモータの軸に付設された角度検出センサの検出値と、ボールネジに付設された角度検出センサの出力値、あるいは、リニアスケールの検出値とを比較することにより、サーボモータ付設の角度検出センサの検出性能をチェックできる。このため、モータ付設のエンコーダの不具合などによりモータが暴走するような事態を防止でき、安全性がさらに高まる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、サーボプレスに非常停止時のブレーキ性能の試験機能が備えられているので、検査装置を外付けすることなく非常停止検査を行うことができる。また、電気ブレーキと機械ブレーキの性能を個別に検査できるため、異常が起きた場合の対処方針を得やすい。さらに、モータ出力軸の角度検出センサに加えて、ボールネジの角度検出センサあるいはリニアスケールを外付けした場合は、両者の検出値を比較することにより、モータの角度検出センサの検出性能をチェックできる。
発明を実施するための形態
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るサーボプレスの全体構成を模式的に示す図である。
図2は、図1のサーボプレスの制御回路の主要部の一例である。
図1に示すように、サーボプレス1の本体ケーシング3の上部には、サーボモータ10と、同モータ10の回転運動を伝達されて直線運動に変換する運動変換機構20が備えられている。サーボモータ10としては、例えばACサーボモータを使用できる。サーボモータ10の駆動電流は、同モータ10と電気的に接続されたサーボアンプ11によって制御される。
運動変換機構20は、ナット21が螺合するボールネジ23を有する(クランク機構などにより回転運動−直線運動変換することも当然できる)。ボールネジ23は、軸受27によって、本体3に固定されたベアリングサポート25に支持されている。ボールネジ23の上部にはプーリ29が固定されている。このプーリ29は、サーボモータ10の出力軸10aに固定されたプーリ31と、ベルト33を介して回転伝達される。サーボモータ10が回転駆動すると、ベルト33によりボールネジ23が回転駆動し、同ネジ23に螺合しているナット21が上下方向に直線上をスライドする。
ボールネジ23のナット21には、ガイド(図示されず)によって上下に案内されるスライド40が固定されている。スライド40の下面には上型43が装着保持される。
本体ケーシング3の下部の、スライド40の下面に対向する位置には、ボルスタ45が配置されている。このボルスタ45には下型47が設置される。
また、本体ケーシング3の下部には、両手で操作される2つの作業用押しボタンや非常停止用押しボタンなどの複数の押しボタン51が配置された操作部50が設けられている。なお、この操作部50と、スライド40の作動領域との間には、光線式安全装置(図示されず)が付設されている。
スライド40がサーボモータ10の回転駆動により上下に昇降し、スライド40に保持された上型43と、ボルスタ45上に設置された下型47によって、ワークが加工される。
なお、スライド40は、昇降の上下限がメカストッパー(図示されず)によって設定されており、通常、両ストッパー間の常用最高位置と常用最低位置間を昇降する。
このサーボプレス1には、非常停止時にサーボモータ10の回転を制動する機械ブレーキ13と電気ブレーキ15が設けられている。
機械ブレーキ13は、モータ10の内部に設けられており、例えば、サーボモータ10の出力軸10aに接続された回転部材にブレーキシューを押圧させて摩擦抵抗を発生させ、この摩擦抵抗により出力軸10aの回転を制動するものなどがある。
電気ブレーキ15は、サーボモータ10とサーボアンプ11とを接続するモータ出力線の途中に設けられた複数の抵抗等から構成される。そして、ブレーキ作動指令が発せられると、サーボアンプ11からモータ10への出力線が遮断されるとともに、サーボモータ10の出力が電気ブレーキ15の抵抗に接続される。これによって、サーボモータ10の慣性回転時の回転エネルギが抵抗において消費され、モータ10の回転駆動が制動される。
非常停止ボタンが押された場合や光線式安全装置が作動した場合は、電気ブレーキ15作動後に機械ブレーキ13が作動する。
また、サーボモータ10には、エンコーダ19が取り付けられている。このエンコーダ19は、サーボモータ10の出力軸10aの回転角度を検出できるセンサである。このエンコーダ19は、サーボモータ10の回転量、回転速度及び回転方向を検出することができるインクリメンタルエンコーダであってもよいし、サーボモータ10の回転角の絶対位置を検出できるアブソリュートエンコーダであってもよい。
図2を参照して、図1のサーボプレスの制御回路の主要部を説明する。
同図には、制御盤(制御部)60、制御盤60と電気的に接続されたサーボモータ10と、機械ブレーキBと、エンコーダEと、サーボモータ10の入力端子に接続されサーボモータ10を駆動するサーボアンプ11が図示されている。
制御盤60は、サーボモータ60、サーボアンプ11、電気ブレーキリレー接点17、制御盤60に設けられたR5リレー接点を制御する。このため、図1に示した操作部50と接続された制御盤60は、全体として、CPU、タイマ、メモリ及びカウンタ(図示されず)、さらには、タッチ式ディスプレイ、テンキー等の、本装置の制御に必要な入力装置、演算装置、記憶装置、表示装置が含まれる。タッチ式ディスプレイには、例えば、図3(詳細後述)に示すような画面が表示される。また、図1の操作部50の各ボタン51からの入力や、エンコーダ19で検出された値も制御盤60に入力される。制御盤60内のR5リレー接点は、機械ブレーキ13の動作を無効化するものである。
制御盤60とサーボアンプ11を接続する端子L1、L2、L3は、動力線を接続するものであり、操作部50の押しボタン51やタッチ式ディスプレイから制御盤60に入力された制御指示が制御盤60で電気信号に変換されてサーボアンプ11に入力され、サーボモータ10及びサーボアンプの動作に必要な状態が設定される。
サーボモータ10とサーボアンプ11とを接続する端子U、V、Wは、それぞれサーボモータ10のU相、V相、W相であることを意味している。また、端子Eは接地である。
例えば、サーボモータ10の回転子に永久磁石が用いられている場合、効率よくトルクを発生させるためには、回転子の永久磁石による磁束と、サーボモータ10のU相、V相、W相のコイルに流れる電流のベクトル和と、を直交させなければならないことから、サーボモータ10とサーボモータ10を駆動するサーボアンプ11との間を接続するには、サーボモータ10側の各相と、サーボアンプ11側の各相とを対応させるように結線する必要がある。
上記のような構成において、操作部50のボタン51やタッチ式ディスプレイからの指示に従って、サーボアンプ11の電気ブレーキ15の動作モードを設定し、さらに、R5リレー接点を開放又は短絡にする動作を行うモードを設定することができる。具体的に設定されるモードとして、例えば、通常運転モード、停止性能Aモード、停止性能Bモードを想定する。ここで通常運転モードとは電気ブレーキを有効とし、かつ、機械ブレーキを有効とするモードをいい、停止性能Aモードとは、電気ブレーキを有効とし、機械ブレーキを無効とするモードをいい、停止性能Bモードとは、電気ブレーキを無効とし、機械ブレーキを有効とするモードをいう。
上記のいずれかに設定されたモードの状態において、サーボアンプ11内に配置された電気ブレーキリレー接点17及び制御盤60内に設けたR5リレー接点は、動作SWを作動させて非常停止がかかる状態にした場合、以下のような動作となる。
通常運転モード(両ブレーキ有効)に設定している場合は、電気ブレーキリレー接点17の1番端子と3番端子とが、及び、4番端子と6番端子とが短絡状態となり、R5リレー接点が短絡状態となる。
停止性能Aモード(電気ブレーキ有効機械ブレーキ無効)では、電気ブレーキリレー接点17の1番端子と3番端子とが、及び、4番端子と6番端子とが短絡状態となり、R5リレー接点が開放状態となる。
停止性能Bモード(電気ブレーキ無効機械ブレーキ有効)では、電気ブレーキリレー接点17の1番端子と2番端子とが、及び、4番端子と5番端子とが短絡状態となり、R5リレー接点が短絡状態となる。
なお、図2の回路において、MCは電磁開閉器を示し、P24BはDC24V、N24は0Vを示す。また、アナログ入出力ユニットとは電圧電流出力モジュールを示し、出力ユニットとはシーケンサ出力モジュールを示す。
次に、ブレーキ性能劣化試験時の動作を説明する。
図3、4は、ブレーキ性能検査試験の手順を示す表示の一例である。
図5は、ブレーキ性能検査試験の手順の一例を示すフローチャートである。
図6は、図5のフローチャートの変形例である。
なお、本試験に当って、予め、正常な状態の機械ブレーキ13と電気ブレーキ15を両方作動させた場合、正常な状態の機械ブレーキ13のみを作動させた場合、正常な状態の電気ブレーキ15のみを作動させた場合、の各々の最大停止時間、最大停止距離を計測しておき、各値を制御盤60のメモリに記憶させておく。
また、最大停止時間や移動距離は、上型43の質量によって異なり、質量が大きいほど停止時間や距離は長くなる。そこで、予め、上型43の質量を変えたときの、各々の場合(両ブレーキ有効、電気ブレーキのみ有効、機械ブレーキのみ有効)の最大停止時間や移動距離を計測して、質量と最大停止時間又は移動距離との関係を把握しておき、制御盤60のメモリに記憶させておく。
まず、図3、4を参照して、基本的なブレーキ性能検査試験の手順を簡単に説明する。
この作業は、制御盤60に設けられたタッチ式ディスプレイの指示に従って行うことができる。まず、図3(A)に示すように、質量入力画面が現れ、上型の質量をテンキーから入力する。すると、図3(B)に示すように、停止性能選択画面が現れる。ここで、通常運転モード(両ブレーキ有効)、停止性能Aモード(電気ブレーキ有効機械ブレーキ無効)、停止性能Bモード(電気ブレーキ無効機械ブレーキ有効)を選択できる。
通常運転モードを選択する際は、ディスプレイの通常運転SWをタッチする。すると、図4(A)に示す画面が表示される。そして、動作SWをタッチすると、サーボアンプ11内に配置された電気ブレーキリレー接点17及び制御盤60内に設けたR5リレー接点が前述のように動作し、両ブレーキが有効となった後、ブレーキ性能検査試験が開始される。
また、停止性能Aモードを選択する際は、ディスプレイの停止性能ASWをタッチする。すると、図4(B)に示す画面が表示される。そして、動作SWをタッチすると、サーボアンプ11内に配置された電気ブレーキリレー接点17及び制御盤60内に設けたR5リレー接点が前述のように動作し、電気ブレーキが有効・機械ブレーキが無効となった後、ブレーキ性能検査試験が開始される。
同様に、停止性能Bモードを選択する際は、ディスプレイの停止性能BSWをタッチする。すると、図4(C)に示す画面が表示される。そして、動作SWをタッチすると、サーボアンプ11内に配置された電気ブレーキリレー接点17及び制御盤60内に設けたR5リレー接点が前述のように動作し、電気ブレーキが無効・機械ブレーキが有効となった後、ブレーキ性能検査試験が開始される。
このように各モードに設定して、モード毎に非常停止の検査することもできる。しかし、ブレーキ性能検査試験時においては、通常運転モード→停止性能Aモード→停止性能Bモードの順で一連に自動的に作業を行うことが好ましい。この場合は、図3(B)、図4のような表示は表れず、図3(A)で上型質量を入力した後、通常運転モード、停止性能Aモード、停止性能Bモードの順で自動的にスライド停止時間及び停止距離を計測し、正常か否かを判定するように制御される。以下、この行程について説明する。
次に、図5を参照して、標準的なブレーキ性能検査のフローを説明する。
まず、S1において、上型質量をテンキーから入力する(図3(A)参照)。同質量はディスプレイに表示されるとともに、入力された質量に該当する各モード時の停止時間や移動距離が呼び出される。なお、試験開始時は、通常運転モード(両ブレーキ有効)となるように、非常停止動作時に電気ブレーキリレー接点17とR5リレー接点が動作するようにする。次に、S2において、スライドを自動降下させ、所定時間降下した後、非常停止を自動的に作動させる。このとき、非常停止信号が入力されたときのエンコーダ19の位置情報(パルス数)を読み取り、サーボアンプ11から制御盤60へ送る。この状態では両ブレーキ13、15が有効であるので、両ブレーキが作動してスライド40が停止する。なお、非常停止信号発令後(ブレーキ作動後)もスライド40は慣性によって下降を続けた後停止する。つまり、モータ10も所定時間は回転し続けた後停止する。そして、モータ10が停止したときのエンコーダ19の位置情報(パルス数)を読み取り、サーボアンプ11から制御盤60へ送る。そして、S3において、非常停止信号発令時のエンコーダ19のパルス数と、モータ停止時のエンコーダ19のパルス数の差から、スライド40の最大停止時間及び移動距離(慣性下降値)を算出する。
そして、S4で、この最大停止時間が、両ブレーキ作動時の正常範囲(管理範囲、例えば、0.1秒以内かどうかを判定する。正常範囲以内であれば、両ブレーキが問題なく作動していると判定でき、S5で、例えば、「異常なし」とディスプレイに表示する。
一方、S4で、最大停止時間が正常範囲内でなければ、非常停止に問題がある、つまり、いずれかの、あるいは、両方のブレーキが劣化していると判定される。そこで、S6において、停止性能Aモード(電気ブレーキ有効機械ブレーキ無効)となるように、電気ブレーキリレー接点17やR5リレー接点(図2参照)を動作させ、電気ブレーキ13のみを作動させるようにする。そして、S7で、スライド40を所定時間降下後、非常停止を自動的に作動させ、非常停止信号が入力されたときのエンコーダ19の位置情報(パルス数)を読み取り、サーボアンプ11から制御盤60へ送る。そして、電気ブレーキ13が作動してスライド40が停止したときのエンコーダ19の位置情報(パルス数)を読み取り、サーボアンプ11から制御盤60へ送る。次に、S8において、非常停止信号発令時のエンコーダ19のパルス数と、モータ停止時のエンコーダ19のパルス数の差から、スライド40の停止時間を算出する。
そして、S9で、電気ブレーキ15のみを作動させた場合の停止時間が、正常な電気ブレーキのみ作動時の停止時間の正常範囲(例えば、0.12秒)以内かどうかを判定する。正常範囲内でなければ、電気ブレーキ15が正常に作動していないと判定され、S10で、例えば、アラームを発生させるとともに、ディスプレイに「電気ブレーキ動作不良」と表示する。
一方、S9で、停止時間が正常範囲内であれば、機械ブレーキ13が異常である可能性があると判定される。そこで、S11において、停止性能Bモード(電気ブレーキ無効機械ブレーキ有効)となるように、電気ブレーキリレー接点17やR5リレー接点(図2参照)を動作させ、機械ブレーキ13のみを作動させるようにする。そして、S12で、スライド40を所定時間降下後、非常停止を自動的に作動させ、非常停止信号が入力されたときのエンコーダ19の位置情報(パルス数)を読み取り、サーボアンプ11から制御盤60へ送る。さらに、機械ブレーキ13が作動してスライド40が停止したときのエンコーダ19の位置情報(パルス数)を読み取り、サーボアンプ11から制御盤60へ送る。次に、S13において、非常停止信号発令時のエンコーダ19のパルス数と、モータ停止時のエンコーダ19のパルス数の差から、スライド40の停止時間を算出する。
そして、S14で、機械ブレーキ13のみを作動させた場合の停止時間が、正常な機械ブレーキのみ作動時の停止時間の正常範囲(例えば、0.15秒)以内かどうかを判定する。正常範囲内でなければ、機械ブレーキ13が正常に作動していないと判定され、S15で、例えば、アラームを発生させるとともに、ディスプレイに「機械ブレーキ動作不良」と表示する。
一方、S14で、停止時間が正常範囲以内であれば、機械ブレーキ13は正常に作動していると判定される。つまり、機械ブレーキ13も電気ブレーキ15も正常に作動しているが、非常停止時の最大停止時間が正常範囲より大きい場合であり、S16で例えば、「その他不良」と表示する。
なお、図5のフローチャートにおいて、S9で停止性能Aモード(電気ブレーキ有効機械ブレーキ無効)において停止時間が正常範囲内でない場合は、S10に示すような電気ブレーキ不良の場合と、その他の不良の場合が含まれるが、電気ブレーキ不良とその他不良を選別する過程については説明を省略する。
これらの結果、例えば、電気ブレーキが不良と判定された場合は、その対策として電気ブレーキを点検して、必要であれば修理や交換などを行えばよい。このため、非常停止が異常であった場合に、装置全体の点検などは不要となり、速やかに対処することができる。
この例においては、以下に説明するような変更を加えることができる。
エンコーダ19を、ボールネジ23に取り付けることもできる。この場合、スライド40の実際の駆動に比較的近いボールネジ23の回転からスライド40の位置情報を得ることができるため、より正確である。特に、ベルト33の伸びや、プーリ29、31の摩耗などによって、モータ10の回転とボールネジ23の回転が同期していないような場合に有効である。
さらに、各モードでの最大停止時間の正常範囲を、第1しきい値と第2しきい値(>第1しきい値)とに分けることとできる。例えば、第1しきい値は、正常範囲内の比較的小さい値であり、第2しきい値は、正常範囲内の最大値であり、これを超えるとプレス装置の継続使用が好ましくないと思われる値である。
この場合のフローを図6を参照して説明する。ここでは、図5のS4のステップについて説明する。なお、S9、S14のステップにおいても同様に制御することができる。
まず、S41において、最大停止時間が、第1しきい値(例えば、0.08秒)より大きいかどうかを判定する。第1しきい値よりも大きくなければ、最大停止時間は良好範囲内であると判定され、以降の作業(S5)に進む。一方、S41において、最大停止時間が第1しきい値よりも大きければ、S42に進んで、最大停止時間が第2しきい値(例えば、0.1秒)より大きいかどうかを判定する。第2しきい値よりも小さければ、最大停止時間はまだ良好範囲内であるが各個別ブレーキの劣化観察が必要と判定され、以降の作業(S6)に進む。一方、S42において、最大停止時間が第2しきい値よりも大きければ、正常範囲を超えていると判定され、継続使用が好ましくない状態であるので、S43に進んで、例えば「使用停止」と表示する。
図7は、本発明の第2の実施の形態に係るサーボプレスの構成を示す図である。
この例のサーボプレス1´は、図1のサーボプレスと以下の点で異なる。この例のサーボプレス1´は、スライド40の昇降軌道の側方に、リニアスケール70が設置されている。このリニアスケール70は、ブレーキ性能監視用としては、例えば、分解能が0.1〜1mm程度のものを使用できる。なお、図7において、図1と同じ作用・効果を示す部品は図1と同じ符号を付し、説明を省略する。
この例のブレーキ性能劣化試験は、図3、図4に示す手順と同様に行うことができる。またこの例のフローチャートは、図5のフローチャートとほぼ同様であるが、S3とS4、S8とS9、S13とS14のステップのみ異なる。ここでは、S3とS4のステップを説明するが、S8とS9、S13とS14も同様の作業を行う。
S3において、非常停止信号が発令されたときのエンコーダ19のパルス数とともに、スライド40の位置(高さ)をリニアスケール70で読み取り、その位置情報を制御部60に送る。そして、ブレーキが作動してスライド40が停止したときのエンコーダ19のパルス数と、スライド40が停止した位置をリニアスケール70で読み取り、その位置情報を制御部60に送る。そして、S4で、エンコーダ19のパルス数の差から最大停止時間及び移動距離を算出し、リニアスケール70の位置情報の差からスライドの移動距離を算出する。
ここで、エンコーダ19のパルス数から得られた最大停止時間を換算して求められる移動距離と、リニアスケール70の位置情報から得られる移動距離は、通常は同じであるが、実際のスライド40の位置を計測するリニアスケール70で検出される値を優先する。両移動距離の差が大きい場合は、エンコーダ19の不具合という場合もありうるので、エンコーダ19の点検が必要になる。
なお、リニアスケール70の分解能を0.001mm程度に上げると、プレスの通常操業時におけるスライド40のオーバランも検出可能であり、スライド位置制御のフィードバック用にも使用できる。
次に、本発明の他の態様のサーボプレスを、同じく図7を参照して説明する。
この例のサーボプレスは、モータ付設のエンコーダ19の動作チェック性能を備えるものである。このエンコーダ19は、ノイズの影響やソフトエラーなどにより、モータの暴走などの不具合を引き起こすおそれがある。そこで、図7に示すように、サーボモータ10の回転角度を検出するエンコーダ19に加えて、ボールネジ23の回転角度を検出するエンコーダ71、あるいは、スライド40の位置(高さ)を検出するリニアスケール70が外付けされている。
この態様のサーボプレスにおいては、例えば、通常運転時のスライド停止位置を、モータ付設のエンコーダ19で検出するとともに、ボールネジ付設のエンコーダ71あるいはリニアスケール70で検出する。そして、エンコーダ19で検出された値と、ボールネジ付設のエンコーダ71あるいはリニアスケール70で検出された値とを比較する。両者の差が許容範囲内であれば、エンコーダ19は正常に作動していると判定される。
一方、両者の差が許容範囲外であれば、エンコーダ19が異常であると判定される。そして、エンコーダ19の修理や交換などを行うよう対処する。また、サーボモータをボールネジ付設のエンコーダ71あるいはリニアスケール70で計測された値を元にして制御することもできる。
本発明の第1の実施の形態に係るサーボプレスの全体構成を模式的に示す図である。 図1のサーボプレスの制御回路の主要部の一例である。 ブレーキ性能検査試験の手順を示す表示の一例である。 ブレーキ性能検査試験の手順を示す表示の一例である。 ブレーキ性能検査試験の手順の一例を示すフローチャートである。 図5のフローチャートの変形例である。 本発明の第2の実施の形態に係るサーボプレスの構成を示す図である。 最大停止時間を規定する方法の一例を説明するための図である。
符号の説明
1 サーボプレス 3 本体
10 サーボモータ 10a 出力軸
11 サーボアンプ 13 機械ブレーキ
15 電気ブレーキ 17 電気ブレーキリレー接点
19 エンコーダ 20 運動変換機構
21 ナット 23 ボールネジ
25 ベアリングサポート 27 ベアリング
29 プーリ 31 プーリ
33 ベルト 40 スライド
43 上型 45 ボルスタ
47 下型 50 操作部
51 押しボタン 60 制御部(制御盤)

Claims (6)

  1. サーボモータと、
    該モータの回転運動を伝達されて直線運動に変換する運動変換機構と、
    該機構によって昇降されるスライドと、
    前記サーボモータの回転エネルギを電気エネルギに変換して消費又は蓄積することにより該モータを制動する電気ブレーキと、
    前記サーボモータ又は運動変換機構に付設された摩擦抵抗式の機械ブレーキと、
    前記サーボモータ、運動変換機構又はスライドに付設された角度又は位置検出センサと、
    各部を制御する制御部と、
    を備えるサーボプレスであって、
    以下のブレーキ性能試験を一連の動作として行うことを特徴とするサーボプレス;
    a)試験開始、
    b)スライドを所定速度で降下、
    c)非常停止信号指令、
    d)電気ブレーキ及び機械ブレーキ作動、
    e)c)からスライドが停止するまでの時間(停止時間)の計測、及び/又は、c)からスライドが停止するまでの移動距離(慣性下降値)の計算、
    f)停止時間及び/又は移動距離の良否判定、
    g)f)で不良と判定された時に、前記電気ブレーキ又は機械ブレーキのみを作動させてb)〜e)を実施、
    h)各ブレーキ毎に停止時間及び又は移動距離の良否判定、
    i)判定結果表示。
  2. 前記f)で停止時間又は移動距離が第1しきい値を超えているときのみ前記g)、h)を行い、
    前記f)で停止時間又は移動距離が第2しきい値を超えているときは使用停止表示を行うことを特徴とする請求項1記載のサーボプレス。
  3. 非常停止信号発令時の前記センサの位置情報(パルス数)を前記制御部に送出し、
    前記スライド停止時の該センサの位置情報(パルス数)を前記制御部に送出し、
    前記制御部において、非常停止信号発令時の該センサのパルス数から前記スライド停止時の該センサのパルス数を引いたパルス数から、スライドの最大停止時間(又は停止距離)を算出することを特徴とする請求項1又は2記載のサーボプレス。
  4. 前記スライドの位置(高さ)を検出するリニアスケールを備えることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載のサーボプレス。
  5. 前記運動変換機構が、ボールネジと、該ボールネジに螺合するナットを備え、
    該ボールネジに角度検出センサが付設されていることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のサーボプレス。
  6. さらに、前記サーボモータの軸に角度検出センサが付設されていることを特徴とする請求項4又は5記載のサーボプレス。
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