JP4815875B2 - 環状オレフィン系樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

環状オレフィン系樹脂組成物およびその成形体 Download PDF

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Description

本発明は、環状オレフィン系樹脂組成物に関する。より詳しくは、本発明は、特定の環状オレフィン付加重合体と特定の難燃剤とを複合化することによって、環状オレフィン付加重合体が本来有する好ましい透明性、耐熱性および機械特性が維持されており、かつ難燃性に優れた環状オレフィン系樹脂組成物に関する。
近年、環状オレフィン付加重合体は、透明性および耐熱性などに優れているため、光学材料をはじめ電気・電子部品の材料としての使用が増加している。
しかしながら、環状オレフィン付加重合体は燃焼しやすいため、安全上の観点から、電気・電子部品の封止材料、保護膜材料、絶縁材料などとしての使用が制限されていた。
この環状オレフィン付加重合体に難燃性を付与するために、環状オレフィン付加重合体と、1種または2種以上の難燃剤とを組み合わせて複合させた樹脂組成物が提案されている。
たとえば、ハロゲン系難燃剤、アンチモン系難燃剤、水酸化マグネシウム(特許文献1参照)、ポリリン酸アンモニウム(特許文献2参照)、ハロゲン化エポキシ樹脂系難燃剤等のハロゲン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤、酸化アンチモン系難燃剤(特許文献3参照)などと複合させた樹脂組成物が提案されている。
しかしながら、上記の組成物においては、難燃性は向上する一方、環状オレフィン付加重合体が本来有する好ましい透明性などの特性が損なわれるという問題があった。
また、環境問題、人体に対する安全性についての関心が高まったことにより、樹脂組成物の燃焼時に有害ガスが発生するハロゲン系およびアンチモン系難燃剤の使用は好ましくないという問題もあった。
特開平2−255848号公報 特開平5−239284号公報 特開平11−106597号公報
本発明の目的は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、特定の環状オレフィン付加(共)重合体と特定の難燃剤とを複合化することにより、この環状オレフィン付加(共)重合体が本来有する好ましい透明性、耐熱性および機械特性を維持するとともに、難燃性に優れた環状オレフィン系樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、
特定の環状オレフィン化合物由来の構造単位を有する環状オレフィン付加(共)重合体と、特定の構造を有する縮合型リン酸エステル化合物とを、特定の割合で複合化することにより、透明性、耐熱性および機械特性に優れるとともに、難燃性に優れた環状オレフィン系樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る環状オレフィン系樹脂組成物は、
下記一般式(1)で表される構造単位を有する環状オレフィン付加(共)重合体[I]
100重量部と、
下記一般式(2)で表される縮合型リン酸エステル化合物[II]2〜40重量部とを含むことを特徴とする。
Figure 0004815875
(式(1)中、A1〜A4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜15のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数3〜15の加水分解性のシリル基、炭素数3〜15のオキセタニル基、炭素数1〜15のN−置換イミド基、アルコキシ基の炭素数が1〜5であるアルコキシカルボニル基、トリアルキルシロキシカルボニル基、ジアルキルアルミノキシカルボニル基、カーボナート基およびグリシジル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表し、これらの置換基は炭素数1〜10のアルキレン基によって、互いに環状に結合していてもよく、さらにA1とA2とで炭素数1〜15のアルキリデン基、脂環構造、環状の芳香族構造、環状の酸無水物基または環状のイミド基を形成していてもよく、A1とA3とで形成される炭素数1〜15の脂環構造、環状の芳香族構造、環状の酸無水物基または環状のイミド基を形成していてもよく、mは0または1の整数を示す。)
Figure 0004815875
(式(2)中、R1、R2、R4〜R6は、それぞれ独立に、炭素数5〜20のアリール基を表し、R3は炭素数6〜25のアリーレン基を表し、nは0〜3の整数を示す。)
上記環状オレフィン付加(共)重合体[I]は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−
エン由来の構造単位を、全構造単位中40mol%以上含むことが好ましく、あるいは、
上記式(1)中のA1〜A4の少なくとも1つが、加水分解性のシリル基、アルコキシカ
ルボニル基、オキセタニル基、カルボンイミド基、カーボナート基、グリシジル基および酸無水物基からなる群より選ばれる置換基である構造単位を、全構造単位中1mol%〜20mol%含むことが好ましい。
上記環状オレフィン付加(共)重合体[I]のガラス転移温度は、200℃〜400℃
の範囲内にあることが好ましい。
上記縮合型リン酸エステル化合物[II]は、下記一般式(3)で表されることが好ましい。
Figure 0004815875
(式(3)中、A5〜A8は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
上記環状オレフィン系樹脂組成物は、波長500nmの光線に対する光線透過率(ASTM-D1003)が80%以上である、膜厚100μmのフィルムを形成することができることが好ましい。
本発明の成形体は、上記環状オレフィン系樹脂組成物からなることを特徴とし、該成形体がフィルムまたはシートであることが特に好ましい。
本発明に係る環状オレフィン系樹脂組成物は、透明性、耐熱性および機械特性に優れるとともに、難燃性に優れる。
したがって、本発明に係る環状オレフィン系樹脂組成物から形成されるフィルム等の成形体は、光学材料をはじめ電気・電子部品の材料などとして有用である。
以下、本発明の環状オレフィン系樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明の環状オレフィン系樹脂組成物は、環状オレフィン付加(共)重合体[I]と縮
合型リン酸エステル化合物[II]とを含む。
<環状オレフィン付加(共)重合体[I]>
本発明に用いられる環状オレフィン付加(共)重合体[I]は、下記一般式(4)で表
される環状オレフィン化合物を含む単量体を付加重合することによって得られる。上記環
状オレフィン化合物を、付加重合することにより、上記式(1)で表される構造単位が形成される。
Figure 0004815875
(式(4)中、A1〜A4およびmは、上記式(1)中で定義したとおりである。)
なお、本発明において、環状オレフィン付加(共)重合体とは、1種の環状オレフィン化合物の単独重合体、2種以上の環状オレフィン化合物の共重合体、または少なくとも1種以上の環状オレフィン化合物と環状オレフィン化合物以外の単量体との共重合体を表す。
上記式(4)で表される環状オレフィン化合物の単量体の具体例として、以下の化合物が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
極性基および官能基を置換基として有しない単量体としては、たとえば、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−プロピルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−(1−ブテニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ペンチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ヘプチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−−エン、
5−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ドデシルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−(エチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5,6−ベンゾビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチル−5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−ベンジルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエン、
3,4−ベンゾトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、
4,5−ベンゾトリシクロ[6.2.1.02,7]ノナデカ−9−エン、
トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−9−エン、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン
などが挙げられる。
置換基としてアルコキシカルボニル基を有する単量体としては、たとえば、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸メチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸t-ブチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−ジカルボン酸メチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−メチルカルボン酸メチル−2−カルボン酸メチル、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸エチル、4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル、
4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸エチル
などが挙げられる。
置換基としてトリアルキルシロキシカルボニル基またはジアルキルアルミノキシカルボニル基を有する単量体としては、たとえば、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸トリエチルシリル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸ジエチルブチル、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸ジイソブチルアルミニウム、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸トリエチルシリル、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸ジイソブチルアルミニウム
などが挙げられる。
置換基として酸無水物基を有する単量体としては、たとえば、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2,3−無水カルボン酸、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−スピロ−3’−exo−無水スクシン酸、
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−無水カルボン酸などが挙げられる。
置換基としてカルボンイミド基を有する単量体としては、たとえば、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−N−シクロヘキシル−2,3−カルボンイミド、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−N−フェニル−2,3−カルボンイミド、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−スピロ−N−シクロヘキシル−スクシンイミド、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−スピロ−N−フェニル−スクシンイミドなどが挙げられる。
置換基としてオキセタニル基を有する単量体としては、たとえば、
5−[(3−エチル−3−オキタセニル)メトキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[(3−オキセタニル)メトキシ]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸(3−エチル−3−オキセタニル)メチル
などが挙げられる。
置換基として加水分解性のアルコキシシリル基を有する単量体としては、たとえば、
5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチルジメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチルジエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−メチルジクロロシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
9−トリメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−トリエトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチルジメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−エチルジメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−シクロヘキシルジメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−フェニルジメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−ジメチルメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−トリクロロシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−ジクロロメチルシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−クロロジメチルシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−クロロジメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−ジクロロメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、
9−クロロメチルメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン
などが挙げられる。
側鎖置換基に加水分解性のシラシクロアルキル基を有する単量体としては、たとえば、5−[1’−メチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−2’,5’−ジオキサ−3’,4’−ジメチル−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−2’,5’−ジオキサ−3’−メチル−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−フェニル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
5−[1’−メチル−2’,6’−ジオキサ−4’,4’−ジメチル−1’−シラシクロヘキシル]ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、
9−[1’−メチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン
などが挙げられる。
これらのうちで、官能基および極性基を置換基として有しない単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンまたは5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを好ましく用いることができ、また、極性基を置換基として有する単量体としては、5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンまたは4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチルを好ましく用いることができる。
上記単量体は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記環状オレフィン化合物以外の単量体として、エテン、プロパ−1−エン、ブタ−1−エン、ヘキサ−1−エン、オクタ−1−エン等のα−オレフィン化合物;スチレン、メチルアクリレート、N−アルキルマレイミド、N−アリールマレイミド等の化合物などを用いることができる。
上記環状オレフィン付加(共)重合体[I]は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−
エン由来の構造単位を有することが好ましい。上記環状オレフィン付加(共)重合体[I
]が、このような構造単位を有することによって、剛性に優れた重合体が得られるとともに、環状オレフィン付加(共)重合体[I]と縮合型リン酸エステル化合物[II]との相
溶性が向上する。また、透明性および難燃性に優れた組成物を得ることができる。
しかしながら、上記環状オレフィン付加(共)重合体[I]におけるビシクロ[2.2
.1]ヘプタ−2−エンの含有量が多くなりすぎると、該付加(共)重合体[I]の各種
溶媒への溶解性が低下することがある。
上記環状オレフィン付加(共)重合体[I]の各種溶媒への溶解性を向上させるため、
該付加(共)重合体[I]は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位
と共に、5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンまたは4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル由来の構造単位を有することがより好ましい。
さらに、上記環状オレフィン付加(共)重合体[I]が、ビシクロ[2.2.1]ヘプ
タ−2−エン由来の構造単位を全構造単位中40mol%以上、より好ましくは40mol%〜95mol%、さらに好ましくは50mol%〜90mol%含み、5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンまたは4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル由来の構造単位を全構造単位中45mol%以下、より好ましくは5mol%〜40mol%、さらに好ましくは10mol%〜30mol%含むこととなるように、上記単量体を用いることが望ましい。これにより、各種溶媒への溶解性と剛性とのバランスに優れた組成物を得ることができる。
上記環状オレフィン付加(共)重合体[I]が、上記式(1)中のA1〜A4の少なくと
も1つに、加水分解性のシリル基、アルコキシカルボニル基、オキセタニル基、カルボンイミド基、カーボナート基、グリシジル基および酸無水物基からなる群より選ばれる置換基を有する構造単位を1mol%〜20mol%、より好ましくは2mol%〜15mol%、さらに好ましくは3mol%〜10mol%含むこととなるように、これら極性の置換基を有する単量体を用いることが望ましい。上記環状オレフィン付加(共)重合体[I]が、このような構造単位を有することによって、環状オレフィン付加(共)重合体[I]と縮合型リン酸エステル化合物[II]との相溶性が向上する。また、透明性および難燃
性に優れた組成物を得ることができる。
上記付加(共)重合に用いることができる触媒としては、ニッケル系触媒、パラジウム系触媒、コバルト系触媒、チタン系触媒、ジルコニウム系触媒などが挙げられ,具体例としては、
ニッケル系触媒:
Ni(octoate)2/(Ph)3C・B(C65)4/Et3Al
Ni(acetylacetonate)2/MAO、
Ni(octoate)2−HSbF6/BF3・Et2O/Et3Al、
パラジウム系触媒:
[Pd(CH3CN)4][BF4]2
Pd(acetate)2/PCy3/(Ph)3C・B(C65)4
Pd(octoate)2/PCy3/(Ph)3C・B(C65)4
Pd(octoate)2/PPh3/(Ph)3C・B(C65)4/Et3Al、
3-allyl)Pd(triflate)(P(o-tolyl)3)/Li[B(C65)4]、
コバルト系触媒:
Co(dodecanoate)2/MAO、
チタン系触媒:
(t-BuNSiMe2Flu)TiMe2/(Ph)3C・B(C65)4/i-Bu3Al、
Me5CpTiCl3/MAO、
ジルコニウム系触媒:
Et(Ind)2ZrCl2/MAO、
Me2Si(Ind)2ZrCl2/MAO、
Ph2C(Cp)(Flu)ZrCl2/MAO、
(1,3-Me2Cp)Zr(S2CNMe2)3/MAO
などが挙げられる(それぞれPh:phenyl、MAO:methylaluminoxane、Cy:cyclohexyl、Ind:indenyl、Flu:fluorenyl、Cp:cyclopentadienylを示す。)。
上記付加(共)重合に用いることができる溶媒としては、炭化水素溶媒またはハロゲン化炭化水素溶媒などが挙げられる。
上記式(4)で示される環状オレフィン化合物の単量体と、上記α−オレフィン化合物との共重合体は、チタン系触媒、ジルコニウム系触媒などを用いて重合することができる。また、上記環状オレフィン化合物とスチレンとの共重合体は、ニッケル系触媒を用いて重合することができ、上記環状オレフィンとメチルアクリレートとの共重合体は、パラジウム系触媒を用いて重合することができる。
本発明に用いられる環状オレフィン付加(共)重合体[I]のガラス転移温度(Tg)
は、通常150℃〜450℃であるが、高耐熱性であるためには好ましくは200℃〜400℃、より好ましくは230℃〜380℃であることが望ましい。上記ガラス転移温度が上記範囲よりも低いと、耐熱性の点で問題を生じることがあり、一方、上記範囲を超えると付加(共)重合体の靱性が低下する傾向にある。
本発明に用いられる環状オレフィン付加(共)重合体[I]の分子量は、ゲル・パーミ
エションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定され、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が10,000〜200,000、好ましくは30,000〜100,0000であり、重量平均分子量(Mw)が30,000〜500,000、好ましくは100,000〜300,000であることが望ましい。MnおよびMwが上記範囲よりも低いと、機械的強度および伸びが小さく、フィルムまたはシートとした際に割れやすくなる傾向にある。一方、上記範囲を超えると、重合体の溶液粘度が高くなりすぎるため、溶液キャスト法(流延法)でフィルムまたはシートを作製する際に取り扱いが困難となる傾
向にある。
<縮合型リン酸エステル化合物[II]>
本発明に用いる縮合型リン酸エステル化合物[II]は、上記式(2)で表される。このような構造を有する縮合型リン酸エステル化合物[II]は、環状オレフィン付加(共)重合体[I]との相溶性が高く、透明性に優れた組成物を得ることができるため好ましい。
上記式(2)で表される縮合型リン酸エステル化合物[II]の具体例として、以下の化合物が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
1,3−ビス(フェニルホスフォリル)ベンゼン
1,3−ビス(ジフェニルホスフォリル)ベンゼン、
1,3−ビス[ジ(アルキルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
1,3−ビス[ジ(2’,6'−ジメチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
1,3−ビス[ジ(2’,6'−ジエチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
1,3−ビス[ジ(2’,6’−ジイソプロピルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
1,3−ビス[ジ(2’,6’−ジブチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
1,3−ビス[ジ(2’−t−ブチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
1,3−ビス[ジ(2’−イソプロピルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン
1,3−ビス[ジ(2’−メチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
1,4−ビス(ジフェニルホスフォリル)ベンゼン、
1,4−ビス[ジ(2’,6’−ジメチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
1,4−ビス[ジ(2’,6’−ジエチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
1,4−ビス[ジ(2’,6’−ジイソプロピルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
1,4−ビス[ジ(2’−t−ブチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
1,4−ビス[ジ(2’−イソプロピルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
1,4−ビス[ジ(2’−メチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、
4,4’−ビス[ジ(2”,6”−ジメチルフェニル)ホスフォリルフェニル]ジメチルメタン
などが挙げられる。
これらのうちで、上記式(3)で表される縮合型リン酸エステル化合物[II]は、環状オレフィン付加(共)重合体[I]との相溶性が高く、透明性に優れた組成物を得ること
ができ、さらに耐熱性および機械特性も低下しにくいためより好ましい。
具体的には、1,3−ビス(フェニルホスフォリル)ベンゼンまたは1,3−ビス[ジ(アルキルフェニル)ホスフォリル]ベンゼンなどが挙げられる。また、工業的に広く用いられていることから、1,3−ビス[ジ(2’,6’−ジメチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン、別名レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、および1,3−ビス[ジ(2’,6’−ジブチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼンが特に好ましい。
<環状オレフィン系樹脂組成物>
本発明の環状オレフィン系樹脂組成物は、環状オレフィン付加(共)重合体[I]10
0重量部に対して、難燃剤として縮合型リン酸エステル化合物[II]を2〜40重量部、好ましくは3〜30重量部、特に好ましくは5〜20重量部の範囲で含んでいることが望ましい。上記縮合型リン酸エステル化合物[II]の量が上記範囲よりも低いと、充分な難燃性が得られない傾向にあり、一方、上記範囲を超えると、透明性の点で問題を生じることがあり、また、機械特性が大きく低下する傾向にある。
本発明の環状オレフィン系樹脂組成物は、膜厚約100μmのフィルムとしたときに、ASTM-D1003に準拠して測定した全光線透過率が80%以上、より好ましくは85%以上で
あることが好ましい。全光線透過率が80%未満であると、光の損失が大きく所望の特性を発現できない傾向にある。
<他の成分>
上記環状オレフィン系樹脂組成物の透明性などの諸特性を損なわない範囲で、必要に応じて上記の樹脂組成物に他の難燃剤を添加することができる。上記の他の難燃剤としては、たとえば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、下記式(5)で表される10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドなどが挙げられる。
Figure 0004815875
上記の環状オレフィン付加(共)重合体[I]100重量部に対して、フェノール系、
ラクトン系、リン系、チオエーテル系などの酸化防止剤を、0.01〜5重量部添加することにより、さらに耐熱劣化性を改良することができる。
上記酸化防止剤としては、たとえば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチル−フェニル)、1、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート]メタン、3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオン酸ステアレート、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ペンタ
エリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤、ハイドロキノン系酸化防止剤、ビス−(2
,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ト
リス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト等のリン系2次酸化防止剤、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾール等のイオウ系2次酸化防止剤などが挙げられる。
さらに、本発明の環状オレフィン系樹脂組成物に対して、本発明の目的を損なわない範囲で、たとえば、レゾルシノール、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等の紫外線吸収剤、滑材、離型材、帯電防止剤などの通常の添加剤を、1種以上添加することができる。
<成形体>
本発明の環状オレフィン系樹脂組成物から形成される成形体は、種々の材料として用いられる。
その成形体の形状は、特に限定されるものでないが、フィルム、シート、薄膜、積層体などが挙げられる。これらのうちでは、フィルムまたはシートであることがより好ましい。
上記の樹脂組成物を成形する方法は、特に限定されず、溶液キャスト法(流延法)、押し出し成形法、圧縮成形法、射出成形法などを用いることができる。溶液キャスト法とは、樹脂組成物を溶媒に溶解して、その組成物の溶液を調製し、次いで、その溶液を支持体に塗工した後、溶媒を乾燥させることによって、フィルムまたはシートなどの成形体を得る方法である。これらのうちでは、熱履歴による重合体の劣化を抑制できる点で、溶液キャスト法が好ましい。
溶液キャスト法に用いる溶媒としては、環状オレフィン付加(共)重合体[I]および
縮合型リン酸エステル[II]を含む上記の樹脂組成物を、均一かつ透明に溶解できるため、芳香族化合物を用いることが好ましい。これにより、透明性および機械特性に優れた成形体を得ることができる。
<用途>
本発明の環状オレフィン系樹脂組成物は、優れた透明性、耐熱性、機性械特性および難燃性を活かして、光学材料をはじめ電気・電子部品の封止材料、保護膜材料、絶縁材料などとして有用である。
上記光学材料としては、たとえば、導光板、保護フィルム、接着フィルム、タッチパネル、透明電極基板、TFT用基板、カラーフィルター基板などが挙げられる。
上記電気・電子部品としては、たとえば、プリント配線基板の銅張積層板、高密度実装基板のビルドアップ多層配線層の層間絶縁膜、半導体パッケージ基板の絶縁材、半導体部品のトランスファー成型材の封止材、アンダーフィル用封止材、バッファーコート膜、パシベーション膜、ソルダーレジストの保護膜などが挙げられる。
上記絶縁材料としては、たとえば、電線・ケーブルの被覆材料、コンピューター、プリンター、複写機などのOA機器の絶縁材料などが挙げられる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、環状オレフィン付加(共)重合体の分子量(Mn、Mw)、ガラス転移温度(Tg)、共重合体中の組成解析、および環状オレフィン系樹脂組成物の残溶媒量、全光線透過率、難燃性、破断強度・破断伸びは下記の方法で測定した。
(1)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)
ウォーターズ(WATERS)社製150C型ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)装置で、東ソー(株)製Hタイプカラムを用い、o−ジクロロベンゼンを溶媒として120℃で測定した。得られた分子量は標準ポリスチレン換算値である。
(2)ガラス転移温度(Tg)
ガラス転移温度は動的粘弾性で測定されるTanδ(貯蔵弾性率E’と損失弾性率E”との比Tanδ=E”/E’)の温度分散のピーク温度で測定した。動的粘弾性の測定はレオバイブロンDDV−01FP(オリエンテック製)を用い、測定周波数:10Hz、昇温速度:4℃/分、加振モード:単一波形、加振振幅:2.5μmの条件でTanδの
ピーク温度を測定した。
(3)共重合体中の組成解析
重合終了後の重合体溶液に残留する単量体を、ガスクロマトグラフィー(GC)で測定し、共重合体中の組成を求めた。
(4)残溶媒量
環状オレフィン系樹脂組成物中のトルエン以外の残留溶媒量を測定する場合、1gのフィルムをトルエン20mLに溶解または膨潤させて、フィルム中の残留溶媒を抽出し、ガスクロマトグラフィー装置HP−5890(ヒューレット・パッカード社製)に、カラムPoraplotQ(ヒューレット・パッカード社製)を装着して残留溶媒量を測定した。また、フィルム中の残留トルエン量を測定する場合には、1gのフィルムをシクロヘキサン20mLまたはアセトン20mLに溶解または膨潤させて、上記同手法で測定し、定量した。
(5)全光線透過率
ASTM-D1003に準拠し、環状オレフィン系樹脂組成物を、厚さ約100μmのフィルムにして、全光線透過率を測定した。
(6)難燃性測定評価法
(難燃性測定評価法1)
環状オレフィン系樹脂組成物からなるフィルムを50mm×200mmに切り、直径12.7mm、長さ200mmの筒状になるように丸め、その筒状にしたフィルムの一端が地面と対面し、その長手方向が地面と垂直になるように把持した。次に、他端を約20mmの火炎に3秒間さらした後離炎した。離炎後のフィルムの燃焼状態を観察し、4段階評価(◎:5秒以内に自己消火する、○:7秒以内に自己消火する、△:10秒以内に自己消火する、×:10秒以内に自己消火しない、または燃え尽きる)した。◎、○および△を良好と判断した。
(難燃性測定評価法2)
難燃性測定評価法1による評価後、消火直後に、再び端部を約20mmの火炎に3秒間さらした後離炎した。この操作をさらに2回繰り返し、離炎後消火に至るまでの時間の合計を3段階評価(◎:7秒以内に自己消火する、○:10秒以内に自己消火する、×:10秒以内に自己消火しない)した。◎および○を良好と判断した。
(7)破断強度・破断伸び
JIS K7113に準じて、試験片を引っ張り速度3mm/minで測定した。
[参考例1]
100mLのガラス製耐圧ビンに、窒素雰囲気下、水分20ppmのトルエン47mL、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン50mmol、5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン40mmolを仕込み、耐圧ビンの口を王冠付きゴムキャップで封止した。これに、ゴムキャップを通じて、0.1MPaのガス状エチレンを20mL添加した。次いで、耐圧ビンを55℃に加温して、触媒成分の酢酸パラジウム0.0002mmol、トリシクロヘキシルホスフィン0.0002mmolおよびトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.0002mmolを仕込んで重合を開始した。重合開始から1時間後および2時間後に、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンをそれぞれ5mmol添加して、重合開始から4時間重合を行った。単量体の環状オレフィン付加共重合体への転化率は99.8%であった。この重合体溶液をイソプロパノールで凝固分離し、乾燥して環状オレフィン付加共重合体Aを得た。
付加共重合体AのMnは58,000であり、Mwは167,000であった。付加共
重合体AのTgは352℃であった。また、付加共重合体A中、5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は、39.5mol%であった。
[参考例2]
5Lの反応器に、25℃、窒素雰囲気下、水分15ppmのトルエン2L、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン493g(5.24mol)、5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン180g(1.2mol)および5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン100.8g(0.286mol)を仕込んだ。これに、分子量調節剤のエチレンを、系内の圧力が0.013MPaになるように添加した。さらに、触媒成分の(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウムジエタノエート0.0267mmolおよびトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.0267mmolを仕込んだ。次いで、55℃に加温して重合を開始し、1.5時間後(重合体への転化率:72%)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン47gおよび5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン9.6gを反応器に添加し、さらに3時間後(重合体への転化率:92%)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン47.0gおよび5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン9.6gを反応器に添加して、重合開始から6時間重合を行った。単量体の環状オレフィン付加共重合体への転化率は99.8%であった。
このようにして得られた環状オレフィン付加共重合体BのMnは52,000であり、Mwは167,000であった。付加共重合体BのTgは315℃であった。また、付加共重合体B中の5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位の割合は、7.1mol%であった。
[参考例3]
100mLのガラス製耐圧ビンに、窒素雰囲気下、水分20ppmのトルエン20mL、シクロヘキサン30mL、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン55mmolおよび4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル20mmolを仕込み、触媒成分のトリシクロヘキシルパラジウムビス(2−エチルヘキサノエート)0.002mmol、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミナート0.002mmolおよびトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.002mmolを仕込み、王冠付きゴムキャップで封止した。これに、ゴムキャップを通じて、0.1MPaのガス状エチレンを20mL添加した。この耐圧ビンを60℃に加温して重合を開始し、30分毎にビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンを5mmolづつ5回添加し、重合開始から3時間重合を行った。単量体の環状オレフィン付加共重合体への転化率は99.8%であった。
このようにして得られた環状オレフィン付加共重合体CのMnは62,000であり、Mwは173,000であった。付加共重合体CのTgは323℃であった。また、付加共重合体C中の4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル由来の構造単位の割合は、15mol%であった。
[実施例1]
付加共重合体A100重量部に対して、難燃剤として1,3−ビス[ジ(2’,6’−ジメチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン(大八化学工業(株)製PX−200)3重量部、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.3重量部、トリス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト0.3重量部およびp−トルエンスルフォン酸シクロヘキシル1.0重量部を添加して、20重量%トルエン溶液を作製した。
この溶液を、溶液キャスト法でポリエステルフィルム上に製膜した。180℃で2時間乾燥し、溶媒を除去して、膜厚100μmのフィルム1を得た。フィルム1は、Tgが305℃であり、難燃性に優れていた。その他の結果を表1に示す。
[実施例2]
1,3−ビス[ジ(2’,6’−ジメチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン(大八化学工業(株)製PX−200)10重量部を添加した以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚102μmのフィルム2を得た。フィルム2は、Tgが298℃であり、難燃性に優れていた。その他の結果を表1に示す。
[実施例3]
1,3−ビス[ジ(2’,6’−ジメチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン(大八化学工業(株)製PX−200)30重量部を添加した以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚101μmのフィルム3を得た。フィルム3は、Tgが294℃であり、難燃性に優れていた。その他の結果を表1に示す。
[実施例4]
付加共重合体B100重量部に対して、難燃剤として1,3−ビス[ジ(2’,6’−ジメチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン(大八化学工業(株)製PX−200)10重量部、酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]0.3重量部、トリス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを0.3重量部およびp−トルエンスルフォン酸シクロヘキシル1.0重量部を添加して、20重量%トルエン溶液を作製した。
この溶液を、溶液キャスト法でポリエステルフィルム上に製膜した。180℃で2時間乾燥し、溶媒を除去した後、このフィルムを180℃の加熱スチームで乾燥して、膜厚100μmのフィルム4を得た。フィルム4は、耐溶剤性に優れるとともに、Tgが320℃であり、難燃性に優れていた。その他の結果を表1に示す。
[実施例5]
付加共重合体Cを用いた以外は、実施例2と同様の方法で、膜厚105μmのフィルム5を得た。フィルム5は、Tgが315℃であり、難燃性に優れていた。その他の結果を表1に示す。
[実施例6]
1,3−ビス〔ジ(2’,6’−ジメチルフェニル)ホスフォリル〕ベンゼン(大八化学工業(株)製PX−200)5重量部、および10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド5重量部を添加した以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚103μmのフィルム6を得た。フィルム6は、Tgが301℃であり、難燃性に優れていた。その他の結果を表1に示す。
[実施例7]
1,3−ビス〔ジ(2’,6’−ジブチルフェニル)ホスフォリル〕ベンゼン10重量部を添加した以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚101μmのフィルム7を得た。フィルム7は、Tgが297℃であり、難燃性に優れていた。その他の結果を表1に示す。
[比較例1]
1,3−ビス[ジ(2’,6’−ジメチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン(大八化
学工業(株)製PX−200)1重量部を添加した以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚101μmのフィルム8を得た。フィルム8は、着火後自己消火しなかった。その他の結果を表1に示す。
[比較例2]
1,3−ビス[ジ(2’,6’−ジメチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン(大八化学工業(株)製PX−200)50重量部を添加した以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚101μmのフィルム9を得た。フィルム9は、難燃性に問題はないが、白濁しており非常に脆いフィルムであった。その他の結果を表1に示す。
[比較例3]
1,3−ビス[ジ(2’,6’−ジメチルフェニル)ホスフォリル]ベンゼン(大八化学工業(株)製PX−200)の代わりに、トリオクチルホスフェート20重量部を添加した以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚101μmのフィルム10を得た。フィルム10は、着火後自己消火しなかった。その他の結果を表1に示す。
[比較例4]
1,3−ビス〔ジ(2’,6’−ジメチルフェニル)ホスフォリル〕ベンゼン(大八化学工業(株)製PX−200)の代わりに、水酸化アルミニウム20重量部を添加した以外は、実施例1と同様の方法で、膜厚100μmのフィルム11を得た。フィルム11は、着火後自己消火せず、白濁していた。その他の結果を表1に示す。
Figure 0004815875
表1の結果から、付加共重合体Aに対する難燃剤の量が少なすぎる場合は、所望の難燃性が得られず、一方、難燃剤の量が多すぎる場合は、難燃性に問題はないが、透明性および機械特性が低下することが分かる(実施例1〜3、比較例1および2)。また、付加共重合体Aに、本願に用いられる特定の難燃剤を組み合わせない場合は、透明性、難燃性および機械特性はいずれも劣ることが分かる(実施例1〜3、比較例3および4)。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表される構造単位からなる環状オレフィン付加(共)重合体[I]100重量部と、
    下記一般式(2)で表される縮合型リン酸エステル化合物[II]2〜40重量部とを含み、
    前記環状オレフィン付加(共)重合体[I]が、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位を、全構造単位中40mol%〜95mol%含み、5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンまたは4−メチルテトラシクロ[6.2.1.1 3,6 .0 2,7 ]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル由来の構造単位を全構造単位中5mol%〜40mol%含む環状オレフィン系樹脂組成物。
    Figure 0004815875
    (式(1)中、A1〜A4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数5〜15のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数3〜15の加水分解性のシリル基、炭素数3〜15のオキセタニル基、炭素数1〜15のN−置換イミド基、アルコキシ基の炭素数が1〜5であるアルコキシカルボニル基、トリアルキルシロキシカルボニル基、ジアルキルアルミノキシカルボニル基、カーボナート基およびグリシジル基からなる群より選ばれる原子または置換基を表し、これらの置換基は炭素数1〜10のアルキレン基によって、互いに環状に結合していてもよく、さらにA1とA2とで炭素数1〜15のアルキリデン基、脂環構造、環状の芳香族構造、環状の酸無水物基または環状のイミド基を形成していてもよく、A1とA3とで形成される炭素数1〜15の脂環構造、環状の芳香族構造、環状の酸無水物基または環状のイミド基を形成していてもよく、mは0または1の整数を示す。)
    Figure 0004815875
    (式(2)中、R1、R2、R4〜R6は、それぞれ独立に、炭素数〜20のアリール基を表し、R3は炭素数6〜25のアリーレン基を表し、nは0〜3の整数を示す。)
  2. 前記環状オレフィン付加(共)重合体[I]が、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位と5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位とからなる重合体、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位と4−メチルテトラシクロ[6.2.1.1 3,6 .0 2,7 ]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル由来の構造単位とからなる重合体、あるいはビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位と、5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位または4−メチルテトラシクロ[6.2.1.1 3,6 .0 2,7 ]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル由来の構造単位と、5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン由来の構造単位とからなる重合体であることを特徴とする請求項1に記載の環状オレフィン系樹脂組成物。
  3. 前記環状オレフィン付加(共)重合体[I]のガラス転移温度が、200℃〜400℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の環状オレフィン系樹脂組成物。
  4. 前記縮合型リン酸エステル化合物[II]が、下記一般式(3)で表されることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の環状オレフィン系樹脂組成物。
    Figure 0004815875
    (式(3)中、A5〜A8は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
  5. 波長500nmの光線に対する光線透過率(ASTM-D1003)が80%以上である、膜厚100μmのフィルムを形成することができることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の環状オレフィン系樹脂組成物。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の環状オレフィン系樹脂組成物からなることを特徴とする成形体。
  7. 前記成形体が、フィルムまたはシートであることを特徴とする請求項に記載の成形体。
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