JP4819247B2 - インクセットおよびこれを用いた記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、普通紙にカラー画像を形成するときに生じる、所謂、カラー・ブリーディング(現象)を低減し、かつ耐水性のあるインク画像を得る技術に関し、とりわけ、インクジェット方式を利用した画像形成において用いられるインクセット、これを用いたインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、インク小滴を飛翔させ、紙などの記録媒体上にインクを付着させて記録を行うものである。特に、特公昭61−59912号公報および特公昭61−59914号公報において開示されている、吐出エネルギーの供給手段として電気熱変換体を用いて熱エネルギーをインクに与えて気泡を発生させることにより液滴を吐出させる方式のインクジェット記録方法によれば、記録ヘッドの高密度マルチオリフィス化を容易に実現することができ、かつ高解像度および高品質の画像の高速記録が可能となる。
【0003】
しかしながら、従来のインクジェット記録に用いられるインクは、水を主成分とし、これに乾燥防止や目詰まり防止などの目的でグリコールなどの水溶性高沸点溶剤を含有したものが一般的であるため、このようなインクを用い、記録媒体として普通紙を用いて記録を行った場合には、十分な画像の定着性が得られなかったり、記録媒体表面における填料やサイズ剤の不均一な分布によると推定される不均一画像が発生するなどの問題が生じていた。また、特にカラー画像を得ようとする場合には、夫々のカラーインクが記録媒体である紙上に完全に定着される以前に複数の色のインクが次々と重ねられるため、異色の画像の境界部分では、色が滲んだり、不均一に混ざり合い(以下、この現象をブリーディングと呼ぶ)、満足すべき画像が得られないという問題もあった。
【0004】
ブリーディング問題に対する解法の提案としては、特開昭55−65269号公報には、インク中に界面活性剤などの浸透性を高める化合物を添加することが開示されている。また、特開昭55−66976号公報には、揮発性溶剤を主体としたインクを用いることが開示されている。しかし、前者の方法では、インクの記録紙中への浸透性が高まる結果、定着性および耐ブリーディング性についてはある程度向上させることができるものの、インクとともに色材も記録紙の奥深くまで浸透してしまうため、画像濃度や彩度が低下したりするなどの不都合が発生する。その他、インクの横方向に対する広がりも発生する結果、画像のエッジのシャープさの低下や解像性の低下などの問題も同時に発生する。一方、後者の場合には、上記した前者に対する不都合に加え、記録ヘッドのノズル部での溶剤の蒸発による目詰まりが発生し易く好ましくない。
【0005】
さらに、上述した種々の問題点を改善する目的で、形成画像が良好となるような機能を有する液体組成物をインクの噴射に先だって記録媒体上に付着させておく方法が開示されている。例えば、特開昭63−299971号公報には、1分子当たり2個以上のカチオン性基を有する有機化合物が含有された液体組成物を、インクの噴射に先だって記録媒体上に付着させた後に、アニオン性染料が含有されたインクで記録する方法が記載されている。
【0006】
また、特開昭63−299970号公報および特開平5−202328号公報には、記録媒体へのインクの付与に先だち、多価金属塩、すなわち、種々の金属イオンとハロゲン化合物や有機酸などの陰イオンとの間でのイオン結合により形成された化合物を予め記録媒体上に付与しておき、その後インクで画像を形成する方法が開示されている。しかし、これらの技術では、耐水性の向上、ブリーディングの低減を達成することはできるが、印字に必要なインクが1種類多くなることから、印字装置が大きくなり、しかも印字時間が遅くなるという問題があった。
【0007】
最後に、特開平2−255876号、特開平2−296878号、および特開平3−188174号公報には、分子量300以上の一級アミノ基を有するポリアミンと、アニオン染料と、安定性付与剤とを含んでなるインク組成物により耐水性が発現されることが開示されている。これらの技術は、インクが紙に付着後、紙中の酸性物質によりインクのpHが低下し、それによりアニオン性染料および紙中のアニオンとポリアミンが、紙上でイオン的に架橋し、耐水性が発現すると推測されるが、しかし、前記の効果のみではブリーディングの低減に対する効果が十分ではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、被記録材、特に普通紙の記録において、カラー画像におけるブリーディングを防止し、かつ鮮明で均一な高画質像が得られ、さらに耐水性の向上も図れるインクからなるインクセットおよびこれを用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本発明により達成される。すなわち、本発明は、2色以上のインクを用いて、被記録材にインク滴を吐出させてカラー画像記録を行うインクセットにおいて、少なくとも水と、着色剤と、カチオン系水系ポリマーとを含み、pHが低下することによりゲル化するインクを2色以上、独立して含むインクセットであって、前記2色以上のインクのうちの少なくとも2色のインクは異なるゲル化pHを持ち、前記ゲル化pHを持つ2色のインクをそれぞれインク(A)、該インク(A)よりも低いゲル化pHを持つインク(B)としたとき、前記インク(B)のpHは前記インク(A)のゲル化pHよりも低く、前記インク(B)のpHは前記インク(A)のpHよりも低く、前記インク(B)のpHと前記インク(A)のpHとの差が1以上であることを特徴とするインクセット、および該インクセットを用いる記録方法を提供する。
【0010】
本発明者らは、カラー画像におけるブリーディングを抑制する目的で鋭意検討した結果、色材、液媒体、およびカチオン系水系ポリマーを含むインクにおいて、インクのゲル化pHおよびインクのpHの異なるインクを組み合わせたインクセットを用いることにより、ブリーディングが著しく抑制され、さらに印字物の耐水性が向上することを見いだした。すなわち、前記インクセットがインク滴として記録ヘッドより飛翔し、普通紙などの被記録材上でインク同士が接触した場合には、pHの高い方のインクのpHが低下し、色材とカチオン系水系ポリマー間でイオン的な架橋反応が進み、急激なゲル化を引き起こすと推測される。また、これらのインクはいずれも普通紙などの被記録材中の酸性物質によりpHが下がり、前記の反応によりゲル化すると推測される。これらの効果により、カラー画像におけるブリーディングが著しく抑制され、印字物の耐水性も向上する。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
本発明によるインクセットは、基本的に、少なくとも水と、着色剤と、カチオン系水系ポリマーとを含み、pHが低下することによりゲル化するインクを2色以上、独立して含むインクセットであって、少なくとも2色のインクのpHおよびゲル化pHが異なることを特徴としている。
【0012】
本発明で用いられるカチオン系水系ポリマーとしては、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリエチレンイミン−エピクロルヒドリン反応物、ポリアミド−ポリアミン樹脂、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂、カチオンデンプンまたはそれらの酸中和物などを挙げることができるが、これらに限られたものではない。
【0013】
カチオン系水系ポリマーの重量平均分子量は200〜100,000程度が好ましく、より好ましくは1,000〜50,000程度である。カチオン系水系ポリマーは単独または複数種混合して用いることができる。カチオン系水系ポリマーの添加量は適宜決定されてよいが、インク組成物全量に対して0.1〜20重量%の範囲で添加することが好ましい。
【0014】
本発明のインクセットを構成するインクの着色剤のうち、顔料は各種有機、無機顔料が使用可能であり、染料は、スルホン基、カルボキシル基などのアニオン性官能基を持つものであれば、アニオン性染料、カチオン性染料、分散染料などの各種染料が使用可能である。より好ましくは溶解安定性、信頼性の点からアニオン性染料が着色剤としてよく、一般分類としては酸性染料、直接染料、反応性染料、分散染料、食品用色素、蛍光増白剤などの中から適宜選択できる。
【0015】
具体的には、アニオン性染料のうち、酸性染料としては、例えば、C.I.アシッドブラック1、2、7、16、17、24、26、28、31、41、48、52、58、60、63、94、107、109、112、118、119、121、122、131、155、156;C.I.アシッドイエロー1、3、4、7、11、12、13、14、17、18、19、23、25、29、34、36、38、40、41、42、44、49、53、55、59、61、71、72、76、78、79、99、111、114、116、122、135、142、161、172;C.I.アシッドオレンジ7、8、10、19、20、24、28、33、41、45、51、56、64;C.I.アシッドレッド1、4、6、8、13、14、15、18、19、21、26、27、30、32、34、35、37、40、42、51、52、54、57、80、82、83、85、87、88、89、92、94、97、106、108、110、111、114、115、119、129、131、133、134、135、143、144、152、154、155、172、176、180、184、186、187、249、254、256、289、317、318;C.I.アシッドバイオレット7、11、15、34、35、41、43、49、51、75;C.I.アシッドブルー1、7、9、15、22、23、25、27、29、40、41、43、45、49、51、53、55、56、59、62、78、80、81、83、90、92、93、102、104、111、113、117、120、124、126、138、145、167、171、175、183、229、234、236、249;C.I.アシッドグリーン3、9、12、16、19、20、25、27、41、44;C.I.アシッドブラウン4、14などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
直接染料としては、例えば、C.I.ダイレクトブラック2、4、9、11、14、17、19、22、27、32、36、38、41、48、49、51、56、62、71、74、75、77、78、80、105、106、107、108、112、113、117、132、146、154、168、171、194;C.I.ダイレクトイエロー1、2、4、8、11、12、24、26、27、28、33、34、39、41、42、44、48、502、51、58、72、85、86、87、88、98、100、110、127、135、141、142、144;C.I.ダイレクトオレンジ6、8、10、26、29、41、49、51、102;C.I.ダイレクトレッド1、2、4、8、9、11、13、15、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、46、47、48、51、59、62、63、73、75、77、80、81、83、84、85、87、89、90、94、95、99、101、108、110、145、189、197、220、224、225、226、227、230、250、254、256、257;C.I.ダイレクトバイオレット1、7、9、12、35、48、51、90、94;C.I.ダイレクトブルー1、2、6、8、15、22、25、34、69、70、71、72、75、76、78、80、81、82、83、86、90、98、106、108、110、120、123、158、163、165、192、193、194、195、196、199、200、201、202、203、207、218、236、237、239、246、258、287;C.I.ダイレクトグリーン1、6、8、28、33、37、63、64;C.I.ダイレクトブラウン1A、2、6、25、27、44、58、95、100、101、106、112、173、194、195、209、210、211などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
反応性染料としては、例えば、C.I.リアクティブブラック1、3、5、6、8、12、14;C.I.リアクティブイエロー1、2、3、13、14、15、17;C.I.リアクティブオレンジ2、5、7、16、20、24;C.I.リアクティブレッド6、7、11、12、15、17、21、23、24、35、36、42、63、66、84、184;C.I.リアクティブバイオレット2、4、5、8、9;C.I.リアクティブブルー2、5、7、12、13、14、15、17、18、19、20、21、25、27、28、37、38、40、41;C.I.リアクティブグリーン5、7;C.I.リアクティブブラウン1、7、16などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
食用色素としては、例えば、C.I.フードブラック1、2;C.I.フードイエロー2、4、5;C.I.フードレッド2、3、7、9、14、52、87、92、94、102、104、105、106;C.I.フードバイオレット2;C.I.フードブルー1、2;C.I.フードグリーン2、3などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
一方、塩基性染料としては、例えば、C.I.ベイシックブラック2、8;C.I.ベイシックイエロー1、2、11、12、14、21、32、36;C.I.ベイシックオレンジ2、15、21、22;C.I.ベイシックレッド1、2、9、12、13、37;C.I.ベイシックバイオレット1、3、7、10、14;C.I.ベイシックブルー1、3、5、7、9、24、25、26、28、29;C.I.ベイシックグリーン1、4;C.I.ベイシックブラウン1、12などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
顔料としては、例えば、カ−ボンブラック、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛などの無機顔料、モノアゾ系、ジスアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系などの有機顔料が挙げられるが、これらに限られたものではない。顔料を本発明に使用する場合には、アニオン性ポリマーまたはアニオン性界面活性剤で分散して使用するか、アニオン性基が直接または他の原子団を介して顔料表面に結合された自己分散型の顔料を分散して使用するのが好ましい。
【0021】
着色剤は単独または複数種混合して用いることができる。着色剤の添加量は適宜決定されてよいが、インク組成物全量に対して0.1〜20重量%の範囲で添加することが好ましい。
【0022】
以上の様な本発明のインクセットを構成するインクに、信頼性、保存安定性或いはインクの浸透性の調節など、よりインクジェット適性を付与するために、次に挙げるような保湿剤や溶解助剤を含有させてもよい。そのような材料としては、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール200、ジプロピレングリコール、チオジグリコール、1,2,6−ヘキサントリオールなどのアルキレングリコール類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−プロパンスルホンなどの非プロトン性極性溶媒、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテル類;ホルムアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ソルビット、ウレアおよび1,3−ビス(β−ヒドロキシエチル)ウレアなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのインク中の含有量は、インク全重量の1〜30%の範囲が好ましい。
【0023】
また、インクジェット記録に本発明のインクセットを使用する際に、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールなどのアルキルアルコールを含有させると吐出性が向上し効果的である。さらに必要に応じて、本発明のインク中に界面活性剤、防錆剤、防かび剤、酸化防止剤、pH調整剤などの添加剤を含有させることも可能である。
【0024】
本発明のインクセットを構成するインクの内、ゲル化pHをもつインク間のpH差は1以上が好ましく、より好ましくは2以上である。pHの差が1未満では、ブリーディングの低減に対する効果が十分でない。
【0025】
本発明のインクセットを構成するインクのpHは、8以上が好ましく、より好ましくは9以上である。pHが8未満では、印字物の耐水性が十分に発現しない。
【0026】
本発明のインクセットを構成するインクのpHを調整する場合には、色材を加える以前、かつカチオン系水系ポリマーが加えられた状態でpHを調整することが好ましい。色材を加えてからpHを調整すると、不溶物が生じ、色材を再溶解させることができない場合がある。
【0027】
本発明のインクセットを構成するインクのゲル化pHの調整は、カチオン系水系ポリマー、色材、アミン添加物の選択、それらの組み合わせにより行う。前記アミン添加物とは、分子量200以下のアミンが挙げられ、具体的には、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、2−ピロリドンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
カチオン系水系ポリマー、色材、アミン添加物の選択によるゲル化pHへの影響を次に述べるが、本発明は、記述される関係で限定されるものではない。カチオン系水系ポリマーがポリアミンである場合には、ポリアミンのアミノ基が1級、2級、3級、4級の順にゲル化pHは低くなり、色材に含まれるアニオン性官能基は、スルホン酸基、カルボン酸基の順にゲル化pHは低くなる。また、前記アミン添加物が加わるとゲル化pHは低くなる。ただし、上記の記述は、一般的な傾向を述べたものであって、当然、立体構造、他の官能基、分子量の影響により、これらの順序は逆転する場合もある。
【0029】
本発明のインクセットを用いインクジェット記録を行う場合、pHの高いインクと低いインクのどちらを先に印字してもブリーディングの低減には効果的であるが、特にpHの低いインクを印字し、次にpHの高いインクを印字することにより、ブリーディングの低減により効果的である。
【0030】
また、本発明で使用するインクジェット記録方式は、本発明のインクセットが用いられる限り、従来公知の何れの方式でもよいが、例えば、好ましい方式として記録ヘッドの室内のインクに記録信号に対応した熱エネルギーを与え、該エネルギーにより液滴を発生させるインクジェット記録方式が挙げられる。
【0031】
【実施例】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、文中の組成比は、特に断りがない限り重量%である。
先ず、実施例および比較例のインクの作成方法について説明する。下記の実施例1〜5および比較例1〜2の各インク成分を混合し、十分攪拌して溶解した。
このとき必要ならば夫々のインクpHを以下に示した値に調整した。なお、インクのpHを調整する場合には、色材を加える以前、かつカチオン系水系ポリマーが加えられた状態でpHを調整した。
【0032】
<実施例1>
【0033】
上記第2のインクは酢酸を用いてpH11に調整した。
【0034】
<実施例2>
【0035】
上記第2のインクは酢酸を用いてpH10.4に調整した。
【0036】
<実施例3>
【0037】
上記第2のインクは酢酸を用いてpH10に調整した。
【0038】
<実施例4>
【0039】
上記第2のインクは酢酸を用いてpH9に調整した。
【0040】
<実施例5>
【0041】
【0042】
上記第2のインクは酢酸を用いてpH11に、第3のインクは酢酸を用いてpH9調整した。
【0043】
<比較例1>
実施例1において、第1のインクのポリアリルアミン、第2のインクのポリエチレンイミンを夫々除いて各インクを作成し、水酸化リチウム水溶液を用いて第1のインクをpH12、第2のインクをpH11に調整し、比較例1のインクセットとした。
【0044】
<比較例2>
実施例1において、第2のインクを酢酸を用いてpH調整せずに、水酸化リチウム水溶液を加えpH12に調整し、比較例2のインクセットとした。
【0045】
[記録]
実施例1〜3、および比較例1〜2で得られた各インクを用いて、市販のコピー紙にインクジェットプリンターを用い、第2のインク、第1のインクの順に記録した。また、実施例4で得られたインクについては、第1のインク、第2のインクの順に記録した。実施例5で得られたインクについては、第3のインク、第2のインク、第1のインクの順に記録した。
【0046】
[測定]
実施例1〜5、および比較例1〜2において、(1)各インクのpH、(2)各インクのゲル化pHを測定し、その結果を表1に示した。なお、各測定の方法は以下の方法で行った。
【0047】
(1)インクのpH
HORIBA製pHメーター、pH電極を用い、20℃での各インクのpHを測定した。
(2)インクのゲル化pH
各インク20μlをpH6〜13の緩衝液10mlに加え、よく攪拌し、孔径0.2μmのメンブレンフィルター(親水性PTFE製)で濾過しゲルを取り除いた。次に、濾液の吸光度を測定し、pH13の緩衝液を用いたときの、濾液の波長360nm〜800nm間の最大吸収波長での吸光度を1とし、他の緩衝溶液の同波長での相対吸光度を求めた。この用いた緩衝液のpHと相対吸光度の関係をグラフにプロットし、相対吸光度が0.4になるpHをインクのゲル化pHとした。このとき用いたグラフは図1〜7に示す。
【0048】
【0049】
[評価]
実施例1〜5、および比較例1〜2の記録物について、(1)ブリーディングおよび(2)耐水性の評価を行い、その結果を表2に示した。なお、各評価の方法は以下の方法で行った。
【0050】
(1)ブリーディング
市販のコピー用紙に各インクのベタ部を隣接して記録し、境界部で色が滲んだり、不均一に混じりあっていないかを観察した。評価は以下の基準とした。
○:色が滲んだり、不均一に混じりあった部分がなかった。
△:色が滲んだり、不均一に混じりあった部分が多少あったが、実用上問題ない。
×:色が滲んだり、不均一に混じりあっており、実用上問題がある。
【0051】
(2)耐水性
市販のコピー用紙に各インクのベタ部を記録して1時間放置後、印字濃度をマクベスRD915にて測定する。その後、印字物を水に満たした容器に5分間浸漬した後、放置乾燥して、再度印字濃度を測定し、印字濃度の残存率を下記式(I)より求め、耐水性の評価とした。評価は以下の基準とした。
○:各インクの印字濃度の残存率が75%以上
△:各インクの印字濃度の残存率が60%以上75%未満
×:各インクの印字濃度の残存率が60%未満
【0052】
【0053】
表1および表2に示す結果から明らかなように、実施例1〜5のインクセット(本発明品)を用いることにより、ブリーディングが低減され、かつ鮮明で均一な高画質像が得られ、さらに優れた耐水性が得られた。一方、インクにカチオン系水系ポリマーが含まれていない比較例1では、ブリーディング、耐水性ともに不十分であった。また、第1のインクのゲル化pHが第2のインクのpHより低い比較例2では、耐水性は良好であったものの、ブリーディングの低減に対しては効果がなかった。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のインクセットによれば、普通紙に対するインクジェット記録において、ブリーディングが低減され、また、耐水性のある高画質な画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の各インクのゲル化pHを求めるときに使用したグラフである。なお、実線は第1のインク、点線は第2のインクを示す。
【図2】実施例2の各インクのゲル化pHを求めるときに使用したグラフである。なお、実線は第1のインク、点線は第2のインクを示す。
【図3】実施例3の各インクのゲル化pHを求めるときに使用したグラフである。なお、実線は第1のインク、点線は第2のインクを示す。
【図4】実施例4の各インクのゲル化pHを求めるときに使用したグラフである。なお、実線は第1のインク、点線は第2のインクを示す。
【図5】実施例5の各インクのゲル化pHを求めるときに使用したグラフである。なお、実線は第1のインク、点線は第2のインク、破線は第3のインクを示す。
【図6】比較例1の各インクのゲル化pHを求めるときに使用したグラフである。なお、実線は第1のインク、点線は第2のインクを示す。
【図7】比較例2の各インクのゲル化pHを求めるときに使用したグラフである。なお、実線は第1のインク、点線は第2のインクを示す。
Claims (6)
- 少なくとも水と、着色剤と、カチオン系水系ポリマーとを含み、pHが低下することによりゲル化するインクを2色以上、独立して含むインクセットであって、
前記2色以上のインクのうちの少なくとも2色のインクは異なるゲル化pHを持ち、
前記ゲル化pHを持つ2色のインクをそれぞれインク(A)、該インク(A)よりも低いゲル化pHを持つインク(B)としたとき、
前記インク(B)のpHは前記インク(A)のゲル化pHよりも低く、
前記インク(B)のpHは前記インク(A)のpHよりも低く、
前記インク(B)のpHと前記インク(A)のpHとの差が1以上であることを特徴とするインクセット。 - 前記インクのいずれかが、分子量200以下のアミンを含む請求項1に記載のインクセット。
- 前記インクのpHが、いずれも8以上である請求項1又は2に記載のインクセット。
- 複数のインクを付着させて被記録材に印字を行う記録方法であって、インクとして請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクセットを用いることを特徴とする記録方法。
- 複数のインクを飛翔させ、該インクを被記録材に付着させて印字を行うインクジェット記録方法であって、インクとして請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクセットを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
- pHの低いインクを先に被記録材に付着させて印字を行い、次にpHの高いインクを被記録材に付着させて印字を行う請求項5に記載のインクジェット記録方法。
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