JP4832189B2 - 舵角センサ - Google Patents

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Description

この発明は、自動車などの車両に搭載される主動ギア(ステアリングシャフト)の回転角度を検出する舵角センサに関するものである。
これまで知られている舵角センサ(以下、適宜「第1の従来センサ」という)には、たとえば、特許文献1に記載されたものがある。従来の舵角センサは、主動ギア(ステアリングシャフト)と連動して回転する第1のギアと、この第1のギアと連動した第1のギアよりも速い速度で回転する第2のギアとを含めて構成されている。第1の従来センサでは、ステアリングシャフトの回転角度を高精度に検出することが求められており、その達成手段として第1のギアと噛み合う第3のギアが設けられている。
特開2004−198287号公報(段落0016、及び図3参照)
また、特許文献2に記載された舵角センサ(以下、適宜「第2の従来センサ」という)は、四輪操舵車の前輪舵角(ステアリングシャフト回転角度)を検出し、その検出した前輪舵角に応じて後輪操舵のための目標後輪舵角を決定するためのものである。第2の従来センサは、検出した前輪舵角の微変動の影響を与えないようにするために、所定の時間間隔でサンプリングして所定時間前から現在までにサンプリングした前輪舵角の重み付け平均値に基づいて目標後輪舵角が演算されるようになっている。上記構成を採用した理由として特許文献2には、検出された前輪舵角が微変動しても、この微変動が重み付け平均値には影響させないようにするためである旨が記載されている。
特開平7−25349号公報(段落0010乃至0020、数3参照)
しかしながら、舵角センサに高精度が求められることは言うまでもないところ、その高精度を妨げる理由は様々である。たとえば、自動車が使用される周囲環境の変化によって舵角センサを含む電装部品には温度、湿度等のドリフトが発生する場合がある。その場合、上記ドリフトによる悪影響が異常データとなって検知精度に及ぶ場合があり得る。第1の従来センサが採用するギアの組み合わせだけでは、上記異常データを排除することはできない。また、第2の従来センサが採用するサンプリングした前輪舵角の重み付け平均値による舵角検出をもってしても、上記異常データを排除することができない。第2の従来センサは、前輪舵角の微変動による影響を排除するためだけのものだからである。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、異常データの検知に基づく回転角度検知の精度低下を防止することによって、より高精度の舵角センサを提供することにある。
上記した課題を解決するために開発を進めた発明者は、粗信号及び微信号の測定データを獲得すること、さらには、所定時間間隔で通常1回の測定しか行わないところ、超過測定を常時行って超過測定データを獲得すること、そして、獲得したデータから所定範囲を逸脱する異常データの排除を行うこと、によってステアリングシャフト回転角度の検知をより精度の高いものとするとの考えに至った。本発明は、上記観点からなされたものである。その構成の詳しい内容は、次項以下で説明する。なお、何れかの請求項に係る発明の説明において行う用語の定義等は、その性質上可能な範囲で他の請求項に係る発明にも適用されるものとする。
(請求項1記載の発明の特徴)
請求項1記載の発明に係る舵角センサ(以下、適宜「請求項1の舵角センサ」という)は、ステアリングシャフトに取り付け、当該ステアリングシャフトの絶対角度を測定するためのセンサである。具体的には、所定回転数回転するステアリングシャフトの回転角度を測定して粗信号を出力する粗信号測定機構及び微信号を出力する微信号測定機構と、粗信号測定データ及び微信号測定データに基づいて当該ステアリングシャフトの絶対角度を演算する演算機構と、当該微信号測定機構に含まれ微信号から複数回の超過測定を行う、オーバーサンプリング部と、
を備え、当該演算機構は、当該微信号測定機構に含まれるオーバーサンプリング部の超過測定による複数の測定データのうち、所定範囲を逸脱した異常データを検出・排除する異常データ検出・排除部と、当該複数の測定データの中から排除した異常データの直前及び直後の測定データの平均値を算出するとともに、当該平均値を、当該排除した異常データの代わりに補間するデータ補間処理部と、を含めて構成してある。
請求項1の舵角センサによれば、粗信号測定機構が粗信号を、微信号測定機構が微信号を、それぞれ出力する。粗信号及び微信号を受けた演算機構は、両信号に基づいてステアリングシャフトの絶対角度を演算する。演算機構が備える異常データ検出・排除部は、測定データの中に所定範囲を逸脱する異常データを検出するとともに、検出した異常データを排除する。異常データの検出・排除は、絶対角度の精度の飛躍的向上に大きく貢献する。すなわち、異常データ排除によって、排除がなければ生じたであろうステアリングシャフトの絶対角度に対する悪影響が排除されるから、同絶対角度の精度が高められることになる。ここで微信号測定機構は、微信号から複数回の超過測定を行うオーバーサンプリングを行うことになるため、さらなる精度の向上をはかることができる。なお、異常データを排除した結果、測定により求めたデータに抜けが生じることになるが、抜けを生じさせたままでは抜けた分だけサンプリングの精度が低下することになる。そこで、データ補間処理部が、排除により抜けた分、抜けたデータの前後データを平均して得た平均値を補うことにより、オーバーサンプリングした効果を最大限に引き出すことができる。補間するデータとして平均値を用いるのは、当該平均値は連続したデータ列のうち、極めて近い時間間隔で分布した、データの平均値をとったものであるから、架空のデータに比べてより実態に近いものと、すなわち、より精度が高いものと考えられるからである。
(請求項2記載の発明の特徴)
請求項2記載の発明に係る舵角センサ(以下、適宜「請求項2の舵角センサ」という)には、請求項1の舵角センサの基本構成を備えさせた上で、前記粗信号測定機構に含まれ粗信号から複数回の超過測定を行う、オーバーサンプリング部を、さらに備え、前記演算機構は、当該粗信号測定機構に含まれるオーバーサンプリング部の超過測定による複数の測定データのうち、所定範囲を逸脱した異常データを検出・排除する異常データ検出・排除部と、当該複数の測定データの中から排除した異常データの直前及び直後の測定データの平均値を算出するとともに、当該平均値を、当該排除した異常データの代わりに補間するデータ補間処理部と、を含めて構成してある。
請求項2の舵角センサによれば、請求項1の舵角センサの作用効果に加え、粗信号測定機構は、粗信号から複数回の超過測定を行うオーバーサンプリングを行うことになるため、さらなる精度の向上をはかることができる。なお、異常データを排除した結果、測定により求めたデータに抜けが生じることになるが、抜けを生じさせたままでは抜けた分だけサンプリングの精度が低下することになる。そこで、データ補間処理部が、排除により抜けた分、抜けたデータの前後データを平均して得た平均値を補うことにより、オーバーサンプリングした効果を最大限に引き出すことができる。補間するデータとして平均値を用いるのは、当該平均値は連続したデータ列のうち、極めて近い時間間隔で分布した、データの平均値をとったものであるから、架空のデータに比べてより実態に近いものと、すなわち、より精度が高いものと考えられるからである。微信号と同じく粗信号も異常データを含む恐れがあり、含まれるのであれば、そのような異常データもステアリングシャフトの絶対角度に悪影響を与えかねない。そこで、粗信号に係る異常データも併せて排除することにより、絶対角度の高精度を図った。
本発明に係る舵角センサによれば、ステアリングシャフト回転角度検知の際の異常データ検知に基づく精度の低下を防止し、より高精度な舵角センサを提供することができる。
各図を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態(以下、「本実施形態」という)について図面を用いて述べる。図1は、本実施形態における舵角センサの取付位置の概略を示すための斜視図である。図2は、本実施形態における舵角センサの平面図である。図3は、図2に示す舵角センサの支持基板を取り外した状態の平面図である。図4は、本実施形態における舵角センサの分解斜視図である。図5は、図2に示す舵角センサのA−A断面図である。なお、図5に示す回転リング及び固定リングは断面とせずに側面を示してある。図6は、本実施形態における舵角センサの電気的構成を示すブロック図である。図7は、本実施形態における微信号を示すグラフである。図8は、本実施形態における粗信号を示すグラフである。図9は、本実施形態におけるオーバーサンプリング部、演算機構及びその周辺を示すブロック図である。図10は、オーバーサンプリング部を持たない場合のブロック図である。図11は、図9の一対のオーバーサンプリング部を説明するための図である。図12は、図9の一対の異常データ検出部及び一対の異常データ排除部を説明するための図である。なお、図6に示す符号105は、使用時において舵角センサに装着するステアリングシャフトを示す。
図1を参照しながら、舵角センサの設置位置の一例を説明する。舵角センサ1は、車両のハンドル101に付属するステアリングコラム103の中に内蔵されるのが一般的である。ハンドル101には、ハンドル101と一体回転するステアリングシャフト105(図4参照)が固定してある。舵角センサ1は、ステアリングシャフト105のステアリングシャフト回転角度を検出するためのセンサであり、それ自体は回転しないが後述する回転リング7がステアリングシャフト105と一体回転するように構成してある。
(舵角センサの概略構造)
図2乃至5を参照しながら、舵角センサの概略構造を説明する。舵角センサ1は、合成樹脂製のケーシング3を備え、ケーシング3が舵角センサ1の主要外観を構成する。ケーシング3は、底部3aと底部3aの周縁から起立する周壁部3bとから概ね構成してある。ケーシング3は、たとえば、内蔵させるギアの大きさや数等の内部構造の違いや舵角センサ1を取り付ける取付環境等の外部構造の違い等に合わせて様々な形状に形成可能であり、ステアリングシャフト105を貫通させるためのシャフト孔4を厚み方向に備えている。シャフト孔4は円形であって、その周縁には、底部3aから周壁部3bと平行に起立する環状の内側リブ3cと、内側リブ3cの外側で起立する同じく環状の外側リブ3dと、を形成してある。外側リブ3dは、その一部を切り欠いた形状に形成してあり、切り欠きによって開放した外側リブ3dの一端と周壁部3bとを連結リブ3eにより、開放した外側リブ3dの他端と周壁部3bとを連結リブ3fによりそれぞれ連結してある。さらに、連結リブ3eと連結リブ3fとの間にも、外側リブ3dと周壁部3bとを連結する連結リブ3g,3hを形成してある。連結リブ3e,3f,3g,3hは、何れも外側リブ3dと同じ高さに形成してある。連結リブ3e,3f,3g,3hは、外側リブ3d等と相俟って、ケーシング3の補強とともに、その上に載置する支持基板5を下方から支持する役目、ケーシング3の底部3aと支持基板5との間に後述する従動ギア12等を収納可能な空間(連結リブ3eと連結リブ3f及び周壁部3bによって囲まれた空間)を形成する役目等を担っている。なお、符号3j,3kは、舵角センサ1を所定箇所に取付可能とするためにケーシング3から側方(周壁部3bに対して垂直方向)に突き出させた取付突片を示している。符号3pは、支持基板5に搭載された電子部品(図示を省略)等と外部との電気的接続を行うために接続ピン(図示を省略)を収納するためにケーシング3と一体成形して形成した収納体を示している。
支持基板5は、ケーシング3の内部を有効活用するために内部をほぼ占有する形状(大きさ)に形成してある。このため、支持基板5は、ケーシング3より僅かに小さなほぼ相似形に形成してある。支持基板5には、ケーシング3に納めたときにシャフト孔4と同心となる円形の支持孔5hを貫通形成してある。支持孔5hは、シャフト孔4よりも大径に、かつ、その周縁がケーシング3の外側リブ3d及び連結リブ3e,3fの上に、下方から支持させるために載置可能に形成してある。支持基板5を外側リブ3d等の上に載置すると、支持基板5の支持孔5hの周縁とケーシング3の内側リブ3cとの間(内側リブ3cと外側リブ3dとの間)に、平面視したときに見える環状空間10が存在している(図3参照)。図4及び5に示すように支持基板5は、ケーシング3の底部3aに対向する対向面5a(図5の向かって右側となる面)と、対向面5aとは反対側の面となる取付面5bと、を備えている。支持基板5には、取付面5bが含む支持孔5h周辺の領域を除き、図6に示す部品を含む各種電子部品を適宜搭載してある。
図2乃至5に基づいて、回転リング7について説明する。回転リング7は、合成樹脂を一体成形によって形成した中空部7hを有する環状の部材であって、環状フランジ部7aと、環状フランジ部7aの一方の面から起立する環状壁部7bと、から概ね構成してある。環状壁部7bは、環状フランジ部7aと同心状に形成してあり、環状フランジ部7aから起立させてあることから環状フランジ部7aの外径よりも小さな外径になっている。回転リング7は、中空部7h側に突出する段部7cが形成してある(図4参照)。段部7cは、次に述べる固定リング9を嵌め込んだときの抜け止めを、その主な役目とする。固定リング9は、ステアリングシャフト105と回転リング7とを可逆に連動回転させるための固定部材であって、両者間に介在可能、かつ、両者に対して着脱自在に構成してある。環状壁部7bの環状フランジ部7aから見た先端部外周面には、回転リング7を主動ギアとして機能させるためのギア部7gを形成してある。環状壁部7bおよび主動ギア7gは支持基板5の支持孔5h周縁とケーシング3の内側リブ3cとの間にある環状空間10に差込可能に構成してある。環状空間10に差し込んだ環状壁部7b及び主動ギア7gが、支持孔5h周縁(外側リブ3d)と内側リブ3cに対して、同じく円周方向に回転可能であることは言うまでもない。
(従動ギア・微信号測定機構の構造)
図2乃至6を参照しながら、従動ギアと微信号測定機構について説明する。従動ギア12は、ケーシング3の底部3aから起立させた支持ピン12p(図3参照)を軸として回転可能、かつ、主動ギア7gと噛み合い可能に設けてある。本実施形態における主動ギア7gと従動ギア12との増速比は、概ね1:3前後に設定してある。
微信号測定機構15は、測定用小径ギア17と、測定用小径ギア17と噛み合って従動回転する測定用従動ギア19と、測定用従動ギア19同軸で一体回転する円盤磁石21(図3、6参照)と、円盤磁石21の磁界を検知するためのホール素子33,35を含む検知回路31と、により概ね構成してある。ホール素子33およびホール素子35は、回転する円盤磁石21が発する磁界を検知するために、円盤磁石21(測定用従動ギア19)の中心を共通の中心とする円周上にほぼ90度ずらした位置に配してある。測定用小径ギア17は、従動ギア12と同軸一体に設けてあり、支持ピン12pを軸として従動ギア12と一体回転可能に構成してある。
微信号測定機構15からホール素子33,35を介して演算機構に入力される信号は、ステアリングシャフト105が、0度〜360度の範囲におけるステアリングシャフト回転角度を示す微信号と呼ばれている。なお、微信号検出は、上記機構による方式以外の検出方式によっても可能であり、そのような検出方式として、たとえば、MR素子、可変抵抗器を用いたものがある。
(検知回路・粗信号測定機構)
図6に示すように、検知回路31は、上述したホール素子33およびホール素子35のほか、角度変換回路37及びMPU39、リセットIC41、E2PROM43、CANトランシーバー44及び粗信号測定機構45を含めて構成してある。角度変換回路37は、ホール素子33,35から得た位相違いの検知信号を合成角度に変換するための回路である(図7参照)。
MPU39は、舵角センサ1全体の制御のほか、後述するように演算機構として機能する。リセットIC41は、MPU39の暴走防止を行うためのICである。E2PROM43は、たとえば、主動ギア7gと従動ギア12との噛み合いにおいて生じるバックラッシに基づく位相ずれを補正するための補正値を記憶するための装置である。CANトランシーバー44は、ステアリングシャフト105のステアリングシャフト回転角度を示す信号を外部へ出力するための通信機能を担っている。
粗信号測定機構45は、ステアリングシャフト105(図4参照)がどちらの方向(時計方向、反時計方向)に何回転したか検出するための検知部材或いは検知機構等であって、そのような検知が可能であれば採用する部材や機構に何ら制限はないが、比較的低価格であり安定した動作が期待できるため本実施形態ではポテンショメータを採用した。ポテンショメータは、回転させることによりその回転角に略比例した信号を出力する。粗信号測定機構45が出力する信号は、一般に、粗信号とも呼ばれ、ステアリングシャフト105の回転角度を特定するためのものである。本実施形態における粗信号測定機構45の出力信号は、図8に示すような略直線状の特性を示す。すなわち、本実施形態におけるステアリングシャフト105は、後述するように4回転するように構成してあるが、この4回転の間に粗信号測定機構45が1回転するように構成してある。粗信号測定機構45の回転は、1回転に限る必要は必ずしもなく、状況に応じて複数回転するように構成してもよい。粗信号測定機構45は、その周囲にギア部45gを備え、次に述べる機構によって回転させられる。すなわち、まず、測定用従動ギア19の回転については、既に説明したとおりであるが、測定用従動ギア19には、これと同軸一体回転する伝達用小径ギア20を設けてある。伝達用小径ギア20は、図3に示す測定用従動ギア19の裏側に位置するため、同図において破線で示してある。伝達用小径ギア20は、原車として支持ピン23pによって回転可能に支持された中間大径ギア23と噛み合いこれを回転させるように構成してある。伝達用小径ギア20の従車として回転する中間大径ギア23は、これと同軸一体の中間小径ギア25を一体回転させ、中間小径ギア25はこれと噛み合うギア部45g、すなわち、粗信号測定機構45を回転させるようになっている。上記構成によって出力される粗信号と、前述した0度〜360度の範囲の角度を示す微信号(以下、微信号に係る回転を「微回転」という)と、を組み合わせることによって、ステアリングシャフト105の回転角度を検知することができる。
粗信号と微信号との関係を、具体例を挙げながら説明する。ここで、ステアリングシャフト105が、時計回り反時計回り720度ずつ(−720度〜+720度)回転可能であるとする。時計回り終端から反時計回り終端までに、4.0回転(720度×2÷360度)することになる。さらに、上記4回の回転のうちの1の回転中における回転角度(微回転の回転角度)を、たとえば、時計回り15度(+15度)とする。微信号があればステアリングシャフト105が、+15度回転した状態にあることは分かるが、この+15度は上記4回の回転のうちいずれの回転中における微回転+15度なのかまでは分からない。4回の回転のうち1回目の回転の360度における微回転+15度なのか、それとも、同じく2回目の回転における360度中の微回転+15度なのか、区別がつかない。そこで、粗信号と微信号とを併せることによって、4回の回転のうちいずれの回転中における何度の微回転なのかを的確に判断ができるように構成した。
(ステアリングシャフトの絶対角度の測定)
図9及び10を参照して、微信号と粗信号とを併用してステアリングシャフト105のステアリングシャフト回転角度(絶対角度)を測定する流れについて説明する。測定精度をできるだけ高くするために本実施形態では、微信号測定機構15からホール素子33,35を介して得る微信号と、粗信号測定機構(ポテンショメータ)45から得る粗信号とは、次のとおり処理されるようになっている。また、併せて、角度変換回路37及びMPU39の具体的構造も説明する。すなわち、角度変換回路37は、ホール素子33,35を介して得る微信号に係る2つの位相の異なるアナログ量をディジタル量に変換するA/D変換部37−1と、2つの位相の異なるディジタル量から微信号(合成角度)に合成する角度合成部37−2と、を備えている。なお、微信号の測定機構には、上記A/D変換部37−1、角度合成部37−2とオーバーサンプリング部38−2aとが含まれ、粗信号の測定機構には、A/D変換部38−1とオーバーサンプリング部38−2aとが含まれる。
演算機構として機能するMPU39は、微信号の処理を行う微信号処理系と、粗信号の処理を行う粗信号処理系と、微信号処理系及び粗信号処理系が共有する絶対角度演算変換部39−9と、粗信号処理系にのみ設けたA/D変換部38−1と、から概ね構成してある。A/D変換部38−1は、粗信号測定機構45が出力する粗信号(アナログ量)をディジタル量に変換する機能を有している。以下、微信号処理系(粗信号処理系)、絶対角度演算変換部の順で説明する。なお、粗信号と微信号の違いはあるものの粗信号処理系の構成と微信号処理系のそれとの間に異なる点はない。したがって、微信号処理系の構成を説明するにあたって、微信号処理のための構成部材に該当する粗信号処理のための構成部材名等を、次項において微信号処理のための構成部材名等の後に記す括弧書きの中に記すにとどめ、可能な範囲において粗信号処理のための構成部材についての説明を省略する。
すなわち、MPU39(演算機構)は、微信号処理系(粗信号処理系)として、平均角度算出処理部39−4a(平均角度算出処理部39−4b)と、異常データ検出部39−5a(異常データ検出部39−5b)と、異常データ排除部39−6a(異常データ排除部39−6b)と、データ補間処理部39−7a(データ補間処理部39−7b)と、補間済み微信号出力部39−8a(補間済み粗信号処理部39−8b)と、を備えている。微信号処理系と粗信号処理系、両処理系にオーバーサンプリング部を設けたのは、より高精度が求められる微信号についてオーバーサンプリングするだけでなく、粗信号についてもオーバーサンプリングすることにより、舵角センサ1の精度を飛躍的に高めることができるからである。以下、微信号処理系についてのみ説明する。
オーバーサンプリング部38−2aは、角度合成部37−2から得る微信号について、図11に示すように、時刻tn−1〜tnの間で、通常1回の測定(tn軸上の「△」位置での1回の測定)データを求めるところ、常時8回の測定(tn−1〜tn間の「○」位置での8回の測定、8倍オーバーサンプリング)データを求める、超過測定データ(微信号超過測定データ)を獲得する機能を有している。本実施形態におけるオーバーサンプリングは、上述したように、通常サンプリングの8倍に設定してある。この設定は、度重なる評価実験の結果得られたもので、必要に応じて設定を変更することを妨げるものではない。尚、時刻tn〜tn+1間でも同様の処理を行っている。
平均角度算出処理部39−4aは、オーバーサンプリング部38−2aから得た微信号測定データから平均角度Xmを算出処理する機能を有している。異常データ検出部39−5aは、微信号測定データの平均角度Xmのうち、所定範囲を逸脱した異常データを検出する機能を有している。異常データ排除部39−6aは、異常データ検出部39−5aが検出した異常データを排除する機能を有している。データ補間処理部39−7aは、測定データから異常データの代わりに選択したデータを補間する機能を有している。補間済み微信号出力部39−8aは、補間済み微信号を出力する機能を有している。
異常データ検出部39−5aは、検出信号の実測値から成るサンプリング曲線(図11)を受け、粗信号及び微信号のそれぞれについて、異常データの検出を行う。測定データが、平均値Xmの上限Xm+ε及び下限Xm−εの範囲(所定範囲)を逸脱した場合のサンプリング曲線を図12に示す。その結果、サンプリング曲線の突出部分が、異常データ検出部39−5aによって検出され、検出された異常データは、異常データ排除部39−6aによって排除される。微信号処理系の構成は上述したとおりであるが、微信号処理系と粗信号処理系とは、微信号と粗信号の違いこそあれ基本的に同じ機能を有している。この点は前述したとおりである。したがって、上記微信号処理系についての説明は、微信号の代わりに粗信号とすることで、そのまま粗信号処理系にも該当する。
補間手法として、平均データによるものがある。すなわち、異常データの実測値が所定範囲の上限Xm+ε及びXm―εを逸脱した場合、データ補間処理部39−7a(データ補間処理部39−7b)は、異常データの発生時刻をtiとすると、直前のti−1及び直後のti+1のデータの平均値(ti−1のデータ+直後のti+1のデータ)/2で簡単に演算して即座に補間することが可能である。このようにして、予測値の予測関数(y=ax+bの一次関数(a、bは、定数で、横軸xは時間、縦軸yは角度))が、サンプリング曲線を補間する結果、非常に高精度のデータが測定されることになる。
絶対角度演算変換部39−9は、補間済み微信号出力部39−8aが出力する補間済み微信号と、補間済み粗信号出力部39−8bが出力する補間済み粗信号を演算し、この演算結果に基づいてステアリングシャフトの絶対角度を演算する機能を有している。すなわち、補間済み微信号及び補間済み粗信号は、いずれも絶対角度演算変換部39−9に入力され、そこで両信号は、ステアリングシャフトの絶対角度に変換される。演算されたステアリングシャフト回転角度は、TXラインを介してCANトランシーバー44に送出される。
本発明の実施形態における舵角センサは、上述した実施例に限定されず、様々な変形・修正が考えられる。例えば、測定データの補間の際、予想値の予測関数が、一次関数の直線で近似するのに限定されず、予測関数が、2次以上の多項式の曲線に近似して補間しても良い。この場合、異常データの個数が多いときに有益で、最小二乗法やスプライン近似等により、予想値の予測関数(近似関数)を求めて補間されたサンプリング曲線を得ることにより、高精度化を図ることも可能である。
本実施形態における舵角センサの取付位置の概略を示すための斜視図である。 本実施形態における舵角センサの平面図である。 図2に示す舵角センサの支持基板を取り外した状態の平面図である。 本実施形態における舵角センサの分解斜視図である。 図2に示す舵角センサのA−A断面図である。 本実施形態における舵角センサの電気的構成を示すブロック図である。 本実施形態における微信号を示すグラフである。 本実施形態における粗信号を示すグラフである。 本実施形態におけるオーバーサンプリング部、演算機構及びその周辺を示すブロック図である。 図10は、オーバーサンプリング部を持たない場合のブロック図である。 図9の一対のオーバーサンプリング部を説明するための図である。 図9の一対の異常データ検出部及び一対の異常データ排除部を説明するための図である。
1 舵角センサ
3 ケーシング
3a 底部
3b 周壁部
3c 内側リブ
3d 外側リブ
3e,3f,3g,3h 連結リブ
3j,3k 取付突片
3p 収納体
4 シャフト孔
5 支持基板
5a 対向面
5b 取付面
5c 摺動面
5h 支持孔
7 回転リング
7a 環状フランジ部
7b 環状壁部
7c 段部
7g 主動ギア(ギア部)
7h 中空部
9 固定リング
10 環状空間
12 従動ギア
12p 支持ピン
15 微信号測定機構
17 測定用小径ギア
19 測定用従動ギア
21 円盤磁石
31 検知回路
33,35 微信号測定機構(ホール素子)
37 角度変換回路(演算機構)
39 MPU(演算機構)
39−3a,39−3b オーバーサンプリング部
39−7a,39−7b データ補間処理部
41 リセットIC
43 E2PROM(記憶手段)
44 CANトランシーバー
45 粗信号測定機構(ポテンショメータ)
101 ハンドル
103 ステアリングコラム
105 ステアリングシャフト

Claims (2)

  1. ステアリングシャフトに取り付け、当該ステアリングシャフトの絶対角度を測定するための舵角センサであって、
    所定回転数回転するステアリングシャフトの回転角度を測定して粗信号を出力する粗信号測定機構及び微信号を出力する微信号測定機構と、
    粗信号測定データ及び微信号測定データに基づいて当該ステアリングシャフトの絶対角度を演算する演算機構と、
    当該微信号測定機構に含まれ微信号から複数回の超過測定を行う、オーバーサンプリング部と、
    を備え、
    当該演算機構は、当該微信号測定機構に含まれるオーバーサンプリング部の超過測定による複数の測定データのうち、所定範囲を逸脱した異常データを検出・排除する異常データ検出・排除部と、当該複数の測定データの中から排除した異常データの直前及び直後の測定データの平均値を算出するとともに、当該平均値を、当該排除した異常データの代わりに補間するデータ補間処理部と、を含めて構成してある
    ことを特徴とする舵角センサ。
  2. 前記粗信号測定機構に含まれ粗信号から複数回の超過測定を行う、オーバーサンプリング部を、さらに備え、
    前記演算機構は、当該粗信号測定機構に含まれるオーバーサンプリング部の超過測定による複数の測定データのうち、所定範囲を逸脱した異常データを検出・排除する異常データ検出・排除部と、当該複数の測定データの中から排除した異常データの直前及び直後の測定データの平均値を算出するとともに、当該平均値を、当該排除した異常データの代わりに補間するデータ補間処理部と、を含めて構成してある
    ことを特徴とする請求項1に記載の舵角センサ。
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