JP4852183B2 - インプラント用器具及びインプラント用器具のガイドシステム - Google Patents

インプラント用器具及びインプラント用器具のガイドシステム Download PDF

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Description

本発明は、歯科用インプラントの挿入孔を所定位置に安定、安全かつ正確に形成し、インプラントを所定位置に正確に挿入するのに好適なインプラント用器具及びインプラント用器具のガイドシステムに関する。
近年、歯の欠損部分にインプラント(人工歯根)を埋設して義歯を製作するという歯科療法が行われている。この療法は、ハンドピース等の穿孔装置に装着したドリルを用いて、歯の欠損部分にインプラントの挿入孔を開けるものであり、その際に、挿入孔が所定の位置及び方向になるようにドリルを案内するために、通常はサージカルガイドを用いて穿孔している。
このサージカルガイドには、顎骨等に支持するサージカルガイドにドリルを案内するための金属製のガイドリングが嵌入されている。
このガイドリングを用いて穿孔する方法として、ガイドリングの内面に直接ドリル刃部を接触させて穿孔するものと、特許第3793603号特許公報に示されるように、ハンドピース等の穿孔器具にガイド部材を取り付け、このガイド部材を上記穿孔器具に装着されるドリルに接触しないようにドリルの周囲に位置させ、このガイド部材をガイドリングに案内して穿孔するものが知られている。
特許第3793603号特許公報
ガイドリングに直接ドリルの刃部を当接させて穿孔するタイプのものは、穿孔の際に熟練を要し、穿孔装置を僅かに傾けただけでドリルの刃部がガイドリングの内面に接触しその内面を刃部で削ってしまうことがあり、その際に発生した切屑等が顎骨のインプラント挿入孔に入り込んでインプラントとの接合部分に悪影響を及ぼしたり、穿孔方向がずれてしまったりすることがあった。更に、ガイドリング内に直接ドリルの刃部を通す際に、一種類のサージカルガイドに対し一種類の太さのドリルしか使用できないので、ドリルの太さに応じて複数のサージカルガイドを用意しなければならず、不経済であった。
また、穿孔の際に、ガイドリングとドリルの刃部との間に摩擦熱が発生し、この摩擦熱によりガイドリングとドリルの刃部を傷めると共に、顎骨にも悪影響を及ぼすことがあった。
また、ハンドピースに直接ガイド部材を取り付けるものは、装置全体として嵩張るものであり、穿孔作業に負担がかかり作業し難いものであった。しかも穿孔時にハンドピースのドリルをガイドリングの上方から挿入するために、特に奥歯の位置にインプラントを挿入する場合には、穿孔操作が困難または不可能である上に、患者に口を大きく開けさせるために多大な苦痛を与えてしまうことがあった。
更に、インプラントの挿入孔を形成した後、挿入孔にインプラント挿入用アダプター等の器具を用いてインプラントを挿入する際に、これらの器具が前後左右に振れて傾いてしまうことがあった。また、アバットメントホルダーやヘックスドライバー等の器具を用いてインプラントにアバットメントやヒーリングキャップ、ヒーリングアバットメント等を装着する際にも、器具が傾いて装着作業に手間取ることがあった。
本発明は、これらの問題点を解消するものであって、顎骨にインプラントの挿入孔を形成する場合やインプラントを挿入する場合及びこのインプラントに装着するパーツを取付ける場合に安定、安全かつ正確に効率よく良好に行うことができ、患者に多くの負担をかけずに歯科療法を行うことができるようにしたインプラント用器具及びインプラント用器具のガイドシステムを提供する。
本発明の観点では、インプラント用器具のガイドシステムは、ガイドリングを有するサージカルガイドと、インプラント用ドリルや挿入用アダプター等のインプラント用器具を備え、このインプラント用器具の軸部にリングガイド体が設けられている。また、ガイドリングの側面には、インプラント用ドリルの刃部やインプラントを側方より挿入可能な幅を有し、かつガイドリングの内径より小さい幅を有するスリット部が設けられている。
本発明の他の観点では、インプラント用器具は、その軸部に、サージカルガイドのガイドリング内に案内されるリングガイド体を備える。
上記ガイドリングを有するサージカルガイドは、顎骨に支持するようにしたタイプのものと、歯肉に支持するようにしたタイプのもの及び歯に支持するようにしたタイプのものがあり、これらのタイプのものは、いずれも従来のサージカルガイド(サージカルステント)のように一般的にはプラスチック材で製作される。なお、この場合、サージカルガイドを透明な材料で製作すると、穿孔の作業個所がより一層見易くなる。
サージカルガイドにガイドリングを設ける際は、インプラントが装着される部分の顎骨をCT撮影し、この撮影によって得られる立体的画像等を用いてガイドリングの取付位置や取付方向等が決定される。
ガイドリングは、チタンやアルミニウムその他の金属で形成することができるが、ガイドリングとこの中に案内されるリングガイド体の間に摩擦が発生する場合には、この摩擦に耐え得る材料であれば硬質のプラスチック材で製作するようにしてもよい。なお、材料としては、人体に悪影響を及ぼさないものを用いるのが好ましい。
ガイドリングは、上記リングガイド体の外周面が円形の断面形状であれば、このリングガイド体がガイドリング内にその軸方向に移動可能であって回転可能に嵌合し案内されるようにガイドリングの内周面が円形の断面形状に製作される。
ただし、リングガイド体がガイドリング内で回転可能なものにする場合は、断面形状の組み合わせはこれのみに限定されるものではない。
ガイドリングは、通常、内径D1が約4mm〜9mmに、外径D2が約5mm〜10mmのリング形態に製作されるが、これらの寸法はこれのみに限定されるものではない。
リングガイド体の外周面が非円形(楕円形、卵形、四角形・六角形等の多角形、これらの複合形等)の断面形状であれば、ガイドリングの内周面の断面形状は、リングガイド体がガイドリング内にその軸方向に移動可能であって回転不可能に嵌合し案内されるようにリングガイド体の外周の形状に対応して非円形に製作される。
ただし、リングガイド体がガイドリング内で回転不可能なものにする場合は、断面形状の組み合わせはこれのみに限定されるものではない。
インプラント挿入孔を形成するドリルとしては、ラウンドバー(図11)、トレフィンバー(図12)、その他各種の径を有するスパイラルドリル(図5)等と各種形状のもの及び各種径のものが用い得る。
ドリル以外のもので、インプラント挿入孔アダプター、アバットメントホルダー、ヘックスドライバー、挿入孔の骨幅を増大したりするオステオトーム、ボーンスプレッダー、ボーンエキスパンダー等のインプラント用器具にもリングガイド体を装着して使用することが可能である。
インプラントを挿入する際には、インプラントに装着するインプラント挿入用アダプターとして、ハンドピースを用いて挿入するタイプ(図13)のものと、手指を用いて挿入するタイプ(図14)のものを用いることができる。
その他、顎骨の吸収が著しい場合などでは、深い位置での顎骨穿孔やインプラント挿入の際に用いるドリルエクステンション、エキステンションホルダー等のインプラント用器具にリングガイド体を装着して使用することが可能である。
ガイドリングの側面には、上記ドリルの刃部やインプラント、上記インプラント用器具の先端部が側方より挿入できるようにスリット部を設けることができる。この場合には、このスリット部に対応するサージカルガイドの支持部にも、スリット部に相当する幅を有する切り欠き部や、スリット部の幅より外方に向けて広げた(通常約30度〜60度の開角度であるが、その他の角度でもよい)切り欠き部が設けられる。なお、スリット部を有さないリング状のガイドリングや、ガイドリングのスリット部に支持部を有さない場合には、上記切り欠き部は当然不要である。
一般的にはドリルの刃部の径がインプラントの径に合わせて約2mm〜5mmほどに製作されているので、スリット部の幅W(図2、図9、図10)は、これに合わせてインプラントの最大径より少し大きな径である通常4mm〜6mm程度に製作されている。なお、このスリット部の幅Wは、上記寸法のみに限定されるものではない。
また、スリット部の面は、スリット面どうしが平行になるように製作したり(図1、図2)、同一線上になるように製作したり(図10)、適宜の開角度(図9に示すものでは角度120度)をもって斜状になるように製作したりすることができる。
一方、ガイドリング内に挿入されるリングガイド体は、ドリル等のインプラント用器具の軸部を案内するための孔部と、ドリルの刃部やその他のインプラント用器具の太軸部を案内するための孔部を備えており、リングガイド体がインプラント用器具の太軸部(ドリルの刃部の上端部がこれに相当する場合がある)に支持される。このリングガイド体は止め具をもって軸部の所定の位置に着脱可能に固定することが可能である。
このようにリングガイド体を止め具で固定すると、リングガイド体の位置を移動させてドリルの刃部が挿入される長さを調整することができ、これによってインプラントの長さに応じた所定の深さに穿孔することができる。
上記止め具としては、六角穴付きボルトや止めねじその他のものを用いることができるが、いずれの場合でも、リングガイド体をガイドリング内に円滑に案内できるように、止め具の頭部がリングガイド体の外周面より突出しないようにしておくのがよい。
リングガイド体は、ドリル等の軸部に軸方向に移動可能に設けたり、ドリル等の軸部に対して回転可能(リングガイド体とドリル等の軸部の断面形状を円形に形成)または回転不可能(リングガイド体とドリル等の軸部の断面形状を非円形に形成)に設けたり、両部材間をねじ係合にしたりすることができる。両部材間をねじ係合にした場合は、ダブルナット等を用いてリングガイド体を所定の位置で固定するようにしてもよい。
なお、上記リングガイド体は、ドリルの刃部を案内するための孔部を省略することができ、またこのリングガイド体をドリルの軸部に一体的に設けることができる。
リングガイド体は、ガイドリング内に移動可能に案内するためにガイドリングの内径D1より少し小さな径のものが用いられ、通常、両部材間に0.05mm〜0.1mmほどの隙間が生ずるように製作される。リングガイド体がガイドリング内において円滑に摺動され、ドリルやその他のインプラント用器具がぶれない程度の隙間であれば、上記寸法以外の寸法に製作するようにしてもよい。また、その際に、リングガイド体の外径は、ガイドリングのスリット部の幅Wより大きくなっており、穿孔時にリングガイド体がスリット部より一部はみ出したり、抜け出たりしないようになっている。
なお、リングガイド体は、各種の金属や硬質のプラスチック材等の丈夫な材料で製作することができ、材料としては耐磨耗性があって、人体に悪影響を及ぼさないものが好ましい。
穿孔時には、リングガイド体とガイドリングの接触面(リングガイド体がドリルの軸部に固定されている場合)、リングガイド体とドリルの軸部の接触面(リングガイド体がドリルの軸部に固定されていない場合)及びドリルの刃部と顎骨の接触面に摩擦熱が発生するので、これらの接触面を冷却するために注水手段が設けられる。この注水手段は、リングガイド体とガイドリングの接触面に注水できるようにリングガイド体の外表面の中心軸方向に複数の注水溝が設けられ、またリングガイド体とドリルの軸部の接触面を冷却したり、ドリルの刃部の外表面に注水したりするためにリングガイド体内の中心軸方向に複数の注水孔が設けられる。なお、上記注水溝及び注水孔は、3、4個その他適宜の数のものを用いることができる。
穿孔後、挿入孔にインプラントを挿入する際には、インプラント挿入用アダプター等のインプラント用器具が用いられるが、この器具の軸部の外周部には上記のリングガイド体が設けられる。この場合、インプラントとインプラント用器具の係合は、ヘックスやソケット等による凹凸係合やねじ係合等の手段を用いることができる。なお、このリングガイド体には、上記注水溝及び注水孔を設けることができる。
また、アバットメントやヒーリングキャップやヒーリングアバット等のパーツをインプラントに装着する場合には、アバットメントホルダーやヘックスドライバー等のインプラント用器具が用いられる。この場合も器具の軸部の外周部には上記のリングガイド体が設けられる。
ドリル等のインプラント用器具の軸部がリングガイド体に対して回転可能に形成される場合には、軸部が円滑に回転できるように、リングガイド体にOリングやすべり軸受等の摩擦軽減部材を設けることができる。
上記リングガイド体の表面には、磁石が埋設、貼着されたり、磁石シートが貼着されたり、磁石層が設けたりされており、この磁力によってドリルを交換する際に、リングガイド体を一時的にハンドピースに支持しておくことができる。
本発明によれば、ドリル等のインプラント用器具のリングガイド体がガイドリング内に案内されるので、穿孔時にドリルにぶれが生じたり、インプラント挿入時あるいはインプラントのパーツの装着時にインプラントにずれが生じたりすることがなく、穿孔及びインプラントの装着を正確に行うことができる。しかも作業がし易く、かつ迅速に効率よく行うことができる。また、ガイドリングにスリット部が設けられているので、このスリット部を通してドリルの刃部やインプラント等を側方より挿入することができ、患者の負担、苦痛を軽減することができる。
また、止め具を用いてリングガイド体をドリル等のインプラント用器具の軸部に固定する場合には、リングガイド体の取付位置を簡便に調節することができ、ドリルの刃部の挿入長さやインプラントの挿入長さに容易に合わせることができる。更に、インプラント用器具に太軸部を設け、この太軸部によってリングガイド体を支持しているので、一定の軸径を有する各種の径の刃部を備えたドリルに対応することができる。
更に、リングガイド体に注水孔や注水溝を設けているので、この注水孔や注水溝より注水される冷却水によってリングガイド体とガイドリングとの接触面やドリルの刃部またはインプラントと顎骨との接触面に生ずる摩擦熱を冷却することができ、またこの冷却によって顎骨に悪影響を及ぼすこともないし、摩擦接触によって発生する粉塵等を冷却水で洗い流すこともできる。
また、リングガイド体の表面に磁石を埋設したり、磁石シートを貼着したり、磁石層を設けたりしておくと、ドリルを交換する際に、リングガイド体を一時的にハンドピースに保持しておくことができる。
本発明の実施例を示すガイドリングの斜面図である。 図1におけるガイドリングの平面図である。 ガイドリングが装着されたサージカルガイドを示す平面図である。 リングガイド体の平面図である。 リングガイド体が装着されたドリルの斜面図である。 リングガイド体を一部切り欠いて示すドリルの正面図である。 ガイドリングを有するサージカルガイドと、リングガイド体を有するドリルを用いて顎骨にインプラント挿入孔を穿孔する状態を一部切り欠いて示す断面図である。(A)はドリルを下顎の外側から内側に移動する状態を示し、(B)はドリルを上方から下方に移動する状態を示し、また(C)はドリルが下降して停止する状態を示す。 ガイドリングが装着されたサージカルガイドを下顎模型に取り付けた状態を示す平面図である。 ガイドリングの他の例を示す平面図である。 ガイドリングの更に他の例を示す平面図である。 他の種類のドリル「ラウンドバー」を示す正面図である。 更に他の種類のドリル「トレフィンバー」を示す正面図である。 インプラントを挿入孔に挿入する際に使用するインプラント挿入用アダプターを示す正面図である。(A)は上記挿入用アダプターをインプラントに装着する前の状態を示し、(B)は上記挿入用アダプターをインプラントに装着した状態を一部断面にして示す。 インプラントを挿入孔に挿入する際に使用する手回し用マウント(インプラント挿入用アダプター)を示す正面図である。(A)は上記マウントをインプラントに装着する前の状態を示し、(B)は上記マウントをインプラントに装着した状態を一部断面にして示す。 内周面の断面形状が楕円に成形されたガイドリングを示す平面図である。 外周面の断面形状が楕円に成形されたリングガイド体の平面図である。 図16に示すリングガイド体が装着されたドリルの斜面図である。 図17に示すドリルにおいて、リングガイド体を一部切り欠いて示す正面図である。 周面に突起を有するドリルの軸部を示す拡大断面図である。 図15に示すガイドリングを有するサージカルガイドと、図16に示すリングガイド体を有するドリルを用いて顎骨にインプラント挿入孔を穿孔する状態を一部切り欠いて示す断面図である。(A)はドリルを下顎の外側から内側に移動する状態を示し、(B)はドリルを上方から下方に移動する状態を示し、また(C)はドリルが下降して停止する状態を示す。 リングガイド体の更に他の例を示す平面図である。
以下、インプラントを下顎の奥歯に装着する場合について説明する。
本発明のインプラント用ドリル等のガイドシステムは、図1及び図2に示すようなサージカルガイド1の支持部2に装着したガイドリング3を有し、更に図4〜図6に示すようなドリル4の軸部5に装着したリングガイド体6を備えている。このガイドリング3の側面には、ドリル4の刃部7が挿入可能なスリット部8が設けられている。
図8においてサージカルガイド1を顎模型9に当てた状態が示されているように、サージカルガイド1の支持部2のインプラントが装着される位置には、ガイドリング3が設けられる。この場合、サージカルガイド1は、隣接する歯10に支持されており、その支持部2がガイドリング3の周囲を覆っているので、この覆い部分には、ガイドリング3のスリット部8の幅に相応した切り欠き部11が設けられている。
上記ガイドリング3のスリット面12は、図1及び図2に示すように平行に製作されたり、図9に示すように所要の開角度に製作されたり、または図10に示すように同一線上に平行に製作されたりする。
ドリル4に装着されるリングガイド体6は、ガイドリング3内に嵌合して摺動できるようになっている。嵌合する際に、リングガイド体6をガイドリング3内にスムーズに案内できるように、リングガイド体6の下端部にテーパー部13が設けられる。なお、このテーパー部13は、リングガイド体6の上端部にも設けるようにしてもよい。
リングガイド体6の内側には、ドリルの軸部5が挿入される孔部14と、ドリルの刃部7の上端側が挿入される孔部15が設けられる。このリングガイド体6は、止め具16をもって軸部5に固定される。この場合、ドリルの刃部7の長さがインプラントの挿入孔17の深さとなるように調節して、リングガイド体6を止め具16で所定の位置に固定する。
なお、実施例では、止め具16として六角穴付きボルトを用いており、この六角穴付きボルトをリングガイド体6に設けたねじ孔18に係合させている。係合の際に、ボルトの頭部がリングガイド体6の外表面より出ないようにボルトを少し奥の位置まで挿入するのが好ましい。
使用するドリルの種類としては、図5に示すスパイラルドリルタイプや図11に示すラウンドバータイプ、図12に示すトレフィンバータイプのものなど種々のものがある。図11のラウンドバーのように、軸部がストレートなものを用いる場合は、リングガイド体6の孔部15を省略することができる。
本装置を用いてインプラント挿入孔を穿孔する場合、上記リングガイド体6がガイドリング3内を回転しながら軸方向に摺動する際に、リングガイド体6とガイドリング3の接触面に摩擦熱が発生する。そこで、図4〜図6に示すように、リングガイド体6の外表面にその軸部方向に注水溝19を設け、この注水溝を介して注水することによって摩擦面を冷却している。
また、穿孔時に、ドリルの刃部7とインプラントの挿入孔17の接触面にも摩擦熱が発生するので、リングガイド体6の中心部側にその軸部方向に沿って注水孔20(図6では、注水孔20の位置が理解し易いように、その位置を周方向に45度ずらし破線をもって表示している)を設けている。この注水孔を通りドリルの刃部7に沿って流れる水によって、ドリルの刃部7とインプラントの挿入孔17の摩擦部を冷却している。
なお、上記注水溝19及び注水孔20は、実施例では、リングガイド体6の軸方向(ドリルの軸方向)に設けられているが、この方向に代えて、例えば斜状方向や螺旋状方向に設けるようにしてもよい。
次に、下顎にインプラントの挿入孔17を形成する場合について、図7を用いて説明する。
先ず、図7(A)に示すように、インプラントの挿入孔に相当する部分の歯肉21を切り開き、下顎骨22を露出させる。下顎に図8に示すような状態でサージカルガイド1を装着する。この場合、サージカルガイド1は隣接する歯10を介して下顎に装着され、インプラントの挿入孔に相当する部分の支持部2の下面は、下顎骨22に接しない状態になっている。
この状態で、ドリル4の軸部5の上部(取付部23)をチャックしたハンドピース(穿孔装置)24を用い、そのドリルを矢印X方向に移動させ、ドリルの刃部7をサージカルガイド1の支持部2の切り欠き部11及びガイドリング3のスリット部8に通してガイドリング3内に案内する。
次に、図7(B)に示すように、ドリル4を矢印Y方向に下降させ、ガイドリング3内にドリルと共に回転するリングガイド体6を案内し、そのドリルの刃部7をもって下顎骨22にインプラントの挿入孔17を形成する。
続いて、図7(C)に示すように、ドリル4を下降させ、リングガイド体6の下端部25を下顎骨22に接触させる。この接触位置で、挿入孔17が所定の深さに形成されるので、この位置で穿孔を停止させる。この停止位置は、ガイドリングのスリット部8及びサージカルガイドの切り欠き部11より見ることによって確認することができる。
上記ガイドリング3の内面及びリングガイド体6の外表面が、上部を広く下部を狭くしたテーパー状に形成されている場合には、リングガイド体6がガイドリング3に接触した際にドリルの下降が静止するので、この位置をドリルの停止位置とすることができる。
実施例では、インプラント挿入孔がスパイラルドリルを用いて穿孔されているが、最初にドリリングするときに、図11示すドリルや、或いは顎骨が軟らかい場合には、図12に示すドリル等その他のドリルを用いることができる。またドリリングが進むにつれて、種々の刃部の径を有するスパイラルドリルに換えて穿孔する。
図13には、インプラント27を顎骨の挿入孔17に挿入する際に使用するインプラント挿入用アダプター26が示されている。この実施例では、上記挿入用アダプター26の下端部にテーパー部28を介して設けられた断面六角形の凸部29を、インプラント27の上端部に設けたテーパー状の凹部40と断面六角形の凹部30に係合させている。この場合、上記凸部29の下端に設けた軸端部31の外周の溝にゴムリング32を装着し、この軸端部31をインプラントのねじ孔33に挿入することによって、インプラント27を挿入用アダプター26に支持させている。
図14には、インプラント27を顎骨の挿入孔17に挿入する際に使用する手回し式のインプラント挿入用アダプター26が示されている。この挿入用アダプター26は、マウント35と、ロレット加工した摘み部36を有する支持軸37を備えている。この支持軸37をマウント35内に挿入し、支持軸37の下端部に設けたねじ部38をインプラント27に形成したねじ孔33に係合させて、挿入用アダプター26にインプラント27を装着している。この場合、上記マウント35の下端部にテーパー部28を介して設けられた断面六角形の凸部29を、インプラント27の上端部に設けたテーパー状の凹部40と断面六角形の凹部30に係合させている。インプラント27を挿入孔17に差し込んだ後に、マウント35の上部に断面四角形や六角形等に成形した回転操作部41にラチェットレンチ等のレンチを嵌め、インプラント27を回転させて顎骨の挿入孔17にねじ込む。このインプラント挿入用アダプターは、手加減をもって施術することができるので顎骨が薄い場合や骨質が悪い場合等に好適である。なお、上記インプラント27に形成したねじ孔33は、これにアバットメントを装着する際にも利用される。
図13及び図14に示すインプラント挿入用アダプター26の軸部34の外周部には、上記ドリルと同様にリングガイド体6が設けられている。この挿入用アダプター26を用いてインプラント27をインプラント挿入孔17に挿入する際には、挿入用アダプター26の下端部にインプラント27を装着し、このインプラントを上記ガイドリング3のスリット部8から挿入し、ハンドピース等を用いて挿入用アダプター26を回転させてねじ込む。なお、このリングガイド体6には、上記ドリルの場合と同様に、止め具16や注水溝19、注水孔20を設けることができる。また、挿入用アダプター26の軸部34に太軸部(段部)が設けられている場合には、上記ドリルの場合と同様に、この太軸部を案内するために孔部15がリングガイド体6に設けられる。
上記インプラント27にアバットメントやヒーリングキャップ、ヒーリングアバットメント等のインプラントパーツを装着する際には、アバットメントホルダーやヘックスドライバー等のインプラント用器具が用いられるが、この場合にもこのインプラント用器具の軸部にリングガイド体を設けることによって上記パーツを装着する。
図15のガイドリング3と図16のリングガイド体6は、他の構造のものを示す。このガイドリング3の内周面の断面形状は楕円に形成されており、これに対応してリングガイド体6の外周面の断面形状も楕円に形成されている。
この例では、図17〜図19に示すように、リングガイド体6がドリル4の軸部5に軸方向に移動可能、かつ回転可能に装着されている。この場合、リングガイド体6の上部及び下部に環状溝42を設け、この溝に、ニトリルゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム等の耐摩耗性の材料で製作されたOリング43が、嵌合されたり、接着されたりして固定されている。このOリング43によって、ドリル4の軸部5とリングガイド体6の内面の接触面の摩擦力が軽減される。なお、このOリングに代えて、すべり軸受を設け、或いはこれらのOリング43やすべり軸受を設けないでドリル4の軸部5とリングガイド体6の内面とを直接軸方向に移動可能、かつ回転可能に嵌合させてもよい。
上記リングガイド体6には、フランジ部44、ドリルの軸部5を挿入する孔部45、ドリルの軸部5の太軸部46を挿入する穴部47、テーパー部48、注水孔49が設けられている。この例では、ドリルの軸部5にリングガイド体6を装着する際に、上記Oリング43に形成した切欠部51からドリルの軸部5に設けた突起50を挿入し、この突起50をリングガイド体6の孔部45内に位置させることによってドリルの軸方向の移動を規制している。この突起50は、ドリルの軸部5にピンを挿入したり、突起物を溶着や接着したりして取り付けられる。なお、この突起50は、設けない場合がある。上記ドリルの太軸部46は、軸部5に一体に設けたり、太軸部46の取付け位置が調整できるように軸部5にねじ等で止めしたりする。
上記楕円形状のガイドリング3を有するサージカルガイド1と、リングガイド体6を有するドリル4を用いてインプラントの挿入孔17を形成する場合について、図20を用いて説明する。なお、上記図7に示す部材と同一またはこれに相当する部材には、同一の符号が付されている。
先ず、図20(A)に示すように、インプラントの挿入孔に相当する部分の歯肉21を切り開き、下顎骨22を露出させる。下顎に図8に示すような状態でサージカルガイド1を装着する。この場合、サージカルガイド1は隣接する歯10を介して下顎に装着され、インプラントの挿入孔に相当する部分の支持部2の下面は下顎骨22に接しない状態になっている。
この状態で、ドリル4の軸部5の上部(取付部23)をチャックしたハンドピース(穿孔装置)24を用い、そのドリルを矢印X方向に移動させ、ドリルの刃部7をサージカルガイド1の支持部2の切り欠き部11及びガイドリング3のスリット部8に通してガイドリング3内に案内する。
次に、図20(B)に示すように、ドリル4を矢印Y方向に下降させ、ガイドリング3内にリングガイド体6を案内し、そのドリルの刃部7によって下顎骨22にインプラントの挿入孔17を形成する。なお、ドリル4が下降する際に、リングガイド体6はそのフランジ部44がガイドリング3に当って静止し、その後引き続きドリル4が下降して穿孔する。
続いて、図20(C)に示すように、ドリル4を下降させ、ハンドピース24の下端面53をリングガイド体のフランジ部44(実際はOリング43)の上面に接触させる。この接触する位置で挿入孔17が所定の深さに形成されるので、この位置で穿孔を停止させる。この停止位置は、ガイドリングのスリット部8及びサージカルガイドの切り欠き部11より見ることによって確認することができる。
図21に示すリングガイド体6は、図16に示すようにリングガイド体6の上部に磁石52を埋設したものであって、インプラントの挿入孔を順次大きくしドリルを交換する際に、磁石52をもってリングガイド体6をハンドピースの下部に一時的に支持しておくことができる。なお、磁石52は、この例では2個設けられているが、磁石の強度に応じて1個または2個以外の複数個設けることができる。
1 サージカルガイド
2 支持部
3 ガイドリング
4 ドリル
6 リングガイド体
7 刃部
8 スリット部
14、15 孔部
16 止め具
19 注水溝
20、49 注水孔
24 ハンドピース
26 インプラント挿入用アダプター
27 インプラント
43 Oリング
44 フランジ部
46 太軸部
52 磁石

Claims (4)

  1. ガイドリングを有するサージカルガイドと、インプラント用ドリルやインプラント挿入用アダプター等のインプラント用器具を備え、このインプラント用器具の軸部に、上記ガイドリング内に案内するリングガイド体を設け、上記ガイドリングの側面に、インプラント用器具の先端部またはインプラントの先端部の幅より大きな幅を有すると共にガイドリングの内径より小さい幅を有し、そのインプラント用器具の先端部またはインプラントの先端部をガイドリングの側方より挿入するためのスリット部を設け、インプラント用器具の先端部またはインプラントの先端部ガイドリングの側方よりスリット部を通してガイドリング内に挿入されると共に上記リングガイド体ガイドリング内に案内されるように形成され、かつ上記リングガイド体はインプラント用器具の軸部にその軸方向に移動可能に支持され、そのリングガイド体がインプラント用器具を装着するハンドピースに一時的に支持可能となるようリングガイド体の上部に磁石を設けたことを特徴とするインプラント用器具のガイドシステム。
  2. リングガイド体がインプラント用器具の軸部に対し回転不可能に形成され、かつリングガイド体がガイドリングに対し回転可能に形成された請求項に記載のインプラント用器具のガイドシステム。
  3. リングガイド体がインプラント用器具の軸部に対し回転可能に形成され、かつリングガイド体がガイドリングに対し回転不可能に形成された請求項に記載のインプラント用器具のガイドシステム。
  4. 請求項1に記載されるインプラント用器具のガイドシステムに用いられるインプラント用器具であって、インプラント用ドリルやインプラント挿入用アダプター等のインプラント用器具を有し、このインプラント用器具の軸部に、サージカルガイドのガイドリング内に案内するリングガイド体を設け、このインプラント用器具の先端部またはインプラントの先端部が上記ガイドリングの側方よりこのガイドリングに設けられるスリット部を通してガイドリング内に挿入されると共に上記リングガイド体がガイドリング内に案内されるように形成され、かつ上記リングガイド体はインプラント用器具の軸部にその軸方向に移動可能に支持され、そのリングガイド体がインプラント用器具を装着するハンドピースに一時的に支持可能となるようリングガイド体の上部に磁石を設けたことを特徴とするリングガイド体付インプラント用器具。
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