JP4887586B2 - 作業車両の変速レバー装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、農業用、建築用、運搬用など、作業車両の変速レバー装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の変速レバー装置は、変速レバーの回動支点部と変速装置のシフタ移動部とが、ロッドから成るリンク機構により連結されているものが多い。そして、変速レバーを前後方向あるいは左右方向に回転すると、この動きが前記リンク機構によってシフタ移動部に伝達され、シフタが移動して変速装置のギヤが所望の変速位置に切り換わる。また、前記シフタ移動部にはディテント部を設けてあり、シフタを変速位置に保持する構成からなるものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来は、変速レバー装置の回動支点部とシフタ移動部とをロッド部材からなるリンク機構で連結した構成が用いられているが、リンク機構が剛体であるためミッションケースからの振動の影響を受け易かった。
【0004】
そこで変速レバーの回動軸支点部とシフタ移動部とをワイヤケーブルを介して連結した構成にして、変速レバー装置の構成を簡素化し、かつミッションケースからの振動の影響を少なくしたものへと変わっていった。
【0005】
このとき図12の平面図に示す変速レバー17は、操縦席に設けた逆h字状レバーガイド35から上方に突き出されるように配置され、該変速レバー17のグリップ部36を次のように各変速段に対応した方向に動かす。
【0006】
▲1▼変速レバー17は、高速(H)位置と中速(M)位置の間を前後方向に直進し、その前後中間部に中立(N)位置を有しており、また▲2▼中立(N)位置で、変速レバー17が左右方向に移動し、機体内側に操作すると前後方向後側の低速(L)位置に操作できる。また、▲3▼同じ前後方向の移動でも、低速(L)側は短い。そのレバー移動距離▲1▼、▲2▼、▲3▼のレバー軸軌跡の外周廻りに溝形状のレバーガイド35の開口部を有している。また▲2▼中立(N)位置で、変速レバー17が左右方向に移動するときは、ワイヤケーブルを利用して変速段を変更する構成である。
【0007】
しかし、このとき各変速段の位置に変速レバー17をシフトさせた後も該変速レバー17の回動支点部とシフタ移動部とを接続する部材が剛体でなく、ワイヤケーブルであるため操作が柔らかく、使用に伴いインナワイヤが少し伸びるだけで、操作感覚が鈍く感じられてフィーリングが悪化したり、前後方向に操作する位置にある変速レバー17の先端のグリップ部36が左右に動いてしまい、レバーガイド35の開口部に対し、変速レバー17の位置ズレが生じて変速操作が確実に行ない難い等の不具合があった。
【0008】
また、変速レバー17の先端のグリップ部36が左右に動くと、レバーガイド35の開口部に対し、変速レバー17の移動位置にズレが生じる。このズレが生じると、例えば変速レバー17の移動範囲は中立(N)と低速(M)なのに、レバーガイド開口では右側にあると、変速レバー17自体の動きは中立(N)より上に移動可能であるが、トランスミッション内部の変速シフター側では移動できず、トランスミッション内部の歯車移動部に無理な力が作用するおそれがある。
【0009】
そこで本発明の課題は、変速レバーの回動支点部と変速装置のシフタ移動部とを接続する部材が剛体でなくワイヤケーブルであっても変速レバーの先端のグリップ部の位置が所定の範囲の間定まるような変速レバー装置を提供することである。
【0010】
また、変速レバーの回動支点部と変速装置のシフタ移動部とをロッド部材からなるリンク機構で連結した構成からなる変速レバー装置において、ロッド部材が剛体であるため車両の振動で変速装置のチェンジ抜けが生じることがあった。
【0011】
そこで本発明の課題は、変速装置と変速レバーを連結するロッド部材からなりリンク機構の振動を抑える変速レバー装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、以下の構成によって解決される。
請求項1記載の発明は、車両用エンジン33からの動力を車輪13、14に変速して伝達する変速装置47と該変速装置47の変速段切り替え用の変速用シフタ移動部92と、該変速用シフタ移動部92を動かすためにグリップ部36が設けられる変速レバー17と、変速レバー17に設けた回動支点を中心とする操作範囲内で該変速レバー17を誘導し、かつ規制するレバーガイド35とを設け、変速レバー17は中立位置から車体の左右方向に移動可能に構成し、かつ該左右両側位置からそれぞれ前後方向に移動可能に構成し、変速レバー17は中立位置から車体の左右方向に移動すると変速用シフタ移動部92がスライド移動し、変速レバー17を前後方向に移動すると変速用シフタ移動部92が軸回りに回動する構成とし、変速レバー17と変速用シフタ移動部92とをワイヤケーブル85及びロッド91をそれぞれ連結し、変速レバー17を左右方向に移動するとワイヤケーブル85を押し引きして変速用シフタ移動部92がスライド移動し、変速レバー17を前後方向に回動するとロッド91を押し引きして前記変速用シフタ移動部92がスライドした位置を保持した状態で軸回りに回動する構成とし、変速レバー17の支点部は、第1の軸73の軸回りに前後方向に回動する第1のブラケット74と、第2の軸76の軸回りに左右方向に回動する第2のブラケット83とを一体的に組み合わせる構成とし、第1のブラケット74とロッド91とを連結し、第2のブラケット83とワイヤケーブル85とを連結し、変速レバー17を前後方向に操作すれば、第1のブラケット74から延設し、かつ複数のディテント孔78を形成したディテント用のプレート77が第1の軸73の軸回りに回動し、ディテント孔78に止め具79が係合して、変速レバー17が該当する変速位置又は中立位置に位置決めされる構成とし、第2のブラケット83と第1のブラケット74の間にスプリング95を設け、該スプリング95は、変速レバー17の位置が外側に回動する場合には、スプリング95を支点下部位置で引っ張り、変速レバー17の位置が内側に回動する場合にはスプリング95が支点越えをする構成とすることを特徴とする作業車両の変速レバー装置である。
【0019】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、変速レバー17を左右方向に操作することにより、2つのシフタリングのいずれか一方を選び、変速レバー17を前後方向へ操作することにより、何れか一方のシフタリングを前後に移動させて「高速」、「中速」、「低速」の各位置に切り替えることができる。また、ワイヤケーブル85は可撓性を有しているために狭隘な隙間を通すことができ、配索作業も容易である。
さらに、ミッションケース12からの振動がワイヤケーブル85の途中で吸収され、変速レバー17に伝わる振動を減少させることができる。また、第1のブラケット74はロッド91を介してシフタ移動部92に連結してあるので、レバーストロークの調整が容易である。
また、変速レバー17を前後方向に操作すれば、第1の軸73の軸回りにディテント用のプレート77が回動し、前記ディテント孔78に止め具79が係合するため、変速レバー17が該当する変速位置又は中立位置に位置決めされる。そのため、オペレータが変速レバー17を変速位置にシフトしたときの操作感を確実にすることができる。
【0020】
また、変速レバー17の支点部は、第1の軸73の軸回りに回動する第1のブラケット74と、第2の軸76の軸回りに回動する第2のブラケット83とを一体的に組み合わせて構成されているので、変速レバー17の支点部の構成が簡素化され、設置スペースが小になるとともに組み付け作業が簡単であり、保守点検作業も容易に行える。
また、第2のブラケット83と第1のブラケット74の間にスプリング95を設け、該スプリング95は、変速レバー17の位置が外側に回動する場合には、スプリング95を支点下部位置で引っ張り、変速レバー17の位置が内側に回動する場合にはスプリング95は支点越えをする構成とすることで、ワイヤケーブル85を用いた変速レバー構造でも、変速レバー17の横スライドでシフタステー(アーム部)92aのスプリングの付勢力がなくても変速レバー17の位置が定まるよう規制できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って詳述する。
図1及び図2は作業車両の一例として農作業用トラクタ10を示し、車体の前部にエンジン33を搭載し、該エンジン33の回転動力を後述するようにミッションケース12内の各種変速装置により適宜変速した後に、後輪13、13の二輪または後輪13、13と前輪14、14の四輪へ伝達するように構成してある。車体の後部にはリンク機構15を介してロータリ等の作業機(図示せず)を牽引する。
【0023】
一方、運転席16の右側には、変速装置を切りかえるための変速レバー17や、作業機の高さを変更するポジションレバー18、追加機器操作用のサブコンレバー19、19・・・等、各種操作レバーが配置されている。運転席16の前方にはハンドルポスト20が設けられ、このハンドルポスト20に走行操作部であるステアリングハンドル21が装着されている。該ステアリングハンドル21を回転操作することにより、走行輪である前輪14が回向して車体が旋回する。また、ハンドルポスト20の上部側面に作業機昇降スイッチ22と前後進切替レバー23を突設する。ハンドルポスト20の上部前方には、車速や変速位置等の表示部であるメータパネル24を配置し、ハンドルポスト20の下部右側にアクセルペダル25及びブレーキペダル26を設けると共に、ハンドルポスト20の下部左側にクラッチぺダル27を設ける。これらは運転者の操作以外にコントローラ30でも制御される。
【0024】
前記変速レバー17はレバーガイド35から上方に突出され、車体の外側前方に「高速(H)」位置、車体の外側後方に「中速(M)」位置、車体の内側後方に「低速(L)」位置と、3段の変速パターンを有しており、該変速レバー17をレバーガイド35に沿って操作することにより、後述の副変速装置47が、リンク機構並びにワイヤケーブルを介して「高速」「中速」「低速」の何れかに手動で切り替えられるように次のように構成されている。
【0025】
▲1▼変速レバー17は、高速(H)位置と中速(M)位置の間を前後方向に直進し、その前後中間部に中立(N)位置を有しており、また▲2▼中立(N)位置で、変速レバー17が左右方向に移動し、機体内側に操作すると前後方向後側の低速(L)位置に操作できる。また、▲3▼同じ前後方向の移動でも、低速(L)側は短い。そのレバー移動距離▲1▼、▲2▼、▲3▼のレバー軸軌跡の外周廻りに大きな溝形状のレバーガイド35の開口部を有している。
【0026】
また、該変速レバー17のグリップ部36の側面部には、変速位置をアップもしくはダウン指令するスイッチ式変速操作部であるアップスイッチ37とダウンスイッチ38が設けられ、後述のハイロー変速装置42と主変速装置46とを連携して組み合わせた変速パターンを現位置からアップ若しくはダウンする。
【0027】
次に、図3及び図4に従って動力伝達系の構成について説明する。ミッションケース12はフロントミッションケース12aとミッドミッションケース12cの間にスペーサミッションケース12bを介装してあり、ミッドミッションケース12cの後部にリヤミッションケース12dが接続されている。前記フロントミッションケース12aには、湿式多板のメインクラッチ40とPTOクラッチ41が設けられ、スペーサミッションケース12bには、ハイロー変速切替装置42と前後進切替装置43が設けられている。
【0028】
また、ミッドミッションケース12cには油圧アクチュエータ44、45(図4)の駆動で変速位置が切り替わるシンクロメッシュ式の主変速装置46と、前記変速レバー17による手動切替式の副変速装置47とが設けられ、前輪14への動力を伝達する前輪伝達軸48には、等速四駆と倍速四駆とを切り替える四駆切替装置49を設けてある。更に、リヤミッションケース12dにはリヤデファレンシャル装置50とPTO変速装置51が設けられている。
【0029】
前記エンジン33の回転動力は、メインクラッチ40により断続操作され、順次ハイロー切替装置42、前後進切替装置43、主変速装置46、副変速装置47へと伝達される。ハイロー切替装置42は、「高速」「低速」2つのギヤ組53、55を切り替えるためのアクチュエータとして湿式多板のハイロークラッチ54を有する変速装置であり、前記コントローラ30によりハイロークラッチ54がハイ側に入となれば、一方のギヤ組53を介して動力が「高速」で伝達され、ハイロークラッチ54がロー側に入となれば、前記一方のギヤ組53よりも減速比の高い他方のギヤ組55を介して動力が「低速」で伝達される。
【0030】
前後切替装置43は、「前進」「後進」2つのギヤ組56,57を切り替えるためのアクチュエータとして湿式多板の前後進クラッチ58を有する変速装置であり、前述の前後進切替レバー23が前進位置に操作されている場合は、コントローラ30により前後進クラッチ58が「前進」側に入となり、前記ギヤ組56を介して動力が正回転で伝達される。また、前後進切替レバー23が後進位置に操作されている場合は、コントローラ30により前後進クラッチ58が「後進」側に入となり、前記ギヤ組57を介して動力が逆回転で伝達される。
【0031】
主変速装置46は、四つのギヤの組からなるシンクロメッシュギヤ式変速装置であり、前後進切替装置43から出力された回転動力を、動力上手側から4速ギヤ組59、3速ギヤ組60、2速ギヤ組61、1速ギヤ組62の何れか1つを通じて副変速装置47へ伝達する。4速ギヤ組59と3速ギヤ組60との駆動側ギヤ間にはシンクロメッシュ機構を有するシフタリングを設け、コントローラ30により油圧アクチュエータ44を伸縮駆動し、このシフタリングが前後スライドして「4速」若しくは「3速」に変速されるように構成し、これと同様に、2速ギヤ組61と1速ギヤ組62との駆動側ギヤ間にもシンクロメッシュ機構を有するシフタリングを設け、コントローラ30により油圧アクチュエータ45を伸縮駆動し、このシフタリングが前後スライドして「2速」若しくは「1速」に変速されるように構成してある。
【0032】
副変速装置47は、前記変速レバー17の手動操作により切り換わるスライディングメッシュギヤ式変速装置となっており、「高速」(直結)のギヤ組63、「中速」のギヤ組64、「低速」のギヤ組65と、3段の変速位置を有している。後述するように、「高速」のギヤ組63と「中速」のギヤ組64との間に設けられたシフタリングが、変速レバー17の手動操作にて中立位置から前方へスライドすれば「高速」(直結)となり、このシフタリングが中立位置から後方へスライドすれば「中速」となる。また、「低速」のギヤ組65の前方に設けられたシフタリングが、変速レバー17の手動操作にて中立位置から後方へスライドすれば「低速」となる。
【0033】
そして、前記副変速装置47で変速された回転動力は、リヤデファレンシャル装置50を経て後輪13に伝達されると共に、前輪伝達軸48にも伝達される。そして、該前輪伝達軸48に設けられた四駆切替装置49にて「等速」あるいは「増速」に切り換えられた後、フロントデファレンシャル装置66を経て前輪14に伝達される。更に、エンジン33の回転動力はメインクラッチ40の前段にてPTO系に分岐され、PTOクラッチ41により断・接されて車体後部に突設したPTO取出軸52に伝達される。
【0034】
このようにして、前記ハイロー切替装置42と主変速装置46とを連携して、8段の変速パターンが得られ、更に副変速装置47の変速パターン3段を組み合わせて、24段の変速パターンを得ることができる。そして、前述した変速レバー17のグリップ部36に設けたアップスイッチ37若しくはダウンスイッチ38の手動押し操作により、コントローラ30からハイロークラッチ54或いは油圧アクチュエータ44、45が駆動されて、ハイロー切替装置42と主変速装置46とを連携して組み合わせた変速パターンを現位置からアップ若しくはダウンさせることができる。そして、コントローラ30は各スイッチやセンサの検出信号に基づいて現在の変速位置を判別し、前記メータパネル24に設けられたインジケータに現変速位置を表示する。
【0035】
ここで、図5〜図8に従って変速レバー装置の構成について説明する。右側のフェンダに螺着されるフェンダ金具70にステー71を固設し、このステー71の一端部に中空筒部72を固設して第1の軸73を挿通する。前記中空筒部72の両端には第1の軸73を中心として回動可能な正面視コ字形の第一のブラケット74を設け、この第1のブラケット74の一側部に中空筒部75を固定して第2の軸76を挿通するとともに、第1のブラケット74の他側部にディテント用のプレート77を延設する。前記第1のブラケット74及び中空筒部75は前後方向の中央部に切り欠き部74aを有しており、この切り欠き部74aから第二の軸76が露出している。第二の軸76は第一の軸73に対して略直角に交差する方向に設けられている。
【0036】
そして、該プレート77の下端部近傍の所定位置に複数のディテント用孔78、78・・・を開穿し、前記ステー71に固設した止め具79の先端を該プレート77に当接させる。この止め具79は、例えばケースに内蔵されたスプリングの押圧力にてスチールボールが外側へ付勢されるように構成し、スチールボールが前記ディテント用孔78に係合するように形成する。そして、この止め具79が何れか一つのディテント用孔78に係合したときに該プレート77が所定位置に係止され、前記変速レバー17がレバーガイド35の孔内で前側の「高速」H位置や後側の「中速」M・「低速」L位置、又は、前後中間部の「中立」位置の何れかの変速位置に位置決めされる
また、該プレート77の前端部にケーブル保持金具80を固設する。更に、前記第一のブラケット74の他側部外側にL字型金具81を固設し、このL字型金具81にロッド82の一端部に設けられているボールジョイント部82aを連結する。
【0037】
一方、前記中空筒部75から露出している第2の軸76には側面視逆L字形の第2のブラケット83を固設し、この第2の軸ブラケット83の上面部83aに変速レバー17の基端部を固着する。また、第2のブラケット83の下部にL字形金具84を固設し、該L字形金具84の先端部にワイヤケーブル85インナー部の一端部85aを連結すると共に、このワイヤケーブル85アウター部の一端部近傍を前記ケーブル保持金具80に保持させる。
【0038】
このように、前記変速レバー17の支点部は、第1の軸73の軸回りに回動する第1のブラケット74と、第2の軸76の軸回りに回動する第2のブラケット83とを一体的に組み合わせて構成されているので、変速レバー17の支点部の構成が簡素化され、設置スペースが小になるとともに組み付け作業が簡単であり、保守点検作業も容易に行える。そして、前記変速レバー17は第1の軸73を中心に車体の前後方向へ回動可能であると共に、第2の軸76を中心に車体の左右方向(内外方向)へ回動可能に形成されている。従って、変速レバー17を車体の前後方向へ操作した場合は、第1の軸73の軸回りに第一のブラケット74が回動してロッド82が押し引きされる。また、変速レバー17を車体の左右方向(内外方向)へ操作した場合は、第2の軸76の軸回りに第2のブラケット83が回動してワイヤケーブル85内のインナー部を押し引きする。
【0039】
ここで、前記フェンダ金具70の下部位置にボス88を回転自由に取付け、このボス88の前後面にアーム89、90を固設する。一方のアーム89の先端部には、前記ロッド82の他端部に設けられているボールジョイント部82bを連結し、他方のアーム90の先端部には、ロッド91の一端部に設けられたボールジョイント部91aを連結する。従って、一方のロッド82が上方に引かれたときは、ボス88の回動によって他方のロッド91が下方に押され、一方のロッド82が下方に押されたときは、ボス88の回動によって他方のロッド91が上方に引かれる。
【0040】
一方、ミッションケース12側には副変速装置47のシフタ移動部92が設けられており、シフタステー92aの先端部にアーム93、94を固設し、前記ワイヤケーブル85インナー側の他端部85bを一方のアーム93に連結すると共に、前記ロッド91の他端部に設けられたボールジョイント部91bを他方のアーム94に連結する。そして、前記シフタ移動部92内に支持されたシフタステー92aが左右方向(図5の矢印AまたはB方向)にスライドすれば、シフタステー92aの先端部に固設したシフタアーム(図示せず)が左右いずれかのシフタリングに係合する。
【0041】
また、シフタステー92aが、その軸回りに回動すれば、シフタアームも一体的に回動して左右いずれかのシフタリング47が前後方向にスライドし、前記副変速装置47の「高速」のギヤ組63、「中速」のギヤ組64、「低速」のギヤ組65のいずれかが噛み合うか、又は、「中立」位置を保持する。
【0042】
また、シフタ移動部92に内蔵したスプリング(図示せず)によって、該シフタステーは92a矢印A方向に突出するように付勢されている。従って、ワイヤケーブル85のインナーが常時他端部85b側に引かれるので、前記変速レバー17が中立位置にあるときは、該ワイヤケーブル85の引きにより変速レバー17が外側に、すなわち、前記レバーガイド35外側の「高速(H)」位置と「中速(M)」位置の略中央に位置するように付勢される。
【0043】
こうして、変速レバー17を、例えば車体の内側方向に操作した場合は第2の軸76の軸回りに第2のブラケット83が正面視で時計方向へ回動し、ワイヤケーブル85のインナーが一端部85a側に引かれてシフタステー92aが矢印B方向にスライドする。この時、図5で示すように変速レバー17は、支点越えバネ95により内側方向位置(図5▲2▼位置)にバランス保持される。
【0044】
この状態のまま、前記変速レバー17を車体の後方へ操作すれば、ワイヤケーブル85の引き状態は、そのまま保持されながら、第1の軸73の軸回りに第1のブラケット74が側面視で反時計方向へ回動し、ロッド82が上方に引かれると共にロッド91が下方に押され、シフタステー92aが側面視時計方向に回動する。かくして、シフタアームによりシフタリングが後方へ押されて「低速」のギヤ組65が選択され、副変速装置47が「低速」位置に変速される。
【0045】
これに対して、変速レバー17を例えば車体の外側方向に操作した場合は、第2の軸75の軸回りに第2のブラケット83が正面視で反時計方向へ回動し、ワイヤケーブル85のインナーが他端部85b側に押されてシフタステー92aが矢印A方向にスライドする。
【0046】
従って、シフタアームが「高速」のギヤ組63と「中速」のギヤ組64との間に設けられたシフタリングに係合する。この状態のまま、前記変速レバー17を車体の後方へ操作すれば、ワイヤケーブル85の押し状態はそのまま保持されながら、第1の軸73の軸回りに第1のブラケット74が側面視で反時計方向へ回動し、ロッド82が上方に引かれると共にロッド91が下方に押され、シフタステー92aが側面視時計方向に回動する。斯くして、シフタアームによりシフタリングが後方へ押されて「中速」のギヤ組64が選択され、副変速装置47が「中速」位置に変速される。
【0047】
また、変速レバー17を車体の外側方位に操作した状態のまま、前記変速レバー17を車体の前方へ操作すれば、ワイヤケーブル85の押し状態はそのまま保持されながら、第1の軸73の軸回りに第1のブラケット74が側面視で時計方向へ回動し、ロッド82が下方に押されると共にロッド91が上方に引かれ、シフタリング92aが前方へ押されて「高速」のギヤ組63が選択され、副変速装置47が「高速」位置に変速される。
【0048】
このように、変速レバー17を左右方向に操作することにより、2つのシフタリングのいずれか一方を選び、変速レバー17を前後方向へ操作することにより、何れか一方のシフタリングを前後に移動させて「高速」、「中速」、「低速」の各位置に切り替えることができる。
【0049】
このとき、変速レバー17を前後方向に操作すれば、第1の軸73の軸回りにディテント用のプレート77が回動し、前記ディテント孔78に止め具79が係合するため、変速レバー17が該当する変速位置又は中立位置に位置決めされる。
【0050】
こうして、第2のブラケット83はワイヤケーブル85を介してシフタ移動部92に連結してあるので、ミッションケース12からの振動がワイヤケーブル85の途中で吸収され、変速レバー17に伝わる振動を減少させることができる。
【0051】
また、ワイヤケーブル85は可撓性を有しているために狭隘な隙間を通すことができ、配索作業も容易である。一方、第1のブラケット74はロッド82、91を介してシフタ移動部92に連結してあるので、レバーストロークの調整が容易であり、前後方向の動きはディテントが設けられているため、オペレータが変速レバー17を変速位置にシフトしたときの操作感を確実にすることができる。
【0052】
上記構成で変速レバー17の横方向の動きで、ワイヤケーブル85に遊びが出る位置に変速レバー17でシフトした場合、変速レバー17のグリップ部36が自由に動くのを規制するために、図9(a)の平面図、図9(b)の左側面図、図9(c)の正面図に示すようにレバーガイド35を形成した板材の裏面に牽制バー35aを溶接により取り付ける。図9に示す牽制バー35aがないレバーガイド35では、ワイヤケーブル85で変速レバー17を横方向に引っ張って、変速レバー17の位置をレバーガイド35内でシフトさせた場合、レバーガイド35の溝部のどのシフト位置に変速レバー17が入っても、ワイヤケーブル85がフリーとなり、変速レバー17のグリップ部36が遊んでしまう。
【0053】
しかし、図9に示すようにレバーガイド35に牽制バー35aを取り付けるだけで、変速レバー17のグリップ部36の位置が規制され、トラクタ走行中にも変速レバー17のグリップ部36が揺れることがない。この構造は従来のレバーガイド35に牽制バー35aを追加するだけで得ることができるので、構成が簡単で、かつ安価になる。
【0054】
図5に示す変速レバー17が外側(右側)に回動する場合にはアーム部(シフタステー)92aのスプリング(図示せず)により矢印A方向に付勢されているので、変速レバー17のグリップ部36はぐらつくことはないが、変速レバー17が内側(左側)に回動する場合にはアーム部(シフタステー)92aは矢印B方向に移動するが、前記スプリングにより付勢されなくなり、変速レバー17のグリップ部36がぐらつくことがある。
【0055】
これを防止する機構を図5に示す。図5の左側面図に示す構成は、第2の軸76の軸回りに第2のブラケット83の回動支点があるが、スプリング95を第2のブラケット83と第1のブラケット74の間に設け、変速レバー17の位置が▲1▼外側(右側)に回動する場合には図5の実線で示す位置にスプリング95を支点下部位置で引っ張り、▲2▼変速レバー17の位置が内側(左側)に回動する場合にはスプリング95は支点越えの後、図5の点線で示す位置にスプリング95を位置させる、
こうしてワイヤケーブル85を用いた変速レバー構造でも、変速レバー17の横スライドでシフタステー(アーム部)92aのスプリング(図示せず)の付勢力がなくても変速レバー17の位置が定まるよう規制できる。
【0056】
運転席16は機体に対して弾性支持された構造である。特に運転席16がキャビン室構造である場合にはキャビン室は機体に対して弾性支持された箱体構造である。ミッションケース12は機体に支持されているが、トラクタの走行中は路面の凹凸に対して振動する。一方、変速レバー17はロッド91やワイヤケーブル85を介してミッションケース12の副変速装置47に連結しているが、そのグリップ部36は運転席16又はキャビン内にある。
【0057】
トラクタの走行中は運転席16又はキャビンが振動するが、変速レバー17に連結したロッド91やワイヤケーブル85は走行中の運転席16又はキャビンの振動で上下動して、ミッションケース12内の副変速装置47を振動させ、チェンジ抜けなどを生じるおそれがある。しかし運転席16又はキャビンの弾性支持は剛体に近いものしかできなかった。そこで変速レバー17と副変速装置47の連結部のロッド91を図10に示すように機体前方から見て傾斜状に配置して剛体に近い弾性支持構造の振動をできるだけ解消する。即ち、ミッションケース12側が走行に伴う地面の凹凸で上下動しても、連結部のロッド91を斜めに設けているので、ロッド下端部の上動量に対し上端部の動き量が小さくなって、別上方のロッド82の押し上げが少なくなり変速レバー17の振動が少なくなったり、チェンジ向けを生じなくなる。
【0058】
ロッド91を機体前方から見て傾斜状に配置するために、グリップ部36とボス88は車輪カバーであるフェンダー97寄りに配置し、ロッド91の下端部はシフターステー92aに斜めに溶接したプレート96に接続する。こうして機体中央寄りに配置されている副変速装置47と変速レバー17が連結する。
【0059】
運転席16内の側部にPTO取出軸52に接続する作業機などの各種アクチュエータ部である油圧機器を制御する制御弁を操作する複数の外部操作レバー(サブコンレバー)19を並列配置して設ける場合がある。この外部操作レバー19と制御弁を連結するロッド98の上下位置がオフセットされている(ずらされている)ため、振動等により互いに触れ合い、接触音が発生する。
【0060】
そこで、本実施の形態では、図11に示すようなロッドホルダ99を設ける。図11(a)はフレーム100に取り付けたロッドホルダ99の斜視図、図11(b)はロッドホルダ99単独の斜視図、図11(c)はロッドホルダ99にロッド98を取り付けた状態での側面図である。フェンダ97に沿わせて配置したロッドホルダ99内にロッド98を把持する側面が開放したロッドホルダを前記ロッド98の数に対応した個数設ける。
【0061】
こうしてロッド98の先端に取り付けた外部操作レバー19は安定したロッドホルダ99の上下支点がオフセット(ずれている)ため、ロッド98がロッドホルダ99に支持固定される。
【0062】
こうして、複数のロッド98がトラクタの振動時に触れ合うことなどで振動音が発生しない。
【0063】
また、ロッドホルダ98の上下方向のロッド支点の位置がオフセットされているだけなので、ロッド98をスムーズな動きでガイドをする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態のトラクタの側面図である。
【図2】 図1のトラクタの運転席の一部切欠平面図である。
【図3】 図1のトラクタのミッションケース内の変速装置の縦断面図である。
【図4】 図1のトラクタの動力伝達経路を示す線図である。
【図5】 図1のトラクタの変速レバー装置の正面図である。
【図6】 図1のトラクタの変速レバー装置の左側面図である。
【図7】 図1のトラクタの変速レバーの要部正面図である。
【図8】 図1のトラクタの変速レバーの要部左側面図である。
【図9】 本発明の実施の形態のトラクタの変速レバーガイド部の平面図(図9(a))、左側面図(図9(b))、正面図(図9(c))である。
【図10】 本発明の実施の形態のトラクタの変速レバーの要部正面図である。
【図11】 本発明の実施の形態のトラクタのサブコンロッドの支持部斜視図(図11(a))、ロッドホルダーの斜視図(図11(b))及びサブコンロッドの支持部側面図である。
【図12】 従来技術の操縦席に設けた変速レバー用ガイドの平面図である。
【符号の説明】
12 ミッションケース 16 運転席
17 変速レバー 35 レバーガイド
35a 牽制バー 36 グリップ部
47 副変速装置 52 PTO取出軸
73 第1の軸 74 第1のブラケット
76 第2の軸 83 第2のブラケット
85 ワイヤケーブル 88 ボス
88 ボス 91 ロッド
92a アーム部(シフタステー) 95 スプリング
97 フェンダー 98 ロッド
99 ロッドホルダ 100 フレーム
Claims (1)
- 車両用エンジン33からの動力を車輪13、14に変速して伝達する変速装置47と該変速装置47の変速段切り替え用の変速用シフタ移動部92と、該変速用シフタ移動部92を動かすためにグリップ部36が設けられる変速レバー17と、変速レバー17に設けた回動支点を中心とする操作範囲内で該変速レバー17を誘導し、かつ規制するレバーガイド35とを設け、
変速レバー17は中立位置から車体の左右方向に移動可能に構成し、かつ該左右両側位置からそれぞれ前後方向に移動可能に構成し、
変速レバー17は中立位置から車体の左右方向に移動すると変速用シフタ移動部92がスライド移動し、変速レバー17を前後方向に移動すると変速用シフタ移動部92が軸回りに回動する構成とし、
変速レバー17と変速用シフタ移動部92とをワイヤケーブル85及びロッド91をそれぞれ連結し、変速レバー17を左右方向に移動するとワイヤケーブル85を押し引きして変速用シフタ移動部92がスライド移動し、変速レバー17を前後方向に回動するとロッド91を押し引きして前記変速用シフタ移動部92がスライドした位置を保持した状態で軸回りに回動する構成とし、
変速レバー17の支点部は、第1の軸73の軸回りに前後方向に回動する第1のブラケット74と、第2の軸76の軸回りに左右方向に回動する第2のブラケット83とを一体的に組み合わせる構成とし、
第1のブラケット74とロッド91とを連結し、第2のブラケット83とワイヤケーブル85とを連結し、
変速レバー17を前後方向に操作すれば、第1のブラケット74から延設し、かつ複数のディテント孔78を形成したディテント用のプレート77が第1の軸73の軸回りに回動し、ディテント孔78に止め具79が係合して、変速レバー17が該当する変速位置又は中立位置に位置決めされる構成とし、
第2のブラケット83と第1のブラケット74の間にスプリング95を設け、該スプリング95は、変速レバー17の位置が外側に回動する場合には、スプリング95を支点下部位置で引っ張り、変速レバー17の位置が内側に回動する場合にはスプリング95が支点越えをする構成とすることを特徴とする作業車両の変速レバー装置。
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