JP4945945B2 - 熱可塑性樹脂、その製造方法および成形材料 - Google Patents

熱可塑性樹脂、その製造方法および成形材料 Download PDF

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Description

本発明は、ガラス転移温度(Tg)が40〜300℃である非晶質重合体セグメントに結晶性セグメントが結合してなり、透明性、耐熱性、および耐油性に優れた熱可塑性樹脂、その製造方法、および該熱可塑性樹脂を樹脂成分として含有する成形材料に関する。
従来、ポリスチレン、ポリメタクリレート、環状オレフィンポリマーなどの熱可塑性樹脂は、射出成形、ブロー成形などの成形性に優れているため、成形用の透明プラスチック材料として広く用いられている。しかしながら、これらの熱可塑性樹脂は、機械強度や耐油性が不十分であるという問題があった。
その解決策として、これらの熱可塑性樹脂に結晶性重合体セグメントを導入する方法がいくつか提案されている。例えば、非特許文献1には、シクロオクタジエンとメチルメタクリレートのブロック共重合体およびその水素化物(エチレン−メチルメタクリレート・ブロック共重合体)が報告されている。しかしながら、この文献に記載された共重合体は結晶性セグメントがポリエチレンであり、耐熱性が不十分であった。
また、非特許文献2には、ノルボルネンとエチリデンノルボルネンのメタセシス開環ブロック共重合体の水素化物が報告されており、ノルボルネン開環重合体水素化物セグメントが結晶性である旨記載されている。しかしながら、エチリデンノルボルネン開環重合体水素化物セグメントは、ガラス転移温度(Tg)が室温以下のゴム状重合体である。
従って、透明性、耐熱性、および耐油性の全てに優れる熱可塑性樹脂の開発が強く望まれていた。
Journal of American Chemical Society,2000年,第122巻,p.12872−12873 Macromolecules,2004年,第37巻,7278−7284
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、透明性、耐熱性、および耐油性に優れる熱可塑性樹脂、その製造方法、並びにこの熱可塑性樹脂を樹脂成分として含有する成形材料を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、水素化すると結晶性重合体となるノルボルネン系開環重合体セグメント(C)と、水素化するとガラス転移温度(Tg)が40〜300℃の非晶質重合体となる重合体セグメント(D)とを結合して共重合体を得たのち、このものを水素化して熱可塑性樹脂を得た。そして、得られた熱可塑性樹脂は、樹脂中において、結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物セグメント(A)がミクロに分散した構造を形成するため、透明性を維持したまま、耐熱性および耐油性が飛躍的に増大することを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明の第1によれば、ポリジシクロペンタジエン水素化物からなる結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物セグメント(A)と、ガラス転移温度(Tg)が40〜300℃である非晶質重合体セグメント(B)とのブロック共重合体またはグラフト共重合体である熱可塑性樹脂であって、結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物セグメント(A)の全重合体に対する存在割合が1〜50重量%であり、かつ、重量平均分子量(Mw)が5,000〜1,000,000である熱可塑性樹脂が提供される
本発明の第2によれば、本発明の熱可塑性樹脂の製造方法であって、主鎖中の炭素−炭素二重結合の80%以上を水素化すると結晶性の重合体となる、ポリジシクロペンタジエンからなるノルボルネン系開環重合体セグメント(C)と、主鎖中の炭素−炭素二重結合の80%以上を水素化するとガラス転移温度(Tg)が40〜300℃の非晶質重合体となる重合体セグメント(D)とのブロック共重合体またはグラフト共重合体の主鎖中の炭素−炭素二重結合の80%以上を水素化する熱可塑性樹脂の製造方法が提供される。
本発明の第3によれば、本発明の熱可塑性樹脂を樹脂成分とする成形材料が提供される。

本発明の熱可塑性樹脂は、透明性、耐熱性、および耐油性に優れる。
本発明の製造方法によれば、本発明の熱可塑性樹脂を効率よく製造することができる。
本発明の成形材料は、成形性、耐熱性、および耐油性に優れた透明プラスチック材料として、光学製品、医療用製品、各種包装容器、車両などの成形品の製造に好適に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
1)熱可塑性樹脂
本発明の熱可塑性樹脂は、結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物セグメント(A)(以下、「セグメント(A)」ということがある。)と、ガラス転移温度(Tg)が40〜300℃である非晶質重合体セグメント(B)(以下、「セグメントB」ということがある。)とが結合してなる熱可塑性樹脂であって、結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物セグメント(A)の全重合体に対する存在割合が1〜50重量%であり、かつ、重量平均分子量(Mw)が5,000〜1,000,000であることを特徴とする。
(1)セグメント(A)
本発明の熱可塑性樹脂に用いるセグメント(A)は、結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物からなり、耐熱性に優れ、熱可塑性樹脂に優れた耐油性および耐熱性を付与する。
セグメント(A)としては、ノルボルネン系開環重合体の主鎖中の炭素−炭素二重結合が水素化された重合体セグメントであって、結晶性を有するものであれば、特に制約はない。
ノルボルネン系開環重合体水素化物は、一般的には、ノルボルネン系単量体を開環重合してノルボルネン系開環重合体を得たのち、得られた開環重合体の主鎖中の炭素−炭素二重結合を水素化することにより製造することができる。
ノルボルネン系単量体は、分子内にノルボルネン環を有する化合物である。
ノルボルネン系単量体の具体例としては、2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−デシル−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシル−2−ノルボルネン、5−シクロペンチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−シクロヘキセニル−2−ノルボルネン、5−シクロペンテニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンともいう。)、テトラシクロ[10.2.1.02,11.04,9]ペンタデカ−4,6,8,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9,9a,10−ヘキサヒドロアントラセンともいう。)、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、およびジヒドロジシクロペンタジエン(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン)などの無置換または炭化水素置換基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02、7]ドデカ−4−エン、9−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキシルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロペンチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチレンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ビニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−プロペニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−シクロヘキセニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、および9−フェニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンなどの無置換または炭化水素基を有するテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類;
5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチル、2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、および2−メチル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸エチルなどのアルコキシカルボニル基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチル、および4−メチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸メチルなどのアルコキシカルボニル基を有するテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン類;
5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、および5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などのヒドロキシカルボニル基または酸無水物基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸;テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸、およびテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸無水物などのヒドロキシカルボニル基または酸無水物基を有するテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン類;
5−ヒドロキシ−2−ノルボルネン、5−ヒドロキシメチル−2−ノルボルネン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)−2−ノルボルネン、5,5−ジ(ヒドロキシメチル)−2−ノルボルネン、5−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)−2−ノルボルネン、および5−メチル−5−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)−2−ノルボルネンなどのヒドロキシル基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−メタノール、およびテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−オールなどのヒドロキシル基を有するテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類;
5−ノルボルネン−2−カルバルデヒドなどのヒドロカルボニル基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルバルデヒドなどのヒドロカルボニル基を有するテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類;
3−メトキシカルボニル−5−ノルボルネン−2−カルボン酸などのアルコキシルカルボニル基とヒドロキシカルボニル基とを有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;
酢酸5−ノルボルネン−2−イル、酢酸2−メチル−5−ノルボルネン−2−イル、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、およびメタクリル酸5−ノルボルネン−2−イルなどのカルボニルオキシ基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;
酢酸9−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エニル、酢酸9−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エニル、アクリル酸9−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エニル、およびメタクリル酸9−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エニルなどのカルボニルオキシ基を有するテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類;
5−ノルボルネン−2−カルボニトリル、および5−ノルボルネン−2−カルボキサミド、および5−ノルボルネン−2、3−ジカルボン酸イミドなどの窒素原子を含む官能基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボニトリル、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボキサミド、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,および5−ジカルボン酸イミドなどの窒素原子を含む官能基を有するテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類;
5−クロロ−2−ノルボルネンなどのハロゲン原子を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;9−クロロテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンなどのハロゲン原子を有するテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類;
5−トリメトキシシリル−2−ノルボルネン、および5−トリエトキシシリル−2−ノルボルネンなどのケイ素原子を含む官能基を有するビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン類;4−トリメトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン、および4−トリエトキシシリルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エンなどのケイ素原子を含む官能基を有するテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン類;などが挙げられる。
これらのノルボルネン系単量体は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
前記ノルボルネン系開環重合体水素化物は、ノルボルネン系単量体と、ノルボルネン系単量体と共重合可能な単量体とを開環共重合してノルボルネン系開環共重合体を得たのち、得られた開環共重合体の主鎖中の炭素−炭素二重結合を水素化して得られるものであってもよい。
ノルボルネン系単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、l−ブテン、1−ペンテン、および1−ヘキセンなどのα−オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、およびインデンなどのスチレン類;1,3−ブタジエン、およびイソプレンなどの鎖状共役ジエン;エチルビニルエーテル、およびイソブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;メチルアクリレート、エチルアクリレート、および2−エチルヘキシルアクリレートなどのアクリレート類;メチルメタクリレート、およびエチルメタクリレートなどのメタリレート類;などが挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂に用いるセグメント(A)は、このようにして得られたノルボルネン系開環重合体水素化物のうち、結晶性を有するものである。
セグメント(A)の具体例としては、結晶性の重合体が得られやすいことから、ポリノルボルネン水素化物;シンジオタクティックポリ(エンド−ジシクロペンタジエン)水素化物、およびアイソタクティックポリ(エンド−ジシクロペンタジエン)水素化物などのポリジシクロペンタジエン水素化物;シンジオタクティックポリ(テトラシクロドデセン)水素化物、およびアイソタクティックポリ(テトラシクロドデセン)水素化物などのポリテトラシクロドデセン水素化物;などが挙げられる。
これらのセグメントは、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせてセグメント(A)として用いることができる。これらの中でも、ポリジシクロペンタジエン水素化物が好ましく、シンジオタクティックポリ(エンド−ジシクロペンタジエン)水素化物、およびアイソタクティックポリ(エンド−ジシクロペンタジエン)水素化物が耐熱性と成形性のバランスがよいので特に好ましい。
結晶性を有するかどうかは、示差走査熱量計(DSC)で測定したときに、結晶の融解熱によるピークが観測されることで確認することができる。
セグメント(A)の融点は、通常、50〜400℃、好ましくは100〜300℃である。上記範囲より低いと耐熱性が不十分となり、上記範囲より高いと成形が困難となる。
本発明の熱可塑性樹脂において、セグメント(A)の全重合体に対する存在割合は、1〜50重量%、好ましくは2〜45重量%、より好ましくは3〜40重量%である。上記範囲未満では、セグメント(A)を存在させる効果が期待できず、上記範囲より多いと、後述するセグメント(B)の特性が発現されなくなるおそれがある。
セグメント(A)の重量平均分子量(Mw)は、通常1,000〜500,000、好ましくは1,500〜200,000、より好ましくは2,000〜100,000である。セグメント(A)の重量平均分子量が小さすぎると、結晶化しない場合があり、重量平均分子量が大きすぎると、セグメント(B)の特性が発現されなくなるおそれがある。
本発明の熱可塑性樹脂は、後述するように、通常、水素化前のセグメントであるノルボルネン系開環重合体セグメント(C)と重合体セグメント(D)を用いて重合反応を行っって共重合体を得たのち、このものを水素化することによって製造される。そのため、セグメント(A)の分子量は、水素化前のノルボルネン系開環重合体セグメント(C)の分子量を測定して換算するか、セグメント(C)を単独で水素化して求めることができる。
(2)セグメント(B)
本発明の熱可塑性樹脂に用いるセグメント(B)は、特定のガラス転移温度(Tg)を有し、非晶質の重合体である。セグメント(B)は、熱可塑性樹脂に高成形性という特性を付与する。
セグメント(B)としては、特定のガラス転移温度(Tg)を有し、非晶質の重合体であれば、特に制約はない。
セグメント(B)のTgは、40〜300℃、好ましくは50〜270℃、特に好ましくは60〜250℃である。上記範囲未満では耐熱性が不十分であり、上記範囲以上だと、溶融成形時に樹脂の劣化が進行するので好ましくない。
セグメント(B)の重量平均分子量(Mw)は、通常4,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜800,000、より好ましくは7,000〜500,000である。分子量が小さすぎると、機械強度が弱くなり、分子量が大きすぎると、溶融粘度が高く成形が困難となる。
セグメント(B)の具体例としては、(B−a)非晶質ノルボルネン系開環重合体水素化物、(B−b)スチレン系重合体またはその水素化物、(B−c)アクリレート系重合体などが挙げられる。これらのセグメントは、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて、セグメント(B)として用いることができる。
(B−a)非晶質ノルボルネン系開環重合体水素化物
ノルボルネン系開環重合体水素化物は、通常、非晶質である。よって、ノルボルネン系開環重合体水素化物としては、前記セグメント(A)の結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物を除くすべてのノルボルネン系開環重合体水素化物が、非晶質ノルボルネン系開環重合体水素化物に含まれる。
ノルボルネン系開環重合体水素化物は、上述したように、ノルボルネン系単量体を開環重合してノルボルネン系開環重合体を得たのち、得られた開環重合体の主鎖中の炭素−炭素二重結合を水素化することにより製造できる。ノルボルネン系単量体としては、前記セグメント(A)のノルボルン系開環重合体水素化物の項で列記したものと同様のものを使用することができる。
(B−b)スチレン系重合体またはその水素化物
スチレン系重合体は、スチレン類を重合して得られる重合体であれば、いかなるものも含まれる。スチレン類としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、エチルスチレン、トリメチルスチレン、t−ブチルスチレン、インデン、クロロスチレン、ブロモメチルスチレン、アセトキシメチルスチレンなどが挙げられる。スチレン系重合体としては、これらスチレン類の一種または二種以上を用いて得られる重合体が挙げられる。
また、その水素化物とは、これらの重合体中の芳香族性二重結合を水素化したビニルシクロヘキサン系重合体である。
前記スチレン系重合体またはその水素化物は、スチレン類と、スチレン類と共重合可能な単量体との共重合体またはその水素化物であってもよい。スチレン類と共重合可能な単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、l−ブテン、1−ペンテン、および1−ヘキセンなどのα−オレフィン類;1,3−ブタジエン、およびイソプレンなどの鎖状共役ジエン;エチルビニルエーテル、およびイソブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;メチルアクリレート、エチルアクリレート、および2−エチルヘキシルアクリレートなどのアクリレート類;メチルメタクリレート、およびエチルメタクリレートなどのメタクリレート類;などが挙げられる。
(B−c)アクリレート系重合体
アクリレート系重合体は、アクリレート類を重合した重合体であれば、いかなるものも含まれる。アクリレート類としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレートなどが挙げられる。アクリレート系重合体は、これらアクリレート類の一種または二種以上を用いて得られる重合体が挙げられる。
前記アクリレート系重合体は、アクリレート類と、アクリレート類と共重合可能な単量体との共重合体であってもよい。アクリレート類と共重合可能な単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのスチレン類;エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィン類;1,3−ブタジエン、イソプレンなどの鎖状共役ジエン;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;などが挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂は、前記セグメント(B)に、セグメント(A)が全重合体に対して1〜50重量%結合したものである。具体的には、セグメント(A)とセグメント(B)とのブロック共重合体またはグラフト共重合体であるのが好ましい。ブロック共重合体には、ジブロック共重合体もマルチブロック共重合体も含まれる。また、グラフト共重合体は、セグメント(A)に複数個のセグメント(B)がグラフトしたものでもよいし、セグメント(B)に複数個のセグメント(A)がグラフトしたものでも構わない。
本発明の熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜800,000、より好ましくは15,000〜800,000、特に好ましくは20,000〜500,000である。Mwが上記範囲より小さいと、機械強度に乏しくなり、上記範囲より大きいと、高粘度で取り扱いが困難となり好ましくない。
2)熱可塑性樹脂の製造方法
本発明の熱可塑性樹脂の製造方法は、主鎖中の炭素−炭素二重結合の80%以上を水素化すると結晶性の重合体となるノルボルネン系開環重合体セグメント(C)(以下、「セグメント(C)」という。)と、主鎖中の炭素−炭素二重結合の80%以上を水素化するとガラス転移温度(Tg)が40〜300℃の非晶質重合体となる重合体セグメント(D)(以下、「セグメント(D)」という。)とのブロック共重合体またはグラフト共重合体の、主鎖中の炭素−炭素二重結合の80%以上を水素化することを特徴とする。
セグメント(C)は、主鎖中の炭素−炭素二重結合の80%以上を水素化すると結晶性の重合体となるノルボルネン系開環重合体セグメント、すなわち、主鎖中の炭素−炭素二重結合の80%以上を水素化するとセグメント(A)となるノルボルネン系開環重合体セグメントである。
セグメント(C)の具体例としては、ポリノルボルネン;シンジオタクティックポリ(エンド−ジシクロペンタジエン)、およびアイソタクティックポリ(エンド−ジシクロペンタジエン)などのポリジシクロペンタジエン;シンジオタクティックポリ(テトラシクロドデセン)、およびアイソタクティックポリ(テトラシクロドデセン)などのポリテトラシクロドデセン;などが挙げられる。
これらのセグメントは、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ポリジシクロペンタジエンが好ましく、シンジオタクティックポリ(エンド−ジシクロペンタジエン)、およびアイソタクティックポリ(エンド−ジシクロペンタジエン)が特に好ましい。
セグメント(D)は、主鎖中の炭素−炭素二重結合の80%以上を水素化するとガラス転移温度(Tg)が40〜300℃の重合体となる重合体セグメント、すなわち、主鎖中の炭素−炭素二重結合の80%以上を水素化するとセグメント(B)となる重合体セグメントである。
セグメント(D)の具体例としては、(D−a)非晶質ノルボルネン系開環重合体、(D−b)スチレン系重合体、(D−c)アクリレート系重合体などが挙げられる。ここで、(D−a)非晶質ノルボルネン系開環重合体としては、前記(B−a)の非晶質ノルボルネン系開環重合体水素化物の水素化する前の開環重合体が、(D−b)スチレン系重合体としては前記(B−b)のうちスチレン系重合体が、(D−c)アクリレート系重合体としては前記(B−c)アクリレート系重合体と同様のものが挙げられる。これらのセグメントは、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
セグメント(C)とセグメント(D)とのブロック共重合体またはグラフト共重合体を製造する方法としては、特に制約はない。例えば、以下に示す方法が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
(1)セグメント(C)と(D−a)非晶質ノルボルネン系開環重合体(セグメント(D−a))とのブロック共重合体を製造する方法
メタセシス重合触媒存在下、有機溶媒中に、セグメント(C)となるノルボルネン系単量体と、セグメント(D−a)となるノルボルネン系単量体とを交互に添加することによってブロック共重合体を合成することができる。交互に添加する回数によって、ジブロックからマルチブロックまでを造り分けることができる。なお、セグメント(C)となるノルボルネン系単量体がジシクロペンタジエン又はテトラシクロドデセンの場合には、メタセシス重合触媒として立体規則性重合触媒が好適に用いられる。該立体規則性重合触媒としては、例えば、WO2001/14446号パンフレット、特開2005−89744号公報に記載されたW、Mo触媒が挙げられる。
メタセシス重合触媒としてリビング重合性のものを用いると、ほぼ100%のブロック共重合体を合成することができる。一方、リビング重合性ではないメタセシス重合触媒を用いると、ブロック共重合体ばかりでなく、共重合しないセグメント(C)および/またはセグメント(D−a)も製造される。これらの単独重合体を含んでいても、ブロック共重合体が存在すれば、後に得られる熱可塑性樹脂は、透明性、耐熱性および耐油性に優れるので、構わない。
(2)セグメント(C)と(D−b)スチレン系重合体(セグメント(D−b))とのブロック共重合体またはグラフト共重合体を製造する方法
セグメント(C)とセグメント(D−b)とのブロック共重合体は、文献(Macromolecules,2002年,第35巻)記載の方法により製造することができる。
セグメント(C)とセグメント(D−b)とのグラフト共重合体は、文献(Macromolecules,1997年,第30巻)記載の方法により製造することができる。
また、末端にビニル基を有するスチレン系重合体の存在下で、セグメント(C)となるノルボルネン系単量体をメタセシス重合触媒存在下、開環重合することによって、ブロック共重合体を製造することができる。
(3)セグメント(C)と(D−c)アクリレート系重合体(セグメント(D−c))のブロック共重合体を製造する方法
セグメント(C)となるノルボルネン系単量体と、セグメント(D−c)となるアクリレート系単量体とのブロック共重合体は、前記非特許文献1に記載されたものと同様の方法でノルボルネン系単量体を開環重合した後、ラジカル重合することによって製造することができる。
前記(1)〜(3)において用いるメタセシス重合触媒としては、特に制限されず、周期表第4族〜第8族の、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、アルコキシハロゲン化物、アルコキシド、カルボン酸塩、(オキシ)アセチルアセトネート、またはカルボニル錯体と、助触媒として機能するアルキル化剤またはルイス酸との組み合わせによるメタセシス重合触媒;周期表第4族〜第8族遷移金属の金属カルベン錯体触媒;周期表第4族〜第8族遷移金属のメタラシクロブタン錯体触媒;などの、従来公知のものを使用することができる。
リビング重合性の開環メタセシス重合触媒としては、シュロック型触媒と呼ばれるモリブデンまたはタングステンの金属カルベン錯体触媒;およびグラブス型触媒と呼ばれるルテニウムカルベン錯体触媒およびチタナシクロブタン錯体触媒;などが挙げられる。
シュロック型触媒の好ましい具体例としては、2,6−ジイソプロピルフェニルイミドネオフィリデンモリブデン(VI)ビス(t−ブトキシド)、および2,6−ジイソプロピルフェニルイミドネオフィリデンモリブデン(VI)ビス(ヘキサフルオロ−t−ブトキシド)などが挙げられる。
グラブス型触媒の好ましい具体例としては、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム(IV)ジクロリドなどが挙げられる。
重合反応は、上記セグメント(C)となる単量体、セグメント(D)となる単量体、およびメタセシス重合触媒を混合することにより行われる。
重合反応温度は、特に制約はないが、通常、−30℃〜+200℃、好ましくは、0℃〜+180℃である。
重合反応時間は、反応規模にもよるが、通常1分から100時間である。
上記重合反応は、適当な溶媒中で行うことができる。用いる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;n−ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンなどの脂環族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン含有脂肪族溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン含有芳香族溶媒;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの脂肪族エーテル類;アニソール、フェネトールなどの芳香族エーテル類;などが挙げられる。これらの溶剤はそれぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、工業的に汎用な、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、脂肪族エーテル類、および芳香族エーテル類が好ましく、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、および脂環族炭化水素がより好ましい。
上記重合反応に用いる全単量体の溶媒中の濃度は、通常1〜50重量%、好ましくは、2〜45重量%、特に好ましくは、3〜40重量%である。上記範囲より小さいと生産性が悪くなり、上記範囲より大きいと、重合後の溶液粘度が大きくなり、その後の工程が困難となる。
重合反応においては、所望により、分子量を調整するために分子量調整剤を添加することができる。用いる分子量調整剤としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキサン、1−オクテン、などのα−オレフィン;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル、酢酸アリル、アリルアルコール、グリシジルメタクリレートなどの酸素含有ビニル化合物;アリルクロライドなどのハロゲン含有ビニル化合物;アクリルアミドなどの窒素含有ビニル化合物;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエンなどの非共役ジエン;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどの共役ジエン;などが挙げられる。
分子量調整剤の添加量は、用いる全単量体に対して、0.1〜10モル%の範囲で任意に選択することができる。
以上のようにして得られるブロック共重合体またはグラフト共重合体の主鎖中の炭素−炭素二重結合を水素化する方法としては、特に制約はなく、例えば、溶媒中、水素と水素化触媒存在下で水素化する方法が挙げられる。
このとき、側鎖の炭素−炭素二重結合を同時に水素化しても構わない。また、セグメント(D−b)のように芳香環を側鎖に有する重合体の場合には、芳香環を水素化しなくてもよいし、水素化してシクロアルキル化してもよい。
水素化反応は、開環共重合体を一旦単離した後に行うこともできるし、開環共重合反応で得られた反応溶液に水素化触媒を添加して連続的に行うこともできる。生産効率の上からは、後者が好ましい。
用いる水素化触媒としては特に限定されず、オレフィン化合物の水素化反応に一般的に使用されているものを適宜使用することができる。例えば、酢酸コバルトとトリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナートとトリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリドとn−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリドとsec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネートとジメチルマグネシウムなどの遷移金属化合物とアルカリ金属化合物の組み合わせからなるチーグラー系触媒;ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、クロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウムなどの貴金属錯体触媒;などの均一系触媒;ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウムなどの金属;これらの金属を、カーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタンなどの担体に担持させた担持型不均一系触媒;などが挙げられる。
これらの水素化触媒はそれぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、担持型不均一系触媒が、水素化反応後に反応溶液を濾別することで水素化触媒を容易に除去できるので好ましい。
担持型不均一系触媒としては、具体的には、ニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナなどが挙げられる。
水素化触媒の使用量は、開環共重合体100重量部あたり、通常0.01〜100重量部、好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは0.3〜10重量部、特に好ましくは0.5〜2.0重量部の範囲である。
水素化反応は、通常、有機溶媒中で実施される。有機溶媒は生成する水素化物の溶解性により適宜選択することができるが、前記開環共重合反応に用いた有機溶媒と同様の有機溶媒を使用することが好ましい。開環共重合反応後、溶媒を置換することなく、そのまま水素化触媒を添加して反応させることができるからである。
水素化反応条件は、使用する水素化触媒の種類に応じて適宜選択すればよい。
反応温度は、通常、−20〜+250℃、好ましくは−10〜+220℃、より好ましくは0〜+200℃である。上記範囲未満では反応速度が遅くなり、一方、上記範囲を超えると副反応が起こる場合がある。
水素圧力は、ゲージ圧で、通常、0.01〜20MPa、好ましくは0.05〜15MPa、より好ましくは0.1〜10MPaである。水素圧力が上記範囲未満では水素化速度が遅くなり、上記範囲を超えると高耐圧反応装置が必要となる。
反応時間は、所望の水素化率が達成できる時間であれば特に限定されないが、通常0.1〜10時間の範囲である。
共重合体の主鎖中の炭素−炭素二重結合の水素化率は、通常80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは99%以上である。
反応終了後は、通常の後処理操作を行うことにより、目的とする熱可塑性樹脂を単離することができる。例えば、不均一系触媒を用いた場合には、上記水素化反応後に、ろ過して水素化触媒を除去し、続いて凝固乾燥法、または薄膜乾燥機などを用いた直接乾燥法にて得ることができる。また、水素化触媒として均一系触媒を用いた場合は、水素化反応後に、アルコールや水を添加して触媒を失活させ、溶剤に不溶化させた後にろ過を行い触媒を除去する。熱可塑性樹脂は、通常、パウダー状またはペレット状で得ることができる。
以上のようにして得られる本発明の熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜800,000、より好ましくは15,000〜800,000、特に好ましくは20,000〜500,000である。Mwが上記範囲より小さいと、機械強度に乏しくなり、上記範囲より大きいと、高粘度で取り扱いが困難となり好ましくない。
また、本発明の熱可塑性樹脂の数平均分子量(Mn)は、好ましくは2,500〜500,000、より好ましくは5,000〜400,000,特に好ましくは7,500〜250,000である。
重合体の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、テトラヒドロフラン、またはクロロホルムを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定できる。
本発明の熱可塑性樹脂は透明性に優れる。本発明の熱可塑性樹脂を厚さ2.5mmの板状体に成形したとき、該成形体の全光線透過率は、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは85%以上である。
成形体の全光線透過率は、公知の分光光度計を使用して測定できる。
本発明の熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、通常40℃〜300℃、好ましくは50℃〜270℃、融点(Tm)は、通常50℃〜400℃、好ましくは100℃〜300℃であり、耐熱性に優れる。
ガラス転移温度(Tg)および融点(Tm)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定できる。
また、本発明の熱可塑性樹脂は、耐油性に優れる。
本発明の熱可塑性樹脂の、耐油性の指標である限界応力は、通常70kgf/cm以上、好ましくは100kgf/cm以上、特に好ましくは150kgf/cm以上である。
限界応力は、本発明の熱可塑性樹脂を250℃で熱プレス後、除冷して成形した10mm×100mm×1mmのポリマーサンプルを、断面が長径200mm、単径80mmの楕円形の、高さl0mmの楕円柱を同形に4等分した治具の曲面に固定して、室温でサラダ油に1時間浸漬した後に、クラックの発生した位置から限界応力を計算して求めることができる。
本発明の熱可塑性樹脂は、後述するように、本発明の成形材料の樹脂成分として有用である。
3)成形材料
本発明の成形材料は、本発明の熱可塑性樹脂の一種または二種以上を樹脂成分として含有することを特徴とする。
本発明の成形材料は、本発明の熱可塑性樹脂を樹脂成分として含有するものであるが、必要に応じて公知の添加剤を本発明の効果が損なわれない範囲で添加することができる。
添加する添加剤としては、充填材、酸化防止剤、離型材、難燃剤、抗菌剤、木粉、カップリング剤、可塑剤、着色剤、滑剤、シリコンオイル、発泡剤、界面活性剤、光安定剤、、分散助剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、結晶化核剤、防曇剤、有機物充填材、中和剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止材、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらの添加剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
成形材料を製造する方法としては、本発明の熱可塑性樹脂および必要に応じて添加する添加剤などとを混練することにより、ペレット状の成形材料を得る方法;適当な溶媒中で本発明の熱可塑性樹脂および必要に応じて添加する添加剤などを混合し、溶媒を除去することにより成形材料を得る方法、などが挙げられる。
混練は、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、フィーダールーダーなどの溶融混練機などを用いることができる。混練温度は、200〜400℃の範囲であると好ましく、240〜350℃の範囲であるとより好ましい。また、混練するに際しては、各成分を一括添加して混練しても、数回に分けて添加しながら混練してもよい。
成形材料は、公知の成形手段、例えば射出成形法、圧縮成形法、押出成形法などを用いて成形体にすることができる。成形体の形状は用途に応じて適宜選択できる。
本発明の成形材料は、透明性に優れる本発明の熱可塑性樹脂を樹脂成分として含有するため、本発明の成形材料も透明性に優れる。本発明の熱可塑性樹脂は結晶性セグメントを有するため、本発明の成形材料も耐油性に優れる。また、本発明の熱可塑性樹脂において、セグメント(A)のTmが、セグメント(B)のTgよりも高い場合は、Tg以上の温度でも変形が抑制されるため、本発明の成形材料は耐熱性にも優れたものとなる。
本発明の成形材料は、従来公知の成形方法により成形して、任意の形状を有する成形体を製造することができる。
上述したように、本発明の成形材料は、透明性、耐熱性、耐油性などに優れるため、得られる成形体も透明性、耐熱性、耐油性などに優れる。
成形体の具体例としては、光ディスク、光学レンズ、プリズム、光拡散板、光カード、光ファイバー、光学ミラー、液晶表示素子基板、導光板、偏光フィルム、位相差フィルムなどの光学材料;液体、粉体、または固体薬品の容器(注射用の液体薬品容器、アンプル、バイアル、プレフィルドシリンジ、輸液用バッグ、密封薬袋、プレス・スルー・パッケージ、固体薬品容器、点眼薬容器など)、サンプリング容器(血液検査用サンプリング試験管、薬品容器用キャップ、採血管、検体容器など)、医療器具(注射器など)、医療器具などの滅菌容器(メス用、鉗子用、ガーゼ用、コンタクトレンズ用など)、実験・分析器具(ビーカー、シャーレ、フラスコ、試験管、遠心管など)、医療用光学部品(医療検査用プラスチックレンズなど)、配管材料(医療用輸液チューブ、配管、継ぎ手、バルブなど)、人工臓器やその部品義(歯床、人工心臓、人造歯根など)などの医療用器材;ボトル、リターナブルボトル、哺乳瓶、フィルム、シュリンクフィルムなどの食品用容器;処理用または移送用容器(タンク、トレイ、キャリア、ケースなど)、保護材(キャリアテープ、セパレーション・フィルムなど)、配管類(パイプ、チューブ、バルブ、流量計、フィルター、ポンプなど)、液体用容器類(サンプリング容器、ボトル、アンプルバッグなど)の電子部品処理用器材;被覆材(電線用、ケーブル用など)、民生用・産業用電子機器匡体(複写機、コンピューター、プリンター、テレビ、ビデオデッキ、ビデオカメラなど)、構造部材(パラボラアンテナ構造部材、フラットアンテナ構造部材、レーダードーム構造部材など)などの電気絶縁材料;
一般回路基板(硬質プリント基板、フレキシブルプリント基板、多層プリント配線板など)、高周波回路基板(衛星通信機器用回路基板など)などの回路基板;透明導電性フィルム(液晶基板、光メモリー、面発熱体など)の基材;半導体封止材(トランジスタ封止材、IC封止材、LSI封止材、LED封止材など)、電気・電子部品の封止材(モーター封止材、コンデンサー封止材、スイッチ封止材、センサー封止材など)の封止材;ルームミラーやメーター類のカバーなど自動車用内装材料;ドアミラー、フェンダーミラー、ビーム用レンズ、ライト・カバーなど自動車用外装材料;などが挙げられる。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。実施例中の部および%は、特に断りのない限り重量基準である。
実施例および比較例中の試験、評価は以下の方法で行った。
(1)重合体の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、テトラヒドロフラン、またはクロロホルムを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値として測定した。
(2)重合体の共重合比および水素化率は、H−NMR測定により求めた。
(3)融点(Tm)とガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)を用い、10℃/分で昇温して測定した。
(4)油脂に対する限界応力は、以下の方法で測定した。250℃で熱プレス後、除冷して成形した10mm×100mm×1mmのポリマーサンプルを、断面が長径200mm、単径80mmの楕円形の、高さl0mmの楕円柱を同形に4等分した治具の曲面に固定して、室温でサラダ油に1時間浸漬した後に、クラックの発生した位置から限界応力を計算した。
(参考例1)
撹拌機付きガラス製反応器に、タングステン(フェニルイミド)テトラクロリド・ジエチルエーテルを0.060部とシクロヘキサン1.0部を入れ、ここにジエチルアルミニウムエトキシド0.047部をヘキサン0.50部に溶解した溶液を添加して、全容を室温にて30分撹拌した。そこへ、ジシクロペンタジエン7.5部、シクロヘキサン27.0部、1−オクテン5.0部を添加し、50℃において重合反応を行ったところ、徐々に溶液の粘度が上昇した。3時間反応後、反応液に大量のイソプロピルアルコールを注いで沈殿物を凝集させ、ろ別洗浄後、40℃で24時間減圧乾燥して開環重合体(1)を7.4部得た。得られた開環重合体(1)のMnは3,800、Mwは13,000であった。開環重合体主鎖中の炭素−炭素二重結合のシス/トランス比は、93/7であった。
次に、撹拌機付きオートクレーブに、開環重合体(1)5部とシクロヘキサン35部を入れ、ここに、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム(IV)ジクロリド0.029部およびエチルビニルエーテル0.025部をトルエン5部に溶解した水素化触媒溶液を添加し、水素圧0.9MPa、120℃で8時間水素化反応を行った。
水素化反応液は白濁しており、水素化物は不溶であった。反応混合物を大量のイソプロピルアルコールに注いでポリマーを完全に析出させ、ろ別洗浄後、40℃で24時間減圧乾燥して開環重合体水素化物(1)を5部得た。
開環重合体水素化物(1)のH−NMR測定において、炭素−炭素二重結合由来のピークは観測されず、水素化率は99%以上であった。開環重合体水素化物(1)のラセモ・ダイアッドの割合は、80%であった。
また、開環重合体水素化物(1)は100℃に加熱したシクロヘキサンまたはトルエンには全く不溶であり、融点(Tm)は272℃、融解熱(ΔH)は51J/gであった。
(実施例1)
内部を窒素置換したガラス反応器に、下記式
Figure 0004945945
で示されるモリブデン化合物0.28部を添加した後、トルエン28部を加えて溶解した。次に、66重量%のジシクロペンタジエン(DCPD;エンド体>99%)/トルエン溶液1.5部を加え、室温で1時間撹拌した。反応液の一部をサンプリングして、GPC測定を行ったところ、得られた重合体のMnは2,800、Mwは3,200、Mw/Mnは1.14であった。
次いで、反応液に28.6重量%の1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン(MTHF)/トルエン溶液35.0部を添加して、室温で1日間放置した。得られた重合反応液をトルエンで希釈した後、大量のメタノールに注いでポリマーを完全に析出させ、ろ別洗浄後、40℃で24時間減圧乾燥して、開環共重合体(2)を10.5部得た。得られた開環共重合体(2)のMnは28,600、Mwは34,100、Mw/Mnは1.19であった。
次に、撹拌機付きオートクレーブに、開環共重合体(2)5部とトルエン35部を入れ、ここに、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム(IV)ジクロリド0.029部およびエチルビニルエーテル0.025部をトルエン5部に溶解した水素化触媒溶液を添加し、水素圧0.9MPa、120℃で8時間水素化反応を行った。反応液を大量のメタノールに注いでポリマーを完全に析出させ、ろ別洗浄後、40℃で24時間減圧乾燥して開環共重合体水素化物(2)を5部得た。
開環共重合体水素化物(2)のH−NMR測定において、重合体主鎖中の炭素−炭素二重結合由来のピークは観測されず、主鎖水素化率は99%以上であった。一方、MTHFに由来する芳香環は完全に維持されていた。また、DCPD/MTHF比は、10/90(w/w)で、Mn=28,800、Mw=34,400、Mw/Mn=1.19であった。
また、開環共重合体水素化物(2)は、100℃のトルエンに容易に溶解した。
開環共重合体水素化物(2)を250℃で熱プレス後、徐冷して、厚さ1mmのサンプル板(2)を作製した。板は透明であり、DSC測定の結果、DCPD開環重合体水素化物セグメントに由来する融点(Tm)=256℃、融解熱(ΔH)=2.0J/g、MTHF開環重合体水素化物セグメントに由来するガラス転移温度(Tg)=135℃を観測した。
サンプル板(2)のサラダ油に対する限界応力を測定したが、クラックは発生せず、限界応力は測定限界(186kgf/cm)以上であった。
よって、開環共重合体水素化物(2)は、結晶性DCPD開環重合体水素化物と非晶質MTHF開環重合体水素化物とのブロック共重合体であり、透明性、耐熱性、及び耐油性に優れたポリマーであることがわかる。
(実施例2)
撹拌機付きガラス製反応器に、タングステン(フェニルイミド)テトラクロリド・ジエチルエーテルを0.060部とシクロヘキサン1.0部を入れ、ここに、ジエチルアルミニウムエトキシド0.047部をヘキサン0.50部に溶解した溶液を添加して、これを室温にて30分撹拌した。得られた混合物に、ジシクロペンタジエン7.5部、シクロ
ヘキサン27.0部、1−オクテン5.0部を添加し、50℃において重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。3時間撹拌後、反応液に大量のイソプロピルアルコールを注いで沈殿物を凝集させ、ろ別洗浄後、40℃で24時間減圧乾燥して開環重合体(3)を714部得た。
得られた開環重合体(3)のMnは3,800、Mwは13,000であった。開環重合体主鎖中の炭素−炭素二重結合のシス/トランス比は、93/7であった。
次いで、撹拌機付きガラス製反応器に、上記で得た開環重合体(3)3部、トルエン24.0部、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン3.0部を入れ、ここに、べンジリデン[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロトリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム0.0039部をトルエン0.1部に溶解した溶液を添加して、60℃において重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。2時間反応後、重合反応液に大量のイソプロピルアルコールを注いで沈殿物を凝集させ、ろ別洗浄後、40℃で24時間減圧乾燥して、開環共重合体(4)を5.9部得た。得られた開環共重合体(4)のMnは6,600、Mwは18,000であった。
撹拌機付きオートクレーブに、開環共重合体(4)3部とトルエン47部を入れ、ここに、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム(IV)ジクロリド0.0187部およびエチルビニルエーテル0.45部をトルエン10m1に溶解した水素化触媒溶液を添加し、水素圧0.8MPa、160℃で8時間水素化反応を行った。水素化反応液を大量のイソプロピルアルコールに注いでポリマーを完全に析出させ、ろ別洗浄後、40℃で24時間減圧乾燥して、開環共重合体水素化物(5)を3部得た。
得られた開環共重合体水素化物(5)のH−NMR測定の結果、芳香族二重結合に由来するピークはすべて残存しているが、主鎖中の炭素−炭素二重結合由来のピークは観測されず、主鎖二重結合の水素化率は99%以上であった。開環共重合体水素化物(5)は、100℃のトルエンに溶解した。
開環共重合体水素化物(5)を250℃で熱プレス後、除冷して、厚さlmmのサンプル板(5)を作製した。サンプル板(5)は透明であり、DSC測定のlstスキャンによると、ガラス転移温度(Tg)は100℃と136℃であり、融点(Tm)は241℃、融解熱(ΔH)は11J/gであった。
また、サンプル板(5)のサラダ油に対する限界応力を測定したが、クラックは発生せず、限界応力は測定限界(186kgf/cm)以上であった。
よって、開環共重合体水素化物(5)は、結晶性DCPD開環重合体水素化物と非晶質MTHF開環重合体水素化物とのブロック共重合体であり、透明性、耐熱性、及び耐油性に優れたポリマーであることがわかった。
(実施例3)
撹拌機付きガラス製反応器に、参考例1で得た開環重合体(3)3部、シクロヘキサン24.0部、8−エチルテトラシクロドデセン3.0部を入れ、ここに、べンジリデン[
1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム0.0039部をトルエン0.1部に溶解した溶液を添加して、60℃において重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。2時間反応後、重合反応液に大量のイソプロピルアルコールを注いで沈殿物を凝集させ、ろ別洗浄後、40℃で24時間減圧乾燥して、開環共重合体(6)を5.7部得た。得られた開環共重合体(6)のMnは7,400、Mwは30,000であった。
撹拌機付きオートクレーブに、開環共重合体(6)3部とシクロヘキサン47部を入れ、さらに、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム(IV)ジクロリド0.0187部およびエチルビニルエーテル0.45部をシクロヘキサン10m1に溶解した水素化触媒溶液を添加し、水素圧0.8MPa、160℃で8時間水素化反応を行った。水素化反応液を大量のイソプロピルアルコールに注いでポリマーを完全に析出させ、ろ別洗浄後、40℃で24時間減圧乾燥して、開環共重合体水素化物(6)を3部得た。
得られた開環共重合体水素化物(6)のH−NMR測定の結果、炭素−炭素二重結合由来のピークは観測されず、水素化率は99%以上であった。得られた開環共重合体水素化物(6)は、100℃のトルエンに溶解した。
開環共重合体水素化物(6)を250℃で熱プレス後、除冷して、厚さ1mmのサンプル板(6)を作製した。サンプル板(6)は透明であり、DSC測定の1stスキャンによると、ガラス転移温度(Tg)は100℃と144℃であり、融点(Tm)は246℃、融解熱(ΔH)は7J/gであった。
また、サンプル板(6)のサラダ油に対する限界応力を測定したが、クラックは発生せず、限界応力は測定限界(186kgf/cm)以上であった。
よって、開環共重合体水素化物(6)は、結晶性DCPD開環重合体水素化物と非晶質MTHF開環重合体水素化物とのブロック共重合体であり、透明性、耐熱性、及び耐油性に優れたポリマーであることがわかった。
(比較例1)
撹拌機付きガラス製反応器に、トルエン17.0部、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン7.5部、1−ヘキセン0.043部を入れ、ここに、べンジリデン[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロ(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム0.0035部をトルエン0.1部に溶解した溶液を添加して、60℃において重合反応を行った。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。2時間反応後、重合反応液に大量のメタノールを注いで沈殿物を凝集させ、ろ別洗浄後、40℃で24時間減圧乾燥して、開環共重合体(7)を7.4部得た。開環共重合体(7)のMnは14,900、Mwは38,100であった。
撹拌機付きオートクレーブに、上記で得た開環共重合体(7)3部とトルエン20部を加えた。次いでビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム(IV)ジクロリド0.0187部およびエチルビニルエーテル0.45部をトルエン10m1に溶解した水素化触媒溶液を添加し、水素圧0.8MPa、160℃で8時間水素化反応を行った。水素化反応液を大量のイソプロピルアルコールに注いでポリマーを完全に析出させ、ろ別洗浄後、40℃で24時間減圧乾燥して、開環共重合体水素化物(7)3部を得た。
得られた開環共重合体水素化物(7)のH−NMR測定の結果、芳香族二重結合に由来するピークはすべて残存しているが、主鎖中の炭素−炭素二重結合由来のピークは観測されず、主鎖二重結合の水素化率は99%以上であった。得られた開環共重合体水素化物(7)は、室温でトルエンに溶解した。
開環共重合体水素化物(7)を250℃で熱プレス後、除冷して、厚さlmmのサンプル板(7)を作製した。サンプル板(7)は透明であり、DSC測定の1stスキャンによると、ガラス転移温度(Tg)は138℃を示した。サンプル板(7)のサラダ油に対する限界応力は56kgf/cmであり、実施例1〜3で得られた開環重合体水素化物に比して、耐熱性、および耐油性に劣るものであった。

Claims (3)

  1. ポリジシクロペンタジエン水素化物からなる結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物セグメント(A)と、
    ガラス転移温度(Tg)が40〜300℃である非晶質重合体セグメント(B)と
    ブロック共重合体またはグラフト共重合体である熱可塑性樹脂であって、
    結晶性ノルボルネン系開環重合体水素化物セグメント(A)の全重合体に対する存在割合が1〜50重量%であり、かつ、
    重量平均分子量(Mw)が5,000〜1,000,000
    である熱可塑性樹脂。
  2. 請求項1に記載の熱可塑性樹脂の製造方法であって、
    主鎖中の炭素−炭素二重結合の80%以上を水素化すると結晶性の重合体となる、ポリジシクロペンタジエンからなるノルボルネン系開環重合体セグメント(C)と、
    主鎖中の炭素−炭素二重結合の80%以上を水素化するとガラス転移温度(Tg)が40〜300℃の非晶質重合体となる重合体セグメント(D)と
    のブロック共重合体またはグラフト共重合体の主鎖中の炭素−炭素二重結合の80%以上を水素化する熱可塑性樹脂の製造方法。
  3. 請求項1に記載の熱可塑性樹脂を樹脂成分とする成形材料。
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