JP4958331B2 - 光電変換素子の製造方法、光電変換素子および光電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は色素で増感された半導体微粒子を用いた光電変換素子及びこれを用いた光電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
太陽発電は単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、テルル化カドミウムやセレン化インジウム銅などの化合物太陽光電池が実用化もしくは主な研究開発の対象となっているが、普及させる上で製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバックタイムが長いなどの問題点を克服する必要がある。一方、大面積化や低価格化を指向した有機材料を用いた太陽電池もこれまでにも多く提案されているが、変換効率が低く、耐久性も悪いという問題があった。
こうした状況の中で、ネイチュア(Nature)第353巻、第737〜740頁(1991年)および米国特許4927721号などに、色素によって増感された半導体微粒子を用いた光電変換素子および太陽電池、ならびにこれを作成するための材料および製造技術が開示された。提案された電池は、ルテニウム錯体によって分光増感された二酸化チタン多孔質薄膜を作用電極とする湿式太陽電池である。この方式の第一の利点は二酸化チタンなどの安価な酸化物半導体を高純度に精製することなく用いることができるため、安価な光電変換素子を提供できる点であり、第二の利点は用いられる色素の吸収がブロードなため、可視光線のほぼ全波長領域の光を電気に変換できることである。しかし、電荷輸送材料として、低沸点の有機溶剤を用いるため、その耐久性が懸念された。そこで、種々の安定化した電荷輸送材料が提案された。例えば、経時したときの電解液の枯渇を防ぐため、J. Phys. D: Appl. Phys. 31巻(1998)の 1492-1496頁やChem. Mater.、10巻(1998)の 1501-1509頁にはCuIやCuSCNなど無機正孔輸送材料を用いて固体化した光電変換素子が提案されている。しかし、これらのホール輸送材料を用いた光電変換素子は、検討の結果短絡をおこしやすく、かつ経時劣化が激しいという問題があった。また、これらの方法は、ホール輸送層を作製する工程で、半導体に吸着させた色素が劣化する(すなわち光電変換効率が低下する)という問題があり、さらに、経時によっても光電変換性能の劣化が大きいという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、光電変換性能を劣化させることなく、かつ、耐久性に優れた光電変換素子を提供することである。さらには、これを用いた光電池および太陽電池モジュールを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、下記の本発明を特定する下記の事項[1]〜[4]およびその好ましい態様によって達成される。
[1] 導電層、色素により増感した半導体微粒子層、無機のホール輸送材料を含む電荷輸送層および対極を有する光電変換素子の製造方法において、前記色素と半導体微粒子とをシランカップリング剤により共有結合させて前記半導体微粒子層を形成する工程を有し、
前記ホール輸送材料が、1価の銅化合物であり、
前記1価の銅化合物が、銅塩を用いた無電解めっき工程を含む工程により作製されたものであることを特徴とする光電変換素子の製造方法。
[2] 半導体微粒子と共有結合により結合した色素が、有機金属錯体色素及び/又はメロシアニン色素であることを特徴とする上記[1]に記載の光電変換素子の製造方法。
[3] 上記[1]又は[2]に記載された製造方法により製造された光電変換素子。
[4] 上記[3]に記載された光電変換素子を用いることを特徴とする光電池。
本発明は、上記[1]〜[4]に関するものであるが、その他の事項についても参考のために記載した。
(1)導電層、色素により増感した半導体微粒子層、電荷輸送層および対極を有する光電変換素子において、該色素が該半導体微粒子と共有結合をしており、かつ、電荷輸送層に無機および/または有機のホール輸送材料を用いることを特徴とする光電変換素子。
(2)上記(1)において、無機のホール輸送材料が、1価の銅化合物であることを特徴とする光電変換素子。
(3)上記(2)において、1価の銅化合物が電解めっき工程を含む工程により作製されてものであることを特徴とする光電変換素子。
(4)上記(2)において、1価の銅化合物が銅塩を用いた無電解めっき工程を含む工程により作製されたものであることを特徴とする光電変換素子。
(5)上記(1)〜(4)において、半導体粒子と共有結合した前記色素が、金属錯体色素及び/又はメロシアニン色素であることを特徴とする光電変換素子。
(6)上記(1)〜(5)において、半導体微粒子がTiO2、ZnO、SnO2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、及びSrTiO3からなる群より選択される金属酸化物粒子であることを特徴とする光電変換素子。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載された光電変換素子を用いることを特徴とする光電池。
(8)上記(1)〜(6)に記載された光電変換素子から構成されることを特徴とする光電池モジュール。
【0005】
【発明の実施の形態】
〔1〕光電変換素子
本発明の光電変換素子の構成を図を用いて説明する。図1は,本発明の光電変換素子の好ましい一態様の構造を示す部分断面図であって、導電層10、下塗り層60、感光層(半導体粒子層)20、電荷輸送層30、対極導電層40の順に積層されており、前記感光層20は色素22とそれによって増感された半導体微粒子21と当該半導体微粒子21が有する空隙に浸透した電荷輸送材料23とから構成される(すなわち、色素によって増感された半導体微粒子層の空隙に電荷輸送材料を浸透させて構成される)。電荷輸送材料23は、電荷輸送層30に用いる材料と同じ成分からなる。また光電変換素子に強度を付与するため、導電層10および/または対極導電層40の下地として、基板50を設けてもよい。以下本発明では、導電層10および任意で設ける基板50からなる層を「導電性支持体」、対極導電層40および任意で設ける基板50からなる層を「対極」と呼ぶ。なお、図1中の導電層10、対極導電層40、基板50は、それぞれ透明導電層10a、透明対極導電層40a、透明基板50aであっても良い。この光電変換素子を外部負荷に接続して電気的仕事をさせる目的(発電)で作られたものが光電池であり、光学的情報のセンシングを目的に作られたものが光センサーである。光電池のうち、電荷輸送材料23が主としてイオン輸送材料からなる場合を特に光電気化学電池と呼び、また、太陽光による発電を主目的とする場合を太陽電池と呼ぶ。
【0006】
図1に示す本発明の光電変換素子において、半導体微粒子がn型である場合、色素22により増感された半導体微粒子21を含む感光層20に入射した光は色素22を励起し、色素22の中の励起されて高エネルギーレベルに遷移した電子が半導体微粒子21の伝導帯に渡され、さらに拡散により導電層10に到達する。このとき色素22の分子は酸化体となっている。光電池においては、導電層10中の電子が外部回路で仕事をしながら対極導電層40および電荷輸送層30を経て色素22の酸化体に戻り、色素22などが再生する。感光層20は負極(光アノード)として働き、対極40は正極として働く。それぞれの層の境界(例えば導電層10と感光層20との境界、感光層20と電荷輸送層30との境界、電荷輸送層30と対極導電層40との境界など)では、各層の構成成分同士が相互に拡散混合していてもよい。以下各層について詳細に説明する。
【0007】
(A)導電性支持体
導電性支持体は、(1)導電層の単層、または(2)導電層および基板の2層からなる。(1)の場合は、導電層として強度や密封性が十分に保たれるような材料が使用され、例えば、金属材料(白金、金、銀、銅、亜鉛、チタン、アルミニウムなどまたはこれらを含む合金)を用いることができる。(2)の場合、感光層側に導電剤を含む導電層を有する基板を使用することができる。好ましい導電剤としては金属(例えば白金、金、銀、銅、亜鉛、チタン、アルミニウム、インジウムなどまたはこれらを含む合金)、炭素、または導電性金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素またはアンチモンをドープしたものなど)が挙げられる。導電層の厚さは0.02〜10μm程度が好ましい。
【0008】
導電性支持体は表面抵抗が低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲は50Ω/□以下であり、さらに好ましくは20Ω/□以下である。
【0009】
導電性支持体側から光を照射する場合には、導電性支持体は実質的に透明であるのが好ましい。実質的に透明であるとは、可視〜近赤外領域(400〜1200nm)の光の一部または全域において透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であるのが好ましく、80%以上がより好ましい。特に、感光層が感度を有する波長域の透過率が高いことが好ましい。
【0010】
透明導電性支持体としては、ガラスまたはプラスチックなどの透明基板の表面に導電性金属酸化物からなる透明導電層を塗布または蒸着などにより形成したものが好ましい。透明導電層として好ましいものは、フッ素もしくはアンチモンをドーピングした二酸化スズあるいはインジウム−スズ酸化物(ITO)である。透明基板には低コストと強度の点で有利なソーダガラス、アルカリ溶出の影響のない無アルカリガラスなどのガラス基板のほか、透明ポリマーフィルムを用いることができる。透明ポリマーフィルムの材料としては、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ樹脂などがある。十分な透明性を確保するために、導電性金属酸化物の塗布量はガラスまたはプラスチックの支持体1m2当たり0.01〜100gとするのが好ましい。
【0011】
透明導電性支持体の抵抗を下げる目的で金属リードを用いるのが好ましい。金属リードの材質は白金、金、ニッケル、チタン、アルミニウム、銅、銀、などの金属が好ましい。金属リードは透明基板に蒸着、スパッタリングなどによって設置し、その上に導電性の酸化スズ又はITO膜などの透明導電層を設けるのが好ましい。金属リードを設置することによる入射光量の低下は、好ましくは10%以内、より好ましくは1〜5%とする。
【0012】
(B)感光層
感光層において、半導体は感光体として作用し、光を吸収して電荷分離を行い、電子と正孔を生ずる。色素増感された半導体では、光吸収およびこれによる電子および正孔の発生は主として色素において起こり、半導体微粒子はこの電子(または正孔)を受け取り、伝達する役割を担う。本発明で用いる半導体は、光励起下で伝導体電子がキャリアーとなり、アノード電流を与えるn型半導体であることが好ましい。
【0013】
(1)半導体
半導体としては、シリコン、ゲルマニウムのような単体半導体、周期律表のIII-V族元素の化合物半導体、金属のカルコゲナイド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物、またはそれらの複合物など)、またはペロブスカイト構造を有する化合物(例えばチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムなど)などを使用することができる。
【0014】
好ましい金属のカルコゲナイドとして、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、またはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモンまたはビスマスの硫化物、カドミウムまたは鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物などが挙げられる。他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウムなどのリン化物、ガリウム−ヒ素または銅−インジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物などが挙げられる。さらには、MxOySzまたはM1xM2yOz (M、M1およびM2はそれぞれ金属元素、Oは酸素、x、y、zは価数が中性になる組み合わせの数)の様な複合物も好ましく用いることができる。
【0015】
本発明に用いる半導体の好ましい具体例は、Si、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、CdS、ZnS、PbS、Bi2S3、CdSe、CdTe、SrTiO3、GaP、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2などであり、より好ましくはTiO2、ZnO、SnO2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、CdS、PbS、CdSe、SrTiO3、InP、GaAs、CuInS2またはCuInSe2であり、特に好ましくはTiO2またはNb2O5であり、最も好ましくはTiO2である。TiO2は、アナターゼ型結晶を70%以上含むTiO2が好ましく、特に好ましくは100%アナターゼ型結晶のTiO2である。また、これらの半導体中の電子電導性を上げる目的で金属をドープすることも有効である。ドープする金属としては、2価及び3価の金属が好ましい。半導体から電荷輸送層へ逆電流が流れるのを防止する目的で、半導体に1価の金属をドープすることも有効である。
【0016】
本発明に用いる半導体は、単結晶でも多結晶でもよいが、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバックタイムなどの観点からは多結晶が好ましく、半導体微粒子からなる多孔質膜が特に好ましい。また、一部アモルファス部分を含んでいてもよい。
【0017】
半導体微粒子の粒径は、一般に10-9〜10-6m(1nm〜1μm)のレベルであるが、投影面積を円に換算したときの直径から求めた一次粒子の平均粒径は5〜200nmであるのが好ましく、8〜100nmがより好ましい。また分散液中の半導体微粒子(二次粒子)の平均粒径は0.01〜30μmが好ましい。粒径分布の異なる2種類以上の微粒子を混合してもよく、この場合小さい粒子の平均サイズは25nm以下であるのが好ましく、より好ましくは10nm以下である。入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、粒径の大きな、例えば100nm〜300nm程度の半導体粒子を混合することも好ましい。
【0018】
半導体微粒子の種類も異なる2種以上の混合であってもよい。2種以上の半導体微粒子を混合して使用する場合、1種は、TiO2、ZnO、Nb2O5もしくはSrTiO3であることが好ましい。またもう1種としては、SnO2、Fe2O3、WO3であることが好ましい。さらに好ましい組み合わせとしては、ZnOとSnO2、ZnOとWO3またはZnO、SnO2とWO3などの組み合わせを挙げることができる。2種以上の半導体微粒子を混合して用いる場合、それぞれの粒径が異なっていても良い。特に上記1種目として挙げた半導体微粒子の粒径が大きく、2種目として挙げた半導体微粒子が小さい組み合わせが好ましい。好ましくは、大きい粒径の粒子が100nm以上,例えば100〜500nmで、小さい粒径の粒子が15nm以下、例えば2〜15nmのサイズの粒子の組み合わせである。
【0019】
半導体微粒子の作製法としては、作花済夫の「ゾル−ゲル法の科学」アグネ承風社(1998年)、技術情報協会の「ゾル−ゲル法による薄膜コーティング技術」(1995年)などに記載のゾル−ゲル法、杉本忠夫の「新合成法ゲル−ゾル法による単分散粒子の合成とサイズ形態制御」、まてりあ,第35巻,第9号,1012〜1018頁(1996年)に記載のゲル−ゾル法が好ましい。またDegussa社が開発した塩化物を酸水素塩中で高温加水分解により酸化物を作製する方法も好ましい。
【0020】
半導体微粒子が酸化チタンの場合、上記ゾル-ゲル法、ゲル−ゾル法、塩化物の酸水素塩中での高温加水分解法はいずれも好ましく適用できる調整法であるが、さらに清野学の「酸化チタン物性と応用技術」技報堂出版(1997年)に記載の硫酸法および塩素法を用いることもできる。さらにゾル−ゲル法として、バーブ(Barbe)らのジャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサエティー,第80巻,第12号,3157〜3171頁(1997年)に記載の方法や、バーンサイド(Burnside)らのケミストリー・オブ・マテリアルズ,第10巻,第9号,2419〜2425頁に記載の方法も好ましい。
【0021】
(2)半導体微粒子層
半導体微粒子を導電性支持体上に塗布するには、半導体微粒子の分散液またはコロイド溶液を導電性支持体上に塗布する方法の他に、前述のゾル−ゲル法などを使用することもできる。光電変換素子の量産化、半導体微粒子液の物性、導電性支持体の融通性などを考慮した場合、湿式の製膜方法が比較的有利である。湿式の製膜方法としては、塗布法、印刷法、電解析出法および電着法が代表的である。また、金属を酸化する方法、金属溶液から配位子交換などで液相にて析出させる方法(LPD法)、スパッタなどで蒸着する方法、CVD法、あるいは加温した基板上に熱分解する金属酸化物プレカーサーを吹き付けて金属酸化物を形成するSPD法を利用することもできる。
【0022】
半導体微粒子の分散液を作製する方法としては、前述のゾル−ゲル法の他に、乳鉢ですり潰す方法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法、あるいは半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそのまま使用する方法などが挙げられる。
【0023】
分散媒としては、水または各種の有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、シトロネロール、ターピネオール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチルなど)が挙げられる。分散の際、必要に応じて例えばポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのようなポリマー、界面活性剤、酸、またはキレート剤などを分散助剤として用いてもよい。ポリエチレングリコールの分子量を変えることで、分散液の粘度が調節可能となり、さらに剥がれにくい半導体層を形成したり、半導体層の空隙率をコントロールできるので、ポリエチレングリコールを添加することは好ましい。
【0024】
塗布方法としては、アプリケーション(塗布液適用)システムとしてローラ法、ディップ法など、メータリング(塗布量制御)システムとしてエアーナイフ法、ブレード法など、またアプリケーションとメータリングを同一部分で行うシステムとして、特公昭58-4589号公報に開示されているワイヤーバー法、米国特許2681294号、同2761419号、同2761791号などの各公報に記載のスライドホッパー法、エクストルージョン法及びカーテンコート法が好ましい。また、そのほかの汎用手段としてスピンコート法やスプレーコート法も好ましい。さらに、湿式印刷方法も好ましく、凸版、オフセットおよびグラビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリーン印刷などが好ましい。これらの中から、液粘度やウェット厚さに応じて、好ましい製膜方法を選択できる。
【0025】
半導体微粒子の層は単層に限らず、粒径の違った半導体微粒子の分散液を多層塗布したり、種類が異なる半導体微粒子(あるいは異なるバインダー、添加剤)を含有する塗布層を多層塗布したりすることもできる。一度の塗布で膜厚が不足の場合にも多層塗布は有効である。
【0026】
一般に半導体微粒子層の厚さ(感光層の厚さと同じ)が厚くなるほど単位投影面積当たりの担持色素量が増えるため、光の捕獲率が高くなるが、生成した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。したがって、半導体微粒子層の好ましい厚さは0.1〜100μmである。光電池に用いる場合、半導体微粒子層の厚さは1〜30μmが好ましく、2〜25μmがより好ましい。半導体微粒子の支持体1m2当たり塗布量は0.5〜100gが好ましく、3〜50gがより好ましい。
【0027】
半導体微粒子を導電性支持体上に塗布した後、半導体微粒子同士を電子的に接触させるとともに、塗膜強度の向上や支持体との密着性を向上させるために、加熱処理するのが好ましい。好ましい加熱温度の範囲は40℃以上700℃以下であり、より好ましくは100℃以上600℃以下である。また加熱時間は10分〜10時間程度である。ポリマーフィルムのように融点や軟化点の低い支持体を用いる場合、高温処理は支持体の劣化を招くため、好ましくない。またコストの観点からもできる限り低温(例えば50℃〜350℃)であるのが好ましい。加熱処理温度の低温化は、5nm以下の小さい半導体微粒子を用いること、鉱酸、金属酸化物プレカーサーの存在下で加熱処理することなどにより可能となり、また、紫外線、赤外線、マイクロ波などの照射を加えることや電界、超音波を印加することによって行うことができる。これらの各手段は、適宜組み合わせて用いることもできる。同時に不要な有機物などを除去する目的で、上記の照射や印加のほか加熱、減圧、酸素プラズマ処理、純水洗浄、溶剤洗浄、ガス洗浄などを適宜組み合わせて併用することが好ましい。
【0028】
加熱処理後、半導体微粒子の表面積を増大させたり、半導体微粒子近傍の純度を高め、色素から半導体微粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキ処理や三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。また、半導体微粒子から電荷輸送層へ逆電流が流れるのを防止する目的で、粒子表面に色素以外の電子電導性の低い有機物を吸着させることも有効である。吸着させる有機物としては疎水性基を持つ有機化合物が好ましい。
【0029】
半導体微粒子層は、多くの色素を吸着することができるように大きい表面積を有することが好ましい。半導体微粒子の層を支持体上に塗布した状態での表面積は、投影面積に対して10倍以上であるのが好ましく、さらに100倍以上であるのが好ましい。この上限は特に制限はないが、通常1000倍程度である。
【0030】
(3)色素
感光層に用いる増感色素は、可視域や近赤外域に吸収を有し、半導体を増感しうる色素であり、かつ、半導体微粒子と共有結合を形成しうる基を持つ色素であれば、どのようなものでも良い。半導体微粒子と共有結合を形成しうる基としては、半導体微粒子を構成する元素と置き換わることによって、エーテル結合、チオエーテル結合、アミノ結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、尿素結合などの結合を形成しうる基であれば、いずれの基でも良いが、好ましくは、カルボニル基含有基およびその前駆体含有基(カルボン酸基、酸ハロゲン基、酸無水物基、エステル基)、水酸基含有基およびその前駆体基(水酸基、水酸基の金属塩、アルキルオキシ基、珪素原子に結合した水酸基、チタン原子、亜鉛原子、錫原子などの金属に結合した水酸基など)が挙げられる。
色素と半導体微粒子との間で形成される上記のような共有結合は、例えば赤外線吸収分析法などによって検知することができる。
【0031】
以下、感光層に用いる好ましい増感色素を具体的に説明する。
増感色素としては、有機金属錯体色素、メチン色素、ポルフィリン系色素またはフタロシアニン系色素が好ましいが、特に好ましくは下記の有機金属錯体色素またはメロシアニン色素である。また、光電変換の波長域をできるだけ広くし、かつ変換効率を上げるため、二種類以上の色素を併用または混合することができる。この場合、目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるように、併用または混合する色素とその割合を選ぶことができる。
【0032】
(a)有機金属錯体色素
色素が金属錯体色素である場合、金属フタロシアニン色素、金属ポルフィリン色素またはルテニウム錯体色素が好ましく、ルテニウム錯体色素が特に好ましい。ルテニウム錯体色素としては、例えば米国特許4927721号、同4684537号、同5084365号、同5350644号、同5463057号、同5525440号、特開平7-249790号、特表平10-504512号、世界特許98/50393号、特開2000-26487号などの各公報に記載の錯体色素が挙げられる。
【0033】
さらに本発明で用いるルテニウム錯体色素は、下記一般式(I)により表される色素が好ましい。
(A1)pRu(B-a)(B-b)(B-c) ・・・(I)
一般式(I)において、A1は1または2座の配位子を表し、Cl、SCN、H2O、Br、I、CN、NCOおよびSeCN、ならびにβ−ジケトン類、シュウ酸およびジチオカルバミン酸の誘導体からなる群から選ばれた配位子が好ましい。pは0〜3の整数である。
B-a、B-bおよびB-cはそれぞれ独立に下記化学式B-1〜B-10により表される化合物から選ばれた有機配位子を表す。B-a、B-bおよびB-cは同一でも異なっていてもよく、いずれか1つまたは2つでもよい。
【0034】
【化1】
【0035】
上記の各化学式において、Raは水素原子または置換基を表し、置換基としてはたとえば、ハロゲン原子、炭素原子数1〜12の置換または無置換のアルキル基、炭素原子数7〜12の置換または無置換のアラルキル基、炭素原子数6〜12の置換または無置換のアリール基、あるいは前述の酸性基(これらの酸性基は塩を形成していてもよい)やキレート化基が挙げられ、アルキル基およびアラルキル基のアルキル部分は直鎖状でも分岐状でもよく、またアリール基およびアラルキル基のアリール部分は単環でも多環(縮合環、環集合)でもよい。
【0036】
有機金属錯体色素の好ましい具体例を以下のR−1〜R−17に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
【化2】
【0038】
【化3】
【0039】
【化4】
【0040】
(b)メチン色素
本発明に使用する色素の好ましいメチン色素は、シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素などのポリメチン色素である。本発明で、より好ましく用いられる色素は、メロシアニン色素である。本発明で好ましく用いられるポリメチン色素の例は、特開平11−35836号、特開平11−67285号、特開平11−86916号、特開平11−97725号、特開平11−158395号、特開平11−163378号、特開平11−214730号、特開平11−214731号、特開平11−238905号、特開2000−26487号、欧州特許892411号、同911841号および同991092号の各明細書に記載の色素である。好ましいメチン色素の具体例を下に示す。
【0041】
【化5】
【0042】
(4)半導体微粒子への色素の吸着
半導体微粒子に色素を吸着させるには、色素の溶液中に良く乾燥した半導体微粒子層を有する導電性支持体を浸漬するか、色素の溶液を半導体微粒子層に塗布する方法を用いることができる。前者の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法などが使用可能である。浸漬法の場合、色素の吸着は室温で行ってもよいし、特開平7-249790号に記載されているように加熱還流して行ってもよい。また後者の塗布方法としては、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法などがある。
色素を溶解する溶媒として好ましいのは、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、t-ブタノール、ベンジルアルコールなど)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、3-メトキシプロピオニトリルなど)、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなど)、ジメチルスルホキシド、アミド類(N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセタミドなど)、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチルイミダゾリジノン、3-メチルオキサゾリジノン、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、炭酸エステル類(炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレンなど)、ケトン類(アセトン、2-ブタノン、シクロヘキサノンなど)、炭化水素(へキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンなど)やこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0043】
色素を半導体微粒子に共有結合にて結合させるには、色素を半導体と処理する際に、加熱を行うか、酸又は塩基を共存させるか、あるいは、結合形成を促進するような、脱水触媒などの触媒を用いるのが好ましく、また、それらの各手段を組み合わせて用いてもよい。
また、直接半導体微粒子と結合を形成しにくい色素の場合、両者を繋ぎ得るそれぞれの結合性基を併せ持つ化合物を併用することも好ましい。このような化合物としては、半導体と結合を形成しうる基および色素と結合しうる官能基とを少なくとも各1個有する化合物であれば、いずれでも利用可能である。好ましい化合物としては、いわゆるシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、「シリコーン材料ハンドブック」(東レ・ダウコーニング・シリコーン編)に記載のもの、「シリコーンハンドブック」(伊藤邦雄編、日刊工業新聞社1990発行)に記載のものなどが好ましい例として挙げられる。これらの化合物は、予め半導体微粒子と結合形成させておき、その後に色素と反応させても良いし、逆に色素と結合を形成させておき、その後に半導体と反応させても良い。好ましくは前者である。
【0044】
色素の全吸着量は、多孔質半導体電極基板の単位表面積(1m2)当たり0.01〜100mmolが好ましい。また色素の半導体微粒子に対する吸着量は、半導体微粒子1g当たり0.01〜1mmolの範囲であるのが好ましい。このような色素の吸着量とすることにより半導体における増感効果が十分に得られる。これに対し、色素が少なすぎると増感効果が不十分となり、また色素が多すぎると半導体に付着していない色素が浮遊し、増感効果を低減させる原因となる。色素の吸着量を増大させるためには、吸着前に加熱処理を行うのが好ましい。加熱処理後、半導体微粒子表面に水が吸着するのを避けるため、常温に戻さずに、半導体電極基板の温度が60〜150℃の間で素早く色素の吸着操作を行うのが好ましい。また、色素間の凝集などの相互作用を低減する目的で、無色の化合物を色素に添加し、半導体微粒子に共吸着させてもよい。この目的で有効な化合物は界面活性な性質や構造をもった化合物であり、例えば、カルボキシル基を有するステロイド化合物(例えばケノデオキシコール酸)や下記の例のようなスルホン酸塩類が挙げられる。
【0045】
【化6】
【0046】
未吸着の色素は、吸着後速やかに洗浄により除去するのが好ましい。洗浄は、湿式洗浄槽を使い、アセトニトリルなどの極性溶剤、アルコール系溶剤のような有機溶媒で洗浄を行うのが好ましい。また、色素を吸着した後にアミン類や4級塩を用いて半導体微粒子の表面を処理してもよい。好ましいアミン類としてはピリジン、4-t-ブチルピリジン、ポリビニルピリジンなどが挙げられ、好ましい4級塩としてはテトロブチルアンモニウムヨージド、テトラヘキシルアンモニウムヨージドなどが挙げられる。これらが液体の場合はそのまま用いてもよいし、有機溶媒に溶解して用いてもよい。
【0047】
(C)電荷輸送層
電荷輸送層は色素の酸化体に電子を補充する機能を有する電荷輸送材料を含有する層である。本発明で用いることのできる代表的な電荷輸送材料の例としては、(i)イオン輸送材料として、酸化還元対のイオンが溶解した溶液(電解液)、酸化還元対の溶液をポリマーマトリクスのゲルに含浸したいわゆるゲル電解質、酸化還元対イオンを含有する溶融塩電解質、さらには固体電解質が挙げられ、これらの電解質を含む組成物〈電解質組成物〉を電荷輸送層に用いることができる。また、イオンがかかわる電荷輸送材料のほかに、(ii)固体中のキャリアー移動がかかわる電荷輸送材料として、電子輸送材料や正孔(ホール)輸送材料を用いることもできる。これらの電荷輸送材料は、併用することができる。本発明においては、無機または有機の正孔(ホール)輸送材料を用いることが好ましい。
【0048】
(1)溶融塩電解質
溶融塩電解質は、光電変換効率と耐久性の両立という観点から好ましい。溶融塩電解質とは、室温において液状であるか、または低融点の固体状の電解質であり、例えばWO95/18456号、特開平8-259543号などの各公報や電気化学,第65巻,11号,923頁(1997年)などに記載されているピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩などの既知の電解質を挙げることができる。100℃以下、特に室温付近において液状となる溶融塩が好ましい。
【0049】
好ましく用いることのできる溶融塩としては、下記一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)のいずれかにより表されるものが挙げられる。
【0050】
【化7】
【0051】
一般式(Y-a)中、Qy1は窒素原子と共に5又は6員環の芳香族カチオンを形成しうる原子団を表す。Qy1は炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる1種以上の原子により構成されるのが好ましい。Qy1により形成される5員環は、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、インドール環またはピロール環の各カチオン型であるのが好ましく、オキサゾール環、チアゾール環又はイミダゾール環の各カチオン型であるのがより好ましく、オキサゾール環又はイミダゾール環の各カチオン型であるのが特に好ましい。Qy1により形成される6員環は、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環又はトリアジン環の各カチオン型であるのが好ましく、ピリジニウム環であるのがより好ましい。
【0052】
一般式(Y-b)中、Ay1は窒素原子又はリン原子を表す。
【0053】
一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)中のRy1〜Ry6はそれぞれ独立に置換又は無置換のアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜24、直鎖状であっても分岐状であっても、また環式であってもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、t-オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、2-ヘキシルデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基など)、或いは置換又は無置換のアルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜24、直鎖状であっても分岐状であってもよく、例えばビニル基、アリル基など)を表し、より好ましくは炭素原子数2〜18のアルキル基又は炭素原子数2〜18のアルケニル基であり、特に好ましくは炭素原子数2〜6のアルキル基である。
【0054】
また、一般式(Y-b)中のRy1〜Ry4のうち2つ以上が互いに連結してAy1を含む非芳香族環を形成してもよく、一般式(Y-c)中のRy1〜Ry6のうち2つ以上が互いに連結して環構造を形成してもよい。
【0055】
一般式(Y-a)、(Y-b)及び(Y-c)中のQy1及びRy1〜Ry6は置換基を有していてもよく、好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子(F、Cl、Br、Iなど)、シアノ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基など)、アリーロキシ基(例えば、フェノキシ基など)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、エトキシカルボニル基など)、炭酸エステル基(例えば、エトキシカルボニルオキシ基など)、アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基など)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基など)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、スルホニルオキシ基(例えば、メタンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基など)、ホスホニル基(例えば、ジエチルホスホニル基など)、アミド基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基など)、カルバモイル基(例えば、N,N-ジメチルカルバモイル基など)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、2-カルボキシエチル基、ベンジル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、トルイル基など)、複素環基(例えば、ピリジル基、イミダゾリル基、フラニル基など)、アルケニル基(例えば、ビニル基、1-プロペニル基など)、シリル基、シリルオキシ基などが挙げられる。
【0056】
一般式(Y-a)、(Y-b)又は(Y-c)により表される化合物は、Qy1又はRy1〜Ry6を介して多量体を形成してもよい。
【0057】
これらの溶融塩は、単独で使用しても、2種以上混合して使用してもよく、また、ヨウ素アニオンを他のアニオンで置き換えた溶融塩と併用することもできる。ヨウ素アニオンと置き換えるアニオンとしては、ハロゲン化物イオン(Cl-、Br-など)、SCN-、BF4 -、PF6 -、ClO4 -、(CF3SO2)2N-、(CF3CF2SO2)2N-、CH3SO3 -、CF3SO3 -、CF3COO-、Ph4B-、(CF3SO2)3C-などが好ましい例として挙げられ、SCN-、CF3SO3 -、CF3COO-、(CF3SO2)2N-又はBF4 -であるのがより好ましい。また、LiIなど他のヨウ素塩やCF3COOLi、CF3COONa、LiSCN、NaSCNなどのアルカリ金属塩を添加することもできる。アルカリ金属塩の添加量は、電荷質組成物全体の0.02〜2質量%程度であるのが好ましく、0.1〜1質量%がさらに好ましい。
【0058】
上記溶融塩電解質は常温で溶融状態であるものが好ましく、溶媒を用いない方が好ましい。後述する溶媒を添加しても構わないが、溶融塩の含有量は電解質組成物全体に対して50質量%以上であるのが好ましく、90質量%以上であるのが特に好ましい。また、塩のうち、50質量%以上がヨウ素塩であることが好ましい。
【0059】
上記電解質組成物にはヨウ素を添加するのが好ましく、この場合、ヨウ素の含有量は、電解質組成物全体に対して0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜5質量%であるのがより好ましい。
【0060】
(2)電解液
電荷輸送層に電解液を使用する場合、電解液は電解質、溶媒、および添加物から構成されることが好ましい。本発明の電解質はI2とヨウ化物の組み合わせ(ヨウ化物としてはLiI、NaI、KI、CsI、CaI2 などの金属ヨウ化物、あるいはテトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩など)、Br2と臭化物の組み合わせ(臭化物としてはLiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2 などの金属臭化物、あるいはテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイドなど4級アンモニウム化合物の臭素塩など)のほか、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオンなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノンなどを用いることができる。この中でもI2とLiIやピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩を組み合わせた電解質が好ましい。上述した電解質は混合して用いてもよい。
【0061】
好ましい電解質濃度は0.1M以上10M以下であり、さらに好ましくは0.2M以上4M以下である。また、電解液にヨウ素を添加する場合の好ましいヨウ素の添加濃度は0.01M以上0.5M以下である。
【0062】
電解質に使用する溶媒は、粘度が低くイオン易動度を向上したり、もしくは誘電率が高く有効キャリアー濃度を向上したりして、優れたイオン伝導性を発現できる化合物であることが望ましい。このような溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート化合物、3−メチル−2−オキサゾリジノンなどの複素環化合物、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテルなどの鎖状エーテル類、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル化合物、ジメチルスルフォキシド、スルフォランなど非プロトン極性物質、水などが挙げられ、これらを混合して用いることもできる。
【0063】
また、本発明では、J. Am. Ceram. Soc .,80 (12)巻3157-3171頁(1997)に記載されているようなtert-ブチルピリジンや、2−ピコリン、2,6−ルチジンなどの塩基性化合物を前述の溶融塩電解質や電解液に添加することが好ましい。塩基性化合物を添加する場合の好ましい濃度範囲は0.05M以上2M以下である。
【0064】
(3)ゲル電解質
本発明において、電解質はポリマー添加、オイルゲル化剤添加、多官能モノマー類を含む重合、ポリマーの架橋反応などの手法により、前述の溶融塩電解質や電解液をゲル化(固体化)させて使用することもできる。ポリマー添加によりゲル化させる場合は、“Polymer Electrolyte Reviews-1および2”(J.R.MacCallumとC.A. Vincentの共編、ELSEVIER APPLIED SCIENCE)に記載された化合物を使用することができるが、特にポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンを好ましく使用することができる。オイルゲル化剤添加によりゲル化させる場合はJ. Chem Soc. Japan, Ind. Chem.Sec., 46巻,779頁(1943), J. Am. Chem. Soc., 111巻,5542頁(1989), J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1993, 390頁, Angew. Chem. Int. (英語版), 35,1949(1996), Chem. Lett., 1996, 885頁, J. Chm. Soc., Chem. Commun., 1997,545頁に記載されている化合物を使用することができるが、好ましい化合物は分子構造中にアミド構造を有する化合物である。電解液をゲル化した例は、特開平11−185863号公報に、溶融塩電解質をゲル化した例は特開2000−58140号公報に記載されており、本発明にも適用できる。
【0065】
また、ポリマーの架橋反応により電解質をゲル化させる場合、架橋可能な反応性基を含有するポリマーおよび架橋剤を併用することが望ましい。この場合、好ましい架橋可能な反応性基は、アミノ基、含窒素複素環(例えば、ピリジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環など)であり、好ましい架橋剤は、窒素原子に対して求電子反応可能な2官能以上の試薬(例えば、ハロゲン化アルキル類、ハロゲン化アラルキル類、スルホン酸エステル類、酸無水物、酸クロライド、イソシアネート化合物、α、β−不飽和スルホニル基含有化合物、α、β−不飽和カルボニル基含有化合物、α、β−不飽和ニトリル基含有化合物など)であり、特開2000−17076号及び同2000−86724号公報に記載されている架橋技術も適用できる。
【0066】
(4)正孔輸送材料
本発明では、溶融塩などのイオン伝導性電解質の替わりに、有機または無機あるいはこの両者を組み合わせた固体の正孔輸送材料を使用することが好ましい。より好ましくは、無機正孔輸送材料を含有する電荷輸送層であり、より好ましくは、1価の銅化合物を無機正孔輸送材料として含有する電荷輸送層である。
【0067】
(a)有機正孔輸送材料
本発明に適用可能な有機正孔輸送材料としては、ハーゲン(J.Hagen)ほか, Synthetic Metal 89巻(1997)215-220頁、ネイチュア(Nature),395巻, 8 Oct. 1998,583-585頁およびWO97/10617号、特開昭59−194393号、特開平5−234681号、米国特許第4,923,774号、特開平4−308688号、米国特許第4,764,625号、特開平3−269084号、特開平4−129271号、特開平4−175395号、特開平4−264189号、特開平4−290851号、特開平4−364153号、特開平5−25473号、特開平5−239455号、特開平5−320634号、特開平6−1972号、特開平7-138562号、特開平7-252474号、特開平11-144773などの各公報に示される芳香族アミン類や、特開平11-149821号、特開平11-148067号、特開平11-176489号などの各公報に記載のトリフェニレン誘導体類を好ましく用いることができる。また、Adv. Mater. 1997,9巻,N0.7,557頁、Angew. Chem. (英語版) 1995, 34巻, No.3,303-307頁、JACS,120巻, N0.4,1998,664-672頁などに記載されているオリゴチオフェン化合物、K. Murakoshi ほか,Chem. Lett. 1997,471頁に記載のポリピロール、“Handbook of Organic Conductive Molecules and Polymers 1〜4巻” (NALWA著、WILEY出版)に記載されているポリアセチレンおよびその誘導体、ポリ(p-フェニレン) およびその誘導体、ポリ( p-フェニレンビニレン) およびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリトルイジンおよびその誘導体などの導電性高分子を好ましく使用することができる。
【0068】
正孔(ホール)輸送材料にはネイチュア(Nature)395巻,(8 Oct. 1998),583-585頁に記載されているようにドーパントレベルをコントロールするためにトリス(4-ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネートのようなカチオンラジカルを含有する化合物を添加したり、酸化物半導体表面のポテンシャル制御(空間電荷層の補償)を行うためにLi[(CF3SO2)2N]のような塩を添加してもよい。
【0069】
(b)無機正孔輸送材料
無機正孔輸送材料としては、p型無機化合物半導体を用いることができる。この目的のp型無機化合物半導体は、バンドギャップが2eV以上であることが好ましく、さらに2.5eV以上であることが好ましい。また、p型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルは色素の正孔を還元できる条件から、色素吸着電極のイオン化ポテンシャルより小さいことが必要である。使用する色素によってp型無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルの好ましい範囲は異なってくるが、一般に4.5eV以上5.5eV以下であることが好ましく、さらに4.7eV以上5.3eV以下であることが好ましい。好ましいp型無機化合物半導体は、一価の銅を含む化合物半導体であり、一価の銅を含む化合物半導体の例としては、CuI, CuSCN, CuInSe2, Cu(In,Ga)Se2, CuGaSe2, Cu2O, CuS, CuGaS2, CuInS2, CuAlSe2などが挙げられる。この中でもCuIおよび CuSCNが好ましく、CuIが最も好ましい。このほかのp型無機化合物半導体として、GaP、NiO、CoO、FeO、Bi2O3、MoO2、Cr2O3などを用いることができる。
【0070】
(5)電荷輸送層の形成
電荷輸送層の形成方法に関しては2通りの方法が考えられる。1つは感光層の上に先に対極を貼り合わせておき、その間隙に液状の電荷輸送層を挟み込む方法である。もう1つは感光層上に直接、電荷輸送層を付与する方法で、対極はその後付与することになる。本発明においては、後者の方法で電荷輸送層を付与することが好ましい。
【0071】
前者の場合、電荷輸送層の挟み込み方法として、浸漬などによる毛管現象を利用する常圧プロセス、または常圧より低い圧力にして間隙の気相を液相に置換する真空プロセスを利用できる。
【0072】
感光層上に直接、電荷輸送層を付与する場合、湿式の電荷輸送層においては未乾燥のまま対極を付与し、エッジ部の液漏洩防止措置を施すことになる。またゲル電解質の場合には湿式で塗布して重合などの方法により固体化する方法があり、その場合には乾燥、固定化した後に対極を付与することもできる。電解液のほか湿式有機正孔輸送材料やゲル電解質を付与する方法としては、前述の半導体微粒子層や色素の付与と同様の方法を利用できる。
【0073】
固体電解質や固体の正孔(ホール)輸送材料の場合には真空蒸着法やCVD法などのドライ成膜処理で電荷輸送層を形成し、その後対極を付与することもできる。有機正孔輸送材料は真空蒸着法,キャスト法,塗布法,スピンコート法、浸漬法、電解重合法、光電解重合法などの手法により電極内部に導入することができる。無機固体化合物の場合も、キャスト法,塗布法,スピンコート法、浸漬法、電解析出法、無電解メッキ法などの手法により電極内部に導入することができる。
本発明において、正孔(ホール)輸送材料として、1価の銅化合物を含有させる場合、電解めっき法、もしくは無電解めっき法を用いることが好ましい。電解めっき法の中でも本発明に好ましい方法は、特願平11-351838号、特願平11-336370号および特願2000-006969号などに記載した方法である。また、無電解めっき法を用いることも好ましく、その中でも本発明に好ましい方法は、特願平11-351842号に記載の方法である。より好ましくは、無電解めっきによる方法である。無電解めっきにより沃化銅を含有するホール輸送層を作製する方法としては、下記1.に示した2つの工程を用いる還元法と、下記2.に示す1工程の酸化法がある。
【0074】
1.還元法
還元法は、▲1▼色素吸着半導体微粒子層に、一般的な無電解金属めっきを行う「めっき工程」と、▲2▼めっきした金属をp型半導体にする「後工程」とからなる。めっき工程では、「(金属表面技術講座第9巻)無電解メッキ」(1971年、金属表面技術協会編、朝倉書店発行)、「最新 無電解めっき技術」(1986年、総合技術センター発行)、「めっき技術ガイドブック」(1987年、東京鍍金材料協同組合発行)、「アモルファスめっき法とその応用」(1990年、増本健、渡辺徹共編、日刊工業新聞社発行)、「無電解めっきの応用」(1991年、岡村寿郎他著、槙書店発行)などに記載の無電解めっきの方法を用いることができる。
【0075】
無電解めっきは、電解めっきと異なり、外部から電気を供給することなく、めっき液中に共存する還元剤によって、金属カチオンを還元し、めっきしたい表面に析出させるものである。めっき工程で用いるめっき液は、金属塩、還元剤および添加剤からなる。金属塩としては、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩などが用いられる。銅めっきの場合、硫酸銅、酢酸銅および炭酸銅が好ましく用いられる。特に硫酸銅が好ましい。還元剤としては、次亜燐酸塩(例えば次亜燐酸ナトリウムなど)、ほう水素化物(ほう水素化ナトリウムなど)、ヒドラジン、ホルムアルデヒド(HCHO)やジメチルアミンボラン((CH3)2NH・BH3)などが用いられる。用いられる還元剤は、めっきする金属によって好ましいものが異なる。銅めっきの場合は、めっきした銅表面で触媒的に酸化が起こるホルムアルデヒドやジメチルアミンボランが好ましく用いられる。ニッケルめっきの場合は、次亜燐酸ナトリウム、ほう水素化ナトリウムやヒドラジンなどが好ましく用いられる。
めっき液を構成する金属塩、還元剤および添加剤の濃度は、それぞれの組み合わせによって適量範囲が異なるが、金属塩としては、5×10-3〜0.5mol/L,還元剤としては、1×10-3〜1.0mol/Lである。
【0076】
添加剤としては、反応液のpHを塩基条件にするための塩基、反応過程でのpH低下を抑える緩衝剤、液中での金属析出を防止する安定剤、反応過程で発生する水素ガスの除去を促進する界面活性剤、湿潤剤などが好ましく用いられる。
塩基としては、無機塩基が好ましく、その中でも水酸化ナトリウムが好ましい用いられる。緩衝剤としては有機酸や無機酸の塩が用いられる。安定剤としては、EDTA、ビピリジル、チオ尿素、MBT、シアン化合物などの金属錯体形成能が有るものが好ましく用いられる。また、湿潤剤としてはPEG(ポリエチレングリコール)などが好ましく用いられる。
【0077】
無電解めっきはその密着性などを改良する上で、めっき工程の前に、溶剤処理、エッチング処理、触媒付与・活性促進処理などの工程を前工程として行うことが好ましい。この内、溶剤処理及びエッチング処理は、めっき対象の表面を清浄にするとともに、若干の凹凸を設けることで、アンカー効果により密着を改良するものである。
微粒子半導体の洗浄用として、溶剤処理液には、弱アルカリ水、アルコール類、アセトニトリルの様な極性溶媒などが用いられる。エッチング処理用としては、例えば、硝酸、弗化水素などの酸類が好ましく用いられる。触媒付与・活性促進処理は、本来金属が析出しにくい表面に析出を促進するための触媒機能を有する部位を設けるために行われる。好ましい例としては、キャタリスト(Pdコロイド、例えばPd2+/Sn2+塩酸溶液)処理に続けてアクセラレータ(酸、例えば硫酸溶液)処理する方法、センシタイザ(例えば塩化錫塩酸溶液)処理に続けてアクチベータ(例えば塩化パラジウムの塩酸溶液)処理する方法、アルカリイオンキャタ法、熱処理法(PdあるいはAgの有機錯体溶剤浸漬後、加熱処理)などが好ましく用いられる。
【0078】
電解メッキ法は、「電気化学測定法」(技報堂出版株式会社)などに記載されている一般的な方法を用いることができる。すなわち、作用極として本発明の半導体層を有する電極、対極として不活性電極(白金、カーボンなど)、電解液に銅塩溶液(例えばCuI及びKIをアセトニトリル又はアセトンなどに溶解した溶液)を用いて定電流電解(好ましい電流密度:0.1〜500mA/cm2)する方法を利用できる。
【0079】
めっきした金属をp型半導体にする後工程としては、例えば、銅の場合、沃化銅、チオシアン酸銅などに変換する工程である。沃化銅に変換する工程としては、沃素蒸気中にてエージングする方法や、沃化カリウム溶液中に浸漬する方法などが好ましく用いられる。
【0080】
(2)酸化法
酸化法は、例えばCuI2アニオンかつ/またはCuI3アニオンを含む溶液から、酸化剤の共存下、直接沃化銅を析出させる方法が挙げられる。酸化剤としては、酸化電位が+0.25V(vsAg/AgCl)より貴であることが好ましい。
【0081】
(D)対極
対極は前記の導電性支持体と同様に、導電性材料からなる対極導電層の単層構造でもよいし、対極導電層と支持基板から構成されていてもよい。対極導電層に用いる導電材としては、金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、インジウムなど)、炭素、または導電性金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、フッ素ドープ酸化スズ、など)が挙げられる。この中でも白金、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウムを対極層として好ましく使用することができる。対極の好ましい支持基板の例は、ガラスまたはプラスチックであり、これに上記の導電剤を塗布または蒸着して用いる。対極導電層の厚さは特に制限されないが、3nm〜10μmが好ましい。対極層の表面抵抗は低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲としては50Ω/□以下であり、さらに好ましくは20Ω/□以下である。
【0082】
導電性支持体と対極のいずれか一方または両方から光を照射してよいので、感光層に光が到達するためには、導電性支持体と対極の少なくとも一方が実質的に透明であれば良い。発電効率の向上の観点からは、導電性支持体を透明にして、光を導電性支持体側から入射させるのが好ましい。この場合対極は光を反射する性質を有するのが好ましい。このような対極としては、金属または導電性の酸化物を蒸着したガラスまたはプラスチック、あるいは金属薄膜を使用できる。
【0083】
対極は、電荷輸送層上に直接導電材を塗布、メッキまたは蒸着(PVD、CVD)するか、導電層を有する基板の導電層側を貼り付ければよい。また、導電性支持体の場合と同様に、特に対極が透明の場合には、対極の抵抗を下げる目的で金属リードを用いるのが好ましい。なお、好ましい金属リードの材質および設置方法、金属リード設置による入射光量の低下などは導電性支持体の場合と同じである。
【0084】
(E)その他の層
対極と導電性支持体の短絡を防止するため、予め導電性支持体と感光層の間に緻密な半導体の薄膜層を下塗り層として塗設しておくことが好ましく、電荷輸送層に電子輸送材料や正孔輸送材料を用いる場合は、特に有効である。下塗り層として好ましいのはTiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5であり、さらに好ましくはTiO2である。下塗り層は、例えばElectrochim. Acta 40巻, 643-652頁(1995)に記載されているスプレーパイロリシス法の他、スパッタ法などにより塗設することができる。下塗り層の好ましい膜厚は5〜1000nmであり、10〜500nmがさらに好ましい。
【0085】
また、電極として作用する導電性支持体と対極の一方または両方の外側表面、導電層と基板の間または基板の中間に、保護層、反射防止層などの機能性層を設けても良い。これらの機能性層の形成には、その材質に応じて塗布法、蒸着法、貼り付け法などを用いることができる。
【0086】
(F)光電変換素子の内部構造の具体例
上述のように、光電変換素子の内部構造は目的に合わせ様々な形態が可能であるが、大きく2つに分ければ、両面から光の入射が可能な構造と、片面からのみ可能な構造が可能である。図2〜図9に本発明に好ましく適用できる光電変換素子の内部構造を例示する。
【0087】
図2に示す本発明の光電変換素子の一態様の内部構造の部分断面図は、透明導電層10aと透明対極導電層40aとの間に、感光層20と、電荷輸送層30とを介在させた態様を示しており、両面から光が入射する構造となっている。図3に示した本発明の別の態様の光電変換素子は、透明基板50a上に一部金属リード11を設け、さらに透明導電層10aを設け、下塗り層60、感光層20、電荷輸送層30および対極導電層40をこの順で設け、さらに支持基板50を配置したものであり、導電層側から光が入射する構造となっている。図4に示した本発明の光電変換素子のさらに別の態様では、支持基板50上にさらに導電層10を有し、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに電荷輸送層30と透明対極導電層40aとを設け、一部に金属リード11を設けた透明基板50aを、金属リード11側を内側にして配置したものであり、対極側から光が入射する構造である。図5し示した態様では、透明基板50a上に一部金属リード11を設け、さらに透明導電層10a(または40a)を設けたもの1組の間に下塗り層60と感光層20と電荷輸送層30とを介在させたものであり、両面から光が入射する構造である。さらに、図6に示した態様では、透明基板50a上に透明導電層10a、下塗り層60、感光層20、電荷輸送層30および対極導電層40を設け、この上に支持基板50を配置したものであり導電層側から光が入射する構造である。図7に示した態様では、支持基板50上に導電層10を有し、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに電荷輸送層30および透明対極導電層40aを設け、この上に透明基板50aを配置したものであり、対極側から光が入射する構造である。図8に示した態様では、透明基板50a上に透明導電層10aを有し、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに電荷輸送層30および透明対極導電層40aを設け、この上に透明基板50aを配置したものであり、両面から光が入射する構造となっている。図9は、支持基板50上に導電層10を設け、下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに固体の電荷輸送層30を設け、この上に一部対極導電層40または金属リード11を有するものであり、対極側から光が入射する構造となっている。
【0088】
〔2〕光電池
本発明の光電池は、上記光電変換素子によって変換されて得られた電気エネルギーを用いて外部負荷の仕事をさせるようにしたものである。
光電池のうち、電荷輸送材料が主としてイオン輸送材料からなる場合を、特に光電気化学電池と呼び、また、太陽光による発電を主目的とする場合を太陽電池と呼ぶ。光電池は、構成物の劣化や内容物の揮散を防止するために、側面をポリマーや接着剤などで密封するのが好ましい。導電性支持体および対極にリードを介して接続される外部回路自体は公知のもので良い。本発明の光電変換素子を太陽電池に適用する場合、そのセル内部の構造は基本的に上述した光電変換素子の構造と同じである。また、本発明の色素増感型太陽電池は、従来の太陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造をとりうる。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミックなどの支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹脂や保護ガラスなどで覆い、支持基板の反対側から光を取り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラスなどの透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板側から光を取り込む構造とすることも可能である。具体的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、アモルファスシリコン太陽電池などで用いられる基板一体型モジュール構造などが知られており、本発明の色素増感型太陽電池も使用目的や使用場所および環境により、適宜これらのモジュール構造を選択できる。特に好ましい具体的な構造と態様は、特願平11-8457号明細書に記載されている。
【0089】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、以下において、光電変換素子2、3、5及び7は、「参考例」と読み替えるものとする。
実施例1
1.二酸化チタン分散液の調製
ソーラロニクス社製TI-Nanoxide-D(アナターゼ型酸化チタン分散物、pH=0.9)10gに分子量20、000のPEG(ポリエチレングリコール)0.20gを添加し、十分に溶解、分散し分散液とした。
【0090】
2.色素を吸着したTiO2電極の作製
2-1.電極A
フッ素をドープした酸化スズをコーティングした導電性ガラス(日本板硝子製;面積抵抗10Ω/□,25mm×100mm)の導電面側に エレクトロヒミカアクタ(Electrochimica Acta),40巻643〜652頁(1995)に記載されているスプレーパイロリシス法によって二酸化チタン下塗り層(膜厚60nm)を形成した。この基板の一部(周囲の端から3mm)に粘着テープを貼ってスペーサーとし、この上にステンレス棒を用いて上記の二酸化チタン分散液を塗布した。塗布後、粘着テープを剥離し、室温で30分間風乾した。次に、この塗布済みガラスを電気炉(ヤマト科学製マッフル炉FP−32型)に入れ、空気中550℃にて30分間焼成した。ガラスを取り出し、露点−40℃の乾燥した環境で電極表面が120℃になるまで冷却した後、色素Aの脱水エタノール溶液(3×10−4モル/リットル)に60℃で2時間浸漬してガラス上の二酸化チタンに色素Aを吸着させた。色素吸着済み電極を脱水アセトニトリルで洗浄した後、自然乾燥し、26mm×19mm角に切断加工し、中心部14mm×14mm(受光部分)を残して下塗り層及び半導体層を除去して電極Aを得た。このようにして得られた感光層(色素が吸着した二酸化チタン層)の塗布量は約7.0g/m 2であった。
本電極Aをアルカリ溶液で処理すると、色素は簡単に脱着したことから、色素と半導体微粒子が共有結合していないことが確認された。
【0091】
【化8】
【0092】
2-2.電極B
色素Aの替わりに色素Bを用いた以外、電極Aと同様にして、電極Bを作製した。色素Bは酸化チタンと共有結合していた。本電極Bをアルカリ溶液で処理しても、色素の脱着は殆ど認められなかった。
【0093】
2-3.電極C
フッ素をドープした酸化スズをコーティングした導電性ガラス(日本板硝子製;25mm×100mm、面積抵抗10Ω/□)の導電面側に エレクトロヒミカアクタ(Electrochimica Acta),40巻643〜652頁(1995)に記載されているスプレーパイロリシス法によって二酸化チタン下塗り層(膜厚60nm)を形成した。この基板の一部(周囲の端から3mm)に粘着テープを貼ってスペーサーとし、この上にステンレス棒を用いて上記の二酸化チタン分散液を塗布した。塗布後、粘着テープを剥離し、室温で30分間風乾した。次に、このガラスを電気炉(ヤマト科学製マッフル炉FP−32型)に入れ、空気中550℃にて30分間焼成した。ガラスを取り出し、露点−40℃の乾燥した環境で電極表面が120℃になるまで冷却した後、シランカップリング剤Cの脱水アセトニトリル溶液(5質量%)に50℃で6時間浸漬し反応させた。アセトニトリルで洗浄したのち、自然乾燥し、次いで色素Aの脱水DMF溶液(3×10−4モル/リットル)に80℃で振とうしながら2時間浸漬し、反応させた。色素A、シランカップリング剤Cおよび酸化チタンは共有結合していた。本電極Cをアルカリ溶液で処理しても、色素の脱着は殆ど認められなかった。
色素反応済み電極を、電極Aと同様に処理・加工して電極Cを得た。
【0094】
【化9】
【0095】
3.正孔輸送層の形成
正孔輸送層Aは下記塗布工程Aにより作製した。
正孔輸送層Bは下記無電解めっき工程の後、下記後工程を行って作製した。
正孔輸送層Cは下記無電解めっき工程の後、下記後工程を経て、さらに塗布工程Bを行って作製した。
3-1.塗布工程A
第2項で作製した電極の導電面露出部分および受光部の周辺1mm幅を保護し、100℃に過熱したホットプレートに載せて2分間放置した。γ−CuIおよび化合物Dのアセトニトリル溶液(CuI:3.2質量%、化合物D:0.05質量%)0.2mlを10分程度かけて、アセトニトリルを揮発させながらゆっくり電極に加え、塗布後、2分間ホットプレート上に放置してCuI(正孔輸送)層を形成した。正孔輸送層は電極の微粒子により形成されている多孔膜中にほぼ浸透していることが断面SEMより確認できた。
【0096】
【化10】
【0097】
3-2.無電解めっき工程
下記構成のめっき液を調液した。
めっき液組成
------------------------------------------------
水酸化ナトリウム 10g
硫酸銅5水塩 10g
EDTA2Na2水塩 30g
ホルムアルデヒド 4g
2、2'ジピリジル 50mg
NaCN 30mg
K2Ni(CN)4 15mg
PEG1000 25mg
水を加えて全量 1L
-------------------------------------------------
めっき液のpHは11であった。
めっき液を空気でエアレーションしながら、50℃に保温し、第2項で作製した電極の導電面露出部分および受光部の周辺1mm幅を保護したものを浸漬し、約1時間放置した後、洗浄、乾燥することでCu層を形成した。
【0098】
3-3.後工程
無電解めっきで形成したCu層を形成したものを、密閉した沃素蒸気中に室温にて1時間エージングすることで、CuをCuIに変換し、CuI層を形成した。この方法で形成した正孔輸送層は多孔膜中に深く浸透していることが断面SEMより確認できた。
【0099】
3-4.塗布工程B
前工程でCuI層を形成したものの上に、化合物Eを塗布し、1000Pa以下の減圧下に10時間放置した。その後、表面に残った過剰な溶融塩を、ろ紙で吸い取って除去した。
【0100】
4.光電変換素子の作製
上記のように電荷輸送層(正孔輸送層)を形成した電極A,B,Cそれぞれと、同サイズの白金蒸着ガラス(白金層の膜厚=1μm、ガラス膜厚=1.1mm)とを図10の配置となるように重ね合わせた。(電極と正孔輸送層との組み合わせは表1の通り)
受光部以外の重ね合わせ部分には、三井・デュポンケミカル〈株〉のアイオノマー(ハイミラン1702)の延伸フイルム(25μm厚み)を挟み125℃-30秒圧着加熱した。さらに、重ね合わせ縁部分は、エポキシ樹脂系のシール剤(Solaronix社製)を用いてシールを施した。
【0101】
5.光電変換効率の測定
500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光を分光フィルター(Oriel社製AM1.5D)を通すことにより模擬太陽光を発生させた。この光の強度は100mW/cm2であった。
模擬太陽光を照射し、前述の光電池の導電性ガラスと対極層間に発生した電気を電流電圧測定装置(ケースレーSMU2400型)にて測定した。短絡電流(Jsc)を表1に記載した。さらに、光電変換素子を遮光、常温(25±5℃)、大気中24時間放置した後、同様にして測定を行った。経時後の短絡電流(Jsc)を表1に記載した。
なお、表中の「フレッシュ」は、光電変換素子を製作したのち、経時させてない状態を意味する。
【0102】
【表1】
【0103】
表1より、半導体に共有結合によって結合した色素(電極BおよびC)を用い、正孔輸送材料を用いた本発明の光電変換素子(2、3、5〜8)は、比較例(光電変換素子1および4)に比べ、経時後の短絡電流が大きく優位であることが分かる。さらに、正孔輸送層の作製を、無電解めっき工程を含む方法で作製した素子(5〜8)はそれ以外で作製した素子(2、3)に比べ、短絡電流が大きくより優位であることが分かる。また、シランカップリング剤を用い半導体と色素とを結合させた電極C(3、6、8)はそれ以外(2、5、7)と比較し短絡電流が大きくより優位であることが分かる。
【0104】
【発明の効果】
以上のように、本発明の光電変換素子は、短絡電流が大きく、有効であることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部分断面図である。
【図2】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部分断面図である。
【図3】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部分断面図である。
【図4】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部分断面図である。
【図5】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部分断面図である。
【図6】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部分断面図である。
【図7】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部分断面図である。
【図8】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部分断面図である。
【図9】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部分断面図である。
【図10】実施例で作製した光電変換素子の構造を示す模式図である。
【符号の説明】
10・・・導電層
10a・・・透明導電層
11・・・金属リード
20・・・感光層
21・・・半導体微粒子
22・・・色素
23・・・電荷輸送材料
30・・・電荷輸送層
40・・・対極導電層
40a・・・透明対極導電層
50・・・基板
50a・・・透明基板
60・・・下塗り層
1・・・色素吸着電極
2・・・白金蒸着ガラス
3・・・受光部(14mm×14mm)
Claims (4)
- 導電層、色素により増感した半導体微粒子層、無機のホール輸送材料を含む電荷輸送層および対極を有する光電変換素子の製造方法において、前記色素と半導体微粒子とをシランカップリング剤により共有結合させて前記半導体微粒子層を形成する工程を有し、
前記ホール輸送材料が、1価の銅化合物であり、
前記1価の銅化合物が、銅塩を用いた無電解めっき工程を含む工程により作製されたものであることを特徴とする光電変換素子の製造方法。 - 半導体微粒子と共有結合により結合した色素が、有機金属錯体色素及び/又はメロシアニン色素であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子の製造方法。
- 請求項1又は2に記載された製造方法により製造された光電変換素子。
- 請求項3に記載された光電変換素子を用いることを特徴とする光電池。
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