JP4973890B2 - リアクトル及びコイル成形体 - Google Patents
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図1(A)は、本発明コイル成形体の概略を示す斜視図、図1(B)は、このコイル成形体の正面図、図2は、このコイル成形体を具えるリアクトルの分解斜視図である。以下、図において同一符号は同一物を示す。コイル成形体1は、巻線3wを螺旋状に巻回してなるコイル3と、このコイル3の外周を覆う樹脂成形部4cと、コイル3の外周に配置されて、樹脂成形部4cの構成樹脂により固定された放熱板5とを具える。リアクトル10は、コイル成形体1と、コイル成形体1のコイル3の内周に挿入配置された磁性コア2(コイル巻回部2c)とを具える。これらコイル成形体1及びリアクトル10の最も特徴とするところは、放熱板5の端面の形状にある。以下、各構成をより詳細に説明する。
[コイル]
コイル3は、1本の連続する巻線3wを螺旋状に巻回してなり、並列状態に配置された一対のコイル素子を具える。巻線3wは、導体の外周に絶縁被覆層を具える被覆線が好適である。ここでは、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆層がエナメルからなる被覆平角線を利用している。両コイル素子は、この被覆平角線をエッジワイズ巻きにして形成されており、巻返し部3rにより連結されている。巻線は、導体が平角線からなるもの以外に、断面が円形状、多角形状などの種々の形状のものを利用できる。また、各コイル素子を別々に作製し、各コイル素子を形成する巻線の端部を溶接などにより接合して一体のコイルとしてもよい。
上記コイル3の外周には、各コイル素子をそれぞれ圧縮状態に保持するように樹脂成形部4cが形成されている。ここでは、樹脂成形部4cは、巻線3wの両端部を除き、コイル3の全体をコイル3の形状に沿って覆っている。樹脂成形部4cにおいて両コイル素子のターン形成部分を覆う箇所の厚さは、実質的に均一であり、巻返し部3rを覆う箇所は、コイルの軸方向にせり出した形状である。
コイル成形体1は、両コイル素子が横並びするように配置されて、架台(図示せず)に取り付けられる。各コイル素子において架台に取り付けられる面(コイル素子の設置面)に接するように放熱板5が配置されている。この放熱板5は、樹脂成形部4cの構成樹脂によりコイル3に固定されている。
上記放熱板5を具えるコイル成形体1は、以下のような成形金型を利用して製造することができる。成形金型は、開閉可能な一対の第一金型及び第二金型から構成されるものが利用できる。第一金型は、コイル3の一端側(図1において巻線3wの端部を引き出している側)に位置する端板と、各コイル素子の内周に挿入される中子とを具え、第二金型は、コイルの他端側(図1において巻返し部3r側)に位置する端板と、コイル3の周囲を覆う周側壁とを具える。また、これら第一、第二金型は、駆動機構により金型内部において進退可能な複数の棒状体を具え、これらの棒状体により、各コイル素子の端面(ターン形成部分が環状に見える面)を適宜押圧してコイル素子を圧縮する。上記棒状体は、コイル3の圧縮に対する十分な強度と、樹脂成形部4cの成形時の熱などに対する耐熱性とを具えており、かつコイル3において樹脂成形部4cで被覆されない箇所を少なくするために、極力細くしている。
[磁性コア]
磁性コア2は、図2に示すように各コイル素子がそれぞれ配置される一対の直方体状のコイル巻回部2cと、コイル3が配置されない一対の端部コア2eとを有し、離間して配置されるコイル巻回部2cを挟むように端部コア2eが配置されて閉ループ状(環状)に形成される。コイル巻回部2cは、鉄や鋼などの鉄を含有する軟磁性材料からなるコア片2mと、アルミナなどの非磁性材料からなるギャップ材2gとを交互に積層して構成され、端部コア2eは、上記軟磁性材料からなるコア片である。各コア片は、軟磁性粉末の圧粉成形体や、複数の電磁鋼板を積層した積層体が利用できる。ギャップ材2gは、インダクタンスの調整のためにコア片2m間に設けられる隙間に配置される部材である。これらコア片及びギャップ材は、接着剤などで一体に接合される。コア片の分割数やギャップ材の個数は、リアクトル10が所望のインダクタンスとなるように適宜選択することができる。
上記コイル成形体1の中空孔4hに磁性コア2(コイル巻回部2c)を挿入配置させ、磁性コア2を組み立てることで、リアクトル10が形成される。より具体的には、コア片2mやギャップ材2gを接着剤などで固定してコイル巻回部2cを形成し、このコイル巻回部2cを中空孔4hに挿入配置する。このとき、各コイル巻回部2cはそれぞれ、コイル成形体1の樹脂成形部4cの構成樹脂により所定の厚さに形成された中空孔4hに挿入させることで、各コイル素子に対してそれぞれ適切な位置に配置される。次に、コイル成形体1のコイル素子の両端面が一対の端部コア2eに挟まれるように端部コア2eを配置して、接着剤などで端部コア2eとコイル巻回部2cとを接合することで、リアクトル10が得られる。
上記コイル成形体1を具えるリアクトル10は、放熱板5を具えることで、アルミニウムといった金属からなるケースを省略した構成としても、放熱性に優れる。特に、コイル成形体1は、放熱板5に掛止部を具え、この掛止部が樹脂成形部4cの構成樹脂(受け部4n)に引っ掛かる構成である。そのため、コイル成形体1の搬送や、リアクトル10の組立にあたりコイル成形体1を持ち上げたり移動させたりする場合、また、コイル成形体1を具えるリアクトル10を搬送したり、架台に取り付ける際などで持ち上げたり移動させる場合でも、放熱板5が落下し難い。従って、リアクトル10は、放熱板5の存在による優れた放熱性を十分に活用することができると期待される。また、放熱板5は、コイル3において架台に設置される側の設置面に接して配置されているため、コイル3の熱を架台に効率よく伝達することができる。
上記実施形態1では、矩形板からなり、二つの端面が台形状であり、この台形状の端面が埋設面及び露出面に直交する放熱板を説明した。放熱板を以下のように変形してもよい。以下の(1),(2)の構成は、後述する各変形例や実施形態2にも適用することができる。
(1) 四つの端面を台形状として、全ての端面が埋設面及び露出面に対して傾斜した形状とする。この放熱板は、埋設面と、四つのテーパ状の端面とによりつくられる三角形状の部分、即ち、掛止部が多くなることから、樹脂成形部の構成樹脂に更に引っ掛かり易くなり、放熱板の脱落をより効果的に防止することができる。
(2) 埋設面及び露出面を多角形状とする。この放熱板は、端面が多く、これらの端面を傾斜面にして、掛止部を多くすることで、樹脂成形部の構成樹脂に更に引っ掛かり易くなり、放熱板の脱落をより効果的に防止することができる。
図3は、実施形態1とは別の形状の放熱板を具えるコイル成形体を示し、(A)は、端面領域に段差を有する放熱板を具えるコイル成形体の正面図、(B)〜(D)は、コイル成形体において放熱板部分を拡大して示す部分断面図であり、(B)は、端面領域に曲面を有する放熱板、(C)は、端面領域に突起を有する放熱板、(D)は、平行四辺形状の端面を有する放熱板を示す。この変形例1-2の構成は、後述する各変形例、実施形態2にも適用することができる。
上記実施形態1の放熱板は、窒化珪素からなるものを説明した。その他、放熱板の構成材料として、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、銀、銀合金、鉄やオーステナイト系ステンレス鋼といった金属材料、アルミナ(Al2O3):20〜30W/m・K程度、窒化アルミニウム(AlN):200〜250W/m・K程度、窒化ほう素(BN):50〜65W/m・K程度、炭化珪素(SiC):50〜130W/m・K程度などのセラミックスといった非金属材料(数値は熱伝導率)を利用することができる。セラミックスを用いた放熱板は、軽量であり、金属材料を用いた放熱板は、放熱性が高い。
上記実施形態1では、コイル3において架台側に配置される設置面に接して放熱板5が配置される構成を説明した。その他、コイル3の外周を覆うように、コイル3において上記設置面以外の面、具体的には、上面(図1(A)のコイル3において巻線3wの端部が引き出された面)や側面(図1(A)のコイル3において左右側の面)に接して又は近接させて別途放熱板が配置された構成とすると、更に放熱性に優れるリアクトルが得られる。別途用意する放熱板も、樹脂成形部4cの構成樹脂により固定するとよく、また、放熱板5と同様の形状とすることで脱落し難い。
次に、コイル成形体を具えていないリアクトルを説明する。図4は、本発明リアクトルの概略斜視図、図5は、このリアクトルの正面図である。リアクトル20は、内部に冷媒が充填された架台100に直接取り付けられて利用されるものであり、磁性コア2と、このコア2の外周に配置されるコイル3と、これらコア2とコイル3との組合体の外周を覆う樹脂被覆部4lと、コイル3の外周に配置されて、樹脂被覆部4lの構成樹脂に固定された放熱板5とを具える。このリアクトル20の特徴とするところは、上述した実施形態1と同様に特定の形状を有する放熱板5を具える点にある。以下、実施形態1との相違点を中心に説明する。
磁性コア2は、実施形態1のリアクトル10に具える磁性コアと同様であり、一対のコイル巻回部(図示せず)と一対の端部コア2eとにより環状に形成される。ここでは、端部コア2eの架台100側の面(図5において下面、以下、設置面2bと呼ぶ)、及び設置面2bに対向する面(図5において上面)の双方の面は、コイル巻回部の架台100側の面及びその対向面のそれぞれよりも突出しており、コイル巻回部と面一になっていない。
コイル3は、実施形態1と同様に被覆平角線をエッジワイズ巻きにして形成した一対のコイル素子を具える。ここでは、各コイル素子を別々の被覆平角線にて作製し、各コイル素子を形成する巻線3wの端部を溶接などにより接合して一体のコイルとしている。
磁性コア2とコイル3の組合体は、インシュレータ6も設けられている。インシュレータ6は、コイル巻回部の外周を覆う筒状部(図示せず)と、コイル3の端面に当接される一対の枠状部6fとを具える。筒状部は、半割れの角筒片同士を係合する構成とすると、コイル巻回部の外周を容易に覆うことができる。各枠状部6fは、筒状部の一端部に配置される矩形枠である。インシュレータには、PPS樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、LCPなどの絶縁性樹脂が利用できる。
上記組合体は、その外周を覆うように樹脂被覆部4lを具える。ここでは、樹脂被覆部4lは、上記組合体を作製した後、コイル3の巻線3wの端部が露出されるように、エポキシ樹脂を注型成形することで形成している。この樹脂被覆部4lは、直方体状であり、磁性コア2及びコイル3を覆う箇所の平均厚さを1〜2mmと均一的にしており、四隅を比較的厚くし、各隅にそれぞれ、架台100にリアクトル20を固定するためのボルト7が挿通される挿通孔4b(図5)を具える。樹脂被覆部4lの形状や樹脂の厚さは適宜選択することができる。
そして、リアクトル20は、実施形態1と同様に放熱板5を具える。放熱板5の形状、構成材料は、実施形態1と同様であり、樹脂被覆部4lの構成樹脂により、コイル3の設置面に接するように固定されている。ここでは、図5に示すように長方形状の傾斜面53がコイル3の軸方向に向くように放熱板5を配置している。つまり、実施形態1の放熱板の配置位置に対して、放熱板をその端面の向きが変わるように水平に90°回転させた配置としている。この放熱板5は、埋設面51と傾斜面53とによりつくられる三角形状の部分が掛止部として機能し、樹脂被覆部4lの構成樹脂により構成される三角形状の受け部4nにより樹脂被覆部4lに強固に固定され、脱落し難い。
上記構成を具えるリアクトル20は、以下のようにして形成することができる。
上記構成を具えるリアクトル20は、実施形態1のリアクトル10と同様に、放熱板5を具えることで、ケースを省略した構成としても放熱性に優れる。特に、放熱板5の掛止部が樹脂被覆部4lの構成樹脂(受け部4n)に引っ掛かることで放熱板5が落下し難く、リアクトル20は、放熱板5の存在による優れた放熱性を十分に活用することができると期待される。また、樹脂被覆部4lの成形の際、この構成樹脂により、磁性コア2とコイル3との組合体に放熱板5が固定されるため固定作業が容易であり、リアクトルの組立作業性に優れる。更に、リアクトル20は、放熱板5を固定するためにボルトといった固定用部材が不要であり、部品点数や作業工程の削減を図ることができる。
上記実施形態2の放熱板5は、対向する二つの端面5eが、埋設面51から露出面52に向かって先細りするテーパ状の面である。その他の放熱板として、図6に示すリアクトル30のように、端面領域に段差を有する放熱板5A(変形例1-2(図3(A))で説明したもの)や図3(B)〜(D)に示す放熱板5B〜5Dを適宜利用することができる。
2m コア片 2g ギャップ材 2b 設置面 3 コイル 3w 巻線
3r 巻返し部 4c 樹脂成形部 4l 樹脂被覆部 4h 中空孔 4b 挿通孔
4n,4An,4Bn,4Cn,4Dn 受け部 5,5A,5B,5C,5D 放熱板 5e,5De 端面
51,51A,51B,51C,51D 埋設面 52,52A,52C,52D 露出面
53,53B,53D 傾斜面 54 突起 6 インシュレータ 6f 枠状部
7 ボルト 10,20,30 リアクトル 100 架台
Claims (18)
- 磁性コアの外周に、巻線を螺旋状に巻回してなるコイルが配置されたリアクトルに用いられるコイル成形体であって、
前記コイルを、その自由長よりも圧縮した状態に保持する樹脂成形部と、
前記コイルの外周に配置されて、前記樹脂成形部の構成樹脂により固定された放熱板とを具え、
前記放熱板は、埋設面と露出面とを具え、前記埋設面は、前記コイルの設置面に接するように前記コイル側に配置され、前記樹脂成形部から露出されない面であり、前記露出面は、この埋設面に対向し、前記樹脂成形部から露出される面であり、
前記放熱板において前記埋設面と前記露出面との間の端面領域に、前記樹脂成形部の構成樹脂に引っ掛かることで放熱板の脱落を防止する掛止部を有することを特徴とするコイル成形体。 - 前記放熱板における少なくとも前記埋設面は、絶縁性材料から構成されていることを特徴とする請求項1に記載のコイル成形体。
- 前記樹脂成形部には前記放熱板が嵌め込まれる嵌合溝が形成されており、
前記放熱板は前記嵌合溝に差し入れられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のコイル成形体。 - 前記コイルにおいて前記設置面と対向する上面及び前記設置面に直交する側面に接して、又は近接させて、前記掛止部を有する放熱板が別途配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコイル成形体。
- 前記放熱板における前記埋設面及び前記露出面が多角形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコイル成形体。
- 前記放熱板は、前記埋設面及び前記露出面とが等面積である矩形板であり、
前記矩形板の端面のうち、二つの端面が平行四辺形状であり、残りの二つの端面が前記埋設面に対して傾斜した傾斜面であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコイル成形体。 - 前記放熱板は、矩形板であり、この矩形板の端面のうち、対向する二つの端面は、前記埋設面から前記露出面に向かって先細るテーパ状の面であり、残りの二つの端面は、前記埋設面に対して傾斜した傾斜面であり、
前記掛止部は、前記埋設面と、前記傾斜面とによりつくられる部分であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコイル成形体。 - 前記放熱板は、形状が異なる複数の板材を接合してなる多層構造であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のコイル成形体。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のコイル成形体と、
前記コイルの内周に配置された磁性コアとを具えることを特徴とするリアクトル。 - 前記コイル成形体と磁性コアとの組合体の外周が樹脂により覆われていないことを特徴とする請求項9に記載のリアクトル。
- 磁性コアと、このコアの外周に配置されたコイルとを具えるリアクトルであって、
前記磁性コアと前記コイルとの組合体の外周を覆う樹脂被覆部と、
前記コイルの外周に配置されて、前記樹脂被覆部の構成樹脂により固定された放熱板とを具え、
前記放熱板は、埋設面と露出面とを具え、前記埋設面は、前記コイルの設置面に接するように前記コイル側に配置され、前記樹脂被覆部から露出されない面であり、前記露出面は、この埋設面に対向し、前記樹脂被覆部から露出される面であり、
前記放熱板において前記埋設面と前記露出面との間の端面領域に、前記樹脂被覆部の構成樹脂に引っ掛かることで放熱板の脱落を防止する掛止部を有することを特徴とするリアクトル。 - 前記放熱板における少なくとも前記埋設面は、絶縁性材料から構成されていることを特徴とする請求項11に記載のリアクトル。
- 前記樹脂被覆部には前記放熱板が嵌め込まれる嵌合溝が形成されており、
前記放熱板は前記嵌合溝に差し入れられていることを特徴とする請求項11又は12に記載のリアクトル。 - 前記放熱板における前記埋設面及び前記露出面が多角形状であることを特徴とする請求項11又は12に記載のリアクトル。
- 前記放熱板は、前記埋設面及び前記露出面とが等面積である矩形板であり、
前記矩形板の端面のうち、二つの端面が平行四辺形状であり、残りの二つの端面が前記埋設面に対して傾斜した傾斜面であることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載のリアクトル。 - 前記放熱板は、矩形板であり、この矩形板の端面のうち、対向する二つの端面は、前記埋設面から前記露出面に向かって先細るテーパ状の面であり、残りの二つの端面は、前記埋設面に対して傾斜した傾斜面であり、
前記掛止部は、前記埋設面と、前記傾斜面とによりつくられる部分であることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載のリアクトル。 - 前記放熱板は、形状が異なる複数の板材を接合してなる多層構造であることを特徴とする請求項11〜14のいずれか1項に記載のリアクトル。
- 前記リアクトルの外周に金属製のケースを有していないことを特徴とする請求項9〜17のいずれか1項に記載のリアクトル。
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