JP4981079B2 - 窒化物半導体層付き基板の製造方法 - Google Patents
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また別の第2の方法として、単結晶シリコン基板上にシリコンカーバイド(SiC)やヒ素化ガリウム(GaAs)からなる中間層を形成し、その上に窒化物半導体層を形成する方法が知られている。
また上記第2の方法では窒化物半導体層を構成する元素以外の元素の原料ソースが必要となり、窒化物半導体層を連続的に成長させることが困難である。また上記原料ソースからの元素が窒化物半導体層中に不純物として混入する問題が生じる。それを防ぐためにはSiCやGaAs等からなる中間層を形成した後、製造装置の内部を十分にクリーニングすることが必要になる。
本発明の第2の観点は、図1に示すように、単結晶シリコン基板11上に窒化シリコン層12を形成する工程と、この窒化シリコン層12上に窒化物半導体層13を形成する工程とを含む窒化物半導体層付き基板10の製造方法において、窒化シリコン層12を基板11の表面全体にエピタキシャル成長法により950〜1300℃の温度で0.15〜50nmの厚さで均一に単結晶シリコン基板の結晶方位と整合性を有する結晶性窒化シリコン薄膜を形成し、窒化シリコン層12上に前記エピタキシャル成長法により単結晶の窒化物半導体層13を形成することを特徴とする。
シリコン基板11上に窒化シリコン層12をエピタキシャル成長して形成することにより、基板の表面全体に均一な厚さの平坦な窒化シリコン層12を形成し、基板と窒化物半導体層の間にこの窒化シリコン層を介装することにより、シリコン基板と窒化物半導体層の界面における格子定数の差が緩和され、窒化シリコン層上により単結晶で高品質で平坦な窒化物半導体層を形成することができる。
窒化シリコン層12のエピタキシャル成長をRF−MBE法で行い、このときの窒素源として励起状態の中性窒素原子又は分子を用いることにより、反応性窒素となってシリコン基板上に平坦な結晶性の窒化シリコン層が形成される。この窒素源にクヌーセンセルからのGa,In,Al等の原料ソースを加えて、引き続き窒化物半導体層を形成すれば、より高品質で平坦な単結晶窒化物半導体層を窒化シリコン層上に簡便に形成することができる。
本発明の第4の観点は、第1ないし第3の観点に基づく発明であって、更に窒化物半導体層13が窒化ガリウム層であることを特徴とする。
特に本発明のエピタキシャル成長した窒化シリコン層に引続いて窒化物半導体層を同一のエピタキシャル装置で積層できる利点がある。
窒化シリコン層のエピタキシャル成長時の温度は100〜1300℃の範囲から選ばれるこの温度の高低により、アモルファス窒化シリコン層又は結晶性窒化シリコン層、或いはアモルファス窒化シリコンと結晶性窒化シリコンが混在したエピタキシャル層のいずれかが形成され、また同時に窒化シリコン層の組成が変化する。温度が低いほどアモルファス窒化シリコンの割合が増加し、温度が高いほど結晶性窒化シリコンの割合が増加する。アモルファス窒化シリコンのエピタキシャル層を形成するためには100〜700℃程度が、アモルファス窒化シリコンと結晶性窒化シリコンが混在したエピタキシャル層を形成するためには700〜950℃程度が、更に結晶性窒化シリコンのエピタキシャル層を形成するためには950〜1300℃程度がそれぞれ好ましい。窒化シリコン層の組成をSiXNYで表した場合に、本発明の窒化シリコン層の組成は、次式(1)の関係を満たす範囲にある。
0.8≦Y/X≦1.6 …… (1)
例えば、窒化シリコン層の形成時の温度が700℃の場合には、Si3N4が生成し、950℃の場合にはSi1N1が生成する。
窒化シリコン層は均一な厚さでエピタキシャル成長したものであれば、アモルファス状でも結晶性の層でもよい。結晶性窒化シリコンからなる場合には単結晶シリコン基板の結晶方位と整合性を有し、単結晶シリコン基板の結晶方位を保ったままの、更により高品質な窒化物半導体層が得られる。
窒化シリコン層中のアモルファス窒化シリコンは窒化物半導体層の積層歪みを吸収し、一方窒化シリコン層中の結晶性窒化シリコンは単結晶シリコン基板の結晶方位を保ったままの単結晶窒化物半導体層を作り出す。
<参考例1>
先ず、自然酸化膜を除去した結晶方位が(111)のp型シリコンウェーハをRF−MBE装置の基板ホルダ(図示せず)に保持した後、窒素源として主に励起状態の中性窒素原子又は分子を用い、RFプラズマソースの出力を250W、窒素ガス流量を1.5CCMにして、650℃で2分間窒化処理することにより、シリコンウェーハ上に窒化シリコン層をエピタキシャル成長させた。
この窒化シリコン層を形成したシリコンウェーハを同一の基板ホルダに保持したまま、700℃で励起状態の中性窒素原子又は分子とクヌーセンセルからのGaを3時間照射して、窒化シリコン層上に窒化ガリウム層を形成した。
窒化シリコン層のエピタキシャル成長時の温度を950℃にした以外は、参考例1と同様にしてシリコンウェーハ上に窒化シリコン層を介して窒化ガリウム層を形成した。
<実施例2>
窒化シリコン層のエピタキシャル成長時の温度を800℃、時間を3分にした以外は、参考例1と同様にしてシリコンウェーハ上に窒化シリコン層を介して窒化ガリウム層を形成した。
<比較例1>
窒化シリコン層を設けない以外は参考例1と同様にしてシリコンウェーハ上に直接窒化ガリウム層を形成した。
(a) RHEED像の観察
RF−MBE装置の真空容器内に反射型高速電子回折装置(RHEED)を挿入して、参考例1、実施例1〜2及び比較例1のエピタキシャル成長過程をその場(in situ)観察した。
図2は参考例1、実施例1〜2及び比較例1に共通する窒化シリコン層又は窒化ガリウム層をエピタキシャル成長させる前のシリコンウェーハのRHEED像(反射型高速電子線回折像)である。図2にはシリコンの再配列構造に起因する7×7構造が現れ、このことからシリコンウェーハの表面酸化層は完全に除去され、この表面が清浄で平坦であることがわかる。
図3は窒化シリコン層を形成した直後の窒化ガリウム層を形成する前のRHEED像である。図3よりアモルファス窒化シリコンからなる窒化シリコン層が形成されていることがわかる。図4はアモルファス窒化シリコン層上に窒化ガリウム層を形成し始めて15秒後のRHEED像、図5は30秒後のRHEED像、図6は60秒後のRHEED像、図7は3時間後のRHEED像である。図4から窒化ガリウムの結晶化を示すスポットが現れ始め、図5から単結晶状のスポットが現れ始め、図6から単結晶窒化ガリウムのスポットが明瞭になってきたことがそれぞれわかる。窒化ガリウム層を3時間かけて成長させた後の図7からはスポットがほぼ消失し、ストリーク状になっていることが見られ、このことから非常に平坦で結晶性の良い窒化ガリウムが次式(2)の方位関係を保って成長していることがわかる。
図8は窒化シリコン層を形成した直後の窒化ガリウム層を形成する前のRHEED像である。図8より下地のシリコン基板との格子の整合性を示す単結晶状の窒化シリコン層が形成されており、その格子定数はシリコンより約29%小さく、窒化ガリウムの格子定数との差は約9%になり、その差が小さくなっていることがわかる。しかし、それらのストリークは十分明瞭であるとは言えず、背景がぼけていることからアモルファス状窒化シリコンが存在していると考えられる。
図9は窒化ガリウム層の成長開始から5分後の窒化ガリウム層のRHEED像であって、図9からは窒化ガリウムのスポットが明瞭になっていて、ウルツ鉱型単結晶窒化ガリウム層が窒化シリコン層上に連続的にエピタキシャル成長していることがわかる。図10は窒化ガリウム層を3時間かけて成長させた後のRHEED像であって、図10からは図7と同様にスポットがほぼ消失し、ストリーク状になっているのが見られ、このことから非常に平坦で結晶性の良い窒化ガリウムが形成できたことがわかる。
図11は窒化シリコン層を形成した直後の窒化ガリウム層を形成する前のRHEED像である。図11より単結晶状の窒化シリコンからなる窒化シリコン層が形成されており、その格子定数はシリコンより約26%小さく、窒化ガリウムの格子定数との差は約6%になり、その差が小さくなっていることがわかる。図12は結晶性窒化シリコン層上に窒化ガリウム層を形成し始めて60秒後のRHEED像、図13は3時間後のRHEED像である。図12から単結晶窒化ガリウムのスポットが明瞭になり、図13からは図7及び図10と同様にスポットがほぼ消失し、ストリーク状になっていることが見られ、このことから非常に平坦で結晶性の良い窒化ガリウムが形成できたことがわかる。
図14はシリコンウェーハ上に窒化ガリウム層を成長させてから30秒後の窒化ガリウム層のRHEED像、図15は3時間後のRHEED像である。図14からアモルファス状の窒化ガリウムが成長し始め、図15からはリングパターンが現れ、多結晶状の窒化ガリウムが形成されていることがわかる。
窒化ガリウム層を3時間かけて成長させた後の実施例1及び比較例1のフォトルミネッセンス強度を測定した。その結果を図16に示す。図16中に示す実線は実施例1のフォトルミネッセンス強度、破線は比較例1のフォトルミネッセンス強度である。図16から明らかなように比較例1では3.43eV(361nm)でのピーク強度が低いのに対して、実施例1では3.47eV(358.8nm)で非常に高いピーク強度が現れ、しかもそれ以外のピークが観察されていないことから紫外領域に強い発光をもつ高品質の窒化ガリウム層が成長していることがわかる。
参考例1、実施例1〜2の窒化シリコン層及び窒化ガリウム層の平坦度と厚さ、並びに比較例1の窒化ガリウム層の平坦度と厚さを透過電子顕微鏡を用いて各層の断面を観察することにより測定した。平坦度に関して、比較例1の窒化ガリウム層が平坦でないのに対して、参考例1、実施例1〜2の窒化シリコン層及び窒化ガリウム層はともに平坦であった。厚さに関して、その結果を表1に示す。
実施例1の窒化シリコン層上に窒化ガリウム層を形成する前の窒化シリコン層についてそれぞれ表面分析法であるオージェ分析により窒化シリコン層の表面から深さ方向の組成を調べた。その結果を図17に示す。図17において、横軸はオージェ電子エネルギを、縦軸はオージェ電子により検出される各元素の信号強度をそれぞれ示す。図17において1612eVのピークはシリコンウェーハに由来するSi−KLLのオージェ遷移を、1607eVのピークは窒化シリコンに由来するSi−KLLのオージェ遷移を、また377eVのピークは窒化シリコンに由来するN−KLLオージェ遷移をそれぞれ示している。これらの結果から窒化シリコン層のSiと窒素の組成比(原子数)、即ち前述した式(1)のX/Yは、0.97であった。
同様に参考例1の窒化シリコン層のSiと窒素の組成比(原子数)をオージェ分析したところ、X/Y=1.4であった。
11 単結晶シリコン基板
12 窒化シリコン層
13 窒化物半導体層
Claims (4)
- 単結晶シリコン基板(11)上に窒化シリコン層(12)を形成する工程と、前記窒化シリコン層(12)上に窒化物半導体層(13)を形成する工程とを含む窒化物半導体層付き基板(10)の製造方法において、
前記窒化シリコン層(12)を前記基板(11)の表面全体にエピタキシャル成長法により700〜950℃の温度で0.05〜2000nmの厚さで均一に結晶質窒化シリコンとアモルファス窒化シリコンとが混在した窒化シリコン薄膜を形成し、前記窒化シリコン層(12)上に前記エピタキシャル成長法により単結晶の前記窒化物半導体層(13)を形成することを特徴とする窒化物半導体層付き基板の製造方法。 - 単結晶シリコン基板(11)上に窒化シリコン層(12)を形成する工程と、前記窒化シリコン層(12)上に窒化物半導体層(13)を形成する工程とを含む窒化物半導体層付き基板(10)の製造方法において、
前記窒化シリコン層(12)を前記基板(11)の表面全体にエピタキシャル成長法により950〜1300℃の温度で0.15〜50nmの厚さで均一に単結晶シリコン基板の結晶方位と整合性を有する結晶性窒化シリコン薄膜を形成し、前記窒化シリコン層(12)上に前記エピタキシャル成長法により単結晶の前記窒化物半導体層(13)を形成することを特徴とする窒化物半導体層付き基板の製造方法。 - 前記窒化シリコン層(12)の形成とこの窒化シリコン層(12)に続く窒化物半導体層(13)の形成をRF−分子線エピタキシャル成長法により一連に行い、かつ前記窒化シリコン層(12)及び前記窒化物半導体層(13)を形成するときの窒素源が主に励起状態の中性窒素原子又は分子である請求項1又は2記載の製造方法。
- 前記窒化物半導体層(13)が窒化ガリウム層である請求項1ないし3いずれか1項に記載の製造方法。
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