JP4981849B2 - 空気入りタイヤ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、耐久性及びユニフォミティを向上しうる空気入りタイヤ及びその製造方法に関する。
トレッド部に、例えばタイヤ周方向又はタイヤ軸方向等にのびる溝が形成される空気入りタイヤが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような溝は、トレッド部に、リブやブロック等を区画してトレッドバターンを形成し、操縦安定性及び排水性等の諸性能を発揮させるのに役立つ。
特開2006−176079号公報
しかしながら、このような溝は、他の陸部(例えば、リブやブロック)に比べてゴムボリュームが小さくなるため、剛性が小さくなりやすい。このため、タイヤ転動によるトレッド部の曲げ変形によって、溝底に歪が繰り返し集中し、クラックが発生して耐久性を低下させるという問題があった。
また、溝の剛性を大きくするために、例えば、図16(a)、(b)に示されるように、トレッド部tのタイヤ半径方向の厚さwを従来の厚さwoよりも大きくしたり、溝sの溝深さを従来の溝soよりも浅くする等が考えられるが、タイヤ質量の過度の増加や、排水性の低下等の不具合を招くおそれがある。
また、溝と陸部との剛性差によって、タイヤのユニフォミティが低下するという問題もあった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、前記インナーライナーゴムの内側かつトレッド部の溝のタイヤ半径方向の内方領域に、タイヤ半径方向内側に突出しかつ溝に沿って直線状又は湾曲してのびる内向きリブを設けることを基本として、耐久性及びユニフォミティを向上しうる空気入りタイヤ及びその製造方法を提供することを主たる目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るカーカスと、前記カーカスの内面に配されるインナーライナーゴムとを具える空気入りタイヤであって、前記トレッド部には、少なくとも1本の溝が凹設されるとともに、前記インナーライナーゴムの内側かつ前記溝のタイヤ半径方向の内方領域に、タイヤ半径方向内側に突出しかつ前記溝に沿って湾曲してのびる内向きリブを具え、前記内向きリブは、前記インナーライナーゴムとは異なる配合のゴムからなることを特徴とし、請求項2記載の発明は、前記内向きリブは、ゴム硬度が65〜95度のゴムからなる請求項1に記載の空気入りタイヤである。
また請求項記載の発明は、前記溝は、タイヤ周方向にのびかつ溝幅が5.0mm以上の主溝である請求項1又は2に記載の空気入りタイヤである。
また請求項記載の発明は、前記溝は、タイヤ周方向と交差する向きにのびる横溝である請求項1又は2に記載の空気入りタイヤである。
また請求項記載の発明は、前記横溝及び前記内向きリブは、タイヤ周方向に隔設されかつピッチを変化させて設けられた複数本からなる請求項に記載の空気入りタイヤである。
また請求項記載の発明は、前記内向きリブは、前記溝の溝底幅の150〜250%の幅を有する請求項1ないしのいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また請求項記載の発明は、前記内向きリブは、前記溝の溝深さの30〜60%の高さを有する請求項1ないしのいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また請求項記載の発明は、前記内向きリブの長手方向と直角な断面積は、前記溝の長手方向と直角な断面積の50〜100%である請求項1ないしのいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また請求項9記載の発明は、トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るカーカスと、前記カーカスの内面に配されるインナーライナーゴムとを具え、前記トレッド部に、少なくとも1本の溝が凹設されるとともに、前記インナーライナーゴムの内側かつ前記溝のタイヤ半径方向の内方領域に、タイヤ半径方向内側に突出しかつ前記溝に沿って直線状又は湾曲してのびる内向きリブを具えた空気入りタイヤを製造する方法であって、環状をなす生タイヤ成形用の中子を用いて未加硫の生タイヤを形成する生タイヤ成形工程と、該生タイヤを中子とともに加硫する工程とを含み、前記中子の外面には、前記内向きリブを成形するための凹溝が形成され、前記凹溝は、タイヤ周方向にのびる周方向凹溝を含むとともに、前記生タイヤ成形工程は、前記中子の周方向凹溝内に、未加硫のゴムストリップを巻き付けることにより前記周方向凹溝内に未加硫ゴムを充填する工程を含むことを特徴とする。
なお、タイヤの上記各部の寸法等は、特に断りがない限り、タイヤを正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填した無負荷の状態である正規状態において特定される値とする。また、前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば"標準リム"、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば "Measuring Rim"を意味する。
また、「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば"最高空気圧"、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" とする。
本発明の空気入りタイヤは、インナーライナーゴムの内側かつ溝のタイヤ半径方向の内方領域に、タイヤ半径方向内側に突出する内向きリブが形成される。この内向きリブは、溝のゴムボリュームを増加させるため、トレッド部の剛性差を小さくできる。これにより、溝底等に、タイヤ転動時の歪が集中するのを緩和し、ひいては溝底でのクラックの発生が抑制される。また、トレッド部の剛性が均一に近づくため、タイヤのユニフォミティが向上する。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本発明の空気入りタイヤの一形態を示す断面図、図2は図1のトレッドパターンを示す平面図である。
図1に示されるように、本実施形態の空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある)1は、トレッド部2と、その両側からタイヤ半径方向内方にのびる一対のサイドウォール部3、3と、該サイドウォール部3の内方端に設けられ、かつ図示しないリムに装着されるビード部4、4とを含んでトロイド状に形成される。
タイヤ1は、慣例に従い、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5の周りで巻上げられたカーカスプライ6Aからなるカーカス6と、その半径方向外側かつトレッド部2の内部に配置された少なくとも2枚のベルトプライ7A、7Bを含むベルト層7と、ビード部4に配されかつビードコア5からタイヤ半径方向外側にテーパ状でのびるビードエーペックスゴム8といった補強部材を含んでいる。カーカス6の内面には、タイヤ内腔面10をなすインナーライナーゴム9がビード部4、4間に架け渡される。
トレッド部2には、少なくとも1本、本実施形態では複数本の溝11が凹設される。図2に示されるように、本実施形態の溝11は、タイヤ周方向にのびる主溝12と、タイヤ周方向と交差する向きにのびる横溝13とを含んで形成される。
主溝12は、タイヤ赤道C上を直線状かつ連続してのびる中央の主溝12Aと、該中央の主溝12Aの両側に配された外の主溝12B、12Bとを含む。本実施形態の各主溝12A、12Bは、直線溝に形成されるが、例えばジグザグ溝等に形成されてもよい。
また、図3に拡大して示されるように、各主溝12A、12Bは、排水性を確保するために、トレッド部2の表面での溝幅Wa1が例えば、5.0〜15.0mm、溝底幅Wa2が3.0〜13.0mm、溝深さDaが6.0〜15.0mm、該主溝12の長手方向と直角な断面積S2が25.0〜150.0mm2の範囲に設定されるのが好ましい。なお、溝深さDa及び断面積S2は、接地面2Aを滑らかに連続させた仮想線を基準として計測される。また、溝底幅Wa2は、溝壁19からタイヤ半径方向内側へ延長させた仮想線と、溝底16を通る接地面2Aと平行な仮想線との交点間の長さで計測される。
また、図2に示されるように、横溝13は、例えば外の主溝12Bからタイヤ赤道C側にのびて中央の主溝12Aに交わることなく終端する第1の横溝13aと、外の主溝12Bからトレッド接地端2eをタイヤ軸方向外側に超えて終端する第2の横溝13bとを含む。これらは、各々タイヤ周方向に隔設されて複数本形成される。
図4には、図2のA−A断面図が示される。横溝13は、排水性を確保するために、例えば、トレッド部2の表面での溝幅Wb1が3.0〜10.0mm、溝底幅Wb2が1.0〜10.0mm、溝深さDbが6.0〜15.0mm、横溝13の長手方向と直角な断面積S4が20.0〜100.0mm2の範囲に設定されるのが好ましい。
図2に示されるように、トレッド部2には、中央の主溝12Aと外の主溝12Bとの間に、タイヤ周方向に連続してのびるリブL1が形成される。また、トレッド部2には、外の主溝12Bとトレッド接地端2eとの間に、第2の横溝13bに区画されるブロックBLがタイヤ周方向に並ぶブロック列L2が形成される。ただし、トレッドパターンについては、種々変形することができるのは言うまでもない。
図1、図3に示されるように、本実施形態のタイヤ1は、タイヤ内腔面10かつ主溝12のタイヤ半径方向の内方領域T1(図3に示す)に、タイヤ半径方向内側へ突出し、かつ主溝12に沿って直線状にのびる内向きリブ14が設けられる。ここで、主溝12の内方領域T1とは、図3に示されるように、主溝12の溝縁15、15に立てたトレッド法線N、Nがタイヤ内腔面10と交差する位置p、p間の領域とする。
内向きリブ14は、例えば、ゴム材によって形成される。該ゴム材は、インナーライナーゴム9と異なる配合のゴムからなる。好ましくは、ゴム硬度が65〜95度程度のゴムが望ましい。なお、本明細書において、「ゴム硬度」は、温度23℃で測定されたJISデュロメータタイプAによる硬さを意味する。
このような内向きリブ14が設けられることによって、主溝12の位置におけるゴムボリュームを増加できるため、リブL1やブロックBLとの剛性差を小さくすることができる。これにより、主溝12の溝底16に、タイヤ転動時の歪が集中するのを緩和して、溝底16のクラックの発生が抑制され、耐久性を向上できる。また、内向きリブ14によって、トレッド部2の剛性が均一に近づくため、タイヤのユニフォミティを向上することもできる。
しかも、内向きリブ14は、トレッドゴムの全体の厚さを大きくするものではないので、タイヤ質量の増加を最小限にできる。また、内向きリブ14は、主溝12の溝深さを浅くする必要もないため、排水性を低下させることもない。従って、内向きリブ14は、従来のタイヤ性能を犠牲にすることなく、耐久性及びタイヤのユニフォミティを向上できる。
ここで、内向きリブ14の大きさは特に限定されるものではないが、小さすぎると、主溝12の溝底近傍での剛性を十分に高めることができず、逆に大きすぎると、トレッドゴムの著しいタイヤ質量の増加や新たな剛性差を生じさせるおそれがある。このような観点より、内向きリブ14の幅Wc1、高さDc及び断面積S1を規定することが望ましい。
具体的には、内向きリブ14のタイヤ内腔面10側の幅Wc1は、主溝12の溝底幅Wa2の150%以上、より好ましくは180%以上、さらに好ましくは210%以上が望ましく、また、より好ましくは250%以下、より好ましくは240%以下、さらに好ましくは230%以下が好ましい。
また、内向きリブ14のタイヤ内腔面10からの高さDcは、主溝12の溝深さDaの30%以上、より好ましくは35%以上、さらに好ましくは40以上が望ましく、また、60%以下、より好ましくは55%以下、さらに好ましくは50%以下が望ましい。なお、高さDcは、タイヤ内腔面10を滑らかに連続させた仮想線を基準として計測される。
また、内向きリブ14の長手方向と直角な断面積S1は、主溝12の長手方向と直角な断面積S2の50%以上、より好ましくは70%以上が望ましく、また、100%以下、より好ましくは90%以下が望ましい。なお、断面積S1は、タイヤ内腔面10を滑らかに連続させた仮想線を基準として計測される。
本実施形態の内向きリブ14は、その幅Wc1、高さDc及び断面積S1を一定として、周方向にのびているが、それぞれ変化させることもできる。
また、本実施形態の内向きリブ14は、タイヤ周方向に連続して設けられるが、内向きリブ14を部分的に途切れさせてもよい。主溝12の溝底16近傍での剛性を十分に高めるために、内向きリブのタイヤ周方向の長さは、タイヤ内腔面10のタイヤ周方向長さの50%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上が望ましい。
また、内向きリブ14の断面形状は、溝底16に生じる歪の大きさや、主溝の形状によって適宜変化させることもできる。本実施形態の内向きリブ14は、タイヤ半径方向内側に向かって幅が小さくなる断面略台形状に形成されるが、例えば、断面は、半円状又は略矩形状に形成することもできる。
図5には、内向きリブ14をタイヤ内腔側からみた平面図が示される。図5(a)に示されるように、本実施形態の内向きリブ14は、主溝12のタイヤ半径方向の内方領域T1の全域を含んで、主溝12に沿って直線状にのびて設けられる。これにより、内向きリブ14は、主溝12の溝底16を含む広い範囲でゴムボリュームを好ましく増加させうる。なお、内向きリブ14は、このような形態に限定されるものではなく、例えば、図5(b)に示されるように、内向きリブ14が、主溝12の内方領域T1の全部ではなく一部のみを含んで、主溝12に沿って直線状にのびて設けられるものでもよい。また、図5(c)に示されるように、内向きリブ14が、主溝12の内方領域T1を、主溝12に沿って湾曲してのびるものでもよい。このように、内向きリブ14は、主溝12の形状やタイヤの用途等に応じて、主溝12のゴムボリュームを増加させることができる。とりわけ、図5(a)に示されるように、内方領域T1の全域を含んだ内向きリブ14の態様が望ましい。
なお、内向きリブ14は、本実施形態のように、溝幅Wb1が5.0mm以上の主溝12のタイヤ半径方向の内方領域T1に形成されるときに大きな効果を発揮する。溝幅Wb1が5.0mm未満の溝では、リブL1やブロックBLとの剛性差が比較的小さいためである。
次に、このような空気入りタイヤ1の製造方法の一例について述べる。本実施形態のタイヤ1は、図6に示されるように、生タイヤ成形用の中子21を用いて未加硫の生タイヤ1Aを形成する生タイヤ成形工程と、この生タイヤ1Aを中子21とともに加硫する加硫工程とを含んで製造される。
前記中子21は、例えば、タイヤ回転軸CLと同軸かつ環状のインナーリング22と、該インナーリング22に嵌め込まれる環状のミドルリング23と、該ミドルリング23に嵌め込まれかつタイヤ内腔面10(図1に示す)を成形しうる環状のアウターリング24とを含むいわゆる組立中子として構成される。
アウターリング24は、その中央に配されるコアピース24Aと、該コアピース24Aを覆うようにその両側に配された左右一対の分割ピース24B、24Bとから構成される。各ピース24A及び24Bは、いずれもタイヤ周方向に分割された扇状のセグメントを連ねることにより、実質的にタイヤ周方向に連続して構成される。
そして、中子21は、その外側にトロイド状の生タイヤ1A(又はタイヤ1)が成形された後、インナーリング22及びミドルリング23を順次タイヤ軸方向に抜き去るとともに、コアピース24A及び分割ピース24Bを順次、タイヤ内腔から半径方向内方に抜き取ることにより容易に分解できる。
また、分割ピース24Bは、中子21の外面をなすとともに、タイヤ内腔面10を成形しうる成形面25と、この成形面25のビード側の各端部に連なりかつ軸方向の外側にフランジ状に張り出した一対のビード底成形面26とを含んで形成される。また、成形面25には、生タイヤ1Aのトレッド部のタイヤ内腔面側に、内向きリブ14を成形するための凹溝27が形成されている。
図6及び図7に示されるように、本実施形態の凹溝27は、タイヤ周方向にのびる3本の周方向凹溝27Aから形成される。周方向凹溝27Aは、内向きリブ14(図1に示す)を実質的に反転させた形状を有し、本実施形態では断面略台形状に形成される。また、周方向凹溝27Aのタイヤ周方向の長さも、内向きリブ14のタイヤ周方向の長さに合わせて設定される。
図8に示されるように、生タイヤ成形工程では、中子21の周方向凹溝27A内に内向きリブ14を形成するゴム材14Gが、また中子21の成形面25には、リムとの接触部分に配されるクリンチ底部ゴム4G1と、インナーライナーゴム9と、カーカスプライ6Aとが順次配される。各タイヤ部材に含まれるゴム部分は、未加硫の状態にある。ここで、「未加硫の状態」とは、完全な加硫に至っていない全ての態様を含むもので、いわゆる半加硫の状態は「未加硫の状態」に含まれる。
周方向凹溝27A内には、図9(a)に拡大して示されるように、例えば、未加硫のゴムストリップ32を螺旋状に重ねて巻き付けられることによって、前記ゴム材14Gが配される。このような、いわゆるストリップワインド方式を採用することによって、アウターリング24内に、確実かつ能率的にゴム材14Gを配することができる。
また、ゴム材14Gの半径方向外側には、シート状のインナーライナーゴム9が配される。参考例として、インナーライナーゴム9は、図9(b)に示されるように、ゴムストリップ32を中子21の成形面25に螺旋状に巻き付けて形成されてもよい。これにより、ゴム材14Gとインナーライナーゴム9とを一体に形成することもできる。これは、両ゴム9、14の剥離を防ぐ。なおゴムストリップ32としては、図9(c)に示されるように、その幅Wsが5〜30mm、かつその厚さDsを0.5〜3.5mm程度とした断面略矩形状の薄いテープ状のものが好ましく使用できる。
また、カーカスプライ6Aについては、例えば、図10(a)、(b)に示されるように、タイヤ軸方向kに対してタイヤ周方向jの長さが小さい短冊状のプライ片6Pを、その側縁を突き合わせてタイヤ周方向に並べて中子21上に貼り付けることにより形成することができる。このような短冊状のプライ片6Pは、ビード部4側において、プライ片6P同士を重ねることにより、トレッド部2とビード部4とのタイヤ周方向長さの差を吸収し、皺などを発生させることなくトロイド状のカーカスプライ6Aを見映え良く形成できる。
また、図11(a)、(b)に示されるように、タイヤ軸方向kの両側縁に、該側縁からタイヤ軸方向内側にのびる小長さのスリットfが隔設されたプライ6Sを中子21に少なくとも1周巻き付けることにより、トロイド状のカーカスプライ6Aを形成することもできる。この実施形態においても、ビード部4側において、スリットfで分断されたプライ部分を重ねることにより、皺などを発生させることなくトロイド状のカーカスプライ6Aを見映え良く形成できる。
次に、図12に示されるように、環状のビードコア5をカーカスプライ6Aに嵌め込むとともに、ビードエーペックスゴム8を貼り付けて該カーカスプライ6Aをビードコア5の周りで巻上げる。次に、クリンチサイドゴム4G2、サイドウォールゴム3G、ベルト層7及びトレッドゴム2Gがそれらの外側に貼り付けされる。これにより、中子21の外側に生タイヤ1Aが成形され、その後加硫工程が行なわれる。
図13には、加硫工程中の断面図が示される。加硫金型Mは、例えば、タイヤ半径方向及びタイヤ軸方向に分割しうる分割型からなり、その内部には生タイヤ1A及び中子21をともに挿入しうる空洞部を有する。加硫工程では、生タイヤ1A及び中子21が、ともに加硫金型Mに投入され、該加硫金型Mが加熱される。これにより、生タイヤ1Aの各ゴム部は可塑化し、加硫金型Mの成形面34及び中子21の成形面25に沿って加硫成形される。このため、中子21は、加硫中の熱に耐えうるように、例えばアルミニウム合金等の金属材料で形成されることが望ましい。なお、生タイヤ1Aをタイヤ内腔面10側から積極的に加熱するために、中子21を加熱しても良いのは言うまでもない。
上記加硫工程が終了すると、加硫金型Mから中子21とともにタイヤ1が取り出され、その後、中子21を分解することにより、加硫済みのタイヤ1が得られる。
図14及び図15には、本発明の他の実施形態が示される。
前記実施形態では、タイヤ周方向にのびる主溝12の内方領域T1にのみ内向きリブ14が設けられている。しかし、この実施形態では、タイヤ周方向と交差する向きにのびる横溝13の内方領域に内向きリブ18が設けられている。このような実施形態においても横溝13の溝底付近のゴムボリュームを増加させてその剛性を大きくすることができる。これにより、この実施形態のタイヤ1においても、横溝13の溝底17でのクラックの発生が抑制され、耐久性を向上できる。
また、本実施形態のトレッドパターンは、例えば、タイヤ周方向の長さがEL、EM、ES(EL>EM>ES)の3種類のピッチ(一つの横溝13と、それに隣り合う一つのブロックBL)を並べることにより形成されたピッチバリエーション法が採用されている。このようなピッチバリエーション法は、走行時に発生するパターンノイズを広い周波数帯域に分散させて静粛性を向上させる。一方、ピッチバリエーション法が採用されたタイヤでは、剛性の小さい横溝13の部分がタイヤ周方向で不均一に接地するため、タイヤの前後方向の加振力であるタンジェンシャルフォースバリエーション(TFV)が大きくなる傾向がある。
このようなTFVの悪化を防止するために、内向きリブ18が形成するタイヤ内腔側の内向きパターンtiにも、ピッチバリエーション法を採用することが望ましい。即ち、一つの内向きリブ18と、それに隣り合うタイヤ内腔面の凹部10aとがなすピッチを、PS、PM及びPL(PL>PM>PS)の3種類準備し、これらを横溝13のピッチと対応させて配置することが望ましい。即ち、トレッドパターンのピッチES、EM及びELの内方には、内向きパターンtiのピッチPS、PM及びPLがそれぞれ配置されるのが望ましい。
なお、図15に示されるように、横溝13の内方に設けられた内向きリブ18の幅Wd1と横溝13の溝底幅Wb2との比、内向きリブ18の高さDdと横溝13の溝深さDbとの比、及び内向きリブ18の断面積S3と横溝13の断面積S4との比等は、前述した主溝12の場合と同一の範囲で設定されるのが好ましい。
以上、本発明の特に好ましい形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施し得る。例えば、主溝12の内向きリブ14と横溝13の内向きリブ18とを、それぞれ別々の実施形態として説明したが、双方を組み合わせても良いことは言うまでもない。
表1の仕様で空気入りタイヤを試作し、それらの諸性能についてテストを行なった。なお、共通仕様は次の通りである。
タイヤサイズ:225/50R16
リムサイズ:16×7.5JJ
主溝の溝底幅Wa2:7.0mm
主溝の溝深さDa:8.2mm
主溝の断面積S2:66.0mm
横溝の溝底幅Wb2:5.0mm
横溝の溝深さDb:8.0mm
横溝の断面積S4:48.0mm
また、ピッチバリエーション法を採用したトレッドパターンについては、ピッチの総数は5種とした。そのトレッドパターンの配列及び内向きリブの配列については次の通りである。
トレッドパターンの配列:CCAAABCCEEEEEDCBBABABAAABCCDBABCEDCCABDDCEEEEDCCBABCEDCBDDCBABCCEDDDDCCBCD
内向きリブの配列:ccaaabcceeeeedcbbababaaabccdbabcedccabddceeeedccbabcedcbddcbabcceddddccbcd
ピッチA:ピッチB:ピッチC:ピッチD:ピッチE=ピッチa:ピッチb:ピッチc:ピッチd:ピッチe=125:112.5:100:87.5:75
<耐久性>
ドラム試験機を用いて、各試供タイヤに内圧150kPaを充填し、総荷重8.16kNを加えかつ濃度80pphmのオゾンも吹付けるとともに、該タイヤを80km/hの速度で走行させ、主溝の溝底にトレッド溝1本当たり5ケ所以上の破れが発生するまでの距離を測定し、比較例1を100とする指数で表示した。なお、数値が大きいほど良好である。
<タイヤ質量>
タイヤ1本当たりの質量を測定し、比較例1を100とする指数で表示した。なお、数値が小さいほど質量が小さく良好である。
<排水性能>
半径100mのアスファルト路面に、水深5mm、長さ20mの水たまりを設けたコース上を、速度を段階的に増加させながら前記車両を進入させ、横加速度(横G)を計測し、50〜80km/hの速度における前輪の平均横Gを算出した。結果は、比較例1を100とする指数で表示し、数値が大きいほど良好である。
<ユニフォミティ>
タイヤユニフォミティ試験器を用いて、タイヤ回転軸に現れる上下方向の荷重変動力であるラジアルフォースバリエイション(RFV)及びタンジェンシャルフォースバリエーション(TFV)をそれぞれ測定した。測定条件は、速度120km/h、縦荷重4.71kNとした。測定はそれぞれ8本のタイヤについて行い、その平均値を測定した。結果は、比較例1を100とする指数で表示し、数値が小さいほど良好である。
テストの結果などを表1に示す。
Figure 0004981849
Figure 0004981849
テストの結果、実施例の空気入りタイヤは、耐久性及びユニフォミティを向上しうることが確認できた。
本発明の空気入りタイヤの一形態を示す断面図である。 図1のトレッドパターンを示す平面図である。 図1のトレッド部を模式的に示す断面図である。 図2のA−A断面図である。 (a)は本実施形態の内向きリブをタイヤ内腔側から見た平面図、(b)は他の実施形態の内向きリブを示す平面図、(c)は他の実施形態の内向きリブを示す平面図である。 本発明の空気入りタイヤの製造方法で用いる中子の断面図である。 その分割ピースの拡大図である。 中子の部分拡大図である。 (a)はゴムストリップによって内向きリブを形成し、その半径方向外側をシート状のインナーライナーゴムで覆った状態を示す断面図、(b)はゴムストリップによって内向きリブ及びインナーライナーゴムが形成された状態を示す断面図、(c)はゴムストリップの断面図である。 (a)はカーカスプライのプライ片の展開斜視図、(b)はその貼り付け方法を示す斜視図である。 (a)はカーカスプライの展開斜視図、(b)はその貼り付け方法を示す展開斜視図である。 生タイヤ成形工程を説明する断面図である。 加硫工程を説明する断面図である。 他の実施形態の空気入りタイヤのタイヤ周方向に沿った断面図である。 図14のトレッド部を模式的に示す断面図である。 (a)は従来よりも厚さを大きくしたトレッド部を模式的に示す断面図、(b)は従来よりも溝の溝深さを浅くしたトレッド部を示す断面図、(c)は従来のトレッド部を示す断面図、(d)は従来よりもトレッド部の厚さ大きくしかつ溝の溝深さを浅くしたトレッド部を示す断面図である。 ピッチバリエーション法を採用した空気入りタイヤのタイヤ周方向に沿って切断した断面図である。
2 トレッド部
9 タイヤ内腔面
11 溝
14 内向きリブ

Claims (9)

  1. トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るカーカスと、
    前記カーカスの内面に配されるインナーライナーゴムとを具える空気入りタイヤであって、
    前記トレッド部には、少なくとも1本の溝が凹設されるとともに、
    前記インナーライナーゴムの内側かつ前記溝のタイヤ半径方向の内方領域に、タイヤ半径方向内側に突出しかつ前記溝に沿って湾曲してのびる内向きリブを具え、
    前記内向きリブは、前記インナーライナーゴムとは異なる配合のゴムからなることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記内向きリブは、ゴム硬度が65〜95度のゴムからなる請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記溝は、タイヤ周方向にのびかつ溝幅が5.0mm以上の主溝である請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記溝は、タイヤ周方向と交差する向きにのびる横溝である請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記横溝及び前記内向きリブは、タイヤ周方向に隔設されかつピッチを変化させて設けられた複数本からなる請求項4に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記内向きリブは、前記溝の溝底幅の150〜250%の幅を有する請求項1ないし5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記内向きリブは、前記溝の溝深さの30〜60%の高さを有する請求項1ないし6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記内向きリブの長手方向と直角な断面積は、前記溝の長手方向と直角な断面積の50〜100%である請求項1ないし7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  9. トレッド部からサイドウォール部を経てビード部のビードコアに至るカーカスと、
    前記カーカスの内面に配されるインナーライナーゴムとを具え、
    前記トレッド部に、少なくとも1本の溝が凹設されるとともに、
    前記インナーライナーゴムの内側かつ前記溝のタイヤ半径方向の内方領域に、タイヤ半径方向内側に突出しかつ前記溝に沿って直線状又は湾曲してのびる内向きリブを具えた空気入りタイヤを製造する方法であって、
    環状をなす生タイヤ成形用の中子を用いて未加硫の生タイヤを形成する生タイヤ成形工程と、
    該生タイヤを中子とともに加硫する工程とを含み、
    前記中子の外面には、前記内向きリブを成形するための凹溝が形成され、
    前記凹溝は、タイヤ周方向にのびる周方向凹溝を含むとともに、
    前記生タイヤ成形工程は、前記中子の周方向凹溝内に、未加硫のゴムストリップを巻き付けることにより前記周方向凹溝内に未加硫ゴムを充填する工程を含むことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
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