JP4982947B2 - ポリオキシメチレン樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

ポリオキシメチレン樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリオキシメチレン樹脂組成物の製造方法、さらに詳しくは、ホルムアルデヒドの発生量が著しく低減した熱安定性の優れたポリオキシメチレン樹脂組成物の製造方法に関するものである。
以前よりポリオキシメチレン樹脂はその優れた成形性、機械的強度、クリープ特性、潤滑特性、電気特性などを有する事から、自動車部品、電気・電子機器部品、一般機能部品等広範に使用されて来ている。しかし、昨今はかかる部品における要求特性は高度化かつ多様化しており、機械的強度や摩擦摩耗特性等の機能性向上のみならず、ポリオキシメチレン樹脂特有の問題、すなわち熱分解や紫外線分解等により発生するホルムアルデヒドの抑制は日増しに大きな課題となっている。
特許文献1には、ポリオキシメチレン樹脂に対しヒドラジド化合物を添加することにより、発生するホルムアルデヒド量を低減することが可能であることが開示されている。しかしながら、単にヒドラジド化合物を配合するのみでは、発生ホルムアルデヒド量の低減は達成されるものの、熱安定性の十分な改善には至っていない。また、特許文献2、および3には、アルカリ、またはアルカリ土類金属化合物とヒドラジド誘導体、もしくはメラミンとの併用について開示がなされている。しかしながらこれら特許文献記載の方法で、アルカリ、またはアルカリ土類金属化合物として具体的に用いられているのは、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウムといった金属水酸化物、またはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウムといった飽和脂肪酸の金属塩であるため、熱安定性の改善は認められるものの、ポリオキシメチレン樹脂組成物から発生するホルムアルデヒド量における低減が不十分である。
特開平04−345648号公報(第2〜5頁) 特開平06−322230号公報(第2〜12頁) 特開平07−33953号公報(第2〜10頁)
本発明は、ホルムアルデヒドの発生量が著しく低減した熱安定性の優れたポリオキシメチレン樹脂組成物を得ることを課題とする。
本発明者らは、上記従来技術の問題点を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達したものである。
即ち、本発明は、
(1)トリオキサンと環状エーテルとの混合物を三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素水和物、および三フッ化ホウ素と酸素原子またはイオウ原子を含む有機化合物との配位化合物から成る群から選ばれる少なくとも一種の重合触媒の存在下で重合させて、オキシメチレン単位と他のオキシアルキレン単位を含むポリオキシメチレン粗ポリマーを得、該ポリオキシメチレン粗ポリマー100重量部に対して、重合終了後に(E)ヒンダードアミン系化合物0.01〜5重量部、(A)ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.01〜5重量部、B−1)クエン酸三カリウムを0.01〜5重量部、(C)ヒドラジド化合物0.01〜5重量部を配合し、100〜260℃の温度で加熱することを特徴とするポリオキシメチレン樹脂組成物の製造方法、
2)重合終了後に、さらに(D)紫外線吸収剤0.01〜5重量部を配合することを特徴とする(1)記載のポリオキシメチレン樹脂組成物の製造方法、
(3)重合終了後に、さらに(F)高級脂肪酸アミド0.01〜5重量部を配合することを特徴とする(1)または(2)記載のポリオキシメチレン樹脂組成物の製造方法、および
(4)(C)ヒドラジド化合物が、カルボジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドから選ばれる、1種、または2種以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか記載のポリオキシメチレン樹脂組成物の製造方法である。
本発明により、熱安定性に優れ、かつ発生ホルムアルデヒド量が著しく低減したポリオキシメチレン樹脂組成物を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)ポリオキシメチレン樹脂
本発明におけるポリオキシメチレン樹脂とは、オキシメチレン単位を有するホモポリマー、またはコポリマーであるが、本発明では主としてオキシメチレン単位からなり、主鎖中に2〜8個の隣接する炭素原子を有するオキシアルキレン単位を15重量%以下含有する、オキシメチレンコポリマーを使用することが好ましい。
代表的なオキシメチレンコポリマーの製造方法の例としては、高純度のトリオキサンおよびエチレンオキシドや1,3−ジオキソランなどの共重合成分をシクロヘキサンのような有機溶媒中に導入し、三弗化ホウ素ジエチルエーテル錯体のようなルイス酸触媒を用いてカチオン重合した後、触媒の失活と末端基の安定化を行うことにより製造する方法(安定化前のポリマーはポリオキシメチレン粗ポリマー、安定化後のポリマーはポリオキシメチレン樹脂と呼ぶ)、あるいは溶媒を全く使用せずに、セルフクリーニング型撹拌機の中へトリオキサン、共重合成分および触媒を導入して塊状重合した後、さらに不安定末端を分解除去することにより製造する方法などが挙げられる(不安定末端を分解除去、すなわち安定化する前のポリマーはポリオキシメチレン粗ポリマー、安定化後のポリマーはポリオキシメチレン樹脂と呼ぶ)
これらポリマの粘度は、成形材料として使用できる程度のものであれば特に制限はないが、ASTM D1238法によるメルトフローレート(MFR)が測定可能であり、温度190℃、測定荷重2,160gの条件下においてMFRが0.1〜100g/10分の範囲のものであることが好ましく、1.0〜50g/10分のものであることが特に好ましい。
(2)(A)ヒンダードフェノール系酸化防止剤
本発明で用いるヒンダードフェノール系酸化防止剤は分子量が400以上のものであることが好ましい。具体的には、例えば、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−t−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N’−ビス−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−テトラメチレン−ビス−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェノール)プロピオニルジアミン、N,N’−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオニル]ヒドラジン、N−サリチロイル−N’−サリチリデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、N、N’−ビス[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]オキシアミド等がある。好ましくは、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]およびテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンである。これらの酸化防止剤は1種類用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。また、ポリオキシメチレン粗ポリマー100重量部に対して、0.01〜5重量部配合することができ、特に好ましくは0.1〜3.0重量部である。0.01重量部未満では熱安定性の効果が十分でなく、5重量部を越えると酸化防止剤が着色ポリオキシメチレン樹脂組成物の表面に白粉状に析出して商品価値を低下させるため、好ましくない。
(3)本発明においては(B−1)成分としてクエン酸三カリウムが用いられる。
本発明において、(B−1)成分の配合量は、(A)ポリオキシメチレン粗ポリマー100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.02〜2重量部、特に好ましくは0.03〜1重量部である。(B−1)成分の配合量が0.01重量部未満では熱安定性の改善が不十分であり、5重量部を越えるとポリオキシメチレン樹脂の分解、発泡を引き起こし、安定性を損ねることになる。
(4)(C)ヒドラジド化合物について
本発明で用いるヒドラジド化合物としては、モノカルボン酸ヒドラジド、ジカルボン酸モノヒドラジド、ジカルボン酸ジヒドラジド、ポリカルボン酸ポリヒドラジド等のヒドラジド化合物が挙げられ、中でもモノカルボン酸ジヒドラジド、ジカルボン酸ジヒドラジドが好ましい。
モノカルボン酸ジヒドラジドとしては、カルボニルジヒドラジドが具体例として挙げられる。またジカルボン酸ジヒドラジドとしては、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等が具体例として挙げられる。
上記の中でも特にセバシン酸ジヒドラジドが好ましい。これらの化合物は1種、または2種以上を混合して用いることも可能である。
本発明において、(C)ヒドラジド化合物の配合量は、(A)ポリオキシメチレン粗ポリマー100重量部に対して0.01〜5重量部、好ましくは0.02〜2重量部、特に好ましくは0.03〜1重量部である。0.01重量部未満では加熱により発生したホルムアルデヒドの捕捉作用が不十分であり、5重量部を越えるとポリオキシメチレン樹脂の着色が生じることになる。
(5)(D)紫外線吸収剤について
本発明においては、(D)紫外線吸収剤を配合することが可能であり、その具体例として、ベンゾトリアゾール系物質、ベンゾフェンノン系物質、蓚酸アニリド系物質からなる群から選ばれる1種もしくは2種以上が好ましく、またヒンダードアミン系安定剤と紫外線吸収剤を併用することも可能である。
ベンゾトリアゾール系物質の例としては、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3,5−ジ−イソアミル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−3,5−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4'−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。ベンゾフェノン系物質の例としては、オクタベンゾン、蓚酸アリニド系物質の例としては、2−エトキシ−2'−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2'−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−3'−ドデシルオキザリックアシッドビスアニリド等が挙げられる。中でも、2−[2'−ヒドロキシ−3,5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール等が好ましく挙げられる。これらの物質はそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。これらの紫外線吸収剤を添加する場合の添加量は、ポリオキシメチレン粗ポリマー100重量部に対し、0.01〜5重量部配合することができ、特に1〜2重量部が好ましい。
(6)(E)ヒンダードアミン系安定剤について
本発明においては(E)ヒンダードアミン系安定剤を配合する使用するヒンダードアミン系安定剤としては分子量400以上のものが好ましく、具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ベンタメチル−4−ピペルジニル)セバケート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)アミノ]−6−クロロ−1、3,5−トリアジン縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル}イミノ]、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケートなどが挙げられる。この中で、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ベンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリニジル)イミノ}]が特に好ましい。これらのヒンダードアミン系安定剤を添加する場合の添加量は、ポリオキシメレン粗ポリマー100重量部に対し、0.01〜5重量部配合することができ、特に0.02〜2重量部が好ましい。
(7)(F)高級脂肪酸アミドについて
本発明においては(F)高級脂肪酸アミド、すなわち炭素数12以上の高級脂肪酸(一価又は二価の高級脂肪酸)とアミン類(モノアミン、ジアミン、ポリアミン類等)との高級脂肪酸アミド(モノアミド、ビスアミドなど)が使用可能である。モノアミドの具体例としてはステアリルアミドが好ましい例として挙げられる。またビスアミドの具体例としてはメチレンビスステアリルアミド、エチレンビスステアリルアミドが好ましい例として挙げられる。これらの高級脂肪酸アミドを添加する場合の添加量は、ポリオキシメレン粗ポリマー100重量部に対し、0.01〜5重量部配合することができ、特に0.02〜1.5重量部が好ましい。
(8)(G)アミノ置換トリアジン化合物について
本発明においてはさらに(G)アミノ置換トリアジン化合物を配合することも可能であり、これと(C)ヒドラジド化合物を共に用いることにより、(B)成分の配合とも相俟ってホルムアルデヒドの発生をよりいっそう低減させることが可能である。具体例としては、メラミン、メラミン誘導体、尿素等が挙げられ、中でもメラミンが好ましい。アミノ置換トリアジン化合物を添加する場合の添加量は、ポリオキシメチレン粗ポリマー100重量部に対し、0.01〜5重量部を配合することができ、特に0.03〜1重量部が好ましい。また(C)ヒドラジド化合物と併用した場合、(C):(G)が1:10〜10:1の範囲にあることが好ましい。
さらに本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明のポリオキシメチレン樹脂組成物にその他の無機フィラー、導電性カーボンブラック、金属粉末、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、未硬化のエポキシ樹脂、またはこれらの変性物等に代表される熱可塑性樹脂、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等に代表される熱可塑性エラストマーを配合することができる。
(9)本発明のポリオキシメチレン樹脂組成物の製造方法としては、通常公知の方法が採用できるが、好ましい方法としてはトリオキサンと環状エーテルとの混合物を三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素水和物および三フッ化ホウ素と酸素原子またはイオウ原子を含む有機化合物との配位化合物から成る群から選ばれる少なくとも一種の重合触媒の存在下で重合させてオキシメチレン単位と他のオキシアルキレン単位を含むオキシメチレンコポリマーを製造し、重合終了後に重合触媒を失活させて得られるポリオキシメチレン粗ポリマー100重量部に対して(B)成分、(C)ヒドラジド化合物を添加し、100〜260℃の温度範囲で加熱する。ポリオキシメチレン粗ポリマーに対して(B)成分を添加する場合、混合機を用いてポリマーの融点以下の温度にて混合した後、100〜260℃の温度範囲での加熱に供することがより好ましく、ポリオキシメチレン粗ポリマーに対して(B)成分を添加し、混合機を用いて混合した後、ベント付二軸押出機を用いて170〜260℃の温度範囲で加熱混練することがさらに好ましい。
また、ポリオキシメチレン粗ポリマーの重合終了後に(E)ヒンダードアミン系化合物を重合触媒の失活剤および/または熱安定剤として添加し、(A)ヒンダードフェノール系化合物、(B−1)前記一般式(I)で表されるカルボン酸の金属塩を添加する方法や、ポリオキシメチレン粗ポリマーと(B)成分、(C)ヒドラジド化合物、(E)ヒンダードアミン系化合物、任意成分として(D)紫外線吸収剤、(F)高級脂肪酸アミドをペレット状、粉状、または粒状で混合し、このまま溶融加工してもよいが、バンバリーミキサー、ロール、押出機等により溶融混合する方法も採用できる。
かくして得られる本発明のポリオキシメチレン樹脂組成物は通常公知の射出成形、押出成形、プレス成形、加熱加圧成形、スタンピング成形等の方法で成形が可能である。
次に実施例、および比較例により本発明を説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、この発明の要旨の範囲内で、適宣変更して実施することができる。
また、実施例及び比較例中に示される連続成形時におけるホルムアルデヒド臭気の発生状況、加熱時発生ホルムアルデヒド量は次のようにして測定、あるいは、観察した。
成形:5オンスの射出能力を有する射出成形機を用いて、シリンダー温度190℃、金型温度65℃、成形サイクル50秒に設定して、ASTM1号ダンベル試験片を射出成形した。
連続成形時におけるホルムアルデヒド臭気の発生状況:
前述の成形条件で10,000ショットの連続成形を行い、そのときにおけるホルムアルデヒド臭気の発生状況を次のように評価した。
◎:ホルムアルデヒド臭が全くしない。
○:ほとんどホルムアルデヒド臭気がしない。
△:少しホルムアルデヒド臭気がする。
×:かなりホルムアルデヒド・ガスが発生し、その場にいると目、喉が痛くなる、あるいは、ホルムアルデヒド・ガスの発生が激しくその場に留まることができない。
加熱時発生ホルムアルデヒド量:
80℃の熱風オーブン中で3時間乾燥したペレット約1gを精秤し、耐熱性の優れた容器内で、窒素雰囲気下、240℃で15分間放置し、発生したホルムアルデヒドをメタノール水溶液中にトラップした。上記メタノール水溶液中のホルムアルデヒド量を酸化還元滴定で定量して、加熱時発生ホルムアルデヒド量を測定した。
実施例および比較例で用いた各添加剤の内容を下記に示す。
ポリオキシメチレン粗ポリマーの製造
2軸押出機型重合機(100mm直径、シリンダー長(L)/シリンダー径(D)=10.2)にトリオキサン(22.5kg/h),1,3−ジオキソラン(700g/h),また、トリオキサンに対して触媒として100ppmの三フッ化ホウ素・ジエチルエーテラート(2.5%ベンゼン溶液)、分子量調節剤として600ppmのメチラールをそれぞれ供給し、連続重合を行った。重合は外部ジャケットを60℃にコントロールし、回転数は100rpmで行った。メチラールはトリオキサン中に溶解した。また、1,3−ジオキソランと触媒溶液は重合機へ供給する直前に予備混合されるように予備混合ゾーンを設けた。ポリオキシメチレン粗ポリマーは白色微粉末として22.4kg/hで得られた。
(A)ヒンダードフェノール系酸化防止剤
[トリエチレングリコール−ビス{3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}](A):チバガイギースペシャリティ−社製”イルガノックス”245を使用した。
(B−1)カルボン酸のアルカリ金属
酸ナトリウム(B−1−2)、乳酸カリウム(B−1−3)、リンゴ酸ナトリウム(B−1−4)、クエン酸三ナトリウム(B−1−6)、クエン酸三カリウム(B−1−7)、酒石酸ナトリウム(B−1−8):いずれも関東化学株式会社製のものを使用した。
(B−2)飽和脂肪酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩
12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム(B−2):大日化学”ダイワックスOHC”を使用した。
(B−3)金属の水酸化物
水酸化カルシウム(B−3):関東化学株式会社製のものを使用した。
(C)ヒドラジド化合物
セバシン酸ジヒドラジド(C−1)、アジピン酸ジヒドラジド(C−2)、カルボジヒドラジド(C−3)、イソフタル酸ジヒドラジド(C−4):いずれも日本ヒドラジン工業株式会社製を使用した。
(D)紫外線吸収剤
[2−{2−ヒドロキシ−3、5−ビス(α、α−ジメチルベンジル)フェニル}ベンゾトリアゾール](D):チバガイギースペシャリティ−社製“Tinuvin”234Dを使用した。
(E)ヒンダードアミン系安定剤
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート(E):三共製薬”サノール”LS765を使用した。
(F)高級脂肪酸アミド
エチレンビスステアリルアミド:ライオン”アーモワックス”EBSを使用した。
(G)アミノ置換トリアジン化合物
メラミン:関東化学株式会社製を使用した。
実施例1〜、比較例1〜35
上記のようにして得られたポリオキシメチレン粗ポリマーの微粉末5kgに対して、9.0gの”サノール”LS765[三共製薬、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、三級アミン型のヒンダードアミン系化合物]を50mlのベンゼンに溶解した溶液を添加し、ヘンシェルミキサー中で3分間撹拌して触媒失活を行った。
触媒失活後のポリオキシメチレン粗ポリマー5kg(これを100重量部とする)に対して、(A)”イルガノックス”245[チバガイギー、トリエチレングリコール−ビス{3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、ヒンダードフェノール系化合物]25g、(B−1)前記一般式(I)で表されるカルボン酸のアルカリ金属塩(B−1−2〜8)、(C)ヒドラジド化合物(C−1〜4)を表1、表2記載の組成であらかじめ予備混合し、日本製鋼所製ベント付2軸30mm直径押出機でシリンダー温度210℃、10Torrの減圧下で5分間溶融混合した。
得られた組成物はストランドとして押出され、カッタによってペレタイズされた。このペレットを熱風循環オーブン中、80℃で3時間乾燥したのち、成形を行い、機械物性および色調の測定に供し、連続成形時におけるホルムアルデヒド臭気の発生状況を評価した。さらに乾燥したペレットを用いて加熱時発生ホルムアルデヒド量、MI値の評価を行った。これらの結果を表1、表2にまとめた。
比較例36、37
(B−1)成分の代わりに(B−3)水酸化カルシウムを表2に示した組成で配合した以外は、実施例1と同様にしてポリオキシメチレン樹脂組成物を得た。さらに比較例10では、(C)ヒドラジド化合物の代わりにメラミンを表2に示した組成で配合した。射出成形の後評価を行い、結果を表2に示した。
比較例38、39
(B−1)成分として乳酸ナトリウム(B−1−2)と12−ヒドロキシ−ステアリン酸カルシウム(B−2)を表3に示した組成で併用して配合した以外は、実施例1、実施例4と同様にしてポリオキシメチレン樹脂組成物を得た。射出成形の後評価を行い、結果を表3に示した。
比較例40、41
(B−1)成分として乳酸ナトリウム(B−1−2)、(C)ヒドラジド化合物としてセバシン酸ジヒドラジド(C−1)、イソフタル酸ジヒドラジド(C−4)をそれぞれメラミンと表3に示した組成で併用して配合した以外は、実施例1、実施例4と同様にしてポリオキシメチレン樹脂組成物を得た。射出成形の後評価を行い、結果を表3に示した。
比較例42、43
(B−1)成分として乳酸ナトリウム(B−1−2)、(C)ヒドラジド化合物として、セバシン酸ジヒドラジド(C−1)、イソフタル酸ジヒドラジド(C−4)を表3に示した組成で配合し、さらに(D)紫外線吸収剤を表3に示した組成で配合した以外は実施例1、実施例4と同様にしてポリオキシメチレン樹脂組成物を得た。射出成形の後評価を行い、結果を表3に示した。
比較例44
比較例43に、さらに(E)ヒンダードアミン系化合物を表3に示した組成で配合した以外は実施例1と同様にしてポリオキシメチレン樹脂組成物を得た。射出成形の後評価を行い、結果を表3に示した。
比較例45
比較例44に、さらに(F)高級脂肪酸アミドを表3に示した組成で配合した以外は実施例1と同様にしてポリオキシメチレン樹脂組成物を得た。射出成形の後評価を行い、結果を表3に示した。
比較例46
比較例45において、乳酸ナトリウム(B−1−2)と12−ヒドロキシ−ステアリン酸カルシウム(B−2)を表3に示した組成で併用して配合した以外は、実施例1と同様にしてポリオキシメチレン樹脂組成物を得た。射出成形の後評価を行い、結果を表3に示した。
比較例47
比較例45において、イソフタル酸ジヒドラジド(C−4)とメラミンを表3に示した組成で併用して配合した以外は、実施例1と同様にしてポリオキシメチレン樹脂組成物を得た。射出成形の後評価を行い、結果を表3に示した。
比較例48
比較例45において、乳酸ナトリウム(B−1−2)と12−ヒドロキシ−ステアリン酸カルシウム(B−2)を、かつイソフタル酸ジヒドラジド(C−4)とメラミンを表3に示した組成で併用して配合した以外は、実施例1と同様にしてポリオキシメチレン樹脂組成物を得た。射出成形の後評価を行い、結果を表3に示した。
比較例11
乳酸ナトリウム(B−1−2)と水酸化カルシウム(B−3)を表3に示した組成で併用して配合し、セバシン酸ジヒドラジド(C−1)を使用しなかった以外は、実施例5と同様にしてポリオキシメチレン樹脂組成物を得た。射出成形の後評価を行い、結果を表3に示した。
比較例12
比較例11において、(C)ヒドラジド化合物の代わりにメラミンを表3に示した組成で併用して配合した以外は、実施例5と同様にしてポリオキシメチレン樹脂組成物を得た。射出成形の後評価を行い、結果を表3に示した。
Figure 0004982947
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表1、2の結果からは次の事項が明らかである。
(1)トリオキサンと環状エーテルとの混合物を三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素水和物および三フッ化ホウ素と酸素原子またはイオウ原子を含む有機化合物との配位化合物から成る群から選ばれる少なくとも一種の重合触媒の存在下で重合させたポリオキシメチレン粗ポリマーを得、該ポリオキシメチレン粗ポリマー100重量部に対して、重合終了後に(E)ヒンダードアミン系化合物、(A)ヒンダードフェノール系酸化防止剤を0.5部、(B−1)クエン酸三カリウム0.1重量部、(C)ヒドラジド化合物を配合し、加熱することにより、成形時のホルムアルデヒド臭やモールドデポジットがきわめて少なく熱安定性に優れたポリオキシメチレン樹脂組成物が得られる。(実施例1〜4)
(11)また(C)成分が0.01重量部より少ない場合には、成形時のホルムアルデヒド臭やモールドデポジットが悪化し熱安定性が不十分となる。(比較例3、4)
(12)また(B−1)成分、(C)成分が0.01重量部より少ない、もしくは5重量部より多い場合には、成形時のホルムアルデヒド臭やモールドデポジットが悪化し熱安定性が不十分となる。(比較例5〜8)
(13)また(B−1)成分の代わりに水酸化カルシウムのような金属の水酸化物を添加した場合には、成形時のホルムアルデヒド臭やモールドデポジットが悪化し熱安定性が不十分となる。(比較例9、10)
(14)(B−1)と水酸化カルシウムのような金属の水酸化物を併用して添加した場合には、成形時のホルムアルデヒド臭やモールドデポジットが悪化し熱安定性が不十分となる。(比較例11、12)
本発明によりホルムアルデヒドの発生量が著しく低減した熱安定性の優れたポリオキシメチレン樹脂組成物が得られるため、自動車部品、電気・電子機器部品、一般機能部品等の用途に極めて実用的に用いることができる。

Claims (4)

  1. トリオキサンと環状エーテルとの混合物を三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素水和物、および三フッ化ホウ素と酸素原子またはイオウ原子を含む有機化合物との配位化合物から成る群から選ばれる少なくとも一種の重合触媒の存在下で重合させて、オキシメチレン単位と他のオキシアルキレン単位を含むポリオキシメチレン粗ポリマーを得、該ポリオキシメチレン粗ポリマー100重量部に対して、重合終了後に(E)ヒンダードアミン系化合物0.01〜5重量部、(A)ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.01〜5重量部、(B−1)クエン酸三カリウム0.01〜5重量部、(C)ヒドラジド化合物0.01〜5重量部を配合し、100〜260℃の温度で加熱することを特徴とするポリオキシメチレン樹脂組成物の製造方法。
  2. 重合終了後に、さらに(D)紫外線吸収剤0.01〜5重量部を配合することを特徴とする請求項1記載のポリオキシメチレン樹脂組成物の製造方法。
  3. 重合終了後に、さらに(F)高級脂肪酸アミド0.01〜5重量部を配合することを特徴とする請求項1または2記載のポリオキシメチレン樹脂組成物の製造方法。
  4. (C)ヒドラジド化合物が、カルボジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドから選ばれる、1種、または2種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のポリオキシメチレン樹脂組成物の製造方法。
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