JP4983340B2 - 透過型スクリーン - Google Patents

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本発明は、光拡散性シートに関するものである。
プロジェクションテレビの透過型スクリーンのような光学スクリーンは、通常、フレネルレンズシートやレンチキュラーレンズシートのようなレンズシートから構成されている。また、該レンズシートを保護する目的から、フロントパネルを装着する構成も採用されている。フレネルレンズシートは、通常、光拡散性シート基材に紫外線硬化性樹脂を硬化させることにより得られるフレネルレンズが成形されている。また、最近では、レンチキュラーレンズのピッチが微細化したことにより、フィルム状のレンチキュラーレンズが用いられるケースが増えてきており、この場合は、該レンズを支持するために、光拡散性シートが通常使用される。また、プロジェクションスクリーンの用途によっては、光拡散性シートが単独でスクリーンとして用いられる場合もある。
これらの透過型スクリーン用の光拡散性シートは、スクリーンを通じて得られる画質や視野角を調整する目的で設計される。最近では、プロジェクションテレビの光源が非常に明るくなったことから、画面のぎらつき感としていわゆるシンチレーションが問題とされており、このシンチレーションを低減する検討が種々なされている。シンチレーション低減のための手法として、上述の光拡散性シートの構成や処方を工夫する検討が種々なされている。例えば、国際公開第98/03898号パンフレット(特許文献1)には、透過型スクリーンにおいて光の透過方向に2つの分離した光拡散部を設けることが提案されている。また、特開平8−313865号公報(特許文献2)には、光源に近い側にある第1の拡散要素と観察者に近い側にある第2の拡散要素を含む背面投写型映像表示装置が提案されている。そして、両文献には、光拡散性シートとして、2層シートや3層シートが例示されており、これらのシートは、光拡散性の微粒子を含有する層(以下、微粒子含有層ということがある)と、光拡散性の微粒子を含有しない層(以下、微粒子不含層ということがある)を有している。
国際公開第98/03898号パンフレット 特開平8−313865号公報
上記文献に開示されている多層構造の光拡散性シートは、通常、2つ以上の押出機を用いて多層押出成形されることで得られるが、微粒子含有層及び微粒子不含層を有する多層シートの押出成形では、以下に示すような問題点が挙げられる。
微粒子含有層と微粒子不含層に用いる熱可塑性樹脂としては、通常、同じ組成の樹脂を用いる。一方、押出成形において得られた樹脂シートでは、コスト的な観点から、通常、製品となる部分以外の端材については、粉砕後、原料として再利用する。通常、単層板の場合や、微粒子含有層/微粒子含有層の多層板の場合には、端材より得られた原料を適切な割合で再利用することが可能である。ところが、微粒子含有層/微粒子不含層の多層板の場合、特に板の総厚に占める微粒子不含層の割合が大きい場合には、端材を原料として再利用しようとした場合に、微粒子不含層に端材の粉砕品を投入してしまうと、該粉砕品は微粒子含有層に含有される光拡散性微粒子を含んでいることから、微粒子不含層に光拡散微粒子が混入してしまい、微粒子不含層が拡散層となってしまう。したがって、端材を微粒子不含層側へ投入することができず、端材の利用効率が非常に悪くなってしまい、コスト的に非常に不利なものとなってしまう。
また、押出成形時の調整が非常に難しくなる。通常、押出成形では、適切に温調された3本以上の鏡面ロール間を通すことで、シートの厚み調整、シートの平坦化及びシート表面状態の適正化を行うが、微粒子含有層面は、光拡散性微粒子の影響で表面が凹凸になり易いことから、鏡面ロールへの密着が悪くなりがちであり、鏡面ロール温度を比較的高めの設定にすることで対応するのが一般的である。一方、微粒子不含層は、表面が非常に平滑であり、鏡面ロールへの密着が容易であるため、ロール温度が高すぎると、ロールから微粒子不含層面側が離れる時にロールにとられ気味となり、ロールと平行方向にいわゆるタックマークと言われる筋状の欠陥が発生し易くなる。
上記のことから、多層シートで、シート表面の片面が微粒子含有層面で、もう片面が微粒子不含層面である場合には、外観が良好なシートを得ることが難しく、結果として製品取りに至る調整に時間を要したり、製品採取中にも不具合が発生し易くなったりし、収率低下を招き、コスト的に不利なものとなってしまう。
また、微粒子含有層と微粒子不含層を有する多層シートで、特に該シート表面の片面が微粒子含有層面で、もう片面が微粒子不含層面である場合に、該多層シートをフレネルレンズ成形用の基材として用いようとした場合、一般的に用いられている屈折型フレネルレンズを成形する際、シンチレーション低減の観点から、光源側に微粒子含有層を配することが好ましいため、微粒子不含層面側にフレネルレンズ成形をすることになる。フレネルレンズは通常、紫外線硬化性樹脂を硬化させることで得られるが、基材との密着は、化学的な結合と物理的な結合とで発現する。フレネルレンズ成形する基材表面が微粒子不含層面で非常に平滑な場合には、後者の物理的な結合(いわゆるアンカー効果)がほとんど発現しないため、フレネルレンズの基材への密着が不十分になり易いという懸念がある。特に、基材の組成の観点で化学的な結合が十分に発現できないような場合には、基材表面の微細凹凸による物理的結合(アンカー効果)が密着に大きく寄与すると考えられるが、基材表面が微粒子不含層面で非常に平滑な場合には物理的結合が期待できず、結果として密着が不十分なものになってしまう。
そこで、本発明者は、端材の有効利用及び生産効率の向上というコスト的に有利となる観点、並びにフレネルレンズ基材として適しているという観点から鋭意検討した結果、特定構成、特定処方の2層以上の多層構造からなる光拡散性熱可塑性樹脂シートを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、屈折率N1の熱可塑性樹脂(1)に屈折率Naの微粒子が分散されてなる層(1)と、屈折率N2の熱可塑性樹脂(2)に屈折率Naの微粒子が分散されてなる層(2)とを有し、式(I)〜(III):
|N1−Na|≦0.005 (I)
0.005<|N2−Na|≦0.04 (II)
0.005<|N2−N1|≦0.04 (III)
を満たすことを特徴とする光拡散性シートを提供するものである。
本発明の光拡散性シートを用いることで、端材を有効利用でき、かつ生産効率を向上できることからコスト的に有利となり、また、特に透過型スクリーンの基材として用いた場合、シンチレーション低減が可能となる。
本発明の光拡散性シートに用いられる熱可塑性樹脂としては、透明性の高い樹脂が好適であり、例えば、メタクリル酸メチル系樹脂、スチレン系樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などが用いられる。中でも、メタクリル酸メチル系樹脂、スチレン系樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂が好適に用いられる。
メタクリル酸メチル系樹脂は、メタクリル酸メチルを主体とする重合体であり、メタクリル酸メチルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸メチル50質量%以上とこれ以外の単量体50質量%以下との共重合体であってもよい。共重合体である場合、メタクリル酸メチルの割合は、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上である。
メタクリル酸メチル以外の単量体は、分子内にラジカル重合可能な二重結合を1個以上有するものであり、メタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸エステルやスチレン系単量体が好ましく用いられる。メタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸エステルの例としては、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどが挙げられる。スチレン系単量体の例としては、スチレンの他、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−エチルスチレン、p−t−ブチルスチレンの如き核アルキル置換スチレン;α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレンの如きα−アルキル置換スチレン;o−クロロスチレン、p−クロロスチレンの如きハロゲン化スチレンなどが挙げられる。また、(メタ)アクリル酸エステル及びスチレン系単量体以外の単量体の例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミドなどが挙げられる。
スチレン系樹脂は、スチレンを主体とする重合体であり、スチレンの単独重合体であってもよいし、スチレン50質量%以上とこれ以外の単量体50質量%以下との共重合体であってもよい。共重合体である場合、スチレンの割合は、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上である。
スチレン以外の単量体は、分子内にラジカル重合可能な二重結合を1個以上有するものであり、その例としては、メタクリル酸メチルの他、先にメタクリル酸メチル系樹脂の単量体の例として挙げたメタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸エステル、スチレン以外のスチレン系単量体、並びに(メタ)アクリル酸エステル及びスチレン系単量体以外の単量体と同様のものが挙げられる。
メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂は、メタクリル酸メチルとスチレンを必須の単量体とする共重合体であり、その単量体組成により、上記のメタクリル酸メチル系樹脂やスチレン系樹脂と重複しうるものである。その単量体組成は、メタクリル酸メチルが15〜85質量%、スチレンが15〜85質量%、これら以外の単量体が0〜30質量%であるのがよい。
メタクリル酸メチル及びスチレン以外の単量体は、分子内にラジカル重合可能な二重結合を1個以上有するものであり、その例としては、先にメタクリル酸メチル系樹脂の単量体の例として挙げたメタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸エステル、スチレン以外のスチレン系単量体、並びに(メタ)アクリル酸エステル及びスチレン系単量体以外の単量体と同様のものが挙げられる。
熱可塑性樹脂は、ゴム状重合体を含有するものであってもよく、この場合、ゴム状重合体としては、通常、熱可塑性樹脂のゴム状重合体以外の部分と屈折率が略同等のもの(屈折率差が0.005以下のもの)が用いられる。
特に熱可塑性樹脂のゴム状重合体以外の部分がメタクリル酸メチル系樹脂である場合、ゴム状重合体としては、アクリルゴム粒子が好適である。アクリルゴム粒子は、ゴム成分としてアクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を含有する粒子であり、この弾性重合体のみからなる単層構造の粒子であってもよいし、この弾性重合体の層を有する多層構造の粒子であってもよい。また、この弾性重合体は、アクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、アクリル酸エステル50質量%以上とこれ以外の単量体50質量%以下との共重合体であってもよい。
また、特に熱可塑性樹脂のゴム状重合体以外の部分ががメタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂である場合、ゴム状重合体としては、ジエン系ゴム共重合体が好適である。ジエン系単量体としては、例えば、ブタジエン、2−メチルブタジエン、2,3−ジメチルブタジエンなどが挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。中でもブタジエンが好ましい。ジエン系ゴム状共重合体としては、最も一般的にはスチレン−ブタジエン共重合体ゴムが挙げられる。ジエン系ゴム状共重合体は、ランダム共重合体であってもよくブロック共重合体であってもよい。また、熱可塑性樹脂のゴム状重合体以外の部分の単量体成分がグラフト重合したものであってもよい。
熱可塑性樹脂は、例えば、塊状重合法、懸濁重合法、ミクロ懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法などにより製造することができる。
本発明の光拡散性シートに用いられる拡散微粒子としては、通常、有機重合体粒子や無機粒子が用いられる。有機重合体粒子としては、例えば、メタクリル酸メチル系重合体粒子、スチレン系重合体粒子、シロキサン系重合体粒子などが挙げられる。
メタクリル酸メチル系重合体粒子は、メタクリル酸メチルを主体とする重合体の粒子であり、この重合体は、メタクリル酸メチルと、これ以外の分子内にラジカル重合可能な二重結合を1個有する単官能単量体と、分子内にラジカル重合可能な二重結合を2個以上有する多官能単量体とを共重合させてなる架橋重合体であるのがよい。
ここで、メタクリル酸メチル以外の単官能単量体の例としては、先にメタクリル酸メチル系樹脂の単量体の例として挙げたメタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸エステル、スチレン系単量体、並びに(メタ)アクリル酸エステル及びスチレン系単量体以外の単量体と同様のものが挙げられ、スチレンが好適に用いられる。
また、多官能単量体の例としては、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレンエチレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレンエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレートの如き多価アルコールのメタクリレート類;1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、プロピレンエチレングリコールジアクリレート、テトラプロピレンエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの如き多価アルコールのメタクリレート類;ジビニルベンゼン、ジアリルフタレートの如き芳香族多官能化合物などが挙げられる。かかる多官能単量体はそれぞれ単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
かかるメタクリル酸メチル系重合体粒子の屈折率は、通常1.46〜1.55程度であり、ベンゼン骨格やハロゲン原子の含有量が多いほど大きな屈折率を示す傾向がある。このメタクリル酸メチル系重合体粒子は、例えば、懸濁重合法、ミクロ懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法などにより製造することができる。
スチレン系重合体粒子は、スチレンを主体とする重合体の粒子であり、この重合体は、スチレンと、これ以外の分子内にラジカル重合可能な二重結合を1個有する単官能単量体と、分子内にラジカル重合可能な二重結合を2個以上有する多官能単量体とを共重合させてなる架橋重合体であるのがよい。
ここで、スチレン以外の単官能単量体の例としては、メタクリル酸メチルの他、先にメタクリル酸メチル系樹脂の単量体の例として挙げたメタクリル酸メチル以外の(メタ)アクリル酸エステル、スチレン系単量体、並びに(メタ)アクリル酸エステル及びスチレン系単量体以外の単量体と同様のものが挙げられ、メタクリル酸メチルが好適に用いられる。
また、多官能単量体の例としては、先にメタクリル酸メチル系重合体粒子の多官能単量体の例として挙げたものと同様のものが挙げられ、それぞれ単独又は2種以上の組み合わせで用いることができる。
かかるスチレン系重合体粒子の屈折率は、通常1.53〜1.61程度であり、ベンゼン骨格やハロゲン原子の含有量が多いほど大きな屈折率を示す傾向がある。このスチレン系重合体粒子は、例えば、懸濁重合法、ミクロ懸濁重合法、乳化重合法、分散重合法などによりで製造することができる。
メタクリル酸メチル系重合体粒子及びスチレン系重合体粒子で用いられる多官能単量体の割合は、全単量体を基準として、通常0.05〜15質量%程度であり、好ましくは0.1〜10質量%である。多官能単量体の量があまり少ないと、粒子の架橋程度が十分でなく、押出成形において熱や剪断がかかった場合に粒子が大きく変形し易く、結果として所望の光拡散効果が得られ難くなる。また、多官能性単量体の量があまり多いと、押出成形時に外観不良が発生し易くなる。
シロキサン系重合体粒子は、例えば、クロロシラン類を加水分解し、縮合させる方法により製造される重合体の粒子である。クロロシラン類としては、例えば、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシランなどが挙げられる。シロキサン系重合体は架橋されていてもよい。架橋させるには、例えば、シロキサン系重合体に過酸化ベンゾイル、過酸化2,4−ジクロルベンゾイル、過酸化p−クロルベンゾイル、過酸化ジキュミル、過酸化ジ−t−ブチル−2,5−ジメチル−2,5−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンなどの過酸化物を作用させればよい。また、末端シラノール基を有する場合には、アルコキシシラン類と縮合架橋させてもよい。架橋された重合体は、ケイ素原子1個あたり、有機残基が2〜3個程度結合した構造であることが好ましい。かかるシロキサン系重合体は、シリコーンゴム、シリコーンレジンとも称される重合体であって、常温では固体のものが好ましく用いられる。シロキサン重合体粒子は、かかるシロキサン重合体を粉砕することで得ることができる。線状オルガノシロキサンブロックを有する硬化性重合体やその組成物を噴霧状態で硬化させることで、粒状粒子としてもよい。また、アルキルトリアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物をアンモニア又はアミン類の水溶液中で加水分解縮合させることで粒状粒子として得てもよい。かかるシロキサン系重合体粒子の屈折率は通常1.40〜1.47程度である。
無機粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ(酸化ケイ素)、無機ガラス、タルク、マイカ、ホワイトカーボン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などが挙げられる。かかる無機粒子は、熱可塑性樹脂中に均一に分散されるように、脂肪酸などの表面処理剤で表面処理されていてもよい。
光拡散性微粒子として用いられる有機重合体粒子及び無機粒子の重量平均粒子径は、光拡散特性において適当なものを選定すればよいが、光拡散性能の観点から、通常1〜40μm、好ましくは3〜20μm、より好ましくは5〜15μmである。また、光拡散性微粒子は、球状であることが一般的であるが、矩状、鱗片状、針状、板状などの形状のものも用いることができる。
本発明の光拡散性シートは、上で述べた熱可塑性樹脂中に光拡散性微粒子が分散されたシートであり、しかも、2層以上の多層構造からなる熱可塑性樹脂シートであって、屈折率N1の熱可塑性樹脂(1)に屈折率Naの微粒子が分散されてなる層(1)と、屈折率N2の熱可塑性樹脂(2)に屈折率Naの微粒子が分散されてなる層(2)とを有するものである。なお、熱可塑性樹脂(2)に分散させる微粒子は、熱可塑性樹脂に分散させる微粒子と同じものを使用するのがよい。
そして、この光拡散性シートは、次の式(I)〜(III):
|N1−Na|≦0.005 (I)
0.005<|N2−Na|≦0.04 (II)
0.005<|N2−N1|≦0.04 (III)
を満たすものである。
すなわち、まず、式(I)に示される如く、熱可塑性樹脂(1)の屈折率N1と微粒子の屈折率Naを略同等とすることにより、熱可塑性樹脂(1)に微粒子が分散してなる層(1)を、微粒子不含の層と同様の略透明なものとすることができる。このN1とNaの関係は、好ましくは式(I’):
|N1−Na|≦0.003 (I’)
を満たすのがよい。
また、式(II)に示される如く、熱可塑性樹脂(2)の屈折率N2と微粒子の屈折率Naとで所定の屈折率差を設けることにより、熱可塑性樹脂(2)に微粒子が分散してなる層(2)を、光拡散性の層とすることができる。このN2とNaの関係は、好ましくは(式II’):
0.01≦|N2−Na|≦0.03 (II’)
を満たすのがよい。
上記のように層(1)を透明層とし、層(2)を光拡散層とすることにより、例えば、透明層/光拡散層〔層(1)/層(2)〕の2層板や、光拡散層/透明層/光拡散層〔層(2)/層(1)/層(2)〕の3層板の如き、透明層と光拡散層を有し、透過型スクリーンの基材として用いた場合に、シンチレーション低減の点で有利な光拡散シートを得ることができる。また、透明層〔層(1)〕が微粒子を含有することにより、その表面がロールにとられ難くなるので、タックマークが発生し難くなり、また、その表面がアンカー効果を奏し易くなるので、フレネルレンズを成形したとき密着性が高くなる。
そして、式(III)に示される如く、熱可塑性樹脂(1)の屈折率N1と熱可塑性樹脂(2)の屈折率N2との差を所定値以下とすることで、熱可塑性樹脂(1)と熱可塑性樹脂(2)を混合する際、相溶しない場合でも、みかけ上、相溶した状態とすることができるので、得られる光拡散性シートの製品となる部分以外の端材について、粉砕後、原料として再利用することが容易となり、コスト的に有利になる。このN1とN2の関係は、好ましくは式(III’):
0.005<|N2−N1|≦0.02 (III’)
を満たすのがよい。なお、N2とN1の関係のみからすれば、その差が小さいほど、端材の再利用の点で有利であるが、先のN1とNaの関係、及びN2とNaの関係を満たすためには、N2とN1とで所定の差が生じるべきものとなる。
また、本発明の光拡散性シートにおいては、熱可塑性樹脂(1)に微粒子が分散してなる層(1)、すなわち透明層の厚みをT1とし、熱可塑性樹(2)に微粒子が分散してなる層(2)、すなわち光拡散層の厚みをT2としたとき、式(IV):
0.5≦T1/(T1+T2)≦0.98 (IV)
を満たすことが好ましい。T1/(T1+T2)があまり小さいと、全体厚みに対する透明層の厚みが小さくなるため、上で述べたシンチレーションの低減効果が十分でなくなってしまう懸念がある。一方、T1/(T1+T2)があまり大きいと、全体厚みに対する光拡散層の厚みが小さくなるので、十分な光拡散性能を得ることが難しくなってしまい、また十分な光拡散性能を得ようとすると微粒子の濃度を非常に高くする必要があり、結果として得られるシートの外観などが悪くなってしまう。なお、層(1)が複数存在する場合、その厚みT1は複数存在する層の合計の厚みとして考えればよく、層(2)が複数存在する場合、その厚みT2は複数存在する層の合計の厚みとして考えればよい。
また、本発明の光拡散性シートにおいては、屈折率N1及びN2並びに厚みT1及びT2の関係が、式(V):
T2/(T1+T2)×|N1−N2|≦0.01 (V)
の関係を満たすことが好ましい。T2/(T1+T2)×|N1−N2|が0.01を超えると、T2や|N1−N2|が比較的大きな値となってしまい、端材のリサイクル時に、熱可塑性樹脂(1)と熱可塑性樹脂(2)とが相溶し難くなり、相分離による透過率の低下が生じ易くなってしまい好ましくない。
なお、本発明の光拡散性シートは、例えば、酸化防止剤、可塑剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤などの各種添加剤が目的により1種又は2種以上添加されたものであってもよい。
かかる本発明の光拡散性シートは、通常の多層押出成形法やプレス成形法などにより得ることができる。コスト的な観点なども考慮すると多層押出成形法により得ることが好ましい。各層の混合物は、あらかじめ熱可塑性樹脂と拡散微粒子を混合し必要に応じて添加剤を混合させたものをそのまま押出機に供給して溶融押出シーティングしても構わないし、あらかじめ熱可塑性樹脂と拡散微粒子と必要に応じて添加する添加剤を溶融温度以上の温度で溶融混練して得られた樹脂成形体(ペレット)として得ておき、その後、押出機に供給し溶融押出シーティングしても良い。
多層押出では、シートの層数に応じて、複数の押出機を用意し、層数に見合ったフィードブロックダイあるいはマルチマニホールドダイを経て積層一体化され、ダイを出た後、通常は冷却ロールに挟み込んで冷却することで、所望の多層光拡散シートを得ることができる。
以下、本発明を、実施例によって詳しく説明するが、本発明はかかる実施例によって限定されるものではない。なお、各例における評価方法は以下の通りである。
〔光拡散性能〕
光拡散性の指標としてヘイズを評価した。実験により得た光拡散性シート(1.5mm厚)を4×6cmに切り出し、光拡散層(表層)側が入光面になるようにサンプルをセットし、JIS K7136に準拠して、村上色彩技術研究所製HM−150を用いて評価した。
〔層厚み〕
シート全体の厚みは、マイクロメーターにて測定した。光拡散層の厚みは、断面を光学顕微鏡で観察することで測定した。
〔シンチレーション〕
得られた光拡散性シートの光拡散層(表層)側が光源からの光の入光面となるように、ピッチ0.25mmのブラックストライプを有するレンチキュラーレンズと一体化させたものを評価に用いた。評価としては、市販されているDLP光源を有する62インチサイズのリアプロジェクションテレビのスクリーンを透明アクリル板に置き換えたものを用意し、白画面を出力したうえで、画面中央部にスクリーンセットを光拡散性シートの光拡散層(表層)側が光源側となるように貼り付けた。そして、画面から1m離れた場所からシンチレーションの目視官能評価を行い、○(良好)、△(やや悪い)で示した。シンチレーションは同等ヘイズレベルのものの比較評価として良い、悪いを判断した。
熱可塑性樹脂としては、以下のものを用いた。屈折率は、JIS K7142に準拠して測定した。
樹脂(1):メタクリル酸メチル/スチレン=60/40(質量比)の共重合体樹脂(屈折率1.533)。
樹脂(2):メタクリル酸メチル/スチレン=80/20(質量比)の共重合体樹脂(屈折率1.512)
光拡散性微粒子としては、以下のものを用いた。屈折率は、JIS K7142に準拠して測定した。
粒子(1):メタクリル酸メチル/スチレン/ジビニルベンゼン=58/37/5(質量比)の共重合体粒子(屈折率1.535、重量平均粒子径7.9μm)。
粒子(2):メタクリル酸メチル/スチレン/ジビニルベンゼン=38/57/5(質量比)の共重合体粒子(屈折率1.555、重量平均粒子径8.8μm)。
実施例1〜5、比較例1〜6、参考例1〜6
〔熱可塑性樹脂と光拡散性微粒子との混合〕
表1に示す種類の熱可塑性樹脂及び光拡散性微粒子を表1に示す質量比で、室温にてポリ袋の中で攪拌し混合した後、押出機(一軸式、スクリュー径φ40mm、ベント付き、田辺プラスチックス機械製)にて加熱しながら樹脂温度約230℃にて溶融混練し、ストランドダイから押し出された樹脂ストランドをペレタイザー装置でカットし、ペレット形状に加工して、熱可塑性樹脂と光拡散性微粒子との混合物(光拡散性組成物)を得た。
〔光拡散性シート(多層シート)の製造〕
第1押出機(田辺プラスチックス機械製;スクリュー径40mm、一軸、ベント付)及び第2押出機(田辺プラスチックス機械製;スクリュー径20mm、一軸、ベント付)に、表1に示す熱可塑性樹脂と拡散微粒子との混合物を投入した。押出機の先に2種2層分配型のマルチマニホールドダイを配し、約250℃に保持した該ダイにて第1押出機からの層を主層、第2押出機からの層を光拡散層(表層)とした2層に一体化した。ダイから出た2層光拡散シートは、第一冷却ロールと第ニ冷却ロールとの間に挟み込み、第二冷却ロールに密着して巻きつけながら、第ニ冷却ロールと第三冷却ロールとの間に挟み込み、第三冷却ロールに密着して巻きつけて冷却した。第一冷却ロール、第ニ冷却ロール及び第三冷却ロールは、それぞれステンレス製φ25cmで、表面をクロムメッキ処理後に鏡面仕上げしたものを用いた。2層光拡散性シートの総厚は約1.5mmであり、表層厚は約0.1mmであった〔T1/(T1+T2)=0.93〕。こうして得られた光拡散性シートの評価結果を表1に示した。
Figure 0004983340

Claims (3)

  1. 屈折率N1の熱可塑性樹脂(1)に屈折率Naの微粒子が分散されてなる層(1)と、屈折率N2の熱可塑性樹脂(2)に屈折率Naの微粒子が分散されてなる層(2)とを有し、層(1)の厚みをT1とし、層(2)の厚みをT2としたとき、式(I)〜(IV):
    |N1−Na|≦0.005 (I)
    0.005<|N2−Na|≦0.04 (II)
    0.005<|N2−N1|≦0.04 (III)
    0.5≦T1/(T1+T2)≦0.98 (IV)
    を満たす光拡散性シートを有する透過型スクリーン
  2. 光拡散性シートが、式(III’):
    0.005<|N2−N1|≦0.02 (III’)
    を満たす請求項1に記載の透過型スクリーン
  3. 光拡散性シートが、式(V):
    T2/(T1+T2)×|N1−N2|≦0.01 (V)
    を満たす請求項1又は2に記載の透過型スクリーン
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